(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】管外周長測定方法とその装置
(51)【国際特許分類】
B21C 51/00 20060101AFI20241105BHJP
B21D 5/12 20060101ALI20241105BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20241105BHJP
G01B 5/02 20060101ALI20241105BHJP
G01B 21/02 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B21C51/00 J
B21D5/12 A
B23K31/00 K
G01B5/02 101
G01B21/02 C
(21)【出願番号】P 2024043170
(22)【出願日】2024-03-19
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150419
【氏名又は名称】株式会社中田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123467
【氏名又は名称】柳舘 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】加集 優也
(72)【発明者】
【氏名】中野 智康
(72)【発明者】
【氏名】王 飛舟
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-056569(JP,A)
【文献】特開平04-131704(JP,A)
【文献】実開昭60-093907(JP,U)
【文献】中国実用新案第202177348(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 51/00
G01B 21/02
G01B 5/02
B21D 5/00-9/18
B23K 13/00
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製管中の素管及び/又は溶接後の管(素管/管)の外周長を、素管/管への一周以上のメジャーの巻き付け状態を外側よりの観測視野にて計測する外周長測定方法と装置であり、
素管/管を内包してその外周を旋回可能に保持される旋回リングとその保持/旋回駆動機構を有し、
上記旋回リングに、メジャーを巻き付けて内蔵するメジャーボビンを回転自在に載置し、そのメジャーの始点を旋回リングの外周外に固定して、旋回リングの回転に伴い、素管/管の外周面にメジャーを巻き付け/巻き戻し可能にするメジャー巻回機能を前記保持/旋回駆動機構が有し、
メジャーを素管/管の一周以上の巻き付け時に、前記旋回リング自体又はメジャーボビン自体が、素管/管の管軸方向に少なくともメジャーのテープ幅寸法分移動する管軸方向移動手段を有し、
巻き付けたメジャーが観測視野内で
重ならないことを特徴とする外周長測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
旋回リング自体の管軸方向移動出段は、旋回リングの外周面と旋回リングの保持機構とのねじ構造の直動機械機構であることを特徴とする外周長測定方法。
【請求項3】
請求項1において、
メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの軸支機構に直動機械機構を用いることを特徴とする外周長測定方法。
【請求項4】
請求項1において、
メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの旋回リングへの載置機構に直動機械機構を用いることを特徴とする外周長測定方法。
【請求項5】
請求項1において、
観測視野がデジタルカメラによるものであることを特徴とする外周長測定方法。
【請求項6】
製管中の素管及び/又は溶接後の管(素管/管)の外周長を、素管/管への一周以上のメジャーの巻き付け状態を外側よりの観測視野にて計測する外周長測定装置であり、
素管/管を内包してその外周を旋回可能に保持される旋回リングとその保持/旋回駆動機構を有し、
上記旋回リングに、メジャーを巻き付けて内蔵するメジャーボビンを回転自在に載置し、そのメジャーの始点を旋回リングの外周外に固定して、旋回リングの回転に伴い、素管/管の外周面にメジャーを巻き付け/巻き戻し可能にするメジャー巻回機能を前記保持/旋回駆動機構が有し、
メジャーを素管/管の一周以上の巻き付け時に、前記旋回リング自体又はメジャーボビン自体が、素管/管の管軸方向に少なくともメジャーのテープ幅寸法分移動する管軸方向移動手段を有し、
巻き付けたメジャーが観測視野内で
重ならないことを特徴とする外周長測定装置。
【請求項7】
請求項6において、
旋回リング自体の管軸方向移動出段は、旋回リングの外周面と旋回リングの保持機構とのねじ構造の直動機械機構であることを特徴とする外周長測定装置。
【請求項8】
請求項6において、
メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの軸支機構に直動機械機構を用いることを特徴とする外周長測定装置。
【請求項9】
請求項6において、
メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの旋回リングへの載置機構に直動機械機構を用いることを特徴とする外周長測定装置。
【請求項10】
請求項6において、
観測視野がデジタルカメラによるものであることを特徴とする外周長測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、数倍の口径比の鋼管を製造できる冷間ロール成形機にて、製品寸法替えを行う際、ロールの位置調整や成形量が適切であるかを周長管理するため、成形中の素管の外周長を測定できる外周長測定方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電縫鋼管の製造には成形ロールスタンドが多数使用されるミルラインで、コイルから巻き戻された帯鋼板が曲げ成形、溶接、絞り成形を経て所要直径の鋼管が製造される。
詳述すると、帯鋼板はブレークダウンBD工程でエッジ曲げから半円状に曲げ成形され、クラスターCL工程で略丸管まで成形され、フィンパスロールFP工程で予定の外周長を有する素管までに成形される。
【0003】
次いで、スクイズロールSQで突合せ溶接にて丸管となし、さらにサイジングロールSZ、タークスヘッドロールTH工程で、所要の口径、真円度、真直度を有する電縫鋼管に仕上げられ、所要管長に切断されて完成する。
【0004】
鋼管口径の変更などで、初期通板を行う際、BD,CL,FP工程に順次帯鋼板を通過させながら各工程の成形ロールの位置調整を行う。 同じ口径で板厚みの変更を行う場合、再度の初期通板は不要であるが、板幅が変更されるため、各スタンドのロール位置調整が必要になる。
【0005】
ロールの位置調整が適正に行われたか否かは、素管の外周長を測定することで確認する、いわゆる周長管理で行われる。すなわち、FP工程以降のスタンドの入側、出側において、素管や溶接管の外周長をスチールテープ製の巻き尺(以下メジャーという)で測定し、所定の絞り量が付加されたかを確認して、ロール位置調整にフィードバックする。
【0006】
外周長の測定方法は、現在も人手でライン停止中の素管や溶接管の外周にメジャーを巻き付けて測定している。
FP工程での初期通板を例に説明すると、所望口径時の成形スケジュールに従い初期のロール位置調整を行い、その後一度素材を通して、外周長測定を行う。
その後再度ロールの位置調整を行い、再度素材を進めて二度目の外周長測定を行い、先のロール位置調整の効果を確認する作業が行われる。過不足があると三度目の外周長測定を繰り返すことになる。
かかる複数回の人手による測定作業に際し、安全性はもちろん稼働率に影響する計測時間、さらには測定精度の再現性が懸念されるところである。
【0007】
一方、測定作業を省力化するものとして、ループを構成するベルト内に溶接したスパイラル鋼管を挿入させて、ベルト・ワイヤをバネやシリンダを用いて張力を与えて、巻き付けたベルト・ワイヤの繰り出された長さを測定する装置が提案されている(特許文献1、2、3)。
【0008】
また、溶接鋼管の管端外周を缶切り具の如く自走するメジャーの巻き付け装置で管外周を一周して、繰り出された巻き尺の長さを外周長として測定する装置が提案されている(特許文献4)。
【0009】
特許文献1、2、3装置は、溶接が完了して次工程へ進められるスパイラル鋼管の外周長を測定するもので、FP工程のような溶接前の造管途中のオンラインで行う周長管理には適しておらず、また、特許文献4は造管後の所要長さに切断された鋼管などの管の測定装置であり、操業中のパイプミルのライン内に配置して置くこともできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】JPA 1981010203
【文献】JPA 1983083207
【文献】JPB 1982020561
【文献】実開平6-56702
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
成形される管素材の帯鋼板は、製鉄、圧延、板幅切断工程の違いから極めて多種の個性を有した素材となり、特に帯材幅は一定ではない、あるいは長手方向に幅が僅かに蛇行する場合もある。
ある口径の溶接鋼管を製造するに際し、所定板幅を有する帯鋼板コイルを使用するが、板幅や板厚みの不均一などの素材の個性が異なるため、BD,CL工程で曲げ成形された後、SQ工程で所要口径の鋼管に溶接するには、素材の個性に応じた絞り量で、SQ直前のFP工程で所要外周長を有する素管までに絞り成形により断面形状や外周長を整える必要がある。
【0012】
また、ロール交換を行わずに2~3倍の口径比の鋼管を製造できるパイプミルでは、製品寸法替えを行うことが多くなり、その都度段取り替えが行われることになり、曲げ成形を行うロールスタンドでの位置調整が終了すると、2段~3段のフィンパスFPロールスタンドでどの程度の絞り成形を行うかは、ロールスタンド前後の素管の外周長を測定して判断する必要が生じるため、ロールの位置調整や成形が適切であるかの周長管理が極めて重要となる。
【0013】
例えば、3段のフィンパスFPロールスタンド域での曲げ半径設計スケジュールのとおりに成形されているか否かは、次工程の溶接品質に大きく影響を与えるため、1段目のFPロールに入る前の素管の外周長と素管の対向エッジ位置間距離(素管の開き部分長)との合計が、開き素管(オープンパイプ)外周長として測定され、真の素管外周長を求めてこれを評価する。同様に、1段目、2段目のFPロール通過後のオープンパイプ外周長を測定して、かかる周長管理が実施される。
また、SZ、TH工程では、管の外周長を測定する周長管理が、各ロールスタンドでの絞り成形量の配分管理に使用されて、製品の寸法精度の向上に寄与することになる。
【0014】
かかるパイプミルラインで、例えば、製品寸法替えごとの初期通板工程を省力化あるいは自動化するには、オンラインで素管の外周長測定を行うことが可能な周長管理を行う必要がある。
【0015】
この発明は、特に成形中の素管の外周長を自動測定可能な外周長測定方法とその装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明者らは、スタンドピッチが狭いあるいはスタンド周りに既存の装置があるなどの空間であっても容易に設置が可能で、測定装置をライン上に残したまま操業が可能な構成からなる外周長測定装置を目的に、測定方法や装置の構成を種々検討した。
【0017】
その結果、被測定素管を内包してその管の外周を旋回可能に保持される旋回リングにメジャーを券回内蔵するメジャーボビンを軸支して、リングが旋回すると、メジャーボビンが素管外周を公転する間に自転して、素管外周にメジャーを巻き付けながら、旋回リング自体あるいはボビン自体を素管の管軸方向に所要距離、例えばメジャーのテープ幅分、直動させて、管の一周以上の巻き付け状態を、メジャーのテープ同士が素管外周面で近接し重ならないようにすることで、例えば上方より、目視や潜望鏡など、デジタルカメラなどの観測視野にて、メジャーの目盛りなどを観測し外周長を測定できることを知見し、この発明を完成した。
【0018】
また、この方法において、素管の一周以上の巻き付け時にメジャーのテープ同士が素管外周面で近接し重ならないようにすることは、厳密に外周長を測定していないが、測定に際して毎回最短でかつ再現性よく測定できることを知見し、発明を完成した。
【0019】
すなわち、この発明は、
製管中の素管及び/又は溶接後の管(素管/管)の外周長を、素管/管への一周以上のメジャーの巻き付け状態を外側よりの観測視野にて計測する外周長測定方法と装置であり、
素管/管を内包してその外周を旋回可能に保持される旋回リングとその保持/旋回駆動機構とを有し、
上記旋回リングに、メジャーを巻き付けて内蔵するメジャーボビンを回転自在に載置し、そのメジャーの始点を旋回リングの外周外に固定して、旋回リングの回転に伴い、素管/管の外周面にメジャーを巻き付け/巻き戻し可能にするメジャー巻回機能を前記保持/旋回駆動機構に備え、
メジャーを素管/管の一周以上の巻き付け時に、前記旋回リング自体又はメジャーボビン自体が、素管/管の管軸方向に少なくともメジャーのテープ幅寸法分移動する管軸方向移動手段を有し、
巻き付けたメジャーが観測視野内で重ならないことを特徴とする外周長測定方法と装置である。
【0020】
また、この発明は、上記の構成において、
前記旋回リング自体の管軸方向移動出段は、旋回リングの外周面と旋回リングの保持機構とのねじ構造の直動機械機構であることを特徴とする、外周長測定方法とその装置である。
【0021】
また、この発明は、上記の構成において、
前記メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの軸支機構に直動機械機構を用いることを特徴とする、外周長測定方法とその装置である。
【0022】
また、この発明は、上記の構成において、
前記メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの旋回リングへの載置機構に直動機械機構を用いることを特徴とする、外周長測定方法とその装置である。
【0023】
また、この発明は、上記の構成において、
前記観測視野がデジタルカメラによるものであることを特徴とする、外周長測定方法とその装置である。
【発明の効果】
【0024】
この発明の外周長測定方法とその装置は、パイプミルのライン停止中に測定が可能で、測定終了後に装置はそのまま据え置かれ、製管操業が可能である。
また、オフラインの溶接鋼管の外周長の測定はもちろん、オンラインの溶接前の素管、溶接後の素管、定形成形工程で成形前、成形中、成形後の丸管や角管のそれぞれの外周長を測定することができる。
さらに、測定に際し人手を要することなく、自動で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】外周長測定方法の概要を示すための測定装置の簡略説明図である。
【
図2】実施例1の外周長測定装置の正面説明図である。
【
図3】実施例1の外周長測定装置の上面説明図である。
【
図4】実施例1の外周長測定装置の側面説明図である。
【
図5】実施例1の外周長測定装置のA-A断面説明図であり、
図5Aは初期状態、
図5Bは1回転半の旋回状態を示す。
【
図6】実施例2の外周長測定装置の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1の測定装置を簡略化した正面説明図に基づいて、測定装置の構成と測定方法を説明する。ここでは、フィンパスロールスタンドの上流側に配置した例を説明する。被測定物の成形中の素管は、対向するエッジ部が開いており、図の手前から奥側へ移動する。
【0027】
装置のメインフレームは、例えば一枚の面板1であり、中央部に素管Tが通過できる孔部2を設けてある。この孔部2外周には、同様に素管Tが通過できる内径を有するリングプレート3を、孔部2を中心に旋回可能に支持する保持機構を有している。なお、孔部2は、パイプミルで成形する製品寸法の大小を考慮し干渉することがないよう構成し、例えば、ロール成形方法に応じて素管が管軸中心または管底中心で通過するかを考慮してある。
【0028】
リングプレート3の上面には、ボビン4が回転自在に軸支配置され、テープ状のメジャー5を巻回内蔵させてある。そのメジャー5の始端は、例えば、図のリングプレート3の外周外であればいずれの場所でも良いが、ここでは面板1上の右側中央部に固定してある。メジャー5は例えば薄いスチールテープで構成されるが、図では巻き付け状態を説明するため、その厚みを誇張して示している。
【0029】
ここで、メジャー固定点6付近にボビン4が対向する状態を測定前のニュートラルポジションとすると、面板1の孔部2内を素管Tが通過する際に障害物は全く無い状態となる。
【0030】
ニートラルポジションからリングプレート3を図で左回りに旋回させ、ボビン4が素管Tに対して1周半程度旋回すると図示する状態となり、対向するエッジ部が開いている素管Tの上方にカメラSを配置すると、カメラSの視野内でメジャーの目盛を読み取ることができる。
【0031】
しかし、単にリングプレート3を旋回させると、メジャーテープは重なり、素管Tの両エッジ位置にあるメジャーの目盛、さらに外周長を示す目盛がいずれかが不明となる。
そこで、ボビン4が素管Tに対して1周以上旋回した際に、メジャーテープ同士が重ならないようにする必要がある。
【0032】
すなわち、ボビン4が素管Tに対して1周以上旋回した際に、管軸方向に少なくともメジャーテープ幅寸法分だけ移動するように、ボビン4自体またはリングプレート3自体が管軸方向に移動する手段を設けて、巻き付けたメジャーが観測視野内で重ならないように近接させることにより、例えば、素管Tの対向する2か所のエッジ位置にあるメジャー目盛を読むことで、オープンパイプの外周長を測定できる。
【0033】
素管の一周以上の巻き付け時にメジャーのテープ同士が素管外周面で近接し重ならないようにする際、メジャーの巻き出し速度、リングプレートの旋回速度(ボビンの公転速度)、旋回リング/メジャーボビン自体の軸方向への送り出し速度を一定で同期させると、測定に際して毎回最短長でかつ再現性よく測定できる。また、前記各速度が一定でない場合でも一定精度で測定することができる。
さらに、素管T自体の外周長を測定するため、図示の素管Tの対向するエッジ頂部8を確認して、エッジ開き状況を観測、エッジ頂部8の対向距離を測定することができる。
【0034】
パイプミルが予定する数倍の口径比内で、最大径と最小径のそれぞれで巻き付け測定する際、巻き付け速度差を生じる場合があり、メジャーテープ幅分の管軸方向の移動では不足するときは、その移動量を1倍以上~2倍とすることができる。
【0035】
外周長の測定やエッジ頂部8の確認に際し、撮像や視認を容易にするため、ライティングの光源種、照度や配光向きに工夫を加えるほか、メジャー5自体に着色や、特定の光に反射するなどの識別手段を設けることができる。
【0036】
ボビン4は、リングプレート3の旋回に伴い、素管Tの外周面にメジャーを巻き付け、巻き戻しを可能にするために、必要な張力を与えこれを保持する機構を有するメジャー巻回手段が必要になる。例えば、実施例に示すゼンマイバネなどの弾性体を利用する巻回機構などが採用できる。
【0037】
旋回リング自体の管軸方向移動出段は、種々採用できる。図示の場合、リングプレート3は、面板1の孔部2外周に配置する支持輪7にて旋回可能に支持する保持機構を採用し、リングプレート3の外周面に螺旋軌道を設けて軌道を支持輪7が走行できるようにすると、旋回駆動手段によるリングプレート3の旋回に伴い、プレート3自体を管軸方向へ移動させることができる。
【0038】
さらに、前記支持輪7の支持軸自体をネジ軸としてリングプレートの旋回駆動時にネジ軸の直動により、保持機構ごと管軸方向へ移動させることができる。
【0039】
メジャーボビン自体の管軸方向移動手段は、メジャーボビンの軸支機構に直動機械機構を用いることができ、ボビン4の軸支部に自転を直進運動に変換するネジや倣い機構などの直動機械機構を採用することできる。
【0040】
さらに、メジャーボビンの旋回リングへの載置機構に直動機械機構を用いることができ、例えば、メジャーボビンを載置するプレート自体を直動するアクチュエータで管軸方向へ移動させることができ、また、プレートと旋回リング間に水平にアクチュエータで移動する楔状スライダーにて昇降させることができる。
【0041】
かかる管軸方向への移動量には、リングプレート3、ボビン4が素管Tに対して1周以上旋回した際に、メジャーテープ同士が重ならないようにするため、製管する口径寸法の大小、素管Tに対して公転あるいは公転かつ自転の違いなど、駆動の機械機構の構成など、種々の要素があり、これらを考慮することで前記の軌道長などを決定することが可能となる。
【0042】
リングプレート3の旋回駆動には、実施例に示すように上記のリング外周面の螺旋軌道と支持輪7を用い、螺旋軌道に丸ベルト、ゴムベルトなどを掛けてこれをモーターにて駆動して旋回させることができる。
【0043】
また、支持輪自体をモーターで回転駆動する機構、例えば、タイヤによる摩擦、ギヤによる歯合、回転軸を直接駆動などで駆動することができる。さらに、リングプレートの裏面または外周面にギヤリングを設けて、複数のギヤモータを面板1に配置してギヤ駆動することもできる。
【0044】
メジャーの目盛などの観測には、素管Tの上方から目視、下方から潜望鏡、内視鏡などで目視するなどの観測視野を採用できる。また、デジタルカメラを用いた観測視野で測定でき、パンフォーカスレンズカメラ、webカメラなどの簡易的な構成から、公知のイメージセンサーを用い、レンズに自動フォーカス手段を用いたAIカメラなどを用いることができ、リモートでディスプレイ装置に拡大視野にて計測することができる。
【0045】
さらに、照射方向や輝度などを自動調整できる照明ライトを実装し、AIカメラのイメージセンサーとプログラムにより、観測条件が変化しても、観測視野内の観測ターゲットを追尾して、例えばメジャーの文字、コード、キャリブレーションなどの読み取りを、画像データ化して判別することで、計測を自動化することもできる。
【実施例】
【0046】
実施例1
前述した
図1に示す外周長測定方法を実現する測定装置について、
図2乃至
図5に基づいて説明する。
【0047】
装置のフレームは、中央部に成形する素管の通過孔11を設けた一枚板のメインプレート10であり、通過孔11の周囲に約90度間隔で4個のガイドローラ12が軸支され、メインプレート10の左上部は、ギヤードモータ13を載置するために外側へ突出している。
【0048】
4個のガイドローラ12は、前記通過孔と同様内径を有するリングプレート20の外周面に設けた螺旋溝20bに、ローラ外周部が嵌るよう構成されて、リングプレート20の旋回を支持している。
【0049】
リングプレート20の旋回は、ギヤードモータ13にて駆動されるベルトロープ14を、リングプレート20の外周面に設けたベルト溝20aに嵌め込み、所謂ベルトドライブすることで行う。このベルトドライブは、ギヤードモータ13に隣接してプレートに配置されるテンション調整部15のローラ16の位置を調整して、ベルト14の張力を適正に保つことができる。
【0050】
リングプレート20の前面には、スチールテープ製のメジャー21を巻回したボビン22が、ゼンマイバネを用いて巻取りする巻回機構23を介して、回転自在に軸支されている。
【0051】
メジャー21先端部は、ボビン22に隣接配置する一対のテープガイドローラ24,24に導き出されて、メインプレート10の右中央部に設けたメジャー固定点17に固定される。一対のテープガイドローラ24,24間には、メジャー21を清掃するためのフェルトパッド25が配置されている。
【0052】
リングプレート20の上面の所要位置には、旋回位置を検出するためのセンサードグ26が載置され、メインプレート10の右側下部のガイドローラ12付近に設けた近接センサー18にて、センサードック26を検知して、ボビン22の旋回回数を判別する。
【0053】
図2の正面図の状態がリングプレート20の初期状態、ニュートラルポジションとすると、そのA-A断面図が、
図5Aであり、1回転半の旋回を行った後が
図5Bも示す状態となり、リングプレート20がメジャー21のテープ幅分だけ下流側、
図5の左側へ移動して、素管に巻きつけたメジャーは観察視野、ここでは上側から見た際にメジャーテープ同士は重なることがない。
【0054】
以上の構成からなる測定装置は、例えばフィンパスロールスタンドの上流側、あるいは下流側に、スタンドとは無縁で上方から垂下するアームなどに接続されてライン上に配置され、例えば前記アームにカメラを載置することで、素管の外周長を測定することができる。
【0055】
実施例2
図6に示す装置は、メインプレート30の形状とギヤードモータ13とテンションローラ部15の位置が異なる以外は、前述の実施例1の装置構成は全く同様である。
【0056】
実施例1では、ギヤードモータ13の載置する位置は、図で左側上部であるが、測定装置を配置するロールスタンドの構成、機能が異なる場合、該当位置に干渉する部材などが存在する場合があり、
図6の実施例2では、ロールスタンド側の機器を避けるように、異形でメインプレート30が上方に長く伸ばされている。
【0057】
ギヤードモータ13がリングプレート20から上部方向に離れているためにベルトロープ14をテンション調整部15へ導くために一対のローラ16,16が適宜配置されている。
ギヤードモータ13とリングプレート20の間のメインプレート30にイメージセンサーを配置して、素管の外周長を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明の方法と装置は、数倍の口径比の鋼管を製造できる冷間ロール成形機にて、製品寸法替えを行う際、初期調整工程で、成形中の素管の外周長を遠隔操作で測定または自動測定することが可能で、各成形ロールスタンドのロールの位置調整やその成形量が適切であるかの周長管理が容易に実施でき、また操作を自動化することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 面板
2 孔部
3,20 リングプレート
4,22 ボビン
5,21 メジャー
6,17 メジャー固定点
7 支持輪
8 エッジ頂部
10,30 メインプレート
11 通過孔
12 ガイドローラ
13 ギヤードモータ
14 ベルト
15 テンション調整部
16 テンションローラ
17 メジャーホルダー
18 近接センサー
20a ベルト溝
20b 螺旋溝
23 巻回機構
24 テープガイドローラ
25 フェルトパッド
26 センサードグ
S カメラ
T 素管
【要約】
【課題】製管中の素管の外周長を自動測定する。測定装置をライン上に残したまま操業を可能とする。
【解決手段】素管/管Tの外周を旋回可能に保持される旋回リング3に、メジャーボビン4を回転自在に取り付ける。メジャーボビン4内のメジャー5の始点を旋回リング3の外周外に固定して、旋回リング3の回転に伴い素管/管Tの外周面にメジャー5を巻き付けるメジャー巻回機能を、前記旋回リング3の保持/旋回駆動機構が有する。メジャー5を素管/管Tの一周以上に巻き付けた状態を外側よりの観測視野にて計測する際に、前記旋回リング3又はメジャーボビン4が素管/管Tの軸方向にメジャー5の幅寸法分移動する。巻き付けたメジャー5が観測視野内で重なる事態を回避する。
【選択図】
図1