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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】コンクリート吹付け支援システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20241106BHJP
   E21D 9/00 20060101ALI20241106BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
E21D11/10 D
E21D9/00 C
H04N7/18 U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021151294
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043588
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 勇人
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹中 計行
(72)【発明者】
【氏名】友野 雄士
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真吾
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-179877(JP,A)
【文献】特開2020-109247(JP,A)
【文献】特開2020-077173(JP,A)
【文献】特開2018-155815(JP,A)
【文献】特開2021-113814(JP,A)
【文献】特開2015-226094(JP,A)
【文献】特開2009-085805(JP,A)
【文献】米国特許第05851580(US,A)
【文献】特開平08-052171(JP,A)
【文献】特開2019-199716(JP,A)
【文献】実開昭58-069839(JP,U)
【文献】特開2015-144406(JP,A)
【文献】特開2020-084550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00-9/14
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
H04N 7/18
E02F 9/26
B05B 12/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの切羽と側面に対してコンクリートを吹付けるコンクリート吹付け機に装備される、コンクリート吹付け支援システムであって、
前記切羽に正対して配置されている前記コンクリート吹付け機のキャビンの前方及び/又は上方に設置されて、該コンクリート吹付け機の前方の全域を撮像する、第1撮像装置と、
前記コンクリート吹付け機のマンケージ、もしくはマンケージブームに設置され、該コンクリート吹付け機のオペレータの操作によって該マンケージブームが動作した際に、該オペレータが確認したい箇所や領域を撮像する、第2撮像装置と、
前記第1撮像装置による第1撮像データと、前記第2撮像装置による第2撮像データを取得する制御装置と、
前記制御装置から送信された、前記第1撮像データに基づく第1撮像画像と前記第2撮像データに基づく第2撮像画像を並列表示する表示装置と、を有することを特徴とする、コンクリート吹付け支援システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1撮像画像と前記第2撮像画像の一方をメイン画像である拡大画像とし、他方をサブ画像である縮小画像として切り替え自在であることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート吹付け支援システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記オペレータが装着するヘッドマウントディスプレイであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート吹付け支援システム。
【請求項4】
前記ヘッドマウントディスプレイには、前記オペレータの手元画像である第3撮像画像を撮像する第3撮像装置が装備され、該ヘッドマウントディスプレイにおける、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像の表示と、前記第3撮像画像の表示を切り替え自在な操作装置をさらに有していることを特徴とする、請求項3に記載のコンクリート吹付け支援システム。
【請求項5】
前記第1撮像装置と前記第2撮像装置はいずれも、固有の防護ボックスに収容され、
前記防護ボックスの前面には透明の強化ガラスが設けられ、
前記強化ガラスの前面透明フィルムにより包囲され
複数の前記透明フィルムが前記強化ガラスの前面に重ね貼りされ、汚れの度に剥がされるようになっている、もしくは、
前記透明フィルムが、自動もしくは手動にて汚れの度に巻き取られるようになっていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンクリート吹付け支援システム。
【請求項6】
前記キャビンの前方及び/又は上方に回転台が設けられており、該回転台に前記第1撮像装置が装備されていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンクリート吹付け支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート吹付け支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの施工においては、所定延長の掘削とずり出しを行った後、造成されたトンネルの側面と切羽に対してコンクリートの一次吹付けを(一次吹き)行い、支保工の建て込みを行い、二次吹付け(二次吹き)を行った後、必要に応じてロックボルトを打設する一連の施工サイクルが実施される。
一次吹付けと二次吹付けにおいては、オペレータの搭乗するキャビンや、吹付けノズルを先端に備えたブーム(吹付けノズルブーム)などを装備するコンクリート吹付け機が一般に適用される。このコンクリート吹付け機には、複数の吹付けノズルブームが装備されることも往々にしてあり、また、マンケージを先端に備えたブーム(マンケージブーム)が装備されるコンクリート吹付け機も一般的である。
キャビンに搭乗したオペレータは、吹付けコンクリートの吹付け状況を切羽から数m程度離れた安全な位置で視認しながら、ブームの伸縮操作や回動操作を行い、吹付けノズルを介したコンクリートの吹付け操作を行うことにより、切羽等へのコンクリート吹付けが実行される。
【0003】
上記するように複数のブームを備えたコンクリート吹付け機を適用する場合、例えば、作動する吹付けノズルブームとマンケージやマンケージブームとの干渉やその危険性を確認するために、オペレータとは異なる別途の作業員が一般に配置される。この場合、干渉確認用の作業員は、コンクリート吹付け機と切羽の間に立って干渉の有無を確認し、オペレータに随時状況を報告することから、この作業員が作動するブームにより巻き込まれる事故や、切羽の近傍に立つことで切羽崩落による事故等の恐れがあり、作業安全性の課題が存在する。
また、コンクリート吹付け機が切羽等から離れていることから、キャビンに搭乗しているオペレータは、コンクリート吹付け作業の進捗によって随時変化する吹付け箇所のうち、自身で確認したい吹付け箇所を明りょうに視認し難いといった課題もある。
【0004】
以上のことから、コンクリート吹付け機を使用したコンクリート吹付け作業において、オペレータが単独で、複数のブーム等の干渉の有無を確認したり、吹付け面における吹付け状況を明りょうに確認しながら、ブーム操作とコンクリート吹付け操作を実行できるコンクリート吹付け支援システムが望まれる。
【0005】
ここで、特許文献1には、センサの個数及び種類が少なく、作業者にトンネル壁面に対する吹き付けノズルの角度を把握させる、コンクリート吹き付け操作支援装置が提案されている。このコンクリート吹き付け操作支援装置は、コンクリート吹き付け機の吹き出しノズルを備えたノズルアーム機構に設けられて、吹き出しノズルのピッチ角度を検出するピッチ角度センサと、ノズルアーム機構に設けられて、吹き出しノズルのロール角度を検出するロール角度センサと、ノズルアーム機構に設けられて、水平面での方位を検出する方位センサと、検出ピッチ角度と検出ロール角度と検出方位とに基づいて、コンクリートを吹き付けるトンネル壁面に対する吹き付けノズルの向きを数値又は画像で視認可能に表示するモニター装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-179877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のコンクリート吹き付け操作支援装置によれば、吹き付けノズルの向きをモニター装置にて確認することにより、吹き付けノズルの向きを対象地山と直角に制御することができ、吹付けコンクリートの付着力を高めてリバウンド量を低減できるとしている。しかしながら、このコンクリート吹き付け操作支援装置を適用したとしても、上記する課題、すなわち、コンクリート吹付け機を使用したコンクリート吹付け作業において、オペレータが単独で、複数のブーム等の干渉の有無を確認したり、吹付け面における吹付け状況を明りょうに確認しながら、ブーム操作とコンクリート吹付け操作を実行することは難しい。
【0008】
本発明は、オペレータが単独で、複数のブーム等の干渉の有無を確認したり、吹付け面における吹付け状況を明りょうに確認しながら、ブーム操作とコンクリート吹付け操作を実行することのできる、コンクリート吹付け支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの一態様は、
トンネルの切羽と側面に対してコンクリートを吹付けるコンクリート吹付け機に装備される、コンクリート吹付け支援システムであって、
前記コンクリート吹付け機のキャビンの前方及び/又は上方に設置されている、第1撮像装置と、
前記コンクリート吹付け機のマンケージ、もしくはマンケージブーム、もしくはキャビンの前方又は上方で前記第1撮像装置と異なる位置に設置されている、第2撮像装置と、
前記第1撮像装置による第1撮像データと、前記第2撮像装置による第2撮像データを取得する制御装置と、
前記制御装置から送信された、前記第1撮像データに基づく第1撮像画像と前記第2撮像データに基づく第2撮像画像を並列表示する表示装置と、を有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、コンクリート吹付け機のキャビンの前方及び又は上方とマンケージ(もしくはマンケージブーム)に二台や三台(もしくは二組や三組)の撮像装置が設置され、それぞれの撮像装置による撮像データを制御装置を介して表示装置に送信し、表示装置にて双方の第1撮像画像と第2撮像画像を並列表示することにより、例えば一人のオペレータは、二方向からの撮像画像に基づいて複数のブーム等の干渉の有無を確認でき、かつ吹付け面における吹付け状況を明りょうに確認することができ、このような確認に基づいて吹付けノズルブームの操作とコンクリート吹付け操作を実行することが可能になる。
ここで、第1撮像装置と第2撮像装置としては、魚眼カメラや、ステレオカメラ(二台のカメラがいずれも魚眼カメラ等)が適用できる。魚眼カメラや、ステレオカメラを適用することにより、立体視が可能になり、映像に基づいて遠近感を把握しながらの操作が可能になる。また、第1撮像装置と第2撮像装置の具体的な組み合わせ形態には、キャビンの前方にある第1撮像装置とマンケージ(の例えば下方)にある第2撮像装置の組み合わせ形態、キャビンの上方にある第1撮像装置とマンケージにある第2撮像装置の組み合わせ形態、キャビンの前方にある第1撮像装置とキャビンの上方にある第2撮像装置の組み合わせ形態、キャビンの前方と上方にある二台の第1撮像装置とマンケージにある第2撮像装置の組み合わせ形態等、様々な組み合わせ形態がある。さらに、キャビンの前方と上方に第1撮像装置と第2撮像装置を設置する形態においては、例えば、キャビンの前方の第1撮像装置をコンクリート吹付け機のやや左側に設置し、キャビンの上方の第2撮像装置をコンクリート吹付け機のやや右側に設置すること(もしくは、その左右を逆に設置すること)等により、映像の死角位置を変更させることができ、死角そのものを解消できること等から好ましい。
【0011】
キャビンの前方もしくは上方にある第1撮像装置は、コンクリート吹付け機の前方の全域を撮像し、コンクリート吹付け機が切羽に正対して配設されている場合は、第1撮像装置は切羽に正対してその全域とその側方のトンネルの側面(掘削された側面)を撮像する。一方、マンケージやマンケージブームに設置されている第二撮像装置は、オペレータによるマンケージブームの操作により、様々な角度からオペレータが確認したい箇所や領域を撮像する。従って、オペレータは、切羽や側面の全域に関する第1撮像画像と、様々な角度から特定部位が拡大された第2撮像画像(特定の吹付け面の状況に関する画像等)や特定領域が俯瞰された第2撮像画像(各ブームの相互の位置関係に関する画像等)を同時に視認(確認)することができる。
尚、本態様を適用することにより、オペレータ単独でのコンクリート吹付け作業が実現でき、オペレータをサポートする他の作業員の巻き込まれ事故や切羽崩落事故が防止できるが、一方で、施工効率性の観点から、オペレータとオペレータをサポートする他の作業員との複数人によるコンクリート吹付け作業が実行されてもよい。
【0012】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記制御装置は、前記第1撮像画像と前記第2撮像画像の一方をメイン画像とし、他方をサブ画像として切り替え自在であることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、第1撮像画像と第2撮像画像の一方をメイン画像とし、他方をサブ画像として並列表示することにより、オペレータが視認したい画像をメイン画像として拡大画像とすることでオペレータの操作性が一層向上する。
ここで、通常の並列表示の際は、第1撮像画像と第2撮像画像の大きさは同じもしくは同程度に設定され、一方の画像をメイン画像とする場合は、当該一方の画像が拡大されて拡大画像となり、同時に他方の画像は縮小されてサブ画像となる形態であってもよいし、通常からメイン画像とサブ画像が並列表示される形態であってもよい。メイン画像とサブ画像の切り替えは、例えばオペレータが操作する操作装置等によって実行できる。
【0014】
例えば、一次吹付けの際は、切羽と切羽に連続する側面からなる吹付け対象の全体に対して速やかにコンクリート吹付けを実行することから、キャビンの前方に設置された第1撮像装置による第1撮像画像をメイン画像として、吹付け対象の全体を相対的に大画面で常時確認するのがよい。そして、第2撮像装置はマンケージブームの動作によって第1撮像装置の死角を解消する位置や、各ブーム等を俯瞰する位置等に都度移動し、サブ画像である第2撮像画像にて第1撮像装置の死角領域の確認や各ブームの相対位置関係等の確認を行う。
【0015】
一方、二次吹付けの際は、H形鋼等の支保工を巻き込んでコンクリート吹付けを行うことから、支保工の各細部や一次吹付け面と支保工との取り合い箇所等へのコンクリート吹付けが十分に行われていることを確認するべく、マンケージに設置された第2撮像装置による第2撮像画像をメイン画像として、吹付け箇所を拡大した細部を大画面で確認するのがよい。そして、第1撮像画像は各ブーム等を俯瞰し、サブ画像である第1撮像画像にて各ブームの相対位置関係等の確認を行う。
【0016】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記表示装置は、オペレータが装着するヘッドマウントディスプレイであることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、表示装置がオペレータの装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)であることにより、オペレータが操作装置等を操作する姿勢を維持しながら(別途のコンピュータにある表示画面等を覗き込むことなく)、第1撮像画像と第2撮像画像を視認して、マンケージブームや吹付けノズルブームの操作とコンクリート吹付け操作を実行できることから、オペレータの操作性が良好になり、安全でかつスムーズなコンクリート吹付け施工を実現できる。また、表示装置がオペレータの装着するヘッドマウントディスプレイであることは、オペレータ単独でのコンクリート吹付け作業にとっても好適である。
【0018】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記ヘッドマウントディスプレイには、前記オペレータの手元画像である第3撮像画像を撮像する第3撮像装置が装備され、該ヘッドマウントディスプレイにおける、前記第1撮像画像及び前記第2撮像画像の表示と、前記第3撮像画像の表示を切り替え自在な操作装置をさらに有していることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、オペレータの手元画像である第3撮像画像を撮像する第3撮像装置をヘッドマウントディスプレイが装備し、ヘッドマウントディスプレイにおいて、第1撮像画像及び第2撮像画像の表示と、第3撮像画像の表示の切り替えを操作する操作装置をオペレータが操作することにより、オペレータによる操作装置の操作性が一層向上し、オペレータ単独でのコンクリート吹付け作業にとって好適となる。
ここで、操作装置には、吹付けノズルブームの操作ボタン(もしくは操作レバー)、吹付けノズルの作動(噴射)ボタン、マンケージブームの操作ボタンの他、画像表示切り替えボタン等がある。
【0020】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記表示装置は、マルチディスプレイであり、
前記コンクリート吹付け支援システムは、オペレータの装着するジャイロ付きヘルメットをさらに有し、
前記オペレータの頭部が回動した際に、前記第1撮像画像と前記第2撮像画像における該ヘルメットの回動方向の画像が表示されることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、表示装置がマルチディスプレイであり、ジャイロ付きヘルメットを装着するオペレータの頭部が回動した際に、第1撮像画像と第2撮像画像におけるヘルメットの回動方向の画像が表示されることにより、ヘッドマウントディスプレイの装着が困難なオペレータ単独でのコンクリート吹付け作業を実現することができる。
ヘッドマウントディスプレイを装着した際の閉塞感や酔い感を苦手とするオペレータにとっては、ヘッドマウントディスプレイの装着が困難であることから、ヘッドマウントディスプレイを装着する代わりに、マルチディスプレイを適用し、例えば二台のディスプレイを並べて、一方に第1撮像画像を表示させ、他方に第2撮像画像を表示させる。そして、ジャイロ付きヘルメットを装着するオペレータの頭部が回動した際に、各ディスプレイにおいてはヘルメットの回動に同期して回動方向の画像が表示されることにより、オペレータは見たい箇所をディスプレイを介して視認することができる。この際、オペレータはヘッドマウントディスプレイを装着していないことから、周囲の確認や操作装置の確認を直接行うことができる。
尚、キャビンには、ヘッドマウントディスプレイと、マルチディスプレイの双方が準備されていて、オペレータの好みに応じていずれか一方を選択できることが望ましい。
【0022】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記第1撮像装置と前記第2撮像装置はいずれも、固有の防護ボックスに収容され、
前記防護ボックスの前面には透明の強化ガラスが設けられ、
前記強化ガラスの前面に透明フィルムが位置合わせされるようになっており、
複数の前記透明フィルムが前記強化ガラスの前面に重ね貼りされ、汚れの度に剥がされるようになっている、もしくは、
前記透明フィルムが、自動もしくは手動にて汚れの度に巻き取られるようになっていることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、第1撮像装置と第2撮像装置がいずれも、前面に透明の強化ガラスが設けられている固有の防護ボックスに収容されていることにより、撮像装置の前方の撮像を可能にしながらコンクリート吹付けの際のリバウンド材から透明の強化ガラスを防護することができる。さらに、強化ガラスの前面に透明フィルムが位置合わせされるようになっていて、複数の透明フィルムが強化ガラスの前面に重ね貼りされ、汚れの度に剥がされるようになっている形態や、透明フィルムが自動もしくは手動にて汚れの度に巻き取られるようになっている形態を有することにより、強化ガラスの前面の視界を常時確保して、撮像装置による撮像が可能な状態を維持できる。
【0024】
また、本発明によるコンクリート吹付け支援システムの他の態様において、
前記キャビンの前方及び/又は上方に回転台が設けられており、該回転台に前記第1撮像装置が装備されていることを特徴とする。
【0025】
キャビンの前方及び/又は上方に設けられている回転台に第1撮像装置が装備されていることにより、回転台を回動させることで第1撮像装置の角度調整が可能になり、第1撮像装置を収容する防護ボックスへの堆積リバウンドの清掃を容易に行うことが可能になる。ここで、キャビンの前方においては、オペレータの手の届く位置に回転台が設置されていて、オペレータが手で回転台を回動もしくは回転できるように構成されているのが好ましい。一方、キャビンの上方に回転台がある場合は、オペレータの手が回転台に届かない、もしくは届き難いことから、回転台を有線式もしくは無線式のリモコン操作型の形態として回転させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のコンクリート吹付け支援システムによれば、オペレータが単独で、複数のブーム等の干渉の有無を確認したり、吹付け面における吹付け状況を明りょうに確認しながら、ブーム操作とコンクリート吹付け操作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係るコンクリート吹付け支援システムの一例を示す斜視図である。
図2】表示装置の一例のヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。
図3】メイン画像とサブ画像の一例を示す図である。
図4】メイン画像とサブ画像の他の例を示す図である。
図5】手元画像の一例を示す図であって、操作装置の一例を画面表示している状態を示す図である。
図6A】撮像装置が収容された防護ボックスとその周辺構造の一例を示す横断面図である。
図6B図6AのB方向矢視図であって、防護ボックスの正面図である。
図7】コンクリート吹付け支援システムを構成する制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】表示装置の他の例をジャイロ付きヘルメットを装着したオペレータとともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態に係るコンクリート吹付け支援システムについて、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0029】
[実施形態に係るコンクリート吹付け支援システム]
図1乃至図8を参照して、実施形態に係るコンクリート吹付け支援システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るコンクリート吹付け支援システムの一例を示す斜視図であり、図2は、表示装置の一例のヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。また、図3図4はいずれも、メイン画像とサブ画像の一例を示す図であり、図5は、手元画像の一例を示す図であって、操作装置の一例を画面表示している状態を示す図である。さらに、図6Aは、撮像装置が収容された防護ボックスとその周辺構造の一例を示す横断面図であり、図6Bは、図6AのB方向矢視図であって、防護ボックスの正面図である。尚、以下の説明では、キャビンの前方に第1撮像装置が設けられ、マンケージの下方に第2撮像装置が設けられている形態を示して説明するが、その他、キャビンの上方にある第1撮像装置とマンケージにある第2撮像装置の形態や、キャビンの前方にある第1撮像装置とキャビンの上方に第2撮像装置の形態や、キャビンの前方と上方にある二台の第1撮像装置とマンケージにある第2撮像装置の形態等であってもよい。
【0030】
コンクリート吹付け支援システム100は、トンネルTの切羽Kと側面Sの吹付け面Fに対してコンクリートを吹付ける、コンクリート吹付け機10に装備されるシステムである。
【0031】
山岳トンネルの施工においては、所定延長の掘削とずり出し、造成されたトンネルTの側面Sと切羽Kに対するコンクリートの一次吹付けC1、支保工Eの建て込み、二次吹付けC2を一連の施工サイクルとし、この施工サイクルを繰り返しながら掘進していく。ここで、二次吹付けC2の後に、必要に応じてロックボルトを打設する施工方法もある。
【0032】
コンクリート吹付け機10により、一次吹付けC1と二次吹付けC2が施工される。図1は、掘削とずり出しが終了し、吹付け面Fである切羽Kに対して、吹付けノズル25からコンクリートをY1方向に吹付けることにより、一次吹付けを施工している状況を示している。
【0033】
コンクリート吹付け機10は、キャビン12を備えたクローラ式の吹付け台車11と、吹付け台車11に取り付けられている複数のブームとを有する。図示例のブームは、吹付けノズル25を先端に備えた吹付けノズルブーム20Aと、別途の吹付けノズルを搭載可能な準備状態の他ブーム20Bと、マンケージ28を回動自在に備えたマンケージブーム20Cである。吹付けノズルブーム20Aを例に説明すると、X1方向への伸縮、水平面や傾斜面におけるX2方向の回動、及び鉛直面におけるX3方向の回動が自在となっている。これらの各種動作は、他のブームにおいても同様に実行される。
【0034】
キャビン12には制御装置50が搭載されており、キャビン12の前方(切羽側)には、水平面内でZ1方向に回転する回転台15が装備され、回転台15の上には、第1撮像装置30Aが収容された防護ボックス40Aが載置されている。
【0035】
一方、マンケージ28の下方の前方位置には、第2撮像装置30Bが収容された防護ボックス40Bが固定されている。
【0036】
ここで、第1撮像装置30Aと第2撮像装置30Bはいずれもステレオカメラであり、ステレオカメラを構成する各カメラは魚眼カメラである。ステレオカメラを適用することにより、立体視が可能になり、オペレータPは映像に基づいて遠近感を把握しながら各ブームの操作等が可能になる。
【0037】
第1撮像装置30Aにより撮像された第1撮像データと、第2撮像装置30Bにより撮像された第2撮像データは制御装置50に送信される。ここで、各撮像装置30と制御装置50は、有線にて接続されていてもよいし、無線通信にて撮像データを送受信可能に接続されていてもよい。
【0038】
キャビン12に搭乗するオペレータPは、ヘッドマウントディスプレイ60A(表示装置の一例)を装着しており、制御装置50から送信された、第1撮像データに基づく第1撮像画像と第2撮像データに基づく第2撮像画像が並列表示されるようになっている。
【0039】
図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ60Aは、第3撮像装置64を前方に備えたディスプレイ本体61と、ヘッドバンド62と、ディスプレイ本体61の内側に装備された表示画面63とを有する。
【0040】
表示画面63では、切羽Kに正対する位置にある第1撮像装置30Aによる第1撮像画像と、マンケージブーム20Cの移動に応じて移動する第2撮像装置30Bによる第2撮像画像が並列表示される。ヘッドマウントディスプレイ60Aの表示画面63における並列表示は、二つの撮像画像が上下に表示される形態や左右に表示される形態等がある。さらに、オペレータPが見たい一方の画像をメイン画像として相対的に大きな画像とし、他方の画像をサブ画像として相対的に小さな画像とすることもできる。
【0041】
ここで、図3図4を参照して、表示画面63に表示される表示例について説明する。
【0042】
図3に示す例は、表示画面63において、第1撮像画像をメイン画像MIとして相対的に大画面表示し、その下に、第2撮像画像をサブ画像SIとして相対的に小画面表示している。
【0043】
ここでは、第2撮像装置30Bが、吹付けノズルブーム20Aの左側から、切羽Kに対する吹付けノズル25の吹付け状況を撮像している。
【0044】
一次吹付けの際は、切羽Kと切羽Kに連続する側面Sからなる吹付け対象の全体に対して速やかにコンクリート吹付けを実行することから、第1撮像装置30Aによる第1撮像画像をメイン画像とすることにより、オペレータPは吹付け対象の全体を相対的に大画面で常時確認できることから望ましい。
【0045】
また、マンケージブーム20Cの動作によって、第2撮像装置30Bを第1撮像装置30Aの死角を解消する位置や各ブーム等を俯瞰する位置等に都度移動させ、サブ画像である第2撮像画像にて第1撮像装置30Aの死角領域の確認や各ブームの相対位置関係等の確認を行うことにより、ブーム同士の干渉等を防止して施工安全性を確保しながら、吹付け領域における様々な細部の状況をオペレータPが把握することが可能になる。
【0046】
以上のことから、一次吹付けの際は、第1撮像画像をメイン画像とし、第2撮像画像をサブ画像としながら、オペレータPは各ブームの操作や吹付けノズル25の操作を行うのが好ましい。
【0047】
一方、図4に示す例は、表示画面63において、第2撮像画像をメイン画像MIとして相対的に大画面表示し、その下に、第1撮像画像をサブ画像SIとして相対的に小画面表示している。ここで、図3に示す例と図4に示す例のように、メイン画像MIとサブ画像SIの画像切り替えは、オペレータPの手元にある操作装置80(図5参照)により実行できるようになっている。
【0048】
ここでは、第2撮像装置30Bが、吹付けノズルブーム20Aの左側から、右側の側面Sに対する吹付けノズル25の吹付け状況を撮像している。
【0049】
二次吹付けの際は、支保工を巻き込んでコンクリート吹付けを行うことから、マンケージに設置された第2撮像装置30Bによる第2撮像画像をメイン画像とすることにより、オペレータPは、支保工の各細部や一次吹付け面と支保工との取り合い箇所等へのコンクリート吹付けが十分に行われていることを確認することができる。
【0050】
また、第1撮像装置30Aが各ブーム等を俯瞰して撮像することで、オペレータPはサブ画像である第1撮像画像にて各ブームの相対位置関係等の確認を行うことにより、ブーム同士の干渉等を防止して施工安全性を確保することが可能になる。
【0051】
以上のことから、二次吹付けの際には、第2撮像画像をメイン画像とし、第1撮像画像をサブ画像としながら、オペレータPは各ブームの操作や吹付けノズル25の操作を行うのが好ましい。
【0052】
ヘッドマウントディスプレイ60Aを装備したオペレータPは、自身の手元にある操作装置80を直接確認することができない。そこで、ヘッドマウントディスプレイ60Aに装備された第3撮像装置64により、オペレータPの手元にある操作装置80を撮像し、この手元画像である第3撮像画像も表示画面63に表示できるように構成されている。
【0053】
図5は、手元画像TIに含まれる操作装置80を示している。操作装置80は、装置ボックス81を備え、装置ボックス81には、例えば、主スイッチ82(主電源のON/OFF)と、安否アンプ83(各ブーム同士の接触や吹付けノズル25の吹付け面F等への接触がない場合に緑点灯、接触等がある場合に赤転倒等)と、吹付けノズルブーム回動レバー84と、マンケージブーム回動レバー85と、他ブーム回動レバー86と、吹付けノズル吐出ボタン87と、画面切り替えスイッチ88が設けられている。ここで、各スイッチやレバーは一例であり、様々なレバーやボタン、ダイヤル等が設けられていてよい。
【0054】
画面切り替えスイッチ88は、図3図4に示す第1撮像画像と第2撮像画像のメイン画像とサブ画像の切り替えや、第1撮像画像及び第2撮像画像を表示する画面と、図5に示すオペレータPの手元画像とを切り替えるスイッチである。オペレータPが手元画像を確認したい場合は、画面切り替えスイッチ88を操作することにより、表示画面63が手元画像TIに切り替わり、各種レバーやのボタンの位置を確認することができる。
【0055】
このように、コンクリート吹付け支援システム100が、キャビン12の前方に設置されている第1撮像装置30Aと、マンケージ28の下方に設置されている第2撮像装置30Bを備え、オペレータPの装着するヘッドマウントディスプレイ60Aの表示画面63に各撮像装置30による撮像画像が並列表示されること、及び、ヘッドマウントディスプレイ60Aの備える第3撮像装置64によるオペレータPの手元画像に含まれる操作装置80が同様に表示画面63に切り替え表示されることにより、オペレータP単独でのコンクリート吹付け作業が実現でき、従来の施工のようにオペレータPをサポートする他の作業員の巻き込まれ事故等を防止すことが可能になる。
【0056】
次に、図6A図6Bを参照して、撮像装置30が収容された防護ボックス40とその周辺構造について説明する。
【0057】
ステレオカメラである第1撮像装置30Aと第2撮像装置30Bは、それぞれに固有の防護ボックス40A,40Bの内部に収容され、固定治具42に撮像装置30が固定される。
【0058】
防護ボックス40の前面には、透明強化ガラス41が設けられており、透明強化ガラス41の前面には、透明フィルム46が位置合わせされるようになっている。
【0059】
防護ボックス40の前面の左右端にはそれぞれ、パッキン45が取り付けられている。また、一方の側面前方にはサーボモータ43が装備され、他方の側面の前方にはアジャスタ44が装備され、未使用透明フィルム46Aが巻装された状態で、かつ回転しながら巻き出し自在に取り付けられている。透明フィルム46の一端は、サーボモータ43の下方において巻き取り自在に巻き取り軸(図示せず)に固定されている。
【0060】
防護ボックス40の前面の左右端にあるパッキン45にて透明フィルム46が支持された状態で、透明強化ガラス41の前面を包囲し、アジャスタ44により透明フィルム46が固定される。この透明フィルム46により、コンクリート吹付けの際のリバウンド材から透明強化ガラス41を防護することができる。また、パッキン45により、粉塵等の透明強化ガラス41への浸入を防止することができる。
【0061】
そして、透明フィルム46が汚れた際は、アジャスタ44の固定を解除し、サーボモータ43を駆動して透明フィルム46をY2方向へ移動させて使用済透明フィルム46Bとして巻き取るとともに、未使用透明フィルム46Aから新規の透明フィルム46を巻き出して透明強化ガラス41の前面に位置合わせし、アジャスタ44にて未使用透明フィルム46Aを後方に移動させて透明フィルム46を緊張した状態で固定する。
【0062】
図示例の構造によれば、強化ガラス41をリバウンド材等から防護するとともに、強化ガラス41の前面の視界を常時確保して、撮像装置30による撮像が可能な状態を維持できる。
【0063】
ここで、図示例の他にも、サーボモータによることなく、手動にて透明フィルムが巻き取られる形態であってもよい。また、複数の透明フィルムが強化ガラスの前面に重ね貼りされ、汚れの度に剥がされる形態であってもよい。
【0064】
また、図1に示すように、第1撮像装置30Aを収容する防護ボックス40Aは、キャビン12の前方にある回転台15に載置されている。この回転台15は、キャビン12に搭乗しているオペレータPの手の届く位置にある。従って、第1撮像装置30Aの角度を調整する際や、防護ボックス40Aへの堆積リバウンドの清掃等の際には、回転台15を手動でZ1方向に回動もしくは回転させることにより、第1撮像装置30Aの角度調整や堆積リバウンドの清掃を容易に行うことができる。
【0065】
次に、図7を参照して、コンクリート吹付け支援システム100を構成する制御装置50のハードウェア構成を説明する。ここで、ヘッドマウントディスプレイ60Aも、同様のハードウェア構成を有していてよい。
【0066】
制御装置50は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)等の情報処理装置からなり、コンピュータにより構成される。
【0067】
図2に示すように、制御装置50は、接続バス56により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)51、主記憶装置52、補助記憶装置53、通信IF(interface)54、及び入出力IF55を備えている。主記憶装置52と補助記憶装置53は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0068】
CPU51は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU51は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU51は、コンピュータからなる制御装置50の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU51は、例えば、補助記憶装置53に記憶されたプログラムを主記憶装置52の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0069】
主記憶装置52は、CPU51が実行するコンピュータプログラムや、CPU51が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置52は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置53は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置53には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF54を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、撮像装置30の備える通信器や、ヘッドマウントディスプレイ60Aの備える通信器、トンネル坑外にある作業所内にある管理用コンピュータ等が備える通信器(いずれも図示せず)が含まれる。尚、ネットワークには、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)、LPWA(Low Power Wide Area)等が含まれる。
【0070】
補助記憶装置53は、例えば、主記憶装置52を補助する記憶領域として使用され、CPU51が実行するコンピュータプログラムや、CPU51が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置53は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置53として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0071】
通信IF54は、制御装置50が接続するネットワークとのインターフェイスである。通信IF54は、ネットワークを介して、各撮像装置30の備える通信器から、撮像データを受信し、ヘッドマウントディスプレイ60Aや管理用コンピュータ等に対して撮像データを送信する。
【0072】
入出力IF55は、制御装置50に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF55には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。制御装置50は、入出力IF55を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0073】
また、入出力IF55には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。例えば、ヘッドマウントディスプレイ60Aの表示画面63と同様の画像が表示デバイスに表示される。
【0074】
<表示装置の他の例>
次に、図8を参照して、表示装置の他の例について説明する。ここで、図8は、表示装置の他の例をジャイロ付きヘルメットを装着したオペレータとともに示す図である。
【0075】
図示する表示装置は、二台のディスプレイ60a,60bが並列配置されたマルチディスプレイ60Bにより構成される。
【0076】
防護マスクMを付けたオペレータPは、図1等に示すようにヘッドマウントディスプレイを装着しておらず、代わりに、ジャイロ92が取り付けられているヘルメット90を装着している。
【0077】
ヘッドマウントディスプレイを装着した際の閉塞感や酔い感を苦手とするオペレータPにとっては、ヘッドマウントディスプレイの装着が困難であることから、ヘッドマウントディスプレイを装着する代わりに、図示例のように、マルチディスプレイ60Bを適用する。
【0078】
二台のディスプレイ60a,60bを並べて、一方に第1撮像画像を表示させ、他方に第2撮像画像を表示させることにより、双方の画像が並列表示される。そして、ジャイロ92の付いたヘルメット90を装着するオペレータPの頭部がZ2方向に回動した際に、各ディスプレイ60a,60bでは、ヘルメット90の回動に同期して回動方向の画像が表示されるようになっている。
【0079】
このことにより、オペレータPは、見たい箇所をディスプレイ60a、60bを介して視認することができる。この際、オペレータPは,ヘッドマウントディスプレイを装着していないことから、周囲の確認や手元にある操作装置80の確認を直接行うことができる。
【0080】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0081】
10:コンクリート吹付け機
11:吹付け台車
12:キャビン(オペレータキャビン)
15:回転台
20A:吹付けノズルブーム
20B:他ブーム
20C:マンケージブーム
25:吹付けノズル
28:マンケージ
30:撮像装置
30A:第1撮像装置
30B:第2撮像装置
40、40A,40B:防護ボックス
41:透明強化ガラス
42:固定治具
43:サーボモータ
44:アジャスタ
45:パッキン
46:透明フィルム
46A:未使用透明フィルム
46B:使用済透明フィルム
50:制御装置
60:表示装置
60A:ヘッドマウントディスプレイ
60B:マルチディスプレイ
60a,60b:ディスプレイ
61:ディスプレイ本体
62:ヘッドバンド
63:表示画面
64:第3撮像装置
80:操作装置
81:装置ボックス
82:主スイッチ
83:安否アンプ
84:吹付けノズルブーム回動レバー
85:マンケージブーム回動レバー
86:他ブーム回動レバー
87:吹付けノズル吐出ボタン
88:画面切り替えスイッチ
90:ヘルメット
92:ジャイロ
100:コンクリート吹付け支援システム
T:トンネル(山岳トンネル)
K:切羽
S:側面
F:吹付け面
C1:一次吹付け
E:支保工
C2:二次吹付け
P:オペレータ
MI:メイン画像
SI:サブ画像
TI:手元画像
M:防護マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8