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  • 特許-禁止行為判定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】禁止行為判定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20241106BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N33/00 C
G08B21/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021018721
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121811
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英数
(72)【発明者】
【氏名】林田 真由子
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167479(US,A1)
【文献】特開2000-051643(JP,A)
【文献】特開2018-091766(JP,A)
【文献】原慎一,車室内のにおい,におい・かおり環境学会誌,2011年,vol.42,No.6,p392-398
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00-33/98
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアに対する感度を有するガス検出手段と、
前記ガス検出手段からアンモニアに起因する出力があったときにペットの持込であると判定する判定手段を有し、
前記ガス検出手段は、酢酸に関する感度を有し、
前記判定手段は、酢酸に対するアンモニアの比が大きいときにペットの持込であると判定し、酢酸に対するアンモニアの比が小さいときに人体の汗と判定することを特徴とする禁止行為判定システム。
【請求項2】
炭化水素に対する感度を有するガス検出手段と、
前記ガス検出手段から炭化水素に起因する出力があったときに灯油の持込であると判定する判定手段を有し、
前記ガス検出手段は、酸化炭素に対する感度を有し、
前記判定手段は、酸化炭素に対する炭化水素の比が大きいときに灯油の持込であると判定し、酸化炭素に対する炭化水素の比が小さいときに排気ガスであると判定することを特徴とする禁止行為判定システム。
【請求項3】
前記判定手段による判定結果を表示する表示手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の禁止行為判定システム。
【請求項4】
前記判定手段による判定結果を所定の送信先へ送信する通信手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の禁止行為判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、禁止行為判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車室内カメラの撮像画像および空気センサの検出結果に基づいて、車室内の汚れの程度を認識する技術が開示されている。また、下記特許文献2には、車内カメラによって撮影された車両の室内の映像等から、車両に乗車中の乗客によって迷惑行為(ごみ放棄、飲酒等)が行われたことを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-167077号公報
【文献】特開2012-122814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、カーシェアリング等においては、ペットの持込、灯油の持込等の禁止行為があり、そのような禁止行為を検出して注意を促したいというニーズがある。しかしながら、従来技術では、例えば、ペットの持込、灯油の持込等の禁止行為を、カメラによって撮影された画像から判定することは困難であり、このような禁止行為を簡易なシステムを用いて精度良く判定することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る禁止行為判定システムは、アンモニアに対する感度を有するガス検出手段と、ガス検出手段からアンモニアに起因する出力があったときにペットの持込であると判定する判定手段を有する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、カーシェア等における禁止行為を簡易なシステムを用いて精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る禁止行為判定システムのシステム構成を示す図
図2】一実施形態に係る禁止行為判定システムが備える判定部による処理の手順を示すフローチャート
図3】一実施形態に係る禁止行為判定システムによって表示される禁止画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(禁止行為判定システム100のシステム構成)
図1は、一実施形態に係る禁止行為判定システム100のシステム構成を示す図である。図1に示す禁止行為判定システム100は、自動車などの車両に搭載され、車両における所定の禁止行為(ペットの持ち込みおよび灯油の持ち込み)を判定することができるシステムである。
【0010】
図1に示すように、禁止行為判定システム100は、第1ガスセンサ101、第2ガスセンサ102、第3ガスセンサ103、第4ガスセンサ104、判定部105、表示部106、および通信部107を備える。第1ガスセンサ101、第2ガスセンサ102、第3ガスセンサ103、および第4ガスセンサ104は、「ガス検出手段」の一例である。
【0011】
第1ガスセンサ101は、車両の車内に設置され、アンモニアに対する感度を有する。第1ガスセンサ101は、検出されたアンモニアの濃度を示す第1検出信号を、判定部105へ出力する。
【0012】
第2ガスセンサ102は、車両の車内に設置され、酢酸に関する感度を有する。第2ガスセンサ102は、検出された酢酸の濃度を示す第2検出信号を、判定部105へ出力する。
【0013】
第3ガスセンサ103は、車両の車内に設置され、炭化水素に対する感度を有する。第3ガスセンサ103は、検出された炭化水素の濃度を示す第3検出信号を、判定部105へ出力する。
【0014】
第4ガスセンサ104は、車両の車内に設置され、酸化炭素に対する感度を有する。第4ガスセンサ104は、検出された二酸化炭素の濃度を示す第4検出信号を、判定部105へ出力する。
【0015】
判定部105は、「判定手段」の一例であり、各ガスセンサ101~104から出力された各検出信号に基づいて、所定の禁止行為を判定する。
【0016】
例えば、判定部105は、第1ガスセンサ101からアンモニアに起因する出力があったときにペットの持込であると判定する。具体的には、例えば、判定部105は、酢酸に対するアンモニアの比が大きいときにペットの持込であると判定し、酢酸に対するアンモニアの比が小さいときに人体の汗と判定する。
【0017】
また、例えば、判定部105は、第3ガスセンサ103から炭化水素に起因する出力があったときに灯油の持込であると判定する。具体的には、例えば、判定部105は、酸化炭素に対する炭化水素の比が大きいときに灯油の持込であると判定し、酸化炭素に対する炭化水素の比が小さいときに排気ガスであると判定する。
【0018】
なお、判定部105は、例えば、車両に搭載された情報処理装置(例えば、IC(Integrated Circuit)、ECU(Electronic Control Unit)等)において、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)に記憶されているプログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。
【0019】
表示部106は、「表示手段」の一例であり、判定部105による所定の禁止行為の判定結果を表示する。表示部106は、車両の車内に設置されることにより、所定の禁止行為の判定結果を、車両の乗員に視認させることができる。表示部106は、例えば、各種ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)によって実現される。
【0020】
通信部107は、「通信手段」の一例であり、所定の無線通信規格(例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等)による無線通信により、判定部105による所定の禁止行為の判定結果を所定の送信先へ送信する。通信部107は、例えば、所定の無線通信規格に対応する、通信インタフェースによって実現される。
【0021】
(禁止行為判定システム100による処理の手順)
図2は、一実施形態に係る禁止行為判定システム100による処理の手順を示すフローチャートである。
【0022】
まず、判定部105が、第1ガスセンサ101から出力された第1検出信号が示すアンモニアの濃度が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0023】
判定部105は、ステップS201においてアンモニアの濃度が所定値以上ではないと判断した場合(ステップS201:No)、ステップS207へ処理を進める。
【0024】
一方、判定部105は、ステップS201においてアンモニアの濃度が所定値以上であると判断した場合(ステップS201:Yes)、第2ガスセンサ102から出力された第2検出信号が示す酢酸の濃度が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0025】
判定部105は、ステップS202において、酢酸の濃度が所定値以下であると判断した場合(ステップS202:Yes)、ペットの持ち込みが行われたと判断する(ステップS203)。この場合、表示部106が、ペットの持ち込みの禁止画面を表示する(ステップS204)。また、通信部107が、ペットの持ち込みが行われたことを所定の送信先(例えば、車両の管理者等)へ送信する(ステップS205)。そして、判定部105は、ステップS207へ処理を進める。
【0026】
一方、判定部105は、ステップS202において、酢酸の濃度が所定値以下ではないと判断した場合(ステップS202:No)、人体の汗を検出したと判断する(ステップS206)。そして、判定部105は、ステップS207へ処理を進める。
【0027】
ステップS207では、判定部105が、第3ガスセンサ103から出力された第3検出信号が示す炭化水素の濃度が所定値以上であるか否かを判断する。
【0028】
判定部105が、ステップS207において炭化水素の濃度が所定値以上ではないと判断した場合(ステップS207:No)、禁止行為判定システム100は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0029】
一方、判定部105は、ステップS207において炭化水素の濃度が所定値以上であると判断した場合(ステップS207:Yes)、第4ガスセンサ104から出力された第4検出信号が示す二酸化炭素の濃度が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS208)。
【0030】
判定部105は、ステップS208において、二酸化炭素の濃度が所定値以下であると判断した場合(ステップS208:Yes)、灯油の持ち込みが行われたと判断する(ステップS209)。この場合、表示部106が、灯油の持ち込みの禁止画面を表示する(ステップS210)。また、通信部107が、灯油の持ち込みが行われたことを所定の送信先(例えば、車両の管理者等)へ送信する(ステップS211)。そして、禁止行為判定システム100は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0031】
一方、判定部105は、ステップS208において、二酸化炭素の濃度が所定値以下ではないと判断した場合(ステップS208:No)、排気ガスを検出したと判断する(ステップS212)。そして、禁止行為判定システム100は、図2に示す一連の処理を終了する。
【0032】
(禁止画面の一例)
図3は、一実施形態に係る禁止行為判定システム100によって表示される禁止画面の一例を示す図である。図3に示す禁止画面106Aは、ペットの持ち込みが行われたと判定された場合に、車両の車内に設けられた表示部106に表示される。禁止画面106Aは、車両の乗員に対して、ペットの持ち込みを行わないように促す。なお、禁止行為判定システム100では、灯油の持ち込みが行われたと判定された場合に、灯油の持ち込みを行わないように促す禁止画面(図示省略)が、表示部106に表示される。
【0033】
以上説明したように、一実施形態に係る禁止行為判定システム100は、アンモニアに対する感度を有するガス検出手段(第1ガスセンサ101)と、ガス検出手段からアンモニアに起因する出力があったときにペットの持込であると判定する判定手段(判定部105)を有する。
【0034】
これにより、一実施形態に係る禁止行為判定システム100は、ガス検出手段と判定手段とを備えるといった簡易なシステムにより、禁止行為であるペットの持ち込みを精度良く判定することができる。
【0035】
また、一実施形態に係る禁止行為判定システム100は、炭化水素に対する感度を有するガス検出手段(第3ガスセンサ103)と、ガス検出手段から炭化水素に起因する出力があったときに灯油の持込であると判定する判定手段(判定部105)を有する。
【0036】
これにより、一実施形態に係る禁止行為判定システム100は、判定手段と判定手段とを備えるといった簡易なシステムにより、禁止行為である灯油の持ち込みを精度良く判定することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0038】
例えば、複数のガスセンサ101~104に関し、1のガスセンサの機能が、物理的な1つセンサによって実現されてもよく、2以上のガスセンサの機能が、物理的な1つのガスセンサによって実現されてもよい。例えば、物理的な1つのガスセンサにより、複数のガスセンサ101~104の各々が実現されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 禁止行為判定システム
101 第1ガスセンサ
102 第2ガスセンサ
103 第3ガスセンサ
104 第4ガスセンサ
105 判定部
106 表示部
106A 禁止画面
107 通信部
図1
図2
図3