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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】触感フィードバック装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B06B1/04 S
B06B1/04 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020182578
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072888
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】入江 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】石谷 智也
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177440(JP,A)
【文献】特許第5173044(JP,B1)
【文献】国際公開第2012/063497(WO,A1)
【文献】特開2020-123205(JP,A)
【文献】特開2019-028624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部と、
前記被操作部への前記接触を検知する接触検知部と、
前記接触による前記被操作部への荷重を検出する荷重検出部と、
振動を生成し、前記振動を前記被操作部に出力する振動アクチュエーターと、
前記接触の検知及び前記荷重の検出に応じて、前記振動アクチュエーターを駆動して前記被操作部を振動させ、前記ユーザーに触感をフィードバックする駆動制御部と、
を有し、
前記荷重検出部は、前記荷重を検出した後、前記振動時に、荷重検出処理を停止し、前記駆動制御部が前記振動の減衰期間を調整可能なパルスを入力した場合、前記パルスを入力後、前記振動が減衰するまで、前記荷重検出処理の停止を継続する、
触感フィードバック装置。
【請求項2】
接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部と、
前記被操作部への前記接触を検知する接触検知部と、
前記接触による前記被操作部への荷重を検出する荷重検出部と、
振動を生成し、前記振動を前記被操作部に出力する振動アクチュエーターと、
前記接触の検知及び前記荷重の検出に応じて、前記振動アクチュエーターを駆動して前記被操作部を振動させ、前記ユーザーに触感をフィードバックする駆動制御部と、
を有し、
前記荷重検出部は、前記荷重を検出した後、前記振動時に荷重検出処理を停止し、前記振動中に前記接触の位置が変化する場合、停止中の前記荷重検出処理を実行する
触感フィードバック装置。
【請求項3】
前記荷重検出部は、前記振動が減衰して、前記振動における変位量が最大変位量に対して所定の割合へ低減するまで、前記荷重検出処理の停止を継続する、
請求項記載の触感フィードバック装置。
【請求項4】
前記荷重検出部は、前記荷重を示すデータを平均化して、平均化したデータに基づいて前記荷重を検出する、
請求項1からのいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項5】
前記荷重検出部は、本装置の起動時、一定時間毎、或いは、前記本装置の未使用時間が一定時間以上経過した場合、初期荷重値をリセットする、
請求項1からのいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項6】
本装置の姿勢を検知する姿勢検知部を有し、
前記荷重検出部は、前記姿勢の変化に基づいて荷重感度および初期荷重値の両方のうちの少なくとも一方について、補正、ないしゼロリセット機能を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項7】
前記被操作部の振動を減衰する減衰部を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項8】
前記減衰部は、前記被操作部と、前記振動アクチュエーターが駆動可能に固定された基部との間で挟まれるエラストマーである、
請求項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項9】
前記減衰部は、シリコンゴムまたはブチルゴムである請求項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項10】
前記減衰部は、前記被操作部の前記ユーザー操作を受ける面の中心を対称中心として複数箇所に配置されている請求項からのいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項11】
前記被操作部は、タッチパネルに設けられている、
請求項1から10のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項12】
前記荷重検出部は、歪みセンサを有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項13】
前記荷重検出部は、前記被操作部と前記振動アクチュエーターの間に配置されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項14】
前記荷重検出部は、振動アクチュエーターと一体に設けられている、
請求項1から13のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項15】
振動アクチュエーターは、固定体と、前記固定体に対して電磁相互作用により振動し、且つ、前記被操作部に直接的に接続される可動体とを有する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【請求項16】
前記接触検知部は、静電センサである、
請求項1から15のいずれか一項に記載の触感フィードバック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触感フィードバック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感知パネルであるタッチパネルの操作の際に、タッチパネルに表示された表示画面に接触したユーザーの指腹等に対して、接触操作感(接触して操作する感覚)として振動アクチュエーターにより振動を付与する構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、タッチパネルの裏面に、振動伝達部を介して振動アクチュエーターが取り付けられた携帯端末装置が開示されている。この振動アクチュエーターでは、振動伝達部に固定されるハウジング内に、タッチパネルに対して垂直な方向に延在するガイドシャフトが設けられ、可動体は、ガイドシャフトの延在方向に沿って往復移動可能に配置されている。この振動アクチュエーターでは、タッチパネルへの操作に対応して可動子をハウジングに衝突させることで、振動伝達部を介してタッチパネルに接触する指腹に振動を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-070729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパネルへのユーザー操作に対応して、タッチパネルを介してユーザーの指腹に触感として振動を付与する構成では、タッチパネルへの接触とタッチパネルに掛かる荷重とを検出し、これらに対応して、タッチパネルを介してユーザーに振動を付与することが知られている。
【0006】
しかしながら、この構成では、ユーザー操作を検出しタッチパネルに振動を付与しているときに、この振動によるタッチパネルへの荷重も検出し、ユーザー操作として誤検出する可能性がある。よって、振動を触感としてフィードバックする際に安定して操作のフィードバックを行いたいという要望があった。
【0007】
本発明の目的は、誤検出することなく接触によるユーザー操作を検出して、安定した触感フィードバックを付与できる触感フィードバック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の触感フィードバック装置は、
接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部と、
前記被操作部への前記接触を検知する接触検知部と、
前記接触による前記被操作部への荷重を検出する荷重検出部と、
振動を生成し、前記振動を前記被操作部に出力する振動アクチュエーターと、
前記接触の検知及び前記荷重の検出に応じて、前記振動アクチュエーターを駆動して前記被操作部を振動させ、前記ユーザーに触感をフィードバックする駆動制御部と、
を有し、
前記荷重検出部は、前記荷重を検出した後、前記振動時に、荷重検出処理を停止し、前記駆動制御部が前記振動の減衰期間を調整可能なパルスを入力した場合、前記パルスを入力後、前記振動が減衰するまで、前記荷重検出処理の停止を継続する構成を採る。
本発明の触感フィードバック装置は、
接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部と、
前記被操作部への前記接触を検知する接触検知部と、
前記接触による前記被操作部への荷重を検出する荷重検出部と、
振動を生成し、前記振動を前記被操作部に出力する振動アクチュエーターと、
前記接触の検知及び前記荷重の検出に応じて、前記振動アクチュエーターを駆動して前記被操作部を振動させ、前記ユーザーに触感をフィードバックする駆動制御部と、
を有し、
前記荷重検出部は、前記荷重を検出した後、前記振動時に荷重検出処理を停止し、前記振動中に前記接触の位置が変化する場合、停止中の前記荷重検出処理を実行する構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誤検出することなく接触によるユーザー操作を検出して、安定した触感フィードバックを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の振動アクチュエーターの外観斜視図である。
図5】同振動アクチュエーターの平面図である。
図6】同振動アクチュエーターの正面図である。
図7】同振動アクチュエーターの下面図である。
図8】同振動アクチュエーターの右側面図である。
図9】同振動アクチュエーターの分解斜視図である。
図10】弾性支持部を有する弾性支持部による支持構造を示すアクチュエーター本体の斜視図である。
図11】弾性支持部の斜視図である。
図12】コア組立体の一例を示す斜視図である。
図13図7のA-A線断面図である。
図14】本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の振動アクチュエーターの磁気回路構成を示す図である。
図15】歪み検出体の配線を示す図である。
図16】同アクチュエーター本体の駆動回路の一例を示す図である。
図17】本実施の形態の触感フィードバック装置の要部構成を示すブロック図である。
図18】荷重検出部が検出する荷重の説明に供する図である。
図19】本実施の形態の触感フィードバック装置において、被操作部を押下した際の動作を示すフローチャートである。
図20】本実施の形態の触感フィードバック装置において、被操作部をなぞる場合の処理を示すフローチャートである。
図21】本実施の形態の触感フィードバック装置の要部構成を示すブロック図である。
図22】アクチュエーター駆動信号が供給された可動体の変位量の一例を示す図である。
図23】変形例1の振動アクチュエーターの外観斜視図である。
図24】変形例1の振動アクチュエーターの分解斜視図である。
図25】変形例1の振動アクチュエーターの要部構成を示すアクチュエーター本体の斜視図である。
図26図25のB-B線断面図である。
図27】変形例2の振動アクチュエーターの外観斜視図である。
図28】変形例3の振動アクチュエーターの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の正面図である。また、図3は、本発明の実施の形態に係る触感フィードバック装置の要部構成を示す分解斜視図である。
【0013】
本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。以下において、触感フィードバック装置1及び振動アクチュエーター10の奥行き、幅、高さ、は、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向の長さとする。便宜上、特に、振動アクチュエーター10では、X方向(X方向プラスともいう)を先端側(一端側)とし、-X方向(X方向マイナスともいう)を基端側(他端側)とし、X方向及び-X方向を前後方向と称して説明する。
【0014】
<触感フィードバック装置1の全体構成>
図1に示す触感フィードバック装置1は、接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部501を有し、被操作部501でユーザーの操作を受け付けて、そのユーザー操作に対応して、被操作部501を振動させる。これにより、触感フィードバック装置1は、ユーザーに対して、振動を接触操作感(「触感」「力覚」ともいう)として付与(フィードバック)するものである。
【0015】
触感フィードバック装置1は、被操作部501と、基部3と、被操作部501と基部3との双方に接続され、基部3に被操作部501を移動自在に配置する振動アクチュエーター10とを有する。
【0016】
被操作部501は、ユーザーが接触操作する操作機器等に設けられていることが好ましい。操作機器等としては、例えば、振動アクチュエーター10により付与された振動を触覚としてユーザーに呈示する触覚呈示部として機能するタッチパネル5がある。被操作部501は、タッチパネル5の表面を構成してもよい。被操作部501は、タッチパネル5の移動に伴い、一体的に移動する。この場合、タッチパネル5には、ユーザーの接触操作を検出する接触検知部の一部を構成する静電センサ6或いは抵抗膜式センサ等が設けられる。
【0017】
触感フィードバック装置1では、図3に示すように、振動アクチュエーター10は、例えば、アクチュエーター本体Aに、荷重検出モジュールKが取り付けられることにより構成される。アクチュエーター本体Aは、基部3に固定される固定体30と、固定体30に対して電磁相互作用により振動し、且つ、前記被操作部に直接的に接続される可動体40とを有する。
【0018】
可動体40は、図3に示すように、基部3に固定される固定体30に対して、プラスマイナスX方向に往復移動することにより構成され、被操作部501に指等触れた際の触覚となる振動としてプラスマイナスX方向の振動を付与する。
【0019】
振動が被操作部501を介してユーザーに伝達され、ユーザーに体感させることで、被操作部501を操作したユーザー、つまり、被操作部501に触れたユーザーに、直感的な操作を可能とする。被操作部501、具体的には、タッチパネル5は、振動を減衰させる減衰部7を有する。
【0020】
減衰部7は、それぞれ被操作部501と、振動アクチュエーター10が駆動可能に固定された基部3との間で挟まれている。減衰部7は、タッチパネル5の振動を減衰したり、タッチパネル5の基部3に対して移動する際の衝突を低減したりすることが可能である。
【0021】
減衰部7は、例えば、タッチパネル5の四隅に設けられている。触感フィードバック装置1では、タッチパネル5の構造から、基部3に対して、振動アクチュエーター10を基部3の中央に配置すると、タッチパネル5の両側に減衰部7を配置することができる。減衰部7は、被操作部501のユーザー操作を受ける面の中心を対称中心として複数箇所に配置されていることが好ましい。これにより、タッチパネル5は、特に、接触面である表面に対して垂直方向から受ける荷重に対してバランスよく略均等に荷重を受けることができ、安定した操作と荷重の検出が可能となる。減衰部7は、プリロードされていてもよい。
【0022】
減衰部7は、振動を減衰するものであればどのようなものでもよく、熱可塑型のエラストマー、具体的には、熱硬化型のシリコンゴムまたは熱可塑型のブチルゴムであってもよい。減衰部7として、シリコンゴム、ブチルゴムなどのエラストマーを用いて、被操作部501の振動が一定時間で収まる、つまり、減衰する構造とすることにより、切れの良い操作のフィーリングをフィードバックできる。
【0023】
ここで、振動アクチュエーター10の構成の一例を説明する。
【0024】
<振動アクチュエーター10の全体構成>
図4図9は、それぞれ、本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエーターの外観斜視図、平面図、正面図、下面図、右側面図及び分解斜視図である。
【0025】
振動アクチュエーター10は、扁平板状(カード状)の振動アクチュエーターであり、Z方向を厚み方向とすると、厚み方向と直交する方向で可動体を移動させることにより振動する。振動アクチュエーター10は、例えば、触覚呈示部としてのタッチパネルに取り付ける場合、タッチパネル5の裏面側に対向するように配置して、タッチパネル5側からの押圧に応じて振動し、その振動を、タッチパネル5側に触感フィードバックとして伝達する。
【0026】
振動アクチュエーター10は、アクチュエーター本体Aと、荷重検出モジュールKと、を有する。荷重検出モジュールKは、起歪部材80と、起歪部材80に設けられる歪み検出体70と、を有する。
【0027】
振動アクチュエーター10は、例えば、タッチパネル5等の触覚呈示部を有する装置(図17に示す触感フィードバック装置1等)に設けられる。この場合では、タッチパネル5が押圧操作された際の起歪部材80の歪みを歪み検出体70で検出する。振動アクチュエーター10は、この歪み検出体70の検出結果に応じて振動し、タッチパネル5に振動を付与する。これより、タッチパネル5を操作した際に、タッチパネル5を介してユーザーに触感を付与する、つまり、触感フィードバックを実現する。
【0028】
<アクチュエーター本体A>
図10は、弾性支持部を有する弾性支持部による支持構造を示すアクチュエーター本体Aの斜視図であり、図11は、弾性支持部の拡大図である。
【0029】
図4図11に示すアクチュエーター本体Aは、例えば、駆動制御部の一部を構成するマイコン150(図17参照)とともに触感フィードバック装置1に実装されて、操作機器の一例である触覚呈示部としてのタッチパネル5の振動発生源として機能する。
【0030】
アクチュエーター本体Aは、コア24にコイル22(22-1、22-2)が巻回されてなるコア組立体20及びベース部32を有する固定体30と、磁性体の可動体本体42を有する可動体40と、弾性支持部50(51、52)と、を有する。
【0031】
アクチュエーター本体Aは、弾性支持部50(例えば、第1の弾性支持部51、第2の弾性支持部52)により、移動可能に支持される可動体40を一方向(例えば、X方向或いは-X方向)に駆動させる。この一方向とは、板状の振動アクチュエーター10の厚み方向と直交する方向の一つの向きである。
【0032】
アクチュエーター本体Aは、付勢力を発生する部材(弾性支持部50)の付勢力に抗して可動体40を一方向に移動させ、一方向に移動した可動体40を、付勢力より、一方向とは反対の方向に移動させる。これを繰り返すことにより、アクチュエーター本体Aは、可動体40を一方向で直線往復移動(振動)させる電磁駆動の電磁アクチュエーターとして機能する。
【0033】
アクチュエーター本体Aは、コア組立体20により、可動体40の可動体本体42を振動させる。具体的には、通電されるコイル22および通電されるコイル22により励磁されるコア24の吸引力と、弾性支持部50(51、52)による付勢力とにより、可動体40を振動させる。
【0034】
アクチュエーター本体Aは、扁平形状に構成されており、可動体40を、固定体30に対して、厚み方向としたZ方向と直交するX方向を振動方向として、振動させている。
【0035】
本実施の形態では、アクチュエーター本体Aは、荷重検出部としての歪み検出センサ70a~70dにより、押圧操作されるタッチパネル5の変位を、起歪部材80の歪みとして検出し、この検出した歪みに対応して可動体40を可動して振動する。
【0036】
<固定体30>
固定体30では、固定体本体となる板状のベース部32にコア組立体20が固定されるとともに、可動体40に連結され、固定体30に対して、可動体40を振動方向に移動自在に支持する弾性支持部50(51、52)が固定されている。
【0037】
ベース部32は、扁平形状の部材であり、アクチュエーター本体Aの底面、言い換えると、振動アクチュエーター10の底面を形成する。
ベース部32には、開口部34が設けられ、開口部34内にコイル22-1、22-2が位置するように、ベース部32に、ねじ等の止着部材26を介してコア組立体20が固定されている。
【0038】
ベース部32には、コア組立体20を挟むように、ベース先端部30aとベース基端部30bに、弾性支持部50(51、52)の一端部50b、50bがそれぞれ固定されるばね接続部36(図9参照)が設けられている。
【0039】
ベース部32では、ベース先端部30aのばね接続部36と、コア組立体20の吸引力発生部との間隔と、ベース基端部30bのばね接続部36と吸引力発生部との間隔とが略同じとなるように形成されている。ベース部32の前後方向(振動方向)において、ばね接続部36、36間の中央部に、吸引部45或いはコア組立体20の吸引力発生部、及び吸引部45とコア組立体20の吸引力発生部との間の部位が位置する。例えば、吸引部45は、図8に示すように、振動方向(X方向、-X方向)において、弾性支持部51、52間の長さMの1/2M或いは1/2M近傍となる位置に配置されている。なお、振動方向(X方向、-X方向)において、弾性支持部51、52の一方から吸引部45までの長さをM1としてもよい。
【0040】
また、ベース先端部30a、ベース基端部30bには、ベース部32を、基部3側(図3に示すボス3a)に固定するための固定孔38が設けられている。固定孔38はベース部32の四隅にそれぞれ設けれ、ベース部32を基部3のボス3a(図3参照)に確実に固定する。
【0041】
ベース部32は、例えば、板金を加工して、長手方向であるX方向を振動方向とし、この方向で離間する一辺部と他辺部を、ベース先端部30aとベース基端部30bとした矩形板状に形成されている。
【0042】
開口部34は、コア組立体20の形状に対応した形状である。開口部34は、幅方向(Y方向)に長い長方形状に形成され、コア組立体20の吸引力発生部を、ベース部32の中央部で、かつ、可動体の吸引部45に対して、振動方向(X方向)で離間して対向するように配置している。なお、開口部34は、内部に、コア組立体20のコイル22が配置され、吸引力発生部を吸引部45に対して振動方向で対向する構成であれば、どのように構成されてもよい。
【0043】
開口部34内には、コア組立体20のコイル22が、ベース部32の下面(可動体40と対向する面である上面とは逆側の面)側から固定されている。これにより、ベース部32上にコア組立体20が取り付けられる構成と比較して、振動アクチュエーター全体のZ方向の長さ(厚み)が薄くなっている。また、コア組立体20は、その一部、ここでは底面側の一部が開口部34内に嵌まり込んだ状態で、止着部材26としたねじにより固定されている。これにより、コア組立体20は、ベース部32に対して、ベース部32から外れにくい状態で強固に固定される。
【0044】
コア組立体20は、コイル22に通電されると、弾性支持部50(51、52)と吸引部45との協働により、可動体40の可動体本体42を振動(X方向に往復直線移動)する。
【0045】
図12は、コア組立体20の一例を示す斜視図である。
図12に示すように、本実施の形態のコア組立体20は、U字状に形成された扁平のコア24において、互いに並行な辺部のそれぞれに、扁平のコイル22-1、22-2を外装して形成されている。
【0046】
コイル22(22-1、22-2)は、アクチュエーター本体Aの駆動時に通電されて、磁界を発生するソレノイドとして機能する。コイル22は、コア24、可動体40の吸引部45とともに、可動体40を吸い寄せて移動させる磁気回路(磁路)を構成する。
【0047】
なお、コイル22には、基板23(アクチュエータードライバー160に相当、例えばアクチュエータードライバー160Aでもよい)を介して、外部電源から電力供給される。例えば、振動アクチュエーター10(アクチュエーター本体A)にアクチュエータードライバー160(図17参照)を介して駆動電流が供給されることでコイル22に電力を供給してアクチュエーター本体Aを駆動する。
【0048】
コア24において、U字状の両端部は、コイル22を通電することにより励磁される磁極201a、201bであり、磁気吸引力発生部を構成する。磁極201a、201bは、ベース先端部30aとベース基端部30bのばね接続部36間の中間位置で、Y方向で直線状に並ぶように配置されている。
【0049】
また、磁極201a、201bは、X方向でギャップGをあけて、可動体40の吸引部45と対向して配置されている。磁極201a、201bは、それぞれ面状であることが好ましい。すなわち、コイル22の巻回軸は、前後方向、つまり、振動方向に向けて配置されており、ベース部32の先端部(「ベース先端部」とも称する)30a側から基端部30b側に、両磁極201a、201bが向くように固定されている。
【0050】
コア24は、軟磁性材料等からなる磁性体であり、例えば、ケイ素鋼板、パーマロイ、フェライト等により形成される。また、コア24は、電磁ステンレス、焼結材、MIM(メタルインジェクションモールド)材、積層鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)等により構成されてもよい。
【0051】
磁極201a、201bは、コイル22への通電により励磁されて、振動方向(X方向)で離間する可動体40の吸引部45を吸引し、移動させる。具体的には、磁極201a、201bは、発生する磁束により、吸引力発生部して機能し、ギャップGを介して対向配置された可動体40の吸引部45を吸引する。なお、ギャップGは、吸引力発生部と吸引部45のX方向で開く間隔であり、可動体40の可動領域を決定する間隔である。
【0052】
コア24は、コイル22の通電により磁化して、吸引力発生部となる磁極201a、201bと吸引部45とにより、吸引部45をX方向に移動させる磁気回路を構成するものであればどのように構成されてもよい。
【0053】
<可動体40>
可動体40は、ベース部32と重なるように、アクチュエーター本体Aの厚み方向に、厚み方向と直交する方向である振動方向、例えば、X方向に移動自在に配置される。
可動体40は、板状の可動体本体42と、可動体本体42に設けられ、磁極201a、201bに対向配置される吸引部45とを有する。
【0054】
可動体40は、振動方向で離間する弾性支持部50(51、52)を介して、ベース部32に対して振動方向(X方向)に移動可能に、吊られた状態で配置されている。
【0055】
可動体本体42は、電磁ステンレス、焼結材、MIM(メタルインジェクションモールド)材、積層鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)等の磁性体から構成される板状体であり、例えば、SECC板を加工して形成される。
【0056】
可動体本体42は、ベース部32のコア組立体20に対応して形成された開口部44を有する。開口部44内に、コイル22-1、22-2を内部に配置して、振動アクチュエーター全体としての厚みを薄くしている。すなわち、可動体本体42は開口部44を有する構成にすることより、開口部44が無い場合と比較して、アクチュエーター本体A、ひいては振動アクチュエーター10全体の厚みを薄くできる。また、開口部44内に、コア組立体20のコイル22を位置させるため、コイル22近傍に可動体本体42が配置されることがなく、コイル22から漏れる漏えい磁束による変換効率の低下を抑制でき、高出力を図ることができる。
【0057】
可動体本体42は、例えば、タッチパネル5等の操作機器に取り付けるために、起歪部材80に固定される。
【0058】
可動体本体42は、開口部44を囲むように矩形枠板状に形成されている。
可動体本体42は、起歪部材80の一部に固定されている。可動体本体42は、本実施の形態では、移動規制部90のストッパ受け部92と、ストッパピン94との嵌合(本実施の形態では、螺合)により、可動体本体42は起歪部材80の一部に固定されている(図13参照)。なお、図13は、起歪部材80を図面上側にした図7のA-A線断面図である。
【0059】
図9及び図13に示すように、移動規制部90は、固定体30と可動体40との間において、固定体30のベース部32に対する、厚み方向(Z方向)、幅方向(Y方向)、或いは前後方向(X方向)への可動体本体42の相対移動範囲を規制するものである。ここでは、前後方向の移動の規制は、ベース部32の貫通孔321の内径D1と、貫通孔321内に配置される可動体側部分(ここではストッパ受け部92)の外径との間の隙間により規定される。
【0060】
ストッパ受け部92は、ベース部32の貫通孔に挿入される筒状の挿入部92aと、挿入部92aの一端側に設けられたフランジ部92bとを有する。具体的には、ストッパ受け部92は、ねじ受け部であり、挿入部92aの内周面には雌ねじ部が設けられている。
ストッパ受け部92は、ベース部32の下面側から、挿入部92aを挿入する。このとき、フランジ部92bは、ベース部32の下面と係合して、ストッパ受け部92がベース部32の上面側に抜けることを防止する。
【0061】
ストッパ受け部92には、起歪部材80側から挿入されたストッパピン94が挿入され固定されている。これらストッパ受け部92とストッパピン94とで抜け止め部を構成する。
【0062】
ストッパピン94は、起歪部材80の上面で係合するフランジ部94aと、フランジ部94aと連続するピン軸94bと、を有する。
【0063】
ストッパピン94のピン軸94bは、起歪部材80の上面側から起歪部材80の貫通孔に挿入され、ワッシャ96を介して、可動体本体42も挿通している。ストッパピン94は、本実施の形態では、ねじ受けであるストッパ受け部92に螺合するねじであり、ピン軸94bの外周には、挿入部92aの雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が設けられている。
【0064】
ピン軸94bをストッパ受け部92の挿入部92aに嵌合する、つまり、螺合することにより、挿入部92aの先端と、ストッパピン94のフランジ部94aとにより、ピン軸94bが挿通する起歪部材80と可動体本体42とがワッシャ96を介して挟持される。これにより、起歪部材80と可動体本体42とは移動規制部90により、ベース部32に対して、X方向、Z方向に所定範囲内で一体に相対移動するように規制する。
【0065】
可動体本体42は、起歪部材80の枠状部82に移動規制部90を介して一体的に固定されている。また、可動体本体42は、先端部40a及び基端部40bのそれぞれにおいて、弾性支持部50(51、52)と接合している。
【0066】
吸引部45は、コア組立体20において磁化された磁極201a、201bに吸引されるものであり、磁極201a、201bに対して振動方向で、対向するように配置されている。本実施の形態では、吸引部45は、可動体本体42の一部を垂下するように屈曲して形成されている。吸引部45は、磁性体の面状部材であり、コア組立体20とともに磁気回路を構成する。
【0067】
<弾性支持部50(51、52)>
弾性支持部50(51、52)は、固定体30に対して可動体40を可動自在に支持する。弾性支持部50(51、52)は、可動体40を、固定体30のベース部32上で吊るした状態で、ベース部32と可動体本体42とが重なる方向と直交する方向(厚み方向と直交する方向)のX方向に移動自在に支持する。なお、弾性支持部51、52は、可動体40の中心に対して点対称の形状を有し、本実施の形態では、同様に形成された部材である。図11は弾性支持部51を示す。
【0068】
弾性支持部50は、可動体本体42を、ベース部32に対して、吸引部45が固定体30のコア24の磁極201a、201bに対してギャップGを空けて対向するように、配置される。
【0069】
弾性支持部50は、板バネ(バネ板材)である。可動体本体42に固定される他端部50aと、ベース部32に固定される一端部50bと、一端部50bと他端部50aとを連結する弾性変形部50cとを有する。一端部50bと他端部50aとは、Y方向で離間するように配置されており、弾性変形部50cは、厚み方向をX方向として、Y方向、つまり振動方向と厚み方向の双方に直交する方向に延在するように配置されている。弾性変形部50cはその厚みを振動方向と同じ方向にしており、Y方向の長さでたわみ長を確保している。
【0070】
これにより弾性支持部50は、幅方向(Y方向)に沿って弾性変形部50cの長さを適宜設定して、両端の一端部50bと他端部50aとでベース部32と可動体本体42とを連結することができる。
【0071】
また、弾性変形部50cが、可動体40の先端部40a側と基端部40b側のそれぞれで、板厚方向をX方向、延在方向をY方向として固定されている。弾性支持部50は、実際に変形する弾性変形部50cの延在方向の設置スペースを、幅方向(Y方向)の長さ分だけ確保すればよい。これにより、弾性支持部50自体を小さくして、コスト低減と組立性の向上を図ることができ、振動アクチュエーター10においてばね定数を小さくしたい場合でも、容易に対応できる。
【0072】
尚、弾性変形部50cは、基本、可動体40を、固定体30に対して、厚み方向としたZ方向と直交するX方向を振動方向として、振動させるように変形する。弾性変形部50cは、ベース部32に固定される一端部50bと可動体本体42に固定される他端部50aとを連結し、Y方向で離間するように配置されることにより、弾性変形部50cのX方向振動の共振点近傍にZ方向振動の共振点を配置することが容易となる。これにより、弾性変形部50cは、可動体40を、固定体30に対して、X方向とZ方向の両方を振動方向として振動するように変形させることが可能となる。
【0073】
図14は、本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエーター10の磁気回路構成を示す図である。磁気回路は、図示しない部分も図示された部分と同様の磁束の流れJを有する。
【0074】
具体的には、コイル22を通電すると、コア24が励磁されて磁場が発生し、コア24の両端部が磁極201a、201b、つまり、磁気吸引力発生部となる。例えば、図14では、コア24において、磁極201aがN極となり、磁極201bがS極となっている。すると、コア組立体20と可動体本体42との間には、磁束の流れJで示す磁気回路が形成される。この磁気回路における磁束の流れJは、磁極201aから磁極201aに対向する可動体本体42の吸引部45に流れ、可動体本体42の吸引部45を通り、吸引部45において磁極201bに対向する部位から磁極201bに流れてコア24内に至る。
【0075】
これにより、電磁ソレノイドの原理により、コア組立体20の磁極201a、201bは、可動体本体42の吸引部45を吸着する吸引力(推力)Fを発生し、可動体本体42の吸引部45は、コア組立体20の磁極201a、201bの双方で引き寄せられる。可動体本体42を含む可動体40は、弾性支持部50の付勢力に抗して、吸引力Fの方向に移動する。
【0076】
また、コイル22への通電を解除すると、磁界は消滅し、コア組立体20による可動体40の吸引力Fは無くなり、弾性支持部50の付勢力により、元の位置の方向に移動(-F方向に移動)する。
【0077】
これを繰り返すことで、アクチュエーター本体Aでは、可動体40が往復移動して振動方向(X方向)の振動を発生することができる。
【0078】
なお、可動体40の変位量の範囲は、例えば、操作機器であるタッチパネル5の画面において、ユーザーが押圧した表示に対応する振動を付与できる範囲であることが好ましい。例えば、タッチパネル5の画面においてユーザーの押圧対象となる表示が、機械式のボタン或いは各種スイッチである場合、これら機械式のボタン或いは各種スイッチを実際に押圧した際と同じ触感を付与できる振幅の範囲である。この範囲は、可動体40の振幅の変位が小さいと触感が不十分となったり、また、大きいと不快に感じたりすることに基づいて設定され、例えば、変位量は、0.03mm~0.3mmの範囲等としてもよい。
【0079】
アクチュエーター本体Aでは、コア組立体20の磁極201a、201bに、可動体本体42の吸引部45を近接した位置で、面で対向して配置することで、磁気回路効率を上げ、高出力を図ることができる。また、アクチュエーター本体Aでは、マグネットを用いずに駆動でき、低コストの構造となる。
【0080】
複数の弾性支持部50(51、52)において帯状の弾性変形部50cを、厚み方向を振動方向に向けて配置して可動体40を支持しているため、振動方向は可動領域を確保するだけでよく、コンパクトなアクチュエーターとなっている。
【0081】
コイル22が巻回されるコア24を有するコア組立体20が、固定体30のベース部32の開口部34内にコイル22が位置するように固定され、可動体40に対しては、ベース部32に重なるように配置される可動体本体42の開口部44内に配置されている。
【0082】
これにより、磁気を発生してX方向に可動体を駆動させるために固定体30及び可動体40のそれぞれに設ける部材をZ方向で重ねて配置(例えば、コイルとマグネットをZ方向で対向して配置)して形成する必要がない。これにより、電磁アクチュエーターとしてのアクチュエーター本体AのZ方向の厚みを薄くできる。また、マグネットを用いることなく、可動体40を往復直線移動させることで、操作機器に、触覚フィーリングとしての振動を付与できる。このように、支持構造が単純であるため設計がシンプルになり、省スペース化を図ることができ、アクチュエーター本体Aの薄型化を図ることができる。
【0083】
以下に、アクチュエーター本体Aの駆動原理について簡単に説明する。アクチュエーター本体A、つまり、振動アクチュエーター10は、下記の運動方程式および回路方程式を用いてパルスを用いて共振現象を発生させて駆動することもできる。なお、動作としては共振駆動ではなく、操作機器としてのタッチパネルに表示される機械式スイッチの操作感を表現するものであり、アクチュエータードライバー160(図17参照)等を介して複数の電流パルスを入力することにより駆動する。
【0084】
なお、アクチュエーター本体Aにおける可動体40は、式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。
【0085】
【数1】
【0086】
【数2】
【0087】
すなわち、アクチュエーター本体Aにおける質量m[Kg]、変位x(t)[m]、推力定数K[N/A]、電流i(t)[A]、ばね定数Ksp[N/m]、減衰係数D[N/(m/s)]等は、式(1)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数K[V/(m/s)]は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0088】
このように、アクチュエーター本体Aと、可動体40の質量mと、弾性支持部50としての金属ばね(弾性体、本実施の形態では板ばね)のばね定数Kspにより決まる。
【0089】
<荷重検出モジュールK>
図4図7及び図9を参照して荷重検出モジュールKについて説明する。
荷重検出モジュールKは、アクチュエーター本体Aの可動体40と、振動を付与する触覚呈示部(例えば、タッチパネル5)との間に介在し、可動体40とタッチパネル5とに固定される。
【0090】
荷重検出モジュールKは、タッチパネル5の押圧操作時に応じて起歪部材80で発生した歪みを歪み検出体70で検出する。検出した歪みは制御部(例えば図17に示すマイコン)に出力され、制御部は歪みに応じてアクチュエーター本体Aを駆動して振動を発生させる。
【0091】
<起歪部材80>
起歪部材80は、可動体40の可動体本体42に固定される枠状部82と、開口部84と、タッチパネル5等の振動提示部に固定される呈示部用接続部86とを有する。
【0092】
起歪部材80は、振動提示部での押圧操作により外力が加わることで歪みを発生する起歪体として機能する。起歪部材80は、本実施の形態では、板金を加工することにより、矩形枠状の板状に形成されている。この形状は、面状である振動提示部に固定された際に、振動提示部において押圧操作される部位を振動提示部の裏面側で囲むように配置される形状である。
【0093】
起歪部材80では、平板矩形枠状の枠状部82の4隅から長手方向に延在して接続腕部85が長手方向に延びるように設けられている。起歪部材80は、接続腕部85の基端部が接続される枠状部82の部位にそれぞれ歪み検出センサ70a~70dが配置されている。
【0094】
接続腕部85には、呈示部用接続部86が設けられ、この呈示部用接続部86を介して起歪部材80は、タッチパネル5に固定される。このように、起歪部材80は、接続腕部85の呈示部用接続部86を介してタッチパネル5に固定され、枠状部82が可動体40の可動体本体42に固定されるため、起歪体としての機能は主に、接続腕部85で発揮する。
【0095】
<歪み検出体70>
歪み検出体70は、起歪部材80に一体的に設けられ、アクチュエーター本体Aを駆動させるために、起歪体としての起歪部材80に掛かる荷重により発生する歪みを検出する歪み検出部を有する。
歪み検出体70は、例えば、歪み検出部としての歪み検出センサ70a~70dを複数実装し、複数の歪み検出センサ70a~70dを電気的に接続する回路が実装された基板72である。尚、基板72は、フレキシブルプリント基板(以下、FPC(Flexible printed circuits)と称することもある)等で構成されてもよい。
【0096】
歪み検出体(荷重センサ)70は、振動提示部が操作された際に、可動体40とともに変位する起歪部材80の押し込み量を振動提示部の押し込み量として検知する。
【0097】
歪み検出センサ70a~70dは、可動体本体42とともに、ベース部32側に押し込まれた際の弾性支持部50の変形に伴う起歪部材80の歪みを検出する。検出した歪みは、制御部等に出力されて、この歪みに対応した可動体40の移動量となるように、コイル22が通電され、可動体本体42を吸引して移動させることが可能となる。
【0098】
例えば、図17に示す触感フィードバック装置1において、マイコンなどの制御部が、歪み検出体70により検出される歪みを用いて、振動提示部の移動量を判定して、接触に対する振動フィードバックを実現する構成が考えられる。なお、制御部は、他に操作機器へのユーザーの接触が検出するセンサを用いて、実際の操作機器の移動量に対応した移動量で、弾性支持部50に対する押し込み量を検出するようにし、この検出結果を用いて、より自然な感触の表現を実現できるようにしてもよい。
【0099】
また、歪み検出センサ70a~70dを用いて、ユーザーの接触操作、つまり、可動体40の押し込み量を検出するセンサの検出結果に基づいて、制御部の電流パルス供給部による駆動電流パルスを供給した際の可動体40(操作機器である振動提示部も含めてもよい)の振動周期を調整してもよい。また、歪み検出体70とは別に、振動提示部において検知したユーザーの接触位置の表示形態に連動して、その表示形態に対応する振動を発生するように、制御部に操作状態を示す操作信号を出力し、それに応じて制御部が制御するようにしてもよい。
【0100】
歪み検出体70は、起歪部材80において主に接続腕部85を起歪体とし、その歪みを検出し、検出した歪みを制御部に出力する。
【0101】
歪み検出体70は、具体的には、起歪部材80の枠状部82上に、枠状部82の四隅に渡って配置されたステープル状(U字状)に形成された基板72を有する。すなわち、基板72は、振動方向(X方向)である長手方向に延びる長手部の両側から長手部に対して垂直に短手部が幅方向(Y方向)に延出するように設けられ、これら長手部及び短手部によりU字状に形成されている。
【0102】
歪み検出体70では、歪み検出センサ70a~70dは、可動体本体42が固定される枠状部82と、タッチパネル5に固定される呈示部用接続部86との間、つまり起歪体として機能する接続腕部85上に実装される。これにより、歪み検出体70は、起歪部材80の接続腕部85においてそれぞれ歪みを検出する。
【0103】
歪み検出体70は、可動体40に固定される起歪部材80に設けられるので、検出センサ70a~70dは、可動体40に配置された状態と同様の状態であり、操作時に荷重のかかる振動提示部直近での検出ができ、安定した検出が可能となる。これにより、スイッチの感触のようなリアルな触感表現をすぐに行うことができる。
【0104】
歪み検出センサ70a~70dは、荷重検出モジュールKにおいて、一か所に設けてもよいが複数個所に設けることが好ましい。振動アクチュエーター10がタッチパネル5に取り付けられる場合、タッチパネル5の操作面の中心に対して放射状に等間隔を空けて囲むように、少なくとも3か所以上に設けることが好ましい。これにより、振動アクチュエーター10は、押圧操作される振動提示部の変位を、面で受けて精度よく検出することができる。
【0105】
本実施の形態では、歪み検出センサ70a~70dは、タッチパネル(触覚呈示部)5との固定箇所である呈示部用接続部86の近傍の4か所に設けられ、タッチパネル5の押圧操作領域の中心を囲む枠状の角部部分の歪みを検出する。よって、矩形状のタッチパネルディスプレイを用いた場合、このディスプレイに荷重検出モジュールKを介してアクチュエーター本体Aをバランスよく取り付けることができる。これにより、起歪部材80の歪方向を面直方向に安定して一致させることができる。
【0106】
図15は、歪み検出体70の配線を示す図である。
基板72上に実装される歪み検出センサ70a~70dは、起歪部材80上に配置されて、それぞれ同一平面上に位置する。
歪み検出センサ70a~70dは、それぞれ複数の歪ゲージ部(R-A1~R-A4、R-B1~R-B4、R-C1~R-C4、R-D1~R-D4)を有し、フルブリッジ結線の歪み検出センサである。
【0107】
歪み検出センサ70a~70dは、基板72において、それぞれが並列で電源電圧Vcc、GNDに接続され互いに並列結線され、荷重が掛かることで変化する電気抵抗値の変化量を出力するように接続されている。これにより各歪み検出センサ70a~70dからの出力が平均化され、安定した挙動となる。また、出力値は各歪み検出センサ70a~70d毎で温度が概ね均一化し、温度安定性の向上を図ることができる。
【0108】
また、アクチュエーター本体Aでは、ベース部32と弾性支持部50との固定、及び、弾性支持部50と可動体40との固定には、止着部材としてのねじ53が用いられている。本実施の形態では、ねじ53とナット54により固定される。これにより、可動体40が駆動するために、固定体30及び可動体40に対して強固に固定する必要がある弾性支持部50を、つけ直し等を可能とした状態で機械的に強固に固定することができる。
【0109】
振動アクチュエーター10は、可動体本体42、ひいては起歪部材80と、ベース部32との間に、起歪部材80側に飛び出すことを防止する移動規制部90としてのストッパが配置されている。これにより、ベース部32に対する可動体本体42の、厚み方向(Z方向)、幅方向(Y方向)、或いは前後方向(X方向)への移動範囲が規制される。
【0110】
<振動アクチュエーター10の振動制御>
アクチュエーター本体Aは、駆動制御部(図17図21に示すマイコン150、150A及びアクチュエータードライバー160、160A等)により制御され、弾性振動可能に支持された操作機器をその振動方向の一方向に駆動する。
【0111】
振動アクチュエーター10には、操作機器の接触操作に応じて駆動電流が供給されて、磁界を発生させ、弾性振動可能な可動体40を、固定体30に対して一方向、ここではX方向プラス側に移動する。これにより、ユーザーに操作機器に接触した際に、振動を触感として付与する。本実施の形態では、接触操作は、静電センサ6により検出された接触に関する信号と、歪み検出体70で検出した荷重を示す信号である。
【0112】
振動アクチュエーター10には、駆動制御部により、振動アクチュエーター10を駆動するアクチュエーター駆動信号としての単数の電流パルスないし複数の電流パルスが、コイル22に供給される。本実施の形態では、アクチュエーター駆動信号は、複数の電流パルスの列により構成している。
【0113】
電流パルスがコイル22に供給されることにより、可動体40は、弾性支持部50の付勢力に抗して、磁気吸引力により、コイル22側、つまり、X方向プラス側に引き込まれて変位する。これに追従して、可動体40に固定される触覚呈示部(例えば、タッチパネル5)も、固定体30が固定される基部3(図1~3参照)に対してX方向プラス側に移動する。
【0114】
また、コイル22への駆動電流の供給を停止することにより、付勢力は開放されて、可動体40は、基準位置に対するX方向プラス側での位置での保持状態が解除される。これにより、可動体40は、弾性支持部50の付勢力により、X方向プラス側での最大変位位置から、引き込まれた方向(X方向プラス側)と逆方向(X方向マイナス側)に付勢されて移動して変位し、振動を発生する。発生した振動は出力され、ユーザーに触感としてフィードバックする。
【0115】
アクチュエーター駆動信号は、例えば、単数の電流パルス或いは複数の電流パルスの列におけるそれぞれのパルスの振幅、それぞれの波長、それぞれの供給タイミング等により、様々な種類の振動形態で生成されて、アクチュエーター本体Aに供給可能である。これにより、アクチュエーター本体Aの振動は、ユーザーに触感として付与される。
【0116】
なお、駆動制御部としては、電流パルス供給部と、電圧パルス印加部とを有する。
電流パルス供給部は、操作機器(振動提示部)の接触操作、つまり、接触及び荷重を示す情報に応じて、被操作部501を振動する振動アクチュエーター10の駆動電流として、複数の駆動電流パルスを振動アクチュエーター10のコイル22に供給する。
【0117】
電圧パルス印加部は、アクチュエーター駆動信号を構成する単数の電流パルスないし複数の電流パルスの列をそれぞれ発生させる複数の制御電圧パルスを、断続的に電流パルス供給部に印加する。
【0118】
図16は、アクチュエーター本体Aの駆動回路の一例を示す図である。
【0119】
図16に示す駆動回路は、駆動制御部に含まれる。駆動回路は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)により構成される電流パルス供給部としてのスイッチング素子12、電圧パルス印加部としての信号発生部(Signal generation)14、抵抗R1、R2、SBD(Schottky Barrier Diodes:ショットキーバリアダイオード)を有する。
【0120】
駆動制御部では、電源電圧Vccに接続された信号発生部14は、スイッチング素子12のゲートに接続されている。スイッチング素子12は、放電切換スイッチである。スイッチング素子12は、アクチュエーター本体A(図16では[Actuator]で示す)、SBDに接続されるとともに、電源部Vactから電圧が供給される振動アクチュエーター10、具体的には、アクチュエーター本体Aに接続される。
【0121】
駆動制御部は、電流パルスをコイル22に供給して可動体40を振動方向の一方向に駆動する。コイル22へ電流パルスを供給することにより可動体40は、弾性支持部50の付勢力に抗して、振動方向の一方向に変位する。電流パルスの供給中は、可動体40の振動方向の一方向への変位は継続される。電流パルスの供給を停止する、つまり、コイル22への電流パルスの入力をオフにすることにより、可動体40の振動方向の一方向(X方向)へ変位させる力は解放される。電流パルスの入力のオフは、当該電流パルスを生成する電圧がオフになったタイミングを意味する。電圧がオフになった時点では、電流パルスは完全にオフではなく減衰している状態である。
【0122】
可動体40は、引き込み方向(X方向プラス側)の最大変位可能位置で蓄積された弾性支持部50の付勢力により、振動方向のうちの他方向(X方向マイナス側)へ移動して変位する。操作機器側である他方向側へ移動した可動体40を介して操作機器に強い振動が伝播され、ユーザーに触感が付与される。
【0123】
また、このアクチュエーター本体Aへのアクチュエーター駆動信号の入力が停止されることにより、アクチュエーター本体Aは、付勢力を開放し、可動体40を、付勢力により他方向側(X方向マイナス側)に移動させる。アクチュエーター本体Aは、アクチュエーター駆動信号の入力と停止により可動体40及び操作機器を振動させる。アクチュエーター本体Aは、マグネットを用いずに可動体40を駆動して、操作機器を振動させている。
【0124】
なお、アクチュエーター駆動信号は、実施の形態では、可動体及び操作機器を駆動する駆動電流としてコイル22に供給される複数の駆動電流パルス(「電流パルス」とも称する)列に相当する。アクチュエーター本体Aでは、電流パルスがコイル22に供給されると、可動体は一方向に移動する。これを繰り返すことにより可動体は振動する。
【0125】
振動アクチュエーター10によれば、磁気回路効率が良く、高出力化を図ることができ、更にマグネットを使用しないため、低コスト化及び薄型化を図ることができるとともに、接触して操作するユーザーへの触感フィードバックに好適な振動を効率良く出力できる。これにより、タッチパネル5を有する触感フィードバック装置において低コスト化、薄型化及び高出力化を図っている。また、振動アクチュエーター10によれば、吸引部45は、可動体本体42の一部を垂下するように屈曲して形成されている。これにより、吸引力発生部とともに構成する磁気回路を、複雑な部品で構成する必要がなく、低コスト化を図ることができる。また、可動体本体42及び吸引部45を板金で構成することにより、板金板厚により磁気飽和を抑制できるため、高出力な振動を実現できる。
【0126】
<触感フィードバック装置1の要部構成>
図17は、本実施の形態の触感フィードバック装置1の要部構成を示すブロック図である。触感フィードバック装置1は、タッチパネル5、振動アクチュエーター10、タッチパネル5に設けられる静電センサ6、増幅部であるアンプ130、ADC(AD変換部)140、マイコン150、アクチュエータードライバー160を有する。
【0127】
触感フィードバック装置1は、機能的構成として、触覚呈示部としてのタッチパネル5の有する被操作部501と、接触検知部と、荷重検出部と、駆動制御部と、を有している。これら各部は、本実施の形態では、タッチパネル5、振動アクチュエーター10、静電センサ6、増幅部であるアンプ130、ADC(AD変換部)140、マイコン150、アクチュエータードライバー160により構成している。
【0128】
接触検知部は、接触によるユーザー操作を受け付けるものである。接触検知部は、例えば、静電センサ6と静電センサ6からの信号を受信するマイコン150とにより構成される。尚、静電センサを用いることにより、低コスト化が図りつつ安定した検知が可能となる。
【0129】
荷重検出部は、ユーザーの被操作部(タッチパネル5の表面)への接触による被操作部501への荷重を検出する。荷重検出部は、例えば、歪みセンサ70a~70dと、アンプ130と、ADC140と、アンプ130及びADC140を介して歪みセンサ70a~70dからの荷重検出信号を受信するマイコン150とにより構成される。
【0130】
荷重検出部は、被操作部501の振動時に、荷重の検出を停止する。被操作部501の振動時における、荷重の検出の停止とは、歪みセンサ70a~70dによる荷重の検出を停止してもよいし、マイコン150が、歪みセンサ70a~70dから出力される信号を受け付けない或いは検出したと判断しないようにしてもよい。
【0131】
荷重検出部は、振動アクチュエーター10が生成した振動が減衰するまで、被操作部501への荷重の検出の停止を継続する。具体的には、荷重検出部は、振動アクチュエーター10が生成した振動が減衰して、この振動における変位量が最大変位量に対して所定の割合へ低減するまで、被操作部501への荷重の検出の停止を継続する。例えば、所定の割合は、0以上であり、且つ、最大変位の1/10以下の値であることが好ましい。
【0132】
図22は、振動アクチュエーター10の変位の一例を示す図である。図22では、被操作部501を押圧した際に供給される電圧、電流、及び、これらに対応した可動体40(被操作部501としてもよい)の変位を示す。実線は、パルスを一つ供給して減衰する遷移を示し、破線は、減衰期間を調整する一例として、振動周期の2/3~1になるまでのタイミングで後続のパルスを供給した状態を示す。
【0133】
ここでは、強い振動を得て減衰期間が長くなるようにパルスを供給している。荷重の検出を停止する期間は、可動体40若しくは被操作部501、タッチパネル5の減衰振動が小さくなる迄であり、最大変位量dに対する減衰幅の割合が0以上1/10以下であり、その割合になるまで(d/10)の間、荷重検出は停止する。なお、減衰期間の調整に関してはどのようにパルスが供給されてもよい。
【0134】
荷重検出部は、駆動制御部が、振動アクチュエーター10により生成された振動の減衰期間を調整可能なパルスを入力した場合、入力後、減衰するまで、被操作部501への荷重の検出の停止を継続する。
【0135】
振動の減衰期間は、振動を生成する最先に供給したパルスの減衰中に、所定のタイミングで供給される次のパルスにより調整される。
荷重検出部が検出する被操作部501への荷重は、被操作部501への荷重を示すデータを平均化したデータである。
【0136】
図18は、荷重検出部が検出する荷重の説明に供する図であり、図18Aは、荷重検出部が検出した荷重を示すデータの平均化処理前のデータを示すグラフであり、図18Bは、荷重検出部が検出した荷重を示すデータの平均化処理後の値を示すグラフである。
【0137】
図18Aに示すように、荷重検出部が検出する荷重値は、電気的及び機械的ノイズが載っていたり、電気的及び機械的ノイズが影響して揺らいだ値になったりする。このため、荷重として閾値判定される際に、安定して行うことができず、誤作動の原因や検出値のずれが起こる可能性がある。
【0138】
このため、荷重検出部は、図18Bに示すように、実際の検出値を所定の時間間隔で平均化し、これを用いて、振動アクチュエーター10の振動時に停止する被操作部501への荷重としている。これにより、閾値の判断のばらつきが抑制され、安定した触感フィードバックを行うことができる。
【0139】
荷重検出部は、触感フィードバック装置1の起動時、一定時間毎、或いは、触感フィードバック装置1の未使用時間が一定時間以上経過した場合に、初期荷重値をリセットする。
【0140】
駆動制御部は、例えば、ユーザーの被操作部(タッチパネル5の表面)への接触の検知及び荷重の検出に応じて、振動アクチュエーター10を駆動して被操作部501を振動させ、ユーザーに触感をフィードバックする。
【0141】
駆動制御部では、マイコン150が、静電センサ6からの接触を示す情報と、歪み検出体70からの荷重を示す情報とに基づいて、アクチュエータードライバー160を介して、振動アクチュエーター10のコイル22に、一つ以上の電流パルスを供給する。駆動制御部では、マイコン150が、可動体40の振動において、一つ目のパルスを供給し、加えて、その後に供給するパルスによって、一つ目のパルスの供給の停止後も残って継続する振動等を調整する。
【0142】
また、駆動制御部は、被操作部501の振動中に、被操作部501へのユーザーによる接触の位置が変化する場合、停止中である被操作部501への荷重の検出を実行する。
駆動制御部は、例えば、アクチュエータードライバー160と、アクチュエータードライバー160を制御するマイコン150とにより構成される。
【0143】
例えば、タッチパネル5には、タッチパネル5上におけるユーザーによるユーザー操作としての接触操作を受け付けて、その接触及びその接触位置を出力する接触情報出力部としての静電センサ6が埋設されている。
【0144】
静電センサ6は、被操作部501としての画面に指が触れたことで発生する微弱な電流、つまり、静電容量の変化を検出し、触れた位置を検出してマイコン150に出力する。
【0145】
静電センサ6からの信号は、マイコン150あるいは装置全体の制御部に出力される。
【0146】
歪みセンサ70a~70dは、タッチパネル5の表面(被操作部501)が押圧されることにより、タッチパネル5自体が変位し、荷重検出モジュールKにおいて起歪部材80の歪みを検出する。検出された信号は、アンプ130、ADC140を介してマイコン150に入力される。
【0147】
マイコン150は、静電センサ6からの信号に基づいて、タッチパネル5の表面(被操作部501)への接触及びその位置を検知する。
【0148】
マイコン150は、歪みセンサ70a~70dからの信号に基づいて、タッチパネル5への荷重を検出する。
【0149】
マイコン150は、これら入力された信号、つまり、静電センサ6からの接触位置及び接触のタイミングを示す信号と、歪みセンサ70a~70dからの歪み信号に基づく荷重を示す信号に応じて、接触操作に対応する振動が発生するように、アクチュエータードライバー160を介して振動アクチュエーターの駆動を制御する。つまり、マイコン150は、アクチュエータードライバー160を介して、振動アクチュエーター10に、アクチュエーター駆動信号を出力して駆動電流を供給して駆動し、被操作部501を振動させてユーザーに触感をフィードバックする。マイコン150は、振動アクチュエーター10により被操作部501を振動させる際に、荷重検出を停止する。
【0150】
被操作部501及び振動アクチュエーター10を振動させる際の荷重検出の停止は、マイコン150が、振動アクチュエーター10の振動駆動を制御する際に、荷重検出の結果を反映しなければよい。例えば、振動を発生させている間、荷重検出自体を行わないことも荷重検出の停止の一態様であり、荷重検出を行っていても、その検出した荷重を無視することも荷重検出の停止の一態様である。
【0151】
アクチュエータードライバー160は、マイコン150からの信号を受けて、振動アクチュエーター10に、アクチュエーター駆動信号を出力し、アクチュエーター10に駆動電流を供給する。駆動電流を受けた振動アクチュエーター10は、被操作部501に振動を伝達して振動させる。
【0152】
これにより、被操作部501での接触位置及び被操作部501に対する荷重に対応した振動が出力され、タッチパネル5、つまり被操作部501を振動して、触感として呈示される。なお、振動アクチュエーター10は、アクチュエーター駆動信号が入力されることにより、磁気吸引力により、可動体40を付勢力に抗して一方向として、例えば、X方向プラス側に移動、つまり、タッチパネル5の操作面に沿って移動する。これを繰り返すことで振動アクチュエーター10は、振動する。
【0153】
<触感フィードバック装置の動作>
図19は、触感フィードバック装置において、被操作部を押下した際の動作を示すフローチャートである。
【0154】
まず、ステップS10では、ユーザーが触覚呈示部としてのタッチパネル5の表面(被操作部501)を接触して押下する。
【0155】
ついで、ステップS20において、接触検知部、例えば、マイコン150は、静電センサ6からで検出する接触を示す信号の有無を判定し、接触を検知していれば、操作中とみなし、ステップS30に移行する。
【0156】
ステップS30では、荷重検出部は、被操作部501に対する接触による被操作部への荷重を検出する処理を行う。具体的には、歪センサ70a~70dを用いて、ユーザーに押圧されたタッチパネル5への荷重を検出し、ステップS40に移行する。
【0157】
ステップS40では、検出した荷重を示す荷重値が、接触押圧により掛けられた荷重とみなすために設定された閾値に到達しているかを判定する。検出した荷重値が、設定した設定閾値に到達していれば、ステップS50に移行して、駆動制御部は、被操作部501を振動する。具体的には、マイコン150がアクチュエータードライバー160を介して振動アクチュエーター10のコイル22にアクチュエーター駆動信号を出力して、振動アクチュエーター10を振動させる。これにより、振動アクチュエーター10の可動体40に接続されるタッチパネル5の被操作部501が振動する。ステップS40において、検出した荷重値が、設定した設定閾値に到達していなければ、ステップS80に移行する。
【0158】
次いで、ステップS60では、荷重検出部は、被操作部501の振動中の荷重検出処理を待機する。つまり、マイコン150は、振動アクチュエーター10の振動中では、荷重検出を停止する。この待機期間は、振動アクチュエーター10、つまり、被操作部501の振動が減衰する期間であることが好ましい。制御駆動部が振動アクチュエーター10に振動パルスを供給し、そのパルスによりタッチパネル5、つまり、被操作部501が振動する。待機期間は、その振動が減衰するまでの期間であり、後続のパルスの供給により、減衰期間が調整される場合はそれに対応した待機期間となる。
【0159】
ステップS70では、荷重検出部が荷重を検出したか否かを判定し、荷重を検出していなければ、ステップS80に移行し、荷重を検出すれば、ステップS40に戻り、処理を繰り返す。ステップS80では、接触検出部が、被操作部501へのユーザーの接触操作があるか否かを判定する。ステップS80において、被操作部501への接触があれば、ステップS20に移行し処理を繰り返す。ステップS80において、被操作部501への接触が無ければ、ステップS90に移行して、タッチパネル5における被操作部501の接触した際の通常の処理を終了して、タッチパネル5を解放する。
【0160】
図20は、触感フィードバック装置において、被操作部をなぞる場合の処理を示すフローチャートである。
【0161】
まず、ステップS110では、ユーザーが触覚呈示部としてのタッチパネル5の表面(被操作部501)を接触して押下する。
【0162】
ついで、ステップS120において、接触検知部、例えば、マイコン150は、静電センサ6からで検出する接触を示す信号の有無を判定し、接触を検知していれば、操作中とみなし、ステップS130に移行する。
【0163】
ステップS130では、荷重検出部は、被操作部501に対する接触による被操作部501への荷重を検出する。具体的には、歪センサ70a~70dを用いて、ユーザーに押圧されたタッチパネル5への荷重を検出し、ステップS140に移行する。
【0164】
ステップS140では、荷重検出部が、検出した荷重を示す荷重値が、接触により掛けられた荷重とみなすために設定された閾値に到達しているかを判定する。検出した荷重値が、設定した設定閾値に到達していれば、荷重がかけられている、つまり、ユーザー操作により被操作部501が押圧されていると判定する。ステップS140において、検出した荷重値が、設定した設定閾値に到達していなければ、ステップS180に移行する。
【0165】
次いで、ステップS150に移行して、駆動制御部は、現在出力中である、振動アクチュエーターへのアクチュエーター駆動信号の出力を停止する。すなわち、マイコン150及びアクチュエータードライバー160は、振動アクチュエーター10のコイル22への電力供給を停止し、被操作部501の振動を停止する。
【0166】
次いで、ステップS160では、駆動制御部は、新たに入力された被操作部501の荷重に応じたアクチュエーター駆動信号を振動アクチュエーター10に出力する。具体的には、マイコン150がアクチュエータードライバー160を介して振動アクチュエーター10のコイル22にアクチュエーター駆動信号を出力して、振動アクチュエーター10を振動させる。
【0167】
これにより、通常、被操作部501が振動中であるときに停止する荷重検出は、荷重検出後の処理が割り込まれることにより強制的に解除され、振動アクチュエーター10へは新たなアクチュエーター駆動信号が入力されて、タッチパネル5の被操作部501は振動する。
【0168】
次いで、ステップS170では、接触検出部が被操作部501への接触を検知したか否かを判定し、接触を検知していればステップS180に移行し、接触を検知していなければ、タッチパネル5を解放し、処理を終了する。
【0169】
ステップS180では、接触検出部は、接触位置が前回の接触位置と同じであるか否か判定する。接触位置が同じであれば、ステップS190に移行して、タッチパネル5を解放し、処理を終了し、接触位置が同じでなければ、ステップS120に戻り、再び処理を繰り返す。
【0170】
本実施の形態によれば、触感フィードバック装置1は、接触によるユーザー操作を受け付ける被操作部(タッチパネル5の表面の被操作部)51と、被操作部501への接触を検知する接触検知部(静電センサ6と、マイコン150)とを有する。さらに、触感フィードバック装置1は、接触による被操作部501への荷重を検出する荷重検出部(歪みセンサ70a~70d、アンプ130、ADC140、マイコン150)を有する。
【0171】
さらに、振動を生成し、振動を被操作部501に出力する振動アクチュエーター10を有する。さらにまた、触感フィードバック装置1は、接触の検知及び荷重の検出に応じて、振動アクチュエーター10を駆動して被操作部501を振動させ、ユーザーに触感をフィードバックする駆動制御部(マイコン150、アクチュエータードライバー160)、を有する。荷重検出部は、振動時に、荷重の検出を停止する。これにより、誤検出することなく接触によるユーザー操作を検出して、安定した触感フィードバックを付与できる。
【0172】
<他の触感フィードバック装置1A>
図21は、本実施の形態の触感フィードバック装置の変形例の要部構成を示すブロック図である。
図21に示す触感フィードバック装置1Aは、触感フィードバック装置1と比較して姿勢検知部60を有する点で異なる。
【0173】
すなわち、触感フィードバック装置1Aは、被操作部501Aを有しタッチパネル5Aなどの触覚呈示部、振動アクチュエーター10、タッチパネル5Aに設けられる静電センサ6A、アンプ130A、ADC(AD変換部)140A、マイコン150A、アクチュエータードライバー160Aを有する。
【0174】
触感フィードバック装置1Aは、触感フィードバック装置1と同様に、これらの構成要素により、タッチパネル5Aの有する被操作部501Aと、接触検知部と、荷重検出部と、駆動制御部と、を構成する。
【0175】
触感フィードバック装置1Aの各部は、触感フィードバック装置1と同様の構成を有するため、同様の機能を有する。加えて、触感フィードバック装置1Aは、装置の姿勢を検出する姿勢検知部60を有し、この姿勢検知部60により検出された装置の姿勢情報は、具体的には、マイコン150に出力される。姿勢検知部60は、例えばジャイロセンサ等であり、取り付けられた装置の姿勢を検知する。
【0176】
歪みセンサ70A、アンプ130A、ADC140A及びマイコン150の一部で構成する荷重検出部は、姿勢の変化に基づいて荷重感度および初期荷重値の両方のうちの少なくとも一方について、補正、ないしゼロにリセットする(ゼロリセット機能)。
【0177】
これにより、本装置が実装される製品の姿勢が、例えば、車載環境、乗り物の中等の実装環境において、変化する場合であり、荷重を検出する姿勢も変化する場合がある。この場合でも、その姿勢に合わせて補正ないし、ゼロリセットすることにより、初期荷重値を変動させることなく、正確な荷重を検出できる。
【0178】
<振動アクチュエーターの変形例>
図23は、変形例1の振動アクチュエーターの外観斜視図であり、図24は、変形例1の振動アクチュエーターの分解斜視図であり、図25は、変形例1の振動アクチュエーターの要部構成を示すアクチュエーター本体の斜視図である。図26は、図25のB-B線断面であり、具体的には、変形例1の振動アクチュエーターの要部構成を示すアクチュエーター本体のコア組立体の断面図である。
【0179】
変形例2の振動アクチュエーター10Aは、振動アクチュエーター10と比較して、弾性支持部350の構成と、吸引部45Aの構成のみ異なり、その他の構成機能は同様である。よって、同様の構成については振動アクチュエーター10における符号にAを付して、同様の図を用いて説明を省略する。
【0180】
振動アクチュエーター10Aは、振動アクチュエーター10の構成において、弾性支持部を固定体30側に一体に設けた点、具体的には、ベース部32Aと弾性支持部350とを一体にし、且つ吸引部45Aを可動体本体42Aと別体にした点で異なる。
【0181】
すなわち、アクチュエーター本体A1は、アクチュエーター本体Aと同様の基本的構成を有する薄板状のアクチュエーターとして機能する。
【0182】
振動アクチュエーター10Aは、アクチュエーター本体A1と、荷重検出モジュールK1と、を有する。荷重検出モジュールK1は、荷重検出モジュールKと同様に、可動体40Aに一部が設けられる起歪部材80Aと、起歪部材80Aに設けられる歪み検出体70Aと、を有する。尚、本実施の形態での可動体40Aと起歪部材80Aとの固定は、ストッパピン94とナット54により行われる。起歪部材80Aは、可動体本体42Aと、呈示部用接続部86Aとの間に歪みを発生させ、その歪みは歪み検出体70Aにより検出される。
【0183】
図23図26に示すように、振動アクチュエーター10Aは、ベース部32A、コア組立体20Aを有する固定体30Aと、触覚呈示部に接続される呈示部用接続部86A及び磁性材料からなる吸引部45Aを有する可動体40Aとを有する。コア組立体20Aは、コア組立体20と同様に、コイル22Aとコイル22Aが巻回されるコア24Aとにより構成されるが、ここでは、コイル22Aは、ボビン25に巻回され、コア24A(コア24と同様)には、ボビン25を介して外装されている。
【0184】
可動体40Aは、ベース部32Aに対して、弾性支持部350(351、352)を介して、ベース部32A上で、振動方向(X方向)に移動可能に支持されている。弾性支持部351、352は、それぞれベース部32Aの先端部30a、基端部30bに連続して、一体に設けられている。弾性支持部351、352がベース部32と一体に設けられているので、弾性支持部の組み付け、つまり、ばね組付けに際して、組立性、組立精度、低コスト化を図ることができる。
【0185】
弾性支持部351は、矩形状のベース部32Aの先端部30aにおいて先端部30aの幅方向(Y方向)で離間する両端部間に架設するように設けられている。弾性支持部352は、矩形状のベース部32Aの基端部30bにおいて基端部30bの幅方向(Y方向)で離間する両端部間に架設するように設けられている。弾性支持部351、352は、ベース部32Aとなる矩形状の板金において長手方向で離間する先端部30a及び基端部30bを立ちあがるように折曲することにより形成されている。
【0186】
弾性支持部351、352の両端部350b、350b間には、中央に可動体側接続部350aを有する弾性変形部350c、350cが架設されている。弾性支持部351、352は、それぞれ板厚方向、つまり前後方向で撓む。可動体側接続部350aは、可動体本体42Aの先端部40a、基端部40bにねじ等の止着部材53を介してそれぞれ固定されている。これにより、弾性支持部351、352は、可動体40Aに対して、可動体40Aの前後端部において振動方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の中央部分(先端部40a及び基端部40b)に固定されている。
【0187】
弾性支持部351、352における可動体40A側の固定位置は可動体40Aの幅方向(Y方向)の中央部である。これにより、可動体40Aの振動方向(X方向でありY方向と直交する方向)の移動の規制が中央で行われる。このため、X方向へ直線性の高い駆動としやすく、可動体40Aの保持も中央となるため、ねじれにくく堅牢な構造となり、信頼性を高めることができる。また、弾性支持部351、352は、固定体30A、具体的にはベース部32Aに、幅方向(Y方向)の両端部で固定されている。両端部で固定されるので、可動体40Aの固定が安定しやすく、ばね定数を大きくしたい場合、設計自由度を高めることができる。
【0188】
可動体本体42Aには、コア組立体20Aのコイル22が配置される開口部44Aが形成されている。また、先端部40a及び基端部40bを含む先端側と基端側には、端部をそれぞれ下方に折曲して脚部46A、48Aが形成されている。脚部46A、48Aは、ベース部32Aから可動体本体42Aまでの間隔を確保する。これにより、可動体40Aの可動体本体42Aの固定体30Aのベース部32Aに対する高さ位置を規定している。
【0189】
吸引部45Aは、本実施の形態では、可動体本体42Aとは別体である。吸引部45Aは、可動体本体42Aに固定される固定板部452と、コア組立体20Aの磁極201a、201bに対向して配置され面状部材に相当する面状部454とを有する。
【0190】
吸引部45Aは、磁性材料により構成され、本実施の形態では、金属板をL字状に折曲して形成されている。面状部454は、固定板部452から垂下するように設けられている。固定板部452を可動体本体42Aの開口部44A近傍の下面に取り付けて、面状部454が、開口部44Aの一辺部から垂下された状態で、可動体本体42Aに設けられている。
【0191】
吸引部45Aは、可動体本体42Aとは別体であるので、コア組立体20Aの形状或いは、所望する出力量に応じて、磁極201a、201bに対向する面積の大きさを容易に変更することができる。
【0192】
磁気吸引力発生部(詳細には磁極201a、201b)が吸引力を発生するように、磁気吸引力発生部のコア24は磁極201a、201b)に対してベース部32Aに沿う振動方向でエアギャップAGを介して近接して配置されている。
【0193】
起歪部材80Aは、起歪部材80と同様の基本的構成を有し、可動体本体42Aに固定される。起歪部材80Aは、基本的構成に加えてストッパ部92Aを有する。
【0194】
ストッパ部92Aは、振動アクチュエーター10Aの表面を構成する起歪部材80Aの表面から、側面を囲み、振動アクチュエーター10Aの裏面を構成するベース部32Aの裏面まで延びて回り込むように配置されている。
【0195】
このストッパ部92Aにおいてベース部32Aの裏面側に配置される部位は、ストッパ部920である。ストッパ部920は、起歪部材80Aの本体部分に対向して所定間隔を空けて対向するように配置され、起歪部材80Aの本体部分とともに、厚み方向(Z方向)で、固定体30A、つまりベース部32Aを挟む。
【0196】
これにより、ストッパ部920は、固定体30Aのベース部32Aに対して可動体40Aの可動体本体42Aの厚み方向への移動を規制するストッパとして機能する。これにより、振動アクチュエーター10Aに衝撃時がある場合でも、破損から守り信頼性を向上させることできる。
【0197】
また、振動アクチュエーター10Aでは、弾性支持部350は、振動方向と直交する向きに配置され、その両端部350bの固定部側固定部で、ベース部32Aに接続され、中央の可動体側接続部350aで可動体本体42Aに接合されている。
【0198】
このように、弾性支持部350は、可動体40の先端部40a及び基端部40bにおいて、振動方向及び厚み方向の双方に対して直交する方向で離間する両端部(固定部側固定部)350bで固定体30Aに固定し、中央の可動体側接続部350aで可動体本体42Aを支持する。
【0199】
よって、弾性支持部350の固定体30A、可動体40Aの固定領域を変更して弾性変形部350cを適宜変更できるので、可動体40Aの固定が安定しやすいとともに、ばね定数を大きくしたい場合でも、設計自由度を高めることができる。すなわち、触感フィードバック装置として用いて、人の触感に優れた周波数と共振周波数を近づけることにより、より強い振動を提供する場合でも、可動体質量に合わせて、広い調整範囲でばね定数を調整して共振周波数を設定することもできる。
【0200】
また、弾性支持部350が、ベース部32Aと一体であるので、アクチュエーター本体A1及び振動アクチュエーター10Aの組立性、組立精度、低コスト化を実現することができる。
【0201】
また、弾性支持部350において、可動体40A側の固定位置が、可動体40の先端部40a及び基端部40bにおける中央部であるので、可動体40Aの移動における規制は、固定された中央部にかかる。
【0202】
すなわち、振動方向及び厚み方向と直交する方向(Y方向)の中央部に、移動する際の規制がかかるので、可動体40Aの駆動を、直線性の高い駆動としやすく、可動体40Aの保持も中央となるため、ねじれにくく堅牢な構造となり、信頼性を高めることができる。これにより、捻れ方向の剛性低下は無く、耐衝撃、対振動特性に悪影響を及ぼすことがない。直線性の高い振動を実現することにより、可動体40Aの周辺部品の可動範囲内の隙間の設計が容易となる。
【0203】
<変形例2>
図27は、変形例2の振動アクチュエーター10Cの外観斜視図である。
【0204】
振動アクチュエーター10Cは、振動アクチュエーター10(図4参照)と比較して、起歪部材80Cにストッパ部920が設けられている点と、弾性支持部50Cの形状が異なる点で異なる。また、振動アクチュエーター10Cは、振動アクチュエーター10A(図23参照)と比較すると、吸引部45Cの構成と弾性支持部50Cの構成とが異なり、その他の基本的構成は同様である。よって、異なる点のみ説明し同様の点については同名称と、同符号にCを付して適宜説明は省略する。
【0205】
振動アクチュエーター10Cは、アクチュエーター本体A3と、荷重検出モジュールK2と、を有する。荷重検出モジュールK2は、起歪部材80Cと、起歪部材80Cに設けられる歪み検出体70Cと、を有し、荷重検出モジュールK、K1と同様の機能を有する。本実施の形態では、荷重検出モジュールKと同様のものである。
【0206】
アクチュエーター本体A3は、ベース部32C及びコア組立体20Cを有する固定体30Cと、呈示部用接続部として機能し、ストッパピン94で固着される接続孔(図示省略)及び磁性材料からなる吸引部45Cを有する可動体40Cと、弾性支持部50Cと、を有する。
コア組立体20Cの磁気吸引力発生部(磁極201a、201b)と、可動体40Cの吸引部45Cとは、磁気吸引力発生部が吸引力を発生するように、互いに振動方向でエアギャップAGを介して近接して配置されている。
【0207】
弾性支持部50Cは、固定体30C及び可動体40Cとは別体に構成され、固定体30Cと可動体40Cとの間に、弾性変形可能に介設されることにより、固定体30Cに対して可動体40Cを振動方向に移動自在に弾性支持する。
【0208】
ベース部32Cは、ベース部32A(図24参照)の構造において弾性支持部350を取り外し可能にした形状を有する。
【0209】
弾性支持部50Cは、振動アクチュエーター10Cの側面で、短手方向、つまりY方向に向けて配置されている。弾性支持部50Cは、振動アクチュエーター10Cの先端部30a及び基端部30bのそれぞれにおいて、短手方向で離間する屈曲片部間に架設される細長帯状に形成されている。
【0210】
弾性支持部50Cは、両端部に設けられた固定体側端部500bと、中央部に設けられた可動体側端部500aと、固定体側端部500b及び可動体側端部500a間に架設された弾性変形部500cを有する。
【0211】
固定体側端部500bは、ベース部32Cの先端部30a及び基端部30bのそれぞれにおける屈曲片部に固定される。可動体側端部500aは、可動体本体42Cの先端部40a及び基端部40bのそれぞれに固定される。弾性変形部500cは、振動方向と直交する向きに配置され、弾性変形部500cの板厚方向(振動方向であるX方向)に変形し、固定体側端部500bと可動体側端部500aとを、弾性変形部500cの厚み方向に相対的に変位する。
【0212】
<変形例3>
図28は、変形例3の振動アクチュエーター10Dの外観斜視図である。
【0213】
振動アクチュエーター10Dは、振動アクチュエーター10A、10Cの基本的構成と比較して、主に、弾性支持部450を可動体40D側に設けている点が異なる。
【0214】
振動アクチュエーター10Dは、アクチュエーター本体A4と、荷重検出モジュールK2とを有する。アクチュエーター本体A4では、固定体30Dは、ベース部32Dとコア組立体20Dとを有する。なお、固定体30Dの基本的な構成は、他の実施の形態の振動アクチュエーター10、10A、10C、10Dと略同様であり、同様の機能を有する。
【0215】
例えば、ベース部32Dは、ベース部32Cと同様である。ベース部32Dは、コア組立体20Dのコイル22が配置される開口部を有する矩形板状に構成されている。ベース部32Dの先端部30a及び基端部30bには、弾性支持部450と接合する屈曲片部がそれぞれ設けられている。また、コア組立体20Dも、コア組立体20A、20Cと同様に、コイル22Dが巻回されたボビン25を、コア(図示省略)に外装することにより、コア(図示省略)にコイル22Dが巻回された状態として構成している。
【0216】
これに対して、可動体40Dでは、可動体本体42Dは、磁性材料からなる吸引部45Dを有する構成に加えて、弾性支持部450が形成されている。なお、可動体本体42Dには、荷重検出モジュールK2に接続して、呈示部用接続部86Dを可動体40Dの一部として、ストッパピン94が止着される接続部と、可動体本体42Dの本体部位から垂下する脚部46D、48Dとが設けられている。
【0217】
可動体40Dは、固定体30Dに対して、厚み方向と直交する一方向(X方向)に往復移動自在に設けられている。
【0218】
なお、矩形板状の可動体本体42Dでは、先端部40aよりに開口部が形成されており、先端部40a及び基端部40bに弾性支持部450(451、固定板部452)が形成されている。
【0219】
弾性支持部450は、可動体本体42Dの本体部分のそれぞれ先端部40a及び基端部40bから下方に垂下し、且つ、振動方向(X方向)及び厚み方向(Z方向)に直交する方向(Y方向であり幅方向)に延びるように設けられている。弾性支持部450は、帯状でありその高さ(Z方向の長さ)は、可動体40Dの厚みとなる。
【0220】
弾性支持部450は、幅方向の中央で可動体本体42Dに接続する中央連絡部450aと、両端の固定体側固定部450bと、中央連絡部450a及び固定体側固定部450bを連絡する弾性変形部450cと、を有する。
【0221】
弾性支持部450は、ベース部32Dに対して、可動体40Dを、前後側の双方の端部において振動方向と直交する幅方向の中央部分(先端部40a及び基端部40b)で弾性支持した状態となる。これにより、変形例1の弾性支持部351、352の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0222】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明に係る触感フィードバック装置は、誤検出することなく接触によるユーザー操作を検出して、安定した触感フィードバックを付与できる効果を有し、例えば、車載製品や産業機器において、タッチディスプレイ装置等の触感フィードバック装置に有用なものである。
【符号の説明】
【0224】
1、1A 触感フィードバック装置
3 基部
5、5A タッチパネル
6 静電センサ
501、501A 被操作部
10、10A、10C、10D 振動アクチュエーター
12 スイッチング素子
14 信号発生部
20、20A、20C、20D コア組立体
22、22A、22C、22D コイル
23 基板
24、24A コア
25 ボビン
26、53 止着部材(ねじ)
30、30A、30C、30D 固定体
30a ベース先端部
30b ベース基端部
32、32A、32C、32D ベース部
34、34A 開口部
36 接続部
38 固定孔
40、40A、40C、40D 可動体
40a 先端部
40b 基端部
42 可動体本体
42A、42C、42D 可動体本体
44、44A 開口部
45、45A、45C、45D 吸引部
46A、46D 脚部
48A、48D 脚部
50、51、52、350、351、352、450 弾性支持部
50a 他端部
50b 一端部
50c 弾性変形部
50C 弾性支持部
54 ナット
70、70A、70C 歪み検出体
70a、70b、70c、70d 歪み検出センサ(歪みセンサ、荷重検出部)
72 基板
80、80A、80C 起歪部材
82 枠状部
84 開口部
85 接続腕部
86、86A、86D 呈示部用接続部
90 移動規制部
92 ストッパ受け部
92a 挿入部
92b フランジ部
92A、92C、92D ストッパ部
94 ストッパピン
94a フランジ部
94b ピン軸
96 ワッシャ
130 アンプ
140 AD変換部
150 マイコン
160 アクチュエータードライバー
200 触感フィードバック装置
201a、201b 磁極
240、A1、A2、A3、A4 アクチュエーター本体
321 貫通孔
350 弾性支持部
350a 可動体側接続部
350b 両端部
350c 弾性変形部
450a 中央連絡部
450b 固定体側固定部
450c 弾性変形部
452 固定板部
454 面状部
500a 可動体側端部
500b 固定体側端部
500c 弾性変形部
501、501A 被操作部
920 ストッパ部
K、K1、K2、K3、K4 荷重検出モジュール
R-A1、R-A2、R-A3、R-A4、R-B1、R-B2、R-B3、R-B4、R-C1、R-C2、R-C3、R-C4、R-D1、R-D2、R-D3、R-D4 歪ゲージ部
SBD 抵抗
G ギャップ
AG エアギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28