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特許7581527外科用ガス送達システム向け低圧送気マニホールド組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】外科用ガス送達システム向け低圧送気マニホールド組立品
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20241105BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20241105BHJP
   A61B 17/34 20060101ALN20241105BHJP
【FI】
A61B17/94
A61M39/22
A61B17/34
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023540070
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022013063
(87)【国際公開番号】W WO2022159546
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/376,561
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/155,478
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/155,572
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルツ マイケル ジュニア
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0236186(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0261704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/94
A61M 13/00
A61M 39/22―39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ガス送達システムのためのマニホールド組立品であって、
a)水平な上面と、第一の側面および第二の側面を含む複数の垂直側面を有する三次元形状をなすマニホールド本体であって、
高圧調節器によってガス源から送気ガスを受けるための入口ポートと、前記送気ガスを第一のアクセスポートに送達するための第一の出口ポートと、前記送気ガスを第二のアクセスポートに送達するための第二の出口ポートと、を含み、
前記入口ポートが前記マニホールド本体の前記第一の側面に位置し、前記第一の出口ポートおよび前記第二の出口ポートが前記マニホールド本体の前記第二の側面に位置する前記マニホールド本体と、
b)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された内部通路を介して前記第一の出口ポートと連通する第一の出口ライン弁であって、前記第一のアクセスポートへの前記送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む、前記第一の出口ライン弁と、
c)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された前記内部通路を介して前記第二の出口ポートと連通する第二の出口ライン弁であって、前記第二のアクセスポートへの前記送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む、前記第二の出口ライン弁と、
d)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された前記内部通路を介して前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁と連通し、前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁の上流で前記マニホールド本体内の圧力を一定に維持するための一次比例弁と、を備える、マニホールド組立品。
【請求項2】
前記マニホールド本体が、ガスを大気に通気するための排気ポートをさらに含み、換気排気弁が前記排気ポートと動作可能に関連付けられ、前記換気排気弁が、前記排気ポートからの前記ガスの前記通気を動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項3】
前記マニホールド本体が、前記ガスを前記大気に放出するための安全通気ポートをさらに含み、低圧安全弁が、前記安全通気ポートと動作可能に関連付けられ、前記低圧安全弁が、前記安全通気ポートからの前記ガスの前記放出を制御して、停電、圧力コントローラ誤動作、または別の弁が開位置に固着する場合に前記マニホールド組立品内の最大中間圧力を制限するための機械弁である、請求項2に記載のマニホールド組立品。
【請求項4】
記一次比例弁が、前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁への前記送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む、請求項3に記載のマニホールド組立品。
【請求項5】
前記マニホールド本体が、前記マニホールド組立品から離れた一対の遮断弁と連通するための連通ポートを含み、遮断弁パイロット弁が、前記一次比例弁の上流に位置する前記連通ポートと動作可能に関連付けられ、前記遮断弁パイロット弁が、それを通る前記ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む、請求項4に記載のマニホールド組立品。
【請求項6】
前記各電気機械弁アクチュエータが、それぞれのラックアンドピニオン式機構を含む電動式リニアアクチュエータである、請求項5に記載のマニホールド組立品。
【請求項7】
前記各ラックアンドピニオン式機構が、水平作動シャフトと、前記水平作動シャフトと動作可能に関連付けられた水平駆動ラックギアと、前記水平駆動ラックギアによって駆動される回転駆動ピニオンギアと、前記回転駆動ピニオンギアによって駆動され、かつ垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた垂直駆動ラックギアと、を含む、請求項6に記載のマニホールド組立品。
【請求項8】
前記各水平駆動ラックギアが、第一の水平軸に沿って並進するように取り付けられ、前記各回転駆動ピニオンギアが、前記第一の水平軸に垂直に延在する第二の水平軸を中心に回転するように取り付けられる、請求項7に記載のマニホールド組立品。
【請求項9】
前記第一の出口ライン弁の電気機械弁アクチュエータと前記第二の出口ライン弁の各電気機械弁アクチュエータが、それぞれ電動回転弁アクチュエータであって、前記各電動回転弁アクチュエータが、垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた減速ギア組立品を含む、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項10】
前記第一の出口ライン弁の電気機械弁アクチュエータと前記第二の出口ライン弁の電気機械弁アクチュエータが、それぞれ電動回転弁アクチュエータであって、前記各電動回転弁アクチュエータが、垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた軸打込みねじを含む、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項11】
前記マニホールド本体が、ともに腹圧を測定するための、前記第一の出口ライン弁の下流にある第一の患者圧力センサと連通するセンサポートと、前記第二の出口ライン弁の下流にある第二の患者圧力センサと連通するセンサポート、を含む、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項12】
前記マニホールド本体が、前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁上流にある第一の圧力センサと連通するセンサポートおよび第二の圧力センサと連通するセンサポートを含み、前記第一の圧力センサおよび前記第二の圧力センサは、前記マニホールド本体ら患者の体腔への総ガス流量を推定するために使用される圧力差を測定する、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項13】
前記マニホールド本体が、前記一次比例弁下流、かつ前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁の上流にある圧力センサと連通するセンサポートを含む、請求項4に記載のマニホールド組立品。
【請求項14】
前記第一のアクセスポートが密封アクセスポートであり、前記第二のアクセスポートがガス密封アクセスポートである、請求項1に記載のマニホールド組立品。
【請求項15】
外科用ガス送達システムのためのマニホールド組立品であって、
a)水平な上面と、第一の側面および第二の側面を含む複数の垂直側面を有する三次元形状をなすマニホールド本体であって、
高圧調節器によってガス源から送気ガスを受けるための入口ポートと、前記送気ガスを弁密封アクセスポートに送達するための第一の出口ポートと、前記送気ガスをガス密封アクセスポートに送達するための第二の出口ポートと、を含み、
前記入口ポートが前記マニホールド本体の前記第一の側面に位置し、前記第一の出口ポートおよび前記第二の出口ポートが前記マニホールド本体の前記第二の側面に位置するマニホールド本体と、
b)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された内部通路を介して前記第一の出口ポートと連通する第一の出口ライン弁であって、前記弁密封アクセスポートへの前記送気ガスの前記流れを動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む、前記第一の出口ライン弁と、
c)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された前記内部通路を介して前記第二の出口ポートと連通する第二の出口ライン弁であって、前記ガス密封アクセスポートへの前記送気ガスの前記流れを動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む、前記第二の出口ライン弁と、
d)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された前記内部通路を介して前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁と連通し、前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁の上流で前記マニホールド本体内の圧力を一定に維持するための一次比例弁と、
を備える、マニホールド組立品。
【請求項16】
前記マニホールド本体が、ガスを大気に通気するための排気ポートをさらに含み、換気排気弁が前記排気ポートと動作可能に関連付けられ、前記換気排気弁が、前記排気ポートからの前記ガスの前記通気を動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む、請求項15に記載のマニホールド組立品。
【請求項17】
前記マニホールド本体が、前記ガスを前記大気に放出するための安全通気ポートをさらに含み、低圧安全弁が、前記安全通気ポートと動作可能に関連付けられ、前記低圧安全弁が、前記安全通気ポートからの前記ガスの前記放出を制御して、停電、圧力コントローラ誤動作、または別の弁が開位置に固着する場合に前記マニホールド組立品内の最大中間圧力を制限するための機械弁である、請求項16に記載のマニホールド組立品。
【請求項18】
記一次比例弁が、前記第一の出口ライン弁および前記第二の出口ライン弁への前記送気ガスの前記流れを動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む、請求項17に記載のマニホールド組立品。
【請求項19】
前記マニホールド本体が、前記マニホールド組立品から離れた一対の遮断弁と連通するための連通ポートを含み、遮断弁パイロット弁が、前記一次比例弁の上流に位置する前記連通ポートと動作可能に関連付けられ、前記遮断弁パイロット弁が、それを通る前記ガスの流れを動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む、請求項18に記載のマニホールド組立品。
【請求項20】
前記第一出口ライン弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、前記第二出口ライン弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、前記一次比例弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、および前記遮断弁パイロット弁の前記電動式回転弁アクチュエータが、垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた減速ギア組立品を含む、請求項19に記載のマニホールド組立品。
【請求項21】
前記第一出口ライン弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、前記第二出口ライン弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、前記一次比例弁の前記電動式回転弁アクチュエータ、および前記遮断弁パイロット弁の前記電動式回転弁アクチュエータが、垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた軸打込みねじを含む、請求項19に記載のマニホールド組立品。
【請求項22】
外科用ガス送達システムのためのマニホールド組立品であって、
a)水平な上面と、第一の側面および第二の側面を含む複数の垂直側面を有する三次元形状をなすマニホールド本体であって、送気ガスを受けるための入口ポートと、前記送気ガスをアクセスポートに送達するための少なくとも一つの出口ポートと、を含み、
前記入口ポートが前記マニホールド本体の前記第一の側面に位置し、前記少なくとも一つの出口ポートが前記マニホールド本体の前記第二の側面に位置するマニホールド本体と、
b)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された内部通路を介して前記少なくとも一つの出口ポートと連通する出口ライン弁であって、前記アクセスポートへの送気ガスの前記流れを制御する、前記出口ライン弁と、
c)前記マニホールド本体の前記上面に配置され、前記マニホールド本体内に画定された前記内部通路を介して前記出口ライン弁と連通し、前記出口ライン弁への前記送気ガスの流れを動的に制御する一次比例弁と、
を備える、マニホールド組立品。
【請求項23】
前記出口ライン弁は、前記アクセスポートへの前記送気ガスの流れを動的に制御するための電動式回転弁アクチュエータを含む比例弁である、請求項22に記載のマニホールド組立品。
【請求項24】
前記一次比例弁が電動式回転アクチュエータである、請求項22に記載のマニホールド組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月22日に出願された米国特許出願第17/155,478号の一部継続である2021年7月15日に出願された米国特許出願第17/376,561号、および2021年1月22日に出願された米国特許出願第17/155,572号の一部継続に対する優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、低侵襲手術、より具体的には、内視鏡または腹腔鏡外科処置中のガス密封送気およびガス再循環に使用される外科用ガス送達システムの低圧送気マニホールド組立品を対象とする。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡下または「低侵襲性」外科的手術技術は、胆嚢摘出、虫垂切除術、ヘルニア修復および腎摘出などの手術の実施において普及している。そのような処置の利点には、患者への外傷の減少、感染の機会の低減、および回復時間の短縮が含まれる。腹(腹膜)腔内のこのような手術は、典型的には、トロカールまたはカニューレとして知られる装置を通して実施され、これは腹腔鏡器具の患者の腹腔内への導入を促進する。
【0004】
さらに、このような処置は、一般に、二酸化炭素などの加圧流体で腹腔の充填または腹腔に「送気」して、気腹と呼ばれる手術空間を作り出すことを含む。送気は、送気用流体を送達するように装備されたトロカールなどの手術用アクセス装置、または送気用(ベレス)ニードルなどの別個の送気用装置によって、実施され得る。気腹を維持するために、送気ガスの実質的な損失なしに、外科手術器具の気腹への導入が望ましい。
【0005】
典型的な腹腔鏡下処置中に、外科医は、通常各々約12ミリメートル以下の三、四個所の小さな切開を行い、これは通常、手術用アクセス装置自体を用いて、しばしばその中に配置された別個の挿入器または閉塞具を使用して行われる。挿入後、閉塞具が取り外され、トロカールは腹腔内に挿入される器具に対するアクセスを可能にする。典型的なトロカールは、外科医が作業する開放内部空間を持つように、腹腔に送気する経路を提供する。
【0006】
トロカールは、トロカールと使用されている外科手術器具の間の密封によって空洞内の圧力を維持する方法を提供しつつも、なお外科手術器具の少なくとも最小量の移動の自由を可能にしなければならない。このような器具には、例えば、はさみ、把持器具および閉塞具、焼灼ユニット、カメラ、光源およびその他の外科手術器具が含まれ得る。密封要素または機構は通常、腹腔からの送気ガスの漏れを防ぐためにトロカールに提供される。これらの密封機構は多くの場合、トロカールを通過する外科手術器具の外側表面の周りに密封するために、比較的柔軟な材料で作られたダックビル型弁を含む。
【0007】
ConMed Corporationの完全子会社であるSurgiQuest, Inc.は、例えば米国特許第7,854,724号および米国特許第8,795,223号に記載されるように、従来の機械的弁シールを必要とせずに、送気された外科手術腔にすぐにアクセスできる、独自のガス密封手術用アクセス装置を開発した。これらの装置は、内側管状体部分および同軸外側管状体部分を含むいくつかのネストされた構成要素から構築される。内側管状体部分は、従来の腹腔鏡または内視鏡外科手術器具を患者の外科手術腔に導入するための中央ルーメンを画定し、外側管状体部分は、患者の外科手術腔に送気ガスを送達し、腹圧の定期的な感知を促進するための内側管状体部分を囲む環状ルーメンを画定する。
【0008】
SurgiQuest社はまた、上述の独自のガス密封アクセス装置と併用するためのマルチモード外科用ガス送達システムも開発した。例えば、米国特許第9,199,047号および米国特許第9,375,539号に開示されているこれらのガス送達システムは、体腔へのガス密封アクセスを提供する第一の動作モード、体腔からの煙排出を実施するための第二の動作モード、および体腔に送気ガスを提供する第三の動作モードを有する。
【0009】
先行技術であるSurgiQuest社のガス送達システムでは、体腔への送気ガスの送達または流出は、ガス流量を動的に制御する能力に関して特定の制限を有する電磁弁によって制御される。例えば、6mmの開口部を有する電磁弁は、ゼロおよび差圧の関数としての6mmの開口部流という二つの流れ状態を有する。しかしながら、6mmの開口部の比例弁は、無限数の中間流れ設定、または同等の開口部直径を有する。
【0010】
流れは開口部直径の二乗の関数であるため、比例弁の追加的な中間弁の位置は、単純な直線関係を超えた微細な制御、ならびにより低い圧力で安定した流量を達成し、圧力振動を低減し、空気ハンマーを除去する能力を提供する。さらに、弁開口部の最初の10%、または有効開口部直径0.6mmは、全開流量の1%(10%)を調節するが、これは小児用途に好都合であり得る。
【発明の概要】
【0011】
本出願は、腹腔鏡外科処置中の送気を促進するように構成される、マルチモード外科用ガス送達システムのための新しく有用な低圧マニホールド組立品を対象とする。低圧マニホールド組立品は、高圧調節器を介してガス源から送気ガスを受けるための入口ポート、送気ガスを第一のアクセスポートに送達するための第一の出口ポート、および送気ガスを第二のアクセスポートに送達するための第二の出口ポートを有するマニホールド本体を含む。本発明の好ましい実施形態によれば、第一のアクセスポートは弁密封アクセスポートであり、第二のアクセスポートはガス密封アクセスポートである。
【0012】
マニホールド組立品は、マニホールド本体の第一の出口ポートと動作可能に関連付けられた第一の出口ライン弁をさらに含み、第一の出口ライン弁は、第一のアクセスポートへの送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含み、マニホールド本体の第二の出口ポートと動作可能に関連付けられた第二の出口ライン弁と、を含み、第二の出口ライン弁は、第二のアクセスポートへの送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む。
【0013】
マニホールド本体は、ガスを大気に通気するための排気ポートをさらに含み、換気排気弁は、排気ポートと動作可能に関連付けられる。換気排気弁は、排気ポートからのガスの通気を動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む。マニホールド本体はまた、ガスを大気に放出するための安全通気ポートを含み、低圧安全弁は、安全通気ポートと動作可能に関連付けられる。好ましくは、低圧安全弁は、停電、圧力コントローラの誤動作、または別の弁が開位置に固着する場合に、マニホールド組立品内の最大中間圧力を制限するために、安全通気ポートからのガスの放出を制御するための機械弁である。
【0014】
マニホールド本体はまた、第一の出口ライン弁および第二の出口ライン弁の上流に位置する一次比例弁を含む。一次比例弁は、第一の出口ライン弁および第二の出口ライン弁への送気ガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む。マニホールド本体は、マニホールド組立品から遠隔に位置する一対の遮断弁と連通するための連通ポートをさらに含む。遮断弁パイロットは、一次比例弁の上流に位置する連通ポートと動作可能に関連付けられる。遮断弁パイロットは、それを通るガスの流れを動的に制御するための電気機械弁アクチュエータを含む。
【0015】
マニホールド組立品の一実施形態では、各電気機械弁アクチュエータは、それぞれのラックアンドピニオン式機構を含む電動式リニアアクチュエータとして構成される。好ましくは、各ラックアンドピニオン式機構は、水平作動シャフト、水平作動シャフトと動作可能に関連付けられた水平駆動ラックギア、水平駆動ラックギアによって駆動される回転駆動ピニオンギア、および駆動ピニオンギアによって駆動され、ばね式垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた垂直駆動ラックギアを含む。各水平駆動ラックギアは、第一の水平軸に沿って並進するように取り付けられ、各回転駆動ピニオンギアは、第一の水平軸に垂直に延在する第二の水平軸を中心に回転するように取り付けられる。
【0016】
マニホールド組立品の別の実施形態では、各電気機械弁アクチュエータは、ばね式垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた減速ギア組立品を含む、電動式回転アクチュエータである。マニホールド組立品のさらに別の実施形態では、各電気機械弁アクチュエータは、ばね式垂直弁ステムと動作可能に関連付けられた軸打込みねじを含む電動式回転アクチュエータである。
【0017】
マニホールド本体はまた、第一の出口ライン弁の下流に位置する第一の患者圧力センサと、腹圧を測定するための第二の出口ライン弁の下流に位置する第二の患者圧力センサと、を含む。さらに、マニホールド本体は、出口ライン弁の上流に位置する第一の圧力センサおよび第二の圧力センサを含み、これは、マニホールドから患者の体腔への総ガス流量を推定するために使用される圧力差を測定するためのベンチュリと関連付けられる。マニホールド本体はまた、一次比例弁の下流かつ出口ライン弁の上流に位置する圧力センサを含む。
【0018】
本発明のマニホールド組立品のこれらおよびその他の特徴は、以下の図面の簡単な説明と併せてなされた好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明に関連する当業者にはより容易に明らかになる。
【0019】
当業者は、必要以上の実験無しに、本発明のガス送達システムおよび方法を製造および使用する方法を容易に理解するであろうゆえに、その好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ガス密封アクセスポートと連通するためのガス密封マニホールド、およびガス密封アクセスポートおよび弁密封アクセスポートと連通するための低圧送気マニホールドを含む、本発明のマルチモードガス送達システムの概略図である。
図2図2は、複数の電動式リニア弁アクチュエータを含む、図1に示すガス送達システムで使用するための送気マニホールド組立品の斜視図である。
図3図3は、図2に示す送気マニホールド組立品の右側図である。
図4図4は、図2に示す送気マニホールド組立品の左側図である。
図5図5は、図2に示す送気マニホールド組立品の正面図である。
図6図6は、図2に示す送気マニホールド組立品の背面図である。
図7図7は、図3の線7-7に沿って切り取られた断面図である。
図8図8は、図3の線8-8に沿って切り取られた断面図である。
図9図9は、図5の線9-9に沿って切り取られた断面図である。
図10図5は、図5の線10-10に沿って切り取られた断面図である。
図11図11は、複数の電動式回転弁アクチュエータを含む、図1のガス送達システムで使用するための別の送気マニホールド組立品の斜視図である。
図12図12~14は、ステッパーモーターおよび軸打込みねじを含む、図11に示す例示的な電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図12は回転アクチュエータの立面図である。
図13図12~14は、ステッパーモーターおよび軸打込みねじを含む、図11に示す例示的な電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図13図12の線13-13に沿った回転アクチュエータの断面図である。
図14図12~14は、ステッパーモーターおよび軸打込みねじを含む、図11に示す例示的な電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図14は回転アクチュエータの斜視図である。
図15図15図17は、ステッパーモーターおよび減速ギア組立品を含む別の電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図15は、回転アクチュエータの立面図である。
図16図15図17は、ステッパーモーターおよび減速ギア組立品を含む別の電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図16は、図15の線16-16に沿った回転アクチュエータの断面図である。
図17図15図17は、ステッパーモーターおよび減速ギア組立品を含む別の電動式回転弁アクチュエータの関連図であり、図17は、回転アクチュエータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、同様の参照番号が本発明の類似の構造要素および特徴を識別する図面を参照すると、内視鏡外科処置中または腹腔鏡外科処置中にガス密封送気、再循環および煙排出のために適合および構成された、新しく有用なマルチモード外科用ガス送達システム10が図1に図示されている。本発明のマルチモード外科用ガス送達システム10は、ガス密封アクセスポート20と連通するためのガス密封マニホールド110、およびガス密封アクセスポート20および弁密封アクセスポート30と連通するための送気マニホールド210を含む。
【0022】
ガス密封アクセスポート20は、同一出願人による米国特許第8,795,223号に開示されているタイプのものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。ガス密封アクセスポート20は、体腔内で安定した圧力(例えば、腹膜腔または腹腔内の安定した気腹)を維持しながら、体腔へのアクセスをガス密封器具に提供するように適合および構成される。対照的に、弁密封アクセスポート30は、例えば、ダックビル型シール、セプタムシールなどの機械的弁シールを介して体腔へのアクセスを提供するための従来的または標準的なトロカールである。特定の外科処置の要件に左右されるが、マルチモードガス送達システム10は、ガス密封アクセスポート20、弁密封アクセスポート30、または両方のアクセスポート20、30のいずれかと同時に利用することができる。
【0023】
ガス送達システム10は、ガス密封マニホールド110によってガス密封アクセスポート20を通して外科用ガスを再循環するためのコンプレッサまたは陽圧ポンプ40をさらに含む。コンプレッサ40は、好ましくは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許第10,702,306号に開示されるように、ガス送達システム10内のガス圧および流量を調整するように有利に制御され得るブラシレスDC(直流)モーターによって駆動される。あるいは、コンプレッサ40はACモーターによって駆動され得るが、DCモーターは比較的小さくより軽量であるため、製造の観点からより有利である。
【0024】
中間冷却器および/または凝縮器50は、ガス密封マニホールド110を通って再循環するガスを冷却またはその他の方法で調整するために、コンプレッサ40と動作可能に関連付けられる。UVC照射器52は、その中にコンプレッサ40によって形成される内部流路54を通って再循環するガスを滅菌するために、中間冷却器または凝縮器50と動作可能に関連付けられる。さらに、UVC照射器52は、ガスが中間冷却器/凝縮器50内に流れるガス導管または流路54の内面を滅菌することを意図している。
【0025】
UVC照射器は、好ましくは、少なくとも一つのLED光源、または約240~350nm、好ましくは約265nmの波長のUVC放射を生成するように適合および構成される蛍光光源を含む。このような波長でのこの紫外線光は、システムのガス導管内のウイルス、細菌および微生物を滅菌することができ、SARS-COV-2を含むコロナウイルスを低減することができる。
【0026】
好ましくは、コンプレッサ40、中間冷却器/凝縮器50、ガス密封マニホールド110および送気マニホールド210はすべて、共通ハウジング内に囲まれており、これには、例えば、参照により本明細書に組み込まれ、同一出願人による米国特許第9,199,047号に開示されているグラフィカルユーザーインターフェースおよび制御電子機器を含む。
【0027】
ガス送達システム10は、ガス密封マニホールド110および送気マニホールド210と連通する外科用ガス源60をさらに含む。ガス源60は、局所的な圧力容器または病院または医療施設に関連付けられた遠隔供給タンクであってもよい。好ましくは、外科用ガス源60からのガスは、高圧調節器65およびガスヒーター70を通って流れ、その後、ガス密封マニホールド110および送気マニホールド210に送達される。高圧調節器65およびガスヒーター70はまた、共通ハウジングのコンプレッサ40、中間冷却器50、ガス密封マニホールド110および送気マニホールド210で囲まれていることが好ましい。
【0028】
ガス送達システム10は、弁密封アクセスポート30への送気ガスの流れを制御するための送気マニホールド210と動作可能に関連付けられた、第一の出口ライン弁(OLV1)212と、ガス密封アクセスポート20への送気ガスの流れを制御するための送気マニホールド210と動作可能に関連付けられる第二の出口ライン弁(OLV2)214とをさらに含む。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、送気マニホールド210の第一の出口ライン弁212および第二の出口ライン弁214は、患者の体腔で発生する体積変動に合わせて、アクセスポート20、30への送気ガスの流出を動的に変化させるか、またはその他の方法で制御するように構成された比例弁である。第一の比例出口ライン弁212および第二の比例出口ライン弁214は、送気ガス流量の微細な制御をガス送達システム10に提供し、より低い圧力での安定した流量を達成し、圧力振動を低減し、空気ハンマーを除去する。
【0030】
第一の比例出口ライン弁212および第二の比例出口ライン弁214は、患者の近位にあり、流量摩擦損失が比較的低いため、ガス送達システム10は、腹膜圧を正確に測定することができる。さらに、閉ループ煙排出またはガス密封アクセスポート20のいずれかによって、ガス送達システム10全体にわたり一定のガス再循環があるため、この目的のために比例出口ライン弁を使用することが独特に可能である。
【0031】
比例弁は、最小流れ状態と最大流れ状態との間の無限可変ガス流の調整を可能にする。呼吸などの患者の体腔のいくらかの体積変化が予想され、かつ一貫していることを考えると、比例出口ライン弁を採用することによって、送気マニホールド210は、体腔へのガス流を動的に変化させて、予想される体積変化を逆転させ、体腔内の圧力に対する中立的効果をもたらすことができる。
【0032】
マニホールド210からの送気ガスの流出を制御するために比例弁を使用するさらなる利点は、電磁弁のそれと比較して応答時間が短縮されることである。電磁弁は、コイルにエネルギーを印加することによって動作し、これによりピストンを移動させる電磁力を生成する。しかし、コイルの通電にはある程度の時間がかかり、これは、命令された動作とピストンの物理的移動との間に遅延を生じさせる。対照的に、本発明のガス送達システム10で用いられる比例弁には、概して通電の遅延がなく、従って、電磁弁と比較して応答時間が改善された。
【0033】
送気マニホールド210は、第一の出口ライン弁212の下流にある第一の患者圧力センサ(PWS1)222と、第二の出口ライン弁214の下流にある第二の患者圧力センサ(PWS1)224と、をさらに含む。これらの二つの患者圧力センサは、それぞれ出口ライン弁212、214を制御するため、腹圧を測定するために使用される。二つの他の圧力センサは、出口ライン弁212、214の上流に位置し、DPS1およびDPS2として表示されている。これらの二つの圧力センサは、送気マニホールド210から患者の体腔への総ガス流量を推定するために使用される圧力差を測定するために、ベンチュリ内に配置される。
【0034】
一次比例弁(PRV)216はまた、送気マニホールド210と動作可能に関連付けられ、第一の出口ライン弁212および第二の出口ライン弁214の上流に位置し、第一の出口ライン弁212および第二の出口ライン弁214への送気ガスの流れを制御する。比例弁216は、送気マニホールド210(LPUの中央ノードとして)内の中間圧力を、システム動作モードに応じて、1~80mmHgの間の一定圧力で維持する機能を果たす。PRV 216の開放は、患者の呼吸、PRV 216の下流でのガス漏れ、または安全弁LSV 227もしくは換気弁VEV 228の開放、すなわち、中間圧力を降下させる任意の事象のいずれかによって、間接的に開始され得る。システム内で、LSV 227およびVEV 228は、以下でより詳細に説明される。
【0035】
ガス密封マニホールド110はまた、コンプレッサ40の出口側と動作可能に関連付けられた高圧ガス充填弁(GFV)112を含む。GFV 112は、外科用ガス60の供給源からガス密封マニホールド110内に送達されるガスを制御するように適合および構成される。好ましくは、ガス充填弁112は、ガス密封マニホールド110内に送達される外科用ガスを動的に制御することができる比例弁である。
【0036】
ガス密封マニホールド110はまた、例えば、ガス送達装置10が煙排出モードで動作しているときなど、特定の動作条件下で、ガス密封マニホールド110と送気マニホールド210との間のガス流を動的に制御するために、コンプレッサ40の出口側と動作可能に関連付けられた煙排出弁(SEV)114を含む。煙排出弁114は比例弁であることが好ましい。
【0037】
バイパス弁(SPV)116は、特定の動作条件下でガス密封マニホールド110内のガス流を制御するために、コンプレッサ40の出口側とコンプレッサ40の入口側との間に位置付けられる。好ましくは、バイパス弁116は、比例弁であり、比例弁は、ガス密封アクセスポート20内に生成されるガスシールを確立して制御するために可変的に開放される。さらに、バイパス弁116は、以下でさらに詳細に説明する、圧力センサ122、124からのフィードバックを使用してガスシールへのガス流量を制御する。
【0038】
ガス密封マニホールド110はまた、空気換気弁(AVV)118を含み、これは、特定の動作条件下でのシステム10への大気の混入を制御するために、コンプレッサ40の入口側に動作可能に関連付けられる。例えば、AVV 118は、大気をガス密封回路内に導入して、回路内の空気質量(すなわち、標準体積)を増加させることを可能にする。臨床使用条件の熱力学が、ガス回路内での標準体積の喪失を引き起こす可能性がある。換気弁118は、ポンプ圧力および流量がガス密封アクセスポート20内のガスシールを維持するのに十分なことを保証するために、ガス送達システム10がこの失われた体積を補うことを可能にする。換気弁118はまた、ガスシール回路の真空側圧力を減少させるために開放され得る。
【0039】
過圧逃し弁(ORV)120は、特定の動作条件下でシステム10から大気へのガス放出を制御するために、コンプレッサ40の出口側に動作可能に関連付けられる。好ましくは、過圧逃し弁120は、特に、ガス送達システム10への電力喪失などの緊急時に、ガスシール回路の陽圧側を減少させるために開かれる比例弁である。逃し弁120の通常開放されている構成は、その弁への電力喪失時の患者体腔への過圧リスクを減少させる。
【0040】
第一の圧力センサ(RLS)122は、コンプレッサ40の入口側に動作可能に関連付けられ、第二の圧力センサ(PLS)124は、コンプレッサ40の出口側に動作可能に関連付けられる。これらの圧力センサ122、124は、連続的にかつ正確に腔内圧を測定するために、患者の腹腔内に遮られることなく、かつ最小限に限定的な連通を有するように位置付けられる。これらの二つの圧力センサ122、124からの信号は、二つの出口ライン弁212および214の開口部を調節して患者の腔内圧を制御するために、ガス送達システム10のコントローラによって使用される。
【0041】
さらに、ガス密封マニホールド110は、コンプレッサ40の出口側と動作可能に関連付けられたガス品質センサ126を含む。ガス品質センサは、米国特許第9,199,047号に開示されているように、患者の体腔内のCO濃度に対応する再循環回路内の酸素レベルを監視する。
【0042】
第一の遮断弁(BV1)132は、ガス密封マニホールド110の出口流路と動作可能に関連付けられ、第二の遮断弁(BV2)134は、ガス密封マニホールド110への入口流路と動作可能に関連付けられる。遮断弁132、134は、米国特許第9,199,047号に開示されているように、外科処置前のセルフテスト中に用いられる。第一の遮断弁132および第二の遮断弁134は、機械作動式または空気作動式であり得ることが想定される。
【0043】
第一のフィルタ要素142は、コンプレッサ40からガス密封アクセスポート20に流れる加圧ガスをフィルタリングするために第一の遮断弁132の下流に位置付けられ、第二のフィルタ要素144は、ガス密封アクセスポート20からコンプレッサ40に戻るガスをフィルタリングするために、第二の遮断弁134の上流に位置する。好ましくは、フィルタ要素142、144は、例えば、米国特許第9,199,047号に開示されるように、共通フィルタカートリッジ内に収容される。
【0044】
第一の遮断弁132および第二の遮断弁134は、送気マニホールド210内に含まれる遮断弁パイロット(BVP)226と連通する。遮断弁パイロット226は、電磁弁であることが好ましい。BVP 226は、示されるようにコンプレッサ出口から、または外科用ガスもしくは空気などのガス源から供給され得ることが想定される。送気マニホールド110は、一次比例弁216の下流および出口ライン弁212、214の上流に位置する圧力センサ(PMS)225をさらに含む。二つの出口ライン弁は、アクセスポート23、30によって患者の体腔に送気ガスを導入するために開放される。このガスの導入には、体腔内の圧力を増加させる効果がある。さらに、出口ライン弁212、214は、体腔からガスを放出し、脱気および腔内圧の低下の影響を有するために、空気換気弁228と併せて開放されることができる。
【0045】
送気マニホールド210は、特定の動作条件下で、システム10から大気へのガスの放出を制御するための、一次比例弁216の下流にあり、第一の出口ライン弁212および第二の出口ライン弁214の上流にある、低圧安全弁(LSV)227をさらに含む。LSV 227は純粋に機械弁であり、停電、圧力コントローラの誤動作、またはLSVの上流に位置する弁が開位置にある場合、マニホールド210内またはLPU(低圧ユニット)内の最大中間圧力を制限するように機能する。
【0046】
さらに、換気排気弁(VEV)228は、特定の動作条件下でシステム10から大気へのガス放出を制御するために、一次比例弁216の下流および出口ライン弁212、214の上流に位置する。換気排気弁228は、好ましくは、患者の腔内圧を脱気するか、別の方法で低下させるために開放される比例弁である。さらに、VEV 228は、LPU内の中間圧力を減少させるために開放され得る。
【0047】
フィルタ要素242は、送気マニホールド210から弁密封アクセスポート30へ流れる送気ガスをフィルタリングするために、第一の出口ライン弁212の下流に位置する。別のフィルタ要素244は、送気マニホールド210からガス密封アクセスポート20へ流れる絶縁ガスをフィルタリングするために、第二の出口ライン弁224の下流に位置する。好ましくは、フィルタ要素244は、共通フィルタカートリッジ内にフィルタ要素142および144と共に収容され、一方でフィルタ要素242は別々に配置される。
【0048】
ここで図2を参照すると、本発明の好ましい実施形態に従って構成され、図1に図示するガス送達システム10での使用のために適合および構成される、概して参照番号310によって示される低圧送気マニホールド組立品が図示されている。送気マニホールド組立品310は、コンパクトかつすぐに使用可能な、交換可能なモジュラーユニットとして設計される。図1に示すように、高圧調節器65によってガス源60から送気ガス(すなわち2.2バールでのCO)を受けるための入口ポート320を有するマニホールド本体305を含む。
【0049】
マニホールド本体305はまた、送気ガスを第一のアクセスポート(すなわち、図1に示す、フィルタ要素242によって弁密封アクセスポート30)に送達するための第一の出口ポート330と、送気ガスを第二のアクセスポート(すなわち、図1に示す、フィルタ要素244によってガス密封アクセスポート30)に送達するための第二の出口ポート340とを含む。
【0050】
図2図6に示すように、マニホールド本体305はまた、特定の動作条件下で、煙排出弁(SEV)114によって、図1に示すガス密封マニホールド110から加圧ガスを受ける(すなわち、コンプレッサによる放出)ための入口ポート325を含む。入口ポート325の位置は、マニホールド本体305上の異なる位置、例えば、DPS1、DPS2の下流にある差し込まれたポート位置に移動することができる。
【0051】
マニホールド本体305は、換気弁(VEV)228(図2および図10を参照)と連通する、大気に通気する第一の排気/通気ポート335、および低圧安全弁(LSV)227(図10を参照)と連通し、大気に通気する第二の排気/通気ポート337をさらに含む。図10で最もよく分かるように、低圧安全弁227は、停電、圧力コントローラの誤動作、または別の弁が開位置に固着する場合にマニホールド組立品内の最大中間圧力を制限するために、安全排気/通気ポート337からのガス放出を制御するための機械弁である。機械的安全弁227は、中間圧力が手動で調整可能な設定圧力を超えると開く、ばね付勢型弁部材247を含む。これにより、制御の誤動作または電力喪失時に、患者の圧力が設定圧力を超えないように制限される。こうした場合、ガスは、安全弁227のサポートベース337内に形成された下側通気ポート337を通して放出される。
【0052】
マニホールド本体30はまた、遮断弁パイロット弁226と、送気マニホールド組立品310から離れた遮断弁132(BV1)、134(BV2)との間の連通を促進するポート337を含む。マニホールド本体305は、それぞれ患者圧力センサ222(PWS1)および224(PWS2)と連通するセンサポート422、424をさらに含む。さらに、マニホールド本体305は、圧力差センサDPS1およびDPS2と連通するセンサポート426、428を含む。別のセンサポート425は、一次比例弁216(PRV)の下流に位置する中間圧力センサ225(PMS)と連通するためにマニホールド本体305上に提供されている。
【0053】
図8図10で最もよく分かるように、マニホールド本体305は、送気マニホールド組立品310の様々な制御弁およびセンサ間の送気ガスと空気の流れを促進する、一連の相互接続された内部ドリル式通路を画定する。当業者であれば、マニホールド本体305内のこれらの通路の配置および位置は設計によって変わる場合があるため、本発明の範囲に対する制限として考慮されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0054】
ここで図7~10を参照すると、各電動式リニアアクチュエータ(312、314、315、316、318)は、それぞれの弁の正確な動的制御を実施するための、それぞれのラックアンドピニオン式機構を含む。各ラックアンドピニオン式機構は、それぞれの水平作動シャフト(352、354、355、356、358)およびそれぞれの対応する水平駆動ラックギア(362、364、365、366、368)を含む。さらに、各電動式リニアアクチュエータ(312、314、315、316、318)は、水平駆動ラックギア(362、364、365、366、368)によって駆動される、回転駆動ピニオンギア(372、374、375、376、378)、および駆動ピニオンギア(372、374、375、376、378)によって駆動され、ばね式垂直弁ステム(392、394、395、396、398)に動作可能に関連付けられる、垂直駆動ラックギア(382、384、385、386、388)を含む。各水平駆動ラックギア(362、364、365、366、368)は、第一の水平軸に沿って並進するように取り付けられ、各回転駆動ピニオンギア(372、374、375、376、378)は、第一の水平軸に垂直に延在する第二の水平軸を中心に回転するように取り付けられる。
【0055】
使用時に、ガス送達システム10のコントローラから指令を受信すると、水平作動シャフト(右または左)の直線的な移動は、対応するピニオンギア(時計回りまたは反時計回り)を回転させる、関連する水平ギアラック(右または左)の対応する直線移動を引き起こす。次に、そのピニオンギアは、関連する垂直駆動ラック(上下)を移動し、それによって、制御弁(212(OLV1)、214(OLV2)、226(BVP)、216(PRV)、228(VEV)の対応する弁ステム(392、394、395、396、398)の上向きまたは下向きの移動を制御する。
【0056】
五つの電動式リニアアクチュエータ(312、314、315、316および318)は、マニホールド本体305上に二つの横並びの群に配置される。より具体的には、OLV1弁212のリニアアクチュエータ312およびBVP弁226のリニアアクチュエータ315は、第一のハウジング432内に一緒に群化される。そして、OLV2弁214のリニアアクチュエータ314、PRV弁216のリニアアクチュエータ316、およびVEV弁228のリニアアクチュエータ318は、第二のハウジング442内で一緒に群化される。
【0057】
前部および後部の上部横断方向スペーサーロッド434および436は、第一のハウジング432に構造的剛性を提供し、一方で前部および後部の上部横断方向スペーサーロッド444および446は、第二のハウジング442に構造的剛性を提供する。当業者であれば、リニアアクチュエータ(312、314、315、316および318)のそれぞれに関連付けられたフラットリボンケーブルが、五つの電動式アクチュエータに電力および制御信号を伝達するガス送達システム10のコントローラに延在することを、図面から理解するであろう。
【0058】
ここで図11を参照すると、本発明の好ましい実施形態に従って構成され、図1に図示するガス送達システム10での使用のために適合および構成される、概して参照番号510によって示される別の低圧送気マニホールド組立品が図示されている。マニホールド組立品510は、ガス流を動的に制御するための同じ比例制御弁(すなわち、OLV1、OLV2、BVP、PRV、VEV)を含むという点で、図2に示すマニホールド組立品310と実質的に類似しているが、本発明のこの実施形態では、これらの比例制御弁は、上述の電動式リニアアクチュエータ(312、314、315、316、318)ではなく、それぞれの電動式回転アクチュエータ500を有する。
【0059】
より具体的には、図12図14に示すように、各電動式回転アクチュエータ500は、DC回転ステッパーモーター524によって駆動されるハウジング522内の垂直並進のためにサポートされる軸打込みねじ520を含む。各回転アクチュエータでは、軸打込みねじ520は、図1に示す五つの制御弁212、214、226、216、228のそれぞれのうちの一つに関連付けられたばね式垂直弁ステム526と動作可能に関連付けられる。使用時に、打込みねじ520の回転は、対応する弁ステム526の垂直移動を引き起こし、関連する制御弁を通って流れるガスの量を動的に調整する。
【0060】
別の方法として、図15~17に示されるように、電動式回転アクチュエータ600は、ガス流を動的に制御するためのガス密封マニホールド組立品510に採用されてもよく、その各々が、DC回転ステッパーモーター624によって駆動されるハウジング622内にサポートされる減速ギア組立品625を含む。減速ギア組立品は、ステッパーモーターによって生成されるトルクを低減する。各回転アクチュエータでは、減速ギア組立品625は、打込みねじ620およびそれに接続されたばね式垂直弁ステム626と動作可能に関連付けられる。使用時に、減速ギア組立品の作動は、対応する打込みねじ620および取り付けられた弁ステム626の垂直移動を引き起こし、関連する制御弁(すなわち、212、214、226、216、228)を通って流れるガスの量を動的に調整する。
【0061】
本開示のガス送達システムについて好ましい実施形態を参照して示され、記述されてきたが、当業者であれば、変更および/または修正が、本開示の範囲から逸脱することなく作成され得ることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図17