(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】電極組立体およびこれを含む電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20241105BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20241105BHJP
H01M 4/40 20060101ALI20241105BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241105BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20241105BHJP
H01M 4/80 20060101ALI20241105BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241105BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20241105BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/40
H01M4/48
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/62 Z
H01M4/70 A
H01M4/80 C
H01M10/052
H01M50/457
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2023523637
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 KR2021014652
(87)【国際公開番号】W WO2022092679
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143427
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137514
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミョンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】テゴン・キム
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512872(JP,A)
【文献】国際公開第2019/059117(WO,A1)
【文献】特表2016-519841(JP,A)
【文献】特開平10-172606(JP,A)
【文献】特表2020-510961(JP,A)
【文献】特開2017-157337(JP,A)
【文献】特表2017-517862(JP,A)
【文献】特表2021-501961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/13-4/62
H01M 50/457
H01M 50/46
H01M 4/64-4/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜、
前記分離膜の第1面に付着した正極活物質層、および
前記分離膜の第2面に付着した負極活物質層を含み、
前記正極活物質層は、正極活物質、バインダー、および導電材の第1乾式混合電極組成物から形成されており、
前記負極活物質層は、負極活物質、バインダー、および導電材の第2乾式混合電極組成物から形成されて
おり、
前記正極活物質層は、前記分離膜と接する面と対向する面に接着層なしで正極集電体が積層されるように配置され、
前記負極活物質層は、前記分離膜と接する面と対向する面に接着層なしで負極集電体が積層されるように配置されており、
前記分離膜と前記正極活物質層との間、および前記分離膜と前記負極活物質層との間にそれぞれ接着層が形成されており、
前記接着層は多孔性構造を有する、電極組立体。
【請求項2】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは平面状シートから形成されている、請求項
1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは二つ以上の線状シートから形成されており、
前記二つ以上の線状シートは互いに離隔している、請求項
1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記二つ以上の線状シートは互いに同一のパターンを有する、請求項
3に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは、無作為的配列を有する繊維状シートから形成されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第1乾式混合電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第1乾式混合電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下であり、
前記第2乾式混合電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第2乾式混合電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項
6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第1乾式混合電極組成物に含まれている前記正極活物質の含有量は、前記第1乾式混合電極組成物の全重量を基準として90重量%以上98重量%以下である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)、リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Li一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn
2O
4、ジスルフィド化合物、Fe
2(MoO
4)
3、リチウムマンガン酸化物(LMO)のうちの少なくとも一つを含む、請求項
8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第2乾式混合電極組成物に含まれている前記負極活物質の含有量は、前記第2乾式混合電極組成物の全重量を基準として90重量%以上98重量%以下である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記負極活物質は、リチウム金属、リチウム合金、石油コークス、活性炭、グラファイト、ケイ素、スズ、および金属酸化物のうちの少なくとも一つを含む、請求項
10に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記正極活物質層および前記負極活物質層は、それぞれフリースタンディングフィルムである、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項13】
請求項1に記載の電極組立体を含む電池セル。
【請求項14】
前記電池セルは、少なくとも二つの前記電極組立体が積層されるように配置され、
少なくとも二つの前記電極組立体は、それぞれの電極組立体に含まれている正極活物質層同士が互いに対向するか、または負極活物質層同士が互いに対向するように配置されている、請求項
13に記載の電池セル。
【請求項15】
少なくとも二つの前記電極組立体は、それぞれの正極活物質層同士の間に正極集電体が積層され、それぞれの負極活物質層同士の間に負極集電体が積層されるように配置されている、請求項
14に記載の電池セル。
【請求項16】
正極活物質、導電材、およびバインダーが乾式で混合された第1電極組成物から形成されている正極活物質層を製造する段階、
負極活物質、導電材、およびバインダーが乾式で混合された第2電極組成物から形成されている負極活物質層を製造する段階、および
前記正極活物質層を分離膜の第1面に付着させ、前記負極活物質層を分離膜の第2面に付着させる段階を含
み、
前記正極活物質層を、前記分離膜と接する面と対向する面に接着層なしで正極集電体が積層されるように配置し、前記負極活物質層を、前記分離膜と接する面と対向する面に接着層なしで負極集電体が積層される配置する段階をさらに含み、
前記分離膜と前記正極活物質層との間、および前記分離膜と前記負極活物質層との間にそれぞれ接着層が形成されており、
前記接着層は多孔性構造を有する、電極組立体製造方法。
【請求項17】
前記正極活物質層および前記負極活物質層は、フリースタンディングフィルムで製造される、請求項
16に記載の電極組立体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年10月30日付韓国特許出願第10-2020-0143427号および2021年10月15日付韓国特許出願第10-2021-0137514号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびこれを含む電池セルに関し、より具体的には生産性および抵抗減少効果が向上した電極組立体およびこれを含む電池セルに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて幅広く使用されている。
【0004】
特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても大きな関心を受けている。
【0005】
また、環境問題に対する関心が高まることに伴い、大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を使用する車両を代替できる電気自動車、ハイブリッド電気自動車などに対する研究が多く進行されている。このような電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力源としては、主にニッケル水素金属二次電池が使用されているが、高いエネルギー密度と放電電圧のリチウム二次電池を使用する研究が活発に行われており、一部は商用化段階にある。
【0006】
既存の二次電池用電極は、一般に湿式方法で製造された。しかし、湿式方法で電極を製造する場合、高温での熱処理過程が必須で要求され、金属酸化物が損傷する恐れがあった。そこで、最近は乾式方法で製造された電極の開発が行われている。
【0007】
図1は従来の電極組立体を示す図面である。
図1を参照すれば、従来の電極組立体は、正極10、負極20、および正極10と負極20との間に介された分離膜30を含む。ここで、正極10は正極集電体15上に正極活物質層11が位置し、負極20は負極集電体25上に負極活物質層21が位置する。
【0008】
図2は
図1の電極組立体に含まれる電極の製造工程を示す図面である。
図2を参照すれば、正極活物質層11は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Polytetrafluoroethylene)をバインダーとして含む電極組成物が乾式で混合されてフリースタンディングフィルム形態に形成される。この時、正極10は、正極集電体15上に正極活物質層11がロールプレス(roll press)されて付着している。これは負極20の場合にも同様に説明される。
【0009】
ただし、
図2のように正極10および負極20が乾式で製造される場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Polytetrafluoroethylene)の特性上、高温および圧力による化学的結合方式でなく、剪断力による繊維化を通じて活物質を囲む結合方式で電極組成物が製造される。特に、前記電極組成物をフリースタンディングフィルム形態に集電体15、25上に付着するためには、前記フリースタンディングフィルムと集電体との間に別途のバインダーが追加的に塗布あるいはコーティングされる必要があった。
【0010】
一例として、従来は前記電極組成物にポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Polytetrafluoroethylene)以外にポリフッ化ビニリデン(PVDF、Polyinylidene fluoride)、アクリルバインダーなどを追加することによってフリースタンディングフィルムの接着力を高めたり、集電体15、25上に予め接着バインダーをコーティングして集電体15、25の接着力を高めたりしていた。この時、接着バインダーは、一般のバーコーティング、グラビアコーティングなどのスラリーコーティング方法またはパターンコーティング方法が使用されて集電体15、25上にコーティングされた。
【0011】
しかし、前記フリースタンディングフィルムと集電体15、25との間に形成された接着層は、前記フリースタンディングフィルムと集電体15、25との間の接触を防止することで、電子移動を制限させる問題がある。そこで、従来は前記接着層に伝導性を帯びる導電材が混合して前記の問題を解決しようとした。しかし、依然として、従来の方法は、前記フリースタンディングフィルムと集電体15、25との間にバインダーが位置する点から、高率領域で前記バインダーが抵抗として作用して放電容量が低下するという問題がある。
【0012】
図3は
図1の電極組立体の分解図である。
図1~
図3を参照すれば、従来の電極組立体は、
図2のようにそれぞれ製造された正極10および負極20の間に分離膜30が介される構造を有する。そのため、従来の電極組立体で正極10および負極20は、所定の強度を確保するためにフィルム形態に制限され、正極10および負極20を別途に製造することによって生産性が低下するという問題がある。
【0013】
そこで、従来とは異なり、乾式方法で製造された電極を含みながらも、バインダーの含有量を最小化することによって抵抗減少効果が改善され、生産性が向上した電極組立体の開発に対する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、生産性および抵抗減少効果が向上した電極組立体およびこれを含む電池セルを提供することにある。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、前述した課題に制限されず、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による電極組立体は、分離膜;前記分離膜の第1面に付着した正極活物質層;および前記分離膜の第2面に付着した負極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質、導電材、およびバインダーの第1乾式混合電極組成物から形成されており、前記負極活物質層は、負極活物質、導電材、およびバインダーの第2乾式混合電極組成物から形成されている。
【0017】
前記正極活物質層は、前記分離膜と接する面と対向する面に正極集電体が積層されるように配置され、前記負極活物質層は、前記分離膜と接する面と対向する面に負極集電体が積層されるように配置され得る。
【0018】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは平面状シートから形成され得る。
【0019】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは二つ以上の線状シートから形成されており、前記二つ以上の線状シートは互いに離隔していてもよい。
【0020】
前記二つ以上の線状シートは互いに同一のパターンを有することができる。
【0021】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一つは、無作為的(ランダム)配列を有する繊維状シートから形成され得る。
【0022】
第1電極組成物および第2電極組成物は、それぞれバインダーを含み、前記第1電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第1電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下であり、前記第2電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第2電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下であり得る。
【0023】
前記バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Polytetrafluoroethylene)を含むことができる。
【0024】
前記第1電極組成物に含まれている前記正極活物質の含有量は、前記第1電極組成物の全重量を基準として90重量%以上98重量%以下であり得る。
【0025】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウム銅酸化物(Li2CuO2)、バナジウム酸化物、Niサイト型リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、化学式Li一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4、ジスルフィド化合物、Fe2(MoO4)3、リチウムマンガン酸化物(LMO、Lithium Manganese Oxide)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0026】
前記第2電極組成物に含まれている前記負極活物質の含有量は、前記第2電極組成物の全重量を基準として90重量%以上98重量%以下であり得る。
【0027】
前記負極活物質は、リチウム金属、リチウム合金、石油コークス、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite)、ケイ素、スズ、および金属酸化物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0028】
前記正極活物質層および前記負極活物質層は、それぞれフリースタンディングフィルムであり得る。
【0029】
前記分離膜と前記正極活物質層との間、および前記分離膜と前記負極活物質層との間にそれぞれ接着層が形成されており、前記接着層は多孔性構造を有することができる。
【0030】
本発明の他の一実施形態による電池セルは、前述した電極組立体を含むことができる。
【0031】
前記電池セルは、少なくとも二つの前記電極組立体が積層されており、少なくとも二つの前記電極組立体は、それぞれの電極組立体に含まれている前記正極活物質層同士が互いに対向するか、または前記負極活物質層同士が互いに対向するように配置され得る。
【0032】
少なくとも二つの前記電極組立体は、それぞれの正極活物質層同士の間に正極集電体が積層され、それぞれの負極活物質層同士の間に負極集電体が積層されるように配置され得る。
【0033】
本発明の他の一実施形態による電極組立体製造方法は、正極活物質、導電材、およびバインダーが乾式で混合された第1電極組成物から形成されている正極活物質層を製造する段階;負極活物質、導電材、およびバインダーが乾式で混合された第2電極組成物から形成されている負極活物質層を製造する段階;および前記正極活物質層を分離膜の第1面に付着させ、前記負極活物質層を分離膜の第2面に付着させる段階を含む。
【0034】
前記正極活物質層および前記負極活物質層は、フリースタンディングフィルムで製造され得る。
【0035】
前記正極活物質層を、前記分離膜と接する面と対向する面に正極集電体が積層されるように配置し、前記負極活物質層を、前記分離膜と接する面と対向する面に負極集電体が積層されるように配置する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施形態によれば、乾式方法で製造されたフリースタンディングフィルムが分離膜に付着している電極組立体およびこれを含む電池セルを提供することで、生産性および抵抗減少効果が向上することができる。
【0037】
本発明の効果は、前述した効果に制限されず、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】
図1の電極組立体に含まれる電極の製造工程を示す図面である。
【
図4】本発明の一実施形態による電極組立体を示す図面である。
【
図5】
図4の電極組立体に含まれる集電体を示す図面である。
【
図6】
図4の電極組立体を製造する工程を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の電極組立体製造段階を示す図面である。
【
図8】
図6の電極組立体製造段階で製造された電極組立体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0040】
以下、本発明の一実施形態による電極組立体について説明する。
【0041】
図4は本発明の一実施形態による電極組立体を示す図面である。
【0042】
図4を参照すれば、本発明の一実施形態による電極組立体は、正極活物質層110、負極活物質層210、および分離膜300を含む。分離膜300で、正極活物質層110が分離膜300の第1面に付着しており、負極活物質層210が分離膜300の第2面に付着している。
【0043】
一例として、分離膜300の第1面に正極活物質層110が積層され、分離膜300の第2面に負極活物質層210が積層された状態で、正極活物質層110、負極活物質層210、および分離膜300がロールプレシング(roll pressing)して付着され得る。
【0044】
ここで、分離膜300は、通常リチウム二次電池でセパレータとして使用されるものであれば特別な制限なしに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含湿能力に優れ、表面接着力を有することが好ましい。一例として、分離膜300は、多孔性高分子フィルムであって、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン(PO)系高分子で製造した多孔性高分子フィルムであり得る。または、SRS(Safety Reinforced Separator)を使用することができる。または通常の多孔性不織布であって、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用することができる。
【0045】
そのため、分離膜300は、正極活物質層110と負極活物質層210を分離してリチウムイオン通路としての役割を果たしながらも、各面に付着する正極活物質層110および負極活物質層210に対する支持体としての役割を果たすことができる。また、分離膜300の表面接着力を通じて、電極組立体に含まれるバインダーの含有量を最小化することによって抵抗減少効果が改善され得る。
【0046】
本発明の他の一実施形態による電極組立体において、分離膜300は、分離膜300と正極活物質層110との間に接着層(図示せず)が含まれてもよく、分離膜300と負極活物質層210との間に接着層(図示せず)が含まれてもよい。
【0047】
前記接着層(図示せず)は分離膜300に付着するが、分離膜300を通じて移動するリチウムイオンの移動を妨害しない多孔性構造を有することができる。一例として、前記接着層(図示せず)は蒸気誘起相分離法により前記分離膜300に形成され得る。以外に、前記接着層(図示せず)は分離膜300に形成された孔隙を塞がないコーティング技法であれば制限なしに使用可能であり、バインダーパターンコーティング、無機物およびバインダーの混合組成物コーティングなどの方法が適用され得る。
【0048】
また、前記接着層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、Polyinylidene fluoride)、アクリルバインダーなどのような接着性バインダーを含むコーティング用スラリーで形成され得る。ただし、前記接着層を構成する物質がこれに制限されるのではなく、分離膜300の表面にコーティングされて接着性を有する物質であれば制限なしに使用可能である。
【0049】
そのため、分離膜300は、正極活物質層110および負極活物質層210のそれぞれに対する接着力がより向上することができる。また、分離膜300は、前記接着層が形成されていてもリチウムイオンの通路としての役割も制限されない。また、分離膜300の表面接着力を通じて、分離膜300に形成される接着層に含まれるバインダーの含有量が従来に比べて減少することができ、抵抗減少効果が改善され得る。また、前記接着層による抵抗増加が大きくなくてもよく、高率領域で放電容量も改善され得る。
【0050】
また、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、13gf/15mm以上~100gf/15mm以下であり得る。より具体的に、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、15gf/15mm以上~95gf/15mm以下であり得る。一例として、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、20gf/15mm以上~90gf/15mm以下であり得る。
【0051】
そのため、本実施形態の電極組立体において、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、前述した範囲の接着力を有することができ、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210が安定的に固定され得る。
これとは異なり、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力が前述した範囲を逸脱して過度に小さい場合、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210が安定的に固定されないことがある。また、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力が前述した範囲を逸脱して過度に大きい場合、製造費用が増加したり製造工程上の実現が難しかったりという問題がある。
【0052】
また、正極活物質層110は、正極活物質が乾式で混合された第1電極組成物から形成されている。負極活物質層210は、負極活物質が乾式で混合された第2電極組成物から形成されている。一例として、正極活物質層110および負極活物質層210は、それぞれフリースタンディングフィルムで製造され得る。そのため、正極活物質層110と負極活物質層210は電極組立体として製造される前に、それぞれのフリースタンディングフィルムがロール(roll)形態に保管され得るため、生産性が向上することができる。
【0053】
前記第1電極組成物に含まれている前記正極活物質は、一例として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2);リチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);バナジウム酸化物;Niサイト型リチウムニッケル酸化物;リチウムマンガン複合酸化物;スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式Li一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などを含むことができる。一例として、前記正極活物質は、リチウムマンガン酸化物(LMO、Lithium Manganese Oxide)を含むことができる。
【0054】
ここで、前記正極活物質は、前記第1電極組成物の全重量を基準として88重量%~99重量%で含まれ得る。より好ましくは、前記正極活物質は、前記第1電極組成物の全重量を基準として89重量%~98.5重量%で含まれ得る。一例として、前記正極活物質は、前記第1電極組成物の全重量を基準として90重量%~98重量%で含まれ得る。
【0055】
前記第2電極組成物に含まれている前記負極活物質は、当業界で通常のリチウム二次電池用負極活物質を使用することができ、一例として、リチウム金属、リチウム合金、石油コークス、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite)、ケイ素、スズ、金属酸化物またはその他炭素類などのような物質を使用することができる。
【0056】
ここで、前記負極活物質は、前記第2電極組成物の全重量を基準として88重量%~99重量%で含まれ得る。より好ましくは、前記負極活物質は、前記第2電極組成物の全重量を基準として89重量%~98.5重量%で含まれ得る。一例として、前記負極活物質は、前記第2電極組成物の全重量を基準として90重量%~98重量%で含まれ得る。
【0057】
また、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物は、それぞれバインダーを含むことができる。前記バインダーは、それぞれ活物質粒子間の付着および活物質と集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF‐co‐HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうちの1種単独または2種以上の混合物を使用することができる。
【0058】
一例として、前記バインダーは、それぞれポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。ここで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、剪断力が加えられることによって粒子から繊維が引き抜かれる特徴を有する。つまり、本発明の一実施形態において、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物は、それぞれポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をバインダーとして含むが、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物は強い剪断力が加えられてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の繊維化による物理的混合方式により混合され得る。
【0059】
そのため、本発明の一実施形態において、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物が別途の溶媒または添加剤なしに乾式で混合され得るため、活物質粒子間のブリッジングまたは活物質粒子と集電体との間のブリッジングに非常に効果的であると共に、既存の混合方式による高温での熱処理過程で発生される活物質の損傷が防止され得る。
【0060】
また、前記第1電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第1電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下であり、前記第2電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第2電極組成物の全重量を基準として1重量%以上5重量%以下であり得る。より好ましくは、前記第1電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第1電極組成物の全重量を基準として2重量%以上4重量%以下であり、前記第2電極組成物に含まれている前記バインダーの含有量は、前記第2電極組成物の全重量を基準として2重量%以上4重量%以下であり得る。
【0061】
そのため、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物は、正極活物質層110および負極活物質層210を形成するには十分な引張強度および放電容量を有することができる。これとは異なり、前記バインダーの含有量が1重量%未満の場合、正極活物質層110および負極活物質層210の引張強度が低下することがある。また、前記バインダーの含有量が5重量%超過の場合、正極活物質層110および負極活物質層210で前記バインダーが抵抗として作用して、放電容量が低下することがある。
【0062】
さらに、前記第1電極組成物および前記第2電極組成物は、それぞれ導電材を含むことができる。前記導電材は、 電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を招かないが電子伝導性を有するものであれば特別な制限なしに使用可能である。具体的な例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、グラフェン、炭素繊維などの炭素系物質;天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうちの1種単独または2種以上の混合物を使用することができる。ここで、前記導電材は、電極総重量に対して1重量%~10重量%で含まれ得る。
【0063】
以下、本実施形態による電極組立体に含まれる集電体150、250について具体的に説明する。
【0064】
図5は
図4の電極組立体に含まれる集電体を示す図面である。
【0065】
図4および
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による電極組立体は、正極活物質層110が分離膜300と接する面と対向する面に正極集電体150が積層されている。また、負極活物質層210は、分離膜300と接する面と対向する面に負極集電体250が積層されている。
【0066】
そのため、本実施形態による電極組立体は、正極活物質層110と正極集電体150との間には別途の接着層なしに積層されており、正極活物質層100と正極集電体150との間の接触面積が増加することができ、正極活物質層100と正極集電体150との間の電子移動においても制限されないため放電容量も改善され得る。これは負極活物質層210および負極集電体250についても同様に説明され得る。
【0067】
ここで、正極集電体150および負極集電体250は、電池に化学的変化を誘発しないが高い導電性を有するものであれば、特に制限されるのではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などを使用することができる。
【0068】
また、正極集電体150と正極活物質層110との間、または負極集電体250と負極活物質層210との間の接着力は殆どなくてもよい。もし正極集電体150と正極活物質層110との間、または負極集電体250と負極活物質層210との間に接着力があっても、前記接着力は集電体150、250と活物質層210、250自体の接着力であり得る。
【0069】
この場合、正極集電体150と正極活物質層110との間、または負極集電体250と負極活物質層210との間の接着力は、0gf/15mm以上~5gf/15mm以下であり得る。より具体的に、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、0.05gf/15mm以上~4.5gf/15mm以下であり得る。一例として、分離膜300と正極活物質層110または負極活物質層210との間の接着力は、0.1gf/15mm以上~4gf/15mm以下であり得る。
【0070】
そのため、本実施形態の電極組立体において、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間の接着力は、前述した範囲の接着力を有することができ、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間の接着力は殆どなくてもよい。つまり、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間に別途の接着層が形成されておらず、電子移動の妨害も減少して放電容量が改善され得る。
【0071】
これとは異なり、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間の接着力が前述した範囲を逸脱して過度に大きい場合、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間には別途の接着層が形成されているとみることができる。この場合、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間に位置した接着層は、正極集電体150と正極活物質層110との間または負極集電体250と負極活物質層210との間の電子移動を妨害することがあり、高率領域での放電容量も低下することがある。
【0072】
また、
図4および
図5を参照すれば、本実施形態による電極組立体は、正極活物質層110および負極活物質層210が分離膜300に付着しており、正極集電体150および負極集電体250は従来使用されたフィルム形態に制限されず、多様な形態に使用可能である。
【0073】
図5(a)を参照すれば、正極集電体150および負極集電体250のうちの少なくとも一つは平面状シートから形成され得る。一例として、正極集電体150が平面状シートから形成されている場合、正極集電体150は正極活物質層110の一面と同一であるか小さい大きさを有することができる。さらに、正極集電体150は従来とは異なり正極活物質層110の支持体としての役割を果たす必要がなく、従来に比べて薄い厚さを有することができる。これは負極集電体250についても同様に説明され得る。
【0074】
図5(b)および(c)を参照すれば、正極集電体150および負極集電体250のうちの少なくとも一つは、二つ以上の線状シートから形成されており、前記線状シートは互いに離隔していてもよい。ここで、前記線状シートは、繊維状、棒状、薄板状などの多様な形態に形成され得る。また、前記線状シートは、互いに同一のパターンを有することができる。一例として、前記パターンは、曲線型、直線型、点線型などのパターンが使用され得る。
【0075】
図5(d)を参照すれば、正極集電体150および負極集電体250のうちの少なくとも一つは無作為的配列を有する繊維状シートから形成され得る。
【0076】
そのため、本実施形態による電極組立体は、多様な形態の集電体150、250を含むことができ、集電体150、250の総面積を低減しながらも電子移動通路としての役割を十分に行うことができる。また、電池セルの組立時に全重量を低減しながらも製造形態が容易であり、生産性が向上することができる。また、活物質層110、210が従来に比べてより多く含まれ得、放電容量もより増加することができる。
【0077】
さらに、本実施形態による電極組立体において、集電体150、250の一端部に電極タブが形成されるノッチング工程を前述した形態の集電体150、250の製造時に共に行うことができるため、生産性がより向上することができる。
【0078】
以下、本発明の他の一実施形態による電極組立体の製造方法について具体的に説明する。
【0079】
図6は
図4の電極組立体を製造する工程を示すフローチャートである。
図7は
図6の電極組立体製造段階を示す図面である。
図8は
図6の電極組立体製造段階で製造された電極組立体の分解図である。
【0080】
図6を参照すれば、本実施形態による電極組立体製造方法は、活物質、導電材、およびバインダーを乾式で混合するプレミキシング段階(S10)、高剪断力を加えて電極組成物を製造するミキシング段階(S20)、前記電極組成物を用いてフリースタンディングフィルムを製造する段階(S30)、および前記フリースタンディングフィルムを分離膜上に付着した後にラミネーション工程を行い、前記フリースタンディングフィルム上に集電体を積層して電極組立体製造段階(S50)を含む。
【0081】
より具体的には、
図6および
図7を参照すれば、電極組立体製造段階(S50)は、フリースタンディング段階(S30)で製造された正極活物質層110を分離膜300の一面に付着し、フリースタンディング段階(S30)で製造された負極活物質層210を分離膜300の他面に付着する。一例として、分離膜300の上下面に正極活物質層110および負極活物質層210をそれぞれ積層した状態で、平板プレスで接着して正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体を形成することができる。
【0082】
さらに、
図6~
図8を参照すれば、電極組立体製造段階(S50)は、正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体に正極集電体150および負極集電体250を追加的に積層させることができる。一例として、少なくとも二つの前記電極組立体が積層されており、前記少なくとも二つの電極組立体は、それぞれの電極組立体に含まれている正極活物質層110が互いに対向するか、または負極活物質層210が互いに対向するように配置され得る。また、少なくとも二つの前記電極組立体は、それぞれの正極活物質層110の間に正極集電体150が積層され、それぞれの負極活物質層210の間に負極集電体250が積層され得る。
【0083】
そのため、本実施形態による電極組立体製造方法は、正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体を製造するため、正極および負極を別途に製造しなければならない従来の工程に比べて、製造工程が単純化することができる。また、正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体は、正極活物質層110と正極集電体150との間あるいは負極活物質層210と負極集電体250との間に別途の接着層が含まれず、電子移動においても制限されないため放電容量も改善され得る。
【0084】
本発明の他の一実施形態による電池セルは、前述した電極組立体を含むことができる。また、本発明の他の一実施形態による電池セルは、前述した電極組立体と電解質を含むことができる。
【0085】
本発明で使用される電解液としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるのではない。
【0086】
具体的には、前記電解液は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をすることができるものであれば特別な制限なしに使用することができる。前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供できる化合物であれば特別な制限なしに使用することができる。
【0087】
前記電解液には、前記構成成分以外にも電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファート、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれることもできる。この時、前記添加剤は、電解液総重量に対して0.1重量%~5重量%で含まれ得る。
【0088】
以下、実施例を通じて本発明の内容を説明するが、下記の実施例は本発明を例として説明するためのものであり、本発明の権利範囲がこれに限定されるのではない。
【0089】
<実施例>
実施例は、正極活物質、導電材、およびバインダーをWaring社のブレンダー(blender)機器を用いて乾式で混合した混合物を製造するプレミキシング段階を行う。ここで、前記正極活物質は94重量%のリチウムマンガン酸化物(LMO、Lithium Manganese Oxide)であり、前記導電材は3重量%のSuper C65である。また、前記バインダーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が3重量%で含まれる。この時、プレミキシング段階(S10)は常温で5000rpmで1分間行われた。その後、Irie Shokai社のPBV‐0.1L機器を使用し、プレミキシング段階(S10)で製造された混合物に剪断力を加えて第1電極組成物を製造するミキシング段階(S20)を行う。この時、ミキシング段階(S20)は常温で30rpmで5分間行われた。その後、Inoue社のTwo roll mill MR‐3機器を使用し、ミキシング段階(S20)で製造された第1電極組成物でフリースタンディングフィルム形態の正極活物質層110を製造した。負極活物質層210の場合、前記正極活物質の代わりにグラファイト(Graphite)である負極活物質が使用される点以外は全て同様な方法で製造された。
【0090】
その後、アセトンにPVDF‐HFP(Mw.500,000)樹脂を投入して高分子溶液(固形分5wt%濃度)を製造した。ここにAl2O3(日本軽金属社、LS235)を投入してボールミル(ball mill)方式で分散させて多孔性コーティング層用スラリーを準備した。準備した多孔性コーティング層用スラリーは、15um厚さのポリオレフィン(PO)である分離膜300の上にディップコーティング(dip coating)方法でコーティングした。ここで、多孔性コーティング層用スラリーでコーティングされた接着層の厚さは2umである。この時、温度は摂氏23度、相対湿度(RH)40%水準下で行った。
【0091】
その後、多孔性コーティング層用スラリーがコーティングされた分離膜300上に正極活物質層110および負極活物質層210がそれぞれ積層された後にロールプレシングを行い、正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体を製造した。
【0092】
その後、前記電極組立体を少なくとも二つ含むが、正極活物質層110上に20umのアルミニウム箔である正極集電体150が積層され、負極活物質層210上に20umの銅箔である負極集電体250が積層された後、電解液と共にパウチで包装して電池セルを製造した。ここで、電解液は、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)(20/80;体積比)の混合溶媒で1.0MのLiPF6溶液を使用した。
【0093】
<比較例1>
比較例1は、前記実施例で、分離膜30に別途の接着層が含まれず、正極活物質層11と正極集電体15との間にPVDFとカーボン(Carbon)が混合されている接着用スラリーが0.5umの厚さにコーティングされている接着層を含み、正極活物質層11と正極集電体15はロールプレシングして正極10が製造された。また、負極活物質層21と負極集電体25との間にPVDFとカーボン(Carbon)が混合されている接着用スラリーが0.5umの厚さにコーティングされている接着層を含み、負極活物質層21と負極集電体25はロールプレシングして負極10が製造された。また、正極10と負極20との間に分離膜30を積層して、正極10‐分離膜30‐負極20構造の電極組立体を製造して、電解液と共にパウチで包装して電池セルが製造される点を除いては実施例と同様に製造された。
【0094】
<比較例2>
比較例2は、前記実施例で、分離膜30に別途の接着層が含まれず、正極活物質層11と正極集電体15との間にPVDFとカーボン(Carbon)が混合されている接着用スラリーが1.5umの厚さにコーティングされている接着層を含み、正極活物質層11と正極集電体15はロールプレシングして正極10が製造された。また、負極活物質層21と負極集電体25との間にPVDFとカーボン(Carbon)が混合されている接着用スラリーが1.5umの厚さにコーティングされている接着層を含み、負極活物質層21と負極集電体25はロールプレシングして負極10が製造された。また、正極10と負極20との間に分離膜30を積層して、正極10‐分離膜30‐負極20構造の電極組立体を製造して、電解液と共にパウチで包装して電池セルが製造される点を除いては実施例と同様に製造された。
【0095】
<実験例1(接着力の測定)>
実施例、比較例1、および比較例2でそれぞれ製造されたフリースタンディングフィルム形態の正極活物質層11、110および負極活物質21、210と他の基材との間の接着力を測定した。この時、接着力は幅15mmでサンプリングした後、Instron社のUTM機器を使用し、300mm/min速度で角度90度で剥離強度(peel strength)を通じて接着力を測定した。ここで、接着力は、集電体と活物質層との間の接着力と、分離膜と活物質層との間の接着力をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0096】
【0097】
表1を参照すれば、比較例1および比較例2とは異なり、実施例のように活物質層と分離膜との間に接着層が形成される場合、活物質層と分離膜との間の接着力が非常に優れていることを確認できる。
【0098】
これとは異なり、比較例1および比較例2のように集電体と活物質層との間に接着層が形成される場合、集電体と活物質層との間の接着力が実施例よりは優れているが、実施例の分離膜と活物質層との間の接着力に比べては非常に低いことを確認できる。さらに、比較例1および比較例2の場合には、実施例とは異なり、分離膜と活物質層との間の接着力がないことを確認できる。
【0099】
そのため、本実施例による正極活物質層110および負極活物質層210は、比較例と同様にフリースタンディングフィルム形態に製造されても、活物質層110、210と分離膜300との間の接着力は非常に優れており、活物質層110、210と分離膜300が互いに安定的に固定されることで、電池セルの充放電過程で電池セルの安定性が向上し、寿命も延長され得る。
【0100】
<実験例2(放電容量の測定)>
実施例および比較例でそれぞれ製造された電池セルを3.0~4.3V電圧範囲で0.1C/0.1C、1C/1C条件、2C/2C条件で充放電後の第1のサイクル(cycle)の放電容量値を計算し、その結果を表2に示した。
【0101】
【0102】
表2を参照すれば、比較例1および比較例2とは異なり、実施例は、放電容量が全般的に優れるように現れることを確認できる。特に、比較例1および比較例2とは異なり、実施例は、高率領域で放電容量が改善されることを確認できる。さらに、比較例1および比較例2の場合、集電体15、25と活物質層11、21との間に位置した接着層は、バインダーと導電材の混合物を含むが、接着層に含まれているバインダーが集電体15、25と活物質層11、21との間の電子移動を妨害する点から、高率領域で劣位にあることを確認できる。特に、比較例1と比較例2を比較すると、集電体15、25と活物質層11、21との間に位置した接着層の厚さがより厚いほど、劣位にある程度はより大きくなることを確認できる。
【0103】
これとは異なり、実施例の場合、集電体150、250と活物質層110、210との間に別途の接着層が形成されておらず、互いに完全に接触しているため、接着層が集電体150、250と活物質層110、210との間の電子移動を妨害せず、高率領域でも比較例に比べて放電容量が優れるように現れることを確認できる。
【0104】
そのため、実施例のように正極活物質層110‐分離膜300‐負極活物質層210構造の電極組立体を含む場合、前記電極組立体に含まれるバインダーの含有量が最小化されて抵抗改善効果が向上し、接着層による電子移動の妨害も減少して放電容量が全般的に優れるように現れることを確認できる。
【0105】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。