(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/378 20150101AFI20241105BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20241105BHJP
H01Q 9/42 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01Q5/378
H01Q1/24 Z
H01Q9/42
(21)【出願番号】P 2023523546
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(86)【国際出願番号】 CN2021119918
(87)【国際公開番号】W WO2022083398
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】202011120282.0
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハンヤン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユアンポン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ダウエイ
(72)【発明者】
【氏名】シ,チュアンボ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シアオウエイ
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111628274(CN,A)
【文献】特表2020-527310(JP,A)
【文献】特開平09-326632(JP,A)
【文献】特開2018-207209(JP,A)
【文献】特開平11-312923(JP,A)
【文献】国際公開第01/018909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/378
H01Q 1/24
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
接地と、
第1端部を有する第1アンテナユニットと、
第1端部及び第2端部を有する第2アンテナユニットと
を有し、
前記第2アンテナユニット及び前記第1アンテナユニットは接触し合わず、
第1接地点が前記第1アンテナユニットの第1端部に配置され、前記第1アンテナユニットは、前記第1接地点で前記接地へ電気的に接続され、
第2接地点が前記第2アンテナユニットの第1端部に配置され、前記第2アンテナユニットは、前記第2接地点で前記接地へ電気的に接続され、
前記第2接地点と前記第1接地点との間の距離は、前記第2アンテナユニットの第2端部と前記第1接地点との間の距離よりも大きく、
フィード点が前記第1アンテナユニット又は前記第2アンテナユニットに配置され、前記フィード点は電気信号を供給するために使用され、
前記第1アンテナユニットの電気長は、前記第2アンテナユニットの電気長と同じであ
り、
前記接地が位置している面上での、前記第1アンテナユニットの部分及び前記第2アンテナユニットの部分の投影は、第1方向において互いに平行であり、第2方向における前記投影の間隔は、第1波長の4分の1よりも小さく、前記第2方向における前記投影の重なり合った長さは、第1波長の4分の1より大きく、前記第1方向は、前記第1アンテナユニットの前記部分及び前記第2アンテナユニットの前記部分の延在方向であり、前記第2方向は前記第1方向に垂直であり、前記第1波長は、当該電子デバイスの動作波長であり、
前記第1アンテナユニットは、当該電子デバイスの金属フレームアンテナであり、前記第1アンテナユニットの前記部分は、前記金属フレームアンテナの長い直線区間である、
電子デバイス。
【請求項2】
前記接地が位置している前記面上での、前記第1アンテナユニットの前記部分及び前記第2アンテナユニットの前記部分の前記投影は、前記第2方向において完全に重なり合う、
請求項
1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
電子デバイスであって、
接地と、
第1端部を有する第1アンテナユニットと、
第1端部及び第2端部を有する第2アンテナユニットと
を有し、
前記第2アンテナユニット及び前記第1アンテナユニットは接触し合わず、
第1接地点が前記第1アンテナユニットの第1端部に配置され、前記第1アンテナユニットは、前記第1接地点で前記接地へ電気的に接続され、
第2接地点が前記第2アンテナユニットの第1端部に配置され、前記第2アンテナユニットは、前記第2接地点で前記接地へ電気的に接続され、
前記第2接地点と前記第1接地点との間の距離は、前記第2アンテナユニットの第2端部と前記第1接地点との間の距離よりも大きく、
フィード点が前記第1アンテナユニット又は前記第2アンテナユニットに配置され、前記フィード点は電気信号を供給するために使用され、
前記第1アンテナユニットの電気長は、前記第2アンテナユニットの電気長と同じであり、
前記接地が位置している面上での、前記第1アンテナユニットの部分及び前記第2アンテナユニットの部分の投影は、互いに垂直であり、前記第2アンテナユニットの前記部分の延在ラインは、前記第1アンテナユニット上で前記第1アンテナユニットの前記部分と交差
し、
前記第1アンテナユニットは、当該電子デバイスの金属フレームアンテナであり、前記第1アンテナユニットの前記部分は、前記金属フレームアンテナの長い直線区間である、
電子デバイス。
【請求項4】
前記第2アンテナユニットの前記部分の前記延在ラインは、前記第1アンテナユニットの前記部分の中点で前記第1アンテナユニットの前記部分と交差する、
請求項
3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1アンテナユニット及び前記第2アンテナユニットは夫々、レーザー直接構造化(LDS)アンテナ、フレキシブル印刷回路(FPC)アンテナ、フローティングメタル(FLM)アンテナ、及び印刷回路基板(PCB)アンテナ、のうちの1つ以上である、
請求項1乃至
4のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記フィード点と前記第1接地点又は前記第2接地点との間の距離は、当該電子デバイスの動作波長の4分の1よりも小さい、
請求項1乃至
5のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第1アンテナユニットは第2端部を更に有し、
前記フィード点は、前記第1アンテナユニットの第2端部又は前記第2アンテナユニットの第2端部に配置される、
請求項1乃至
5のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記フィード点が電気信号を供給する場合に、前記第1アンテナユニット及び前記第2アンテナユニットは共振を生成し、
前記共振は、前記第1アンテナユニットの電気長、前記第2アンテナユニットの電気長、及び接地と前記第1アンテナユニットと前記第2アンテナユニットとの間の電気接続点間の電気長によって決定される、
請求項1乃至
7のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
ダイポールアンテナが、前記第1アンテナユニットと前記第2アンテナユニットと前記接地の部分との間に形成される、
請求項1乃至
8のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
当該電子デバイスはフローティングメタル片を更に有し、
前記フローティングメタル片は、前記第1アンテナユニットと前記第2アンテナユニットとの間に配置され、前記フローティングメタル片は、第1方向において前記第1アンテナユニット及び前記第2アンテナユニットと部分的に重なり合い、
前記第1方向は、前記接地が位置している面に垂直な方向である、
請求項1乃至
9のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
開口が、前記第2アンテナユニットに近い前記第1アンテナユニットの側に配置される、
請求項1乃至
9のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
当該電子デバイスは、第1接続片及び第2接続片を更に有し、
前記第1接続片の一端は、前記第1接地点で前記第1アンテナユニットへ電気的に接続され、前記第1接続片の他端は、前記接地へ電気的に接続され、
前記第2接続片の一端は、前記第2接地点で前記第2アンテナユニットへ電気的に接続され、前記第2接続片の他端は、前記接地へ電気的に接続される、
請求項1乃至
11のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記第1アンテナユニットは、逆L型アンテナ(ILA)、逆F型アンテナ(IFA)、又は平板逆F型アンテナ(PIFA)であり、
前記第2アンテナユニットは、ILA、IFA、又はPIFAである、
請求項1乃至
12のうちいずれか一項に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信の分野に関係があり、具体的には、電子デバイスに関係がある。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術は急速に進化している。過去には、第2世代(second generation,2G)移動体通信システムが主に電話機能を支えていた。電子デバイスは、単に、SMSメッセージを送信及び受信しかつボイス通信を行うために人々によって使用されるツールであった。無線ネットワークアクセス機能は、データ伝送がボイスチャネルを使用することによって行われるので、非常に遅かった。今日では、電話をすること、SMSメッセージを送ること、及び写真を撮ることに加えて、電子デバイスは、オンラインで音楽を聴いたり、オンライン映画を観たり、リアルタイムのビデオ通話を行ったり、などするために使用される場合があり、人々の生活において電話、映画、及びテレビエンターテイメント、並びに電子商取引などのような様々なアプリケーションをカバーしている。複数の機能アプリケーションは、無線ネットワークを介してデータをアップロード及びダウンロードする必要がある。従って、データの高速伝送が非常に重要になっている。
【0003】
多入力多出力(multi-input multi-output,MIMO)技術は、第5世代(5th generation,5G)無線通信システムで非常に重要な役割を果たしており、より高いデータ伝送レートを提供することができる。しかし、携帯電話などの電子デバイスにとって、優れたMIMO性能を達成することは、依然として大きな課題である。1つの理由は、電子デバイス内のごく限られた空間により、MIMOアンテナがカバーすることができる周波数帯域と、高性能とが制限されるからである。より高い性能及び広帯域のカバレッジ機能を持ったアンテナを取得する方法は、産業界で重要な研究テーマになっている。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施形態は電子デバイスを提供する。電子デバイスはアンテナ構造及び接地を含む。アンテナ構造に含まれている複数のアンテナユニットは、接地へ電気的に接続されてよい。接地を使用することによって、接地に配置されている複数のアンテナユニット間でエネルギが移動し、強い結合が実装され、アンテナ構造はHWM及びOWMで動作し、複数の動作周波数帯域が生成されて、通信要件は満足される。更には、接地を使用することによって複数のアンテナユニット間でエネルギが移動するので、アンテナユニットの電流は一様に分布し、アンテナユニットのSARは低い。
【0005】
第1の態様に従って、接地と、第1端部を有する第1アンテナユニットと、第1端部及び第2端部を有する第2アンテナユニットとを含み、第2アンテナユニット及び第1アンテナユニットが接触し合わない電子デバイスが提供される。第1接地点が第1アンテナユニットの第1端部に配置され、第1アンテナユニットは、第1接地点で前記接地へ電気的に接続される。第2接地点が第2アンテナユニットの第1端部に配置され、第2アンテナユニットは、第2接地点で前記接地へ電気的に接続される。第2接地点と第1接地点との間の距離は、第2アンテナユニットの第2端部と第1接地点との間の距離よりも大きい。第1アンテナユニットの電気長は、第2アンテナユニットの電気長と同じである。
【0006】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、接地はアンテナユニット間のモード電流の一部を担うので、接地を使用することによってアンテナユニット間には強い結合が実装される。従って、放射エネルギが励起ユニットに集中して高いSARを引き起こすことがない。更には、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、及び接地の部分は一緒にダイポールアンテナを形成し、ダイポールアンテナの全体はHWM及びOWMで動作することができ、複数の動作周波数帯域が生成されて、通信要件は満足される。
【0007】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影は、同じ直線に沿って配置される。
【0008】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、2つのアンテナユニットが同じ直線に沿って配置されてもよいことは、2つのアンテナユニットが長さ方向において共線的であるか、又は長さ方向における2つのアンテナユニット間の最大距離が動作波長の4分の1よりも小さいこととして理解されてよい。
【0009】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは両方とも、接地の一方の側に配置され、第1方向において接地上に完全に投影される。第1方向は、接地が位置している面に垂直な方向である。
【0010】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影は、第2方向において互いに平行であり、第2方向に垂直な方向において少なくとも部分的に重なり合う。第2方向は、第1アンテナユニットの長さ方向である。
【0011】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、2つのアンテナユニットが並列レイアウトにあり、接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影が互いに平行であり、長さ方向において共線的でない場合に、2つのアンテナユニットは特定の置き違いを有する可能性がある。
【0012】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影は、第2方向に垂直な方向において完全に重なり合う。
【0013】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影は、互いに垂直であり、第2アンテナユニットの部分の延在ラインは、第1アンテナユニット上で第1アンテナユニットの部分と交差する。
【0014】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第2アンテナユニットの部分の延在ラインと第1アンテナユニットとの間の夾角は、約80度から100度であり、つまり、アンテナユニットの一方は、そのアンテナユニットの放射体の一端に沿ってある程度回転してもよい。
【0015】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、第2アンテナユニットの部分の延在ラインは、第1アンテナユニットの中点で第1アンテナユニットの部分と交差する。
【0016】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、第1アンテナユニットは、電子デバイスの金属フレームアンテナであり、第1アンテナユニットは、金属フレームアンテナの区間である。
【0017】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは夫々、レーザー直接構造化(laser-direct-structuring,LDS)アンテナ、フレキシブル印刷回路(flexible printed circuit,FPC)アンテナ、フローティングメタル(floating metal,FLM)アンテナ、及び印刷回路基板(printed circuit board,PCB)アンテナ、のうちの1つ以上である。
【0018】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニットは金属フレームアンテナであり、第2アンテナユニットは、LDSアンテナ、FPCアンテナ、FLMアンテナ、又はPCBアンテナのうちの1つであり、電子デバイスにおいてアンテナ構造によって占有される空間は、並列レイアウト方式で低減される。
【0019】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、電子デバイスは、第1アンテナユニット又は第2アンテナユニットに配置されるフィード点を更に含み、フィード点は電気信号を供給するために使用される。
【0020】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、フィード点と第1接地点又は第2接地点との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は電子デバイスの動作波長である。
【0021】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、第1アンテナユニットは第2端部を更に含み、フィード点は、第1アンテナユニットの第2端部又は第2アンテナユニットの第2端部に配置される。
【0022】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、電子デバイスのフィードユニットが、第1アンテナユニット又は第2アンテナユニットに給電してもよく、それにより、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットを含むアンテナ構造は、HWM及びOWMで動作することができ、複数の動作周波数帯域が生成されて、通信要件は満足される。より良いインピーダンス整合を実装するために、フィードユニットと第1アンテナユニットの間に直列にキャパシタが接続されてもよく、あるいは、フィードユニットは、容量性間接結合給電方式においてフィード点でアンテナ構造に給電する。
【0023】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、フィード点が電気信号を供給するとき、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは共振を生成する。共振は、第1アンテナユニットの電気長、第2アンテナユニットの電気長、及び接地と第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間の電気接続点間の電気長によって決定される。
【0024】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、及び接地の部分は一緒にダイポールアンテナを形成し、ダイポールアンテナの全体はHWM及びOWMで動作することができる。ダイポールアンテナのモード電流経路は、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、及び接地の部分を含む。従って、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットを含むアンテナ構造の動作周波数帯域は、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの放射体の長さを調整することによって、又は第1接地点と第2接地点との間の距離を調整することによって、調整され得る。アンテナ構造の動作周波数帯域を調整する方法は、電子デバイス内の実際の空間に基づいて選択されてよい。
【0025】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、ダイポールアンテナが、第1アンテナユニットと第2アンテナユニットと接地の部分との間に形成される。
【0026】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、接地はモード電流の一部を担う。従って、従来の励起ユニット及び寄生ユニットとは異なり、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは、接地を使用することによって強力に結合される。更には、この構造により、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの電流は一様に分布し、放射エネルギが励起ユニットに集中して高いSARを引き起こすことはない。
【0027】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、電子デバイスはフローティングメタル片を更に含む。フローティングメタル片は、第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間に配置される。フローティングメタル片は、第1方向において第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットと部分的に重なり合い、第1方向は、接地に垂直な方向である。
【0028】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間にフローティングメタル片が加えられた後、第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間の結合量は増大し得る。これは、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットによって生成される共振の周波数を制御するために使用されてよく、つまり、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットによって生成される共振の周波数は、低い周波数の方にシフトされる。
【0029】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、開口が、第2アンテナユニットに近い第1アンテナユニットの側に配置される。
【0030】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニット又は第2アンテナユニットに開口が配置された後、第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間の結合量は低減し得る。これは、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットによって生成される共振の周波数を制御するために使用されてよく、つまり、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットによって生成される共振の周波数は、高い周波数の方にシフトされる。
【0031】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実施において、電子デバイスは、第1接続片及び第2接続片を更に含む。第1接続片の一端は、第1接地点で第1アンテナユニットへ電気的に接続され、第1接続片の他端は、接地へ電気的に接続される。第2接続片の一端は、第2接地点で第2アンテナユニットへ電気的に接続され、第2接続片の他端は、接地へ電気的に接続される。
【0032】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは、第1接続片及び第2接続片を使用することによって接地へ電気的に接続されてもよい。
【0033】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニットは、逆L型アンテナ(inverted L antenna,ILA)、逆F型アンテナ(inverted F antenna,
IFA)、又は平板逆F型アンテナ(planar inverted F antenna,PIFA)である。第2アンテナユニットは、ILA、IFA、又はPIFAである。
【0034】
本願のこの実施形態における技術的解決法に従って、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットのタイプは、実際の設計又は製造要件に基づいて選択されてもよい。
【0035】
第2の態様に従って、接地と、第1端部を含む第1アンテナユニットと、第1端部及び第2端部を含む第2アンテナユニットとを含み、第2アンテナユニット及び第1アンテナユニットが接触し合わない電子デバイスが提供される。第1接地点が第1アンテナユニットの第1端部に配置され、第1アンテナユニットは、第1接地点で接地へ電気的に接続される。第2接地点が第2アンテナユニットの第1端部に配置され、第2アンテナユニットは、第2接地点で接地へ電気的に接続される。第2接地点と第1接地点との間の距離は、第2アンテナユニットの第2端部と第1接地点との間の距離よりも大きい。第1アンテナユニットの電気長は、第2アンテナユニットの電気長と同じである。接地が位置している面上での、第1アンテナユニットの部分及び第2アンテナユニットの部分の投影は、第2方向において互いに平行であり、第2方向に垂直な方向において少なくとも部分的に重なり合い、第2方向は、第1アンテナユニットの長さ方向である。第1アンテナユニットは、電子デバイスの金属フレームアンテナであり、第1アンテナユニットは金属フレームアンテナの区間である。第2アンテナユニットは、レーザー直接構造化(LDS)アンテナ、フレキシブル印刷回路(FPC)アンテナ、フローティングメタル(FLM)アンテナ、及び印刷回路基板(PCB)アンテナ、のうちの1つである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本願の実施形態に従う電子デバイスの模式図である。
【
図2】従来技術における一般的なアンテナソリューションである。
【
図3】本願に従うダイポールアンテナのHWMに対応する電流分布の模式図である。
【
図4】本願に従うダイポールアンテナのOWMに対応する電流分布の模式図である。
【
図5】
図3に示されているダイポールアンテナが曲げられた後の電流分布の模式図である。
【
図6】
図4に示されているダイポールアンテナが曲げられた後の電流分布の模式図である。
【
図7】
図3に示されているダイポールアンテナが曲げられてかつ接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【
図8】
図4に示されているダイポールアンテナが曲げられたかつ接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【
図9】
図3に示されているダイポールアンテナが曲げられてかつアンテナユニットに垂直な接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【
図10】
図4に示されているダイポールアンテナが曲げられたかつアンテナユニットに垂直な接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【
図11(a)】本願に従う直列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図11(b)】本願に従う直列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図11(c)】本願に従う直列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図12(a)】本願に従う並列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図12(b)】本願に従う並列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図12(c)】本願に従う並列レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図13(a)】本願に従う直角レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図13(b)】本願に従う直角レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図13(c)】本願に従う直角レイアウトでの2つのアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図14】本願に従う並列レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図15】本願に従う直列-並列レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図16】本願に従う直列-並列-直角レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図17】本願に従う直角レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
【
図18】本願に従う、アンテナユニットがPIFAユニットである例を使用することによる記載の模式図である。
【
図19】本願に従う、アンテナユニットがPIFAユニットである例を使用することによる記載の模式図である。
【
図20(a)】本願に従う電子デバイスの構造の模式図である。
【
図20(b)】本願に従う電子デバイスの構造の模式図である。
【
図20(c)】本願に従う電子デバイスの構造の模式図である。
【
図21】
図20(a)から
図20(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータのシミュレーション図である。
【
図22】
図20(a)から
図20(c)に示されているアンテナ構造の効率のシミュレーション図である。
【
図23(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図23(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図24(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図24(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図25(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図25(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図26】本願の実施形態に従う直列レイアウトのアンテナ構造の模式図である。
【
図27】
図26に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【
図28(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図28(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図28(c)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図29】
図28(a)から
図28(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータのシミュレーション図である。
【
図30】
図28(a)から
図28(c)に示されているアンテナ構造のシステム効率のシミュレーション図である。
【
図31(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図31(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図31(c)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図32(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図32(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図33(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図33(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図33(c)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図34(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図34(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図34(c)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図35】
図34(a)から
図34(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータ及びシステム効率のシミュレーション図である。
【
図36(a)】各共振点での
図34(a)から
図34(c)に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【
図36(b)】各共振点での
図34(a)から
図34(c)に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【
図36(c)】各共振点での
図34(a)から
図34(c)に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【
図36(d)】各共振点での
図34(a)から
図34(c)に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【
図37(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図37(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図38】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図39(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図39(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図40(a)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【
図40(b)】本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下は、添付の図面を参照して本願の技術的解決法について記載する。
【0038】
本願で、「電気接続」は、コンポーネントが物理的に接触しておりかつ電気的に導通している形態として理解され得るか、あるいは、直線構造にある異なるコンポーネントが、例えば印刷回路基板(printed circuit board,PCB)銅ホイル又は導電線などの、電気信号を伝えることができる物理的な線を通じて接続される形態として理解される、ことが理解されるべきである。「通信接続」は、無線通信接続及び有線通信接続を含む電気信号伝送を指すことができる。無線通信接続は物理的な媒体を必要とせず、製品構造を制限する接続関係に属さない。「接続」及び「・・・へ接続される」は両方とも、機械的な接続関係又は物理的な接続関係を指すことができ、つまり、AとBとの間の接続は、又はAがBへ接続されるとは、AとBとの間に締結コンポーネント(例えば、ネジ、ボルト、又はリベット)が存在しているか、あるいは、AとBとが互いに接しており、AとBとは分離するのが困難であることを意味し得る。
【0039】
本願で提供される技術的解決法は、次の通信技術:ブルートゥース(Bluetooth,BT)通信技術、グローバル・ポジショニング・システム(global positioning system,GPS)通信技術、ワイヤレス・フィデリティ(wireless fidelity,Wi-Fi)通信技術、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(global system for mobile communications,GSM)通信技術、広帯域符号分割多重アクセス(wideband code division multiple access,WCDMA)通信技術、ロング・ターム・エボリューション(long term evolution,LTE)通信技術、5G通信技術、SUB-6G通信技術、及び他の将来の通信技術、のうちの1つ以上を使用する電子デバイスに適用可能である。本願の実施形態の電子デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートバンド、スマートウォッチ、スマートヘルメット、スマートグラス、などであってよい。代替的に、電子デバイスは、セルラー電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(session initiation protocol,SIP)電話、無線ローカルループ(wireless local loop,WLL)局、パーソナル・デジタル・アシスタント(personal digital assistant,PDA)、無線通信機能を備えたハンドヘルドデバイス、コンピューティングデバイス、無線モデムに接続された他の処理デバイス、車載デバイス、5Gネットワークの端末デバイス、将来の進化した公衆地上移動体網(public land mobile network,PLMN)の端末デバイス、などであってもよい。これは本願の実施形態で制限されない。
【0040】
図1は、本願に従う電子デバイスの内部環境の一例を示す。電子デバイスが携帯電話である例が説明のために使用される。
【0041】
図1に示されるように、電子デバイス10は、ガラスカバー(cover glass)13、ディスプレイ(display)15、印刷回路基板(printed circuit board,PCB)17、ミドルフレーム(housing)19、及びリアカバー(rear cover)21を含んでよい。
【0042】
ガラスカバー13は、ディスプレイ15に対して近くに配置されてよく、主として、ディスプレイ15を保護し、ディスプレイ15を塵埃から保護するために使用されてよい。
【0043】
任意に、ディスプレイ15は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display,LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode,LED)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode,OLED)、などであってよい。これは本願で制限されない。
【0044】
印刷回路基板PCB17は、難燃性(FR-4)誘電体平板を使用してよく、あるいは、ロジャーズ(Rogers)誘電体平板を使用してよく、あるいは、ロジャーズ及びFR-4の複合誘電体平板、などを使用してもよい。ここで、FR-4は難燃性材料の等級指定であり、ロジャーズ誘電体平板は高周波数平板である。ミドルフレーム19に近い印刷回路基板PCB17の側には金属層が配置されてよく、金属層は、PCB17の表面に金属をエッチングすることによって形成され得る。金属層は、感電からユーザを守ったり又はダメージからデバイスを保護したりするために、印刷回路基板PCB17に載置された電子素子を接地するために使用され得る。金属層はPCB接地と呼ばれることがある。PCB接地に限られず、電子デバイス10は、接地するために使用される他の接地、例えば、他の電子デバイスの金属面又は金属ミドルフレームを更に有してもよい。更には、PCB17には複数の電子部品が配置される。複数の電子部品はプロセッサ(例えば、電力管理モジュール、メモリ、センサ、及びSIMカードインターフェースのうちの1つ以上)を含み、金属は、電子部品の中又はその表面にも配置される。
【0045】
電子デバイス10は、図示されていないバッテリを更に含んでもよい。バッテリは、ミドルフレーム19に配置されてよい。バッテリは、PCB17をメインボード及びサブボードに分割し得る。メインボードは、ミドルフレーム19のフレーム11とバッテリの上縁との間に配置されてよく、サブボードは、ミドルフレーム19とバッテリの下縁との間に配置されてよい。バッテリの中又はその表面にも金属層が配置される。
【0046】
ミドルフレーム19は、主に、デバイス全体を支えるために使用される。ミドルフレーム19はフレーム11を含んでもよく、フレーム11は、金属などの導電材料から作られてよい。フレーム11は、電子デバイス10及びディスプレイ15の外周の周りに延在してよい。フレーム11は、具体的に、ディスプレイ15の4辺を囲んで、ディスプレイ15を固定するのを助け得る。実施において、金属材料から作られているフレーム11は、金属フレーム外観を形成するよう電子デバイス10の金属フレームとして直接使用されてよい。これは金属工業デザイン(industrial design,ID)に適用可能である。他の実施においては、フレーム11の外面は、非金属フレーム外観を形成するようプラスチックフレームなどの非金属材料であってもよい。これは非金属IDに適用可能である。
【0047】
リアカバー21は、金属材料から作られたリアカバーであってよく、あるいは、非金属材料、例えば、ガラスリアカバー又はプラスチックリアカバーなどのような非金属リアカバーから作られたリアカバーであってもよい。
【0048】
図1は、電子デバイス10に含まれているいくつかのコンポーネントの例を単に示している。これらのコンポーネントの実際の形状、実際のサイズ、及び実際の構成は
図1に制限されない。更には、電子デバイス10は、カメラ及びセンサなどのコンポーネントを更に含んでもよい。
【0049】
図2は、従来技術における一般的なアンテナソリューションである。
【0050】
図2に示されるように、アンテナユニット31は励起ユニットとして使用され、アンテナユニット32はプラスチックユニットとして使用され、アンテナユニット31及びアンテナユニット32は両方とも4分の1波長モードで動作する。この方式は、2つの動作周波数帯域を得るよう二重共振を発生させる。2つの動作周波数帯域は。アンテナユニット31及びアンテナユニット32によって夫々制御され、つまり、異なる動作周波数帯域が、アンテナユニット31及びアンテナユニット32の電気長を調整することによって取得され得る。
【0051】
図2に示されているアンテナ構造では、アンテナユニットの放射体は空中方式で結合される、ことが理解されるべきである。アンテナユニット間の距離が大きくなるにつれて、結合は弱くなる。二重共振が生成され得るが、2つのアンテナユニットは別々に制御されており、放射エネルギは励起ユニットに集中する。その結果、電磁波の比吸収率(specific absorption rate,SAR)は高い。
【0052】
本願の実施形態はアンテナ構造を提供する。アンテナ構造は複数の接地されたアンテナユニット、例えば、逆L型アンテナ(inverted L antenna,ILA)、逆F型アンテナ(inverted F antenna,IFA)、又は平板逆F型アンテナ(planar inverted F antenna,PIFA)を含んでよい。アンテナ構造は、2つのモード:半波長モード(half wavelength mode,HWM)及び1波長モード(one wavelength mode,OWM)に基づくことでき、HWM及びOWMに対応する2つの共振が同時に生成されて、アンテナ帯域幅を広げる。アンテナ構造の対応する2つのモードでの電流は、アンテナユニット及び接地の両方で広く分布し、励起ユニットに集中しない。そのため、SARは低い。
【0053】
最初に、ダイポールアンテナが一例として使用され、
図3及び
図4は、本願での2つのアンテナモードについて記載する。
図3は、本願に従うダイポールアンテナのHWMに対応する電流分布の模式図である。
図4は、本願に従うダイポールアンテナのOWMに対応する電流分布の模式図である。
【0054】
1.半波長モード
【0055】
図3に示されるように、ダイポールアンテナ101はHWMにある。このモードの特徴は次の通りである:アンテナ放射体での電流の方向は同じであり、真ん中での電流振幅が最大であり、2つの端部での電流振幅が最小である。
【0056】
2.1波長モード
【0057】
図4に示されるように、ダイポールアンテナ101はOWMにある。このモードの特徴は次の通りである:アンテナ放射体での電流の方向は逆であり、放射体の2つの端部及び中心点での電流振幅が最小であり、放射体の端部と中心点との間の中間点での電流振幅が最大である。
【0058】
図5及び
図6は、本願の実施形態に従う、ダイポールアンテナが曲げられた後の電流分布の模式図である。
【0059】
図3及び
図4に示されているダイポールアンテナの2つの端部は、
図5及び
図6に示されている形状を形成するために内側に曲げられている。HWM及びOWMは依然として存在している。この場合に、HWMでのダイポールアンテナ101によって生成される電流は
図5に示され、電流は、中央のギャップの周りで同方向に分布している。OWMでのダイポールアンテナ101によって生成される電流は
図6に示され、電流は、中央のギャップの周りで逆方向に分布している。電流振幅特徴は、
図3及び
図4に示されている特徴と同じである。
【0060】
図7及び
図8は、本願の実施形態に従う、ダイポールアンテナが曲げられかつ接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【0061】
図5及び
図6に示されている曲げられたダイポールアンテナを基にして、ダイポールアンテナに電気的に接続された接地102が加えられている。
図7及び
図8に示されるように、接地102はPCB、ミドルフレーム、又は電子デバイスの他の金属層であってよい。
図7及び
図8に示されるように、接地がダイポールアンテナの構造に加えられる。この場合に、ダイポールアンテナは、アンテナユニット103と、接地102の部分とを含み、HWM及びOWMは依然として存在している。この場合に、HWMでのダイポールアンテナによって生成される電流は
図7に示され、電流は、真ん中のギャップ104の周りで同方向に分布している。OWMでのダイポールアンテナによって生成される電流は
図8に示され、電流は、真ん中のギャップの周りで逆方向に分布している。電流振幅特徴は、上記の図での特徴と同じである。この場合に、接地102は、ダイポールアンテナのモード電流の一部を担い、つまり、接地102は、2つの曲げられたアンテナユニットの端部(接地102との接続点)で2つのアンテナユニット間のモード電流を運ぶ。
【0062】
図9及び
図10は、本願の実施形態に従う、ダイポールアンテナが曲げられかつアンテナユニットに垂直な接地が加えられた後の電流分布の模式図である。
【0063】
図5及び
図6に示されている曲げられたダイポールアンテナを基にして、接地107がアンテナに接続される。接続後、アンテナユニット18は接地に垂直であり、つまり、この場合に、
図9及び
図10に示されるように、2つのアンテナユニットは接地の上に配置されているのと同等である。接地107はPCB、ミドルフレーム、又は電子デバイスの他の金属層であってよい。この場合に、ダイポールアンテナは、アンテナユニット108と、接地107の部分とを含み、HWM及びOWMは依然として存在している。この場合に、HWMでのダイポールアンテナによって生成される電流は
図9に示され、電流は、真ん中のギャップの周りで同方向に分布している。OWMでのダイポールアンテナによって生成される電流は
図10に示され、電流は、真ん中のギャップの周りで逆方向に分布している。電流振幅特徴は、上記の図での特徴と同じである。この場合に、接地107は、ダイポールアンテナのモード電流の一部を担い、接地107は、2つの曲げられたアンテナユニットの端部(接地107との接続点)で2つのアンテナユニット間のモード電流を運ぶ。
【0064】
本願の実施形態で提供されるアンテナ構造では、接地がモード電流の一部を運ぶ、ことが理解されるべきである。従って、接地を使用することによって、接地に配置されている複数のアンテナユニット間でエネルギは移動し、強い結合が実装され、HWM及びOWMで動作が実行され、複数の動作周波数帯域が生成されて、通信要件は満足される。更には、接地を使用することによって複数のアンテナユニット間でエネルギが移動するので、アンテナユニットの電流は一様に分布し、このようにして複数のアンテナユニットを備えたアンテナ構造は「分散アンテナ」と呼ばれることがあり、分散アンテナのSARは低い。
【0065】
次に、
図11(a)~
図11(c)乃至
図13(a)~
図13(c)が、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造に含まれている2つのアンテナユニット間の配置形状について記載するために、例として使用される。2つのアンテナユニットは接触し合わない。「接触し合わない」とは、2つのアンテナユニット間の直接的な物理接触がないこととして理解され得る。
図11(a)~
図11(c)は、2つのアンテナユニットの直列レイアウト(例えば、直線配置)の構造の模式図である。
図12(a)~
図12(c)は、2つのアンテナユニットの並列レイアウト(例えば、整列配置)の構造の模式図である。
図13(a)~
図13(c)は、2つのアンテナユニットの直角レイアウト(例えば、千鳥配置)の構造の模式図である。
図11(a)~
図11(c)乃至
図13(a)~
図13(c)での概略レイアウト図は全て、上面図の平面構造であり、つまり、接地が位置している面上での、アンテナユニットの投影の概略レイアウト図である。
【0066】
解決法1:直列レイアウト
【0067】
図11(a)~
図11(c)に示されるように、アンテナ構造は2つのアンテナユニット110を含み、アンテナユニット110はILA、IFA、又はPIFAアンテナユニットであってよい。2つのアンテナユニット110は、投影面上で同じ直線に沿って配置されてよく、アンテナユニット110は、接地部111を使用することによってPCB(接地)17へ接続される。2つのアンテナユニット110の接地点は互いから離れており、つまり、接地点は、互いから離れている、2つのアンテナユニット110の端部に夫々配置され得る。このレイアウトは、直列レイアウトの分散アンテナである。
【0068】
給電が考えられない場合に、任意の形状の導体は複数の特性モード(characteristic mode)を有し、同じ直線に沿って互いに間隔をあけられた2つのアンテナユニット110は、接地部111を使用することによって同じPCB17に接続され、2つのアンテナユニット110及び接地の一部は一緒にダイポールアンテナを形成する、ことが理解されるべきである。ダイポールアンテナの固有モード特徴に従って、
図11(a)に示されるように、2つのアンテナユニット110は同方向のモード電流112を生成することができ、PCB17上のアンテナユニット110の2つの接地部111の間のモード電流は、アンテナユニット110でのモード電流112とは逆方向にある。更には、アンテナユニット110でのモード電流112はPCB17で誘導電流113を励起する。電磁誘導理論から、モード電流112の方向は対応する誘導電流113の方向とは反対である、ことが分かる。PCB117上の2つの接地部111の間のアンテナユニット110のモード電流については、モード電流の方向は誘導電流113の方向と同じであり、モード電流及び誘導電流113は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図11(a)~
図11(c)に示されているアンテナ構造はHWMを励起することができる。
【0069】
境界条件について、アンテナユニットで生成されるモード電流と誘導電流との間には、同じ方向の成分が存在し、逆方向の成分は存在しないので、境界条件は満足される、ことが理解されるべきである。
【0070】
同様に、
図11(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、逆方向のモード電流115を生成してもよく、PCB17上のアンテナユニット110の2つの接地部111の間のモード電流は、アンテナユニット110でのモード電流115と反対の方向にある。更には、アンテナユニット110でのモード電流115は、PCB17で誘導電流116を励起する。電磁誘導理論から、モード電流115の方向は対応する誘導電流116の方向とは反対である、ことが分かる。PCB17上の2つの接地部111の間のアンテナユニット110のモード電流については、モード電流の方向は誘導電流
116の方向と同じであり、モード電流及び誘導電流
116は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図11(a)~
図11(c)に示されているアンテナ構造はOWMを励起することができる。
【0071】
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、同じ直線に沿って配置されてよく、つまり、2つのアンテナユニット110は、長さ方向において共線的である。
図11(c)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、長さ方向において互いに平行に重なり合わないように離間され、長さ方向における2つのアンテナユニット110の間の間隔は、動作波長の4分の1よりも小さく、つまり、
図11(a)及び
図11(b)において、2つのアンテナユニット110の各々の長さ方向において特定の位置ずれが存在してもよい。動作波長は、アンテナユニットが動作するときに生成される放射信号に対応する波長と考えられてよい。例えば、5Gニュー・ラジオ(new radio,NR)に対応する周波数帯域では、長さ方向における2つのアンテナユニット110の間の間隔は3mmよりも小さくなる。
【0072】
空中での放射信号の波長は、次のように計算され得る:波長=光の速度/周波数、ここで、周波数は、放射信号の周波数である。媒体での放射信号の波長は、次のように計算され得る:波長=(光の速度/√ε)/周波数、ここで、εは、媒体の比誘電率であり、周波数は、放射信号の周波数である。
【0073】
解決法2:並列レイアウト
【0074】
図12(a)~
図12(c)に示されるように、アンテナ構造は2つのアンテナユニット110を含み、アンテナユニット110はILA、IFA、又はPIFAアンテナユニットであってよい。2つのアンテナユニット110は、投影面上で平行に非共線的に配置されてよい。具体的に、2つのアンテナユニット110は、長さ方向において並列であり、長さ方向において重なり合い、2つのアンテナユニット110は、接地部117を使用することによってPCB(接地)17へ接続される。2つのアンテナユニット110の接地点は互いから離れている。例えば、接地点は、千鳥状に互いから離れて2つのアンテナユニット110の2つの端部に配置される。
【0075】
給電が考えられない場合に、任意の形状の導体は複数の特性モードを有してよく、平行に非共線的に配置されて平行方向において重なり合う2つのアンテナユニット110は、接地部117を使用することによって同じPCB17に接続され、2つのアンテナユニット110及び接地の一部は一緒にダイポールアンテナを形成する、ことが理解されるべきである。ダイポールアンテナの固有モード特徴に従って、
図12(a)に示されるように、2つのアンテナユニット110は同方向のモード電流118を生成することができ、アンテナユニット110は、PCB17上の2つの接地部117の間にモード電流119を生成することができる。更には、アンテナユニット110でのモード電流118はPCB17で誘導電流120を励起する。電磁誘導理論から、モード電流118の方向は対応する誘導電流120の方向とは反対である、ことが分かる。PCB117上の2つの接地部117の間のアンテナユニット110のモード電流119については、モード電流119は、誘導電流120の方向と同じ方向を持った成分を有し、その成分及び誘導電流120は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図12(a)~
図12(c)に示されているアンテナ構造はHWMを励起することができる。
【0076】
同様に、
図12(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、逆方向のモード電流122を生成してもよく、アンテナユニット110は、PCB17上の2つの接地部117の間にモード電流123を生成することができる。更には、アンテナユニット110でのモード電流122は、PCB17で誘導電流124を励起する。電磁誘導理論から、モード電流122の方向は対応する誘導電流124の方向とは反対である、ことが分かる。PCB17上の2つの接地部117の間のアンテナユニット110のモード電流123については、モード電流123は、誘導電流124の方向と同じ方向を持った成分を有し、その成分及び誘導電流124は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図12(a)~
図12(c)に示されているアンテナ構造はOWMを励起することができる。
【0077】
図12(a)及び
図12(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、平行に非共線的に配置され、第1方向において重なり合い、第1方向は、アンテナユニット110の長さ方向であってよい。
図12(c)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、平行に非共線的に配置され、第1方向において部分的に重なり合う。つまり、
図12(a)及び
図12(b)における2つのアンテナユニット110が平行であって共線的でない場合に、平行方向に垂直な方向において特定の位置ずれが存在してもよく、第1方向における2つのアンテナユニット110の重なり合う部分は、動作波長の4分の1よりも大きい。例えば、5G NRに対応する周波数帯域では、長さ方向における2つのアンテナユニット110の間の位置ずれ距離は3mmよりも小さい。第1方向における2つのアンテナユニット110の重なり合う部分がより大きくなると、2つのアンテナユニット110の放射性能はより良くなる、ことが理解されるべきである。2つのアンテナユニット110が第1方向において完全に重なり合う場合に、2つのアンテナユニット110の性能は最適である。実際の製造においては誤差が存在する可能性があるので、2つのアンテナユニット110が第1方向において完全に重なり合うとは、第1方向における2つのアンテナユニット110の重なり率が90%よりも大きいこととして理解され得る。
【0078】
解決法3:直角レイアウト
【0079】
図13(a)~
図13(c)に示されるように、アンテナ構造は2つのアンテナユニット110を含み、アンテナユニット110はILA、IFA、又はPIFAアンテナユニットであってよい。2つのアンテナユニット110は、相互に垂直に配置されてよく、つまり、2つのアンテナユニット110の各々の長さ方向は互いに垂直であり、2つのアンテナユニット110は、接地部
125を使用することによってPCB(接地)17へ接続される。2つのアンテナユニット110の接地点は互いから離れており、1つのアンテナユニットの接地された端部は、他方の端部と比べてもう1つのアンテナユニットから離れており、つまり、もう1つのアンテナユニットの真ん中の位置から離れている。このレイアウトは、直角レイアウトの分散アンテナである。真ん中の位置は、アンテナユニットの接地点とアンテナユニットの非接地点との間の中点を囲むエリアであってよい、ことが理解されるべきである。代替的に、2つのアンテナユニット110の長さ方向における2つのアンテナユニット110の延在ラインは、アンテナユニットのうちの1つで交差し得る。
【0080】
給電が考えられない場合に、任意の形状の導体は複数の特性モードを有してよく、垂直方向に互いから間隔をあけられた2つのアンテナユニット110は、接地部125を使用することによって同じPCB17に接続される、ことが理解されるべきである。ダイポールアンテナの固有モード特徴に従って、
図13(a)に示されるように、2つのアンテナユニット110は同方向のモード電流126を生成することができ、アンテナユニット110は、PCB17上の2つの接地部125の間にモード電流127を生成することができる。更には、アンテナユニット110でのモード電流126はPCB17で誘導電流128を励起する。電磁誘導理論から、モード電流126の方向は対応する誘導電流128の方向とは反対である、ことが分かる。PCB117上の2つの接地部125の間のアンテナユニット110のモード電流127については、モード電流127は、誘導電流128の方向と同じ方向を持った成分を有し、その成分及び誘導電流128は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図13(a)~
図13(c)に示されているアンテナ構造はHWMを励起することができる。
【0081】
同様に、
図13(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110は、逆方向のモード電流130を生成してもよく、アンテナユニット110は、PCB17上の2つの接地部125の間にモード電流131を生成することができる。更には、アンテナユニット110でのモード電流130は、PCB17で誘導電流132を励起する。電磁誘導理論から、モード電流130の方向は対応する誘導電流132の方向とは反対である、ことが分かる。PCB17上の2つの接地部
125の間のアンテナユニット110のモード電流131については、モード電流131は、誘導電流132の方向と同じ方向を持った成分を有し、その成分及び誘導電流132は重ね合わされ得る。これは、このモードが境界条件を満足し、存在してもよいことを示す。すなわち、
図13(a)~
図13(c)に示されているアンテナ構造はOWMを励起することができる。
【0082】
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、2つのアンテナユニット110の各々の長さ方向は、互いに垂直であり、間隔をあけられており、一方のアンテナユニットは、他方のアンテナユニットに対して対称に配置され、つまり、一方のアンテナユニットの長さ方向におけるそのアンテナユニットの仮想延長は他方のアンテナユニットと直交し、他方のアンテナユニットの長さ方向における他方のアンテナユニットの中点を通る。
図13(c)に示されるように、2つのアンテナユニット110によって各々の長さ方向において形成される夾角は、80度から100度の間であり、つまり、
図13(a)及び
図13(b)におけるアンテナユニットの一方は、そのアンテナユニットの放射体の一端に沿って、又はそのアンテナユニットの放射体上の任意の点に沿って特定の範囲まで回転し得る。
【0083】
本願のこの実施形態で提供される「分散アンテナ」はまた、複数のアンテナユニットを含んでもよい、ことが理解されるべきである。複数のアンテナユニットは接触し合わず、複数のアンテナユニットは同じ接地に電気的に接続され、複数のアンテナユニットの中の隣接するアンテナユニットの接地点は千鳥状に配置される。回路の概念とは異なり、上記の実施形態では、直列レイアウト、並列レイアウト、及び直角レイアウトは全て、複数のアンテナユニットの間のレイアウトの例であり、複数のアンテナユニットは接触し合わない。更には、直列レイアウト、並列レイアウト、及び直角レイアウトはまた、相互に変換されてもよい。例えば、並列レイアウトにおいて、1つのアンテナユニットはそのアンテナユニットの長さ方向において移動し、直列レイアウトに変換されてもよい。更に、1つのアンテナユニットがそのアンテナユニットの端点に沿って回転する場合に、直角レイアウトに変換することができる。
【0084】
更に、いくつかの電子デバイスのレイアウトでは、空間制限により、アンテナユニットは直線に沿って分布しなくてもよく、L字形又は他の不規則形状であってもよい。これは、本願のこの実施形態で提供されるレイアウトに対する制限を構成しない。アンテナユニットのいくつかが上記の実施形態のレイアウトを満足するならば、条件は満足されると見なされ得る。これは本願で制限されない。例えば、2つのアンテナユニットが両方ともL字形構造であり、直列レイアウト、並列レイアウト、又は直角レイアウトが2つのアンテナユニットの最も長い辺の方向において満足され得る場合に、2つのアンテナユニットは対応するレイアウトでの分散アンテナであると見なされ得る。
【0085】
図14から
図17は、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造に含まれる2つよりも多いアンテナユニットの間の配置形式について記載するための例として使用される。
図14は、並列レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
図15は、直列-並列レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
図16は、直列-並列-直角レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
図17は、直角レイアウトでの複数のアンテナユニットの構造の模式図である。
【0086】
本願のこの実施形態においてアンテナ構造に含まれるアンテナユニットは、ILA、IFA、又はPIFAアンテナユニットのうちの1つであってよく、あるいは、他のタイプのアンテナであってもよい、ことが理解されるべきである。これは本願で制限されない。
【0087】
図14に示されるように、複数のアンテナユニットは並列レイアウトにあり、アンテナ構造内の各アンテナユニットの接地点は千鳥状に配置され、つまり、2つの隣接するアンテナユニット間の接地点は互いに離れている。アンテナユニット141が給電を行う場合に、アンテナユニット141のエネルギ伝送方向は、
図14に示されるように、左から右である。
【0088】
図15に示されるように、複数のアンテナユニットは直列-並列レイアウトにあり、アンテナ構造内の各アンテナユニットの接地点は千鳥状に配置され、つまり、2つの隣接するアンテナユニット間の接地点は互いに離れている。アンテナユニット142からアンテナユニット143までは並列レイアウトにあり、アンテナユニット143及びアンテナユニット144は平行に配置され、アンテナユニット144からアンテナユニット145までは並列レイアウトにある。アンテナユニット142が給電を行う場合に、エネルギは左から右へ伝えられてアンテナユニット143に達し、そして、エネルギはアンテナユニット144へ下方に伝えられ、それから引き続きアンテナユニット145へ右方向に伝えられる。
【0089】
図16に示されるように、直角レイアウトでのアンテナユニットが、
図15に示されているアンテナ構造に加えられている。アンテナユニット142が給電を行う場合に、アンテナユニット142のエネルギ伝送は、直角レイアウトでのアンテナユニットへの経路も生成する。
【0090】
図17に示されるように、複数のアンテナユニットは直角レイアウトにあり、アンテナ構造内の各アンテナユニットの接地点は千鳥状に配置され、つまり、2つの隣接するアンテナユニット間の接地点は互いに離れている。アンテナユニット142が給電を行う場合に、エネルギは、時計回り方向で順にアンテナユニット147から、アンテナユニット148、アンテナユニット149、及びアンテナユニット150へ伝えられる。
【0091】
図14から
図17で提供される実施形態では、アンテナユニットがILAユニットである例が使用されている。続く
図18及び
図19は、アンテナユニットがPIFAユニットである例を使用することによって記載される模式図である。
【0092】
図18に示されるように、複数のPIFAユニットが並列レイアウトにあり、アンテナ構造内の各PIFAユニットの接地点は千鳥状に配置され、つまり、2つの隣接するPIFAユニット間の接地点は互いから離れている。PIFAユニット151が給電を行う場合に、PIFAユニット151のエネルギ伝送方向は、左から右へ
図18に示されている。
【0093】
図19に示されるように、複数のPIFAユニットはが直列-並列レイアウトにあり、アンテナ構造内の各PIFAユニットの接地点は千鳥状に配置され、つまり、2つの隣接するPIFAユニット間の接地点は互いから離れている。PIFAユニット152からPIFAユニット153までは並列レイアウトにあり、PIFAユニット153及びPIFAユニット154は平行に配置され、PIFAユニット154からPIFAユニット155までは並列レイアウトにある。PIFAユニット152が給電を行う場合に、エネルギは左から右へ伝えられてPIFAユニット153に達し、そして、エネルギはPIFAユニット154へ下方に伝えられ、それから引き続きPIFAユニット155へ右方向に伝えられる。
【0094】
任意に、複数のPIFAユニットは直角レイアウトにあってもよく、あるいは、複数のPIFAユニットは直列レイアウトにあってもよく、あるいは、並列レイアウト及び直角レイアウトは他の組み合わせ方で配置されてもよい。これは本願のこの実施形態で制限されず、実際の製造又は設計に基づいて選択されてよい。
【0095】
本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造では、アンテナ構造内のアンテナユニットの数が増えるにつれて、多重周波数モードが生成され得る、ことが理解されるべきである。更には、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造内の複数のアンテナユニットの夫々は異なるタイプであってもよい。例えば、複数のアンテナユニットはILA、IFA、又はPIFAであってよく、あるいは、他のアンテナタイプを含んでもよい。これは本願で制限されない。
【0096】
図20(a)~
図20(c)は、本願の実施形態に従う電子デバイスの構造の模式図である。
【0097】
図20(a)~
図20(c)に示されるように、電子デバイス100はアンテナ構造210及び接地220を含んでよく、アンテナ構造210は第1アンテナユニット211及び第2アンテナユニット212を含んでよい。
【0098】
第1アンテナユニット211は第1端部2111及び第2端部2112を含んでよく、第2アンテナユニット212は第1端部2121及び第2端部2122を含んでよい。第1接地点2113が第1アンテナユニット211の第1端部2111に配置され、第1アンテナユニット211は第1接地点2113で接地220へ電気的に接続されている。第2接地点2123が第2アンテナユニット212の第1端部2121に配置され、第2アンテナユニット212は第2接地点2123で接地220へ電気的に接続されている。第2接地点2123と第1接地点2113との間の距離は、第2アンテナユニット212の第2端部2122と第1接地点2113との間の距離よりも大きい。第1アンテナユニット211の電気長は、第2アンテナユニット212の電気長と同じである。実際の製造では誤差が存在する可能性があるので、第1アンテナユニット211の電気長が第2アンテナユニット212の電気長と同じであるとは、第1アンテナユニット211の電気長と第2アンテナユニット212の電気長との間の誤差が15%内であることとして理解され得る。
【0099】
第1アンテナユニット211の電気長は第1アンテナユニット211の第2端部2112と第1接地点2113との間の電気長であってよい、ことが理解されるべきである。第2アンテナユニット212の電気長は、第2アンテナユニット212の第2端部2122と第2接地点2123との間の電気長であってよい。
【0100】
電気長は、媒体内の物理長さと同じ距離を自由空間で移動するために信号によって必要とされる時間に対する媒体内の電気又は電磁気信号の伝達時間の比を物理長さ(つまり、機械的な長さ又は地理的な長さ)に乗じることによって表現され得る。電気長は、次の式を満足し得る:
【数1】
ここで、Lは物理長さであり、aは、媒体内の電気又は電磁気信号の伝達時間であり、bは、自由空間内の伝達時間である。
【0101】
代替的に、電気長は、伝達された電磁波の波長に対する物理長さ(つまり、機械的な長さ又は地理的な長さ)の比であってもよく、電気長は、次の式を満足し得る:
【数2】
ここで、Lは物理長さであり、λは電磁波の波長である。
【0102】
更には、第1アンテナユニット211の第1端部2111は、終点からの第1アンテナユニット211の区間、表面、又は部分であってよく、つまり、第1端部2111上の全ての点と終点との間の距離は第1閾値よりも小さく、第1端部2111は狭い意味で1つの点として理解され得ない。第1アンテナユニット211の第2端部2112、第2放射体212の第1端部2121、及び第2放射体212の第2端部2122も上記の概念と同様に理解され得る。
【0103】
任意に、第1アンテナユニット211の第1端部2111は、電子デバイスのフレームに接続されてよく、あるいは、他のアンテナユニットへ接続されてもよい。
【0104】
任意に、接地220は、電子デバイス100のミドルフレーム、PCBの金属層、又は電子デバイス内の他の金属層であってよい。
【0105】
任意に、第1アンテナユニット211は、電子デバイス100のフレーム11に配置されてよく、第1アンテナユニット211は、
図20(a)に示されるように、金属フレームアンテナであってよい。
【0106】
任意に、第1アンテナユニット211は、
図20(b)に示されるように、ギャップ201及びギャップ202を使用するによって接地220から分離される。ギャップ201及びギャップ202は、接地220に対する第1アンテナユニット211のクリアランスであり、つまり、接地220が位置している面上での第1アンテナユニット211の投影と接地との間の距離がクリアランスである。クリアランスが大きくなると、アンテナ構造の帯域幅は有効に増大することができる。
【0107】
任意に、第2アンテナユニット212は接地220に配置されてよい。第1アンテナユニット211及び第2アンテナユニット212は並列レイアウトにあってよい。第1アンテナユニット211は金属フレームアンテナであり、第2アンテナユニット212は接地220に配置されてよい、ことが理解されるべきである。第2アンテナユニット212は、従来の金属フレームアンテナの空間を占有せず、電子デバイス内の他の空間を使用することによって配置される。アンテナ構造210は複数の動作周波数帯域を生成し、従来技術における他の金属フレームアンテナの追加の空間を占有しない。
【0108】
任意に、第2アンテナユニット212は、レーザー直接構造化(laser-direct-structuring,LDS)アンテナ、フレキシブル印刷回路(flexible printed circuit,FPC)アンテナ、又はフローティングメタル(floating metal,FLM)アンテナであってよく、あるいは、PCBアンテナであってよい。これは本願で制限されない。
【0109】
任意に、電子デバイス100はフィードユニット230を更に含んでもよい。フィード点2114が第1アンテナユニット211に配置されてもよく、フィードユニット230は、アンテナ構造210に給電するようフィード点2114で第1アンテナユニット211へ電気的に接続され得る。
【0110】
任意に、フィード点2114と第1接地点2113との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は電子デバイスの動作波長、つまり、フィードユニット230が給電を行う場合にアンテナ構造が動作する波長である。
【0111】
本願で提供されるこの実施形態では、フィード点2114は如何なる場所にも配置される、ことが理解されるべきである。フィード点2114の上記の配置場所は例として使用されているに過ぎず、実際の設計及び製造要件に基づいて柔軟に配置されてよい。
【0112】
アンテナ構造の動作波長は、生成された共振の共振点に対応する波長、又は動作周波数帯域の中心周波数に対応する波長として理解され得る、ことが理解されるべきである。
【0113】
図21及び
図22は、
図20(a)~
図20(c)に示されているアンテナ構造に対応するシミュレーション結果の図である。
図21は、
図20(a)~
図20(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータのシミュレーション図である。
図22は、
図20(a)~
図20(c)に示されているアンテナ構造の効率のシミュレーション図である。
【0114】
図21に示されるように、
図20(a)~
図20(c)に示されているアンテナ構造では、接地はモード電流の一部を運び、エネルギは、接地を使用することによって、接地に配置されている2つのアンテナユニット間で伝えられて、強結合が実装され、HWM及びOWMは、通信要件を満足するよう、同時に生成され得る。
【0115】
第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、及び接地の一部は一緒にダイポールアンテナを形成し、ダイポールアンテナの全体がHWM及びOWMで動作することができる、ことが理解されるべきである。ダイポールアンテナのモード電流の経路は、第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、及び接地の一部を含む。従って、アンテナ構造の動作周波数帯域は、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの放射体の長さを調整することによって、又は第1接地点と第2接地点との間の距離を調整することによって、調整され得る。アンテナ構造の動作周波数帯域を調整する方法は、電子デバイス内の実際の空間に基づいて選択されてよい。具体的には、アンテナ構造の動作周波数帯域は、第1アンテナユニットの電気長、第2アンテナユニットの電気長、及び接地で運ばれるモード電流の電気長(接地と2つのアンテナユニットとの間の電気接続点間の電気長)によって決定される。更には、モード電流を運ぶ接地の部分の電気長は、モード電流を運ぶ接地の部分にスロットを作ることなどの操作を実行することによって変更されてもよく、あるいは、アンテナ構造の動作周波数帯域は調整されてよい。第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間の距離が大きくなると、HWMで生成される共振及びOWMで生成される共振は互いに近づく(HWMに対応する共振周波数は、OWMに対応する共振周波数よりも低い)。第1アンテナユニットと第2アンテナユニットとの間の距離が小さくなると、HWMで生成される共振及びOWMで生成される共振は互いから離れる。
【0116】
図22に示されるように、シミュレーション結果は放射効率(radiation efficiency)及びシステム効率(total efficiency)を含む。対応する動作周波数帯域では、放射効率及びシステム効率も要件を満足することができる。
【0117】
図23(a)及び
図23(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0118】
図23(a)及び
図23(b)に示されるように、フィード点2114は、代替的に、第1アンテナユニット211の第2端部2112に配置されてよい。
【0119】
任意に、より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニット230と第1アンテナユニット211との間に直列に接続されてもよく、あるいは、フィードユニット230は、容量性間接結合給電方式においてフィード点2114でアンテナ構造に給電する。
【0120】
間接結合、つまり、空中結合は、直接結合に対する概念であり、直接的な電気接続が使用されないことを意味する。直接結合は直接的な電気接続、及びフィード点での直接給電を意味する。
【0121】
更には、フィード点2124が、代替的に、第2アンテナユニット212に配置されてもよく、第2アンテナユニット212は励起ユニットとして使用され、第1アンテナユニット211は寄生要素として使用される。
【0122】
図24(a)及び
図24(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0123】
図24(a)及び
図24(b)に示されるように、フィード点2124は、代替的に、第2アンテナユニット212に配置されてよく、フィードユニットは、アンテナ構造に給電するようフィード点2124で第2アンテナユニット212へ電気的に接続され得る。
【0124】
任意に、フィード点2124と第2接地点2123との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニットが給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0125】
図25(a)及び
図25(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0126】
図25(a)及び
図25(b)に示されるように、フィード点2124は、代替的に、第2アンテナユニット212の第2端部2112に配置されてよい。
【0127】
任意に、より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニットと第2アンテナユニット212との間に直列に接続されてもよく、あるいは、フィードユニットは、容量性間接結合給電方式においてフィード点2124でアンテナ構造に給電する。
【0128】
図20(a)~
図20(c)並びに
図23(a)及び
図23(b)乃至
図25(a)及び
図25(b)に示されているアンテナ構造は全て並列レイアウトにあり、夫々の第1アンテナユニットは金属フレームアンテナであり、第2アンテナユニットは、相応して、並列レイアウトを形成するよう電子デバイスの接地に配置される。電子デバイスにおける並列レイアウトは、より多くの空間を節約するが、他のレイアウト方式、例えば、直列レイアウト及び直角レイアウトが代替的に使用されてもよい。
【0129】
図26は、本願の実施形態に従う直列レイアウトのアンテナ構造の模式図である。
【0130】
図26に示されるように、第1アンテナユニット310及び第2アンテナユニット320は両方とも金属フレームアンテナであってよい。第1アンテナユニット310及び第2アンテナユニット320は、電子デバイスの任意のフレームと2つの隣接するフレームとの間の2つのジョイント(角)に夫々配置されてよい。
【0131】
接地の一部が、アンテナ構造のモード電流を運ぶよう、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造内に導入されるので、つまり、第1アンテナユニット310及び第2アンテナユニット320は接地220を使用することによって強く結合される、ことが理解されるべきである。従って、第1アンテナユニット310及び第2アンテナユニット320は互いから遠く離れてもよく、第1アンテナユニット310と第2アンテナユニット320との間の結合量に影響を及ぼさずに、やはりHWM及びOWMを生成し得る。
【0132】
図27は、
図26に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【0133】
図27に示されるように、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造では、接地はモード電流の一部を運ぶ。従って、従来の励起ユニット及び寄生ユニットとは異なり、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットは、接地を使用することによって強く結合される。更には、この構造により、第1アンテナユニット及び第2アンテナユニットの電流は一様に分布し、放射エネルギが励起ユニットに集中して高いSARを引き起こすことはない。
【0134】
図28(a)~
図28(c)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0135】
図28(a)~
図28(b)に示されるように、第1アンテナユニット410及び第2アンテナユニット420は接地220に配置されてよい。第1アンテナユニット410及び第2アンテナユニット420は並列レイアウトにあってよい。第1アンテナユニット410も接地220に配置されているので、第1アンテナユニット410のアンテナクリアランスはゼロであり、つまり、接地220が位置している面上での第1アンテナユニット410の投影は接地220上にあるので、電子デバイスで占有される空間は更に低減され得る。
【0136】
任意に、第1アンテナユニット410及び第2アンテナユニット420はLDSアンテナ、FPCアンテナ、又はFLMアンテナであってよく、あるいは、PCBアンテナであってよい。更には、第1アンテナユニット410も第2アンテナユニット420もアンテナとして電子デバイスのフレームを使用しないので、電子デバイスのフレームとディスプレイとの間の距離を小さくなることができ、スクリーン対本体の比を更に改善することができ、ベゼルなし全画面設計を実装することができ、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。
【0137】
任意に、フィード点412と第1接地点411との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニットが給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0138】
任意に、アンテナ構造は、第1接続片430及び第2接続片440を更に含んでもよい。第1接続片430の一端は、第1接地点で第1アンテナユニットへ電気的に接続され、第1接続片430の他端は、接地220へ電気的に接続される。第2接続片440の一端は、第2接地点で第2アンテナユニットへ電気的に接続され、第2接続片440の他端は、接地220へ電気的に接続される。
【0139】
図29及び
図30は、
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造に対応するシミュレーション結果の図である。
図29は、
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータのシミュレーション図である。
図30は、
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造のシステム効率のシミュレーション図である。
【0140】
図29及び
図30に示されているシミュレーション結果では、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造のポイントサイズに対応する従来の金属フレームアンテナは、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造の性能を示すために、比較として加えられている、ことが理解されるべきである。
【0141】
図29に示されるように、
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造では、接地はモード電流の一部を運び、エネルギは、接地を使用することによって、接地に配置されている2つのアンテナユニット間で伝えられて、強結合が実装され、HWM及びOWMは、通信要件を満足するよう、同時に生成され得る。
【0142】
図30に示されるように、対応する動作周波数帯域では、動作周波数帯域のシステム効率も要件を満足し得る。
【0143】
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造について、フィード点は、代替的に、他の場所に配置されてもよく、やはりアンテナ構造のHWM及びOWMを活性し得る、ことが理解されるべきである。
図31(a)~
図31(c)を参照されたい。
【0144】
図31(a)~
図31(c)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0145】
任意に、フィード点412は、第1アンテナユニット410の第2端部に配置されてもよい。より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニット230と第1アンテナユニット410との間に直列に接続されてもよく、あるいは、
図31(a)に示されるように、フィードユニット230は、容量性間接結合給電方式においてフィード点412でアンテナ構造に給電する。
【0146】
フィード点412は、代替的に、第2アンテナユニット420に配置されてもよく、第2アンテナユニット420は励起ユニットとして使用され、第1アンテナユニット410は寄生ユニットとして使用される、ことが理解されるべきである。
【0147】
任意に、フィード点412は、代替的に、第2接地点に近い第2アンテナユニット420の側に配置されてよく、フィードユニット230は、アンテナ構造に給電するようフィード点412で第2アンテナユニット420へ電気的に接続され得る。
図31(b)に示されるように、フィード点412と第2接地点との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニットが給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0148】
任意に、フィード点412は、代替的に、第2アンテナユニット420の第2端部に配置されてもよい。より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニット230と第2アンテナユニット420との間に直列に接続されてもよく、あるいは、
図31(c)に示されるように、フィードユニット230は、容量性間接結合給電方式においてフィード点412でアンテナ構造に給電する。
【0149】
図32(a)及び
図32(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0150】
図32(a)及び
図32(b)に示されるように、第1アンテナユニット510及び第2アンテナユニット520は、接地220上で垂直に配置されてよく、第1アンテナユニット510の放射体及び第2アンテナユニット520の放射体は互いに平行であってよい。
【0151】
第1アンテナユニット510の放射体及び第2アンテナユニット520の放射体は平行に配置されているので、
図28(a)~
図28(c)に示されているアンテナ構造と比較して、電子デバイスで占有される空間は更に低減され得る、ことが理解されるべきである。
【0152】
図32(a)及び
図32(b)に示されているアンテナ構造について、フィード点は、代替的に、他の場所に配置されてもよく、やはりアンテナ構造のHWM及びOWMを活性化し得る、ことが理解されるべきである。
図33(a)~
図33(c)を参照されたい。
【0153】
図33(a)~
図33(c)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0154】
任意に、フィード点512は、第1アンテナユニット510の第2端部に配置されてもよい。より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニット230と第1アンテナユニット510との間に直列に接続されてもよく、あるいは、
図33(a)に示されるように、フィードユニット230は、容量性間接結合給電方式においてフィード点512でアンテナ構造に給電する。
【0155】
フィード点512は、代替的に、第2アンテナユニット520に配置されてもよく、第2アンテナユニット520は励起ユニットとして使用され、第1アンテナユニット510は寄生ユニットとして使用される、ことが理解されるべきである。
【0156】
任意に、フィード点512は、代替的に、第2接地点に近い第2アンテナユニット520の側に配置されてよく、フィードユニット230は、アンテナ構造に給電するようフィード点512で第2アンテナユニット520へ電気的に接続され得る。
図33(b)に示されるように、フィード点512と第2接地点521との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニットが給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0157】
任意に、フィード点512は、代替的に、第2アンテナユニット520の第2端部に配置されてもよい。より良いインピーダンス整合を実装するために、キャパシタがフィードユニット230と第2アンテナユニット520との間に直列に接続されてもよく、あるいは、
図33(c)に示されるように、フィードユニット230は、容量性間接結合給電方式においてフィード点512でアンテナ構造に給電する。
【0158】
図34(a)~
図34(c)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0159】
図34(a)~
図34(c)に示されるように、アンテナ構造は、第1アンテナユニット610、第2アンテナユニット620、第3アンテナユニット630、及び第4アンテナユニット640を含んでよい。
【0160】
第1アンテナユニット610、第2アンテナユニット620、第3アンテナユニット630、及び第4アンテナユニット640は、接地220上で順に配置され、第1アンテナユニット610、第2アンテナユニット620、第3アンテナユニット630、及び第4アンテナユニット640は、上記の実施形態における並列レイアウトにある。第1接地点611が第1アンテナユニット610の第1端部に配置される。第2接地点621が第2アンテナユニット620の第1端部に配置される。第3接地点631が第3アンテナユニット630の第1端部に配置される。第4接地点641が第4アンテナユニット640の第1端部に配置される。第1アンテナユニット610は、第1接地点611で接地220へ電気的に接続される。第2アンテナユニット620は、第2接地点621で接地220へ電気的に接続される。第3アンテナユニット630は、第3接地点631で接地220へ電気的に接続される、第4アンテナユニット640は、第4接地点641で接地220へ電気的に接続される。第1接地点611、第2接地点621、第3接地点631、及び第4接地点641は、千鳥状に配置され、つまり、隣接する接地点は互いに離れている。
【0161】
任意に、アンテナ構造は、第1接続片612、第2接続片622、第3接続片632、及び第4接続片642を更に含んでもよい。第1接続片612の一端は、第1接地点611で第1アンテナユニット610へ電気的に接続され、第1接続片612の他端は、接地220へ電気的に接続される。第2接続片622の一端は、第2接地点621で第2アンテナユニット620へ電気的に接続され、第2接続片622の他端は、接地220へ電気的に接続される。第3接続片632の一端は、第3接地点631で第3アンテナユニット630へ電気的に接続され、第3接続片632の他端は、接地220へ電気的に接続される。第4接続片642の一端は、第4接地点641で第4アンテナユニット640へ電気的に接続され、第4接続片642の他端は、接地220へ電気的に接続される。
【0162】
任意に、フィード点601が第1アンテナユニット610に配置されてもよく、フィードユニット230は、フィード点601で第1アンテナユニット610へ電気的に接続され得る。
【0163】
任意に、フィード点601と第1接地点611との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニット230が給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0164】
図35は、
図34(a)~
図34(c)に示されているアンテナ構造のSパラメータ及びシステム効率のシミュレーション図である。
【0165】
図35に示されるように、アンテナ構造は同時に4つのモードを生成することができ、4つのモードの帯域幅は3GHzをカバーすることができる。更には、対応する動作周波数帯域では、動作周波数帯域のシステム効率も要件を満足し得る。
【0166】
図36(a)~
図36(d)は、各共振点での
図34(a)~
図34(c)に示されているアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【0167】
図36(a)は、3.52GHzでのアンテナ構造の電流分布の模式図である。
図36(b)は、3.78GHzでのアンテナ構造の電流分布の模式図である。
図36(c)は、4.1GHzでのアンテナ構造の電流分布の模式図である。
図36(d)は、4.5GHzでのアンテナ構造の電流分布の模式図である。
【0168】
図36(a)~
図36(d)に示されるように、フィードユニットがアンテナ構造に給電するとき、電流はアンテナユニットで一様に分布する。これは、従来の励起ユニット及び寄生ユニットとは異なり、電流が励起ユニットに集中する場合は起こらない。
【0169】
本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造では、接地がアンテナユニット間のモード電流の一部を担い、つまり、強結合が接地を使用することによってアンテナユニット間に実装される、ことが理解されるべきである。従って、放射エネルギが励起ユニットに集中して高いSARを引き起こすことはない。
【0170】
更に、フィード点601は、代替的に、他のアンテナユニットに配置されてもよく、他のアンテナユニットが励起ユニットとなり、第1アンテナユニット610及び残りのアンテナユニットが寄生ユニットとなる。
【0171】
図37(a)及び
図37(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0172】
図37(a)及び
図37(b)に示されるように、フィード点601は、第2接地点621に近い第2アンテナユニット
620の側に配置されてよく、フィード点601と第2接地点621との間の距離は、第1波長の4分の1よりも小さく、第1波長は、フィードユニット230が給電を実行するときにアンテナ構造が動作する波長である。
【0173】
本願のこの実施形態は、フィード点601が第2接地点621に近い第2アンテナユニット620の側に配置され得る例のみを使用することによって記載されるが、フィード点601は第3アンテナユニット630又は第4アンテナユニット640に配置されてもよい、ことが理解されるべきである。これは本願で制限されず、実際の製造又は設計要件に従って選択されてよい。
【0174】
図38は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0175】
図38に示されるように、アンテナ構造はフローティングメタル片650を更に含む。
【0176】
フローティングメタル片650は、接地220から離れている第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620の側に配置されてよく、つまり、第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620の上に配置されてよい。フローティングメタル片650は、第1アンテナユニット610と第2アンテナユニット620との間に位置してよい。フローティングメタル片650は、第2方向において第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620に部分的に重なる。つまり、上から見ると、フローティングメタル片650は、第1アンテナユニット610と第2アンテナユニット620との間に形成されているギャップをカバーし、第2方向は接地220に垂直な方向である。
【0177】
フローティングメタル片650が第1アンテナユニット610と第2アンテナユニット620との間に加えられた後、2つのアンテナユニット間の結合面積は増え、第1アンテナユニット610と第2アンテナユニット620との間の結合量は増大し得る、ことが理解されるべきである。これは、第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620によって生成される共振の共振点の周波数を制御するために使用され得、つまり、第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620によって生成される共振の共振点の周波数は、低い周波数の方にシフトされる。
【0178】
任意に、第1アンテナユニット610及び第2アンテナユニット620がアンテナ支持体の表面に配置される場合に、フローティングメタル片650は電子デバイスのリアカバーに配置されてもよく、あるいは、フローティングメタル片650は、アンテナ支持体及びアンテナユニットが位置している表面とは反対の面に配置されてもよい。
【0179】
図39(a)及び
図39(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0180】
図39(a)及び
図39(b)に示されるように、開口711が、第2アンテナユニット720に近い第1アンテナユニット710の側に配置される。
【0181】
任意に、開口711は、
図39(a)に示されるように、第2アンテナユニット720に近い第1アンテナユニット710の縁部の真ん中に配置されてよく、あるいは、開口711は、
図39(b)に示されるように、第1アンテナユニット710の第2端部に近い位置に配置されてもよい。
【0182】
任意に、開口は、第1アンテナユニット710に近い第2アンテナユニット720の側に配置されてもよい。
【0183】
開口が第1アンテナユニット710又は第2アンテナユニット720に配置された後、2つのアンテナユニット間の結合面積は減り、第1アンテナユニット710と第2アンテナユニット720との間の結合量は低減し得る、ことが理解されるべきである。これは、第1アンテナユニット710及び第2アンテナユニット720によって生成される共振の共振点の周波数を制御するために使用され得、つまり、第1アンテナユニット710及び第2アンテナユニット720によって生成される共振の共振点の周波数は、高い周波数の方にシフトされる。
【0184】
図38並びに
図39(a)及び
図39(b)に示されているアンテナ構造によって生成される共振の共振点の周波数を調整するための一般的な方法は、例として使用されているに過ぎない、ことが理解されるべきである。実際のアプリケーションでは、他の調整方法が、電子デバイス内の空間又は他の理由に基づいて選択されてもよい。これは本願で制限されない。
【0185】
図40(a)及び
図40(b)は、本願の実施形態に従う他の電子デバイスの構造の模式図である。
【0186】
上記の実施形態は1次元又は2次元配置構造を使用しているが、本願のこの実施形態で提供されるアンテナ構造は3次元構造も使用してよい、ことが理解されるべきである。
【0187】
図40(a)及び
図40(b)に示されるように、アンテナ構造はインターネット・オブ・シングス(the internet of things,IoT)に適用されてよい。この実施形態は、例としてスピーカのみを使用することによって記載される。
【0188】
図40(a)及び
図40(b)に示されるように、アンテナユニットは、スピーカの円筒構造の表面に分布してよく、円筒構造の真ん中部分に位置してよく、あるいは、上面又は底面に位置してもよい。アンテナユニットは並列レイアウト、又は並列-直列-直角復号レイアウトにあり、3次元分散アンテナを実装する。これは本願のこの実施形態で制限されない。
【0189】
本願で提供されるいくつかの実施形態で、開示されているシステム、装置、及び方法は他の様態で実施されてもよい、ことが理解されるべきである。例えば、記載されている装置の実施形態は一例にすぎない。例えば、ユニットへの分割は、論理的な機能分割にすぎず、実際の実施では他の分割であってもよい。例えば、複数のユニット又はコンポーネントが他のシステムに結合又は一体化されてよく、あるいは、いくつかの特徴は無視されても又は実行されなくてもよい。更には、表示又は議論されている相互の結合又は直接的な結合若しくは通信接続は、何らかのインターフェースを通じて実施されてもよい。装置又はユニット間の間接的な結合又は通信接続は、電子的な又は他の形態で実施されてよい。
【0190】
上記の説明は、本願の具体的な実施にすぎず、本願の保護範囲を制限する意図はない。本願で開示されている技術的範囲内で当業者が容易に考え付く如何なる変形又は置換も、本願の保護範囲内に入るべきである。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【0191】
本願は、2020年10月19日に「ELECTRONIC DEVICE」との発明の名称で中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第202011120282.0号に対する優先権を主張するものであり、先の中国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。