(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】エアナイフ、及びこれを備えたレジスト剥離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241105BHJP
G03F 7/42 20060101ALN20241105BHJP
【FI】
H01L21/30 572B
G03F7/42
(21)【出願番号】P 2023567384
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046261
(87)【国際公開番号】W WO2023112200
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 和基
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-167612(JP,A)
【文献】特開2000-100776(JP,A)
【文献】特開2012-222281(JP,A)
【文献】特開2005-270841(JP,A)
【文献】特開2005-013837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0266698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアナイフ本体と、
前記エアナイフ本体にスリット状に形成され、送り込まれた気体を吹き出す吹出口と、
前記エアナイフ本体の内部に形成され、前記送り込まれた気体を前記吹出口に導く風路と、
少なくとも一部が前記風路の内部に配され、頭部と、前記頭部から前記吹出口に向かって延出する脚部と、前記頭部に設けられる持手部と、を有する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、前記吹出口の長手方向に沿って移動可能に設けられ、
前記エアナイフ本体に開口部が形成され、
前記持手部は、前記風路から前記開口部を通り前記エアナイフ本体の外部に延出していることを特徴とするエアナイフ。
【請求項2】
エアナイフ本体と、
前記エアナイフ本体にスリット状に形成され、送り込まれた気体を吹き出す吹出口と、
前記エアナイフ本体の内部に形成され、前記送り込まれた気体を前記吹出口に導く風路と、
少なくとも一部が前記風路の内部に配され、頭部と、前記頭部から前記吹出口に向かって延出する脚部と、前記頭部に設けられる持手部と、を有する清掃部と、を備え、
前記清掃部は、前記吹出口の長手方向に沿って移動可能に設けられ、
前記エアナイフ本体には、前記清掃部の少なくとも前記頭部および前記脚部を収納する収納部が設けられ、
前記収納部は、前記吹出口の長手方向における前記風路の外側に位置することを特徴とするエアナイフ。
【請求項3】
前記頭部は、前記吹出口の短手方向において、前記吹出口の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のエアナイフ。
【請求項4】
前記頭部は取付部を有し、
前記持手部は、前記取付部に対して取り外し可能な被取付部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエアナイフ。
【請求項5】
前記開口部を塞ぐカバー部を更に備えることを特徴とする請求項
1に記載のエアナイフ。
【請求項6】
前記エアナイフ本体は、前記開口部の周囲に設けられる固定部を有し、
前記カバー部は、前記固定部に固定されることを特徴とする請求項5に記載のエアナイフ。
【請求項7】
前記脚部は、板状の部材であり、前記頭部と接続する根元部分から前記吹出口側の先端部分に向かって、前記吹出口の長手方向における幅が漸次狭くなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のエアナイフ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のエアナイフと、
基板上にレジストを剥離する剥離液を塗布する塗布装置と、
前記基板を搬送する搬送装置と、を含むことを特徴とするレジスト剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアナイフ、及びこれを備えたレジスト剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成されたレジストを剥離する剥離装置が知られている。当該剥離装置は、基板上に形成されたレジストを剥離するために基板に剥離液を塗布する塗布装置と、基板に洗浄液を噴きかける高圧シャワーと、基板上にエアを吹き出すエアナイフと、を備えている。一般に、レジスト剥離後の基板上に剥離液が付着していると、基板上に形成されるパターンに欠陥が生じてしまう。そのため、塗布装置において剥離液を塗布した後、高圧シャワーにより洗浄液を基板上に噴きかけて、基板を洗浄する。洗浄後の基板は、エアナイフから吹き出されるエアにより液切りされる。
【0003】
しかし、エアナイフによる液切りする処理を行った後であっても、基板上にミスト状の液体が付着してしまうことがある。その原因の一つとして、エアナイフの吹出口に異物が付着していることが考えられる。エアナイフの吹出口に付着した異物は、例えば(i)吹出口から吹き出されるエアに乱れを生じさせることや、(ii)吹出口から吹き出されるエアと一緒に吹出口に付着した異物を吹き出してしまうこと等に対する原因となる可能性がある。その結果、吹出口から吹き出されるエアに異常が生じ、基板上にミスト状の液体が付着してしまうと考えられる。従って、エアナイフの吹出口に付着した異物を除去する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、スリット状の開口部を清掃する清掃部材が開示されている。当該清掃部材は、ノズルの外部からノズルの内部に向かってノズルの開口部に挿入される。当該清掃部材をノズルの開口部の長手方向に沿って移動させることにより、開口部に付着した異物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように清掃部材をノズルの外部からノズルの内部に挿入する場合、ノズルの開口部に付着した異物を清掃部材によりノズルの内部に送り込んでしまう可能性がある。それにより、ノズルの開口部に付着した異物が、ノズルの外部へ排出されず、ノズル内部に残存する可能性がある。
【0007】
そのため、特許文献1の清掃部材を用いてエアナイフの吹出口を清掃したとしても、吹出口から吹き出されるエアに生じる異常が解消されない可能性がある。そのため、基板上にミスト状の液体が付着してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、吹出口から吹き出されるエアに起因して基板上に異物が付着するのを防ぐことができるエアナイフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエアナイフは、エアナイフ本体と、前記エアナイフ本体にスリット状に形成され、送り込まれた気体を吹き出す吹出口と、前記エアナイフ本体の内部に形成され、前記送り込まれた気体を前記吹出口に導く風路と、前記風路の内部に配され、頭部と、前記頭部から前記吹出口に向かって延出する脚部と、前記頭部に設けられる持手部と、を有する清掃部と、を備え、前記清掃部は、前記吹出口の長手方向に沿って移動可能に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吹出口から吹き出されるエアに起因して基板上に異物が付着するのを防ぐことができるエアナイフを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係るレジスト剥離装置の概略図である。
【
図2】
図1に示すレジスト剥離装置に含まれるエアナイフの清掃時の態様を模式的に示す図である。
【
図3】
図2に示すエアナイフの内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図1に示すレジスト剥離装置に含まれるエアナイフの通常時の態様を模式的に示す図である。
【
図5】
図4に示すエアナイフの内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図6】実施形態1に係るエアナイフに設けられる清掃部を模式的に示した正面図である。
【
図7】実施形態1に係るエアナイフに設けられる清掃部を模式的に示した側面図である。
【
図8】実施形態1に係る清掃部の脚部の第1変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~7を用いて詳細に説明する。
【0013】
(レジスト剥離装置)
図1を用いて、レジスト剥離装置10について説明する。
図1は、レジスト剥離装置10の概略図である。レジスト剥離装置10は、レジスト剥離槽20と、リンス槽30と、搬送装置40とを含む。なお、レジスト剥離装置10は、エッチング処理槽、洗浄処理槽、乾燥処理槽などの他の処理槽を含んでいてもよいし、レジスト剥離槽20のみであってもよい。
【0014】
レジスト剥離槽20は、基板100上に形成されたレジストを剥離する処理を行う槽である。レジスト剥離槽20は、塗布装置21と、洗浄装置22と、エアナイフ50A、50Bとを含む。レジスト剥離槽20の入口201には、エアナイフ50Aが設けられている。エアナイフ50Aは、基板100に対して垂直に風(気体)を吹き出す。
【0015】
エアナイフ50Aの後流には、塗布装置21が設けられている。塗布装置21は、基板100に形成されたレジストを剥離する剥離液を基板100に塗布する。塗布装置21は、いずれも図示していないが、剥離液を貯留する液体貯留部、剥離液を吐出するシャワーノズル、及び剥離液を液体貯留部からシャワーノズルへ供給する液体供給部を備える。塗布装置21は、液体貯留部に貯留された剥離液をシャワーノズルから噴出することにより、基板に剥離液を塗布する。なお、塗布装置21は、剥離液に基板をディップすることにより基板100に剥離液を塗布する装置であってもよい。
【0016】
塗布装置21の後流には、洗浄装置22が設けられている。洗浄装置22は、剥離液が塗布された基板100を洗浄するための洗浄液を基板100に噴出する。洗浄装置22は、液体貯留部から供給された洗浄液を高圧シャワーノズルから噴出することにより、基板100を洗浄する。洗浄装置22よりも後流であって、レジスト剥離槽20の出口202にはエアナイフ50Bが設けられている。
図1の矢印で示すように、エアナイフ50Bは、風向きをレジスト剥離槽20の内側に向けつつ基板100に風を吹き出す。エアナイフ50Bにより、基板100上に付着する液体が液切りされる。なお、エアナイフ50Bは、基板100に対して垂直に風を吹き出してもよい。
【0017】
リンス槽30は、レジスト剥離処理が施された基板100をリンスする処理を行う槽である。リンス槽30は、塗布装置31と、洗浄装置32と、アクアナイフ33と、エアナイフ50Cとを含む。リンス槽30の入口301には、エアナイフ50Cが設けられている。
図1の矢印にて示すように、エアナイフ50Cは、風向きをリンス槽30の内側に向けつつ基板100に風を吹き出す。エアナイフ50Cは、基板100を乾燥させると共に、リンス液がレジスト剥離槽20に侵入するのを防止する。エアナイフ50Cよりも後流には、アクアナイフ33が設けられている。アクアナイフ33は、洗浄液を基板100に噴出することにより、基板100の表面に付着した異物を除去する。アクアナイフ33は、
図1の矢印で示すように、リンス槽30の内部側に向けて洗浄液を噴出する。
【0018】
アクアナイフ33よりも後流には、塗布装置31が設けられている。塗布装置31は、レジストが剥離された基板100をリンスするリンス液を基板100に塗布する。塗布装置31は、液体貯留部から供給されたリンス液をシャワーノズルから噴出する。リンス液をシャワーノズルから噴出することにより、塗布装置31は基板100にリンス液を塗布する。塗布装置31よりも後流には、洗浄装置32が設けられている。洗浄装置32は、リンス液が塗布された基板100を洗浄するための洗浄液を基板100に噴出する。洗浄装置32は、液体貯留部から供給された洗浄液を高圧シャワーから基板に噴出することにより、基板を洗浄する。
【0019】
搬送装置40は、レジスト剥離槽20及びリンス槽30において、基板100を搬送する装置である。具体的には、搬送装置40は、レジスト剥離槽20の入口201からレジスト剥離槽20の出口202へと、及びリンス槽30の入口301からリンス槽30の出口302へと、基板100を搬送する。搬送装置40は、複数のローラにより基板100を搬送する。なお、搬送装置40は、ベルトにより基板100を搬送するものであってもよい。
【0020】
(エアナイフ)
図2~
図5を用いて、エアナイフ50Bの構成について説明する。
図2は、
図1に示すレジスト剥離装置10に含まれるエアナイフ50Bの清掃時の態様を模式的に示す図である。
図3は、
図2に示すエアナイフ50Bの内部構成を模式的に示す断面図である。
図4は、
図1に示すレジスト剥離装置10に含まれるエアナイフ50Bの通常時の態様を模式的に示す図である。
図5は、
図4に示すエアナイフ50Bの内部構成を模式的に示す断面図である。エアナイフ50Bが備える各構成要素の形状および位置関係などを説明するにあたって、便宜上、
図2などに示すようなX(X1-X2)方向、Y(Y1-Y2)方向、Z(Z1-Z2)方向という三方向の座標軸を規定する。なお、エアナイフ50A及び50Cについては、エアナイフ50Bと同様の構成を備えていてもよい。
【0021】
本願において、風路53(第1風路531、第2風路532)の長手方向とは、風路53に送り込まれた気体が吹出口52に向かう気体の流れ方向と直交する方向における長手方向を意味し、風路53(第1風路531、第2風路532)の短手方向とは、風路53に送り込まれた気体が吹出口52に向かう気体の流れ方向と直交する方向における短手方向を意味する。本実施形態において、エアナイフ50Bおよび吹出口52の長手方向は風路53の長手方向と同一であり、エアナイフ50Bおよび吹出口52の長手方向は風路53の長手方向と同一である。本実施形態において、エアナイフ50B、風路53(第1風路531、第2風路532)、および吹出口52の長手方向はX方向に相当し、エアナイフ50B、風路53(第1風路531、第2風路532)、および吹出口52の短手方向はZ方向に相当する。また、本願において、清掃部の脚部の幅は上記風路53の長手方向における長さを意味し、清掃部の脚部の厚みは上記風路53の短手方向における長さを意味する。
【0022】
図2及び
図3に示すように、エアナイフ50Bは、エアナイフ本体51と、風路53と、開口部54と、収納部55とを有する。エアナイフ本体51はSUS(ステンレス鋼)等の金属製である。なお、エアナイフ本体は、金属以外の剥離液に対して耐性のある材料により形成されてもよい。なお、エアナイフ本体51の形状は特に限定されず、矩形、三角形、多角形、又は円形のような形状であってもよい。また、エアナイフ本体51は、L字型のような屈曲した形状、湾曲した形状等を有するものであってもよい。また、エアナイフ本体51は、吹き出されるエアの向きを変える風向板等を有していてもよい。
【0023】
図2及び
図3に示すように、風路53はエアナイフ本体51の内部に形成される。
図2において、風路53が形成されている部分を破線で示す。風路53は、図示しない送風部から送り込まれる風(気体)をエアナイフ50Bの吹出口52から吹き出すまでの送風経路を構成する。本実施形態において、風路53に送り込まれた風が吹出口52に向かう風の流れ方向はY2方向である。風路53は、第1風路531と、第2風路532とを有する。
【0024】
第1風路531は、第2風路532よりも送風経路の上流に位置する。第1風路531は、清掃部70の頭部71が移動可能な風路である。第2風路532は第1風路531と接続する風路である。第2風路532は、エアナイフ本体51にスリット状に形成された風路である。第2風路532は清掃部70の脚部72が移動可能な風路である。第2風路532の終端がエアナイフ50Bの吹出口52を形成する。第2風路532の短手方向における幅S2は、第1風路の短手方向における幅S1よりも狭くなるように形成されている。なお、第2風路532の幅S2は、第1風路の幅S1と同じであってもよい。
【0025】
図2及び
図3に示すように、開口部54はエアナイフ本体51に形成されている。開口部54は、第1風路531とエアナイフ本体51の外部空間とを繋ぐ開口である。開口部54は、清掃部70の持手部73が移動可能な開口である。
図2に示すように、開口部54は、エアナイフ本体51の長手方向において、開口部54の両端の間に風路53が位置するように形成されている。即ち、エアナイフ本体51の長手方向において、開口部54の両端の間に第2風路532が位置する。なお、少なくとも第2風路532がエアナイフ本体51の長手方向における開口部54の両端の間に位置していればよい。また、
図3に示すように、開口部54の周囲にはカバー部60を固定するための固定部56が設けられている。図示した例において、固定部56はネジ穴である。なお、図面の見やすさを考慮し、
図2における固定部56についての記載は省略している。
【0026】
図2に示すように、エアナイフ本体51には、清掃部70の不使用時に清掃部70を収納するための収納部55が設けられている。収納部55には、清掃部70の頭部71および脚部72が収納される。なお、収納部55は、清掃部70の持手部73を更に収納するものであってもよい。収納部55は、風路53の外側に設けられている。収納部55は、吹出口52の長手方向において、風路53の片側のみに設けてもよいし、風路53の両側に設けてもよい。また、エアナイフ本体51に収納部55を設けず、開口部54から、又は開口部54とは別の開口から清掃部70をエアナイフ本体51から取り出すようにしてもよい。
【0027】
(カバー部)
図4及び
図5に示すように、カバー部60は、エアナイフ本体51の開口部54を塞ぐ部材である。カバー部60は、ゴム製又は樹脂製の部材である。
図5に示すように、カバー部60は、カバー本体61と、突部62と、貫通孔63とを有する。カバー本体61は、開口部54の開口の面積よりも大きく形成されている。カバー本体61は、エアナイフ本体51の開口部54を覆うようにして、開口部54を塞いでいる。カバー本体61の外部に露出する面は、図示していないが、剥離液に晒されないようにSUS等の金属、又は金属以外の剥離液に対して耐性のある材料により覆われている。なお、カバー本体61を開口部54の開口の面積と同程度の大きさ、及び形状としてもよい。この場合、カバー本体61が、開口部54に確実に嵌めこまれることにより、開口部54を塞ぐようにしてもよい。
【0028】
カバー本体61には、開口部54に挿入可能な突部62が設けられている。突部62は、(i)開口部54の面積と同程度の大きさ及び形状、又は(ii)開口部54の開口の面積よりも小さく、開口部54に挿入可能な形状、となるように形成される。
図5に示すように、カバー部60がエアナイフ本体51に固定されたとき、突部62の先端はエアナイフ本体51の第1風路531まで延出する。カバー本体61に突部62を設けることにより、カバー部60をエアナイフ本体51に対して位置決めすることができる。また、開口部54の空間を隙間なく埋めるように突部62を形成することにより、エアナイフ本体51の第1風路531内において乱流が発生するのを減少させることができる。
【0029】
図5に示すように、カバー本体61には、エアナイフ本体51の固定部56と対応する位置に貫通孔63が形成されている。貫通孔63には、カバー部60をエアナイフ本体51に固定するためのネジ65が挿通される。貫通孔63に挿通されたネジ65がエアナイフ本体51の固定部56に螺合することにより、カバー部60がエアナイフ本体51に固定される。なお、カバー部60の突部62とエアナイフ本体51の開口部54との間に〇リングを設けてもよい。〇リングにより、開口部54をシールするようにしてもよい。
【0030】
なお、カバー部60はネジ構造によりエアナイフ本体51に固定されているが、これに限られない。例えば、エアナイフ本体51には固定部56としての係合孔が形成され、カバー部60には当該係合孔に係合する係合部が設けられる係合構造としてもよい。当該係合構造では、カバー部60の係合部は、当該係合部の先端に突起部が設けられる。カバー部60の係合部をエアナイフ本体51の係合孔に嵌めこむことにより、当該突起部が当該係合孔と係合する。これにより、カバー部60がエアナイフ本体51に固定される。なお、カバー部60に係合孔を設け、エアナイフ本体51に突起部が設けられた係合部を設けられる構成としてもよい。
【0031】
(清掃部)
図2、3、6、7を用いて、エアナイフ50Bに設けられる清掃部70について説明する。
図6は、エアナイフ50Bに設けられる清掃部70を模式的に示した正面図である。
図6は、
図3に示す清掃部70をZ1方向から見た図に相当する。
図7は、エアナイフ50Bに設けられる清掃部70を模式的に示した側面図である。
図7は、
図2に示す清掃部70をX2方向から見た図に相当する。
【0032】
図3に示すように、清掃部70は、エアナイフ本体51の内部に設けられている。清掃部70は、風路53の長手方向に沿って移動可能である。
図6及び
図7に示すように、清掃部70は、頭部71と、脚部72と、持手部73と、を有する。
【0033】
清掃部70の頭部71は、エアナイフ50Bの第1風路531内に位置する。頭部71は第1風路内を移動可能である。頭部71は、SUS(ステンレス鋼)等の金属、又は金属以外の剥離液に対して耐性のある材料により形成される部材である。図示した例においては、頭部71は円柱状の形状である。なお、頭部71の形状はこれに限られず、例えば直方体状、多角柱体、円錐、多角錐等のような形状とすることができる。頭部71の幅H1は、第2風路532の幅S2よりも大きくなるように形成されている。なお、頭部71の幅H1は、第2風路532の幅S2と同程度となるように設けてもよい。頭部71には、持手部73を取り付けるための取付部75が形成されている。本実施形態において、取付部75はネジ穴である。
【0034】
清掃部70の頭部71には棒状の持手部73が設けられている。持手部73は、SUS等の金属製、又は樹脂製等の部材である。持手部73は、頭部71に対して取り外し可能である。持手部73の一方端には、持手部73を頭部71の取付部に取り付けるための被取付部74が形成されている。本実施形態において、被取付部74はネジ山である。持手部73の他方端は、作業者が保持しやすいように球体の形状を成している。持手部73の他方端の形状は、球体に限られず、作業者が保持しやすい形状とすればよい。なお、持手部73は頭部71と一体構造として形成してもよい。持手部73は、開口部54を介して、エアナイフ本体51の外部から清掃部70の頭部71に取り付けられる。
図3に示すように、清掃部70の頭部71に持手部73を取り付けた状態では、持手部73の他方端がエアナイフ本体51の外部まで延出している。
【0035】
なお、持手部73はネジ構造により頭部71に取り付けられているが、これに限られない。例えば、頭部71に形成された係合孔に持手部73の係合部を係合させる係合構造、頭部71に持手部73をクリップするクリップ構造等その他の方法により、頭部71に持手部73を取り付けてもよい。
【0036】
清掃部70の頭部71には、脚部72が設けられている。脚部72は、板状の部材である。脚部72は、SUS等の金属、又は金属以外の剥離液に対して耐性のある材料により形成される部材である。なお、脚部72は、これに限られず、複数の繊維状の部材が設けられたブラシ状、綿状のものであってもよい。
【0037】
図3に示すように、脚部72は頭部71から吹出口52に向かって延出している。脚部72は、第2風路532内に位置し、吹出口52の長手方向に沿って第2風路532内を移動可能である。脚部72は、第2風路532の長手方向に延出する少なくとも1つの壁と当接可能である。脚部72の先端は、第2風路532の吹出口52と実質的に同じ位置に位置する。なお、脚部72の先端は、エアナイフ本体51の外部に突出していてもよいし、吹出口52よりもエアナイフ本体の内側に位置していてもよい。
【0038】
図6に示すように、X方向において、脚部72の先端の幅W2は、頭部71と接続する脚部72の根元部分の幅W1よりも狭くなるように形成されている。X方向における脚部72の幅は、清掃部70の頭部71と接続する根元部分からエアナイフ50Bの吹出口52側の先端部分に向かうにつれ漸次狭くなっている。また、脚部72の幅は、根元部分から先端部分にかけて実質的に一定の幅としてもよい。
【0039】
図7に示すように、第2風路532の方向において、脚部72の先端の厚さW4は、清掃部70の頭部71と接続する根元部分の脚部72の厚さW3よりも薄くなるように形成されている。脚部72の厚さは、根元部分から先端部分に向かうにつれ漸次薄くなっている。脚部72の先端部分の厚さを薄くすることにより、脚部により掻き出された異物を脚部の形状に沿って外部へ排出するためのスペースを形成することができる。また、脚部72の根元部分の厚さW3は、第2風路532の幅S2と同程度の大きさとなるように形成される。このように、脚部72の根元部分の幅W3を厚くすることにより、異物が第1風路531側に侵入するのを防ぐことができる。なお、脚部72は、脚部72の根元部分の厚さW3と、脚部72の先端の厚さW4とを実質的に同じ厚さとなるように形成してもよい。
【0040】
(エアナイフの清掃作業について)
エアナイフ50Bの風路53を清掃する場合、作業者はエアナイフ本体51からカバー部60を取り外す。その後、作業者は収納部55に収納された清掃部70の頭部71に持手部73を取り付ける。収納部55が設けられていない場合は、開口部54又は開口部54とは別の開口から清掃部70を挿入し、所定の位置に配置させる。作業者は、エアナイフ本体51の外部に位置する持手部73を持ち、開口部54の長手方向に沿って持手部73を移動させる。
【0041】
持手部73を開口部54に沿って移動させることにより、清掃部70の頭部71が第1風路531内を第1風路531の長手方向に沿って移動する。頭部71が第1風路531の長手方向に沿って移動すると、清掃部70の脚部72が第2風路532の長手方向に沿って移動する。即ち、清掃部70は吹出口52の長手方向に沿って移動する。この際、脚部72は、長手方向に延出する第2風路532の少なくとも1つの壁と摺接しながら移動する。これにより、脚部72は第2風路532に付着した異物をエアナイフ本体51の外部へ排出する。
【0042】
風路53を清掃した後は、清掃部70を収納部55に収納する。収納部55が設けられていない場合は、開口部54又は開口部54とは別の開口から清掃部70を取り出す。収納部55に清掃部70を収納した後、頭部71から持手部73を取り外し、エアナイフ本体51にカバー部60を取り付けて開口部54を塞ぐ。
【0043】
〔変形例1〕
図8を用いて、実施形態1に係る清掃部70の脚部72の第1変形例について説明する。
図8は、清掃部70の脚部72の第1変形例を模式的に示す図である。なお、清掃部70の脚部721以外の構成については、上述の実施形態において説明した構成と同じであるため、説明を省略する。
図8に示す矢印は、脚部721がエアナイフ本体51の第2風路532内を移動するときの移動方向を示している。
【0044】
図8に示すように、清掃部70の脚部721は、第2風路532の長手方向において、厚さが異なるように形成されている。第2風路532の長手方向における一方側の脚部721の厚さW5よりも、第2風路532の長手方向における他方側の脚部721の厚さW6の方が薄くなるように構成されている。脚部721の厚さは、第2風路532の長手方向の一方側に向かうにつれ漸次幅が狭くなるように形成されている。また、脚部721の頭部71と接続する根元側の厚さW7は、脚部721の先端側の厚さW8よりも厚くなっている。即ち、脚部721の厚さは、根元部分から先端部分に向かうにつれ漸次薄くなっている。
【0045】
このように、第2風路532の長手方向において、脚部721の厚さを漸次薄くすることにより、長手方向に延出する第2風路532の少なくとも1つの壁と当接する面積を少なくすることができる。これにより、清掃部70をスムーズにエアナイフ本体51の風路53内を移動させることができる。
【0046】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るエアナイフ50Bは、エアナイフ本体51と、エアナイフ本体51にスリット状に形成され、送り込まれた気体を吹き出す吹出口52と、エアナイフ本体51の内部に形成され、前記送り込まれた気体を吹出口52に導く風路53と、風路53の内部に配され、頭部71と、頭部71から吹出口52に向かって延出する脚部72と、頭部71に設けられる持手部73と、を有する清掃部70と、を備え、清掃部70は、吹出口52の長手方向に沿って移動可能に設けられることを特徴とする。
【0047】
上記の構成によれば、清掃部をエアナイフ本体の外部からエアナイフ本体の内部へ挿入させる必要がない。そのため、吹出口や風路に付着した異物を風路の内部に送り込むことなくエアナイフの外部へ排出することができる。これにより、吹出口から吹き出されるエアに起因して基板上に異物が付着するのを防ぐことができるエアナイフを提供することができる。
【0048】
本発明の態様2に係るエアナイフ50Bは、上記態様1において、頭部71は、吹出口52の短手方向において、吹出口52の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0049】
上記の構成によれば、清掃部は、吹出口の短手方向において、エアナイフの吹出口よりも幅の広い頭部を有することとなる。そのため、清掃部の頭部は吹出口を通過することができない。これにより、清掃部が吹出口からエアナイフ本体の外部へ落下することを防ぐことができる。
【0050】
本発明の態様3に係るエアナイフ50Bは、上記態様1または2において、エアナイフ本体51に開口部54が形成され、持手部73は、風路53(第1風路531)から開口部54を通りエアナイフ本体51の外部に延出していることを特徴とする。
【0051】
上記の構成によれば、作業者は、エアナイフ本体の外部に延出する持手部を操作することにより清掃部を移動させる。そのため、作業者はエアナイフ本体に手を入れて清掃部を移動させる必要がない。これにより、作業者は容易に清掃部を移動させることができる。
【0052】
本発明の態様4に係るエアナイフ50Bは、上記態様3において、頭部71は取付部75を有し、持手部73は、取付部75に対して取り外し可能な被取付部74を有することを特徴とする。
【0053】
上記の構成によれば、清掃部の持手部は、清掃部の頭部に対して取り外し可能となる。そのため、清掃部を不使用の際、清掃部の頭部から取り外した状態とすることができる。これにより、清掃部の不使用時におけるエアナイフ外部の周辺のスペースを有効に活用することができる。
【0054】
本発明の態様5に係るエアナイフ50Bは、上記態様3または4において、開口部54を塞ぐカバー部60を更に備えることを特徴とする。上記の構成によれば、エアナイフは、エアナイフの開口部を塞ぐカバーを備えることとなる。そのため、エアナイフの開口部からエアナイフの内部にミスト状の液体や異物等が浸入することを防ぐことができる。これにより、吹出口から吹き出されるエアに起因して基板上に異物が付着するのを防ぐことができるエアナイフを提供することができる。
【0055】
本発明の態様6に係るエアナイフ50Bは、上記態様5において、エアナイフ本体51は、開口部54の周囲に設けられる固定部56を有し、カバー部60は、固定部56に固定されることを特徴とする。
【0056】
上記構成によれば、エアナイフ本体51に設けられた固定部により、カバー部をエアナイフ本体に固定することができる。これにより、カバー部がエアナイフ本体から脱落するのを防ぐことができる。
【0057】
本発明の態様7に係るエアナイフ50Bは、上記態様1から6のいずれかにおいて、脚部72は、板状の部材であり、頭部71と接続する根元部分から吹出口52側の先端部分に向かって、吹出口52の長手方向における幅が漸次狭くなることを特徴とする。
【0058】
上記の構成によれば、清掃部の脚部は、清掃部の頭部と接続する根元部分が太く、エアナイフの吹出口側の先端部分に向かって漸次細くなることとなる。そのため、脚部によって吹出口から掻き出された異物を脚部の形状に沿って吹出口方向に移動させることができる。その結果、異物をエアナイフの外部へ排出することができる。これにより、吹出口から吹き出されるエアに起因して基板上に異物が付着するのを防ぐことができるエアナイフを提供することができる。
【0059】
本発明の態様8に係るエアナイフ50Bは、上記態様1から7のいずれかにおいて、エアナイフ本体51には、清掃部70を収納する収納部55が設けられ、収納部55は、吹出口52の長手方向における風路53の外側に位置することを特徴とする。
【0060】
上記の構成によれば、清掃部の不使用時においては、エアナイフの吹出口よりも外側に設けられた収納部に清掃部を収納する。そのため、基板上にエアを吹き出す際、清掃部が原因となって生じる吹き出されるエアの乱れが生じることがない。これにより、吹出口から吹き出されるエアの乱れを生じさせにくいエアナイフを提供することができる。
【0061】
本発明の態様9に係るレジスト剥離装置10は、上記態様の1から8のいずれかに記載のエアナイフ50Bと、基板100上にレジストを剥離する剥離液を塗布する塗布装置21と、基板100を搬送する搬送装置40と、を含むことを特徴とする。
【0062】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10 レジスト剥離装置
20 レジスト剥離槽
21、31 塗布装置
22、32 洗浄装置
30 リンス槽
33 アクアナイフ
40 搬送装置
50A、50B、50C エアナイフ
51 エアナイフ本体
53 風路
531 第1風路
532 第2風路
54 開口部
55 収納部
56 固定部
60 カバー部
61 カバー本体
62 突部
63 貫通孔
65 ネジ
70 清掃部
71 頭部
72、721 脚部
73 持手部
74 被取付部
75 取付部
100 基板