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特許7581491バッテリーラック、電力貯蔵装置及び発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】バッテリーラック、電力貯蔵装置及び発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241105BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20241105BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/251
H01M50/211
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023515179
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 KR2021012847
(87)【国際公開番号】W WO2022075635
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128285
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒ-チャン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】グァン-ス・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キュン-ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】コウン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・ジョン
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-254906(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154462(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
A62C35/00-35/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状に配列された複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールを収納するように構成されたラックケースと、
消火剤を移送するように構成され、前記複数のバッテリーモジュールに沿って延びた供給パイプ、及び一端部が前記供給パイプと接続され、他端部が前記供給パイプから前記複数のバッテリーモジュールに各々接続するように設けられた複数の弁を備えた消火剤供給部材と、を含み、
前記供給パイプには、一体に成形されており、前記複数の弁の一端部が挿入されるように構成された複数の接続口が備えられ、
前記複数の弁の他端部は、前記複数のバッテリーモジュールのモジュールハウジングに設けられた挿入孔に挿入されるように構成される、バッテリーラック。
【請求項2】
層状に配列された複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールを収納するように構成されたラックケースと、
消火剤を移送するように構成され、前記複数のバッテリーモジュールに沿って延びた供給パイプ、及び一端部が前記供給パイプと接続され、他端部が前記供給パイプから前記複数のバッテリーモジュールに各々接続するように設けられた複数の弁を備えた消火剤供給部材と、を含むバッテリーラックであって、
前記消火剤供給部材が、
前記供給パイプから前記バッテリーモジュールに向かって突出し、突出した端部が前記バッテリーモジュールに挿入されるように構成された位置設定ピンを備えたことを特徴とする、バッテリーラック。
【請求項3】
前記位置設定ピンは、
一部が外側方向へ突出した形状を有する係止突起がさらに備えられたことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーラック。
【請求項4】
前記位置設定ピンは、二つ以上が備えられ、
前記二つ以上の位置設定ピンは、互いに所定の距離で離隔するように構成されたことを特徴とする、請求項2または3に記載のバッテリーラック。
【請求項5】
前記弁は、
前記バッテリーモジュールの内部温度が所定の温度以上に上昇する場合、開放されるように構成された受動型の弁であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーラック。
【請求項6】
層状に配列された複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールを収納するように構成されたラックケースと、
消火剤を移送するように構成され、前記複数のバッテリーモジュールに沿って延びた供給パイプ、及び一端部が前記供給パイプと接続され、他端部が前記供給パイプから前記複数のバッテリーモジュールに各々接続するように設けられた複数の弁を備えた消火剤供給部材と、を含むバッテリーラックであって、
前記消火剤供給部材は、
前記供給パイプの一側面に固定結合するように構成された接続部と、前記接続部から折り曲げられて延び、前記ラックケースに結合するように構成された結合部と、を備えた固定フレームをさらに備えることを特徴とする、バッテリーラック。
【請求項7】
前記供給パイプは、
前記弁が結合した側の反対側に備えられ、本体から後方へリブの形態で突出した延長部をさらに備えたことを特徴とする、請求項6に記載のバッテリーラック。
【請求項8】
前記固定フレームは、
前記接続部と一体に形成され、U字形で曲げられて前記延長部を囲むように構成された折曲部をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載のバッテリーラック。
【請求項9】
前記供給パイプは、二本が一対として備えられ、
前記固定フレームは、二本の前記供給パイプの間に位置するように構成されたことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載のバッテリーラック。
【請求項10】
前記消火剤供給部材は、
外部から消火剤が前記一対の供給パイプに注入されるように前記一対の供給パイプの一端部に接続された注入ノズルと、
消火剤が前記一対の供給パイプから外部へ排出されるように前記一対の供給パイプの他端部に接続された排出ノズルと、をさらに備えることを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーラック。
【請求項11】
前記固定フレームは、
前記注入ノズル及び前記排出ノズルを各々カバーするように構成されたカバー部材をさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載のバッテリーラック。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーラックを少なくとも一つ以上含む、電力貯蔵装置。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーラックを少なくとも一つ以上含む、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーラック、電力貯蔵装置及び発電システムに関し、より詳しくは、設置及び組立てが容易なバッテリーラック、電力貯蔵装置及び発電システムに関する。
【0002】
本出願は、2020年10月05日出願の韓国特許出願第10-2020-0128285号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系二次電池に比べてメモリー効果がほとんど起こらず充放電が自由で、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板が、セパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に封止して収納する外装材、例えば、電池パウチ外装材を備える。
【0005】
最近は、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、自動車や電力貯蔵装置のような中・大型装置にも二次電池が広く用いられている。このような中・大型装置に用いられる場合、容量及び出力を高めるために複数の二次電池が電気的に接続される。特に、このような中・大型装置には、積層が容易であり、重量が軽いなどの長所から、パウチ型二次電池がよく用いられる。
【0006】
一方、最近、エネルギー貯蔵源としての活用を含めて大容量構造に対する必要性が高くなるにつれ、電気的に直列及び/または並列接続した複数の二次電池、及びこのような二次電池を内部に収容したバッテリーモジュール及びバッテリー管理システム(BMS)を備えたバッテリーラックに対する需要が増加しつつある。
【0007】
また、このようなバッテリーラックは、複数のバッテリーモジュールを外部衝撃から保護するか、または収納保管するために、金属材質のラックケースを備えることが通常であった。さらに、最近、高容量のバッテリーラックの需要が高くなるにつれ、重い荷重のバッテリーモジュールが複数個収納されたバッテリーラックに対する需要が高まりつつある。
【0008】
従来技術のバッテリーパックまたはバッテリーラックは、各々のバッテリーモジュールの二次電池に熱暴走が発生するか、または二次電池に発火または爆発が起こる場合、消火施設を作動して、二次電池を冷却するか、または火事鎭圧を行った。
【0009】
火事鎭圧のために、バッテリーラックには消火剤を噴射する部材を備えていた。例えば、消火剤を噴射する部材は、複数のバッテリーモジュールに合わせて、複数の短いパイプと複数のT継ぎ手(主パイプからの分岐に使用する接続具)が相互に接続されて構成されていた。しかし、このような複数のパイプと複数のT継ぎ手との接続作業には時間が長くかかって製造効率が落ち、複数のパイプとT継ぎ手との気密性が低下しやすいという問題があった。
【0010】
また、多様なバッテリーラックの大きさに合わせて消火剤噴射部材を設計するに際し、毎度パイプの長さを相違にしなければならず、設計柔軟性が低下するという問題があった。
【0011】
さらに、従来技術における消火剤を噴射する部材は、複数のバッテリーモジュールの位置に合わせて設けるに際し、正確な位置に固定しにくいという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、設置及び組立てが容易なバッテリーラック、電力貯蔵装置及び発電システムを提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するための本発明によるバッテリーパックは、層状に配列された複数のバッテリーモジュールと、前記複数のバッテリーモジュールを収納するように構成されたラックケースと、消火剤を移送するように構成され、前記複数のバッテリーモジュールに沿って延びた供給パイプ、及び一端部が前記供給パイプと接続され、他端部が前記供給パイプから前記複数のバッテリーモジュールに各々接続するように設けられる複数の弁を備えた消火剤供給部材と、を含み得る。
【0015】
前記消火剤供給部材は、前記供給パイプから前記バッテリーモジュールに向かって突出し、突出した端部が前記バッテリーモジュールに挿入されるように構成された位置設定ピンを備え得る。
【0016】
前記位置設定ピンは、一部が外側方向へ突出した形状を有する係止突起がさらに備えられ得る。
【0017】
前記位置設定ピンは、二つ以上が備えられ、前記二つ以上の位置設定ピンは、互いに所定の距離で離隔するように構成され得る。
【0018】
前記弁は、前記バッテリーモジュールの内部温度が所定の温度以上に上昇する場合、開放されるように構成された受動型の弁であり得る。
【0019】
前記消火剤供給部材は、前記供給パイプの一側面に固定結合するように構成された接続部と、前記接続部から折り曲げられて延び、前記ラックケースに結合するように構成された結合部と、を備えた固定フレームをさらに備え得る。
【0020】
前記供給パイプは、前記弁が結合した側の反対側に備えられ、本体から後方へリブの形態で突出した延長部をさらに備え得る。
【0021】
前記固定フレームは、前記接続部と一体に形成され、U字形で曲げられて前記延長部を囲むように構成された折曲部をさらに備え得る。
【0022】
前記供給パイプは、二本が一対として備えられ、前記固定フレームは、二本の前記供給パイプの間に位置するように構成され得る。
【0023】
前記消火剤供給部材は、外部から消火剤が前記一対の供給パイプに注入されるように前記一対の供給パイプの一端部に接続された注入ノズルと、消火剤が前記一対の供給パイプから外部へ排出されるように前記一対の供給パイプの他端部に接続された排出ノズルと、をさらに備え得る。
【0024】
前記固定フレームは、前記注入ノズル及び前記排出ノズルを各々カバーするように構成されたカバー部材をさらに備え得る。
【0025】
なお、本発明の他の様態によると、前述したバッテリーラックを少なくとも一つ以上含む電力貯蔵装置が提供され得る。
【0026】
本発明のさらに他の様態によると、前述したバッテリーラックを少なくとも一つ以上含む発電システムが提供され得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一面によると、本発明のバッテリーラックは、消火剤供給部材から前記複数のバッテリーモジュールに各々消火剤が供給可能であるので、バッテリーモジュールの外部に消火剤を噴射する場合と比較して、火事が発生したバッテリーモジュールの内部に消火剤を直接噴射できるため、効率的な消火が可能である。これによって、バッテリーラックの火事に対する安全性を大幅向上させることができる。
【0028】
さらに、前記消火剤供給部材は、前記位置設定ピンを備えることで、予め設定されたバッテリーモジュールの位置に前記消火剤供給部材を容易に固定できる。さらに、前記消火剤供給部材がバッテリーモジュールの設定された位置ではなく、誤った位置に挿入されることを防止することができる。これによって、本発明は、部材の組立て効率性を大幅高めることができる。
【0029】
さらに、本発明は、押出成形によって製造された供給パイプは、別のT継ぎ手の構成が不要であり、複数のパイプと複数のT継ぎ手を接続する作業が省略可能であるため、パイプとT継ぎ手との接続部分の気密性が低下することがない。また、押出成形によって製造された供給パイプは、多様な大きさのバッテリーラックに合わせて設定された高さに切断して使用可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーラックを概略的に示した後方斜視図である。
図2】本発明の一実施例による消火剤供給部材を取り外したバッテリーラックのラックケースを概略的に示した後面図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリーラックの消火剤供給部材を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリーラックの消火剤供給部材の部分分解斜視図である。
図5】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールのモジュールハウジングと結合した消火剤供給部材の一部を示した部分断面図である。
図6図5に対応する図面であり、消火剤供給部材の位置設定ピンの変形例を示した図である。
図7】本発明の一実施例による消火剤供給部材の弁の斜視図である。
図8】本発明の一実施例による消火剤供給部材の固定フレームと供給パイプの一部の後方斜視図である。
図9】本発明の他の実施例による消火剤供給部材の固定フレームと供給パイプとの結合構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0032】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0033】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーラックを概略的に示した後方斜視図であり、図2は、本発明の一実施例による消火剤供給部材を取り外したバッテリーラックのラックケースを概略的に示した後面図であり、図3は、本発明の一実施例によるバッテリーラックの消火剤供給部材を示した斜視図であり、図4は、本発明の一実施例によるバッテリーラックの消火剤供給部材の部分分解斜視図であり、図5は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールのモジュールハウジングと結合した消火剤供給部材の一部を示した部分断面図である。
【0034】
図1図5を参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーラック100は、層状に配列された複数のバッテリーモジュール110と、前記複数のバッテリーモジュール110を収納するように構成されたラックケース120と、消火剤供給部材130と、を含む。
【0035】
具体的には、前記複数のバッテリーモジュール110は、上下方向へ層状に配列されるように前記ラックケース120に収納され得る。前記バッテリーモジュール110は、モジュールハウジング111と、前記モジュールハウジング111の内部に備えられ、一方向へ積層された複数の電池セル(図示せず)と、を備え得る。例えば、前記電池セルは、パウチ型電池セルであり得る。
【0036】
しかし、本発明によるバッテリーモジュール110の電池セルは、前述したパウチ型電池セルのみに限定されず、本願発明の出願時点における公知の多様な電池セルが採用され得る。
【0037】
また、前記ラックケース120は、前記複数のバッテリーモジュール110を内部に収容するように構成され得る。例えば、図1に示したように、前記ラックケース120は、一つのバッテリーモジュール110を収納するために複数の収納プレート121が備えられ得る。複数個のうち二つの収納プレート121は、前記バッテリーモジュール110の左右方向の下端部を上方へ支持するように構成され得る。また、前記二つの収納プレート121は、下部に載置された他の一つのバッテリーモジュール110が上方へ移動することを阻止するためのストッパーの役割を果たし得る。
【0038】
図1及び図3を参照すると、前記消火剤供給部材130は、供給パイプ131、複数の弁132と、位置設定ピン133と、を備え得る。
【0039】
具体的には、前記供給パイプ131は、消火剤を移送するように構成され得る。即ち、前記供給パイプ131の上部に位置した入口は、外部の消防施設から供給された消火剤が注入されるように構成され得る。ここで、消火剤は、炭酸カリウムのような無機塩の濃厚溶液、化学泡、空気泡、二酸化炭素または水であり得る。前記供給パイプ131は、前記複数のバッテリーモジュール110の配列に沿って延びた形態を有し得る。例えば、図1に示したように、前記供給パイプ131は、上下方向へ配列されたバッテリーモジュール110に沿って上下方向へ延びた形態を有し得る。
【0040】
前記供給パイプ131は、押出成形によって製造され得る。前記供給パイプ131は、図4のように、四角管状であり得る。前記供給パイプ131は、前記複数の弁132が挿入されるように構成された複数の接続口(図4のT)が備えられ得る。このように押出成形された供給パイプ131は、別のT継ぎ手の構成が不要であり、複数のパイプと複数のT継ぎ手を接続する作業を省略することができる。さらに、パイプとT継ぎ手との接続部分における気密性の低下が発生しない(ここで、前記T継ぎ手とは、主配管からの分岐に使用され、T字形で二本のパイプに接続される接続管を意味する。)。
【0041】
また、圧出成形に製造された供給パイプ131は、多様な大きさのバッテリーラックに合わせて設定された高さに切断して使用可能な利点がある。
【0042】
前記複数の弁132は、一端部が前記供給パイプ131と接続するように構成され得る。例えば、前記弁132の一端部には雄ねじが形成され得る。前記弁132の一端部は、図5のように、前記供給パイプ131の雌ねじが形成された接続口Tに挿入された後、ねじ結合し得る。
【0043】
また、前記弁132の他端部は、前記供給パイプ131から前記複数のバッテリーモジュール110の各々に向かって突出した形態を有し得る。即ち、前記弁132の他端部は、前記バッテリーモジュール110のモジュールハウジング111の挿入孔H2(図2参照)に挿入されるように構成され得る。
【0044】
前記位置設定ピン133は、前記供給パイプ131の前面から前方に向かって突出した形態を有し得る。前記位置設定ピン133は、前記複数のバッテリーモジュール110のうちいずれか一つに向かって突出した形態を有し得る。前記位置設定ピン133の突出端部が前記複数個のバッテリーモジュール110のうちいずれか一つに挿入されるように構成され得る。この際、前記複数のバッテリーモジュール110のうちいずれか一つ以上のモジュールハウジング111は、前記位置設定ピン133が挿入されるように構成された貫通孔H1(図2参照)が備えられ得る。
【0045】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明のバッテリーラック100は、消火剤供給部材130によって前記複数のバッテリーモジュール110に各々消火剤が供給可能であるため、バッテリーモジュール110の外部に消火剤を噴射する場合と比較して、火事が発生したバッテリーモジュール110の内部に消火剤を直接噴射できるので、効率的に消火が可能である。これによって、バッテリーラック100の火事に対する安全性を大幅高めることができる。
【0046】
さらに、前記消火剤供給部材130は、前記位置設定ピン133を備えることで、予め設定されたバッテリーモジュール110の位置に前記消火剤供給部材130を容易に固定できる。さらに、前記消火剤供給部材130がバッテリーモジュール110の設定された位置ではなく、誤った位置に挿入されることが防止できる。これによって、本発明の部材の組立て効率性を大幅高めることができる。
【0047】
図6は、図5に対応する図面であって、消火剤供給部材の位置設定ピンの変形例を示した図である。
【0048】
図6を参照すると、変形例による消火剤供給部材130の位置設定ピン133は、係止突起133aをさらに備え得る。前記係止突起133aは、前記位置設定ピン133の外面から突出した形状を有し得る。前記係止突起133aは、前記位置設定ピン133が前記バッテリーモジュール110のモジュールハウジング111の貫通孔H1に挿入された後、さらに排出方向へ移動する場合、前記貫通孔H1の周辺部にかかるように構成され得る。前記係止突起133aは、次第に厚さが厚くなるように構成され得る。前記係止突起133aは、前記位置設定ピン133が前記モジュールハウジング111の貫通孔H1に挿入された後、さらに挿入方向へ移動して前記貫通孔H1から抜けないように阻止するように構成され得る。
【0049】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、前記位置設定ピン133が係止突起133aをさらに備えることで、前記消火剤供給部材130が前記位置設定ピン133によって予め設定された位置に固定された後、外力によって位置設定ピン133が貫通孔H1から抜けることを防止することができる。これによって、本発明は、部材の組立て効率性を大幅向上させることができる。
【0050】
さらに図3及び図4を参照すると、前記位置設定ピン133は、二つ以上が備えられ得る。前記二つ以上の位置設定ピン133は、互いに所定の距離で離隔するように構成され得る。例えば、図3に示したように、前記消火剤供給部材130は、二つの位置設定ピン133が上下方向へ離隔して備えら得る。二つの位置設定ピン133は各々、二つのバッテリーモジュール110に各々挿入されるように構成され得る。
【0051】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、所定の距離で離隔した二つ以上の位置設定ピン133を備えることで、前記消火剤供給部材130が前記ラックケース120に固定された後、左右方向へ搖れるか、または移動することを防止することができる。即ち、一つの位置設定ピン133のみが存在する場合、前記位置設定ピン133を中心にして前記供給パイプ131が回動することによって前記消火剤供給部材130の前記ラックケース120への結合が難しくなることがあることから、二つ以上の位置設定ピン133を使用して供給パイプ131の回動を防止し、上下方向へ正しく配列されるようにガイドできる。
【0052】
図7は、本発明の一実施例による供給部材の弁の斜視図である。
【0053】
図5と共に図7をさらに参照すると、本発明の弁132は、前記バッテリーモジュール110に備えられた挿入孔H2に挿入され得る。この際、前記弁132は、前記挿入孔H2との封止のために封止部材132cをさらに備え得る。前記封止部材132cは、例えば、合成ゴムまたはシリコーンで構成され得る。前記封止部材132cは、詳しくは図示していないが、前記弁132の外面を囲むようにリング状に形成され得る。このような封止部材132cは、前記弁132と前記挿入孔H2との間に介在され得る。
【0054】
また、前記弁132は、受動型の弁132であり得る。前記受動型の弁132は、前記バッテリーモジュール110の内部温度が所定の温度以上に上昇すると、開放されるように構成され得る。
【0055】
例えば前記受動型の弁132は、所定の温度以上で割れるように構成されたガラスバルブ132aで構成され得る。前記ガラスバルブ132aは、常時には前記受動型の弁132の出口132bを密閉するように構成される。しかし、前記ガラスバルブ132aが熱によって壊れて消失する場合、弁132の出口132bが開放されて消火剤が噴出され得る。
【0056】
図8は、本発明の一実施例による消火剤供給部材の固定フレームと供給パイプの一部を後方から見た斜視図である。
【0057】
図2図4及び図8をさらに参照すると、本発明の消火剤供給部材130は、固定フレーム134をさらに備え得る。前記固定フレーム134は、接続部134a及び結合部134bを備え得る。前記接続部134aは、前記供給パイプ131の一側面と対面するプレート状で設けられ得る。前記接続部134aは、前記供給パイプ131の一側面に結合するように構成され得る(ここで、前記供給パイプ131の一側面とは、前記供給パイプ131において前記弁132が結合した面と交差するいずれか一面を意味する。)
【0058】
例えば、前記接続部134aは、前記供給パイプ131とボルトホールH5を備え、前記ボルトホールH5を通じて前記供給パイプ131の一側面にボルト結合し得る。前記結合部134bは、前記接続部134aから延びて前記接続部134aの端部から折り曲げられたプレート状であり得る。前記結合部134bは、前記ラックケース120と結合するように構成され得る。
【0059】
前記結合部134bは、前記ラックケース120に形成されたボルト孔(図2のH4)とボルト結合可能にボルト孔H3を備え得る。例えば、図4に示したように、前記消火剤供給部材130は、前記ラックケース120とボルト結合するように構成された前記結合部134bと、前記結合部134bの左右方向の両端部の各々から後方へ折り曲げられて延びた二つの接続部134aと、が備えられ得る。そして、二つの接続部は各々、一対の供給パイプ131に結合するように構成され得る。
【0060】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、固定フレーム134をさらに備えることで、前記一対の供給パイプ131を一体で前記ラックケース120に強い結合力で固定できる。これによって、本発明のバッテリーラック100は、耐久性を効果的に高めることができる。
【0061】
図9は、本発明の他の実施例による消火剤供給部材の固定フレームと供給パイプの結合構成を説明するための平面図である。
【0062】
図8と共に図9を参照すると、図9の消火剤供給部材130の固定フレーム134は、図8の消火剤供給部材130と比較して、折曲部134cをさらに備え得る。しかし、残りの構成は、図8の消火剤供給部材130と同一であるので、これについての説明を省略する。
【0063】
先ず、前記消火剤供給部材130の供給パイプ131は、前記弁132が結合した側の反対側に備えられ、本体から後方へリブ形態で突出した延長部131aをさらに備え得る。前記延長部131aは、上下方向へ延びたリブ形態を有し得る。前記延長部131aは、前記供給パイプ131の左側端及び右側端に各々備えられ得る。
【0064】
また、前記固定フレーム134は、折曲部134cをさらに備え得る。前記折曲部134cは、図9のように、前記延長部131aを囲む形態で設けられ得る。
【0065】
例えば、前記折曲部134cは、前記接続部134aと一体に形成された部分であって、ほぼU字形に曲げられて前記供給パイプ131の延長部131aを囲むように構成され得る。言い換えれば、前記折曲部134cは、前記接続部134aにフック結合するように構成されるといえる。具体的には、図9に示したように、二本の供給パイプ131の間に固定フレーム134が位置し、前記固定フレームの左折曲部134cと右折曲部134cが前記二本の供給パイプ131の一側の延長部131aを囲むように接続され得る。
【0066】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、固定フレーム134と前記供給パイプ131が互いに結束される折曲部134cをさらに備えることで、前記供給パイプ131と前記固定フレーム134との結束をさらに堅固にすることができる。これによって、本発明の消火剤供給部材130の耐久性を効果的に高めることができる。
【0067】
一方、図3をさらに参照すると、本発明の一実施例によるバッテリーラック100の供給部材130は、注入ノズル135及び排出ノズル136を備え得る。具体的には、前記注入ノズル135は、外部の消火装置から供給された消火剤が注入されるように前記供給パイプ131の上端部に接続され得る。また、前記注入ノズル135は、二本の供給パイプ131に接続可能に一つの入口と 二つの出口を有するように構成され得る。前記排出ノズル136は、前記供給パイプ131の内部の消火剤を外部へ排出するように前記供給パイプ131の下端部に接続され得る。また、前記排出ノズルは、二本の供給パイプ131に接続可能に二つの入口と一つの出口を有するように構成され得る。
【0068】
また、前記固定フレーム134は、カバー部材137をさらに備え得る。前記カバー部材137は、前記注入ノズル135及び前記排出ノズル136を各々カバーするように構成され得る。前記カバー部材137は、前記注入ノズル135または前記排出ノズル136の後面をカバーする後壁と、前記ノズルの左側をカバーする左側壁と、前記ノズルの右側をカバーする右側壁と、前記ノズルの下部をカバーする下壁と、を備え得る。
【0069】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明は、前記注入ノズルまたは前記排出ノズル136をカバーするように構成されたカバー部材137を備えることで、前記注入ノズル135または前記排出ノズル136が外部物体の衝突によって損傷すること防止することができる。これによって、本発明のバッテリーラック100は、外部物体との衝突から消火剤供給部材130を保護でき、耐久性を効果的に高めることができる。
【0070】
一方、本発明による電力貯蔵装置(図示せず)は、前述した本発明によるバッテリーラック100を一つ以上含み得る。前記電力貯蔵装置は、スマートグリッドシステムや電気充電ステーションなどの多様な形態で具現され得る。
【0071】
一方、本発明は、前記バッテリーラック100を少なくとも一つ以上含む発電システムを提供する。前記発電システムは、水力発電機、火力発電機、風力発電機、太陽発電機などを備え得る。このような発電機から生成された電気を前記バッテリーラック100に貯蔵可能である。
【0072】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0073】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
100 バッテリーラック
110 バッテリーモジュール
111 モジュールハウジング
120 ラックケース
121 収納プレート
130 消火剤供給部材
131 供給パイプ
131a 延長部
132 弁
132a ガラスバルブ
132b 出口
132c 封止部材
133 位置設定ピン
133a 係止突起
134 固定フレーム
134a 接続部
134b 結合部
134c 折曲部
135 注入ノズル
136 排出ノズル
137 カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9