(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
B30B 15/02 20060101AFI20241105BHJP
B30B 7/02 20060101ALI20241105BHJP
B30B 15/06 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B30B15/02 E
B30B7/02
B30B15/06 Z
B30B15/02 B
(21)【出願番号】P 2024067527
(22)【出願日】2024-04-18
【審査請求日】2024-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】森本 崇
(72)【発明者】
【氏名】平川 翔太
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-190704(JP,A)
【文献】特開2018-202740(JP,A)
【文献】特開2014-179420(JP,A)
【文献】国際公開第2012/098679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00 ー 15/06
B30B 7/00 ー 7/04
B29C 43/00
B29C 33/12
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向においてワークを挟み込んで加圧する加圧装置であって、
前記ワークの上方向に配置される上加圧ユニット、
を有してなり、
前記上加圧ユニットは、
第1加圧部材と、
前記第1加圧部材よりも下方向に配置される第2加圧部材と、
前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材とに隣接して配置される
板状の中間部材と、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接する、金属製で平面状の上プレス面と、
を備えて、
前記中間部材は、
前記第2加圧部材に当接する当接領域と、
前記第2加圧部材に当接しない非当接領域と、
を備えて、
前記上プレス面は、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接するプレス面領域、
を備えて、
前記当接領域は、上下方向視において、
前記非当接領域に隣接して配置されて、
前記プレス面領域の外周線で示される第1外周線よりも内側に配置される、
加圧装置。
【請求項2】
前記上加圧ユニットは、
前記上プレス面を備える第3加圧部材、
を備えて、
前記第3加圧部材は、前記第2加圧部材よりも下方向に、前記第2加圧部材に隣接して配置されて、
前記第2加圧部材は、前記ワークが加圧されるとき上下方向に圧縮されて、前記ワークの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成される、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記第2加圧部材は、
前記上プレス面、
を備える、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項4】
前記第1加圧部材は、前記ワークが加圧されるとき上下方向に圧縮されて、前記ワークの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成される、
請求項2または3に記載の加圧装置。
【請求項5】
前記中間部材は、
前記第2加圧部材に当接する当接面と、
上下方向において前記当接面よりも上方向に配置されて、前記第2加圧部材に当接しない非当接面と、
を備えて、
上下方向視において、前記当接領域は、前記当接面が配置される領域であり、
上下方向視において、前記非当接領域は、前記非当接面が配置される領域である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記中間部材は、
前記第2加圧部材に当接する当接面と、
前記中間部材を上下方向に貫通する貫通孔と、
を備えて、
上下方向視において、前記当接領域は、前記当接面が配置される領域であり、
上下方向視において、前記非当接領域は、前記貫通孔が配置される領域である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加圧装置。
【請求項7】
上下方向視において、前記当接領域が配置される配置領域の外周線で示される第2外周線の形状は、前記第1外周線の形状と相似形であり、
上下方向視において、前記第1外周線で区画される前記プレス面領域の第1面積に対する、前記第2外周線で区画される前記配置領域の第2面積の比は、0.40以上、かつ、0.92以下である、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項8】
上下方向視において、前記当接領域が配置される配置領域は、前記中間部材のうち、前記第2加圧部材に当接する当接面から前記上プレス面までの間隔が大きくなるにつれて小さくなり、前記間隔が小さくなるにつれて大きくなる、ように設計される、
請求項1に記載の加圧装置。
【請求項9】
前記プレス面領域は、
上下方向視において、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの一部の所定の領域を、前記ワークの他の領域よりも大きい加圧力で加圧する偏加圧領域、
を含み、
前記当接領域は、
前記偏加圧領域に対応する特定領域、
を含み、
上下方向視において、前記特定領域は、前記偏加圧領域の範囲内に配置される、
請求項1に記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のシート状の基材(例えば、積層セラミックコンデンサのグリーンシート、プリント配線基板、など)が積層された積層体を加圧する装置として、加圧装置が用いられている。加圧装置は、一対の加圧ユニットにより積層体(被加圧物)を上下から挟み込み、積層体を所定の加圧力で加圧する。加圧ユニットのうち、積層体に当接する金型のプレス面は、積層体が加圧されるとき、積層体の上下面の全体に対してプレス面から均等な面圧が加えられるように、相互に平行な平面状に形成されている。
【0003】
このような加圧装置では、ワークが加圧されたとき、ワークの被プレス面に加えられる圧力が外縁部において顕著に高くなり、外縁部から中央部向けて低くなる現象(被プレス面の外縁部が強圧される現象)は、よく知られている(例えば、特許文献1参照)。この現象が生じると、ワークの被プレス面が均一に加圧されず、ワークの変形(ワークの中央部がワークの外縁部よりも膨らむような変形)が生じ得る。この現象の要因として、加圧時に生じる加圧ユニット(金型)の撓みなどが挙げられている。特に、ワークサイズがプレス面サイズに対して小さい場合に、ワークのエッジ部分が「テコの支点」のように機能することにより、この現象は生じ易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、この現象を抑制するために、プレス面を備える金型の厚さを増加させることにより、金型自体の剛性を高める設計が、採用されている。この設計では、金型が大型化して、金型の重量が増加する。そのため、加圧装置の製造時およびメンテナンス時の作業性は、悪化する。また、金型(特にプレス面)の加工は難しくなり、金型に採用可能な材料は限られる。さらに、この設計でも、前述の現象の傾向は、残る。したがって、金型の厚みを増加させる技術とは異なる、被プレス面の外縁部が強圧される現象を改善する技術が求められている。このように、平面状のプレス面を備える金型を用いた被プレス面の圧力分布の制御は、難しい。
【0006】
本発明は、被プレス面の圧力分布を制御可能な加圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様における加圧装置は、上下方向においてワークを挟み込んで加圧する加圧装置であって、前記ワークの上方向に配置される上加圧ユニット、を有してなり、前記上加圧ユニットは、第1加圧部材と、前記第1加圧部材よりも下方向に配置される第2加圧部材と、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材とに隣接して配置される板状の中間部材と、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接する、金属製で平面状の上プレス面と、を備えて、前記中間部材は、前記第2加圧部材に当接する当接領域と、前記第2加圧部材に当接しない非当接領域と、を備えて、前記上プレス面は、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接するプレス面領域、を備えて、前記当接領域は、上下方向視において、前記非当接領域に隣接して配置されて、前記プレス面領域の外周線で示される第1外周線よりも内側に配置される、加圧装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被プレス面の圧力分布を制御可能な加圧装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る加圧装置の実施の形態を示す、加圧装置の模式断面図である。
【
図2】
図1の加圧装置の上加圧ユニットの模式底面図である。
【
図3】
図1の加圧装置において画定される各領域の上下方向視における位置関係を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施例の試験条件および試験結果を示す模式図である。
【
図5】上記実施例の試験結果を示す圧力分布図である。
【
図6】上記実施例において使用された
図1の加圧装置の中間部材の模式底面図であり、(a)は第1タイプの模式底面図であり、(b)は第2タイプの模式底面図であり、(c)は第3タイプの模式底面図であり、(d)は第4タイプの模式底面図である。
【
図7】シミュレータによる応力の伝達状態を示していて、(a)は配置領域の面積よりも小さいワークが加圧されたときの伝達状態を示していて、(b)は配置領域の面積よりも大きいワークが加圧されたときの伝達状態を示している。
【
図8】圧力の偏在化を改善する要因を説明する模式図である。
【
図9】本発明に係る加圧装置の第1変形例を示す、加圧装置の模式断面図である。
【
図10】本発明に係る加圧装置の第2変形例~第5変形例における中間部材の模式底面図であり、(a)は第2変形例における中間部材を示していて、(b)は第3変形例における中間部材を示していて、(c)は第4変形例における中間部材を示していて、(d)は第5変形例における中間部材を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る加圧装置(以下「本装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
【0011】
以下の説明および図面において、特に断りがない限り、空間において相互に直交する3軸がX軸、Y軸およびZ軸であるとき、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は上下方向に平行である。「X軸方向」はX軸に沿う方向であり、「+X方向」はX軸方向の一方向であり、「-X方向」はX軸方向の他方向である。「Y軸方向」はY軸に沿う方向であり、「+Y方向」はY軸方向の一方向であり、「-Y方向」はY軸方向の他方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。「+Z方向」は上方向であり、「-Z方向」は下方向である。「XY方向」はX軸方向およびY軸方向に沿う方向であり、「XY平面」はXY方向(水平方向)に平行な仮想平面である。「XZ方向」はX軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「XZ平面」はXZ方向(鉛直方向)に平行な仮想平面である。
【0012】
以下の説明において、下面は、下方向に面していて、XY方向に平行な面である。上面は、上方向に面していて、XY方向に平行な面である。すなわち、下面および上面の形状は、平面状である。また、各部材の厚さは、上下方向における各部材の長さである。
【0013】
本発明は、平面状のプレス面により上下方向からワークを加圧する加圧装置において、プレス面までの各部材内の応力の伝達を調整することにより、ワークの被プレス面の外縁部が強圧される現象を改善できる。また、本発明は、プレス面に伝達される応力を制御することにより、ワークの被プレス面の圧力分布を制御できる。
【0014】
「ワークの被プレス面の外縁部が強圧される現象」は、ワークが平面状のプレス面により加圧されたとき、ワークの被プレス面の外縁部に加えられる圧力が外縁部において顕著に高くなり、外縁部から中央部に向けて低くなる現象である。同現象は、以下単に、「外縁部の強圧現象」と記載される。
【0015】
「ワーク」は、本装置に加圧される対象(被加圧物)であり、例えば、シート状の基材(セラミックグリーンシートなど)、電子部品、回路などが搭載されている基板、などである。ワークは、被プレス面を備える。被プレス面は、本装置により上方向から加圧される上面である。
【0016】
●加圧装置●
●加圧装置の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す、本装置の模式断面図である。
同図は、本装置1がY軸方向における中央部で切断された、XZ平面に沿う本装置1の切断面を示している(
図9も同じ。)。同図は、後述されるプレス面領域R3を太い破線で示している。
【0017】
本装置1は、上下方向においてワークWを挟み込んで加圧する。本装置1は、ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、上プレス板7、載置板8、下プレス板9、昇降装置10、および制御装置11を有してなる。ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7は、ワークWよりも上方向に配置されていて、ワークWを上方向から加圧する上加圧ユニットUPとして機能している。載置板8および下プレス板9は、ワークWよりも下方向に配置されていて、ワークWを下方向から加圧する下加圧ユニットDPとして機能している。
【0018】
ベース部材2は、枠部材3を介して、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7を支持している。ベース部材2は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。ベース部材2の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、直方体状である。ベース部材2は、上下方向に移動(昇降)可能に昇降装置10に支持されている。ベース部材2は、下面2aを備える。
【0019】
枠部材3は、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および、上プレス板7の一部を収容する。枠部材3は、金属(例えば、ステンレス鋼)製である。枠部材3は、例えば、複数のボルト(不図示。以下同じ。)により、ベース部材2の下面2aに取り付けられている。そのため、枠部材3は、ボルトの着脱により、ベース部材2から容易に着脱可能である。枠部材3は、本体部31および内フランジ部32を備える。
【0020】
本体部31の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、筒状(矩形筒状)である。本体部31の内周面31aは、XY方向に向けられている。水平方向において、本体部31は、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7の全周を囲むように配置されている。内周面31aの下端部は、全周に亘って内方向に向けて均等に突出していて、内フランジ部32を形成している。すなわち、水平方向において、内フランジ部32は、本体部31から内方向に向けて突出していて、本体部31と一体に形成されている。
【0021】
内フランジ部32は、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7を支持していて、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7の下方向への移動を規制している。上下方向視において、内フランジ部32の形状は、枠状(矩形枠状)である。内フランジ部32は、上面32aおよび内周面32bを備える。内周面32bは、上下方向に平行な面であり、XY方向に向けられている。
【0022】
なお、本発明において、内フランジ部32の形状は、矩形枠状に限定されない。すなわち、例えば、内フランジ部32は、本体部31からX軸方向またはY軸方向のみに向けて突出していてもよい。また、例えば、本体部31からX軸方向および/またはY軸方向に向けて等距離に突出する複数の棒状の部分それぞれが、内フランジ部32として機能していてもよい。
【0023】
第1緩衝部材4は、ワークWが加圧されるとき、第1緩衝部材4に加えられた圧力を拡散および均一化させる。また、第1緩衝部材4は、ワークWが加圧されるとき、中間部材5の軸ずれ(水平方向への移動)を抑制する。第1緩衝部材4は、ワークWが加圧されるとき上下方向に圧縮されて、ワークWの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料(例えば、公知のプレス用緩衝材)製である。第1緩衝部材4の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、シート状である。第1緩衝部材4は、枠部材3に収容されている。第1緩衝部材4は、ベース部材2の下方向に、ベース部材2に隣接して配置されている。第1緩衝部材4は、下面4aおよび上面4bを備える。第1緩衝部材4は、本発明における第1加圧部材の一例である。
【0024】
中間部材5は、ワークWが加圧されるとき、中間部材5に加えられた圧力を集中させることにより、被プレス面Waにおける圧力分布の制御を実現する。中間部材5は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。中間部材5の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、板状である。中間部材5は、枠部材3に収容されている。中間部材5は、第1緩衝部材4の下方向に、第1緩衝部材4と隣接して配置されている。中間部材5は、下面5a、上面5b、非当接面5c、および当接面5dを備える。
【0025】
下面5aのうち、外縁部は、全周に亘って上方向に向けて凹んでいて、非当接面5cを形成している。下面5aのうち、非当接面5cを除く中央部は、当接面5dを形成している。上下方向において、非当接面5cは、当接面5dよりも上方向に配置されている。非当接面5cの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、枠状(矩形枠状)である。当接面5dの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)である。非当接面5cおよび当接面5dは、下方向に面していて、XY方向に平行な面である。
【0026】
第2緩衝部材6は、ワークWが加圧されるとき、第2緩衝部材6に加えられた圧力を拡散および均一化させる。また、第2緩衝部材6は、ワークWが加圧されるとき、中間部材5の軸ずれを抑制する。第2緩衝部材6は、例えば、公知のプレス用緩衝材である。本実施の形態において、第2緩衝部材6の形状は、第1緩衝部材4の形状と同じである。第2緩衝部材6は、下面6aおよび上面6bを備える。第2緩衝部材6は、枠部材3に収容されている。第2緩衝部材6は、中間部材5の下方向に、中間部材5に隣接して配置されている。第2緩衝部材6は、本発明における第2加圧部材の一例である。
【0027】
上プレス板7は、ワークWが加圧されるとき、ワークWを下方向に向けて加圧する。上プレス板7は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。上プレス板7の形状は、側方視において逆ハット状である。上プレス板7は、上面7a、本体部71および外フランジ部72を備える。上プレス板7は、本発明における第3加圧部材の一例である。
【0028】
本体部71の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状(本実施の形態では、正方形状)であり、板状である。本体部71は、下面71aおよび外周面71bを備える。下面71aは、ワークWが加圧されるとき、ワークWに対向して配置されていて、ワークWの被プレス面Waに当接する面である。すなわち、上下方向視において、下面71aのうち、一部の領域は、被プレス面Waに当接する領域(以下「プレス面領域R3」という。)である。換言すれば、下面71aは、プレス面領域R3を備える。下面71aは、本発明における上プレス面の一例である。
【0029】
外周面71bの上半部は、全周に亘って外方向に向けて均等に突出していて、外フランジ部72を形成している。すなわち、水平方向において、外フランジ部72は、本体部71から外方向に向けて突出していて、本体部71と一体に形成されている。したがって、上プレス板7の上面7aは、本体部71および外フランジ部72それぞれの上面により形成されている。外フランジ部72の形状は、枠状(矩形枠状)である。外フランジ部72は、下面72aを備える。
【0030】
なお、本発明において、外フランジ部72の形状は、矩形枠状に限定されない。すなわち、例えば、外フランジ部72は、外周面71cからX軸方向またはY軸方向のみに向けて突出していてもよい。つまり、外フランジ部72は、X軸方向またはY軸方向に平行な外周面71bのみから突出していてもよい。また、例えば、本体部71からX軸方向および/またはY軸方向に向けて等距離に突出する複数の棒状の部分それぞれが、外フランジ部72として機能していてもよい。
【0031】
上プレス板7は、本体部71の下部を除き、枠部材3に収容されている。すなわち、上下方向において、本体部71の下部(下面71a)は、枠部材3よりも下方向に位置している。上プレス板7は、第2緩衝部材6の下方向に、第2緩衝部材6に隣接して配置されている。外フランジ部72の下面72aは、内フランジ部32の上面32aに当接している。その結果、内フランジ部32は、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7の下方向への移動を規制していて、これらを支持している。
【0032】
第1緩衝部材4の上面4bはベース部材2の下面2aに当接していて、下面4aは中間部材5の上面5bに当接している。中間部材5の当接面5dは、第2緩衝部材6の上面6bの一部に当接している。非当接面5cは、上面6bよりも上方向に、上面6bと対向して配置されている。すなわち、非当接面5cは、上面6bに当接していない。したがって、上下方向視において、中間部材5のうち、当接面5dは第2緩衝部材6に当接している領域(以下「当接領域R1」という。)を形成していて、非当接面5cは第2緩衝部材6に当接していない領域(以下「非当接領域R2」という。)を形成している。すなわち、上下方向視において、当接領域R1は当接面5dが配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5cが配置されている領域である。第2緩衝部材6の下面6aは、上プレス板7の上面7aに当接している。
【0033】
図2は、上加圧ユニットUPの模式底面図である。
同図は、説明の便宜上、内周面31a、第1緩衝部材4、中間部材5、および第2緩衝部材6を太い二点鎖線で示していて、ワークWおよびプレス面領域R3を細い二点鎖線で示している。以下の説明において、
図1は、
図2と共に適宜参照される。
【0034】
上加圧ユニットUPにおける各部材の、X軸方向およびY軸方向、すなわち、XY方向における長さの関係が、説明される。ベース部材2の長さL2は、枠部材3の長さL3よりも大きい。本体部31の内周面31a同士の間隔L31は、第1緩衝部材4の長さL4、中間部材5の長さL5、第2緩衝部材6の長さL6、および上プレス板7の外フランジ部72の長さL72と同じである(僅かに大きい)。第1緩衝部材4の長さL4は、中間部材5の長さL5、第2緩衝部材6の長さL6、および上プレス板7の外フランジ部72の長さL72と同じである。本体部71(すなわち、下面71a)の長さL71は、内フランジ部32の内周面32b同士の間隔L32よりも小さい。
【0035】
ワークWの被プレス面Waの長さLwは、下面71aの長さL71よりも小さい。すなわち、プレス面領域R3の長さLR3は、下面71aの長さL71よりも小さい。換言すれば、ワークサイズは、上プレス面サイズよりも小さい。中間部材5の当接面5dの長さL51は、下面71aの長さL71、および、被プレス面Waの長さLwよりも小さい。すなわち、当接領域R1の長さLR1は、プレス面領域R3の長さLR3よりも小さい。
【0036】
図3は、本装置1において画定される各領域の上下方向視における位置関係を示す模式図である。
同図は、説明の便宜上、中間部材5を太い実線で示していて、非当接領域R2(非当接面5c)をグレーの領域で示していて、下面71aを細い二点鎖線で示していて、プレス面領域R3を太い二点鎖線で示している。以下の説明において、
図1および
図2は、
図3と共に適宜参照される。
【0037】
上下方向視において、当接領域R1は、プレス面領域R3の外周線で示される第1外周線Lo1よりも内側に配置されている。上下方向視において、当接領域R1は、非当接領域R2に全周を囲まれるように、非当接領域R2に隣接して配置されている。すなわち、上下方向視において、第1外周線Lo1は、当接領域R1と重複しておらず、非当接領域R2と重複している。
【0038】
本実施の形態において、中間部材5は、1個の当接面5dを備えている。上下方向視において、当接面5dが配置される領域(以下「配置領域Rx」という。)は、プレス面領域R3(すなわち、第1外周線Lo1で区画される領域)の範囲内に限定される。すなわち、配置領域Rxの外周線で示される第2外周線Lo2は、第1外周線Lo1よりも内側に配置されていて、第1外周線Lo1とは重複しない。上下方向視において、第2外周線Lo2は、第1外周線Lo1と同じ形状(本実施の形態では、正方形状)であり、相似形である。
【0039】
以下の説明において、主に参照される図面は、
図1に戻る。
載置板8は、ワークWが載置される部材である。載置板8は、例えば、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。 載置板8の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う正方形状であり、板状である。載置板8は、下プレス板9の上に載置されている。載置板8は、上面である載置面8aを備える。
【0040】
下プレス板9は、ワークWが加圧されるとき、上加圧ユニットUPからの加圧力に応じて、ワークWを上方向に向けて加圧する。下プレス板9は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。下プレス板9の形状は、上下方向視において、XY方向に沿う正方形状であり、板状である。
【0041】
昇降装置10は、ベース部材2を昇降させる。昇降装置10は、例えば、公知の油圧シリンダである。
【0042】
制御装置11は、本装置1全体の動作を制御する。
【0043】
このように構成されている本装置1では、枠部材3は、ボルトの着脱により、ベース部材2に対して着脱可能である。そのため、枠部材3が取り外されることにより、第1緩衝部材4、中間部材5、および第2緩衝部材6は、容易に交換可能である。
【0044】
なお、本発明において、ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、上プレス板7、載置板8、および下プレス板9それぞれの上下方向視における形状は、正方形状に限定されない。
【0045】
●加圧装置の動作
次に、本装置1の動作が、以下に説明される。以下の説明において、
図1~
図3は適宜参照される。
【0046】
先ず、ワークWが載置板8の載置面8aに載置される。
【0047】
次いで、制御装置11は、昇降装置10の動作を制御して、上加圧ユニットUPを所定の位置まで降下させる。このとき、上プレス板7の下面71aは、ワークWに当接している。すなわち、プレス面領域R3は、被プレス面Waに当接している。
【0048】
次いで、制御装置11は、昇降装置10の動作を制御して、上加圧ユニットUPをさらに下降させて、上加圧ユニットUPと下加圧ユニットDPとの間で、ワークWを加圧する。このとき、後述のとおり、第1緩衝部材4から中間部材5に加えられる圧力は、拡散されて、均一化される。中間部材5から第2緩衝部材6に加えられる圧力は、当接面5dに当接している部分に集中される。第2緩衝部材6から上プレス板7に加えられる圧力は、拡散されて、均一化される。上プレス板7からワークWに加えられる圧力は、プレス面領域R3に当接する部分(被プレス面Wa)に集中される。このように、各部材内で圧力が加えられた結果、ワークWのエッジ部分は「テコの支点」のように機能せず、外縁部の強圧現象は、生じない。その結果、被プレス面Waにおける圧力分布は、均一化される。
【0049】
また、ワークWが加圧されるとき、中間部材5には、数MPa~数十MPaの圧力が加えられる。一般的に、平面状の金属面同士が接触して加圧される場合に、被加圧側の金属面の法線方向に対して加圧側の加圧軸がずれていると(いわゆる、軸ずれが生じていると)、被加圧側は平坦に加圧されない。軸ずれは、本装置1の各構成部品が精密に製造されていても、種々の要因により、生じ得る。そのため、仮に、中間部材5がベース部材2および上プレス板7に直接当接していると、中間部材5と、ベース部材2および上プレス板7と、の間で、軸ずれが生じ得る。本実施の形態では、第1緩衝部材4がベース部材2と中間部材5との間に配置されていて、第2緩衝部材6が中間部材5と上プレス板7との間に配置されている。前述のとおり、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6は、弾性材料製であり、両者間の軸を一致させるように作用する。そのため、ベース部材2に対する中間部材5の軸ずれ、および、上プレス板7に対する中間部材5の軸ずれは、共に抑制される。
【0050】
●実施例●
次に、第1緩衝部材4、中間部材5、および第2緩衝部材6が組み込まれた既存の加圧装置(試験装置)による加圧試験の試験結果が、本発明の実施例および参考例として説明される。以下の実施例の説明において、富士フィルム株式会社製の「プレスケール(登録商標:以下単に「スケール」という。)」が圧力の測定に用いられている。加圧力は、5MPaである。試験の便宜上、第1緩衝部材4は、一部の参考例を除き、使用されていない。各参考例および一部の比較例では、スケールのみが加圧されている。全ての試験条件において、上プレス板7の形状は、160mm×164mm×15mmの直方体状である。
【0051】
以下の実施例の説明において、
図1~
図3は、適宜参照される。また、以下の説明において、先に説明された実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と共通する機能を有する要素については、説明の便宜上、同一の名称および符号が付されている。
【0052】
図4は、本発明の実施例の試験条件および試験結果を示す模式図である。
図5は、試験結果を示す圧力分布図である。
図6は、各実施例において使用された中間部材5の模式底面図であり、(a)は第1タイプの模式底面図であり、(b)は第2タイプの模式底面図であり、(c)は第3タイプの模式底面図であり、(d)は第4タイプの模式底面図である。
図5では、各スケールの色の濃淡は圧力の大小を示していて、圧力は色が濃くなるにつれて大きくなる。
図6では、太い二点鎖線は、第2外周線Lo2を示している。グレーの領域は、後述される非当接面5c,5c1,5c2を示している。
【0053】
(試験条件)
先ず、
図4に示されている試験条件が、説明される。「タイプ」は、中間部材5の種類を示している。各タイプの詳細は、
図6に示されていて、後述される。「第1緩衝部材」および「第2緩衝部材」において、「-」は未使用を示していて、「A」はシバタ工業株式会社製の「ジャバラシート:EPT1.0」を示していて、「B」は三福工業株式会社製の「ホットプレス用緩衝部材:MF-20S」を示している。「その他」において、「*1」は、第2緩衝部材6と上プレス板7との間に、PGX製の断熱材が使用されていることを示している。「*2」は、ワークサイズが30mmのワークが110mm×110mmの正方形状の第1外周線Lo1内に、3行×3列の配置パターンで均等に配置されていること、を示している。ワーク同士の間隔は、5mmである。「*3」は、厚さT1が10mmの上プレス板7が使用されていることを示している。「面積比」は、プレス面領域R3の面積「A3」に対する配置領域Rxの面積「Ax」の比(Ax/A3)を示している。ワークWの形状は、正方形状である。「結果」において、「◎」は、外縁部の強圧現象が生じておらず、被プレス面Waの圧力分布が比較的均一になるように制御されていること、を示している。「〇」は、均圧性は◎よりも劣るが、外縁部の強圧現象が生じておらず、被プレス面Waの圧力分布が中間部材5の形状に対応した圧力分布となるように制御されていることを示している。「△」は、外縁部の強圧現象の傾向は残存するが、被プレス面Waの圧力分布において同現象が抑制されていることを示している。「×」は、外縁部の強圧現象が生じていることを示している。換言すれば、「×」は、被プレス面Waの圧力分布が外縁部から中央部に向かって低くなるように制御可能であることを示している。
【0054】
(第1タイプ)
第1タイプの中間部材5は、1個の非当接面5c、および1個の当接面5dを備える。上下方向視において、当接面5dの形状は、115mm×115mmの正方形状である。上下方向視において、非当接面5cの形状は、当接面5dの全周を囲む160mm×164mmの矩形枠状である。当接面5dの厚さは、5mmである。なお、上下方向視において、当接面5dの形状は、実施例17のみ、95mm×95mmの正方形状である。
【0055】
(第2タイプ)
第2タイプの中間部材5は、2個の非当接面5c1,5c2、および1個の当接面5dを備える。上下方向視において、非当接面5c1の形状は、45mm×45mmの正方形状である。上下方向視において、当接面5dの形状は、非当接面5c1の全周を囲む95mm×95mmの矩形枠状である。非当接面5c2の形状は、当接面5dの全周を囲む160mm×164mmの矩形枠状である。当接面5dの厚さは、5mmである。
【0056】
(第3タイプ)
第3タイプの中間部材5は、1個の非当接面5c、および9個の当接面5d1~5d9を備える。上下方向視において、当接面5d1~5d9の形状は、25mm×25mmの正方形状である。当接面5d1~5d9は、95mm×95mmの正方形状の第2外周線Lo2内に、3行×3列の配置パターンで、均等に配置されている。当接面5d1~5d9同士の間隔は、10mmである。非当接面5cは、第2外周線Lo2の内側に配置されている10mm幅の格子状の部分、および、第2外周線Lo2の外側に配置されている矩形枠状の部分を備える。換言すれば、上下方向視において、非当接面5cの形状は、格子状である。当接面5d1~5d9の厚さは、5mmである。
【0057】
(第4タイプ)
第4タイプの中間部材5は、1個の非当接面5c、および4個の当接面5d1~5d4を備える。上下方向視において、当接面5d1~5d4の形状は、45mm×45mmの正方形状である。当接面5d1~5d4は、115mm×115mmの正方形状の第2外周線Lo2内に、2行×2列の配置パターンで、均等に配置されている。当接面5d1~5d4同士の間隔は、25mmである。非当接面5cは、第2外周線Lo2の内側に配置されている15mm幅の格子状の部分、および、第2外周線Lo2の外側に配置されている矩形枠状の部分を備える。換言すれば、上下方向視において、非当接面5cの形状は、格子状である。当接面5d1~5d4の厚さは、5mmである。
【0058】
●実施例1~5
実施例1~5では、第1タイプの中間部材5が使用されていて、ワークサイズは150mm、130mm、および120mmの3種に設定されている。面積比は、「0.59」「0.78」「0.92」である。実施例4では、断熱材が使用されている。実施例1~4では、第2緩衝部材6に厚さ1mmの「A」が使用されていて、実施例5では、第2緩衝部材6に厚さ2mmの「A」が使用されている。全ての条件で、外縁部の強圧現象は生じておらず、特に、実施例2,3,5において、被プレス面Waの圧力分布は均一になるように制御されている。ワークサイズが大きくなるにつれて、ワークWに加えられる圧力は、外縁部よりも中央部において増加傾向にあった。これは、面積比が調整されることにより、被プレス面Waの圧力分布が制御可能であること、を示している。実施例4には、圧力分布に僅かな偏りが生じていた。これは、断熱材により当接面5dから下面71aまでの間隔が長くなったためであると推測される。また、試験時の各部材およびワークWの配置による影響(軸ずれの影響)もこの僅かな偏りの要因であると推測される。この影響は、実施例5のように、第2緩衝部材6の厚さを厚くすることにより、緩和可能である。
【0059】
●実施例6,7
実施例6,7では、第2タイプの中間部材5が使用されていて、ワークサイズは120mmに設定されている。面積比は、「0.63」である。実施例6では、第2緩衝部材6に「A」が使用されていて、実施例7では、第2緩衝部材6に「B」が使用されている。全ての条件で、外縁部の強圧現象は生じておらず、被プレス面Waの圧力分布は均一になるように制御されている。実施例6では、ワークWに加えられる圧力は、中央部よりも外縁部において大きくなっていた。実施例7では、実施例6と比較して、ワークWに加えられる圧力は、外縁部よりも中央部において大きくなっていた。これは、第2緩衝部材6の構成を変更することにより、被プレス面Waの圧力分布に対する中間部材5の影響が変化すること、を示している。すなわち、「A」は「B」よりも応力を均一に拡散させる傾向を有して、「B」は「A」よりも応力を中央に集中させる傾向を有している。このように、第2緩衝部材6の構成は、中間部材5による被プレス面Waの圧力分布の制御に影響を与える因子となり得る。
【0060】
●実施例8~13
実施例8~13では、第3タイプの中間部材5が使用されていて、ワークサイズは150mm、130mm、120mm、および100mmの4種に設定されている。面積比は、順に「0.40」「0.53」「0.63」「0.90」である。実施例8~11では、第2緩衝部材6に厚さ1mmの「A」が使用されていて、実施例12では、第2緩衝部材6に厚さ2mmの「A」が使用されていて、実施例13では、第2緩衝部材6に厚さ2mmの「B」が使用されている。実施例8~10,12,13では、外縁部の強圧現象は生じておらず、特に、実施例9,10,12において、被プレス面Waの圧力分布は均一になるように制御されている。実施例11では、同現象の傾向が僅かに生じているが、ワークWの中央部も加圧されており、同現象は改善されている。実施例10,12,13を比較すると、実施例13では、ワークWに加えられる圧力は、外縁部よりも中央部において大きくなっていた。また、実施例8でも、同様である。この結果は、第2緩衝部材6の材質および当接領域R1の大きさにより、被プレス面Waにおける圧力分布を当接領域R1(当接面5d)の形状に依存した分布に制御可能であること、を示している。
【0061】
●実施例14,15
実施例15,16では、第4タイプの中間部材5が使用されていて、ワークサイズは120mmに設定されていて、上プレス板7の厚さT1は、15mmおよび10mmの2種に設定されている。実施例15では、外縁部の強圧現象は生じておらず、被プレス面Waの圧力分布は均一になるように制御されている。一方、実施例16では、当接領域R1(当接面5d1~5d4)を中心とする4か所に、圧力が集中するような圧力分布(すなわち、中間部材5の形状に依存した圧力分布)が得られた。この結果は、上プレス板7の内部における応力の拡散の程度が厚さT1に依存していること、を示している。そのため、厚さT1が小さい実施例16では、実施例15よりも顕著に中間部材5の形状に依存した圧力分布が得られている。すなわち、この結果は、厚さT1に基づいて、圧力分布が制御可能であること、を示している。
【0062】
●実施例16,17
実施例16では、第1タイプ(95mm×95mm)の中間部材5が使用されていて、実施例17では、第3タイプの中間部材5が使用されている。実施例16,17では、ワークサイズ30mmの9個のワークWが同時に加圧されている。実施例16では、上下方向視において、全てのワークWに対して1個の当接面5d(当接領域R1)が対応している(全てのワークWの上方向に1個の当接面5dが配置されている)。面積比は、順に「0.75(95mm×95mm/110mm×110mm)」「0.69(30mm×30mm)」である。実施例16では、各ワークWのワークサイズは当接面5dよりも小さいが、各ワークWにおいて、外縁部の強圧現象は生じていない。この結果は、9個のワークWが1個のワークW(ワークサイズ110mmのワークW)として加圧可能であること、下面71aのうち、各ワークWが当接している領域を包含する領域がプレス面領域R3として機能していること、複数のワークWを一括で加圧しても本発明は実施可能であること、を示している。しかし、実施例16では、プレス面領域R3の外縁側に配置されているワークW(特に、プレス面領域R3の外縁部側の部分)が、若干強く加圧されていた。一方、実施例17では、複数のワークWが同時に加圧されても、全てのワークWが均等に加圧されていた。この結果は、中間部材5の幾何形状が局所的にも影響を与えること、下面71aのうち、各ワークW(ワークサイズ30mm)に接する個々の領域がプレス面領域R3として機能していること、上下方向視において、各当接面5d1~5d9が配置されている個々の領域が配置領域Rxとして機能していること、および、個々の面積比が「1」未満であることにより、各ワークWの被プレス面Waにおける圧力分布が均等になるように制御可能であること、を示している。
【0063】
●参考例1~7
参考例1~4では、第1タイプの中間部材5が使用されていて、参考例5,6では、第2タイプの中間部材5が使用されていて、参考例7では、第3タイプの中間部材5が使用されている。前述のとおり、参考例1~7では、スケールのみが加圧されている。参考例1では、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6は使用されていない。参考例2では、第1緩衝部材4に厚さ1mmの「A」が使用されていて、第2緩衝部材6は使用されていない。参考例3,5,7では、第1緩衝部材4が使用されておらず、第2緩衝部材6に厚さ1mmの「A」が使用されている。参考例4では、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6に厚さ1mmの「A」が使用されている。参考例6では、第1緩衝部材4が使用されておらず、第2緩衝部材6に厚さ2mmの「B」が使用されている。全ての条件で、外縁部の強圧現象は生じておらず、条件ごとに中間部材5の形状に依存した圧力分布が得られた。参考例1では、上下方向視において、当接領域R1(当接面5d)の角が位置する部分近傍の圧力が高い圧力分布が得られた。参考例2では、参考例1における圧力が少し拡散したような圧力分布が得られた。参考例3~5,7では、上下方向視において、当接領域R1が位置する部分の圧力が高い圧力分布が得られた。参考例4では、参考例3における圧力が少し拡散したような圧力分布が得られた。参考例5では、当接領域R1(当接面5d)の形状に対応する矩形枠状の圧力分布が得られた。参考例6では、当接領域R1の中央部の圧力が高い圧力分布が得られた。これらの結果は、中間部材5が外縁部の強圧現象の改善に寄与していること、を示している。また、同結果は、中間部材5の当接領域R1に応力(圧力)が集中していること、を示している。さらに、同結果は、第2緩衝部材6が中間部材5により集中された圧力を拡散させていること、を示している。さらにまた、同結果は、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6それぞれの有無および材質により、被プレス面Waにおける圧力分布を当接領域R1(当接面5d)の形状に依存した分布に制御可能であること、を示している。
【0064】
●比較例1~9
比較例1~4では、中間部材5は使用されていない。比較例5~7では、第1タイプの中間部材5が使用されていて、比較例8では、第2タイプの中間部材5が使用されていて、比較例9では、第3タイプの中間部材5が使用されている。比較例1~2では、スケールのみが加圧されている。比較例5~9では、ワークサイズは、配置領域Rxの面積「Ax」よりも小さくなるように設定されている。比較例1,3~9では、外縁部の強圧現象を示す典型的な圧力分布が得られた。一方、比較例2では、第2緩衝部材6により、比較例1における圧力が拡散したような圧力分布が得られた。この結果によれば、第2緩衝部材6は、ワークWが配置されていない場合には、外縁部の強圧現象を抑制する。しかし、中間部材5および第2緩衝部材6は、配置領域Rxの面積「Ax」よりも小さいワークWが加圧されるとき、同現象を抑制しない。
【0065】
●ワークの被プレス面の外縁部が強圧される現象の改善
前述の実施例および参考例より、ワークWの被プレス面Waの外縁部が強圧される現象は、中間部材5により改善されている。この要因について、本発明の発明者らの所見が以下に説明される。
【0066】
図7は、シミュレータによる応力の伝達状態を示していて、(a)は配置領域Rxの面積「Ax」よりも小さいワークWが加圧されたときの伝達状態を示していて、(b)は配置領域Rxの面積「Ax」よりも大きいワークWが加圧されたときの伝達状態を示している。
図8は、圧力の偏在化を改善する要因を説明する模式図である。
【0067】
図7において、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6は、使用されていない。
図7(a)において、配置領域Rxの大きさは115mm×115mmであり、ワークサイズは80mm×80mmである。
図7(b)において、配置領域Rxの大きさは115mm×115mmであり、ワークサイズは140mm×140mmである。
図8は、説明の便宜上、応力の大きさを黒塗り矢印で示していて、応力が集中または拡散していく様子を破線で示している。
【0068】
図7(a)に示されるとおり、配置領域Rxよりも小さいワークWが加圧されたとき、中間部材5から加えられる圧力により上プレス板7の内部に生じた応力は、上プレス板7の下面71aの全体(プレス面領域R3よりも外側)に伝達されている。そして、ワークWから載置板8に伝達される圧力は、ワークWのエッジ部分で最大になっている。下面71a全体からワークWに圧力が加えられたとき、プレス面領域R3よりも外側の部分からの外力(圧力)を受ける対象は、存在しない。そのため、同部分が「テコの力点」、ワークWのエッジ部分が「テコの支点」のように機能する。このとき、プレス面領域R3の外側に伝達された応力は、プレス面領域R3の外縁部に集中する。その結果、下面71aからの圧力がワークWのエッジ部分に過剰に加えられて、外縁部の強圧現象が生じる。
【0069】
一方、
図7(b)に示されるとおり、配置領域Rxよりも大きいワークWが加圧されたとき、中間部材5から加えられる圧力により上プレス板7の内部に生じた応力は、上プレス板7内で拡散されつつ、プレス面領域R3に向けて伝達されている。そして、ワークWから載置板8に加えられる圧力は、ワークWのエッジ部分で最大にならず、ワークWの下方向に拡散している。これは、ワークWのエッジ部分が「テコの支点」のように機能していないこと、すなわち、外縁部の強圧現象が抑制されていること、を示している。
【0070】
図8に示されるとおり、ベース部材2から圧力が加えられたとき、第1緩衝部材4の内部に生じた応力は、第1緩衝部材4の内部で拡散されて、均一化される。そのため、第1緩衝部材4から中間部材5に加えられる圧力は、拡散されて、均一化される。すなわち、中間部材5の上面5bにおける圧力分布は、均一化される。次いで、第1緩衝部材4から圧力が加えられたとき、中間部材5の内部に生じた応力は、中間部材5の内部で当接面5d(当接領域R1)に集中して伝達される。そのため、中間部材5から第2緩衝部材6に加えられる圧力は、当接面5dに当接している部分に集中される。このとき、非当接面5c(非当接領域R2)に伝達された応力は、当接面5d(当接領域R1)の外縁側に集中する。したがって、当接面5dから第2緩衝部材6に加えられる圧力は、中央部よりも外縁部において高くなる。次いで、中間部材5から圧力が加えられたとき、第2緩衝部材6に生じた応力は、第2緩衝部材6の内部で拡散されて、均一化される。そのため、第2緩衝部材6から上プレス板7に加えられる圧力は、拡散されて、均一化される。すなわち、上プレス板7の上面7aにおける圧力分布は、均一化される。次いで、第2緩衝部材6から圧力が加えられたとき、上プレス板7の内部に生じた応力は、上プレス板7の内部でやや拡散されて、下面71aのうち、主に、プレス面領域R3の範囲内に伝達される。すなわち、上プレス板7の内部を伝達される応力は、プレス面領域R3の外側よりもプレス面領域R3の範囲内に集中する。そのため、上プレス板7からワークWに加えられる圧力は、プレス面領域R3に当接する部分(被プレス面Wa)に集中される。その結果、ワークWのエッジ部分は「テコの支点」のように機能せず、外縁部の強圧現象は、生じない。
【0071】
ここで、上プレス板7の内部における応力の拡散の程度は、サンブナンの原理に示されているように、上プレス板7の厚さT1が大きくなるにつれて、大きくなる。すなわち、下面71aのうち、応力が集中して伝達される領域(以下「集中領域」という。)は、上プレス板7の厚さT1が大きくなるにつれて大きくなり、同厚さT1が小さくなるにつれて小さくなる。したがって、集中領域の大きさは、上プレス板7の厚さT1、および、当接面5d(当接領域R1)の面積(すなわち、配置領域Rxの面積「Ax」)により、制御可能である。換言すれば、集中領域の大きさを所定の範囲(プレス面領域R3の範囲)に維持するためには、配置領域Rxの面積「Ax」は、中間部材5の当接面5dから下面71aまでの間隔が大きくなるにつれて小さくなり、同間隔が小さくなるにつれて大きくなる、ように設計される。
【0072】
このように、上下方向視において、プレス面領域R3の面積「A3」に対する配置領域Rxの面積「Ax」の比(面積比:Ax/A3)は、上プレス板7の厚さT1、材質、および、上プレス板7に加えられる圧力などの種々のパラメータに依存するが、少なくとも「1」未満に設計される。前述の実施例に示される条件の場合、例えば、面積比は、好ましくは「0.32」以上に設計されて、さらに好ましくは「0.40」以上かつ「0.92」以下に設計されていて、さらに好ましくは、「0.53」以上かつ「0.92」以下に設計されている。面積「A3」は本発明における第1面積の一例であり、面積「Ax」は本発明における第2面積の一例である。
【0073】
●まとめ
以上説明された実施の形態によれば、上加圧ユニットUPは、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および下面71aを備える。第2緩衝部材6は、第1緩衝部材4よりも下方向に配置されている。中間部材5は、第1緩衝部材4と第2緩衝部材6との間に、第1緩衝部材4と第2緩衝部材6とに隣接して配置されている。下面71aは、金属製であり、ワークWが加圧されるとき、ワークWに当接する。下面71aは、XY方向に平行な平面状である。中間部材5は、非当接面5c(非当接領域R2)および当接面5d(当接領域R1)を備える。下面71aは、ワークWが加圧されるとき、ワークWに当接するプレス面領域R3を備える。上下方向視において、当接領域R1は、プレス面領域R3の外周線で示される第1外周線Lo1よりも内側に配置される。この構成によれば、中間部材5の内部において、応力は、中間部材5の内部で当接領域R1(当接面5d)に集中される。次いで、上プレス板7の内部において、応力は、下面71aに伝達される過程で拡散されつつ、プレス面領域R3に向けて伝達される。すなわち、応力は、プレス面領域R3に集中する。その結果、ワークWのエッジ部分に過剰な圧力が加えられず、外縁部の強圧現象は改善される。すなわち、本装置1は、外縁部の強圧現象が生じないように、被プレス面Waの圧力分布を制御できる。
【0074】
このように、本発明は、上プレス板7の厚さT1を大きくして上プレス板7の剛性を高める従来の設計を採用していない。したがって、本発明では、上プレス板7の厚さT1は、従来の設計よりも薄くできる。そのため、第1緩衝部材4、中間部材5、および第2緩衝部材6の交換に係る作業者の負担は、軽減される。また、本装置1は、上プレス板7の厚さT1の大きさにより、上プレス板7の内部における応力の拡散量を制御して、被プレス面Waの圧力分布を制御できる。
【0075】
また、以上説明された実施の形態によれば、上加圧ユニットUPは、下面71aを備える上プレス板7を備える。上プレス板7は、第2緩衝部材6よりも下方向に、第2緩衝部材6に隣接して配置される。第2緩衝部材6は、ワークWが加圧されるとき、上下方向に圧縮されて、ワークWの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成されている。この構成によれば、中間部材5の内部の応力が当接領域R1(当接面5d)に集中しても、第2緩衝部材6の内部に生じた応力は、第2緩衝部材6の内部で拡散して、均一化される。その結果、第2緩衝部材6から上プレス板7に加えられる圧力は、均一化される。したがって、上プレス板7の内部に生じる応力は、均一化される。そのため、プレス面領域R3に伝達される応力の分布は、仮に第2緩衝部材6が存在しない場合の同分布と比較して、均一化される。その結果、本装置1は、被プレス面Waの圧力分布が均一になるように制御できる。また、弾性材料製である第2緩衝部材6が中間部材5と上プレス板7との間に配置されていることにより、上プレス板7に対する中間部材5の軸ずれは、抑制される。
【0076】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、第1緩衝部材4は、ワークWが加圧されるとき、上下方向に圧縮されて、ワークWの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成されている。この構成によれば、第1緩衝部材4から中間部材5に加えられる圧力は、均一化される。また、弾性材料製である第1緩衝部材4がベース部材2と中間部材5との間に配置されていることにより、ベース部材2に対する中間部材5の軸ずれは、抑制される。
【0077】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、中間部材5は、非当接面5cおよび当接面5dを備える。当接面5dは、第2緩衝部材6に当接している。非当接面5cは、上下方向において、当接面5dよりも上方向に配置されていて、第2緩衝部材6に当接していない。上下方向視において、当接領域R1は当接面5dが配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5cが配置されている領域である。この構成によれば、板状の部材の下面に凹部を形成するだけで、中間部材5は、容易に形成される。また、当接面5dの位置および形状は、凹部の位置および形状に応じて、任意に設計される。したがって、本装置1は、被プレス面Waの圧力分布を、中間部材5の形状に依存した分布、または、均一な分布になるように制御できる。
【0078】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、上下方向視において、プレス面領域R3の外周線で示される第1外周線Lo1の形状は、正方形状である。上下方向視において、当接面5dが配置される配置領域Rxの形状は、正方形状である。上下方向視において、配置領域Rxは、第1外周線Lo1の内側に配置されている。すなわち、第2外周線Lo2の形状は、第1外周線Lo1の形状と相似形である。上下方向視において、プレス面領域R3の面積「A3」に対する配置領域Rxの面積「Ax」の比は、「0.40」以上、かつ、「0.92」以下である。この構成によれば、本装置1は、外縁部の強圧現象を確実に改善できると共に、被プレス面Waの圧力分布を制御できる。
【0079】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、配置領域Rxは、中間部材5のうち、第2緩衝部材6に当接する当接面5dから下面71aまでの間隔が大きくなるにつれて小さくなり、同間隔が小さくなるにつれて大きくなる、ように設計される。この構成によれば、ワークWの被プレス面Waの長さ(ワークサイズ)、および、上プレス板7の厚さT1に基づいて、ワークWに応じた当接面5dを備える(配置領域Rxを有する)中間部材5は、容易に設計される。
【0080】
●その他の実施形態●
なお、本発明において、本装置1は、第1緩衝部材4を備えていなくてもよい。すなわち、中間部材5は、ベース部材2の下方向に、ベース部材2に隣接して配置されてもよい。この場合、ベース部材2は、本発明における第1加圧部材として機能している。この構成では、前述の実施例1~12に示されるとおり、本装置1は、外縁部の強圧現象を改善できると共に、被プレス面Waの圧力分布を均一になるように制御できる。
【0081】
また、本発明において、本装置1は、第2緩衝部材6を備えていなくてもよい。すなわち、上プレス板7は、中間部材5の下方向に、中間部材5に隣接して配置される。この場合、上プレス板7は、本発明における第2加圧部材として機能している。この構成では、上プレス板7の内部で伝達される応力の分布は、第1実施形態よりも不均一になるが、前述の参考例2に示されるとおり、外縁部の強圧現象は改善される。
【0082】
さらに、本発明において、本装置1は、第1緩衝部材4および第2緩衝部材6を備えていなくてもよい。すなわち、中間部材5は、ベース部材2の下方向に、ベース部材2に隣接して配置されてもよい。また、上プレス板7は、中間部材5の下方向に、中間部材5に隣接して配置される。この場合、ベース部材2は本発明における第1加圧部材として機能していて、上プレス板7は本発明における第2加圧部材として機能している。この構成では、上プレス板7の内部で伝達される応力の分布は、第1実施形態よりもさらに不均一になるが、前述の参考例1に示されるとおり、外縁部の強圧現象は改善される。
【0083】
さらにまた、本発明において、中間部材5の材料は、加圧時に当接領域R1の形状(面積)がほぼ変化しない材料であればよく、高い剛性を有する金属に限定されない。すなわち、例えば、本装置1は、中間部材5に代えて、中間部材5と同じ形状を有する第1緩衝部材4または第2緩衝部材6を本発明における中間部材として備えていてもよい。また、例えば、中間部材5は、硬質断熱部材製でもよい。
【0084】
さらにまた、本発明において、中間部材5は当接領域R1と非当接領域R2とを備えていればよく、中間部材5の形状は、第1実施形態の形状に限定されない。すなわち、例えば、中間部材5は、後述される第2変形例~第5変形例における中間部材5B~5Eのような形状に形成されていてもよい。
【0085】
さらにまた、本発明において、上プレス板7の厚さT1は、ワークWが加圧されるとき、当接領域R1の下方向に位置する部分が弾性変形可能な程度の大きさに(すなわち、薄く)設計されてもよい。この場合、当接領域R1は、例えば、ワークWの被プレス面Waの形状または組成に応じて、被プレス面Waのうち、局所的な加圧が必要な領域の上方向に配置されている。この構成では、上プレス板7は、局所的に弾性変形する。したがって、本装置1は、例えば、被プレス面Waのうち、組成の差異により加圧後に突出する部分のみを局所的に加圧できる。また、例えば、本装置1は、複数のワークWを一括して加圧できて、複雑な形状のワークWを局所的に加圧できる。さらに、例えば、厚さT1が薄い場合、本装置1は、面積比を「1」に近づけることにより、被プレス面Waの圧力分布を均一に制御できて、面積比を小さくすることにより、被プレス面Waの圧力分布を中間部材5の形状に依存した分布に制御できる。このような厚さT1の設計は、上プレス板7の剛性を高める従来の設計では、採用し得ない設計である。
【0086】
さらにまた、本発明において、下加圧ユニットDPは、ワークWを加熱する熱ユニットを備えていてもよい。
【0087】
さらにまた、本発明において、中間部材5は、複数の当接面5dを備えていてもよい。この場合、各当接面5dの形状は、後述される第3変形例の当接面5d1~5d9のように同じでもよく、または、個々に異なっていてもよい。
【0088】
さらにまた、本発明において、上下方向視における当接面5dの形状は、矩形状に限定されない。すなわち、例えば、上下方向視における当接面5dの形状は、下面71aに伝達される応力の分布の形状に応じて、有限要素法などの公知の解析手法を用いて、目的に応じた最適形状を求める逆問題を解くことにより、任意に設計されてもよい。
【0089】
さらにまた、本発明において、XY方向において、中間部材5の長さL5は、上プレス板7の外フランジ部72の長さL72よりも小さくてもよい。すなわち、例えば、長さL5は、プレス面領域R3の長さLR3よりも小さくてもよい。換言すれば、上下方向視において、中間部材5は、第1外周線Lo1よりも内側のみに配置されていてもよい。
【0090】
さらにまた、本発明において、本装置1は、3個以上の上加圧ユニットUPおよび下加圧ユニットDPを備えていてもよい。すなわち、本装置1は、3段以上の加圧装置でもよい。
【0091】
さらにまた、本発明において、本装置1は、中間部材5と第2緩衝部材6との間に配置されている、断熱材料製の断熱部材を備えてもよい。この場合、上下方向視において、断熱部材の形状は、第2緩衝部材6と同じ形状でもよい。本装置1が第2緩衝部材6を備えていないとき、断熱部材は、本発明における第2加圧部材として機能し得る。この構成では、下加圧ユニットDPがワークWを加熱する熱ユニットを備えていても、熱ユニットからの熱は、断熱部材により遮断されて、第2緩衝部材6、第1緩衝部材4、およびベース部材2に伝達されない。
【0092】
さらにまた、本発明において、プレス面領域R3は、前述の実施例17に示されるとおり、複数のワークWが一括して加圧されて、かつ、上下方向視において全てのワークWに対して1つの当接面5dが対応しているとき、下面71aのうち、各ワークWが当接している領域を包含する領域であってもよい。すなわち、プレス面領域R3は、各ワークWが当接する複数の領域を包含してもよい。この場合、第1外周線Lo1は、同領域の外周線で示される。
【0093】
さらにまた、本発明において、プレス面領域R3は、前述の実施例14に示されるとおり、複数のワークWが一括して加圧されて、かつ、上下方向視において各ワークWに対して各当接面5d1~5d9が対応しているとき、下面71aのうち、各ワークWが当接している領域それぞれであってもよい。すなわち、下面71aは、複数のプレス面領域R3を備えていてもよい。この場合、第1外周線Lo1は、各領域の外周線で示される。
【0094】
さらにまた、本発明において、ワークWの上には、下面71aの保護、および、ワークWの貼り付き防止を目的とする保護シートが被せられていてもよい。保護シートの厚さは、その内部において応力の均一化がほぼ生じない程度に薄い。そのため、保護シートの有無による本発明の効果の差異は、生じない。
【0095】
●変形例●
次に、本装置1の変形例が、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)と異なる点を中心に、以下に説明される。以下の変形例において、説明の便宜上、第1実施形態と同じ部材、および、共通する機能を有する部材には、第1実施形態と同じ符号が付されていて、その詳細な説明は省略される。以下の変形例において、
図1および
図2は、適宜参照される。
【0096】
●第1変形例
図9は、本装置の第1変形例を示す、本装置の模式断面図である。
【0097】
本装置1Aは、上下方向において2つのワークW1,W2を挟み込んで加圧する。本装置1Aは、ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、上プレス板7、載置板8、下プレス板9、昇降装置10、制御装置11、第2ベース部材12、第2枠部材13、第3緩衝部材14、第2中間部材15、第4緩衝部材16、第2上プレス板17、および第2載置板18を有してなる。ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7は、上下方向においてワークW1よりも上方向に配置されていて、ワークW1を上方向から加圧する上加圧ユニットUPとして機能している。載置板8および第2ベース部材12は、上下方向においてワークW1よりも下方向に配置されていて、ワークW1を下方向から加圧する下加圧ユニットDPとして機能している。同様に、第2ベース部材12、第2枠部材13、第3緩衝部材14、第2中間部材15、第4緩衝部材16、および第2上プレス板17は、上下方向においてワークW2よりも上方向に配置されていて、ワークW2を上方向から加圧する第2上加圧ユニットUP2として機能している。第2載置板18および第2下プレス板19は、上下方向においてワークW2よりも下方向に配置されていて、ワークW2を下方向から加圧する第2下加圧ユニットDP2として機能している。すなわち、本装置1Aは、上方向から順に、上加圧ユニットUP、下加圧ユニットDP、第2上加圧ユニットUP2、および第2下加圧ユニットUD2が配置されている2段加圧装置である。
【0098】
第2ベース部材12は、第2枠部材13を介して、第3緩衝部材14、第2中間部材15、第4緩衝部材16、および第2上プレス板17を支持している。第2ベース部材12の構成は、ベース部材2の構成と共通する。第2ベース部材12は、上下方向に移動(昇降)可能に昇降装置10に支持されている。第2ベース部材12の上には、載置板8が載置されている。第2ベース部材12は、下加圧ユニットDPの下プレス板としても機能している。上下方向において、第2ベース部材12の大きさ(厚さ)は、載置板8を介して第2ベース部材12に伝達される圧力により第2ベース部材12の内部に生じる応力が、第2ベース部材12の内部で十分に拡散可能な程度の大きさに設定される。
【0099】
第2枠部材13は、第3緩衝部材14、第2中間部材15、第4緩衝部材16、および、第2上プレス板17の一部を収容する。第2枠部材13の構成は、枠部材3の構成と共通する。第2枠部材13は、本体部131および内フランジ部132を備える。本体部131は、内周面131aを備える。内フランジ部132は、上面132aおよび内周面132bを備える。
【0100】
第3緩衝部材14は、ワークW2が加圧されるとき、第3緩衝部材14に加えられた圧力を拡散および均一化させる。また、第3緩衝部材14は、ワークW2が加圧されるとき、第2中間部材15の軸ずれを抑制する。第3緩衝部材14の構成は、第1緩衝部材4の構成と共通する。第3緩衝部材14は、下面14aおよび上面14bを備える。第3緩衝部材14は、本発明における第1加圧部材の一例である。
【0101】
第2中間部材15は、ワークW2が加圧されるとき、第2中間部材15に加えられた圧力を集中させる。第2中間部材15の構成は、中間部材5の構成と共通する。第2中間部材15は、下面15a、上面15b、非当接面15c、および当接面15dを備える。第2中間部材15は、本発明における中間部材の一例である。上下方向視において、第2中間部材15のうち、当接面15dが配置されている領域は当接領域R11であり、非当接面15cが配置されている領域は非当接領域R12である。
【0102】
第4緩衝部材16は、ワークW2が加圧されるとき、第4緩衝部材16に加えられた圧力を拡散および均一化させる。また、第4緩衝部材16は、ワークW2が加圧されるとき、第2中間部材15の軸ずれを抑制する。第4緩衝部材16の構成は、第2緩衝部材6の構成と共通する。第4緩衝部材16は、下面16aおよび上面16bを備える。第4緩衝部材16は、本発明における第2加圧部材の一例である。
【0103】
第2上プレス板17は、ワークW2が加圧されるとき、ワークW2を下方向に向けて加圧する。第2上プレス板17の構成は、上プレス板7の構成と共通する。第2上プレス板17は、上面17a、本体部171および外フランジ部172を備える。本体部171は、下面171aを備える。下面171aは、プレス面領域R13を備える。第2上プレス板17は、本発明における第3加圧部材の一例である。下面171aは、本発明における上プレス面の一例である。外フランジ部172は、下面172aを備える。
【0104】
第2載置板18は、ワークW2が載置される部材である。第2載置板18の構成は、載置板8の構成と共通する。第2載置板18は、第2下プレス板19の上に載置されている。第2載置板18は、上面である載置面18aを備える。
【0105】
第2下プレス板19は、ワークW2が加圧されるとき、第2上加圧ユニットUP2からの圧力に応じて、ワークW2を上方向に向けて加圧する。第2下プレス板19の構成は、下プレス板9の構成と共通する。
【0106】
第2ベース部材12、第2枠部材13、第3緩衝部材14、第2中間部材15、第4緩衝部材16、および第2上プレス板17それぞれの位置関係および大小関係は、ベース部材2、枠部材3、第1緩衝部材4、中間部材5、第2緩衝部材6、および上プレス板7それぞれの位置関係および大小関係と共通する。
【0107】
なお、第1変形例において、各部材の寸法公差などにより、中間部材5の上面5bにおける圧力分布は、第2中間部材15の上面15bにおける圧力分布と異なり得る。また、第2ベース部材12の厚さが薄い場合、ワークW1自体が本発明における中間部材として機能して、第2ベース部材12から第2中間部材15に伝達される圧力はその影響を受け得る。この場合、中間部材5の当接領域R1の長さLR1はワークW1に加えられる圧力に応じて設定されて、第2中間部材15の当接領域R11の長さLR11はワークW2に加えられる圧力に応じて設定されるとよい。すなわち、長さLR11は、長さLR1と異なってもよい。
【0108】
また、第1変形例において、本装置1Aは、第3緩衝部材14を備えていなくてもよい。すなわち、第2中間部材15は、第2ベース部材12の下方向に、第2ベース部材12に隣接して配置されてもよい。この場合、第2ベース部材12は、本発明における第1加圧部材として機能している。
【0109】
さらに、第1変形例において、本装置1Aは、第4緩衝部材16を備えていなくてもよい。すなわち、第2上プレス板17は、第2中間部材15の下方向に、第2中間部材15に隣接して配置される。この場合、第2上プレス板17は、本発明における第2加圧部材として機能している。
【0110】
さらにまた、第1変形例において、本装置1Aは、第3緩衝部材14および第4緩衝部材16を備えていなくてもよい。すなわち、第2中間部材15は、第2ベース部材12の下方向に、第2ベース部材12に隣接して配置されてもよい。また、第2上プレス板17は、第2中間部材15の下方向に、第2中間部材15に隣接して配置される。この場合、第2ベース部材12は本発明における第1加圧部材として機能していて、第2上プレス板17は本発明における第2加圧部材として機能している。
【0111】
●第2変形例~第5変形例
本装置の第2変形例~第5変形例では、中間部材の構成が、第1実施形態と異なる。そのため、以下の説明では、中間部材のみが説明される。
【0112】
図10は本装置の第2変形例~第5変形例における中間部材の模式底面図であり、(a)は第2変形例における中間部材を示していて、(b)は第3変形例における中間部材を示していて、(c)は第4変形例における中間部材を示していて、(d)は第5変形例における中間部材を示している。
同図は、配置領域Rxの第2外周線Lo2を太い破線で示していて、プレス面領域R3(被プレス面Wa)を二点鎖線で示している。
【0113】
第2変形例における中間部材5Bは、2個の非当接面5c1,5c2、および1個の当接面5dを備える。上下方向視において、非当接面5c1の形状は矩形状であり、当接面5dの形状は非当接面5c1の全周を囲む矩形枠状であり、非当接面5c2の形状は当接面5dの全周を囲む矩形枠状である。第2外周線Lo2は、当接面5dの外周線と同じである。上下方向視において、当接領域R1は当接面5dが配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5c1,5c2が配置されている領域である。この構成では、実施例6~7および参考例5~6に示されるとおり、本装置1は、外縁部の強圧現象を改善できる。また、本装置1は、被プレス面Waの圧力分布を、中間部材5の形状に依存した分布に制御できる。
【0114】
第3変形例における中間部材5Cは、1個の非当接面5c、および9個の当接面5d1~5d9を備える。上下方向視において、当接面5d1~5d9の形状は、同じ矩形状である。当接面5d1~5d9は、3行×3列の配置パターンで、均等に配置されている。上下方向視において、配置領域Rxは、全ての当接面5d1~5d9が配置されて、かつ、その面積が最小となる形状(第3変形例では矩形状)の領域である。非当接面5c1は、配置領域Rxの内側に配置されている格子状の部分、および、配置領域Rxの外側に配置されている矩形枠状の部分、を備える。上下方向視において、当接領域R1は当接面5d1~5d9が配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5cが配置されている領域である。この構成では、実施例8~12および参考例7に示されるとおり、本装置1は、外縁部の強圧現象を改善できる。また、本装置1は、被プレス面Waの圧力分布を、中間部材5の形状に依存した分布に制御できる。
【0115】
第4変形例における中間部材5Dは、12個の非当接面5c1~5c12、9個の当接面5d1~5d9、および4個の貫通部5e1~5e4を備える。上下方向視において、当接面5d1~5d9の形状は、同じ矩形状である。当接面5d1~5d9は、3行×3列の配置パターンで、均等に配置されている。上下方向視において、隣り合う当接面5d1~5d9は、橋状の部分により接続されている。非当接面5c1~5c12は、同橋状の部分に配置されている。貫通部5e1~5e4は、中間部材5Dを上下方向に貫通する貫通孔である。上下方向視において、貫通部5e1~5e4の形状は、クロス状である。貫通部5e1~5e4は、当接面5d1~5d9を区画するように、当接面5d1~5d9の間に配置されている。上下方向視において、配置領域Rxは、全ての当接面5d1~5d9が配置されて、かつ、その面積が最小となる領域である。上下方向視において、当接領域R1は当接面5d1~5d9が配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5c1~5c12および貫通部5e1~5e4が配置されている領域である。第4変形例では、中間部材5Dの長さL5は、第1緩衝部材4の長さL4および第2緩衝部材6の長さL6よりも小さい。そのため、中間部材5Dの周囲には、矩形枠状の空間が形成されている。第1緩衝部材4の外縁部は、同空間を介して、第2緩衝部材6の外縁部に対向している。この構成では、板状の部材に非当接領域R2として機能する貫通孔を形成して、橋状の部分に非当接面5c1~5c12を形成するだけで、中間部材5Dは、容易に形成される。また、当接面5dの位置および形状は、貫通孔の位置よび形状に応じて、任意に設計される。
【0116】
なお、第4変形例において、橋状の部分には、非当接面5c1~5c12が形成されていなくてもよい。この場合、橋状の部分は、当接面として機能する。この構成では、非当接面5c1~5c12の形成が不要となり、板状の部材に非当接領域R2として機能する貫通孔を形成するだけで、中間部材5Dは容易に形成可能である。
【0117】
また、第4変形において、貫通部5e1~5e4の形状はクロス状に限定されず、貫通部5e1~5e4の数は4個に限定されない。
【0118】
第5変形例における中間部材5Eは、1個の非当接面5c、および1個の当接面5dを備える。上下方向視において、当接面5dの形状は、矩形状である。上下方向視において、当接面5dは、プレス面領域R3の内側、かつ、中間部材5Eの1個の角側に偏るように配置されている。上下方向視において、非当接面5cの形状は、当接面5dの全周を囲む矩形枠状である。上下方向視において、当接領域R1は当接面5dが配置されている領域であり、非当接領域R2は非当接面5cが配置されている領域である。このように中間部材5Eが形成されることにより、プレス面領域R3のうち、上下方向視において、当接領域R1を含み、当接領域R1を中心とする所定の領域(
図10(d)においてハッチングされた領域)は、他の領域R3bよりも大きい圧力でワークWを加圧する偏加圧領域R3aである。上下方向視において、当接領域R1は、偏加圧領域R3aの範囲内に配置されていて、偏加圧領域R3aに対応している。換言すれば、当接領域R1は、偏加圧領域R3aに対応する領域(以下「特定領域R1a」という。)を含んでいる。この構成では、本装置1は、被プレス面Waのうち、所定の領域(偏加圧領域R3aに当接する領域)の圧力が他の領域の圧力よりも高くなるように制御できる。偏加圧領域R3aの位置および長さは、プレス面領域R3に対する特定領域R1a(当接面5d)の位置および長さに応じて、任意に設計される。すなわち、本装置1は、中間部材5に代えて中間部材5Eを用いることにより、平面状のプレス面により直接的に(または、保護シートを介して間接的に)ワークを加圧する従来の加圧装置(以下「従来装置」という。)では実現不可能であった、被プレス面Waのうち、任意の領域の偏加圧を実行できる。また、複数の偏加圧領域R3aが形成されるように、複数の特定領域R1a(当接面5d)が形成されることにより、本装置1は、従来装置では実現不可能であった、複数のワークWの一括加圧も実行できる。
【0119】
なお、第5変形例において、中間部材5Eは、特定領域R1aを含む複数の当接領域R1に対応する複数の当接面5dを備えていてもよい。
【0120】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0121】
本発明の第1の実施態様は、上下方向においてワーク(例えば、ワークW,W1,W2)を挟み込んで加圧する加圧装置(例えば、加圧装置1,1A)であって、前記ワークの上方向に配置される上加圧ユニット(例えば、上加圧ユニットUP、第2上加圧ユニットUP2)、を有してなり、前記上加圧ユニットは、第1加圧部材(例えば、ベース部材2、第1緩衝部材4、第3緩衝部材14)と、前記第1加圧部材よりも下方向に配置される第2加圧部材(例えば、第2緩衝部材6、上プレス板7、第4緩衝部材16、第2上プレス板17)と、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材とに隣接して配置される中間部材(例えば、中間部材5~5E)と、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接する、金属製で平面状の上プレス面(例えば、下面71a,171a)と、を備えて、前記中間部材は、前記第2加圧部材に当接する当接領域(例えば、当接領域R1,R11)と、前記第2加圧部材に当接しない非当接領域(例えば、非当接領域R2,R12)と、を備えて、前記上プレス面は、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに当接するプレス面領域(例えば、プレス面領域R3,R13)、を備えて、前記当接領域は、上下方向視において、前記非当接領域に隣接して配置されて、前記プレス面領域の外周線で示される第1外周線(例えば、第1外周線Lo1)よりも内側に配置される、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、外縁部の強圧現象が生じないように、被プレス面の圧力分布を制御できる。
【0122】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記上加圧ユニットは、前記上プレス面を備える第3加圧部材(例えば、上プレス板7、第2上プレス板17)、を備えて、前記第3加圧部材は、前記第2加圧部材(例えば、第2緩衝部材6、第4緩衝部材16)よりも下方向に、前記第2加圧部材に隣接して配置されて、前記第2加圧部材は、前記ワークが加圧されるとき上下方向に圧縮されて、前記ワークの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成される、加圧装置である。
この構成によれば、ワークの被プレス面は、均一に加圧される。また、上プレス板に対する中間部材の軸ずれは、抑制される。
【0123】
本発明の第3の実施態様は、第1の実施態様において、前記第2加圧部材(例えば、上プレス板7、第2上プレス板17)は、前記上プレス面、を備える、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、各段において、外縁部の強圧現象が生じないように、被プレス面の圧力分布を制御できる。
【0124】
本発明の第4の実施態様は、第2または第3の実施態様において、前記第1加圧部材(例えば、第1緩衝部材4、第3緩衝部材14)は、前記ワークが加圧されるとき上下方向に圧縮されて、前記ワークの加圧が終了したとき加圧前の状態に復元可能な弾性材料で構成される、加圧装置である。
この構成によれば、第1緩衝部材から中間部材に加えられる圧力は、均一化される。また、ベース部材に対する中間部材の軸ずれは、抑制される。
【0125】
本発明の第5の実施態様は、第1乃至第3のいずれか1つの実施態様において、前記中間部材は、前記第2加圧部材に当接する当接面(例えば、当接面5d,5d1~5d9)と、上下方向において前記当接面よりも上方向に配置されて、前記第2加圧部材に当接しない非当接面(例えば、非当接面5c,5c1~5c12)と、を備えて、上下方向視において、前記当接領域は、前記当接面が配置される領域であり、上下方向視において、前記非当接領域は、前記非当接面が配置される領域である、加圧装置である。
この構成によれば、板状の部材の下面に凹部を形成するだけで、中間部材は、容易に形成される。
【0126】
本発明の第6の実施態様は、第1乃至第3のいずれか1つの実施態様において、前記中間部材(例えば、中間部材5D)は、前記第2加圧部材に当接する当接面(例えば、当接面5d1~5d9)と、前記中間部材を上下方向に貫通する貫通孔(例えば、貫通部5e1~5e4)と、を備えて、上下方向視において、前記当接領域は、前記当接面が配置される領域であり、上下方向視において、前記非当接領域は、前記貫通孔が配置される領域である、加圧装置である。
この構成によれば、板状の部材に非当接領域として機能する貫通孔を形成するだけで、中間部材は、容易に形成される。
【0127】
本発明の第7の実施態様は、第1の実施態様において、上下方向視において、前記当接領域が配置される配置領域(例えば、配置領域Rx)の外周線で示される第2外周線(例えば、第2外周線Lo2)の形状は、前記第1外周線の形状と相似形であり、上下方向視において、前記第1外周線で区画される前記プレス面領域の第1面積(例えば、面積「A3」)に対する、前記第2外周線で区画される前記配置領域の第2面積(例えば、面積「Ax」)の比は、0.40以上、かつ、0.92以下である、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、外縁部の強圧現象を確実に改善できると共に、被プレス面の圧力分布を制御できる。
【0128】
本発明の第8の実施態様は、第1の実施態様において、上下方向視において、前記当接領域が配置される配置領域は、前記中間部材のうち、前記第2加圧部材に当接する当接面から前記上プレス面までの間隔(例えば、厚さ「T1」)が大きくなるにつれて小さくなり、前記間隔が小さくなるにつれて大きくなる、ように設計される、加圧装置である。
この構成によれば、ワークに応じた当接面を備える(配置領域を有する)中間部材は、容易に設計される。
【0129】
本発明の第9の実施態様は、第1の実施態様において、前記プレス面領域は、上下方向視において、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの一部の所定の領域を、前記ワークの他の領域よりも大きい加圧力で加圧する偏加圧領域(例えば、偏加圧領域R3a)、を含み、前記当接領域は、前記偏加圧領域に対応する特定領域(例えば、特定領域R1a)、を含み、上下方向視において、前記特定領域は、前記偏加圧領域の範囲内に配置される、加圧装置である。
この構成によれば、本装置は、被プレス面のうち、任意の領域が強く加圧されるように、被プレス面の圧力分布を制御できる。
【符号の説明】
【0130】
1 加圧装置
2 ベース部材(第1加圧部材)
4 第1緩衝部材(第1加圧部材)
5 中間部材
5c,5c1~5c12 非当接面
5d,5d1~5d9 当接面
6 第2緩衝部材(第2加圧部材)
7 上プレス板(第2加圧部材、第3加圧部材)
71a 下面(上プレス面)
12 第2ベース部材(第1加圧部材)
14 第3緩衝部材(第1加圧部材)
15 第2中間部材(中間部材)
15c 非当接面
15d 当接面
16 第4緩衝部材(第2加圧部材)
17 上プレス板(第2加圧部材、第3加圧部材)
171a 下面(上プレス面)
R1 当接領域
R2 非当接領域
R11 当接領域
R12 非当接領域
Rx 配置領域
R3a 偏加圧領域
R3b 他の領域
【要約】
【課題】被プレス面の圧力分布を制御可能な加圧装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧装置1,1Aは、第1加圧部材4,14と、第1加圧部材よりも下方向に配置される第2加圧部材6,16と、第1加圧部材と第2加圧部材との間に、第1加圧部材と第2加圧部材とに隣接して配置される中間部材5,15,5B~5Eと、金属製で平面状の上プレス面71a,171aと、を備える。中間部材は、第2加圧部材に当接する当接領域R1,R11と、第2加圧部材に当接しない非当接領域R2,R12と、を備える。上プレス面は、ワークに当接するプレス面領域R3,R13、を備える。当接領域は、上下方向視において、非当接領域に隣接して配置されて、プレス面領域の外周線で示される第1外周線Lo1よりも内側に配置される。
【選択図】
図1