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特許7581478通信装置、中継装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】通信装置、中継装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241105BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20241105BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20241105BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20241105BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20241105BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/46
H04W24/10
H04W88/04
H04W88/06
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2023501740
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2021006982
(87)【国際公開番号】W WO2022180714
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 優
(72)【発明者】
【氏名】玉那覇 隆介
(72)【発明者】
【氏名】今井 直子
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-216887(JP,A)
【文献】特開2011-049929(JP,A)
【文献】特開2012-004891(JP,A)
【文献】特開2013-141126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線で通信を行う通信装置であって、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する要求手段と、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択し、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択した装置に対して、前記選択手段によって選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行する実行手段と、を有する通信装置。
【請求項2】
前記要求手段は、前記要求信号において前記1つ以上の通信方式を指定して、前記1つ以上の他の通信装置に対して、指定した通信方式での当該他の通信装置と前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記要求手段は、前記要求信号において前記通信装置の通信で要求される通信性能を指定して、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報の送信を要求し、
前記受信手段は、前記通信性能が満たされる通信方式で前記所定の装置との通信が可能な前記他の通信装置から前記応答を受信する、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記他の通信装置と前記所定の装置との間の無線品質に関する情報を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記無線品質は、前記1つ以上の他の通信装置における、受信信号強度、信号対雑音比、信号対干渉及び雑音比、参照信号受信電力、又は、参照信号受信品質を含む、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いて前記他の通信装置と前記所定の装置との間で接続が確立されているかを示す情報を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いた通信の輻輳状態を示す情報を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記1つ以上の通信方式は、セルラ通信方式、無線LANの通信方式、又は、Bluetooth通信方式を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記受信手段は、所定期間にわたって前記応答を待ち受け、
前記選択手段は、前記所定期間の間に受信された前記応答に基づいて、通信の転送を依頼する装置を選択する、請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記通信装置の通信を前記所定の装置へ転送する際に要求される性能を満たすことができることを示す前記通信に関する状況を示す情報を含んだ前記応答が受信されたことに基づいて、別の装置からの前記応答が受信されるのを待つことなく、受信された前記応答の送信元の装置を、通信の転送を依頼する装置として選択する、請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記要求手段は、前記要求信号をブロードキャスト送信する、請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記要求信号は、前記通信装置の通信を中継することを要求することを示す情報を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置は車両である、請求項1から12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置であって、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信する受信手段と、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信する送信手段と、を有する中継装置。
【請求項15】
前記要求信号は、前記1つ以上の通信方式を指定する情報を含み、
前記送信手段は、指定された通信方式での前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を前記応答に含めて送信する、請求項14に記載の中継装置。
【請求項16】
前記要求信号は、前記通信装置の通信で要求される通信性能を指定する情報を含み、
前記送信手段は、前記通信性能を満たす通信方式に関する前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を前記応答に含めて送信する、請求項14に記載の中継装置。
【請求項17】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との間の無線品質に関する情報を含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項18】
前記無線品質は、前記中継装置における、受信信号強度、信号対雑音比、信号対干渉及び雑音比、参照信号受信電力、又は、参照信号受信品質を含む、請求項17に記載の中継装置。
【請求項19】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いて前記所定の装置との間で接続が確立されているかを示す情報を含む、請求項14から18のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項20】
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いた通信の輻輳状態を示す情報を含む、請求項14から19のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項21】
前記1つ以上の通信方式は、セルラ通信方式、無線LANの通信方式、又は、Bluetooth通信方式を含む、請求項14から20のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項22】
前記中継装置は車両である、請求項14から21のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項23】
無線で通信を行う通信装置によって実行される制御方法であって、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信することと、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信することと、
受信した前記応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択し、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択することと、
選択した装置に対して、選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行することと、を含む制御方法。
【請求項24】
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置によって実行される制御方法であって、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信することと、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信することと、を含む制御方法。
【請求項25】
無線で通信を行う通信装置に備えられたコンピュータに、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信させ、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信させ、
受信した前記応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択させ、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択させ、
選択した装置に対して、選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行させる、ためのプログラム。
【請求項26】
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置に備えられたコンピュータに、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信させ、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信させる、ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、中継装置、制御方法、およびプログラムに関し、特に、中継伝送における中継装置の選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が別の車両や物と無線通信を行うV2X(Vehicle-to-Everything)通信により、車両が様々な情報を取得し又は他者に情報を提供することができる。車両がインターネットやサービスプロバイダが構築したネットワーク上のサーバ等の装置へデータを送信する場合、その車両がそのようなネットワークに接続可能な、例えば基地局やアクセスポイント等の所定の通信装置と接続する必要がある。しかしながら、車両は、常にそのような所定の通信装置と接続可能な環境にあるわけではない。このため、車両は、例えばそのような所定の通信装置と接続可能な別の車両を介して、所定の通信装置との通信を実行することが想定される。特許文献1には、車両間を接続して、所定のノードまでデータを転送する構成が記載されている。特許文献1では、車両間の通信により所定のノードに近い車両が判別され、その所定のノードに近い車両へデータが転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-184051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信装置が所定の装置と通信するために別の装置と接続を確立する際に、その別の装置が所定の装置とどのような通信が可能であるかを通信装置が認識することができないことが想定される。この場合、通信装置が別の装置に接続した後に、その別の装置と所定の装置との接続が通信レートの不十分な通信方式でしか確立できないことにより、通信装置が所定の装置と十分な通信レートで通信できない場合がありうる。
【0005】
本発明は、通信装置が、所定の装置との間の通信を中継する他の装置を適切に選択することができるようにする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による通信装置は、無線で通信を行う通信装置であって、1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する要求手段と、前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択し、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択する選択手段と、前記選択手段によって選択した装置に対して、前記選択手段によって選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行する実行手段と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様による中継装置は、通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置であって、前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信する受信手段と、前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信装置が、所定の装置との間の通信を中継する他の装置を適切に選択することができるようになる。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】システムの構成例を示す図である。
図2】通信装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】中継を依頼する側の通信装置の機能構成例を示す図である。
図4】中継を実行可能な側の通信装置の機能構成例を示す図である。
図5】システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
(システム構成)
図1に、本実施形態のシステムの構成例を示す。本システムは、無線通信を実行可能な車両111~車両114が、例えばインターネット等の所定のネットワークに接続して通信する、無線通信システムである。本実施形態に係る車両111~車両114は、例えば、セルラ通信システムの基地局101と接続して、所定の通信装置との間での通信を実行する。また、車両111~車両114は、例えば、基地局101とのセルラ通信方式と異なる通信方式で相互に接続して通信することができるように構成される。ここで、セルラ通信方式と異なる通信方式は、例えば、セルラV2X(Vehicle-to-Everything)、無線LAN、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)のいずれかの通信の方式である。なお、セルラV2Xはセルラ通信方式の一態様であるが、基地局と端末(すなわち車両111~車両114)との間の通信ではなく、基地局以外の装置と端末(車両111~車両114)との間の通信であることから、本実施形態及び特許請求の範囲を通じて、これらの通信方式が異なる通信方式であるものとして扱う。なお、セルラ通信方式とそれ以外の通信方式の組み合わせは一例であり、車両111~車両114は、第1の通信方式で基地局101などの第1の装置と接続し、第1の通信方式と異なる第2の通信方式で、相互に接続可能に構成される。なお、図1では、1つの基地局101と4つの車両111~車両114のみが図解されているが、これらの装置は当然に多数存在しうる。
【0013】
車両111~車両114は、第2の通信方式を用いて、例えば、車車間通信のみならず、例えば無線LANのアクセスポイントなどの他の装置との通信を実行することができる。一例において、車両112は、セルラ通信方式以外の通信方式で固定された所定の装置121と通信可能な位置に存在し、この所定の装置121と無線LANで通信可能な状態であるものとする。なお、車両112は、所定の装置121以外のさらなる他の装置と、例えば無線LANやBluetoothなどの通信方式によって接続して通信することが可能でありうる。また、車両113や車両114も、位置に応じて、周囲の1つ以上の他の装置と、それぞれの装置に対応する通信方式を用いて接続して通信することが可能でありうる。なお、図1では、車両112が固定された所定の装置121と直接接続可能である例を示しているが、これに限られず、例えば車両112がさらに別の車両等の無線通信装置を介して、固定された所定の装置121と通信可能であってもよい。他の車両についても同様である。
【0014】
車両111~車両114は、基地局101とのセルラ通信を実行することによって、例えば、各車両のセンサによって取得した情報を、所定の情報処理サーバなどの装置に送信することができる。情報処理サーバは、この情報によって、自動運転の制御など、各種処理を実行することができる。また、車両111~車両114は、基地局101とのセルラ通信を実行することによって、例えば所定の情報を保持するサーバから、運転制御情報や車両の位置に応じたサービス情報などの様々な情報を取得することができる。一方で、多数の車両が並行して通信する環境では、基地局101が提供可能な通信容量が不十分となってしまいうる。このため、本実施形態では、例えば車両111の通信を、他の車両112~車両114を介して、別の装置へオフロードするようにする。なお、車両112~車両114の通信も同様に、他の車両を介してオフロードされうるが、ここでは、車両111の通信のオフロードに着目して説明を行う。
【0015】
車両111は、周囲の車両との間で接続を確立して、その接続を介して、インターネット上のサーバ等の所定の装置との通信を行う。車両111は、このために、周囲の他の車両に対して通信の中継を依頼するための接続要求を送信し、接続を確立することとなる。このとき、車両111は、例えば、車両111との間の第2の通信方式による通信の無線品質が良好な別の車両と接続を確立しうる。一例において、車両111は、車両112との間で第2の通信方式による接続を確立して、車両112に自装置の通信を転送させうる。このとき、車両112は、例えば複数の通信方式を使用可能であり、そのいずれの通信方式を車両112が用いるかによって、通信性能が大幅に変わりうる。例えば、達成可能な最大の通信レートが、車両111の通信を転送するのに不十分な通信方式も存在しうる。また、達成可能な最大の通信レートが十分に大きい通信方式が用いられる場合であっても、その通信方式での通信が輻輳している状態においては、その通信方式を用いることによって、車両111の通信を転送することができなくなってしまいうる。
【0016】
本実施形態では、このような事情に鑑み、通信装置(例えば車両111)が、自装置の通信を中継可能な1つ以上の他の通信装置(例えば車両112~車両114)に対して、その1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの所定の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する。なお、所定の通信装置は、例えばインターネット等の通信を終端させる装置にアクセス可能な無線通信装置(例えば所定の装置121)であり、通信方式ごとに異なる所定の通信装置が設定されうる。他の通信装置は、その要求信号を受信すると、自装置において利用可能な通信方式の少なくともいずれか(場合によっては利用可能な全ての通信方式のそれぞれ)について、所定の通信装置との通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を、通信装置へ送信する。通信装置は、1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、その応答を受信し、その応答に基づいて、通信装置自身の通信の転送を依頼する装置(すなわち、中継装置)を1つ以上の他の通信装置(一例において応答の送信元の他の通信装置)から選択し、また、その選択した装置において転送のために用いるべき通信方式を選択する。そして、通信装置は、その選択した装置に対して、その選択した通信方式を用いて通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行する。
【0017】
このように、本実施形態では、通信装置が、中継を依頼する可能性のある候補の他の通信装置に対して、その他の通信装置が使用可能な1つ以上の通信方式のそれぞれでの通信が実行可能であるか、また、その通信で十分な通信容量が得られるかなどの通信容量の情報を取得する。そして、通信装置は、自装置の通信の中継に適した通信装置に、その通信装置が自装置の通信の中継に適した通信方式で所定の通信装置と接続するように、他の通信装置と所定の通信装置との間の通信方式を指定して、通信の中継を依頼する。これによれば、他の通信装置と所定の通信装置との間の通信に起因して、通信装置と所定の通信装置との通信の性能が劣化することを防ぐことができる。
【0018】
なお、要求信号は、一例において、ブロードキャスト送信され、通信装置の周囲の他の通信装置に対して一斉に送信される。これにより、通信装置は、他の通信装置からの情報収集を短期間の間に完了することができる。また、要求信号は、通信装置の通信を中継することを要求することを示す情報を含んでもよい。なお、この通信の中継を要求することを示す情報のみが、他の通信装置へ送信されてもよい。すなわち、通信方式ごとの通信に関する状況の情報が要求されることを明示的に示す情報が要求信号に含まれなくてもよく、通信の中継を要求することを示す情報によって、通信方式ごとの通信に関する状況の情報が要求されることが黙示的に示されてもよい。
【0019】
通信方式は、一例において、セルラ通信方式と、無線LANの通信方式と、Bluetooth通信方式との少なくともいずれかを含む。なお、これらに加えて、又はこれらに代えて、他の通信方式が用いられてもよい。なお、本実施形態では、中継伝送を依頼する車両111と、中継伝送を依頼されうる車両112~車両114とのいずれもがセルラ通信方式を使用可能である。しかしながら、例えば車両111よりも、車両112~車両114におけるセルラ通信方式の無線品質が十分に良好で、車両111が基地局101と直接通信するより、車両111の通信を車両112~車両114に中継させた方が使用リソース量を大幅に削減することができることが想定される。このため、車両112~車両114は、車両111が使用可能なセルラ通信方式についても、その通信方式での通信に関する状況を示す情報を車両111へ送信しうる。
【0020】
なお、通信装置は、通信に関する状況の情報を要求する際に、情報の報告対象とする通信方式を指定した要求信号を送信してもよい。この場合、他の通信装置は、指定された通信方式に関して、その通信方式でのオフロード先である所定の通信装置との通信に関する状況を示す情報を応答に含めて通信装置へ送信する。これによれば、例えば、通信方式の規格上、通信装置が要求する通信性能を満たすことが不可能な通信方式についてまで情報が報告されることを防ぐことができ、無線リソースの浪費を防ぐことができるようになる。また、通信装置は、自装置の通信で要求される通信性能を示す情報を要求信号において指定してもよい。この場合、他の通信装置は、その指定された通信性能を満たす通信方式に関して、その通信方式でのオフロード先である所定の通信装置との通信に関する状況を示す情報を、通信装置へ送信する。なお、この場合、他の通信装置は、例えば周囲に通信のオフロード先が存在しない通信方式や、無線品質に基づいて要求されている通信性能を満たすことができないと判定した通信方式に関しても、報告を行わない。一例において、他の通信装置は、自装置が使用可能な通信方式のいずれにおいても要求された通信性能を満たすことができない場合、応答を送信しない。なお、他の通信装置は、1つ以上の通信方式のそれぞれについて、要求された通信性能を満たすか否かを示す情報を含んだ応答を通信装置へ送信してもよい。これによれば、他の通信装置が、通信装置が要求する通信性能を満たすことができる通信方式についてのみ情報を報告するため、無線リソースの浪費を防ぐことができるようになる。
【0021】
ある通信方式についての通信に関する状況の情報は、一例において、その通信方式を用いた場合の他の通信装置における所定の通信装置との間の無線品質に関する情報を含む。無線品質は、例えば、他の通信装置における、受信信号強度、信号対雑音比(SNR)、信号対干渉及び雑音比(SINR)、参照信号受信電力(RSRP)、又は、参照信号受信品質(RSRQ)を含みうる。これによれば、通信装置は、無線品質が十分に良好な通信方式を、他の通信装置が中継先で使用すべき通信方式として選択することができるようになる。
【0022】
また、ある通信方式についての通信に関する状況の情報は、一例において、他の通信装置が、その通信方式を用いた接続をすでに確立しているか否かを示す情報を含みうる。これによれば、通信装置は、例えば、すでに接続が確立されている通信方式を有する他の通信装置を、迅速に自装置の通信を中継可能な装置として特定することができる。このため、通信装置は、例えば迅速に中継されるべき通信を行う場合に、そのような接続が確立されている通信方式を有する通信装置に、その通信方式での通信の中継を依頼することを決定することができる。
【0023】
また、ある通信方式についての通信に関する状況の情報は、その通信方式での通信の輻輳状態(混雑度)を示す情報を含んでもよい。これによれば、通信装置は、輻輳状態にある(混雑している)通信方式を選択しないようにすることで、自装置の通信の中継を安定的に実行可能な他の通信装置と使用されるべき通信方式とを選択することができるようになる。
【0024】
なお、通信装置は、所定期間にわたって他の通信装置のそれぞれからの応答を待ち受け、その所定期間の間に受信された応答に基づいて、通信の転送を依頼する装置と、その装置に転送で使用させるべき通信方式とを選択しうる。これによれば、通信装置は、自装置の周囲の他の通信装置の中から、通信の中継に適した装置を適切に選択することができる。
【0025】
また、通信装置は、自装置の通信の中継で満たされるべき通信性能を満たすことができる通信方式を有することを示す情報を含んだ応答を受信した場合に、他の装置からの応答の受信を待つことなく、その受信した応答の送信元の装置を、通信の転送を依頼する装置として選択し、その応答で通信性能を満たすことが可能と示された通信方式を、使用されるべき通信方式として選択しうる。これによれば、中継に適した他の通信装置が存在することを確認してから短期間の間に、この他の通信装置との接続確立処理を実行することができるため、通信装置と所定の通信装置との通信を迅速に開始することが可能となる。
【0026】
なお、他の通信装置は、例えば通信装置の通信のオフロード先となりうる所定の通信装置が存在しない場合は、報告を送信しないようにしうる。これによれば、通信装置は、応答の送信元の他の通信装置のみを中継装置の候補として捉え、その中から実施に通信の中継を依頼する装置を選択することができる。
【0027】
以下では、このような処理を実行する車両111~車両114の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態では、車両111~車両114が実行すべき処理について説明しているが、「車両」は通信装置の一態様に過ぎず、任意の態様の無線通信装置に本実施形態に係る議論を適用することができる。
【0028】
(装置構成)
図2に、本実施形態の車両111~車両114に実装される通信装置のハードウェア構成例を示す。通信装置は、一例において汎用のコンピュータを含んで構成され、そのコンピュータは、例えば、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信回路204、入出力回路205を有する。なお、図2は、本実施形態に係るハードウェアの構成例を示しており、他の構成については図示を省略している。CPU201は、例えば、メモリ202に記憶されたプログラムを実行することにより、後述する処理や、装置全体の制御を実行するCPU(Central Processing Unit)である。なお、CPU201は、MPU(Micro Processing Unit)やASIC(Application-Specific Integrated Circuit)等の任意の1つ以上のプロセッサによって代替されうる。メモリ202は、通信装置に各種処理を実行させるためのプログラムを保持し、また、プログラム実行時のワークメモリとして機能する。メモリ202は、一例において、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)である。記憶装置203は、例えば、着脱可能な外部記憶装置や内蔵型のハードディスクドライブ等であり、各種情報を保持する。通信回路204は、通信に関する信号処理を実行し、通信ネットワークを通じて、外部の装置から各種情報を取得し、外部の装置に各種情報を送信する。なお、通信回路204によって取得された情報は、例えばメモリ202や記憶装置203に格納されうる。なお、通信装置は、複数の通信回路204を有しうる。入出力回路205は、例えば、不図示の表示装置に表示させる画面情報やスピーカから出力させる音声情報の出力や、キーボードやポインティングデバイス等を介したユーザ入力の受付の制御を行う。なお、入出力回路205は、タッチパネル等の入出力を一体として行うデバイスの制御を行ってもよい。なお、図2の構成は一例であり、例えば、通信装置は、上述の処理を実行するような専用のハードウェアを有してもよい。
【0029】
図3に、通信の中継を依頼する側の通信装置の機能構成例を示す。なお、車両111~車両114のうち、本実施形態では車両111が通信の中継を依頼する側の通信装置である場合について説明しているが、車両112~車両114も、通信の中継を依頼する側の通信装置として動作可能であるため、図3に示すような機能を有しうる。通信装置は、その機能として、例えば、情報要求部301、情報受信部302、選択部303、及び、接続確立処理部304を含んで構成される。なお、これらの機能部は、例えば、CPU201が、メモリ202や記憶装置203に記憶されたプログラムを実行することによって具現化されてもよいし、専用のハードウェアによって具現化されてもよい。なお、各機能部の詳細な動作については上述の通りであるため、ここでは機能を概説するにとどめ、その詳細な説明については省略する。
【0030】
情報要求部301は、1つ以上の他の通信装置に対して、1つ以上の通信方式のそれぞれでの、その1つ以上の他の通信装置と所定の通信装置との間の通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する。情報受信部302は、情報要求部301が送信した要求信号への応答として、1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、その装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの通信に関する状況を示す情報を受信する。選択部303は、受信した情報に基づいて、自装置の通信の転送を依頼する装置を、例えば応答の送信元の他の通信装置の中から選択し、さらに、その装置において通信装置の通信の転送のために、その装置と所定の通信装置との間で使用すべき通紙方式を選択する。接続確立処理部304は、選択部303によって選択された装置に対して、選択部303によって選択された通信方式を用いてその装置と所定の通信装置との間の通信を行うことによって通信装置の通信を中継するように依頼することを含んだ接続確立処理を実行する。すなわち、接続確立処理部304は、通信装置と他の通信装置との間の接続の確立処理を実行しながら、他の通信装置と所定の通信装置との間の通信に関する依頼をも行う。
【0031】
図4は、通信の中継の依頼を受け、中継装置として動作する側の通信装置の機能構成例を示す。なお、車両111~車両114のうち、本実施形態では車両112~車両114が中継装置として動作する側の通信装置である場合について説明しているが、車両111も、中継装置として動作する側の通信装置として動作可能であるため、図4に示すような機能を有しうる。通信装置は、その機能として、例えば、要求受信部401、情報提供部402、及び、中継処理部403を含んで構成される。なお、これらの機能部は、例えば、CPU201が、メモリ202や記憶装置203に記憶されたプログラムを実行することによって具現化されてもよいし、専用のハードウェアによって具現化されてもよい。なお、各機能部の詳細な動作については上述の通りであるため、ここでは機能を概説するにとどめ、その詳細な説明については省略する。
【0032】
要求受信部401は、周囲の他の通信装置から、1つ以上の通信方式のそれぞれでの、通信装置と所定の通信装置との間の通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信する。なお、この要求信号は、送信元の装置の通信の中継を依頼することを示す信号であってもよく、その信号を受信した装置と所定の通信装置との間の1つ以上の通信方式のそれぞれでの通信に関する状況を示す情報を要求する意味を有する任意の形式の信号でありうる。情報提供部402は、要求信号を受信したことに応じて、自装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの所定の通信装置との間の通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信する。中継処理部403は、上述の応答を受信した装置からの、その装置の通信の中継を要求する情報を含んだ信号であって、所定の通信装置との間の通信で使用すべき通信方式が指定された信号を受信する。そして、中継処理部403は、その信号の送信元の装置との間の接続を確立し、所定の通信装置との間の指定された通信方式での通信を用いて、その信号の送信元の装置と所定の通信装置との間の通信を中継するための制御を実行する。なお、中継処理部403は、例えば、要求受信部401において受信された要求信号が送信された際に用いられた通信方式を用いて、上述の信号の送信元の装置との接続を確立する。
【0033】
(処理の流れ)
続いて、上述の通信システムによって実行される処理の流れの例について説明する。ここでは、車両111が、車両112~車両114の中から車両112を中継装置として選択し、車両112が使用すべき通信方式として、所定の装置121との間で使用される通信方式が指定されるものとする。なお、後述の各処理の詳細は上述の通りであるため、ここでの説明では、処理の流れを概説するにとどめ、詳細の説明については繰り返さない。本処理は、例えばCPU201が、メモリ202や記憶装置203に記憶されたプログラムを実行することによって具現化される。
【0034】
本システムでは、まず、車両111が、車両112~車両114のそれぞれに対して、その車両が使用可能な1つ以上の通信方式のそれぞれでの、その車両と、車両111の通信相手となる装置(例えばインターネット上のサーバ)との通信を可能とする所定の装置との間の通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する(S501)。車両112~車両114は、この要求信号を受信すると、自装置が使用可能な通信方式のそれぞれについて、車両111の通信相手に到達可能な所定の装置との通信の状況を特定し、その通信の状況に関する情報を含んだ応答を車両111へ送信する(S502)。なお、車両112~車両114は、例えば、いずれの通信方式においても車両111の通信相手に到達可能な所定の装置を発見することができなかった場合などには、S502の応答を送信しなくてもよい。例えば、図5では、車両114が応答を送信しない例を示している。その後、車両111は、受信した情報に基づいて、自装置の通信を中継する装置と、その装置において使用されるべき通信方式とを選択する(S503)。なお、車両111は、例えば、自装置の通信で要求される通信性能を得られる通信方式で所定の装置と通信可能な車両から応答を受信した場合に、他の車両からの応答の受信を待たずに、その応答の送信元の車両を中継装置として選択してもよい。ここでは、上述のように、車両111が、中継装置として車両112を選択し、車両112が使用すべき通信方式として、所定の装置121との通信が可能な1つの通信方式(例えば無線LANの通信方式)を選択したものとする。
【0035】
車両111は、選択に応じて、車両112に対して、選択した通信方式を指定した中継依頼を送信する(S504)。車両112は、この中継依頼を受信すると、車両111との間で接続を確立する(S505)。ここでは、車両112は、例えばS501の信号が送受信された通信方式を用いて、車両111との間で接続を確立するものとし、接続確立処理では、その通信方式に関する通信規格で規定された手順が実行される。また、車両112は、中継依頼において指定された通信方式で、所定の装置121との接続を確立する(S506)。なお、車両112は、所定の装置121との間での接続をすでに確立していた場合には、S506の処理を省略してもよい。
【0036】
なお、車両112は、S502の情報提供の際に各通信方式での通信の状況を特定するが、指定された通信方式での通信の状況を特定する際の相手装置との間で接続を確立するようにしうる。すなわち、本実施形態では、車両112は、S502において、ある通信方式について、所定の装置121との間での通信に関する状況を特定して、その特定した情報を車両111へ送信していたものとする。なお、車両112~車両114は、例えば、各通信方式での通信に関する状況を示す情報を車両111に送信する際に、その通信に関する状況を特定した際の相手装置を示す情報を併せて通知してもよい。この場合、車両111は、選択した中継装置(車両112)に対して、接続先の所定の通信装置を示す情報を通知してもよい。このときに、車両111は、使用されるべき通信方式を併せて通知してもよいし、接続先の情報を示すことによって黙示的に使用されるべき通信方式を通知するにとどめ、明示的に使用されるべき通信方式を通知しないでもよい。
【0037】
車両112は、車両111との接続と、所定の装置121との接続との両方が確立された状態となった後に、車両111の通信の中継を開始する(S507)。
【0038】
このようにして、車両111は、自装置の通信の中継を十分な品質で実行可能な他の車両(車両112)を選択し、さらに、その選択した他の車両において、中継先の所定の通信装置(所定の装置121)までの通信で使用されるべき通信方式を指定する。これにより、中継装置として選択した装置が、車両111の通信に要求される通信性能を達成できる通信方式で中継を行うこととなり、車両111が、十分な通信性能で通信を行うことが可能となる。
【0039】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態に係る通信装置は、
無線で通信を行う通信装置であって、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信する要求手段と、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択し、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択した装置に対して、前記選択手段によって選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行する実行手段と、を有する。
【0040】
この実施形態によれば、通信装置が、他の通信装置に所定の装置との通信の中継を依頼する際に、他の通信装置のそれぞれが使用可能な通信方式を考慮して中継を行うべき他の通信装置を決定し、その他の通信装置が所定の装置との通信を行うために使用すべき通信方式を指定することができる。これによれば、他の通信装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を他の通信装置に使用させることができ、通信装置が、良好な状態で所定の装置との通信を行うことが可能となる。
【0041】
2.上記1の実施形態では、
前記要求手段は、前記要求信号において前記1つ以上の通信方式を指定して、前記1つ以上の他の通信装置に対して、指定した通信方式での当該他の通信装置と前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する。
【0042】
この実施形態によれば、他の通信装置による情報提供がなされるべき通信方式が事前に指定されるため、他の通信装置から通信装置へ通知されるべき情報量を抑制することができる。一例において、達成できる最良の通信品質をもってしても要求される通信性能が得られない通信方式についての情報の送受信が省略されうる。
【0043】
3.上記1又は2の実施形態では、
前記要求手段は、前記要求信号において前記通信装置の通信で要求される通信性能を指定して、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報の送信を要求し、
前記受信手段は、前記通信性能が満たされる通信方式で前記所定の装置との通信が可能な前記他の通信装置から前記応答を受信する。
【0044】
この実施形態によれば、他の通信装置によって通信装置へ提供されるべき情報が、通信装置の要求する通信性能を満たせる通信方式の情報に限定されるため、この情報の提供に係る通信量を抑制することができる。
【0045】
4.上記1から3のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記他の通信装置と前記所定の装置との間の無線品質に関する情報を含む。
【0046】
この実施形態によれば、通信装置が、他の通信装置にどの通信方式を使用させることにより十分な無線品質を得られるかを認識することができる。
【0047】
5.上記4の実施形態では、
前記無線品質は、前記1つ以上の他の通信装置における、受信信号強度、信号対雑音比、信号対干渉及び雑音比、参照信号受信電力、又は、参照信号受信品質を含む。
【0048】
この実施形態によれば、通信装置が、他の通信装置において得られる無線品質を客観的に認識することが可能となる。
【0049】
6.上記1から5のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いて前記他の通信装置と前記所定の装置との間で接続が確立されているかを示す情報を含む。
【0050】
この実施形態によれば、通信装置が、所定の装置との間ですでに接続が確立されており、中継通信を実行することができる確実性の高い他の通信装置と使用すべき通信方式とを選択することが可能となる。
【0051】
7.上記1から6のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いた通信の輻輳状態を示す情報を含む。
【0052】
この実施形態によれば、通信装置が、混雑によって十分な品質で通信の中継を行うことができない他の通信装置を、自装置の通信を中継する装置として選択することを防ぐことが可能となる。
【0053】
8.上記1から7のいずれかの実施形態では、
前記1つ以上の通信方式は、セルラ通信方式、無線LANの通信方式、又は、Bluetooth通信方式を含む。
【0054】
この実施形態によれば、広く使用されている通信方式を前提として、上述の各実施形態に係る手法を適用することができる。
【0055】
9.上記1から8のいずれかの実施形態では、
前記受信手段は、所定期間にわたって前記応答を待ち受け、
前記選択手段は、前記所定期間の間に受信された前記応答に基づいて、通信の転送を依頼する装置を選択する。
【0056】
この実施形態によれば、通信装置は、所定期間内に受信された応答の中から、より適切な通信性能を達成可能な他の通信装置と、使用させるべき通信方式とを選択することができる。
【0057】
10.上記1から8のいずれかの実施形態では、
前記選択手段は、前記通信装置の通信を前記所定の装置へ転送する際に要求される性能を満たすことができることを示す前記通信に関する状況を示す情報を含んだ前記応答が受信されたことに基づいて、当該応答の送信元の装置を、通信の転送を依頼する装置として選択する。
【0058】
この実施形態によれば、通信装置は、自装置が要求する性能を満たすことができる装置が存在することを認識してから短期間のうちに、その装置に中継を依頼することができる。
【0059】
11.上記1から10のいずれかの実施形態では、
前記要求手段は、前記要求信号をブロードキャスト送信する。
【0060】
この実施形態によれば、周囲に存在する他の通信装置のそれぞれに対して一斉に情報を要求することができる。
【0061】
12.上記1から11のいずれかの実施形態では、
前記要求信号は、前記通信装置の通信を中継することを要求することを示す情報を含む。
【0062】
この実施形態によれば、例えば、通信装置の通信を中継することができない又は中継を拒否する他の通信装置からの応答の送信が行われないようにすることで、通信装置が、そのような装置を選択して、接続を確立した後に中継が拒否される、などの不必要な処理が行われることを防ぐことができる。
【0063】
13.上記1から12のいずれかの実施形態では、
前記通信装置は車両である。
【0064】
この実施形態によれば、車両による移動により周囲の他の通信装置が変化するところ、通信装置は、その変化によらずに、中継伝送を実行すべき中継装置と、その中継装置が使用すべき通信方式とを適切に選択することが可能となる。
【0065】
14.上記実施形態の中継装置は、
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置であって、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信する受信手段と、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信する送信手段と、を有する。
【0066】
この実施形態によれば、中継装置が通信装置と所定の装置との通信を行うとした場合の通信方式とその通信の状態を通信装置に通知することにより、所定の装置との間の通信に適した中継装置を通信装置に選択させることができ、また、その中継装置にどの通信方式を使用させれば通信装置が要求する中継通信を実行可能であるかを通信装置に認識させることができる。これによれば、通信装置が、中継装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を選択することができるようになる。
【0067】
15.上記14の実施形態では、
前記要求信号は、前記1つ以上の通信方式を指定する情報を含み、
前記送信手段は、指定された通信方式での前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を前記応答に含めて送信する。
【0068】
この実施形態によれば、中継装置による情報提供がなされるべき通信方式が事前に指定されるため、中継装置から通信装置へ通知されるべき情報量を抑制することができる。一例において、達成できる最良の通信品質をもってしても要求される通信性能が得られない通信方式についての情報の送受信が省略されうる。
【0069】
16.上記14の実施形態では、
前記要求信号は、前記通信装置の通信で要求される通信性能を指定する情報を含み、
前記送信手段は、前記通信性能を満たす通信方式に関する前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を前記応答に含めて送信する。
【0070】
この実施形態によれば、中継装置によって通信装置へ提供されるべき情報が、通信装置の要求する通信性能を満たせる通信方式の情報に限定されるため、この情報の提供に係る通信量を抑制することができる。
【0071】
17.上記14から16のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との間の無線品質に関する情報を含む。
【0072】
この実施形態によれば、通信装置が、中継装置にどの通信方式を使用させることにより十分な無線品質を得られるかを認識することができる。
【0073】
18.上記17の実施形態では、
前記無線品質は、前記中継装置における、受信信号強度、信号対雑音比、信号対干渉及び雑音比、参照信号受信電力、又は、参照信号受信品質を含む。
【0074】
この実施形態によれば、通信装置が、中継装置において得られる無線品質を客観的に認識することが可能となる。
【0075】
19.上記14から18のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いて前記所定の装置との間で接続が確立されているかを示す情報を含む。
【0076】
この実施形態によれば、通信装置が、中継装置と所定の装置との間ですでに接続が確立されており、中継通信を実行することができる確実性の高い通信方式を選択することが可能となる。
【0077】
20.上記14から19のいずれかの実施形態では、
前記通信に関する状況を示す情報は、前記1つ以上の通信方式のそれぞれを用いた通信の輻輳状態を示す情報を含む。
【0078】
この実施形態によれば、通信装置が、混雑によって十分な品質で通信の中継を行うことができない中継装置を選択することを防ぐことが可能となる。
【0079】
21.上記14から20のいずれかの実施形態では、
前記1つ以上の通信方式は、セルラ通信方式、無線LANの通信方式、又は、Bluetooth通信方式を含む、請求項14から20のいずれか1項に記載の中継装置。
【0080】
この実施形態によれば、広く使用されている通信方式を前提として、上述の各実施形態に係る手法を適用することができる。
【0081】
22.上記14から21のいずれかの実施形態では、
前記中継装置は車両である。
【0082】
この実施形態によれば、車両による移動により車両と所定の装置との間で通信方式ごとの通信性能が変化するところ、通信装置は、その変化を考慮して、中継伝送を実行すべき中継装置と、その中継装置が使用すべき通信方式とを適切に選択することが可能となる。
【0083】
23.上記実施形態に係る制御方法は、
無線で通信を行う通信装置によって実行される制御方法であって、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信することと、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信することと、
受信した前記応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択し、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択することと、
選択した装置に対して、選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行することと、を含む。
【0084】
この実施形態によれば、通信装置が、他の通信装置に所定の装置との通信の中継を依頼する際に、他の通信装置のそれぞれが使用可能な通信方式を考慮して中継を行うべき他の通信装置を決定し、その他の通信装置が所定の装置との通信を行うために使用すべき通信方式を指定することができる。これによれば、他の通信装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を他の通信装置に使用させることができ、通信装置が、良好な状態で所定の装置との通信を行うことが可能となる。
【0085】
24.上記実施形態に係る制御方法は、
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置によって実行される制御方法であって、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信することと、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信することと、を含む。
【0086】
この実施形態によれば、中継装置が通信装置と所定の装置との通信を行うとした場合の通信方式とその通信の状態を通信装置に通知することにより、所定の装置との間の通信に適した中継装置を通信装置に選択させることができ、また、その中継装置にどの通信方式を使用させれば通信装置が要求する中継通信を実行可能であるかを通信装置に認識させることができる。これによれば、通信装置が、中継装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を選択することができるようになる。
【0087】
25.上記実施形態に係るプログラムは、
無線で通信を行う通信装置に備えられたコンピュータに、
1つ以上の他の通信装置に対して、前記1つ以上の他の通信装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記通信装置と異なる所定の装置と当該他の通信装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を送信させ、
前記1つ以上の他の通信装置の少なくともいずれかから、当該他の通信装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を受信させ、
受信した前記応答に基づいて、前記通信装置の通信の転送を依頼する装置を前記応答の送信元の装置から選択させ、当該装置において前記転送のために用いるべき通信方式を選択させ、
選択した装置に対して、選択した通信方式を用いて当該装置と前記所定の装置との間の通信を行うことによって前記通信装置の通信を中継するように要求することを含んだ接続確立処理を実行させる。
【0088】
この実施形態によれば、通信装置が、他の通信装置に所定の装置との通信の中継を依頼する際に、他の通信装置のそれぞれが使用可能な通信方式を考慮して中継を行うべき他の通信装置を決定し、その他の通信装置が所定の装置との通信を行うために使用すべき通信方式を指定することができる。これによれば、他の通信装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を他の通信装置に使用させることができ、通信装置が、良好な状態で所定の装置との通信を行うことが可能となる。
【0089】
26.上記実施形態に係るプログラムは、
通信装置と所定の装置との間の通信を無線で中継する中継装置に備えられたコンピュータに、
前記通信装置から、前記中継装置における1つ以上の通信方式のそれぞれでの前記所定の装置との通信に関する状況を示す情報を要求する要求信号を受信させ、
前記通信装置へ、前記中継装置における前記通信に関する状況を示す情報を含んだ応答を送信させる。
【0090】
この実施形態によれば、中継装置が通信装置と所定の装置との通信を行うとした場合の通信方式とその通信の状態を通信装置に通知することにより、所定の装置との間の通信に適した中継装置を通信装置に選択させることができ、また、その中継装置にどの通信方式を使用させれば通信装置が要求する中継通信を実行可能であるかを通信装置に認識させることができる。これによれば、通信装置が、中継装置が使用可能な通信方式のうち、通信装置の通信の転送に適した通信方式を選択することができるようになる。
【0091】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5