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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241105BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241105BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20241105BHJP
   H04W 88/02 20090101ALN20241105BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W84/10 110
H04W88/02 110
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023166778
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2019139165の分割
【原出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2023179578
(43)【公開日】2023-12-19
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 期子
(72)【発明者】
【氏名】平井 佳行
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001106(JP,A)
【文献】特開2016-143999(JP,A)
【文献】特開2019-033439(JP,A)
【文献】特開2015-177254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
外部装置と接続するための接続情報を端末装置から受信するための接続設定状態での動作を前記通信装置に開始させる第1制御手段と、
前記通信装置が前記接続設定状態で動作している状態において、前記接続情報を前記端末装置から受信する受信手段と、
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報を用いて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続を確立する確立手段と、
第1のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記接続設定状態での動作を停止させるための所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止が行われないようにするための制御を実行する第2制御手段と、
前記第1のトリガーと異なる第2のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記所定の操作が行われた場合に、前記所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止を実行する第3制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止が行われないようにするための制御は、前記所定の操作を受け付けるための画面を前記通信装置の表示部に表示しない制御であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記所定の操作は、前記通信装置が表示する所定のソフトボタンへの操作であることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1のトリガーに基づいて前記接続設定状態での動作が開始されたことに基づいては、前記所定の操作を受け付けるための画面が表示されず、
前記第2のトリガーに基づいて前記接続設定状態での動作が開始されたことに基づいては、前記所定の操作を受け付けるための画面が表示されることを特徴とする請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止が行われないようにするための制御は、前記所定の操作が行われたとしても、前記接続設定状態での動作の停止を行わない制御であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記所定の操作は、前記通信装置が備える所定の物理ボタンへの操作であることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1のトリガーは、前記通信装置の電源がオフである状態において前記通信装置の電源をオンするための電源オン操作が行われたことであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1のトリガーは、前記通信装置の初期設定が完了しておらず、且つ前記通信装置の電源がオフである状態において前記電源オン操作が行われたことであることを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記初期設定が完了した後も、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が維持することを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記初期設定が完了している場合は、前記電源オン操作が行われたとしても、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が開始しないことを特徴とする請求項8又は9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記初期設定には、前記通信装置が備える構成をクリーニングする処理が含まれることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記第2のトリガーは、前記通信装置の電源がオンである状態の前記通信装置に対して、前記接続設定状態での動作を開始させるための特定の操作が行われたことであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記第1のトリガーに基づいて前記接続設定状態での動作が開始されたことに基づいては、前記接続設定状態での動作が開始されたことを示す画面が、前記通信装置の表示部に表示されず、
前記第2のトリガーに基づいて前記接続設定状態での動作が開始されたことに基づいては、前記接続設定状態での動作が開始されたことを示す画面が、前記通信装置の表示部に表示されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報が用いられて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続が確立され、
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が停止することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報が用いられて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続が、第1の通信規格によって確立され、
前記接続設定状態で動作している前記通信装置と前記端末装置との間の接続が確立されている状態で、前記第1の通信規格と異なる第2の通信規格による他の装置と前記通信装置との間の接続が新たに確立されたことに基づいて、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が停止することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項16】
前記第1の通信規格は、無線の通信規格であり、
前記第2の通信規格は、有線の通信規格であることを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記通信装置が前記接続設定状態での動作を開始してから所定の時間が経過したことに基づいて、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が停止することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項18】
前記接続設定状態は、前記通信装置が前記端末装置とダイレクト接続するための状態であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項19】
前記接続設定状態は、前記通信装置内の所定のアクセスポイントが有効化されている状態であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項20】
前記接続設定状態は、前記通信装置が前記端末装置とBluetoothによって接続するための状態であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項21】
記録媒体上に画像を印刷する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の通信装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項23】
通信装置の制御方法であって、
外部装置と接続するための接続情報を端末装置から受信するための接続設定状態での動作を前記通信装置に開始させる第1制御ステップと、
前記通信装置が前記接続設定状態で動作している状態において、前記接続情報を前記端末装置から受信する受信ステップと、
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報を用いて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続を確立する確立ステップと、
第1のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記接続設定状態での動作を停止させるための所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止が行われないようにするための制御を実行する第2制御ステップと、
前記第1のトリガーと異なる第2のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記所定の操作が行われた場合に、前記所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止を実行する第3制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォン等の端末装置と通信する、プリンタ等の通信装置が知られている。このような通信装置は、例えば、WiFi(登録商標)等の所定の通信方式によって端末装置と通信するための接続設定処理を実行する。またその際、通信装置は、接続設定処理を実行するための状態である接続設定状態(接続設定モード)で動作する。
【0003】
特許文献1には、ソフトAPモードで動作する通信装置が、装置情報設定コマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて動作モードを設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-023440
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、接続設定状態での動作を停止するための停止操作をユーザが意図せず実行してしまうことがある。そのため、ユーザが意図せず実行してしまった停止操作に基づいて接続設定状態での動作が停止されてしまうことがあるという課題がある。
【0006】
そこで本発明は、ユーザが意図せず実行してしまった停止操作に基づいて接続設定状態での動作が停止されてしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記目的を達成するために本発明の通信装置は、
外部装置と接続するための接続情報を端末装置から受信するための接続設定状態での動作を前記通信装置に開始させる第1制御手段と、
前記通信装置が前記接続設定状態で動作している状態において、前記接続情報を前記端末装置から受信する受信手段と、
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報を用いて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続を確立する確立手段と、
第1のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記接続設定状態での動作を停止させるための所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止が行われないようにするための制御を実行する第2制御手段と、
前記第1のトリガーと異なる第2のトリガーに基づいて開始された前記接続設定状態での動作が前記通信装置において行われている状態においては、前記所定の操作が行われた場合に、前記所定の操作に基づく前記接続設定状態での動作の停止を実行する第3制御手段と、
を有することを特徴とする
【0008】
また、本発明の通信装置は、外部装置と接続するための接続情報を端末装置から受信するための接続設定状態での動作を前記通信装置に開始させる第1制御手段と、
前記通信装置が前記接続設定状態で動作している状態において、前記接続情報を前記端末装置から受信する受信手段と、
前記接続情報が前記端末装置から受信された場合、前記接続情報を用いて、前記外部装置と前記通信装置との間の接続を確立する確立手段と、
前記接続情報が前記端末装置から受信されたことに基づいて、前記接続設定状態での動作を前記通信装置に停止させる第2制御手段と、
前記通信装置が実行している処理を停止させるための停止ボタンが押下されたことに基づいて、前記通信装置が実行している処理を停止させる停止手段と、
を有し、
前記停止ボタンが押下されたとしても、前記接続設定状態での動作を前記通信装置が停止しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
ユーザが意図せず実行してしまった停止操作に基づいて接続設定状態での動作が停止されてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムの概略図である
図2】通信システムに含まれる各装置のハードウェア構成図である
図3】通信装置が実行する初期設定処理を示すフローチャートである。
図4】通信装置が実行する接続設定処理を示すフローチャートである。
図5】通信装置が表示する画面の例である。
図6】通信装置が表示する画面の例である。
図7】通信装置が表示する画面の例である。
図8】通信装置が表示する画面の例である。
図9】端末装置が実行する接続設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に説明する。ただし、本発明については、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に記載する実施形態に対して適宜変更、改良が加えられたものについても本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0012】
本実施形態に係る通信装置について説明する。通信装置として、本実施形態ではプリンタ(印刷装置)を例示しているが、これに限定されず、後述の端末装置と接続を行うことが可能な装置であれば、種々のものを適用可能である。例えば、プリンタであれば、インクジェットプリンタ、フルカラーレーザービームプリンタ、モノクロプリンタ等に適用することができる。またプリンタのみならず複写機やファクシミリ装置、携帯端末、スマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、スマートスピーカ等に適用可能である。なお、スマートスピーカとは、ユーザが発する音声に従って、同一のネットワークに存在する機器に対して処理を指示したり、ユーザが発する音声に対応して、ネットワークを介して取得した情報をユーザに通知したりするための装置である。その他、複写機能、FAX機能、印刷機能を備える複合機にも適用可能である。また、端末装置として、本実施形態ではPCを例示しているが、これに限定されず、携帯端末、スマートフォン、タブレット端末、PDA、デジタルカメラ等、種々のものを適用可能である。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における通信システムの概略図である。
【0014】
本実施形態の通信システムは、プリンタ101とホスト端末102、アクセスポイント(以下、AP)103を含む。プリンタ101は、本実施形態の通信装置である。ホスト端末102は、本実施形態の端末装置である。AP103は、端末装置及び通信装置外部に存在する外部アクセスポイントであり、例えば無線LAN(Local Area Network)ルータである。端末装置は、外部アクセスポイントを介して通信することで、当該外部アクセスポイントと接続している通信装置や、インターネットと通信することができる。
【0015】
本実施形態において、プリンタ101は、ホスト端末102と、AP103を介さずピアツーピアで直接接続するダイレクト接続方式によって無線接続することが可能である。また、プリンタ101は、ホスト端末102と、AP103を介して接続するインフラストラクチャー接続方式によっても無線接続することが可能である。なお、各接続方式において利用される通信規格は特に限定されない。IEEE802.11シリーズの通信規格に基づく無線LAN104が用いられても良い。その他には例えば、USB(Universal Serial Bus)105、有線LAN106、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)107等が用いられても良い。
【0016】
図2はプリンタ101とホスト端末102とAP103のハードウェア構成図である。
【0017】
プリンタ101は、CPU201、ROM202、RAM203、操作部204、表示部205、通信部206を備えている。CPU201、ROM202、RAM203等によって、プリンタ101のコンピュータが形成される。
【0018】
CPU201は、システム制御部であり、プリンタ101の全体を制御する。
【0019】
ROM202は、CPU201が実行する制御プログラムやデータテーブル、組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラム等の固定データを格納する。本発明では、ROM202に格納されている各制御プログラムは、ROM202に格納されている組み込みOSプログラムの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウェア実行制御等を行う。
【0020】
RAM203は、バックアップ電源を必要とするSRAM(Static Random Access Memory)等で構成され、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されている。RAM203は、プログラム制御変数等を格納する。また、RAM203には、無線LAN設定などユーザが登録した設定値やプリンタ101の管理データ、電源投入後の最初のプリンタ101の設定時(以下、初期設定時)か否かを示す情報等を格納するメモリエリアも設けられている。なお、初期設定時とは言い換えれば、プリンタ101が後述の初期設定時クリーニング処理を一度も実行していない初期設定状態である時である。
【0021】
操作部204は、数値入力ボタン、モード設定ボタン、決定ボタン、取り消しボタン、キャンセルボタン(停止ボタン)、ホームボタン等のキーやボタンなどから構成される、ユーザから操作を受け付けるための構成である。操作部204に含まれる各種キーやボタンは、物理キーや物理ボタンであっても良いし、ソフトウェアによって表示されるソフトキーやソフトボタンであっても良い。なおキャンセルボタンとは、プリンタ101が実行している処理をキャンセル(停止)するためのボタンである。例えばプリンタ101が印刷を実行している状態でキャンセルボタンが押下された場合、印刷がキャンセルされる。また、表示部205は、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶ディスプレイ)などから構成される、ユーザに情報を提示するための構成である。本実施形態では、情報を提示するための表示部はLEDによるセグメントディスプレイで構成されており、ユーザからの操作を受け付けるキーは物理ボタンで構成されているものとする。プリンタ101は、操作部204を介してユーザによって操作されることで、プリンタ101の各種機能の起動や各種設定を行うことができる。なお、表示部205は、LEDやLCDで構成される表示部がない構成としても良い。また、LEDで構成される表示部はあるが、LCDで構成される表示部がない構成としても良い。その場合例えば、プリンタ101は、LEDを点滅させる等して各種通知を行う。また、タッチパネル等で構成される操作表示部を用いることで、操作部204と表示部205とが一体となった構成が用いられても良い。
【0022】
本実施形態において表示部205は、各種画面を表示する。具体的には例えば、表示部205は、ホーム画面や各種通知画面を表示する。ホーム画面とは、プリンタ101が、初期設定時でない状態における起動(通常起動)をしたことに応じて、表示部205に表示される画面である。また、ホーム画面とは、操作部204におけるホームボタンが押下されたことに応じて、表示部205に表示される画面である。また、ホーム画面とは、後述の初期設定処理が完了した後に表示される画面である。ユーザは、ホーム画面に含まれるキーやボタン等の各種アイコンを選択することで、プリンタ101に対して各種処理を指示することができる。例えば、ユーザは、プリンタ101に対して印刷やコピー、スキャンを指示することができる。また、ユーザは、ユーザが選択するインターフェイスをプリンタ101に使用させるための設定処理を指示することができる。
【0023】
記録部212は、レーザービームプリンタやインクジェットプリンタ等からなる記録部であり、記録制御部112で生成したカラー画像データ、またはモノクロ画像データに基づき、記録媒体上に記録剤を付加することによって画像を印刷する。なお、使用される記録媒体は紙に限定されず、フィルム等の種々の媒体が利用されて良い。また、使用される記録媒体のサイズや形状も特に限定されない。また、使用される記録剤は、インク、トナー等である。
【0024】
なお、本実施形態では、プリンタ101は、インクジェットプリンタであるものとし、記録部212は、記録媒体上にインクを吐出するための記録ヘッド及び、記録ヘッドに供給されるインクを保持するインクタンクを含むものとする。また、記録部212は、記録ヘッドとインクタンクとが一体型に形成されているインクカートリッジを用いる形態であるものとし、記録部212は、インクカートリッジが着脱され、印刷時に記録媒体上を走査するキャリッジを含むものとする。プリンタ101は、キャリッジにインクカートリッジが取り付けられているか否かを、不図示のカートリッジセンサ(検知部)によって検知することができる。なお、記録ヘッドとインクタンクとが別体として形成されており、記録ヘッドとインクタンクとが、記録部212内のそれぞれ異なる取り付け部に取り付けられる形態であっても良い。
【0025】
なお、プリンタ101には、プリンタ101の開口部を覆うカバーが備えられている。カバーは、プリンタ101の開口部を開放する開放位置と、プリンタ101の開口部を覆う閉じ位置との間で回動ないし移動可能である。カバーが開放位置に位置することで、ユーザは、プリンタ101の開口部からプリンタ101の内部を視認して、インクカートリッジを記録部212に取り付けることができる。プリンタ101は、カバーが閉じ位置に位置するか否かを検知するための不図示のカバーセンサを有している。そしてプリンタ101は、カバーセンサによりカバーが閉じ位置から移動したことを検知した場合、キャリッジを待機位置から開口部の位置(カートリッジ取り付け位置)まで移動させる。そして、ユーザは、キャリッジにインクカートリッジを取り付ける。その後プリンタ101は、センサによりカバーが閉じ位置に戻ったことを検知した場合、キャリッジをカートリッジ取り付け位置から待機位置まで移動させる。
【0026】
通信部206は、他の装置と通信するための構成である。
【0027】
USB制御部207は、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスの接続制御を行うものであり、USB接続規格で定められたプロトコルで接続を行う為の制御部を行う。USB接続規格は、双方向のデータ接続を高速に行うことが出来る規格であり、該規格を利用することで、1台のホスト(マスター)に対し、複数台のハブまたはファンクション(スレーブ)を接続することが出来る。具体的には、USB制御部207は、CPU201が実行するUSBファンクション制御タスクからのデータをパケットに変換し、ホスト端末102にUSBパケット送信を行う。さらに、USB制御部207は、外部のPCからのUSBパケットをデータに変換してCPU201に対し送信を行う。
【0028】
無線LANユニット208は、無線接続によってネットワーク(TCP/IPに従った接続が可能なネットワーク)端末と接続及び通信する。無線LANユニット208は、AP103やホスト端末102と無線接続を行うためのユニットである。無線LANユニット208は、例えばIEEE802.11シリーズに準拠したWireless LAN(以後、WLANという。)システムにおけるデータ(パケット)接続が可能である。すなわち、無線LANユニット208は、例えばWi-Fi(登録商標)によって、他の装置と接続及び通信が可能である。
【0029】
有線LANユニット210は、有線LANケーブルを用いてイーサネット(登録商標)(Ethernet)による通信を行うための構成である。
【0030】
BLEユニット211は、Bluetooth Low Energyを用いて他の装置と接続及び通信が可能である。
【0031】
プリンタ101は、通信モードを設定することによって、該通信モードに応じた接続形態によって無線LANユニット208を介して通信可能に動作する。すなわち、本実施形態では、プリンタ101は、設定された通信モードに応じた接続形態による通信を、WLANによって実行するものとする。通信モードを設定する処理である接続設定処理の詳細については後述する。
【0032】
ホスト端末102は、CPU221、ROM222、RAM223、通信部224、操作部225、表示部226を備えている。ホスト端末102の各構成は、上述したプリンタ101の各構成と同様であるため説明を省略する。ホスト端末102は、通信部224によって、プリンタ101およびAP103と、無線LAN104、USB105、有線LAN106、BLE107等の通信規格で接続することができる。
【0033】
AP103は、CPU231、ROM232、RAM233、通信部234を備えている。AP103の各構成は、上述したプリンタ101の各構成と同様であるため説明を省略する。AP103は、通信部234によって、プリンタ101およびホスト端末102と無線LAN104、USB105、有線LAN106、BLE107等の通信規格で接続することができる。
【0034】
<Wi-Fi通信(ダイレクト接続モード)について>
Wi-Fiにおける通信においてPeer To Peer(P2P)方式の接続形態による接続であるダイレクト接続を確立するために、本実施形態のプリンタ101は、ダイレクト接続モードで動作する。上述したように、ダイレクト接続とは、AP103等の外部装置を介さずに装置同士が直接無線接続する形態を指す。ダイレクト接続モードには、ソフトウェアAPモードやWi-Fi Direct(WFD)モードが含まれる。ダイレクト接続モードで動作中のプリンタ101は、プリンタ101が属するネットワーク内で、親局として動作する。なお本実施形態において親局とは、無線ネットワークを構築する装置であり、無線ネットワークへの接続に用いられるパラメータを子局に対して提供する装置である。無線ネットワークへの接続に用いられるパラメータとは例えば、親局が利用する通信チャネルに関するパラメータである。子局は、当該パラメータを受信することで、親局が利用している通信チャネルを用いて、親局が構築している無線ネットワークに接続する。
【0035】
なお、WFDは、WiFi Allianceによって策定された規格である。WFD対応機器であるホスト端末102及びプリンタ101は、WFDにより、他のAPを介さずに相互に直接、無線接続することが可能となる。WFD対応機器であり且つAP(親局)の役割を果たす装置を特に、Group Ownerという。そして、WFDによって、ダイレクト接続を実行するモードを、WFDモードという。
【0036】
また、プリンタ101は、APとして動作するためのソフトウェアAP(以下、ソフトAP)機能を有している。プリンタ101が、プリンタ101内部のソフトAPであるAP209を有効化(起動)し、ホスト端末102がAP209と、WFDではなく通常のWi-Fiによって接続する。このように接続することで、ホスト端末102及びプリンタ101は、他のAPを介さずに相互に直接、無線接続することが可能となる。プリンタ101内部のソフトAPを有効化して動作することによって、ダイレクト接続を実行するモードを、ソフトウェアAPモードという。なお、プリンタ101は、ソフトウェアAPモードが停止すると、プリンタ101内部のソフトAPを無効化し、ソフトAPを用いた他の装置とのダイレクト接続ができない状態となる。
【0037】
ダイレクト接続モードにおいては、プリンタ101が親局として動作するため、ダイレクト接続モードにおける通信にいずれの通信チャネルを用いるのかを、プリンタ101が決定することが可能である。プリンタ101は例えば、インフラ接続モードとダイレクト接続モードとで並行して動作する場合は、インフラ接続モードにおける通信に利用している通信チャネルを、ダイレクト接続モードにおける通信にも利用するように制御する。また、プリンタ101は例えば、ダイレクト接続モードにおける通信に利用するチャネルとして、AP103との接続に利用する通信チャネルを、その他のチャネルより優先的に選択しても良い。
【0038】
また、ダイレクト接続モードのプリンタ101と接続するための接続情報(SSIDやパスワード)は、プリンタ101が有する操作部に対するユーザ操作等によって、任意に変更されて良い。
【0039】
<Wi-Fi通信(インフラ接続モード)について>
Wi-Fiにおける通信においてインフラストラクチャー方式の接続形態による接続(インフラ接続)を確立するために、本実施形態のプリンタ101は、インフラ接続モードで動作するものとする。なお、本実施形態では、インフラ接続とは、AP103等のネットワークを統括する外部装置が親局として動作し、当該親局を介して装置同士が無線接続する形態を指す。インフラ接続モードで動作中のプリンタ101は、プリンタ101が属するネットワーク内で、子機として動作する。
【0040】
インフラ接続モードにより、AP103を介してプリンタ101とホスト端末102とが接続することとなり、プリンタ101とホスト端末102との間で、AP103を介した通信が可能となる。なお、ここでのインフラ接続モードにおける通信に利用されるチャネルは、2.4Ghz以外の周波数帯域(5.0Ghz帯域等)であっても良い。
【0041】
なお、ホスト端末102は、プリンタ101とAP103を介して通信するためには、AP103によって形成され、ホスト端末102が属するネットワーク上に、プリンタ101が属していることを認識する必要がある。具体的には、ホスト端末102は、ホスト端末102が属するネットワーク上に、AP103を介して検索信号を送信し、プリンタ101と疎通確認をする。
【0042】
本実施形態では、単にホスト端末102とプリンタ101とが同一のAPに接続している状態を、インフラ接続状態とみなす。すなわち、インフラ接続状態において、ホスト端末102やプリンタ101は、同一のAPに接続していればよく、自身が属するネットワーク上に、相手装置が属していることを認識していなくても良い。
【0043】
なお本実施形態では、プリンタ101は、ダイレクト接続とインフラ接続とを並行して確立することが可能である。言い換えればプリンタ101は、自身が子機となるWi-Fi接続と、自身が親機となるWi-Fi接続とを並行して確立することが可能である。このように上述の2つの接続を並行して確立した状態で動作することを、同時動作という。同時動作を実行する場合、プリンタ101は、インフラ接続に用いる周波数帯や通信チャネルと、ダイレクト接続に用いる周波数帯や通信チャネルとを一致させる。しかしながら本実施形態においては、プリンタ101は、インフラ接続に5GHzの周波数帯を用いている場合、ダイレクト接続モードとして動作せず、同時動作を実行しない。これは、5GHzの周波数帯が用いられる場合、DFS(Dynamic Frequency Selection)等により、利用される通信チャネルが変更される可能性があるためである。
【0044】
<接続設定処理について>
本実施形態においてホスト端末102は、インフラ接続モードとダイレクト接続モードのうち少なくとも1つの通信モードでプリンタ101を動作させるための設定(接続設定)を、プリンタ101との無線通信を用いて実行する。本実施形態における接続設定処理は、無線通信によって実行されるため、ケーブルレスセットアップ(CLS)とも呼ばれる。なお、接続設定処理は、有線通信によって実行されても良い。
【0045】
プリンタ101は、接続設定処理を実行するためのモードである接続設定モード(接続設定状態)で動作している状態で、接続設定処理を実行する。接続設定モードの詳細は後述する。
【0046】
ホスト端末102は、ROM222や不図示の外部記憶装置等に格納されている所定のプログラムが起動されているときに、接続設定処理を行う。所定のプログラムとは、プリンタ101の接続先のAPの設定を行ったり、プリンタ101にホスト端末102内の画像データや文書データ等を印刷させるためのアプリケーションプログラムであり、以後セットアップ用プログラムという。なお、セットアップ用プログラムは、プリンタ101の接続先のAPを設定する機能や印刷機能以外に、他の機能を備えていても良い。例えば、セットアップ用プログラムは、プリンタ101がスキャン機能を備えている場合に、プリンタ101にセットされた原稿をスキャンさせる機能や、プリンタ101の他の設定を行う機能、プリンタ101の状態を確認する機能等を備えていても良い。
【0047】
ホスト端末102は、AP103とプリンタ101とを接続させ、インフラ接続モードとしてプリンタ101を動作させる場合、インフラ接続モードとしてプリンタ101を動作させるためのインフラ設定情報をプリンタ101に無線送信する。インフラ設定情報には、例えば、AP103に関する情報が含まれる。そして、AP103に関する情報は、例えば、AP103のSSID(Service Set Identifier)や、AP103と接続するためのパスワード、AP103が利用する周波数帯に関する情報等である。
【0048】
一方、ホスト端末102は、ダイレクト接続モードとしてプリンタ101を動作させる場合、ダイレクト接続モードとしてプリンタ101を動作させるためのダイレクト設定情報を、プリンタ101に無線送信する。ダイレクト設定情報には、WFD機能を有効化させGroup Ownerとして動作させたり、プリンタ101内部のAPを有効化させたりするための指示が含まれる。また、ホスト端末102は、プリンタ101から、プリンタ101とダイレクト接続するための接続情報を取得する。プリンタ101とダイレクト接続するための接続情報には、例えば、プリンタ101のSSIDや、プリンタ101と接続するためのパスワード等が含まれる。
【0049】
本実施形態では、接続設定処理における、インフラ設定情報やダイレクト設定情報の送信及び、プリンタ101とダイレクト接続するための情報の取得には、ホスト端末102とプリンタ101との間の接続設定用のダイレクト接続が用いられる。そして、本実施形態では、接続設定用のダイレクト接続として、Wi-Fiによる接続と、BLEによる接続の2つがあるものとする。すなわち本実施形態では、ホスト端末102は、Wi-Fiを用いた接続設定処理と、BLEを用いた接続設定処理とを実行可能であるものとする。
【0050】
なお、接続設定用のダイレクト接続として、例えば、Classic Bluetooth等、Wi-FiやBLE以外の無線通信規格が用いられても良いし、有線LANやUSB等の有線通信規格が用いられても良い。
【0051】
接続設定処理によって、ホスト端末102とプリンタ101との間に、Wi-Fiによるインフラ接続又はダイレクト接続が確立した後は、確立した接続を介して、ホスト端末102とプリンタ101との間で通信が可能となる。具体的には、例えば、ホスト端末102は、確立した接続を介して、プリンタ101に印刷を実行させるための印刷ジョブや、プリンタ101にスキャンを実行させるためのスキャンジョブをプリンタ101に送信することができる。
【0052】
<接続設定モードについて>
上述したように、プリンタ101は、接続設定モードで動作可能である。プリンタ101が接続設定モードでの動作を開始するためのトリガーは、例えば、接続設定モード用ボタンをユーザが押下することであっても良いし、プリンタ101が、着荷後初めて起動(電源ON)することであっても良い。接続設定モード用ボタンは、プリンタ101が備えるハードボタンであっても良いし、プリンタ101が表示部205に表示するソフトボタンであっても良い。
【0053】
プリンタ101は、接続設定モードでの動作を開始すると、Wi-Fi通信及び、BLE通信の両方を有効化する。具体的には、プリンタ101は、Wi-Fi通信の有効化処理として、接続設定モード専用の、プリンタ101の内部のAP209(接続設定用AP)を有効化する。これにより、プリンタ101は、ホスト端末102とWi-Fiによるダイレクト接続を確立可能な状態になる。接続設定用APと接続するための接続情報(SSIDやパスワード)は、ホスト端末102にインストールされたセットアップ用プログラムに予め保持されており、ホスト端末102は、接続設定用APと接続するための接続情報を予め認識しているものとする。そのため、ダイレクト接続モードにおいて有効化されるAPの接続情報と異なり、接続設定用APと接続するための接続情報は、ユーザによって任意に変更できないものとする。なお、接続設定モードにおいて、プリンタ101は、通常のWi-Fiでなく、WFDによってホスト端末102と接続しても良い。すなわち、プリンタ101は、Group Ownerして動作し、WFDによる通信によってホスト端末102から設定情報を受信しても良い。
【0054】
また、プリンタ101は、BLE通信の有効化処理として、アドバタイズ情報の送信を開始する。これにより、プリンタ101は、ホスト端末102とBLEによる接続を確立可能な状態になる。なお、本実施形態では、プリンタ101は、BLE通信が有効化されてから所定の期間において、BLEによるペアリング要求を受信可能な状態となる。そして、プリンタ101は、当該所定の期間において、BLEによるペアリング要求を受信すると、ペアリング要求の送信元の装置とペアリングを行い、BLE接続を確立する。プリンタ101は、当該所定の期間において、BLEによるペアリング要求が受信されなかった場合は、BLE通信を無効化しても良い。
【0055】
プリンタ101は、接続設定モードによって、Wi-Fi通信及び、BLE通信の両方を有効化すると、それらの通信を介して設定情報を受信し、受信した設定情報に応じた処理を実行する。
【0056】
<初期設定時に実行される処理>
図3は、本実施形態におけるプリンタ101が実行する初期設定処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、CPU201が、ROM202や外部記憶装置(不図示)に格納されているフローチャートに関する制御プログラムをRAM203にロードし、その制御プログラムを実行することにより実現されるものとする。なお、本フローチャートは、プリンタ101が電源オフ状態で開始されるものとする。
【0057】
まず、S301にて、CPU201は、プリンタ101が備える電源ボタンが押下された(電源オン操作が実行された)ことを検知した場合、プリンタ101を電源オフ状態から電源オン状態に移行させる。
【0058】
次に、S302において、CPU201は、RAM203に保存されている初期設定時か否かを示す情報を参照して、初期設定時か否かを判定する。具体的には、ユーザがプリンタ101を着荷後に初めて起動した場合、RAM203において初期設定時フラグがONとなっている。一方、着荷後の2回目以降のプリンタ101の起動処理では、RAM203において初期設定時フラグがOFFとなっている。CPU201は、初期設定時フラグのONとOFFを参照することによりS302の判定が実現される。なおこの判定は、例えば、プリンタ101が過去に着荷時シーケンスを実行したか否かを判定しても良い。
【0059】
CPU201は、初期設定時でない場合、接続設定処理を実行することなく、S312に進む。プリンタ101の接続環境が変化した等の場合を除いて、通常、初期設定時でない場合に通信モードの設定が再度行われる必要はない。そのため、このような形態とすることで、プリンタ101がソフトオン状態に移行する度に通信モードを設定する処理を行うことを避けることができる。なお、このとき、ユーザに通信モードを設定する処理を行うか否かを問うUI等を表し、ユーザの返答に応じて、通信モードを設定する処理を行う構成としても良い。
【0060】
一方、CPU201は、初期設定時である場合、S303において、初期設定時か否かを示す情報を変更し、次回以降にプリンタ101がソフトオン状態に移行した時が初期設定時でないことを示せるようにする。具体的には、CPU201は、初期設定時フラグの内容を変更する。なお、本実施形態では初期設定時フラグのON、OFFを用いてS302の処理を実行するがフラグ以外の情報を用いても良い。その場合例えば、着荷時からRAM203に初期設定時であることを示す情報を保存されているものとする。そして、S302では、初期設定時であることを示す情報がRAM203に保存されるか否かが判定され、その後の処理で初期設定時であることを示す情報が削除される。また、S303における処理は、初期設定時か否かの判定後であればいつ行われても良い。
【0061】
S304では、CPU201は、接続設定処理を開始する。本処理により開始される接続設定処理の詳細は図4を用いて後述する。なお以下の処理は、本処理により開始される接続設定処理と並行して実行される。
【0062】
S305にて、CPU201は、検知部による検知結果に基づいて、記録部212にインクカートリッジが取り付けられているか否かを判定する。なお、記録ヘッドとインクタンクとが別体として形成されている形態であれば、少なくとも記録ヘッドが記録部212に取り付けられているか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S306に進み、NO判定であれば、S307に進む。
【0063】
一方、S305にてNO判定が行われた場合は、プリンタ101が電源オン状態に移行する前には(すなわち、プリンタ101が電源オフ状態で)、記録部212にインクカートリッジが取り付けられていないことになる。
【0064】
そこで、S307にてCPU201は、表示部205のLED(発光ダイオード)を点滅させたり、表示部205のLCDに特定の画面を表示させたりすることにより、ユーザに対して記録部212に関する通知を行う。具体的には、CPU201は、プリンタ101がインクカートリッジの取り付け待ちの状態であることを通知したり、インクカートリッジの取り付け方法を通知したりする。なお、通知の方法は特に限定されず、例えばCPU201は、不図示のスピーカを用い音声によって通知を実行しても良い。
【0065】
その後、CPU201は、S308にて、検知部による検知結果に基づいて、記録部212にインクカートリッジが取り付けられたか否かを判定する。なお、記録ヘッドとインクタンクとが別体として形成されている形態であれば、記録ヘッドとインクタンクの両方が記録部212に取り付けられたか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S309に進み、NO判定であれば、S308の処理を再度実行する。なお、S308の判定にタイムアウトはなく、YES判定となったり、プリンタ101が電源オフ状態に移行したりするまで、S308の判定は繰り返される。また、CPU201は、S308の判定がYES判定となるまで、S307における通知を継続して実行していても良い。
【0066】
CPU201は、S306及びS309では、初期設定時クリーニング処理を開始する。具体的にはまず、CPU201は、廃インク吸収帯や、記録ヘッドの吐出口をキャッピングするキャッピング機構等のクリーニング部材が設置されている位置へ、キャリッジを移動させる。その後、CPU201は、キャッピング機構によって記録ヘッドの吐出口をキャッピングし、キャッピング機構に接続されているポンプを作動させる。これにより、CPU201は、キャッピング機構内部に負圧を発生させて吐出口から増粘インクや気泡等の異物を吸引排出することにより、吐出口内のインクをリフレッシュさせる。また、CPU201は記録ヘッドの吐出口面に付着したインク等の異物をワイパーによってワイピング(拭き取り清掃)する。なお、クリーニング処理は、例えば印刷開始前や、前回の印刷から所定の時間が経過した時、異常終了後のソフトオン時等、初期設定時以外のタイミングでも実行される。このような通常のクリーニング処理と初期設定時クリーニング処理とが異なっていても良い。具体的には、初期設定時には、ヘッドからノズル、またはインクタンクからヘッドまでの流路に対してインクを充填させることを目的として、通常のクリーニング動作よりも負圧吸引力を強くしたり、吸引量を多くしたり、吸引回数を多くしたりしても良い。あるいは、記録ヘッド内のインクを加熱して粘度を低下させても良い。
【0067】
なお、CPU201は、初期設定時クリーニング処理を実行する際に、記録部212において生じているエラーを検出する。このとき検出されるエラーは、例えば、ヘッド不完全装着エラーやキャリッジ位置エラーである。
【0068】
ヘッド不完全装着エラーは、インクカートリッジ(記録ヘッド)が、キャリッジに不完全な形で取り付けられているエラーである。例えば、インクカートリッジがキャリッジに不完全な形で取り付けられていると、キャリッジの駆動経路にインクカートリッジがはみ出すことがある。この場合、キャリッジの移動時にインクカートリッジがプリンタ101内部の所定の構成にぶつかり、キャリッジが当該構成の位置でストップしてしまう。CPU201は、例えば、キャリッジの移動量を検知し、検知した移動量が、カートリッジ取り付け位置から当該構成の位置までの移動量に相当すれば、ヘッド不完全装着エラーが発生していることを検知する。また、例えば、インクカートリッジがキャリッジに不完全な形で取り付けられていると、キャリッジの移動中やクリーニング処理中にインクカートリッジがキャリッジから外れることがある。CPU201は、例えば、カートリッジセンサによってインクカートリッジがキャリッジに取り付けられているかを検知する。そして、CPU201は、キャリッジの移動中やクリーニング処理中に、インクカートリッジがキャリッジに取り付けられていないことがカートリッジセンサによって検知されたら、ヘッド不完全装着エラーが発生していることを検知する。なお、ヘッド不完全装着エラーは、ユーザが再びカバーを開けてインクカートリッジを正しく取り付け直すことで解消されるため、ヘッド不完全装着エラーの解消のためにプリンタ101が電源オフ状態に移行する必要はない。
【0069】
キャリッジ位置エラーは、キャリッジの駆動経路に異物があるエラーである。例えば、キャリッジの駆動経路に異物があると、異物がキャリッジの移動を阻害するため、キャリッジの移動量が小さくなる。そのため、CPU201は、例えば、キャリッジの実際の移動量とキャリッジを駆動させるのに要した力(駆動力)を検知し、駆動力に対して実際の移動量が小さければ、キャリッジ位置エラーが発生していることを検知する。キャリッジ位置エラーは、プリンタ101が電源オフ状態に移行し、異物が取り除かれることで解消される。
【0070】
CPU201は、エラーを検知すると、検知したエラーを通知するためのエラー通知処理を実行する。具体的には例えば、表示部205に、検知したエラーを通知するための画面を表示する。なお、エラーを検知した際に、S304で接続設定処理が開始されたことによりプリンタ101がホスト端末102と接続している時は、CPU201は、検知したエラーをホスト端末102が備える表示部に表示させるための情報をホスト端末102に送信する。なお、CPU201は、プリンタ101が接続しているホスト端末102から問い合わせがあった場合に、エラー通知処理を実行する形態であっても良い。
【0071】
続いて、CPU201は、S310にて、初期設定時に必要な処理が完了したか否かを判定する。初期設定時に必要な処理が完了していない場合、CPU201は、該処理が終わるまでS310を繰り返し、初期設定時に必要な処理が完了している場合、S311に進む。なお、本実施形態においては初期設定時に必要な処理が、初期設定時クリーニング処理であるものとして記載しているが、この形態に限定されない。例えば、初期設定時に必要な処理にレジ調整が含まれていても良い。
【0072】
続いて、CPU201は、S311にて、表示部205のLED(発光ダイオード)を点滅させたり、表示部205のLCDに特定の画面を表示させたりすることにより、ユーザに対して初期設定処理が完了したことを示す通知を行う。具体的には例えば、CPU201は、ユーザに対して初期設定処理が完了したことを示す画面(例えば、図8に示す画面801)を、表示部205のLCDに表示する。なお、通知の方法は特に限定されず、例えばCPU201は、不図示のスピーカを用い音声によって通知を実行しても良い。
【0073】
続いて、CPU201は、S312にて、ホーム画面(例えば、図5の画面501)を表示部205に表示する。ホーム画面には、例えば、コピー処理の実行指示を受け付けるための領域501a、スキャン処理の実行指示を受け付けるための領域501b、印刷処理の実行指示を受け付けるための領域501cが含まれうる。またホーム画面には、例えば、接続設定モードへの移行指示を受け付けるための領域501dが含まれうる。その後CPU201は、初期設定処理を終了する。なお今後CPU201は、ホーム画面に対するユーザ操作を受け付けて、各種処理を実行可能である。
【0074】
上述したように本実施形態では、接続設定処理が実行される。なお接続設定処理には、初期設定時に開始される処理と初期設定終了後に開始される処理とが含まれる。初期設定時に開始される接続設定処理とはすなわち、図3におけるS304が実行されることで開始される処理である。初期設定終了後に開始される処理とは、初期設定終了後にプリンタ101に対する操作が実行されることで開始される処理である。プリンタ101に対する操作とは具体的には例えば、領域501dの押下や、ホーム画面の領域501a~d以外の領域への操作後に表示される設定画面の特定の領域に対する操作である。
【0075】
ところで、上述したように初期設定処理においては、プリンタ101の初期設定を行うためにユーザは各種操作を連続して実行する。このときユーザは、各種操作を連続して行っている最中に、プリンタ101の接続設定モードをキャンセルするための操作を、意図せずに行ってしまうことがある。結果として、初期設定時に開始される接続設定処理が、ユーザが意図せず中断・停止されてしまうことがあるという課題がある。またその場合、ユーザは、ホスト端末102を操作して接続設定処理を実行しようとしても、プリンタ101が接続設定モードで動作していないために、接続設定処理を実行できないという課題がある。あるいは、プリンタ101を再度接続設定モードで動作させるための手間がかかるという課題がある。
【0076】
そこで本実施形態では、当該課題を解決するための形態について説明する。
【0077】
図4は、プリンタ101が実行する接続設定処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、CPU201が、ROM202や外部記憶装置(不図示)に格納されているフローチャートに関する制御プログラムをRAM203にロードし、その制御プログラムを実行することにより実現されるものとする。本フローチャートが示す処理は例えば、図3におけるS304が実行されることで開始される処理である。また本フローチャートが示す処理は例えば、領域501dの押下が行われた時に開始される処理である。
【0078】
まず、S401にて、CPU201は、現在実行している接続設定処理が、初期設定時に開始される処理か否か(初期設定後に開始される処理か)を判定する。具体的にはCPU201は、本フローチャートの開始のトリガーとなった処理が、S304の処理であるか領域501dの押下であるかを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S402に進み、NO判定であれば、S414に進む。
【0079】
S402にて、CPU201は、プリンタ101が有線LANを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S403に進み、NO判定であれば、S404に進む。
【0080】
S403にて、CPU201は、プリンタ101の有線LAN機能を有効にして、プリンタ101が有線LANを介して接続している装置と通信可能な状態に移行する。なお本実施形態では、有線LAN機能が有効な状態においては、無線LAN機能が無効化されるものとする。その後、CPU201は、処理を終了する。
【0081】
一方S404にて、CPU201は、プリンタ101がUSBを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、処理を終了し、NO判定であれば、S405に進む。
【0082】
このように本実施形態では、CPU201は、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続している場合は、プリンタ101を接続設定モードで動作させない。これは、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続している場合は、他の装置との通信方法として有線LANやUSBが特定されるため、新たに接続設定処理を実行する必要が無いためである。
【0083】
S405にて、CPU201は、プリンタ101を接続設定モードに移行させる。これにより、プリンタ101は、接続設定モード用のAP209を有効にする。すなわち、プリンタ101のSSIDなどを含むビーコンを定期的に送出する状態となるため、端末装置(ホスト端末102等)からのAPサーチに対し、該ビーコンに含まれる情報を提供可能な状態となる。この状態で、ホスト端末102から接続要求があると、装置間で接続パラメータの交換等が行われ、プリンタ101とホスト端末102が、AP209を介して接続する。なおこのとき、BLE機能を有効化して、アドバタイズ情報のブロードキャストを開始しても良い。なお本実施形態では、初期設定時における接続設定処理では、CPU201は、接続設定モードに移行したとしても、ユーザに対してプリンタ101が接続設定モードに移行したことを通知しない。具体的にはCPU201は、接続設定モードへの移行に基づいて、表示部205のLED(発光ダイオード)点滅をさせたり、LCDに特定の表示をしたりしない。またCPU201は、接続設定モードに移行したとしても、ホスト端末102との接続の準備が整ったことをユーザに通知するための接続待ち画面(例えば、図5の画面502)を表示しない。また上述したように、本実施形態では、本フローチャートの処理と、図3に示すフローチャートの処理が並行して実行されうる。そのため例えば、図3における初期設定処理が実行されている間にも、プリンタ101が接続設定モードで動作しうる。また、初期設定処理が完了し、ホーム画面が表示された後にも、プリンタ101が接続設定モードを維持したまま動作しうる。また例えば、ホーム画面が表示された後のユーザ操作(例えば、領域501aや領域501b、領域501cの押下)により、プリンタ101が印刷やスキャン、コピー等の各種動作を実行している間にも、プリンタ101が接続設定モードで動作しうる。
【0084】
S406にて、CPU201は、プリンタ101が有線LANを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。本処理は、S402と同様である。なお、このときプリンタ101は、接続設定モードで動作しており、無線LAN機能を有効化している状態である。例えば、無線LAN機能が有効化されている状態においては、有線LAN機能が無効化されてしまう形態であれば、本処理は省略されても良い。CPU201は、YES判定であれば、S407に進み、NO判定であれば、S409に進む。
【0085】
S407にて、CPU201は、プリンタ101の有線LAN機能を有効にして、プリンタ101が有線LANを介して接続している装置と通信可能な状態に移行する。本処理はS403と同様である。
【0086】
S408にて、CPU201は、プリンタ101における接続設定モードでの動作を停止させる。これによりプリンタ101は、接続設定モード用のAP209を無効にし、ビーコンの送信を停止する。またプリンタ101は、BLE機能を無効にし、アドバタイズ情報のブロードキャストを停止し、ペアリング処理の実行指示を新たに受け付けない状態になる。なおプリンタ101は既に他の装置とBLE接続を確立している場合は、接続設定モードでの動作を停止したとしても、当該BLE接続を維持しても良い。その後、CPU201は、処理を終了する。
【0087】
一方S409にて、CPU201は、プリンタ101がUSBを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。本処理は、S404と同様である。CPU201は、YES判定であれば、S408に進み、NO判定であれば、S410に進む。
【0088】
このように本実施形態では、CPU201は、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続している場合は、プリンタ101における接続設定モードでの動作を停止させる。プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続している場合とはすなわち、プリンタ101が接続設定モードに移行した後に、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続した場合である。これは、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続した場合は、他の装置との通信方法として有線LANやUSBが特定されるため、新たに接続設定処理を実行する必要が無いためである。
【0089】
S410にて、CPU201は、接続設定モードで動作しているプリンタ101と接続した装置(ここでは、ホスト端末102)から、設定情報を受信したか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S411に進み、NO判定であれば、S412に進む。
【0090】
S411にて、CPU201は、ホスト端末102から受信した設定情報に基づく処理を実行する。具体的にはまず、CPU201は、接続設定モードを解除(停止)する。これにより、接続設定モードと他のモード(インフラ接続モードやダイレクト接続モード)とが同時に動作しないように制御する。なお接続設定モードの解除により、ホスト端末102とプリンタ101との接続が一旦切断される。その後、CPU201は、受信した設定情報に基づく通信モードの設定を行う。具体的には、CPU201は、設定情報としてインフラ接続モードに対応する情報(AP情報等)を受信した場合、設定情報に対応するAPをインフラ接続モードで利用するAPとしてRAM203に登録し、当該APとの接続処理を実行する。また、APを利用するために暗号キーが必要な場合は、CPU201は、暗号キーの登録等を行う。そして、適切にAPの登録が終了したら、CPU201は、登録したAP経由での接続が可能なインフラ接続モードにプリンタ101を設定する。これにより、プリンタ101は、登録したAP経由でのホスト端末102との無線接続が可能な状態で動作する。またCPU201は、設定情報としてWFDモードやソフトAPモードに対応する情報を受信した場合は、WFDモードやソフトAPモードに対応するAPと接続するための接続情報を、ホスト端末102に、接続設定モードを解除する前に送信する。そして、CPU201は、接続設定モードを解除した後、WFDモードやソフトAPモードに対応するAPを有効化して、WFDモードやソフトAPモードで動作する。CPU201は、この状態で、設定情報の送信元のホスト端末102から、接続設定モードを解除する前に送信した接続情報を含む接続要求を受信した場合、プリンタ101とホスト端末102とをP2P方式で接続させる。これにより、プリンタ101は、ホスト端末102とP2Pによる無線接続が可能な状態で動作する。なお本実施形態では、初期設定時における接続設定処理では、設定情報に基づく処理が実行されたとしても、設定情報に基づく処理の実行に基づく各種通知は行われない。その後、CPU201は、図4に示す接続設定処理を終了する。
【0091】
一方S412にて、CPU201は、接続設定処理がタイムアウトしたか否か判定する。接続設定処理におけるタイムアウトとは、S405にてプリンタ101が接続設定モードに移行してから所定の時間以上、プリンタ101がプリンタ101の外部の装置と接続しない、または設定情報を受信しないことをいう。CPU201は、YES判定であれば、S413に進む。なお、このとき、CPU201は、タイムアウトした旨や、端末装置とのUSB接続を推奨する旨を表示部205に表示させてユーザに知らせても良い。CPU201は、NO判定であれば、S406に戻る。
【0092】
S413にて、CPU201は、プリンタ101における接続設定モードでの動作を停止させる。本処理はS408と同様である。その後、CPU201は、図4に示す接続設定処理を終了する。
【0093】
上述のようにして初期設定時における接続設定処理が実行される。なお本実施形態ではCPU201は、S405で動作が開始された接続設定モードをキャンセル(停止)するためのキャンセル操作をユーザから受け付けない。すなわち、CPU201は例えばS405で動作が開始された接続設定モードをキャンセルするための入力を受け付けるための画面を表示しない。またCPU201は例えば、プリンタ101が備えるキャンセルボタンが押下されたとしても接続設定モードをキャンセルしない。なお本実施形態では、キャンセル操作をユーザから受け付けない状態は、初期設定が完了した後も継続されるものとする。またキャンセル操作を受け付けない期間は限定されないが、初期設定が開始されてから初期設定が完了してホーム画面が表示されるまでの間は少なくとも、キャンセル操作を受け付けないものとする。本実施形態ではS405で動作が開始された接続設定モードは、タイムアウトした場合やプリンタ101の電源がオフされた場合、接続設定処理が完了した場合、有線LANやUSB等の有線通信規格によって他の装置と接続した場合に、停止・終了される。また本実施形態では、プリンタ101は、接続情報(パスワード等)の入力をユーザから直接受け付け、APとの接続処理を実行することも可能である。本実施形態では、S405で動作が開始された接続設定モードは、このようにしてユーザ入力に基づいてAPと接続した場合にも、停止・終了されることとなるものとする。
【0094】
S401にてNO判定だった場合(初期設定時でなかった場合)に実行されるS414では、CPU201は、接続設定モードの動作を開始することをユーザに通知するための開始画面を表示する。開始画面には例えば、接続設定モードの動作の開始指示をユーザから受け付けるためのボタンが含まれている。CPU201は、当該ボタンが押下された場合に、S415に進む。
【0095】
S415にて、CPU201は、プリンタ101が既に接続設定モードか否かを判定する。なお、初期設定時に開始された接続設定処理によりプリンタ101が接続設定モードで既に動作している状態で領域501dの押下が行われた場合等に、YES判定となる。CPU201は、YES判定であれば、S417進み、NO判定であれば、S416に進む。
【0096】
S416にて、CPU201は、プリンタ101に接続設定モードでの動作を開始させる。本処理は、S405と同様である。なお初期設定時と異なり、このときCPU201は、表示部205により、接続設定モードへの移行に基づく各種通知を行う。具体的にはCPU201は例えば、接続設定モードに移行している最中は、接続設定モードに移行していることを示す画面(例えば図6の画面601)を表示する。そしてCPU201は、移行が完了し、プリンタ101が接続設定モードで動作している状態では、プリンタ101が接続設定モードで動作しており、ホスト端末102との接続の準備が整ったことをユーザに通知するための接続待ち画面を表示する。接続待ち画面は、例えば、図6の画面602である。なお画面602には、接続設定モードをキャンセルするための領域602aが含まれている。すなわち、初期設定時と異なり、このときCPU201は、接続設定モードをキャンセルするためのキャンセル指示を受け付け可能である。なお、接続設定処理においてユーザが実行すべき操作は、プリンタ101に同梱されているマニュアルに記載されている。そのため画面602には、マニュアルにしたがって操作を進めることをユーザに通知するためのメッセージが表示されても良い。また上述では、接続設定モードへの移行に基づく通知としてLCDへの画面の表示を実行する形態としたが、例えば、接続設定モードへの移行に基づく通知としてLEDの点滅を実行しても良い。
【0097】
S417にて、CPU201は、プリンタ101が有線LANを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。本処理は、S402と同様である。CPU201は、YES判定であれば、S407に進み、NO判定であれば、S418に進む。
【0098】
S418にて、CPU201は、プリンタ101がUSBを介して他の装置と接続しているか否かを判定する。本処理は、S404と同様である。CPU201は、YES判定であれば、S408に進み、NO判定であれば、S419に進む。
【0099】
なおこのときプリンタ101は、初期設定時と異なり、接続設定モードへの移行がユーザによって明示的に指示されたことにより接続設定モードで動作している。すなわちこのとき、ユーザは、プリンタ101に無線接続を確立させる意図がある可能性が高い。そのためCPU201は、S417やS418の処理を省略しても良い。すなわちCPU201は、プリンタ101が有線LANやUSBを介して他の装置と接続していたとしても、接続設定モードでの動作を維持しても良い。
【0100】
S419にて、CPU201は、S416で動作が開始された接続設定モードをキャンセル(停止)するためのキャンセル操作をユーザから受け付けたか否かを判定する。キャンセル操作とは具体的には例えば、画面601に表示された領域602aの押下や、物理ボタンであるキャンセルボタンの押下である。CPU201は、YES判定であれば、S408に進み、NO判定であれば、S420に進む。
【0101】
S420にて、CPU201は、接続設定モードで動作しているプリンタ101と接続した装置(ここでは、ホスト端末102)から、設定情報を受信したか否かを判定する。CPU201は、YES判定であれば、S421に進み、NO判定であれば、S422に進む。
【0102】
S421にて、CPU201は、ホスト端末102から受信した設定情報に基づく処理を実行する。本処理は、S411と同様である。なお初期設定時と異なり、このときCPU201は、表示部205により、設定情報に基づく処理の実行に基づく各種通知を行う。具体的にはCPU201は例えば、設定情報に対応するAPとの接続処理を実行している最中は、APとの接続処理を実行していることを示す画面(例えば図7の画面701)を表示する。そしてCPU201は、APとの接続が成功した場合は、APとの接続が成功したことをユーザに通知するための画面(例えば、図7の画面702)を表示する。一方CPU201は、APとの接続が失敗した場合は、APとの接続が失敗したことをユーザに通知するための画面(例えば、図7の画面703)を表示する。その後、CPU201は、図4に示す接続設定処理を終了する。
【0103】
一方S422にて、CPU201は、接続設定処理がタイムアウトしたか否か判定する。本処理は、S412と同様である。なおS422におけるタイムアウト判定に用いられる時間の閾値と、S412におけるタイムアウト判定に用いられる時間の閾値とが異なっていても良い。本実施形態では、S422におけるタイムアウト判定に用いられる時間の閾値より、S422におけるタイムアウト判定に用いられる時間の閾値の方が大きいものとする。CPU201は、YES判定であれば、S423に進み、NO判定であれば、S417に戻る。
【0104】
S423にて、CPU201は、CPU201は、プリンタ101における接続設定モードでの動作を停止させる。本処理はS408と同様である。その後、CPU201は、図4に示す接続設定処理を終了する。
【0105】
図9は、ホスト端末102が実行する接続設定処理を示すフローチャートである。なお、該フローチャートは、CPU221が、ROM222や外部記憶装置(不図示)に格納されているフローチャートに関する制御プログラムをRAM223にロードし、その制御プログラムを実行することにより実現されるものとする。
【0106】
まず、S901にて、CPU221は、ユーザの操作を受け付けて無線LAN設定アプリを起動させる。無線LAN設定アプリとは、プリンタ101に通信モードを設定するためのアプリケーションである。なお、無線LAN設定アプリは、プリンタ101に印刷ジョブを送信して印刷を実行させる機能等の、他の機能を有していても良い。無線LAN設定アプリは、ホスト端末102の内部の記憶装置(不図示)に記憶されているプログラムであり、事前にユーザがホスト端末102にインストールさせておくものである。以下の通信モードを設定するための処理は、CPU221が無線LAN設定アプリを実行することにより実現される。
【0107】
ここでは、無線LAN設定アプリによって、インフラ接続モードで利用するAPをプリンタ101に登録することで、プリンタ101をインフラ接続モードに設定する例について説明する。なお、APの登録は、無線LAN設定アプリを利用せず、ウェブブラウザを介してインターネット上のサービスや、ホスト端末102及びプリンタ101の他の機能等を利用して行われても良い。また、このとき、CPU221は、ホスト端末102が接続しているAPのAP情報を一時的にRAM223に保存しておく。
【0108】
次に、S902では、CPU221は、通信部224を介して、ホスト端末102がアクセス可能なAPのサーチを行う。APのサーチは、無線LAN設定アプリの起動時に自動で実行されてもよいし、ユーザによる指示に応答して実行されてもよい。APのサーチは、各APが送出するビーコンを、通信部224が受信することによって行われる。
【0109】
S903では、CPU221は、表示部226に、S902のAPサーチによって発見されたAPの一覧(APサーチ結果)を表示させる。このとき、例えば、CPU221は、各APの持つSSIDの一覧を表示させる。なお、S903において、CPU221は、AP209のSSIDを構成する上述の規則に沿った形式のSSIDを有するAPを自動で抽出し、表示する構成としても良い。このとき、上述の規則に沿った形式のSSIDが複数あった場合、それら複数のSSIDを表示させ、そこからユーザに選択させる。また、この構成とする場合、後述のS905における処理は行わなくても良い。
【0110】
S903においてAPの表示が行われると、ユーザは、サーチ結果から、通信モードの設定対象となる通信装置内のAPを選択する。
【0111】
S904では、CPU221は、ユーザによってAPの選択を受け付けたことを検出する。
【0112】
S905では、CPU221は、S904で選択されたAPが、無線LAN設定アプリによる設定対象の通信装置内のAPであるか否かを判定する。このとき、具体的には、CPU221は、選択されたAPがAP209のSSIDを構成する上述の規則に沿った形式のSSIDを有するAPであるか否かを判定する。設定対象の通信装置内のAPでないと判定された場合は、CPU221は、再度、ユーザによるAPの選択を検出するのを待つ。なお、このとき、CPU221は、適切でないAPが選択された旨をユーザに伝えるための画面を表示部226に表示してもいい。また、設定対象となる通信装置に対応するAPが存在しない、またはユーザの所望の通信装置内のAPが存在しない場合は、CPU221は、処理を終了する構成としても良い。
【0113】
なお、上述では、S903~S905の処理により、通信モードの設定対象となる通信装置のAPをユーザに手動で選択させる構成を説明したが、この形態に限定されない。例えば、CPU221は、S902でサーチしたAPから、上述の規則に沿った形式のSSIDを有するAPを、通信モードの設定対象となる通信装置のAPとして自動で選択しても良い。
【0114】
S905で設定対象となる通信装置(ここではプリンタ101内のAP(ここではAP209が選択された場合、CPU221は、ホスト端末102とプリンタ101とが無線接続を行うためのパラメータ(接続情報)の交換などを行う。なお、AP209と接続するための接続情報は、無線LAN設定アプリによって予め保持されている。そうすることで、ホスト端末102は、AP209に接続し、プリンタ101との通信を確立する。
【0115】
続いて、S906にて、CPU221は、S901にて一時的にRAM223に保存したAP情報を設定情報として、S905にて接続したAP209を介してプリンタ101に送信する。プリンタ101は、該AP情報を受信することで、該AP情報に基づいたAP経由で接続可能なインフラ接続モードに設定される。
【0116】
最後に、S907にて、CPU221は、AP209への接続をやめて、S901にて一時的にRAM223に保存したAP情報に基づくAPに再度接続することで、プリンタ101と該APを介して通信可能となる。このとき、CPU221は、ホスト端末102が今後接続する通信装置として、プリンタ101をRAM223に登録する。その後、CPU221は、無線LAN設定アプリを終了する。
【0117】
なお、S902からS904の処理は、無線LAN設定アプリによって行うとは限らず、ホスト端末102にインストール済みの他のアプリなどによってAP209をサーチし、無線LAN設定アプリがその結果を取得する構成としてもよい。
【0118】
また、上述では、CPU221は、AP209を介してプリンタ101と通信しているため、IEEE802.11シリーズに準拠した通信規格(すなわち、Wi-Fi(登録商標))で、設定情報をプリンタ101に送信していた。しかしながらこの形態に限定されず、CPU221は、例えば、IEEE802.11シリーズに準拠した通信規格と異なる通信規格で、設定情報をプリンタ101に送信してもよい。このとき利用される通信規格は、例えば、Bluetooth Classic(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、Near Field Communication、Wi-Fi Aware等である。このような形態とすることで、CPU221は、インフラ接続モードで使用されるAPとのWi-Fiによる接続を維持したまま、他の通信規格で、プリンタ101に設定情報を送信することができる。
【0119】
また、上述では、CPU221が、プリンタ101にインフラ接続モードを設定する形態を説明したが、この形態に限定されない。例えば、WFDモードやソフトAPモード等、他の通信モードをプリンタ101に設定しても良い。プリンタ101に設定する通信モードは、例えば、無線LAN設定アプリによって表示される画面を介してユーザの選択を受け付けることで決定されても良いし、ホスト端末102の通信環境に基づいて無線LAN設定アプリによって自動で決定されても良い。例えば、プリンタ101に通信モードを設定する際に、ホスト端末102がいずれかのAPに接続している場合は、プリンタ101に設定する通信モードとしてインフラ接続モードが選択される。また例えば、プリンタ101に通信モードを設定する際に、ホスト端末102がいずれのAPにも接続していない場合は、プリンタ101に設定する通信モードとしてWFDモードやソフトAPモード等のP2P方式の通信モードが選択される。
【0120】
上述のように本実施形態では、プリンタ101は、初期設定時に開始される接続設定処理のキャンセル指示を受け付けない。これにより、ユーザが意図せずキャンセル操作を行ってしまい、ユーザが意図せずプリンタ101が接続設定モードを停止してしまうことを抑制できる。
【0121】
また本実施形態では、初期設定時に開始される接続設定処理と、初期設定完了後にユーザ操作に基づいて開始される接続設定処理とで、処理の内容を異ならせる。具体的には、初期設定完了後に開始される接続設定処理においては、初期設定時に開始される接続設定処理においては実行されなかった各種通知や各種表示が実行される。また、初期設定完了後に開始される接続設定処理においては、接続設定処理のキャンセル指示を受け付ける。これは、初期設定完了後にユーザ操作に基づいて開始される接続設定処理を、ユーザが意図せずキャンセルしたとしても、ユーザは、再度ユーザ操作を実行することによって、接続設定処理を再度開始することが可能であるためである。
【0122】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、キャンセル指示を受け付けない接続設定処理は、プリンタ101の初期設定時に行われる処理であると説明したが、これに限定されない。例えば、キャンセル指示を受け付けない接続設定処理は、プリンタ101の無線LAN設定が無効となっている時に実行されても良いし、プリンタ101の初期化処理をした時に実行されても良い。また、例えば、プリンタ101の電源がオンされた時にプリンタ101が初期設定状態か否かに関わらず実行されても良い。
【0123】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0124】
上述した実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータで連動させて実行させるようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、処理の一部または全部をASIC等のハードウェアで実現するようにしてもよい。また、CPUも1つのCPUで全ての処理を行うものに限らず、複数のCPUが適宜連携をしながら処理を行うものとしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
101 プリンタ
102 ホスト端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9