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特許7581580紙またはパルプ技術用の織物、ならびに紙またはパルプ技術用の織物を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】紙またはパルプ技術用の織物、ならびに紙またはパルプ技術用の織物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D21F 7/08 20060101AFI20241106BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20241106BHJP
   D03D 3/04 20060101ALI20241106BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
D21F7/08 Z
D03D1/00 Z
D03D3/04
D03D11/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022507764
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 FI2020050567
(87)【国際公開番号】W WO2021048464
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】20195744
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ナーマンカ,ヨルマ
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン,ユハ タピオ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/085338(WO,A1)
【文献】特表2006-515678(JP,A)
【文献】特開2012-240669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21F1/00-13/12
D03D1/00-27/18
G01L5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙またはパルプ技術用の織物であって、
長手方向、幅方向、ならびに当該織物の厚さ方向における第1の表面および第2の表面を有し、
当該織物は、前記幅方向において第1のエッジから第2のエッジまで延在し、前記長手方向において第1の端部から第2の端部まで延在し、
前記第1の端部および前記第2の端部は、ピンにより相互に接合可能なシーム形成対応組を有し、
当該織物は、編み物を形成する長手方向ヤーンおよび幅方向ヤーンを有し、
当該織物は、該織物に埋設された少なくとも1つのセンサを有するストリングを有し、
前記ストリングは、当該織物の前記編み物を形成する前記長手方向ヤーンおよび前記幅方向ヤーンとは別であり、
当該織物は、前記第1の端部および前記第2の端部に、前記シーム形成対応組としてシームループを有し、前記ストリングは、前記シームループを接続する前記ピンとして構成される、織物。
【請求項2】
当該織物は、該織物の前記厚さ方向に相互に重ねられた2以上のヤーンの層を有し、
前記ストリングは、前記ヤーンの層の間に延在するように構成される、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記センサは、速度エネルギーを捕獲し、電力源として前記エネルギーを用いるように構成される、請求項1または2に記載の織物。
【請求項4】
少なくとも1つの織物は、少なくとも1つのバットファイバ層とともにプレス区画用のフェルトを形成する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の織物。
【請求項5】
紙またはパルプ技術用の織物を製造する方法であって、
前記織物は、長手方向、幅方向、ならびに前記織物の厚さ方向における第1の表面および第2の表面を有し、
前記織物は、前記幅方向において第1のエッジから第2のエッジまで延在し、前記長手方向において第1の端部から第2の端部まで延在し、
前記第1の端部および前記第2の端部は、ピンにより相互に接合可能なシーム形成対応組を有し、
前記織物は、編み物を形成する機械方向ヤーンおよび幅機械方向ヤーンを有し、
当該方法は、
前記織物において少なくとも1つのセンサを有するストリングを固定するステップ
を有し、
前記ストリングは、前記織物の前記編み物を形成する前記機械方向ヤーンおよび前記幅機械方向ヤーンとは別であり、
前記ストリングは、前記ピンとして構成される、方法。
【請求項6】
繕い、スレッド化、シューティング、液体中での設置、裁縫、注入、製織、または巻取りにより、前記ストリングを前記織物に固定するステップを有する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙またはパルプ技術用の織物(fabric)に関する。織物は、長手方向および幅方向(cross direction)を有し、織物の厚さ方向において第1の表面および第2の表面を有する。織物は、第1のエッジから第2のエッジまで、幅方向に延在する。また、本発明は、紙またはパルプ技術用の織物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙またはパルプ機械用の既知の織物に関する課題の一つは、プロセスを調整するため、該プロセスに広がる実際の条件から得られる測定結果が要求されることである。既知の測定装置が存在するが、それらは、しばしば、携帯用装置または測定バーのいずれかである。携帯用装置の場合、作業員は、高速で移動する網およびロールの近くで作業する必要があるため、携帯用装置は、作業員に相応の危険をもたらす。前述の装置に加えて、抄紙機ロール内に配置された測定センサも知られている。全てのオプションに共通する問題は、全ての関心パラメータのための測定方法が存在しないことである。また、織物の内部を評価する測定方法も存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、前述の問題を解決する織物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項に記載の特徴を有する物および方法によって達成される。本発明の好適実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明は、織物の内部、織物の表面、または織物の近傍からデータを得るため、織物に少なくとも1つのセンサを有する適合可能な媒体を埋設するという考えに基づく。
【0006】
織物は、紙もしくはパルプ機械のような、紙またはパルプの技術に関するものであり、あるいは紙もしくはパルプ技術に関連するろ過の技術、例えばディスクフィルタに関する。織物は、ワイヤまたはフェルトであってもよい。織物は、特にプレス区画用のフェルトである。プレス区画用のフェルトは、少なくとも1つの織物、および少なくとも1つのバットファイバ層を有する。フェルトには、ポリウレタンが含浸されてもよい。含浸は、フェルトの空気透過率がほぼゼロになるように、十分行われてもよい。
【0007】
フェルトは、50から2200m/minの速度で作動される必要があり得る。フェルトが通過するニップの圧力は、例えば、1から3MPa、2から5MPa、3から6MPa、または7から10MPaである。
【0008】
織物は、長手方向と幅方向とを有する。織物は、無端ループであってもよく、または第1の端部から第2の端部まで長手方向に延在してもよい。織物は、該織物の幅方向において、第1のエッジから第2のエッジまで延在する。織物は、織物の厚さ方向に第1の表面および第2の表面を有する。
【0009】
織物は、互いに重なる1または2以上の基本布を有してもよい。基本布は、異なる構造を有してもよい。
【0010】
抄紙機等での使用の際、織物は、抄紙機のロールの間に形成されたニップを介して、無端ループとして延びる。織物のラン方向は、織物の長手方向である。ニップに普及している条件は、しばしば興味深い。
【0011】
織物は、少なくとも1つのセンサを有する適合可能な媒体を有する。本願において、適合可能な媒体とは、それが挿入される織物に適合する、変形可能な構造を意味する。適合可能な媒体は、少なくとも1つのセンサを有するストリング、または少なくとも1つのセンサを有するシートであってもよい。適合可能な媒体は、2以上のセンサを有してもよく、織物は、いくつかの適合可能な媒体を有してもよい。各センサは、同じパラメータを測定せず、各種パラメータを測定するセンサがあってもよい。ストリングは、ヤーン、バンド、ファイバ、または少なくとも1つのセンサを備えたフィラメントのような、細長い物体であってもよい。ストリングは、任意の好適な材料であってもよい。ストリングは、例えば、金属またはプラスチック製であってもよい。また、ストリングは、2以上の材料から構成されることも可能である。ストリングは、例えば、プラスチックシースで被覆された金属フィラメントであってもよい。シートは、例えば、織物、ネット、または膜であってもよい。シートは、水透過性であってもよい。
【0012】
ストリングは、織物内において長手方向、幅方向、またはランダムに延在してもよい。ストリングが織物中に延びる長さは、ケースバイケースで選択される。例えば、ストリングは、織物の一方のエッジから他方のエッジまで、織物の幅方向に延在してもよく、または幅方向にある長さを有してもよい。別の例では、ストリングは、無限ループの形態を有する織物において、ほぼ無限に延在してもよい。
【0013】
ストリングは、3mm未満、例えば、1から3mm、0.5から3mm、または0.1から3mmの幅または直径を有してもよい。シートは、3mm未満、例えば1から3mm、0.5から3mm、または0.1から3mmの厚さを有してもよい。
【0014】
センサは、適合可能な媒体の表面に取り付けられても、または適合可能な媒体の内部に取り付けられてもよい。センサは、繊維内の各種パラメータ、例えば、温度、温度プロフィール、摩耗、揮発性有機化合物(VOC)、湿度、pH、微生物レベル、有機および無機材料含有量、汚れ量、流速および流速場、またはニップ内の圧力を測定してもよい。センサのサイズは、数平方mm以下であっても、または例えば数平方cmのように、より大きくてもよい。より大きなセンサの場合、少なくとも一部は、水透過性である必要がある。センサは、布地表面に印刷された印刷回路であってもよく、またはセンサは、歪みゲージであってもよい。
【0015】
センサは、無線で収集された測定結果を外部受信器に送信するように構成される。センサは、受信器にデータを送信するためアンテナを使用してもよい。測定結果は、クラウドサービスに保存されてもよい。ユーザは、例えば、携帯電話でデータを受信してもよい。データは、好適なソフトウェアを介しインターネットを経由して、入手されてもよい。無線データ通信は、無線周波数識別(RFID)に基づいてもよい。RFID技術の中では、近接場通信(NFC)が興味深い。
【0016】
織物は、長手方向において機械方向ヤーンを有し、ストリングは、機械方向に延在するように構成されてもよい。ストリングは、織物の機械方向ヤーンであってもよく、あるいは、機械方向に延在する別個のヤーンであってもよい。後者は、特に、ストリングが既成の織物で組み立てられた際に問題となり得る。
【0017】
織物は、幅方向において幅方向のヤーンを有し、ストリングは、幅方向に延在するように構成されてもよい。ストリングは、織物の幅方向ヤーンであってもよく、または幅方向に延在する別個のヤーンであってもよい。後者は、特に、ストリングが既成の織物に構成された際に疑問となり得る。
【0018】
ストリングは、織物の長手方向および幅方向に対して対角線上に延在し、または織物の長手方向および幅方向に対して任意の角度で延在するように、構成されてもよい。この場合、ストリングは、通常、既成の織物で組み立てられる。
【0019】
織物は、第1の端部および第2の端部にシームループを有してもよく、ストリングは、織物の幅方向において、シームループの内側に延在するように構成されてもよい。
【0020】
織物は、少なくとも1つのバットファイバ層を含んでもよい。バットファイバ層は、織物の第1もしくは第2の表面上、または両方の表面上にあってもよい。ストリングは、バットファイバ層の内側に延在するように構成されてもよい。
【0021】
織物は、1または2以上の織物層を有し、バットファイバ層は、織物層の間に存在してもよい。また、バット繊維層は、外側表面の一方、または両方の表面に配置されてもよい。ストリングは、少なくとも1つのバットファイバ層の内部に延在するように構成されてもよい。
【0022】
織物は、織物の厚さ方向において、互いに重なる機械方向ヤーンの層を有し、ストリングは、機械方向ヤーンの層の間に延在するように構成されてもよい。
【0023】
ストリングは、織物の厚さ方向に少なくとも一部が延在するように構成されてもよい。
【0024】
織物は、少なくとも1つのセンサを備えるシートを有してもよい。
【0025】
ストリングは、織物の製造中に織物内に組み立てられ、あるいは既製の織物に組み立てられてもよい。ストリングは、例えば、直線状のまたは湾曲したニードルにより、既成の織物に組み立てられてもよい。ストリングは、ニードルの目に通され、ストリングは、ニードルにより織物の内側に繕われる。また、裁縫、注入、接着、製織、巻き回し、または印刷のような技術が使用されてもよい。
【0026】
ストリングは、シームループを接続するピンに平行なシームループの内側に組み立てられ、あるいは、シームループを接続するピンであってもよい。ストリングは、ツールにより、インターメッシュされたシームループのチャネルに挿入されてもよい。ツールは、ストリングをスレッド化するように、またはチャネル内でストリングをシュートもしくは注入するように構成されてもよい。
【0027】
ストリングは、水溶性シースを有し、織物の製造の間、センサが保護されてもよい。シースは、抄紙機において織物が使用されている際に水に溶解し、従って、データを取得するセンサが露出される。
【0028】
ストリングが織物に添加され、1または2以上のストリングが液体中に添加され、該液体が織物に広がってもよい。従って、織物の所望の領域にセンサを適用してもよい。ストリングは、例えば、ニードリングまたは硬化により、織物に固定されてもよい。
【0029】
センサは、運動エネルギーハーベスタのようなエネルギーハーベスタにより作動されてもよい。運動エネルギーハーベスタは、運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、センサは、これを電力源として利用する。運動エネルギーハーベスタは、異なる伝達変換機構の1または2以上の組み合わせを使用することにより、電力を抽出してもよい。主な伝達機構は、圧電的、電磁的、および静電的な機構である。利用される運動エネルギーは、例えば、移動中の織物の振動であってもよい。別の選択肢は、織物の外側に配置された磁場により生成される電力によって、センサが作動することである。磁場は、例えば、受信器により形成されてもよい。また、乾電池または再充電可能な電池を電源として使用してもよい。
【0030】
以下、添付の図面を参照して、好適実施形態により、本発明についてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】織物およびそれに関連するシステムの斜視図である。
図2】上方からの織物の図である。
図3】織物の側面図である。
図4】織物の一部の側面図である。
図5】織物の斜視図である。
図6】織物の斜視図である。
図7】織物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、織物1の概略図を示す。織物は、長手方向MD、幅方向CMD、第1の表面FS、および第2の表面SSを有する。織物1は、幅方向において、第1のエッジ7から第2のエッジ8まで延在する。織物1は、図1に示すように、機械方向MDにおいて、エンドレスループを形成する。
【0033】
織物1に関するシステムは、リーダ20、コンピュータ21、およびクラウドサービス22を有してもよい。リーダ20は、測定結果を読み取り、該測定結果は、クラウドサービス21に保管され、コンピュータ22により処理される。
【0034】
図2および図3には、織物1の概略図を示す。織物は、長手方向MD、幅方向CMD、第1の表面FS、および第2の表面SSを有する。乾燥織物1は、編み物2と、シーム形成対応組3、4とを有する。編み物2の外表面の一方、または編み物2の外表面の両方には、バットファイバ層があってもよい(図6および図7)。織物1が2以上の相互に重なる編み物2を有する場合、バットファイバ層は、2つの編み物2の間にあってもよい。
【0035】
編み物2は、第1の端部FE、第2の端部SE、第1の端部領域FR、第2の端部領域SR、第1のエッジおよび第2のエッジ8を有する。織物1が紙またはパルプ機械で使用される場合、シーム形成対応組3、4は、ピン10により互いに接合される(図4)。
【0036】
図4には、シーム形成対応組3、4での織物1の断面を示す。シーム形成対応組3、4は、シームループである。第1の端部FSのシームループと第2の端部SEのシームループは、織物1の幅方向CMDにチャネル9が形成されるように、シームにおいて交互に配置される。チャンネル9に通されたピン10は、端部FE、端部SEを相互に結合する。
【0037】
ピン10は、センサを有してもよく、すなわち、ピン10は、少なくとも1つのセンサを有するストリングである。あるいは、チャネル9には、従来のピンが存在してもよい。これは、1または2以上のセンサを有する1つのストリング、あるいは各々が1または2以上のセンサを有するより多くのストリングを伴ってもよい。ストリングは、織物の全幅に対応する全長を有してもよく、あるいは、ストリングはより短くてもよい。
【0038】
チャンネル9内にストリングを挿入するための特定のツールが存在してもよい。ツールは、ストリングをスレッド化するように構成され、またはチャンネル9内でストリングを放出するように構成されてもよい。
【0039】
図5には、織物1の概略的な斜視図を示す。図5には、ストリングが織物1に配置される態様を示す。織物は、螺旋状織物20または編み物2を有してもよい。同じ織物1は、同じ方法または異なる方法で組み立てられた、いくつかのストリングを有してもよい。また、同じ織物1には、図6のストリング16、または図7のシート17が設けられてもよい。
【0040】
ストリング11は、幅方向CMDに延在する。ストリング11自体は、織物1の幅方向ヤーンであり、または幅方向に延在する別個のストリングであってもよい。別個のストリングは、織物1の製織の間、これを横糸を有する同じ部屋に加えることにより、織物1に組み立てられ、あるいは、これは、製造後の好適なフェーズにおいて、織物1に繕われてもよい。また、ストリング11は、紙またはパルプ機械の停止中に、織物1に加えることも可能である。
【0041】
ストリング12は、織物1において対角線方向に延在する。ストリング12は、織物1に繕われてもよい。ストリング12は、織物1の長手方向MDおよび幅方向CMDに対し、任意の角度であってもよい。
【0042】
ストリング13は、長手方向MDに延在する。ストリング13自体は、織物1の長手方向ヤーンであってもよく、または長手方向に延在する別個のストリングであってもよい。別個のストリングは、製織後の好適なフェーズで、これが織物1に繕われることにより、織物1に組み立てられてもよい。また、ストリング13は、縦糸に取り付けられ、これが製織の間、縦糸と同じリード間隔を通過するようにすることも可能である。さらに、ストリング13は、紙またはパルプ機械の停止中に、織物1に加えることも可能である。
【0043】
ストリング14は、一部が織物1の厚さ方向に延在する。ストリング14は、繕われて織物1に加えられてもよい。
【0044】
織物1は、該織物1の厚さ方向TDにおいて重なり合う2つの長手方向のヤーン層を有してもよい。図5には、第1の長手方向ヤーン層FWおよび第2の長手方向ヤーン層SWの配置を概略的に示す。ストリング15は、織物1の幅方向CMDにおいて、第1の長手方向ヤーン層FWと第2の長手方向ヤーン層SWとの間に延在する。
【0045】
織物は、相互に重なる3以上の長手方向ヤーン層を有してもよい。例えば、2つから5つのヤーン層が存在してもよい。さらに、2以上の幅機械方向ヤーンの層が存在することも可能である。ストリング15は、重ね合わされた各層の間、または重ね合わされた層のいくつかの間に延在してもよい。
【0046】
図6には、織物1の概略斜視図を示す。織物1は、該織物1の第1の側面FS上にバットファイバ層BFLを有する。すなわち、織物はフェルトである。フェルトは、紙またはパルプ機械のプレス区画に使用されてもよい。ストリング16は、バットファイバ層BFLのファイバの一つであってもよい。ストリング16は、ニードリングにより織物1に組み立てられてもよい。ストリング16は、ランダムに配向され、または、例えば、織物1の長手方向MDに延在してもよい。ストリング16は、少なくとも1つのセンサが未損傷の状態となるように、バットファイバ層BFLが編み物にニードリングできるような所定の配置で、織物1の長手方向に延在してもよい。
【0047】
図7には、織物1の別の概略的な斜視図を示す。織物1は、バットファイバ層BFLの下にシート17を有してもよい。シート17は、織物1の表面全体を覆ってもよく、あるいは一部のみを覆ってもよい。シート17は、織布、ネット、または膜であってもよい。シートは、水透過性であってもよい。シート17は、1または2以上のセンサを有する。
【0048】
技術の進歩に伴い、本発明の概念が各種方法で実施できるようになることは、当業者には明らかである。本発明およびその実施形態は、前述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で変化し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7