(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】ダウンパディング用ウェブ、およびこれを含む4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング
(51)【国際特許分類】
A41D 31/00 20190101AFI20241105BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20241105BHJP
B32B 7/03 20190101ALI20241105BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20241105BHJP
D04H 1/541 20120101ALI20241105BHJP
A41D 31/02 20190101ALN20241105BHJP
A41D 31/04 20190101ALN20241105BHJP
A41D 31/06 20190101ALN20241105BHJP
【FI】
A41D31/00 502K
B32B5/26
B32B7/03
D04H1/4382
D04H1/541
A41D31/00 503M
A41D31/00 504F
A41D31/02 E
A41D31/04 F
A41D31/06 100
(21)【出願番号】P 2023188042
(22)【出願日】2023-11-01
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0103769
(32)【優先日】2023-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514147734
【氏名又は名称】ティーピー インク
【住所又は居所原語表記】12, Digital-ro 31-gil, Guro-gu, Seoul, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム ソクウォン
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/177969(WO,A1)
【文献】特開2007-211387(JP,A)
【文献】特開2008-303480(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1519410(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101081690(CN,A)
【文献】特表2021-536535(JP,A)
【文献】特表2019-536916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D31/00-31/32
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量70~150g/m
2
であるダウンパディング用ウェブであり、
前記ダウンパディング用ウェブはグースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中から選択された1種以上を含
むダウン
25.0~50.0重量%;HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維
9.0~18.0重量%;RSS(Regular Solid Siliconized Fiber)単繊維
13.0~21.0重量%および100重量%のうち残りの残量の非延伸性低融点(Low melting)シース-コア複合繊維を含
み、
前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維のシース部は融点が100~150℃であり、コア部は融点が250℃以上であり、
前記HCT単繊維および前記RSS単繊維は融点が260℃以上であることを特徴とする、4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング用ウェブ。
【請求項2】
前
記ダウンは羽毛(feather)15~30重量%および綿毛(down)70~85重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の
4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング用ウェブ。
【請求項3】
前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維は平均繊度3.0~5.0deおよび平均繊維長45~60mmであり、
前記HCT単繊維は平均繊度2.0~3.5de、平均繊維長45~60mmおよびクリンプ数15~23個/inchであり、
前記RSS単繊維は平均繊度2.0~3.5deおよび平均繊維長45~60mmであることを特徴とする、請求項1に記載の
4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング用ウェブ。
【請求項4】
請求項1に記載されたダウンパディング用ウェブで構成されたウェブ層;および
前記ウェブ層の上部および下部に積層されてウェブ層と結合されたシート層;を含み、
前記シート層は高弾性ポリエステル糸で製織されたネット(net)構造の多方向延伸性織物を含み、
前記ウェブ層とシート層は
隔室構造の形成なしに結合されて一体化された複合シートであることを特徴とする、4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング。
【請求項5】
前記ウェブ層とシート層間にアクリル樹脂層を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング。
【請求項6】
ウェブ層の秤量が80~100g/m
2であるとき、
ASTM D1518方法に基づいて測定した保温力が2.00CLO以上を満足し、
ASTM D737方法に基づいて測定した通気性が100CFM(Cubie feet per minute)以上を満足することを特徴とする、請求項
4に記載の4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング。
【請求項7】
ウェブ層の秤量が80~100g/m
2であるとき、
JIS L 1096方法に基づいて測定した1時間後の乾燥比率が30.0%以上を満足し、
復元率が83.0%以上を満足することを特徴とする、請求項
4に記載の4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング。
【請求項8】
ウェブ層の秤量が80~100g/m
2であるとき、
ASTM D3107方法に基づいて測定および下記の式2によって計算された30秒後の残存伸び率(Residual Extension)が、縦方向に6.5%以下および横方向に8.0%以下を満足し、
ASTM D3107方法に基づいて測定および式3によって計算された30秒後の回復率(Recovery)は縦方向に70.0%以上および横方向に65.0%以上を満足することを特徴とする、請求項
4に記載の4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディング;
[式2]
残存伸び率(Residual Extension=growth、%)=[{(元の長さ+回復されていない長さ)-元の長さ}/元の長さ]×100%
[式3]
回復率(Recovery、%)=[{最大伸長長さ-(元の長さ+回復されていない長さ)}/(最大伸長長さ-元の長さ)]×100%
【請求項9】
供給部にベール(bale)状態の原糸を供給する1段階;
供給部に供給された原糸をベールブレーキング(bale breaking)およびオープニング(opening)工程をそれぞれ遂行する2段階;
オープニングされた原糸をカーディング(carding)処理する3段階;
カーディング処理した原糸をウェブ(web)に加工および製造する4段階;
前記ウェブの両表面にアクリル樹脂を塗布した後、乾燥工程を遂行する5段階;および
アクリル樹脂が固着されたウェブを表面熱処理した後、ウェブの両面にシートを積層させた後、ヒーティングロール(heating roll)でローリングを遂行した後、パッキング化させ
て複合シートであるダウンパディングを製造する6段階;を含む工程を遂行
し、
前記原糸はグースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中で選択された1種以上を含むダウン25.0~50.0重量%;HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維9.0~18.0重量%;RSS(Regular Solid Siliconized Fiber)単繊維13.0~21.0重量%;および100重量%のうち残りの残量の非延伸性低融点(Low melting)シース-コア複合繊維;を含み、
前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維のシース部は融点が100~150℃であり、コア部は融点が250℃以上であり、
前記HCT単繊維および前記RSS単繊維は融点が260℃以上であり、
4段階の前記ウェブは秤量70~150g/m
2
であることを特徴とする、4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は厚さが薄いだけでなく保温性に優れ、4方向(またはマルチ方向)に伸縮性が優秀な超軽量ダウンパディングおよびこの製造に使われるダウンパディング用ウェブ、これを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季の野外活動時に体温を維持できる防寒衣類としてアヒルの羽毛やガチョウの羽毛を使ったダウン製品は、ダウンの綿毛と綿毛の間に多量の空気を含有して優れた保温力を有しているため、市場で高級品として好まれてきた。
【0003】
このようなダウン製品が冬ファッションの主力品目に浮上したことにより、軽くて携帯が簡便な超軽量性ダウンジャンパーの人気が持続的に増加しており、これに伴い、保温性および軽量性に関連して多くの開発がなされている。
【0004】
しかし、ダウンパディングの場合、綿毛は復元および支持力が不足しており、縫い線に沿ってダウンが抜け出る羽根抜け、ダウン特有の臭いが品質不満の原因となり、その他に羽毛が固まることによる製品の外観不良と洗濯困難が指摘されてきた。ダウン製品の羽根抜け、羽毛が固まることなどを防止するために、ダウンパディングのコア層(ダウンで構成されたウェブ)と裏地を縫い合わせ、多数の隔室構造を有する構造で裁断したり、裏地と表地を縫い合わせ、多数の隔室構造を有する構造で裁断した後、隔室内にダウンを充填させてダウンパディングを製造することにより、多数の隔室構造の内部にダウンが充填された形態、すなわち、縫い線の間間にダウンが充填された形態(たとえば、キルティング構造など)でダウンパディングを製造したが、このような構造のダウンパディングはコールドスポット(cold spot)が発生して保温力を減少させる問題がある。
【0005】
また、最近の衣類製品のトレンドはデザインと共に活動性も非常に強調されているのが実情であるが、前記のように隔室構造のダウンパディングは伸縮性、復原力が劣っており、高い断熱性、保温力を確保するためにダウンパディングの厚さが非常に厚いため、最近のファッショントレンド(trend)にも合わない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許番号第10-1334624号(公告日2013.11.25)
【文献】韓国登録特許番号第10-1669938号(公告日2016.10.21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はダウンパディングにおいてコールドスポットを発生させる隔室構造の形成がないだけでなく、ニードルポンチングがない一体型のシートタイプで製造し、ダウンパディングの伸縮性、復原性を大きく増大させながらも、優秀な保温性を有することができるように組成が最適化されたダウンパディング用ウェブおよびこれを充填剤(またはウェブ層)で含む超軽量ダウンパディングを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための本発明のダウンパディング用ウェブは、グースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中で選択された1種以上を含む混合ダウン、非延伸性低融点(Low melting)シース-コア複合繊維、HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維およびRSS(Regular Solid Siliconized Fiber)単繊維を含む。
【0009】
本発明の好ましい一実施例として、前記混合ダウンは羽毛(feather)15~30重量%および綿毛(down)70~85重量%を含む。
【0010】
本発明の好ましい一実施例として、前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維のシース部は融点が100~150℃であり、コア部は融点が250℃以上である。
【0011】
本発明の好ましい一実施例として、前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維は平均繊度3.0~5.0deおよび平均繊維長45~60mmである。
【0012】
本発明の好ましい一実施例として、前記HCT単繊維および前記RSS単繊維それぞれは融点が260℃以上である。
【0013】
本発明の好ましい一実施例として、前記HCT単繊維平均繊度2.0~3.5de、平均繊維長45~60mmおよびクリンプ数15~23個/inchである。
【0014】
本発明の好ましい一実施例として、前記RSS単繊維は平均繊度2.0~3.5deおよび平均繊維長45~60mmである。
【0015】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディング用ウェブは前記混合ダウン25.0~50.0重量%、前記HCT単繊維9.0~18.0重量%、RSS単繊維13.0~21.0重量%および100重量%のうち残り残量の前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維を含む。
【0016】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディング用ウェブは秤量70~150g/m2であり得る。
【0017】
本発明の他の目的は4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディングに関し、前述した前記ダウンパディング用ウェブで構成されたウェブ層;および前記ウェブ層の上部および下部に積層されてウェブ層と結合されたシート層;を含む。
【0018】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはコールドスポット(cold spot)は発生させる隔室構造およびニードルポンチングがない、ウェブ層とシート層が一体型に結合された複合シートである。
【0019】
本発明の好ましい一実施例として、前記シート層は高弾性ポリエステル糸で製織されたネット(net)構造の多方向延伸性織物を含むことができる。
【0020】
本発明の好ましい一実施例として、前記ウェブ層とシート層間にアクリル樹脂層を含むことができる。
【0021】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D1518方法に基づいて測定した保温力が2.00CLO以上を満足することができる。
【0022】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D737方法に基づいて測定した通気性が100CFM(Cubie feet peer minute)以上を満足することができる。
【0023】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、JIS L 1096方法に基づいて測定した1時間後の乾燥比率が30.0%以上を満足することができる。
【0024】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、復元率が83.0%以上を満足することができる。
【0025】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および式2によって計算された30秒後の残存伸び率(Residual Extension)が、縦方向に6.5%以下および横方向に8.0%以下を満足することができる。
【0026】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および式2によって計算された30分後の残存伸び率(Residual Extension)が、縦方向に3.0%以下および横方向に4.5%以下を満足することができる。
【0027】
[式2]
残存伸び率(Residual Extension=growth、%)=[{(元の長さ+回復されていない長さ)-元の長さ}/元の長さ]×100%
【0028】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および式3によって計算された30秒後の回復率(Recovery)は縦方向に70.0%以上および横方向に65.0%以上を満足することができる。
【0029】
本発明の好ましい一実施例として、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および式3によって計算された30分後の回復率(Recovery)は縦方向に75.0%以上および横方向に75.0%以上を満足することができる。
【0030】
[式3]
回復率(Recovery、%)=[{最大伸長長さ-(元の長さ+回復されていない長さ)}/(最大伸長長さ-元の長さ)]×100%
【0031】
本発明の他の目的は前記4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディングを製造する方法に関し、供給部にベール(bale)状態の原糸を供給する1段階;供給部に供給された原糸をベールブレーキング(bale breaking)およびオープニング(opening)工程をそれぞれ遂行する2段階;オープニングされた原糸をカーディ
ング(carding)処理する3段階;カーディング処理した原糸をウェブ(web)に加工および製造する4段階;前記ウェブの両表面にアクリル樹脂を塗布した後、乾燥工程を遂行する5段階;およびアクリル樹脂が固着されたウェブを表面熱処理した後、ウェブの両面にシートを積層させた後、ヒーティングロール(heating roll)でローリングを遂行した後、パッキング化させる6段階;を含む工程を遂行して製造するこ
とができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のダウンパディングはコールドスポットがなく、保温性、断熱性が優秀であり、伸縮性、復原力が優秀であるため、形態変形性が非常に少ない超軽量ダウンパディングである。また、本発明のダウンパディングは既存のダウンパディングに比べて乾燥性が優秀であり、ダウンの離脱がない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明ダウンパディングの断面構造に対する概略図である。
【
図2】本発明のダウンパディング製造工程の概略図である。
【
図3】実施例1で製造したダウンパディングを撮影した写真である(AおよびB)。
【
図4】実験例2の伸縮性測定に使われた装置を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書で使う用語である「非延伸性」は非常に低い伸び率、復元率を有することを意味し、弾力性が低いため繊維が外部の力によって伸びた後、元の形態に戻れない特性を意味する。
【0035】
本明細書で使う用語である「4方向」は2次元平面で、ダウンパディングが延伸されるいずれか一方向の両方向とこれに垂直な方向の両方向を意味する。
【0036】
以下で本発明をさらに具体的に説明する。
【0037】
本発明のダウンパディング用ウェブはコールドスポットがないウェブであって、隔室構造およびニードルポンチングがないシート形態のウェブである。
【0038】
本発明のタウンパディング用ウェブはグースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中で選択された1種以上を含む混合ダウン、非延伸性低融点(Low melting)シース-コア複合繊維、HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維およびRSS(Regular Solid
Siliconized Fiber)単繊維を含むことができる。
【0039】
前記混合ダウンはグースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中で選択された1種以上を含む。この時、混合ダウンの混合はグースおよび/またはダックダウンの混合を意味するものではなく、羽毛(feather)および綿毛(down)の混合を意味する。
【0040】
そして、前記混合ダウンは羽毛(feather)15~30重量%および綿毛(down)70~85重量%を含むことができ、好ましくは羽毛15~25重量%および100重量%のうち残り残量の綿毛を含むことができ、さらに好ましくは羽毛17.5~22.5重量%および100重量%のうち残り残量の綿毛を含むことができる。この時、羽毛含量が15.0重量%未満であれば綿毛含量が過度に高いため価格競争力が大きく落ちる問題があり得、羽毛含量が30.0重量%を超過すれば保温性が多少低下し得、製品の表面が均一でない問題があり得るので、保温性、商品性などを考慮する時、前記範囲内で羽毛と綿毛を使った方が良い。
【0041】
そして、前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維はウェブ内混合ダウンおよび他の繊維を結合させる役割およびウェブの形態を安定化させる役割をする繊維であって、延伸性
(伸縮性)がない繊維である。
【0042】
前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維のシース部は融点100~150℃、好ましくは融点105~130℃、さらに好ましくは融点105~120℃であるPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で構成され得る。そして、非延伸性低融点シース-コア複合繊維のコア部は融点が250℃以上、好ましくは融点250~280℃、さらに好ましくは255~275℃であるPET樹脂で構成され得る。
【0043】
この時、シース部形成樹脂の融点が100℃未満であればよく融着されない問題があり得、シース部形成樹脂の融点が150℃を超過すれば製品が硬くなる問題があり得る。また、コア部形成樹脂の融点が250℃未満であれば原糸間で連結が緩くなる問題があり得、コア部形成樹脂の融点が280℃を超過すれば原糸間で連結部品が硬くなって固まる問題があり得る。
【0044】
そして、非延伸性低融点シース-コア複合繊維は平均繊度3.0~5.0deおよび平均繊維長45~60mmであるものを使うことができ、好ましくは平均繊度3.5~4.7deおよび平均繊維長45~58mmであるものを、さらに好ましくは平均繊度3.7~4.5deおよび平均繊維長48~55mmであるものを使った方が良い。この時、非延伸性低融点シース-コア複合繊維の平均繊度が3.0de未満であれば厚さ感が低くなる問題があり得、非延伸性低融点シース-コア複合繊維の平均繊度が5.0deを超過すれば製品の触感がやわらかくなくなる問題があり得る。また、非延伸性低融点シース-コア複合繊維の平均繊維長が45mm未満であれば原糸間結合がよくなされない問題があり得、平均繊維長が60.0mmを超過すれば原糸が絡まって厚さ感が低くなる問題があり得る。
【0045】
次に、ウェブを構成する前記RSS単繊維はウェブの強度増大、柔軟性、やわらかさを付与する役割をするものであって、ウェブ製造工程およびこれを利用したダウンパディング工程の条件下では熱融着性がない繊維である。したがって、前記RSS単繊維は融点260℃以上である、好ましくは融点260~300℃を満足する繊維である。好ましい一具現例として、前記RSS単繊維は他の繊維との混和性増大のためにシリコンコーティングされたポリエステル繊維を使うことができ、好ましい一例を挙げると、100%PET(ポリエチレンテレフタレート)レギュラー(Regular)単繊維に脂肪族アルコール、ホスフェート混合物、低分子量アルコール混合物シリコン油剤の種類を混合してコーティングしたPET繊維をRSS単繊維として使うことができる。
【0046】
そして、前記RSS単繊維は平均繊度2.0~3.5de、平均繊維長45~60mmおよびクリンプ数15~23個/inchであるものを使用することができ、好ましくは平均繊度2.0~3.0de、平均繊維長45~58mmおよびクリンプ数17~23個/inchであるものを使用することができ、さらに好ましくは平均繊度2.2~2.8de、平均繊維長48~55mmおよびクリンプ数18~22個/inchであるものを使用することができる。この時、RSS単繊維の平均繊度が2.0de未満であれば原糸に力がなくて原糸間結合がうまくいかない問題があり得、非延伸性RSS単繊維の平均繊度が3.0deを超過すれば製品のやわらかい触感が低くなる問題があり得る。また、RSS単繊維の平均繊維長が45mm未満であれば原糸間結合がうまくいかない問題があり得、平均繊維長が60.0mmを超過すれば原糸が絡まって厚さ感が低くなる問題があり得る。また、RSS単繊維のクリンプ数が15個/inch未満であれば復原力が低くなる問題があり得、クリンプ数が23個/inchを超過すれば原糸間結合力が低くなる問題があり得る。
【0047】
次に、ウェブを構成する前記HCT単繊維はウェブの伸縮性付与および復原力を付与す
る役割をするものであって、前記HCT単繊維は融点260℃以上である、好ましくは融点265℃以上を満足する繊維である。好ましい一具現例として、前記HCT単繊維は前記融点を満足するポリエステル繊維、さらに好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維を使うことができる。
【0048】
そして、前記HCT単繊維は平均繊度2.0~3.5deおよび平均繊維長45~60mmであるものを使用することができ、好ましくは平均繊度2.0~3.0de、および平均繊維長45~58mmであるものを使用することができ、さらに好ましくは平均繊度2.2~2.8deおよび平均繊維長48~55mmであるものを使用することができる。この時、HCT単繊維の平均繊度が2.0de未満であれば弾性が低くなる問題があり得、非延伸性HCT単繊維の平均繊度が3.0deを超過すれば弾性後復原力が低くなる問題があり得る。また、HCT単繊維の平均繊維長が45mm未満であれば結合力が低くなる問題があり得、平均繊維長が60.0mmを超過すれば原糸が絡まって厚さ感が低くなる問題があり得る。
【0049】
前述した繊維で構成された本発明のタウンパディング用ウェブは、前記混合ダウン25.0~50.0重量%、前記HCT単繊維9.0~18.0重量%、RSS単繊維13.0~21.0重量%および100重量%のうち残り残量の前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維を含むことができ、好ましくは前記混合ダウン28~45重量%、前記HCT単繊維9.5~16.5重量%、RSS単繊維14.0~21.0重量%および100重量%のうち残り残量の前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維を含むことができ、さらに好ましくは前記混合ダウン29~42重量%、前記HCT単繊維9.8~16.3重量%、RSS単繊維14.0~20.5重量%および100重量%のうち残り残量の前記非延伸性低融点シース-コア複合繊維を含むことができる。この時、ウェブ内混合ダウン含量が25重量%未満であれば保温性が不足し得、50重量%を超過すれば相対的に他の繊維含量が減少して、ウェブを適用して製造しようとする伸縮性、復原力が高いダウンパディングに不適合であり得る。そして、ウェブ内のHCT単繊維含量が9重量%未満であればウェブの伸縮性、弾力性などが低下する問題があり得、18重量%を超過してもそれ以上の伸縮性の増大がない可能性もあるので、前記範囲内で使った方が良い。そして、ウェブ内のRSS単繊維含量が13重量%未満であればウェブの強度および柔軟性が過度に不足して商品性、加工性が低下し得、22重量%を超過して使用すると、ウェブの強度の増大は良いが、相対的にウェブの保温性が減少し得るため前記範囲内で使った方が良い。
【0050】
本発明のダウンパディング用ウェブ(単層ウェブおよび/または複合ウェブ)は秤量70~150g/m2であるものが、好ましくは秤量75~140g/m2であるものが、さらに好ましくは秤量78~135g/m2であるものが、ウェブが適用されたダウンパディングのシン(thin)特性、超軽量、高保温性などの物性確保の側面で好ましい。
【0051】
本発明の4方向高伸縮性および高保温性超軽量ダウンパディングについて説明すると、本発明のダウンパディングは
図1に概略図で示した通り、前述したダウンパディング用ウェブで構成されたウェブ層1;および前記ウェブ層の上部および下部に積層されてウェブ層と結合されたシート層100、100’;を含み、前記ウェブ層とシート層はコールドスポット(cold spot)なしに結合されて一体化された複合シートである。
【0052】
そして、前記ウェブ層とシート層間はアクリル樹脂層を含むことができる。
【0053】
そして、前記シート層は高弾性ポリエステル糸で製織されたネット(net)構造の多方向延伸性織物であり得る。
【0054】
本発明の前記ダウンパディングは、
図2に概略的な工程図で示したような工程を通じて
製造することができる。より具体的に説明すると、供給部にベール(bale)状態の原糸を供給する1段階;供給部に供給された原糸をベールブレーキング(bale breaking)およびオープニング(opening)工程をそれぞれ遂行する2段階;オ
ープニングされた原糸をカーディング(carding)処理する3段階;カーディング処理した原糸をウェブ(web)に加工および製造する4段階;前記ウェブの両表面にアクリル樹脂を塗布した後、乾燥工程を遂行する5段階;およびアクリル樹脂が固着されたウェブを表面熱処理した後、ウェブの両面にシートを積層させた後、ヒーティングロール(heating roll)でローリングを遂行した後、パッキング化させる6段階;を含む工程を遂行して製造することができる。
【0055】
前述した本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D1518方法に基づいて測定した保温力が2.00CLO以上を満足することができ、好ましくは2.05~3.00CLO、さらに好ましくは2.10~2.96CLOを満足することができる。
【0056】
また、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D737方法に基づいて測定した通気性が100.0CFM(Cubie feet per minute)以上を満足することができ、好ましくは120.0~150.000CFM、さらに好ましくは125.0~145.000CFMを満足することができる。
【0057】
また、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、JIS L 1096方法に基づいて測定した1時間後の乾燥比率が30.0%以上を満足することができ、好ましくは1時間後の乾燥比率が31.0~40.0%、さらに好ましくは31.0~38.5%を満足することができる。
【0058】
また、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、復元率が83.0%以上を満足することができ、好ましくは復元率が85.0~92.0%、さらに好ましくは85.0~90.0%を満足することができる。
【0059】
また、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および下記の式2によって計算された30秒後の残存伸び率(Residual Extension)が、縦方向に6.5%以下および横方向に8.0%以下を満足し、好ましくは縦方向に1.0~6.2%および横方向に3.0~7.0%を満足し、さらに好ましくは縦方向に1.4~6.0%および横方向に3.5~6.7%を満足することができる。
【0060】
そして、同一の方法で30分後の残存伸び率の測定時、縦方向に5.0%以下および横方向に4.5%以下を満足し、好ましくは縦方向に1.0~4.8%および横方向に1.2~4.5%を満足し、さらに好ましくは縦方向に1.0~4.5%および横方向に2.0~4.2%を満足することができる。
【0061】
この時、前記縦方向はダウンパディングのシート層を構成する織物の経糸(warp)方向であり、前記横方向はダウンパディングのシート層を構成する織物の緯糸(weft)方向を意味する。
【0062】
[式2]
残存伸び率(Residual Extension=growth、%)=[{(元の長さ+回復されていない長さ)-元の長さ}/元の長さ]×100%
【0063】
また、本発明のダウンパディングはウェブ層の秤量が80~100g/m2であるとき、ASTM D3107方法に基づいて測定および式3によって計算された30秒後の回復率(Recovery)は縦方向に70.0%以上および横方向に65.0%以上を満足し、好ましくは縦方向に70.0~86.0%および横方向に65.0~80.0%を満足し、さらに好ましくは縦方向に65.0~85.0%および横方向に66.5~80.0%を満足することができる。
【0064】
そして、同一の方法で30分後の回復率測定時、縦方向に75.0%以上および横方向に75.0%以上を満足し、好ましくは縦方向に76.0~90.0%および横方向に76.5~87.5%を満足し、さらに好ましくは縦方向に77.5~89.0%および横方向に77.0~87.0%を満足することができる。
【0065】
この時、前記縦方向はダウンパディングのシート層を構成する織物の経糸(warp)方向であり、前記横方向はダウンパディングのシート層を構成する織物の緯糸(weft)方向を意味する。
【0066】
[式3]
回復率(Recovery、%)=[{最大伸長長さ-(元の長さ+回復されていない長さ)}/(最大伸長長さ-元の長さ)]×100%
【0067】
以下では、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明することにするが、下記の実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈されるべきである。
【0068】
[実施例]
実施例1:ダウンパディングの製造
【0069】
ベール状態のアヒルの羽毛20重量%およびアヒルの綿毛80重量%で含む混合ダウンを準備した。
【0070】
平均繊度4deおよび平均繊維長51mmの非延伸性低融点シース-コア複合繊維を準備した(メーカー:ヒュビス、商品名:LMF)。この時、前記複合繊維はシース部が融点110℃であるポリエチレンテレフタレート樹脂で構成され、コア部は融点250℃であるPET樹脂で構成された繊維であり、コア部およびシース部の断面の面積比は1:1である。
【0071】
RSS(Regular Solid Siliconized Fiber)単繊維として、融点260℃以上であるシリコンコーティングされたPET(Polyethylene terephthalate)繊維(メーカー:ヒュビス、商品名:Regular単繊維)を準備した。前記RSS繊維は、平均繊度2.5deおよび平均繊維長51mmである。
【0072】
HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維として、融点260℃以上であるPET繊維(メーカー:ヒュビス、商品名:ZENTRA)を準備した。前記HCT繊維は平均繊度2.5deおよび平均繊維長51mmである。
【0073】
前記混合ダウン、非延伸性低融点シース-コア複合繊維、RSS単繊維およびHCT単繊維を原糸として供給して、
図2に概略的な工程で示した工程を通じてダウンパディングを製造した。
【0074】
前記原糸を供給部に供給して、ベールブレーキング(bale breaking)およびオープニング(opening)工程を遂行した。
【0075】
次に、オープニングされた原糸をカーディング機に移送させて、カーディング(carding)処理した。
【0076】
次に、カーディング処理した原糸をウェブ形成部に移送してウェブ(web)に形成加工してウェブを製造した。
【0077】
次に、前記ウェブの乾燥部に移送してウェブの一表面にアクリル樹脂(メーカー:WOLSUNG VINA、商品名:MEDIUM RESIN)をスプレーコーティングした後、1次乾燥を遂行し、さらにウェブの他表面にアクリル樹脂をスプレーコーティングした後、2次乾燥を遂行して、ウェブの上下部にアクリル樹脂を固着させた。この時、乾燥温度は145℃~155℃であり、前記2回に亘ったスプレーコーティングおよび1、2次乾燥は連続的な工程である。
【0078】
次に、アクリル樹脂層が形成されたウェブを熱処理部に移送して310℃~350℃で表面熱処理した後、シート供給部に移送させてウェブの上下部両面に高弾性ポリエステル糸で製織されたネット(net)構造の多方向延伸性織物(メーカー:Chargeurs PCC、商品名:#6029)を積層させた。
【0079】
次に、これをヒーティング(heating)ロールで圧着して一体化させた後、パッキング処理して一体型複合シートタイプのダウンパディングを製造した。
【0080】
製造されたダウンパディングは単層のウェブと前記ウェブ上部および下部に積層および結合された一体化されたシート層で構成されており、製造したダウンパディングの写真を
図3のAおよびBに示した。
【0081】
そして、前記ウェブは混合ダウン30重量%、HCT単繊維17重量%、RSS単繊維17重量%および非延伸性低融点シース-コア複合繊維36重量%で構成されており、秤量は100g/m2であった。
【0082】
実施例2~6および比較例1~6
【0083】
前記実施例1と同じ方法でダウンパディングを製造するものの、ウェブ内繊維の含量または秤量を下記の表1のように異ならせてダウンパディングをそれぞれ製造して実施例2~6および比較例1~6をそれぞれ実施した。
【0084】
ただし、実施例3~6および比較例1~6の場合、ダウンパディングウェブの上下部両面に形成されるシート層を構成する多方向延伸性織物として、実施例1の延伸性織物(メーカー:ウォンヨン社、商品名:J30G)、実施例2の延伸性織物(メーカー:セジン社、商品名:3015F)の代わりに延伸性織物(メーカー:ピカディ社、商品名:6029)を使ってダウンパディングを製造した。
【0085】
【0086】
実験例1:保温性、速乾性、通気性、羽根抜け、復原性測定
【0087】
前記実施例および比較例で製造したダウンパディングの保温性、速乾性、通気性および羽根抜け評価実験を韓国インターテックテスティングサービス(Intertek Testing Services Korea Ltd)およびIDFL Laboratory and Instituteに依頼して遂行した。
【0088】
そして、対照群1はダックダウン羽毛20重量%およびダックダウン綿毛80重量%を含む混合ダウン50重量%、ソロナ繊維(sorona fiber)35重量%およびPET繊維15重量%を含む秤量80g/m2のダウンパディングである。
【0089】
また、対照群2はダックダウン羽毛20重量%およびダックダウン綿毛80重量%を含む混合ダウン85重量%およびポリエステル繊維15重量%を含む秤量80g/m2のダウンパディングである。
【0090】
また、対照群3は100%ポリエステルで構成された秤量80g/m2のダウンパディング(商品名:syncloud basic GRS)である。
【0091】
(1)保温性測定方法
試験方法はASTM D1518に基づいて測定したし、具体的な試験方法は下記の通りである。
1)ベアプレート(発熱体、35℃に設定)にフードを被せ、チャンバの環境温度20℃、湿度65%に設定した。
2)環境温・湿度とベアプレート相互間の熱交換が安定化されると、ベアプレートの保温力(Rct0)を測定した。
3)ベアプレートにシワや張力が加えられないように試験片を載置し、1)~2)を順に進めた。この時、試験片はモックアップ(mock-up)または製品(sheet type padding)の状態であり、サイズは横、縦が550mm×550mmであった。
4)環境温・湿度、プレート、試験片の熱交換が安定化されると、試験片の保温力(Rct)を測定した。
5)保温力(CLO)=(Rct-Rct0)×6.45の結果値を得ることができる。
【0092】
1CLOの保温力とは、熱抵抗を示す単位であって、風の速度が0.1m/sで、周囲の温度が21℃である場合に58W/m2の熱を発散する、人が安楽感を感じることができる状態の保温状態を意味する。1クロー(clo)は0.155K・m2/Wに該当する。
【0093】
保温性の測定結果は下記の表2の通りであり、保温性の単位であるCLO値が高いほど保温性が優秀であることを意味する。
【0094】
(2)速乾性測定方法
【0095】
試験方法はJIS L 1096:2010に基づいて測定したし、具体的な試験方法は下記の通りである。
1)モックアップ(mock-up)状態の横、縦が400mm×400mmの試験片を準備する。
2)試験片を20℃(±2℃)の蒸溜水に十分に吸収させた。
3)水中から取り出して水滴がこれ以上落ちない時に装備に装着する。
4)標準状態の試験室内に放置して自然乾燥されて本来の重さとなるまでの時間を測定したし、平均値を整数で表示し、1時間後の乾燥された比率(%)と完全乾燥時間を測定した。
【0096】
通気性測定方法
【0097】
試験方法はASTM D737に基づいて測定したし、具体的な試験方法は下記の通りである。
1)コンディショニングを進めた後、装備の補正(calibration)を進める。2)Reference materialで「0」dlに測定されることを確認した後、試験片プラットフォーム上に試験片をシワがなく、折り畳まれたところがないように装着する。この時、試験片はダウンパディング自体を使用し、サイズは横、縦が550mm×550mmであった。
3)測定された結果値を記録したし、10回反復試験を進行した平均値を測定値とした。そして、測定はアメリカ基準である試験面積(Test area:38cm2)および試験圧力(Test pressure:125pa)で遂行した。
【0098】
(4)羽根抜け測定方法
【0099】
試験方法はFED STD FTMS 5530国際法(International
Method、Based on the Federal Standard 191-5530)に基づいて測定したし、羽根抜けが5個未満である時に合格である。試験条件は、タンブリングボックスの大きさ(Size of Tumbling Box)は45cm×45cm×45cm(横、縦、高さ)であり、RPM(Revolutio
n per Minute)48(±2)およびタンブリング時間は(Duration
of Tumbling)は30分とした。
【0100】
(5)復原性測定方法
【0101】
復原性は次のような方法で測定した。
1)復原力のための試験片を準備する。
2)試験片を平たく置いた後、開始前の高さ(Hb)を1mm単位で長さを測定する。
3)恒温恒湿室に放置し、1kgの重りを1分の間載せておく。
4)重りを除去し、1分の間の回復時間後に高さ(Ha)を測定する。
5)下記の式1を使って復元された比率を百分率で計算する。
【0102】
[式1]
復元率(Volume recovery rate、%)=Ha/Hb×100%
【0103】
【0104】
前記表2の物性測定結果を詳察すると、実施例1~6のダウンパディングは2.00CLO以上の保温性を有しつつ、100CFM以上の通気性を有し、30%以上の速乾性が良好でありながらも羽根抜けがなかった。また、実施例1~6のダウンパディングは83.0%以上の優秀な復元率を有することを確認することができた。
【0105】
これに反し、HCT単繊維を少なく使った比較例1の場合、実施例2および実施例3と比較する時、復元率が多少劣る問題があった。そして、HCT単繊維を18重量%超過して使った比較例2の場合、保温性、速乾性、通気性などの物性は良いが、実施例2、3と比較する時、相対的に復元率が急減する問題があった。
【0106】
混合ダウン含量が25重量%と過度に少なく使われた比較例3の場合、他の物性は良いが、相対的に2.0CLO未満と保温性が大きく劣る問題があった。
【0107】
混合ダウンが過量使われて相対的にシース-コア複合繊維量が少なかった比較例4の場合、羽根抜けの問題がなかった他の実施例と比較例とは異なって羽根抜けが発生する問題があったし、速乾性が減少し復元率が大きく減少する問題があった。
【0108】
ウェブ層の秤量が65g/m2である比較例5の場合、保温性、速乾性、通気性などの物性は良いが、保温性が2.00CLO未満と不足している問題があったし、ウェブ層の秤量が160g/m2である比較例6の場合、保温性は非常に良いが、相対的に速乾性および通気性が劣り、復元率が80%以下と不足している問題があった。
【0109】
実験例2:伸縮性測定
【0110】
伸縮性は延伸率(Elongation)の高い数値が優秀な製品と解釈されるが、これと共に伸張性と回復性の数値も共に考慮した時に耐久性と外観をよく維持するかを確認できる試験である。一般的に残存伸び率(または成長率、回復しない部分)は小さいほど、Recovery(回復率)は大きい数値であるほど性能が優秀であると言える。
【0111】
伸縮性はASTM D3107方法に基づいて測定したし、具体的な測定方法は下記の通りであり、試験に使った装置写真を
図4に示した。
1)長さ方向が延伸(stretch)方向と平行に2.5インチ×22インチ(横、縦)の大きさで6個のサンプルを採取して、試験片の両辺で同じ数の撚り糸を解きほぐして2.00(±0.05)インチの幅で製作した。
2)延伸(STRETCH)用試験片の長さ方向の終端を約1.25インチで折り畳んで1インチとなる部分をミシン縫いして、平たいところに外力がない状態で30分間広げておく。
3)試験片を21(±1)℃、65(±2)%RH標準条件下で4時間放置した。
4)試験片の中央にベンチマーク(Bench mark)をする(最小長さ:10(±0.05)インチ)。
5)ミシン縫いされたループ形態の試験片の両端のうち一方を上部クランプにかけ、試験片のベンチマークされた部分の長さを測定して1mm単位で記録する。
6)ダウエルピン(Dowel pin)を試験片の下側のループ(Loop)に差し込んで4lbsまたは3lbsの重りをかける。
7)試験片に0~4lbs(3lbs)の荷重が加えられるように3回サイクル(Cycling)する。
8)10秒または30分後に延伸(Stretch)の程度を測定する。
9)テンションメーター(Tension meter)のクランプを使って計算された延伸率(Stretch Percentage)の85%長さHだけ伸張させて固定する。
10)30分の間伸張した状態で固定した後、下部クランプから試料を除去する。
11)荷重が除去された試験片を各Client Time Optionにしたがってベンチマークを測定して1mm単位で記録する。
【0112】
残存伸び率(Residual Extension)または成長率(growth)は式2に基づいて、回復率(recovery)は式3によって、延伸率(stretch)は式4によって計算した。
【0113】
[式2]
残存伸び率(Residual Extension=growth、%)=[{(元の長さ+回復されていない長さ)-元の長さ}/元の長さ]×100%
【0114】
[式3]
回復率(Recovery、%)=[{最大伸長長さ-(元の長さ+回復されていない長さ)}/(最大伸長長さ-元の長さ)]×100%
【0115】
[式4]
延伸率(または伸び率、%)=[{(最大身長長さ)-元の長さ}/元の長さ]×100%
【0116】
下記の表3において、縦はダウンパディングのシート層を構成する織物の経糸(warp)方向であり、横はダウンパディングのシート層を構成する織物の緯糸(weft)方向を意味する。そして、表3の物性測定値は3回遂行して測定した値の平均値を示したものである。
【0117】
【0118】
【0119】
前記表3および表4を詳察すると、本発明のダウンパディングである実施例1~6の場合、全般的に低い残存伸び率および高い回復率を有し、これを通じて高伸縮性を有する製品であることを確認することができた。
【0120】
これに反し、HCT単繊維を9重量%未満およびRSS単繊維を21重量%超過して使った比較例1の場合、残存伸び率は低く、回復率が大きく劣る問題があった。
【0121】
また、HCT単繊維を18重量%超過およびRSS単繊維を13重量%未満で使った比較例2の場合、実施例5と比較する時、高い残存伸び率を有し、回復率が低い問題があった。
【0122】
そして、混合ダウンを少なく使った比較例3の場合、前記の実験例1で確認した通り、保温性は悪く、残存伸び率、回復率も悪い結果を示しており、これは非伸縮性繊維であるシース-コア複合繊維が相対的に過量使われた結果と判断される。これに反し、比較例4の場合、実施例6と比較する時、保温性は非常に良いが、残存伸び率が多少高く、回復率が相対的に劣る問題があることを確認することができた。
【0123】
また、不織布の秤量が65g/m2である比較例5の場合、残存伸び率、回復率は良いが、前記実験例1で確認した通り、保温性が劣る問題があり、不織布の秤量が160g/m2である比較例5の場合、実施例6と比較する時、残存伸び率は低いが、回復率が大きく劣る問題があった。
【0124】
前記実施例および実験例を通じて、本発明のダウンパディングが低い秤量範囲でも保温性が優秀でありながらも、4方向(またはマルチ方向)に伸縮性が優秀であることを確認することができたし、本発明のダウンパディングは超軽量の機能性ダウンパディング製品
を提供できることを確認することができた。
【符号の説明】
【0125】
1:ダウンパディング用ウェブ(層)
100、100’:シート層
10:羽毛
20:綿毛
30:RSS単繊維
40:HCT単繊維
【要約】
【課題】コールドスポットを発生させる隔室構造の形成がないだけでなく、ニードルポンチングがない一体型のシートタイプで製造し、ダウンパディングの伸縮性、復原性を大きく増大させながらも、優秀な保温性を有することができるように組成が最適化されたダウンパディング用ウェブおよびこれを充填剤(またはウェブ層)で含む超軽量ダウンパディングを提供する。
【解決手段】グースダウン(goose down)およびダックダウン(duck down)の中から選択された1種以上を含む混合ダウン、非延伸性低融点(Low melting)シース-コア複合繊維、HCT(Hollow Conjugate Stretch)単繊維およびRSS(Regular Solid Siliconized Fiber)単繊維を含むダウンパディング用ウェブ。
【選択図】
図1