(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】レーザーダイオード装置及び光電送受信システム
(51)【国際特許分類】
H01S 5/024 20060101AFI20241105BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01S5/024
H01S5/042 610
(21)【出願番号】P 2023177567
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-13
(32)【優先日】2023-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林黄譽
(72)【発明者】
【氏名】李衡
(72)【発明者】
【氏名】潘虹君
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-230502(JP,A)
【文献】特開2014-022481(JP,A)
【文献】特開2019-004064(JP,A)
【文献】特開2007-095736(JP,A)
【文献】特開2015-135911(JP,A)
【文献】特開2009-088490(JP,A)
【文献】特許第6818946(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは前記第1の基板と前記第2の基板の間に設けられ、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、
前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記凸ブロックは柱状凸ブロックであり、前記柱状凸ブロックの前記レーザーダイオードに近い一方の側は第1の直径を有し、
前記柱状凸ブロックは、前記レーザーダイオードから前記第2の基板へ延伸する高さを有し、前記第1の直径と前記柱状凸ブロックの前記高さの比は0.85~1.1である
ことを特徴とするレーザーダイオード装置。
【請求項2】
第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、第2の連接層と、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に設けられ、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを備え、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記第2の連接層は、前記第2の基板の本体の前記レーザーダイオードに近い側に位置し、前記レーザーダイオードおよび前記第2の電極に電気的に接続され、
前記凸ブロックは前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記凸ブロックは第2の基板凸部であり、前記第2の基板凸部は、前記第2の基板から延伸して、前記レーザーダイオードが前記第2の連接層を介して前記第2の基板凸部に接続することを可能にする
ことを特徴とするレーザーダイオード装置。
【請求項3】
第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は、前記第1の基板に対応するように設けられ、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置し、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さよりも高く、
前記凸ブロックは導電性接着剤であり、前記導電性接着剤は前記レーザーダイオードの前記第2の基板に近い一方の側に位置し、且つ、前記導電性接着剤の材料は銀、錫又はそれらの合金である
ことを特徴とするレーザーダイオード装置。
【請求項4】
第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は、前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置し、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを有し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さよりも高く、
前記第1の基板、前記レーザーダイオード、及び前記第2の基板の間には収容スペースを有し、
前記収容スペースには充填材料が充填され、前記充填材料は絶縁体と複数の導電性粒子を含み、
前記複数の導電性粒子は前記絶縁体に分布し、且つ一部分の前記複数の導電性粒子は前記凸ブロックと前記第2の基板の間に位置する
ことを特徴とするレーザーダイオード装置。
【請求項5】
光ファイバと、レンズと、レーザーダイオード装置と、レーザーダイオード駆動器を備えた光電送受信システムにおいて、
前記レンズは前記光ファイバの近くに設けられ、
前記レーザーダイオード装置は、第1の基板と、レーザーダイオードと、第2の基板と、凸ブロックを備え、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板に位置し、前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた一方の側に位置し、
前記第2の基板は、前記レーザーダイオードに対応し、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記凸ブロックは前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオード駆動器は、前記レーザーダイオード装置に電気的に接続され、且つ、前記レーザーダイオード駆動器は駆動信号を前記レーザーダイオード装置に送信して、
前記レーザーダイオード装置の前記レーザーダイオードが前記レンズから
光又は光信号を受信することを可能にするか、或いは前記レーザーダイオード
装置の前記レーザーダイオードが光又は光信号を前記レンズと前記光ファイバに送信することを可能にする
ことを特徴とする光電送受信システム。
【請求項6】
前記凸ブロックは柱状凸ブロックであり、前記柱状凸ブロックの前記レーザーダイオードに近い一方の側は第1の直径を有し、前記柱状凸ブロックは前記レーザーダイオードから前記第2の基板へ延伸する前記高さを有し、前記第1の直径と前記柱状凸ブロックの前記高さの比は0.85~1.1である
ことを特徴とする請求項5に記載の光電送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザーダイオード装置及び光電送受信システムに関し、特に、ウエーブガイドを備えたレーザーダイオード装置及び光電送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信速度の向上に伴い、高速な光通信の製品に使用できるレーザーダイオードとその発光効率の需要も高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような高速な光通信に利用されるレーザーダイオードは、低速な光通信用の製品に使用される従来のレーザーダイオードと比較して出力が比較的高いので、発生する熱量も増加する傾向にある。また、所定の要件の下では、一部のレーザーダイオードは比較的低温な状態で駆動しなければならない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の問題に鑑みて、本発明は以下の構成を備える。即ち、
第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは前記第1の基板と前記第2の基板の間に設けられ、前記レーザーダイオードの前記第1の基板の一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、
前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記凸ブロックは柱状凸ブロックであり、前記柱状凸ブロックの前記レーザーダイオードに近い一方の側は第1の直径を有し、
前記柱状凸ブロックは、前記レーザーダイオードから前記第2の基板へ延伸する高さを有し、前記第1の直径と前記柱状凸ブロックの前記高さの比は0.85~1.1である。
【0005】
また、第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に設けられ、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを備え、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記凸ブロックは第2の基板凸部であり、前記第2の基板凸部は前記第2の基板から延伸し、前記レーザーダイオードと前記第2の電極に電気的に接続され、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続される。
【0006】
また、第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は、前記第1の基板に対応するように設けられ、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置し、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さよりも高く、
前記凸ブロックは導電性接着剤であり、前記導電性接着剤は前記レーザーダイオードの前記第2の基板に近い一方の側に位置し、且つ、前記導電性接着剤の材料は銀、錫又はそれらの合金である。
【0007】
また、第1の基板と、第2の基板と、レーザーダイオードと、凸ブロックを備えたレーザーダイオード装置において、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記第2の基板は、前記第1の基板に対応するように設置され、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置し、前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオードはウエーブガイドを有し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた側に位置し、
前記凸ブロックは、前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さよりも高く、
前記第1の基板、前記レーザーダイオード、及び前記第2の基板の間には収容スペースを有し、
前記収容スペースには充填材料が充填され、前記充填材料は絶縁体と複数の導電性粒子を含み、
前記複数の導電性粒子は前記絶縁体に分布し、且つ一部分の前記複数の導電性粒子は前記凸ブロックと前記第2の基板の間に位置する
ことを特徴とするレーザーダイオード装置。
【0008】
また、光ファイバと、レンズと、レーザーダイオード装置と、レーザーダイオード駆動器を備えた光電送受信システムにおいて、
前記レンズは前記光ファイバの近くに設けられ、
前記レーザーダイオード装置は、第1の基板と、レーザーダイオードと、第2の基板と、凸ブロックを備え、
前記第1の基板は第1の電極を含み、
前記レーザーダイオードは、前記第1の基板に位置し、前記レーザーダイオードはウエーブガイドを具備し、前記ウエーブガイドは前記レーザーダイオードの前記第1の基板から離れた一方の側に位置し、
前記第2の基板は、前記レーザーダイオードに対応し、前記第2の基板は第2の電極を含み、
前記凸ブロックは前記ウエーブガイドに対応し、前記凸ブロックの高さは実質上前記ウエーブガイドの高さより高く、
前記レーザーダイオードの前記第1の基板に近い一方の側は前記第1の電極に電気的に接続され、前記凸ブロックの一端は前記第2の電極に電気的に接続され、
前記レーザーダイオード駆動器は、前記レーザーダイオード装置に電気的に接続され、且つ、前記レーザーダイオード駆動器は駆動信号を前記レーザーダイオード装置に送信し、前記レーザーダイオード装置の前記レーザーダイオードは光源によって前記レンズと前記光ファイバに通信可能に連接される
ことを特徴とする光電送受信システム。
【0009】
また、前記凸ブロックは柱状凸ブロックであり、前記柱状凸ブロックの前記レーザーダイオードに近い一方の側は第1の直径を有し、前記柱状凸ブロックは前記レーザーダイオードから前記第2の基板へ延伸する前記高さを有し、前記第1の直径と前記柱状凸ブロックの前記高さの比は0.85~1.1である
ことを特徴とする請求項5に記載の光電送受信システム。
【0010】
前記凸ブロックは柱状凸ブロックであり、柱状凸ブロックのレーザーダイオードの一方の側は第1の直径を有し、柱状凸ブロックの第2の基板に近い一方の側は第2の直径を有し、且つ、第1の直径と第2の直径の比は0.9-1.1である。
【発明の効果】
【0011】
光電送受信システム及びそのレーザーダイオード装置は、従来の直列抵抗よりも低い全体抵抗を提供し、より少ない熱エネルギーが生成されるだけで足り、レーザーダイオードの表面の放熱効率を効果的に改善することができる。
【0012】
さらに、貫通孔の高さはウエーブガイドの高さよりも大幅に高く、光電送受信システムとそのレーザーダイオード装置は、第2の基板のカバーおよび/または第2の基板の熱膨張によるウエーブガイドの圧迫によりウエーブガイドの損傷を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の実施形態に基づいたキャップレスレーザーダイオード装置の斜視図である。
【
図1B】
図1Aのキャップレスレーザーダイオード装置のA-A’断面図である。
【
図2A】本発明の実施形態に基づいたキャップされたレーザーダイオード装置を第1の角度からみた斜視図である。
【
図2B】
図2Aのキャップされたレーザーダイオード装置を第2の角度からみた斜視図である。
【
図3B】
図3Aのキャップされたレスレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図4】
図3Aのレーザーダイオードの要部拡大図である。
【
図5】本発明の実施形態に基づいたキャップレスのレーザーダイオード装置とキャップされた(且つ柱状凸ブロックを具備する)レーザーダイオード装置のシミュレートした表面温度曲線図である。
【
図6A】本実施形態に基づいたキャップ(且つ1つ又は複数の柱状凸ブロックを具備する)されたレーザーダイオード装置のシミュレーションした表面の温度分布図である。
【
図6B】
図6Aに関し、キャップ(且つ1つ或いは複数の柱状凸ブロック)されたレーザーダイオード装置のシミュレーションされた表面温度曲線である。
【
図7】本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図8】本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図9】本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図10】本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図11】本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
【
図12】本実施形態に基づいた光電送受信システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A、
図1B、
図2A及び
図2Bを同時に参照して説明する。ここで、
図1Aは本発明の実施形態に基づいたキャップレスレーザーダイオード装置の斜視図である。また、
図1Bは
図1Aのキャップレスレーザーダイオード装置のA-A’断面図である。更に、
図2Aは本発明の実施形態に基づいたキャップされたレーザーダイオード装置を第1の角度からみた斜視図である。また、
図2Bは
図2Aのキャップされたレーザーダイオード装置を第2の角度からみた斜視図である。
【0015】
以下、より詳細に説明すると、
図1Aと1Bに示されるキャップレスのレーザーダイオード装置1aは、
図2Aと
図2Bに示されるレーザーダイオード装置1bと実質的に同じである。
【0016】
両者の差異は次のとおりである。
図1Aと
図1Bは、キャップ付き(要はキャップがされた)レーザーダイオード装置1bにおける、第1の基板11とレーザーダイオード10のみを示す。
図2Aと2Bは更に、第2の基板12と凸ブロック14を示す(これは、本明細書では「キャップ」と呼ばれるレーザーダイオード装置1bである。なお、凸ブロック14は
図3Aで確認できるが、詳しくは後述する)。
【0017】
本実施形態において、キャップされたレーザーダイオード装置1bは更に側板13(後述する)を備える。なお、本明細書において「レーザーダイオード装置1b」というときは、特に「キャップレス、キャップ無し」等と明記しない限り、「キャップされたレーザーダイオード装置1b」を指すものとする。
【0018】
図1A、
図1B、
図2A、
図2Bでは、レーザーダイオード装置1bは、第1の基板11、第2の基板12(
図2(a)、
図2(b)を参照)、レーザーダイオード10、及び凸ブロック14を備える。
【0019】
第1の基板11は、第1の電極116(
図2Bに示す、ワイヤボンドのボール(ball of wire bond)等)を含む。第2の基板12は、第1の基板11に対応するように配置され、第2の電極128(
図2A及び
図2Bに示す、ボール型はんだ接合部等)を含む。
【0020】
レーザーダイオード10は、第1の基板11と第2の基板12との間に位置し(
図2Aと
図2Bを参照)、レーザーダイオード10の第1の基板11に近い側は、第1の電極116に電気的に接続されている。
【0021】
レーザーダイオード10はウエーブガイド102を有し、ウエーブガイド102はレーザーダイオード10上(例えば、レーザーダイオード10の第1の基板11とは反対側)に位置している。ウエーブガイド102は、例えば、後述する可視光又はその電磁波の少なくとも何れかを導波する(導く)光導波路である。
【0022】
凸ブロック14は、ウエーブガイド102に対応して(例えば、ウエーブガイド102に隣接して、レーザーダイオード10の第1の基板11とは反対側に)配置されている。凸ブロック14の一端は、後述する第2の電極128に電気的に接続されている。
【0023】
凸ブロック14の高さH1は、ウエーブガイド102の高さH2よりも十分に高い(
図3Aと後述する
図4を参照のこと)。
【0024】
凸ブロック14は、例えば、レーザーダイオード10の生成された表面熱エネルギー(例えば、ウエーブガイド102の片側付近の表面熱エネルギー)を外部から奪うように、熱伝導性材料(導電性材料を兼ねていても良い)で形成される。これにより、レーザーダイオード10の表面温度を速やかに低下させることができる。
【0025】
同時に、凸ブロック14を使用して第2の電極128を電気的に接続し、第2の電極128からレーザーダイオード10に電流が流れるように誘導してレーザーダイオード10を駆動することができる。
【0026】
また、凸ブロック14の高さH1をウエーブガイド102の高さH2よりも実質的に高く設定することにより、ウエーブガイド102と第2の基板12が直接接触してしまうことによるウエーブガイド102の損傷も防止できる。
【0027】
このため、レーザーダイオード装置1bは、第2の基板12のカバーによるウエーブガイド102の損傷(および/または第2の基板12の熱膨張によるウエーブガイド102への押し出込み)を効果的に回避することができ、それによってその発光の効率に好影響を与えることができる。また、レーザーダイオード10の表面の放熱性能も効果的に向上する。
【0028】
本実施形態では、レーザーダイオード10は、ウエーブガイド102の構造を有する任意のレーザーダイオードであり、例えば、以下のものには限られないが、分布フィードバック (Distributed Feedback,DFB)レーザー、電界吸収変調レーザー (Electro-absorption Modulated Laser, EML)、FPレーザー (Fabry-Perot Laser)、分散 (又は分布)ブラッグ反射器 (distributed Bragg reflector, DBR)、量子ドット(Quantum dot, QD)レーザー、又はそれらの組み合わせである。
【0029】
即ち、レーザーダイオード10は、分布フィードバックレーザー、電界吸収変調レーザー、FPレーザー、分散 (又は分布)ブラッグ反射器、及び量子ドットレーザーから選択される少なくとも1つの組み合わせである。
【0030】
したがって、レーザーダイオード10は、上記のうちの1つ又は2つ或いは2つ以上の組み合わせも含む。したがって、高出力で尚且つ速い変調速度を有するレーザーダイオード10を組み合わせることで、レーザーダイオード装置1bは、高速な光通信の用途に適することができ、たとえば、中長距離向けの高速なブロードバンド通信伝送にも適する。
【0031】
【0032】
図1Bと
図3Aにおいて、レーザーダイオード10は、レーザーダイオードチップ100を有し、レーザーダイオードチップ100の対向する2つの端部(例えば、
図3(a)における+Z方向の一端と-Z方向の一端)は、それぞれ相反する導電型の2つの端部である。
【0033】
例えば、レーザーダイオードチップ100の第1の基板11に近い一端はn型層であり、レーザーダイオードチップ100の第1の基板11から遠い一端はp型層であり、n型層とp型層の間にはpn接合層(p-n junction layer)又は活性層(active layer)と呼ばれる)が存在する。
【0034】
順電流がレーザーダイオードチップ100に注入されると、p-n接合層内の電子正孔が再結合し、対応するエネルギーの光子を生成する。
【0035】
上記のn型層、p型層、及びp-n接合層の材料は、適合し、正常に動作する材料の任意の組み合わせとすることができ、本明細書では限定されない。
【0036】
図3Aでは、レーザーダイオード10の第1の基板11に近い側(例えばn型層)は第1の電極116に電気的に接続されている。レーザーダイオード10の第1の基板11から遠い側(例えばp型層)は、第2の電極128に電気的に接続される。
【0037】
したがって、第1の電極116(又は第2の電極128)からレーザーダイオードチップ100に順方向の電流を流すことによって、pn接合層は対応するエネルギー光子を生成することができる。
【0038】
第1の電極116と第2の電極128の材料は適合し且つ正常に機能する材料の任意の組み合わせとすることができ、本明細書では限定されない。第1の電極116と第2の電極128の数、形状、及び位置は、種々の要件に基づいて調整し構成することができるが、これらは本明細書では限定されない。
【0039】
例えば、
図2Aと
図2Bを参照すると、第1の電極116と第2の電極128は、いずれも+X方向に沿って配置された2つの電極を含み、そして、第1の電極116のいずれか1つと、対応する第2の電極128とを同一のYZ平面上に配置することができる。
【0040】
本実施形態によれば、第1の基板11は、第1の基板本体110と、第1の連接層114と、第1の電極116を備えており(
図3A参照)、レーザーダイオード10は、第1の連接層114を介して第1の電極116に電気的に接続されている。
【0041】
図1Bと
図3Aに示すように、第1の連接層114は第1の基板本体110とレーザーダイオード10の間に位置する(
図3Aを参照)。
【0042】
第1の連接層114の第1の端部はレーザーダイオード10に電気的に接続される。第1の連接層114の第2の端部は第1の電極116に電気的に接続される。
【0043】
このため、第1の電極116がn型電極のとき、第1の連接層114はレーザーダイオード10の電流を可能な限りレーザーダイオード10から奪うために使用することができる。
【0044】
例えば、第1の連接層114が
図3Aの+Y方向に沿って延伸し、レーザーダイオード10の電流を第2の基板12の外部(例えば
図3Aの収容スペースVの外部、詳しくは後述する)の第1の電極116に流し、その逆も同様である。
【0045】
第1の基板本体110の材料は、ガラス、プラスチック、ゴム、セラミック、或いはこれらの組み合わせ、例えばセラミック放熱材料(但し、これらに限定されない)とすることができる。具体的には、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン、サファイア(sapphire)、III-V族半導体材料等である。
【0046】
第1の連接層114の材料は、金、スズ、又は金-スズ合金等であるが、これらに限定されず、様々な導電性材料とすることができる。第1の電極116の材料は、(これらに限定されないが)金属又は合金等の様々な導電性材料とすることができる。
【0047】
第2の基板12の外側に位置する第1の電極116を電気的に接続することにより、第2の基板12の内側に位置するレーザーダイオード10に迅速に電気的に接続することができる。
【0048】
また、第2の基板12上に第の1電極116と電気的に接続可能な導電チャネル(スルーホール、貫通孔等)を別途設ける必要がなくなるので、製造工程に必要となる時間とコストが削減される。
【0049】
本実施形態では、第1の基板11は、第1のトップ板112を更に含む。第1のトップ板112は、レーザーダイオード10と第1の基板本体110との間に位置し、第1の連接層114に電気的に接続される。
【0050】
例えば、
図3Aでは、第1のトップ板112は、第1の連接層114と第1の基板本体110との間に位置する。
【0051】
例えば、
図3Aでは、第1のトップ板112は、第1の連接層114と第1の基板本体110との間に位置する。あるいは、例えば、第1のトップ板112は、第1の連接層114とレーザーダイオード10との間に位置する。このため、レーザーダイオード10は、第1のトップ板112を介して第1の連接層114に電気的に接続することができる。なお、第1のトップ板112の材料は、金、スズ、又は金-スズ合金等(ただし、これらに限定されない)の様々な導電性材料とすることができる。
【0052】
本実施形態によれば、第2の基板12は、第2の基板本体120、第2の連接層122、貫通孔(スルーホール)124、及び第2の電極128を含む。レーザーダイオード10は、第2の連接層122を介して第2の電極128に電気的に接続されている。
【0053】
図2A、
図2Bに示すように、第2の連接層122は第2の基板本体120のレーザーダイオード10に近い一方の側に位置する。
【0054】
貫通孔124は、第2の基板本体120の内部を貫通するよう位置しており、そして、貫通孔124は、第2の基板本体120の両側(貫通孔124のZ方向における両端)に位置する第2の接続層122と第2の電極128に電気的に接続される。
【0055】
例えば、第2の接続層122の第1端は、レーザーダイオード10(例えば、レーザーダイオード10は、後述する凸ブロック14を介して電気的に接続される)に電気的に接続される。
【0056】
第2の連接層122の他端は貫通孔124の一端に電気的に接続され、貫通孔124の他端は第2の電極128に電気的に接続される。このため、第2の電極128がp型電極である場合、第2の連接層122を利用して、可能な限り遠くに分散した電流をレーザーダイオード10に流すことができる。
【0057】
例えば、第2の連接層122の延伸方向(例えば、
図3Aの+Y方向)は、第1の連接層114の延伸方向(例えば、
図3Aの-Y方向)と実質的に異なり、第2の基板12の外側(例えば、後述する
図3Aの収容空間Vの外側、詳しくは後述する)に位置する第2の電極128からレーザーダイオード10に電流を流し、その逆も同様である。
【0058】
第2の基板本体120の材料は、金属、合金、プラスチック、ゴム、セラミック、又はそれらの組み合わせ、例えばセラミック放熱材料(但し、これらに限定されない)とすることができる。
【0059】
具体的には、AlN、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が挙げられる。第2の連接層122の材料は、金、スズ、又は金-スズ合金等(但し、これらに限定されない)の様々な導電性材料とすることができる。
【0060】
第2の電極128の材料は、金属又は合金等の様々な導電性材料とすることができる。これにより、第2の基板12の外側に位置する第2の電極128を電気的に接続することにより、第2の基板12の内側に位置するレーザーダイオード10を迅速に電気的に接続することができる。
【0061】
本実施形態では、貫通孔124は、タングステン等の金属又は合金等の充填材料を有するが、これらに限定されない。
【0062】
これにより、貫通孔124は、第2の基板本体120の両側(貫通孔124の両端)に位置する第2の接続層122と第2の電極128とを電気的に接続することができる。
【0063】
上述の貫通孔124の数、形状、及び位置は、様々なニーズに応じて調整することができ、本願の明細書では特に限定されない。例えば、貫通孔124は、2つのグループ(すなわち「対」)で配置することができ、例えば、少なくとも1つのグループ(すなわち、2個)の貫通孔124が
図2Bに示す+X方向に沿って配置されることができる。
【0064】
本実施形態では、貫通孔124の位置は、第2の電極128の配置に基づいて調整することができ、例えば、貫通孔124は、対応する第2の電極128の真下ではなく、第2の電極128の近くに配置しても良い。
【0065】
したがって、第2の基板本体120に任意の形状で任意の位置で配置可能な貫通孔124を介して、レーザーダイオード10は、より高密度でより複雑な配線を提供することができだけでなく、レーザーダイオード10の放熱性能をより効果的に向上させることができる。
【0066】
本実施形態では、第2の基板12は、第2のトップ板123を更に含み、第2のトップ板123は、第2の連接層122のレーザーダイオード10から離れた側に位置し、第2の連接層122に電気的に接続される。
【0067】
このため、第2の連接層122は、第2のトップ板123を介して第2の電極128に電気的に接続することができる。例えば、
図3Aでは、第2のトップ板123は、第2の連接層122と第2の電極128との間に位置する。あるいは、例えば、第2のトップ板123は、第2の連接層122とレーザーダイオード10との間に位置する。
【0068】
例えば、第2のトップ板123は、第2の連接層122のレーザーダイオード10に近い側に位置し、第2の連接層122に電気的に接続される。したがって、レーザーダイオード10は、第2のトップ板123を介して第2の連接層122に電気的に接続することができる。
【0069】
第2のトップ板123の材料は、金、錫、又は金錫合金等(ただしこれらに限定されない)の様々な導電性材料とすることができる。
【0070】
本実施形態によれば、第2の基板12は、第3のトップ板126を更に含む。第3のトップ板126は、貫通孔124と第2の電極128との間に位置し、貫通孔124に電気的に接続され、貫通孔124と第2の電極128とを電気的に接続する。
【0071】
例えば、
図3Aにおいて、第3のトップ板126は、第2の基板本体120と第2の電極128との間に位置する。第3のトップ板126の材料は、金、スズ、又は金-スズ合金等(但しこれらには限定されない)の様々な導電性材料とすることができる。
【0072】
引き続き
図3Aを参照して説明する。本実施形態によれば、レーザーダイオード装置1bは、1つ又は複数の側板13を更に含む。側板13は、第1の基板11と第2の基板12との間に位置し、第1の基板11、レーザーダイオード10、第2の基板12、及び当該側板13との間に収容スペースVを画成する。
【0073】
図3Aにおいて、レーザーダイオード装置1bは、レーザーダイオード10のY方向における両側にそれぞれ配置された2つの側板13も含む。そして、各側板13は側板本体130と、側板連接層132とを含む。
【0074】
各側板本体130は、第1の基板11と第2の基板12との間に位置し、各側板13の一端は、それぞれ側板連接層132を介して第1の基板11に接続(例えば溶接又は接着)されており、各側板13の他端はそれぞれ第2の基板12に接続されている。
【0075】
図3Aに示す第2の基板12のZ方向の両側における側板本体130とこれに対応する側板連接層132との積層の高さは、レーザーダイオード10とそれに対応する凸ブロック14のZ方向の積層の高さと実質的に同じである。
【0076】
側板本体130の材料は、ガラス、金属、合金、プラスチック、ゴム、セラミック、又はそれらの組み合わせ、例えば(限定されないが)セラミック放熱材料とすることができる。具体的には、例えば、AlN、Al2O3、SiC、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が挙げられる。
【0077】
側板接続層132の材料は、金、錫、又はそれらの合金等(但しこれらには限定されない)の様々な金属材料とすることができる。
【0078】
これにより、半導体レーザー装置1bは、側板13を介して十分な高さの収容スペースVを確保することができ、これによりウエーブガイド102と第2の基板12とが直接接触してしまうことにより、ウエーブガイド102が損傷したり、第2の基板12の熱膨張によりウエーブガイド102が圧迫されたりすることを防止できる。
【0079】
なお、本実施形態では、側板13と第2の基板12が一体的に形成されるので、それによって両者の間の接合不良が回避される。
【0080】
第1の基板11と第2の基板12が、レーザーダイオード10の相対する両端(即ち第1の基板11に近い一端と第2の基板12に近い一端)に2つの放熱経路(Double heat flow,DHF)を形成することで、レーザーダイオード10の両端の接合素子(図示せず)に更に電気的に接続される(全体の抵抗が低い)並列回路に相当するものが形成される。
【0081】
これに対して、従来のレーザー装置(例えば
図1Aのキャップレスのレーザーダイオード装置1a)は、例えば第1の基板11のみを有し、第2の基板12と第2の連接層122のカバーを有していなかったため、前記接合素子はレーザーダイオード10の上部に直接電気的に接続され、単一の放熱経路(Single heat flow, SHF)のみを有するものであったので、従来のレーザーダイオード10の相対する両端は直列回路と同等の比較的全体の抵抗値が高いレーザーダイオードを形成する。
【0082】
したがって、従来のキャップレスのレーザーダイオード装置1aと比較して、レーザーダイオード装置1bは、全体の抵抗値が低く、発生する熱エネルギーが小さいという優れた効果を奏する。
【0083】
本実施形態によれば、レーザーダイオード10は、凸ブロック14を介して第2の電極128に電気的に接続される。
【0084】
例えば、
図3Aにおいて、凸ブロック14の一端(例えば、凸ブロック14のレーザーダイオード10に近い一端)は、レーザーダイオード10に電気的に接続されており、凸ブロック14の他端(例えば、凸ブロック14のレーザーダイオード10とは反対側の端)は、第2の接続層122に電気的に接続されるとともに、貫通孔124を介して第2の電極128に電気的に接続される。
【0085】
図3Aでは、凸ブロック14は、ウエーブガイド102に隣接するように(接近するように)レーザーダイオード10上に配置されている。
【0086】
例えば、
図3Aの+Y方向における凸ブロック14とウエーブガイド102との間の距離は、少なくとも4μmであってもよい。凸ブロック14とレーザーダイオードチップ100の端との間の距離は、ウエーブガイド102及び/又はレーザーダイオードチップ100の動作を妨げないように、少なくとも5μmであっても良い。
【0087】
ウエーブガイド102の材料は、例えば(以下の物には限定されないが)、ポリマー材料等のフォトレジストとして使用できる任意の材料であり、具体的には、シリコン、二酸化シリコン、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、又はそれらの組み合わせ等である。ウエーブガイド102の形状は、例えば、長い導波路(例えば、矩形の導波路やリッジ(ridge)導波路)或いはリブ導波路であるが、これに限定されない。
【0088】
【0089】
図3Aと
図4の側面図において、ウエーブガイド102は、レーザーダイオード10から第2の基板12まで延伸する高さH2(例えば、
図3Aの+Z方向)を有する。
【0090】
ウエーブガイド102のレーザーダイオード10に近い側とレーザーダイオード10から遠い側は、+Y方向にそれぞれウエーブガイドの底部の幅d2とウエーブガイドのトップ部の幅d2’を有する。
【0091】
ウエーブガイド102のトップ部の幅d2’はウエーブガイド102の底部の幅d2と実質上同等であるか若しくは異なっていても良い。
【0092】
例えば、ウエーブガイドのトップ部の幅d2’がウエーブガイドの底部の幅d2より小さいか大きい場合、ウエーブガイド102はリッジ導波路であってもよい。ウエーブガイドのトップ部の幅d2’がウエーブガイドの底部の幅d2と実質的に等しい場合、ウエーブガイド102は矩形の導波管であってもよい。
【0093】
図3Bの上面図において、ウエーブガイド102は、+X方向に沿ってレーザーダイオード10(すなわち、レーザーダイオードチップ100)まで延伸し、+X方向に沿って延伸する長い形の導波路を形成することができる。
【0094】
凸ブロック14は、これには限られないが、柱状凸ブロック140(
図3A、3Bを参照。なお、後述する。)、第2の基板凸部142(
図10を参照、後述する。)、導電性接着剤144(
図11を参照、後述する。)或いはこれらの組み合わせである。凸ブロック14の材料は様々な熱伝導性のもの及び/又は熱伝導性材料とすることができる。
【0095】
本実施形態において、凸ブロック14は柱状凸ブロック140である。柱状凸ブロック140の材料はこれには限られないが、金、銅、銀、錫又は金錫合金である。
【0096】
図3Aと
図4を参照すると、柱状凸ブロック140は、レーザーダイオード10から第2の基板12(例えば、
図3Aの+Z方向)まで延伸する高さH1を有し、且つ、柱状凸ブロック140の高さH1は実質的にウエーブガイド102の高さH2よりも高い。
【0097】
例えば、柱状凸ブロック140の高さH1は50μm~60μm程度であり、ウエーブガイド102の高さH2は、1μm~3μm程度(例えば2μm程度)である。
【0098】
柱状凸ブロック140のレーザーダイオード10に近い側とレーザーダイオード10から遠い側は、それぞれ、+Y方向に底部の幅(すなわち、第1の直径d1)と上部の幅(すなわち、第2の直径d1’)を有する。
【0099】
第1の直径d1は、第2の直径d1’と実質的に同じであっても異なっていても良い。例えば、第1の直径d1と第2の直径d1’との比は0.9~1.1であり、第1の直径d1と第2の直径d1’との関係は下記の式(1)の通りである。
【数1】
【0100】
図3BのX方向のように、柱状凸ブロック140は、Y方向において実質的に同じ又は異なる幾何学的配置となる。
【0101】
例えば、
図3Bでは、柱状凸ブロック140のレーザーダイオード10に近い側とレーザーダイオード10から遠い側も、それぞれX方向に底部の幅と上部の幅を有する。
【0102】
また、X方向の底部の幅と上部の幅は、Y方向の底部の幅(すなわち、第1の直径d1)と上部の幅(すなわち、第2の直径d1’)とそれぞれ実質的に同じなので、円柱状の柱状凸ブロック140を形成することができる。
【0103】
円柱状の柱状凸ブロック140は、例えばワイヤボンディング(wire bond)によりレーザーダイオード10(すなわち、レーザーダイオードチップ100)上に作製することができる。
【0104】
本実施形態において、円柱状の柱状凸ブロック140の第1の直径d1は、柱状凸ブロック140の高さH1と実質的に同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0105】
例えば、円柱状の柱状凸ブロック140の第1の直径d1は、柱状凸ブロック140の高さH1に対する比が0.85-1.1である。すなわち、第1の直径d1と高さH1との関係は下記式(2)に従う。
【0106】
例えば、円柱状の柱状凸ブロック140の第1の直径d1は50μm~60μm程度であり、高さH1は50μm~60μm程度である。
【0107】
他の例として、円柱状の柱状凸ブロック140の第1の直径d1は、50μm~60μmであっても良い。高さH1は約58μmであり、柱状凸ブロック140の第1の直径d1の高さH1に対する比は、例えば、0.86~1.03とすることができる。
【数2】
【0108】
凸ブロック14は1つ以上の柱状凸ブロック140であり、各柱状凸ブロック140はウエーブガイド102に近く、第2の基板12に近いレーザーダイオード10の側に分布している。
【0109】
すなわち、柱状凸ブロック140の数は1つ以上であっても良く、例えば、少なくとも1個、1~18個、少なくとも3個、3~18個、3~15個、3~12個、3~9個、又は3~6個であってもよい。
【0110】
本実施形態において、1個或いは複数の柱状凸ブロック140の底部の面積の総和(以下A1と表す)のレーザーダイオード10(即ちレーザーキャップ100)の表面積(以下A2と表す)に対する比は0.02-0.30である。
【0111】
柱状凸ブロック140の底部の面積の総和A1とレーザーダイオード10の表面積A2の関係は下の式(3)に適合する。
【0112】
例えば、柱状凸ブロック140の第1の直径d1は、50μm~60μmであっても良く、3~18個として構成されても良い。レーザーダイオード10の長さと幅は、それぞれ1000μmと200μmとすることができる。
【0113】
このとき、柱状凸ブロック140の底部の面積の合計A1とレーザーダイオード10の表面積A2との比は、例えば0.0294~0.254とすることができる。
【数3】
【0114】
図1A、
図2A、及び
図5を同時に参照して、キャップレスレーザーダイオード装置1aとキャップされた(及び柱状凸ブロック140を有する)レーザーダイオード装置1bのシミュレートされた表面温度曲線を説明する。
【0115】
図5において、キャップレスレーザーダイオード装置1aは、
図1Aに示されるキャップレスレーザーダイオードデバイス1aを参考とすることができる。
【0116】
カバーされた(3つの柱状凸ブロック140を有する)レーザーダイオード装置1b(以下、カバーされたレーザーダイオード装置1bという)は
図2A(
図2B)に示したレーザーダイオード装置1bの内容を参考にできる。
【0117】
キャップレスのレーザーダイオード装置1aとキャップされたレーザーダイオード装置1bにそれぞれ477mWの電力を印加し、キャップレスのレーザーダイオード装置1aとキャップされたレーザーダイオード装置1bはそれぞれ熱源となり、熱が完全に放熱し、周囲の環境と熱的に同じ程度となるまで待機する。
【0118】
次に、キャップレスレーザー装置1aとキャップされたレーザーダイオード装置1bの最高表面温度をシミュレーションにより求めると、
図5に示すようにそれぞれ約70℃、約50℃となる。
【0119】
すなわち、キャップレスレーザーダイオード装置1aと比較して、キャップされた(3つの柱状凸ブロック140を有する)レーザーダイオード装置1bは、28.6%の冷却効果を有する。
【0120】
キャップ(第2の基板12等)と柱状凸ブロック140の配置を通じて、レーザーダイオード装置1bは、レーザーダイオード10の表面の放熱性能を効果的に向上させ、レーザーダイオード10の表面温度を大幅に低下させることができる。
【0121】
図6Aと
図6Bを参照すると、
図6Aは、本実施形態によるキャップされた(1つ以上のスタッドバンプ140を有する)レーザーダイオード装置1bのシミュレーションされた表面温度分布図を示す。
【0122】
図6Bは、
図6Aに示されるようにキャップされた(且つ1つ以上の柱状凸ブロック140を有する)レーザーダイオード装置1bのシミュレートされた表面温度曲線を示す。
【0123】
図6Aと
図6Bは、
図5と同じ実験方法と条件を使用するため、ここでは詳細には説明しない。
【0124】
図6Aには、レーザーダイオードチップ100上にそれぞれ示されるウエーブガイド102と、異なる数の柱状凸ブロック140(以下、Nと示す)を有するレーザーダイオードチップ100のシミュレーションされた表面温度分布が示されている。ここで、Nはそれぞれ0、3、6、9、12、15及び18個である。
【0125】
図6Aの表面温度分布の結果から、レーザーダイオードチップ100が柱状凸ブロック140を備えて構成されていない場合(すなわち、N=0)、レーザーダイオードチップ100の表面温度は、ウエーブガイド102に隣接するかなりの範囲で49.6℃より高く、残りの広い範囲の表面温度は約47.6℃~49.6℃であり、そして、レーザーダイオードチップ100の四隅のみが、45.6℃~47.6℃の僅かに低い温度となる。
【0126】
すなわち、レーザーダイオードチップ100に柱状凸ブロック140が設けられていない場合(すなわち、N=0)、レーザーダイオード10の表面温度とウエーブガイド102の温度との差は僅かに約7℃である。
【0127】
換言すると、柱状凸ブロック140のないレーザーダイオードチップ100(すなわち、N=0)は、レーザーダイオードチップ100の表面温度を効果的に下げることが困難であり、放熱性能が著しく劣る。
【0128】
これに対し、レーザーダイオードチップ100が更に柱状凸ブロック140を備えて構成される場合(N=3、6、9、12、15、又は18のいずれか)、レーザーダイオードチップ100の表面温度は、ウエーブガイド102に隣接する非常に狭い範囲のみで41.2℃より高く、それ以外の領域の表面温度は約30.9℃~36.1℃となっている。
【0129】
したがって、柱状凸ブロック140が設けられたレーザーダイオードチップ100の表面全体の温度分布は明らかにより均一となり、レーザーダイオードチップ100の全体的な表面温度を実際に大幅且つ効果的に低下させることができる。
【0130】
換言すると、レーザーダイオードチップ100の表面温度とその分布は、少なくとも一定の範囲内(例えば、0<N≦18)においては、基本的に柱状凸ブロック140の数Nの影響を受けない。
【0131】
更に、柱状凸ブロック140だけで、レーザーダイオード10の表面の放熱性能を効果的に向上させると同時に、レーザーダイオード10の表面の熱エネルギーが特定の位置に蓄積することを防止することができる。
【0132】
また、
図6Aに対応する
図6Bに示すレーザーダイオードチップ100の最大表面温度の結果からも分かる。レーザーダイオードチップ100が柱状凸ブロック140を備えていない場合(すなわち、N=0)、レーザーダイオードチップ100の最大表面温度は約55℃である。
【0133】
また、レーザーダイオードチップ100が更に凸ブロック140(N=3、6、9、12、15、又は18のいずれか)を備えて構成される場合、レーザーダイオードチップ100の最高表面温度は約40℃~43℃である。
【0134】
このため、柱状凸ブロック140を備えたレーザーダイオードチップ100の最大表面温度を大幅かつ効果的に下げることができる。
【0135】
換言すると、レーザーダイオードチップ100の最高表面温度は、少なくとも一定の範囲内(例えば、0<N≦18)においては、基本的に柱状凸ブロック140の数Nの影響を受けない。
【0136】
また、柱状凸ブロック140のみを構成しさえすれば、レーザーダイオード10の表面の放熱性能を効果的に向上させることができ、それによってレーザーダイオード10の表面温度を大幅に低下させることができる。
【0137】
図7を参照して説明する。
図7は本実施形態によるレーザーダイオード装置1bの
図3Aの線C-C’断面図である。
【0138】
例えば、
図7において、第2の基板12は、第2の連接層122と第2の電極128(第2の基板本体120、貫通孔124、第3のトップ板126は含まれない場合もある)を含み、第2の連接層122の両端はそれぞれ側板13上に位置し、第2の電極128は側板13上に位置する。レーザーダイオード10は、第2の連接層122を介して第2の電極128に電気的に接続される。
【0139】
図7において、レーザーダイオード装置1bの側板13は、レーザーダイオード10の両側の2つの側板13にそれぞれ位置しており、各側板13は、側板本体130と1つ以上の側板インターポーザー(sidewall interposer layer)134を含む。
【0140】
各側板本体130は、第1の基板11と第2の基板12との間に位置し、各側板本体130の一端は側板インターポーザー134を介して第1の基板11に接続されており、各側板本体130の他端は第2の基板12に接続されている。
【0141】
1つ以上の側板インターポーザー134を積層することによって、各側板13の高さを更に調整することができ、その結果、第2の基板12の両側に位置する側板本体130と対応する側板インターポーザー134の上記の積層の高さは、レーザーダイオード10とそれらに対応する凸ブロック14のZ方向の積層の高さと実質的に同じにできる。
【0142】
側板インターポーザー134と側板本体130の材料は、ガラス、金属、合金、プラスチック、ゴム、セラミック又はそれらの組み合わせ等の実質的に同じ又は互いに「適合する」様々な材料とすることができる。例えば、(これらに限定されないが)セラミック放熱材料、具体的には、AlN、Al2O3 、SiC、アルミニウム、銅、鉄、又はステンレス鋼等である。
【0143】
前述の「適合する」とは、2つの材料の間に物理的及び/又は化学的特性に大きな違いがないこと、たとえば2つの材料の熱膨張係数が近似していることを意味する。
【0144】
このように、側板本体130と側板インターポーザー134との配置により、レーザーダイオード装置1bは、十分な高さの収容スペースVを確保することができ、ウエーブガイド102と第2の基板12との間が直接接触してウエーブガイド102の損傷を避けることができ、また、第2の基板12の熱膨張によるウエーブガイド102の圧迫を防止することもできる。
【0145】
図7において、レーザーダイオード10は、1つ以上のチップインターポーザー(chip interposer layer)104を更に含み、チップインターポーザー104は、レーザーダイオードチップ100と第1の基板11との間に位置する。
【0146】
1つ又は複数のチップインターポーザー104を積層することによって、収容スペースV内のレーザーダイオードチップ100と凸ブロック14の高さを更に調整することができ、その結果、第2の基板12の両側の側板本体130は、
図7に示すように、Z方向の積層高さが、レーザーダイオード10とそれに対応する凸ブロック14のZ方向に積層した高さと実質的に同じとなる。
【0147】
ここで、チップインターポーザー104の材料は、ガラス、金属、合金、プラスチック、ゴム、セラミック、又はセラミック放熱材料等(ただしこれ等には限定されない)或いはそれらの組み合わせとすることができる。具体的には、例えば、AlN、Al2O3、SiC、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が挙げられる。
【0148】
これにより、チップインターポーザー104の配置により、レーザーダイオード装置1bは、十分な高さの収容スペースVを確保することができ、凸ブロック14と第2の基板12(すなわち、第2の基板本体120)との電気的接続をより良好にすることができる。
【0149】
次に、
図8を参照して説明する。ここで、本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置1bのC-C’断面図である。
【0150】
例えば、
図8において、第2の基板12は、第2の基板本体120、第2の連接層122、第2の電極128を含む(貫通孔124と第3トップ板126は含まなくても良い)、第2の連接層122の両端はそれぞれ側板13上に位置し、第2の基板本体120は第2の連接層122上に位置する。
【0151】
例えば、第2の連接続層122は、
図8に示すように-Y方向に沿って延伸して第2の連接層122の一部を露出させ、第2の電極128は露出した第2の連接続層122上に位置する。
【0152】
レーザーダイオード10は、第2の連接層122を介して第2の電極128に電気的に接続されることで、第2の基板12の外部(例えば
図8の収容スペースVの外部)に位置する第2の電極128から電流をレーザーダイオード10に流し、その逆も同様である。
【0153】
図8において、レーザーダイオード装置1bの側板13は、レーザーダイオード10の両側の2つの側板13にそれぞれ位置しており、各側板13は、側板本体130と1つ以上の側板インターポーザー134を含む。
【0154】
各側板本体130は、第1の基板11と第2の基板12との間に位置し、各側板本体130の一端は、側板インターポーザー134を介して第1の基板11に接続されており、各側板本体130の他端は、第2の基板12に接続されている。
【0155】
側板本体130と側板インターポーザー134の構成の実施形態については上記の実施形態を参照すれば足りるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0156】
図9を参照して説明する。
図9は本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置のC-C’断面図である。
図9のレーザーダイオード装置1bの配置は上述の実施形態を参照すれば足りるので、ここでは改めて述べない。
【0157】
主な違いは、
図9では、収容スペースVの一部又は全部が充填材15を有することである。例えば、充填材15は、少なくとも収容スペースV内の凸ブロック14(例えば柱状凸ブロック140)と第2の基板12との間に充填される。
【0158】
充填材料15は、絶縁体150と複数の導電性粒子152とを含み、導電性粒子152は絶縁体150中に分散されており、導電性粒子152の一部は、凸ブロック14と第2の基板12との間に位置している。充填材料15は各種の異方性(anisotropic)導電性材料とすることができる。
【0159】
例えば、これには限られないが、異方性導電ペースト(anisotropic conductive paste, ACP)又は異方性導電フィルム(anisotropic conductive film, ACF)であっても良い。
【0160】
凸ブロック14と第2の基板12との間の導電性粒子152に圧力が加えられると、凸ブロック14と第2の基板12との間は、圧力を受けた導電性粒子152が融着により互いに導通し、それによって少なくとも1つの導電性チャネルを形成するので、凸ブロック14と第2の基板12とを導電性チャネルを介して電気的に接続することができる。
【0161】
同時に、圧力を受けていない他の導電性粒子152の間には絶縁体150が依然として充填されているため、それらは互いに導通しない。したがって、凸ブロック14と第2の基板12との間に導電性チャネルが形成されても、充填材料15が充填された収容スペースVが短絡することはない。
【0162】
これにより、凸ブロック14と充填材料15を介して、凸ブロック14と第2の基板12との間の電気的接続が更に向上し、レーザーダイオード10の表面の熱エネルギーをより効果的に下げることができる。
【0163】
なお、充填材料15の絶縁体150はアンダーフィル(underfill)として使用することもでき、これにより、レーザーダイオード10への水分の侵入をさらに防止することができ、レーザーダイオード10の寿命を延ばすことができる。
【0164】
次に、
図10を参照して説明する。ここで、
図10は本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置1bのC-C’断面図である。
【0165】
図10のレーザーダイオード装置1bの構成の実施形態については上述したものを参照すれば足りるので、ここでは詳細に説明しない。主な相違点は、
図10では、凸ブロック14が第2の基板突凸部142であることである。
【0166】
第2の基板凸部142は、第2の基板12(すなわち、第2の基板本体120)から延伸し、第2の電極128とレーザーダイオード10とを電気的に接続する。
【0167】
第2の基板凸部142の第2の基板12に近い側(即ち第2の基板本体120)と第2の基板12から遠い側(すなわち、第2の基板本体120)はそれぞれトップ部の幅と底部の幅を有する。
【0168】
第2の基板凸部142のトップ部の幅は、第2の基板凸部142の底部の幅と実質的に同じであっても良く、異なっていても良い。たとえば、
図10では、第2の基板凸部142のトップ部の幅は第2の基板凸部142の底部の幅より広く、トップ部の幅が広く底部の幅が狭い逆稜(逆リッジ)形状の第2の基板凸部142を形成する。
【0169】
上述の形状による逆稜形状の第2の基板凸部142は、第2の基板と第2の基板凸部142の作成に有利である。
【0170】
例えば、第2の基板凸部142と第2の基板本体120とを一体的に形成することができ、複雑なプロセスを軽減することで、両者の結合不良を回避することもでき、より安定した品質の第2の基板12と第2の基板凸部142を提供できる。
【0171】
第2の基板突部142の材料は、第2の基板本体120の材料と実質的に同じ又は適合すれば足り、例えば、金属、合金、プラスチック、ゴム、セラミック、又はセラミック放熱材料等(但し、これらに限定されない)或いはそれらの組み合わせであっても良い。
【0172】
具体的には、例えば、AlN、Al2O3、SiC、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が挙げられる。前述の「適合する」とは、2つの材料間に物理的および/または化学的特性に大きな違いがないことを言い、例えば2つの材料の熱膨張係数が近似している場合が挙げられる。
【0173】
本実施形態では、第2の基板12は、第2の連接層122を更に含み、第2の連接層122は、第2の基板凸部142とレーザーダイオード10との間に位置して、レーザーダイオード10と第2の電極128とを電気的に接続する(すなわち、第2の基板本体120と第2の基板突出部142)。第2の連接層122の構成に関する実施形態については上述した実施形態から類推できるので、ここでは詳細に説明しない。
【0174】
図11を参照して説明する。ここで、
図11は本実施形態に基づいたキャップされた
図3Aのレーザーダイオード装置1bのC-C’断面図である。なお、
図11のレーザーダイオード装置1bの実施形態については上述の説明から分かるので、ここでは詳細に説明しない。
【0175】
主な相違点としては、
図11では、凸ブロック14が導電性接着剤144であることである。導電性接着剤144は、レーザーダイオード10の第2の基板12に近い側に配置され、レーザーダイオード10と第2の基板12(すなわち、第2の電極128)とを電気的に接続する。
【0176】
導電性接着剤144の材料は、例えば、銀、錫、銅、金、カーボン、又はそれらの合金であるが、これらに限定されない。代わりとしては、例えば、銀ペースト、銅ペースト、金ペースト、カーボンペースト、又はそれらの組み合わせ、或いははんだボールを形成することができる。
【0177】
導電性接着剤144は、製造工程中は流動(流体)状態であるため、流体状態の導電性接着剤144は、レーザーダイオードチップ100上に直接配置されることに加えて、同時にウエーブガイド102上にも直接配置される。
【0178】
さらに、硬化した導電性接着剤144は、レーザーダイオードチップ100とウエーブガイド102に実質的に一致する外観形状を有し、良好な電気的接続を有することに加えて、硬化後はレーザーダイオードチップ100とウエーブガイド102に損傷を与えたり押し出したりすることがない。
【0179】
導電性接着剤144を介して、レーザーダイオード10と第2の基板12(すなわち、第2の電極128)とをより広い面積で電気的に接続することができるため、全体の抵抗をより効果的に低減することができ、それによって発生する熱エネルギーを速やかに低減できる。
【0180】
更に、製造プロセスにおける導電性接着剤144の流動特性により、ウエーブガイド102を意図的に避ける必要がなく、導電性接着剤144は、レーザーダイオードチップ100上に直接配置することができ、従来の製造プロセスに必要な時間とコストを大幅に削減することができる。
【0181】
図12を参照すると、
図12は、本実施形態による光電送受信システム2の概略ブロック図である。
図12において、光電送受信システム2は、光ファイバ24、レンズ22、及びレーザーダイオード装置1bを備える。
【0182】
また、光ファイバ24は、光源(又は光信号)を伝送するために用いられる。例えば、光源(又は光信号)を送信し又は受信するために使用される。レンズ22は、光源(又は光信号)を送受信するために光ファイバ24の近くに配置される。
【0183】
レーザーダイオード装置1bの構成の実施形態については上述の実施形態から類推できるため、ここでは詳細な説明を省略する。レーザーダイオード10は、光源を介してレンズ22と光ファイバ24と通信するように構成することができる。
【0184】
例えば、レーザーダイオード10は、レンズ22から光源(又は光信号)を受信するか、或いは、光源(又は光信号)をレンズ22と光ファイバ24に送信するために使用される。例えば、光ファイバ24が光源(又は光信号)を伝送するように構成されている場合、レンズ22は、光ファイバ24から光源(又は光信号)を受信するように構成され、光源(又は光信号)をレーザーダイオード装置1bに送信する。
【0185】
或いは、例えば、光ファイバ24が光源(又は光信号)を受信するように構成されている場合、レンズ22は、レーザーダイオード装置1bからの光源(又は光信号)を受け取るように構成されており、光源(又は光信号)を光ファイバ24に送信する。
【0186】
本実施形態では、光源は、レーザーダイオード10を介して通信可能に接続される。すなわち、光ファイバ24から光源を受信し、又は、光源を光ファイバ24に送信することの少なくとも何れかを行う。
【0187】
光電送受信システム2は、発光サブアセンブリ(Optical Subassembly, OSA)、光受信サブアセンブリ(Transmitter Optical Subassembly, TOSA)、又は光受信サブアセンブリ(Receiver Optical Subassembly,ROSA)等の高速信号伝送のための光サブアセンブリ又はこれらの組み合わせである。
【0188】
図12において、本実施形態によれば、高速信号伝送のための光サブアセンブリ(OSA)としての光電送受信システム2は、電気サブアセンブリ(Electrical Subassembly,ESA)と組み合わせることができる。電気サブアセンブリ(ESA)によって駆動され、高速信号伝送に使用できる光伝送モジュールを形成する。
【0189】
電気サブアセンブリ(ESA)は、例えば、レーザーダイオード駆動器20とすることができる。例えば、
図12では、光電送受信システム2は、レーザーダイオード駆動器20を更に含む。
【0190】
レーザーダイオード駆動器20は、レーザーダイオード装置1bに電気的に接続されており、レーザーダイオード駆動器20は、駆動信号(差動電圧信号や電流駆動信号等)をレーザーダイオード装置1bに送信し、レーザーダイオード装置1bのレーザーダイオード10は、光によってレンズ22と光ファイバ24と通信することができる。
【0191】
例えば、レーザーダイオード装置1bのレーザーダイオード10は、レンズ22から光源(又は光信号)を受信したり、レンズ22と光ファイバ24に光源(又は光信号)を送信したりするために使用される。したがって、放熱性能が優れたレーザーダイオード装置1bにより、光電送受信システム2は、従来の放熱性能が悪いという欠点に制限されることなく、より幅広く、より多様な用途に使用できるようになる。
【0192】
上 記に基づいて、本実施形態では、凸ブロック、第1の電極、及び第2の電極の構成によって、凸ブロックの両端に位置するレーザーダイオード(及び第1の電極)と第2の電極とを電気的に接続して、2つの放熱経路を形成し、並列回路と同様の全体抵抗を形成することができる。
【0193】
したがって、光電送受信システム及びそのレーザーダイオード装置は、以前の直列抵抗よりも低い全体抵抗を提供し、より少ない熱エネルギーを生成することができ、レーザーダイオードの表面の放熱効率を効果的に改善することができる。
【0194】
さらに、貫通孔の高さはウエーブガイドの高さよりも大幅に高く、光電送受信システムとそのレーザーダイオード装置は、第2の基板のカバーおよび/または第2の基板の熱膨張によるウエーブガイドの圧迫によりウエーブガイドの損傷を回避することができる。
【0195】
以上、本発明を上記の実施形態により説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者なら若干の変更や修正が可能であるため、本発明の技術的の範囲は、特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0196】
1a キャップレスレーザーダイオード装置
1b レーザーダイオード装置
10 レーザーダイオード
100 レーザーダイオードチップ
102 ウエーブガイド
104 チップインターポーザー
11 第1の基板
110 第1の基板本体
112 第1のトップ板
114 第1の連接層
116 第1の電極
12 第2の基板
120 第2の基板本体
122 第2の連接層
123 第2のトップ板
124 貫通孔
126 第3のトップ板
128 第2の電極
13 側板
130 側板本体
132 側板連接層
134 側板インターポーザー
14 凸ブロック
140 柱状凸ブロック
142 第2の基板凸部
144 導電性接着剤
15 充填材料
150 絶縁体
152 導電性粒子
2 光電送受信システム
20 レーザーダイオード駆動器
22 レンズ
24 光ファイバ
A1 柱状凸ブロックの底部面積の総和
A2 レーザーダイオードの表面積
H1 凸ブロックの高さ
H2 ウエーブガイドの高さ
N 柱状凸ブロックの数
V 収容スペース
X 座標のX方向
Y 座標のY方向
Z 座標のZ方向
A-A’ 断面線
B-B’ 断面線
C-C’ 断面線
d1 第1の直径
d1’ 第2の直径
d2 ウエーブガイドの底部の幅
d2’ ウエーブガイドのトップ部の幅
【要約】
【課題】放熱効果が高いレーザーダイオード装置及び光電送受信システムを提供する。
【解決手段】凸ブロックは、ウエーブガイドに対応し、凸ブロックの一端は第2の電極に電気的に接続され、凸ブロックの高さは実質上ウエーブガイドの高さより高く、凸ブロックは柱状凸ブロックであり、柱状凸ブロックのレーザーダイオードに近い一方の側は第1の直径を有し、柱状凸ブロックは、レーザーダイオードから第2の基板へ延伸する高さを有し、第1の直径と前記柱状凸ブロックの前記高さの比は0.85~1.1である。
【選択図】
図3A