(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】エキサイタ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/24 20060101AFI20241106BHJP
H04R 7/14 20060101ALI20241106BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20241106BHJP
H04R 7/04 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
H04R1/24 Z
H04R7/14 A
H04R1/00 310F
H04R7/04
(21)【出願番号】P 2020214941
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 賢司
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-153294(JP,A)
【文献】実開昭61-195681(JP,U)
【文献】中国実用新案第207652690(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
H04R 7/14
H04R 1/00
H04R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のヨークと前記第一のヨークに設けられる第一の磁石とを有し、フレーム内にダンパーを介して内設される第一の振動体と、
前記フレームに形成された開口部を前記フレームの内側から覆うように当該フレームに設けられ、前記フレームの内側に向けて凹む凹部を有した第二のヨークと、前記第二のヨークに設置される第二の磁石とを有した第二の振動体と、
前記フレームの外側からエッジを介して前記フレームの前記開口部を覆うように設置される振動部材と、
前記第二のヨークの前記凹部に一端が取り付けられることにより前記フレームの内側に設置されると共に、他端が前記第一の振動体の近傍まで延設され、該他端に第一のボイスコイルが設けられた円筒状の第一のボイスコイルボビンと、
前記振動部材が接続された前記エッジに一端が取り付けられることにより前記フレームの前記開口部に設置されると共に、他端が前記第二の振動体の近傍まで延設され、該他端に第二のボイスコイルが設けられた円筒状の第二のボイスコイルボビンと、
を有し、
前記第一のボイスコイルを流れる音響信号に応じて前記第一の振動体が振動し、前記第一の振動体の振動が前記ダンパーを介して前記フレームに伝わることにより、当該フレームが設置される伝達媒体を介して音を出力させる第一の振動部と、
前記第二のボイスコイルを流れる音響信号に応じて前記第二の振動体が振動し、前記第二の振動体の振動が前記振動部材に伝わることにより、前記第一の振動部よりも高音域の音を空気中に出力する第二の振動部と、
を備えることを特徴とするエキサイタ。
【請求項2】
金属製の前記ダンパーと、前記第一の振動体に接続された繊維製の第二のダンパーと、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のエキサイタ。
【請求項3】
前記フレームは、
前記ダンパー及び前記第一の振動体と、前記第二の振動体と、を内包する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエキサイタ。
【請求項4】
前記フレームには、前記第二のヨークが内側から塞ぐ第二の開口部が設けられている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエキサイタ。
【請求項5】
前記第一の振動体は、
前記第一の磁石と同極同士が対向配置された第三の磁石を備え、
前記第二の振動体は、
前記第三の磁石と対向する位置に配置された第四の磁石を備え、
前記第三の磁石、及び前記四の磁石は、同極同士が対向するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のエキサイタ。
【請求項6】
第二のボイスコイルボビンは、前記一端から前記他端までの長さが前記第一のボイスコイルボビンよりも短い、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のエキサイタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキサイタに関する。
【背景技術】
【0002】
エキサイタの高音出力に係る技術として、特許文献1が知られている。
特許文献1の要約書において、「課題」の欄には、「高域音を高音質に出力することが可能なエキサイタを提供する。」と記載されている。「解決手段」の欄には、「エキサイタ1は、ヨークと磁石とを備えた振動体2と、ダンパー4を介して振動体2を内設するフレーム3と、フレーム3の内部に設置されると共に他端5bが振動体2の近傍まで延設され、他端5bにボイスコイル11が設けられるボイスコイルボビン5とを備える。フレーム3には、開口部3bが形成され、開口部3bよりボイスコイルボビン5の一端5aがフレーム外部に開放されるようにして、ボイスコイルボビン5が開口部3bの周縁部に取り付けられる。また、ボイスコイルボビン5には、開放部分を覆うようにして振動部材10が設けられる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、高音域の音を出力する振動部材10が振動体2の振動の影響を受け、高音域の音に歪みが生じるおそれがある。
また、ボイスコイルボビン5は、フレーム3の開口部3aから当該フレーム3の内部に配置された振動体2の近傍まで延びることで振動体2の振動を振動部材10に伝えるものの、振動体2から振動部材10までの距離は比較的長く、微細な振動が振動部材10に伝わり難い。
【0005】
本発明は、高音域の音を高音質に再生することが可能なエキサイタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第一のヨークと前記第一のヨークに設けられる第一の磁石とを有し、フレーム内にダンパーを介して内設される第一の振動体と、前記フレームに形成された開口部を前記フレームの内側から覆うように当該フレームに設けられ、前記フレームの内側に向けて凹む凹部を有した第二のヨークと、前記第二のヨークに設置される第二の磁石とを有した第二の振動体と、前記フレームの外側からエッジを介して前記フレームの前記開口部を覆うように設置される振動部材と、前記第二のヨークの前記凹部に一端が取り付けられることにより前記フレームの内側に設置されると共に、他端が前記第一の振動体の近傍まで延設され、該他端に第一のボイスコイルが設けられた円筒状の第一のボイスコイルボビンと、前記振動部材が接続された前記エッジに一端が取り付けられることにより前記フレームの前記開口部に設置されると共に、他端が前記第二の振動体の近傍まで延設され、該他端に第二のボイスコイルが設けられた円筒状の第二のボイスコイルボビンと、を有し、前記第一のボイスコイルを流れる音響信号に応じて前記第一の振動体が振動し、前記第一の振動体の振動が前記ダンパーを介して前記フレームに伝わることにより、当該フレームが設置される伝達媒体を介して音を出力させる第一の振動部と、前記第二のボイスコイルを流れる音響信号に応じて前記第二の振動体が振動し、前記第二の振動体の振動が前記振動部材に伝わることにより、前記第一の振動部よりも高音域の音を空気中に出力する第二の振動部と、を備えることを特徴とするエキサイタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高音域の音を高音質に再生することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るエキサイタの構成を示す斜視図である。
【
図3】車両の車室内にエキサイタを設置した状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1変形例に係るエキサイタの内部構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の第2変形例に係るエキサイタの内部構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の第3変形例に係るエキサイタの内部構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の第4変形例に係るエキサイタの内部構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るエキサイタ1の構成を示す斜視図である。
エキサイタ1は、
図1に示すように、外部から与えられた音響信号に基づいて振動する第一の振動部10、及び第二の振動部20の2つの振動部を備え、適宜の伝達媒体60(
図3)に設置されるスピーカである。
このエキサイタ1は、第一の振動部10の振動によって伝達媒体60を介して音を出力し、この伝達媒体60を介して出力される音よりも高音域の音(以下、「高音」と言う)を第二の振動部20の振動によって空気中に出力することで、高音域から低音域の広い周波数帯域の音を再生する。
【0010】
本実施形態のエキサイタ1は、
図1に示すように、底面部4Aを有する有底筒状のフレーム4と、フレーム4の開放側の端部(以下、上端部4Bという)の側に設けられたダンパー5と、を有し、上記第一の振動部10はダンパー5を介してフレーム4の天面の側に配置され、上記第二の振動部20はフレーム4の底面部4Aに配置されることで、これら第一の振動部10と第二の振動部20とが上下に配置されている。
【0011】
図2は、エキサイタ1の内部構成を示す模式図である。
第一の振動部10は、第一の振動体12と、第一のボイスコイルボビン13と、を備え、第一の振動体12が上記ダンパー5を介してフレーム4に内設されている。
第一の振動体12は、磁性材料から成る第一のヨーク14と、円盤状の第一の磁石15と、金属材料から成る円盤状の第一の金属板16と、を備え、これらが磁気回路を構成している。
第一のヨーク14は、円形の天面部14Aと、円筒状の側壁部14Bとを有する有天筒状を成し、天面部14Aの天面14A1に、上記第一の磁石15が接着剤で接着され、この第一の磁石15に積層するように上記第一の金属板16が接着剤で接着される。
第一の磁石15、及び第一の金属板16の径はいずれも、第一のヨーク14の側壁部14Bとの間に隙間を形成する大きさであり、この隙間によって磁気回路の第一の磁気ギャップg1が形成されている。
【0012】
第一の振動体12は、第一のヨーク14の側壁部14Bの外周面14B1及び開放側の端部14B2のそれぞれにダンパー5が連結され、第一の振動体12は、これらダンパー5によってフレーム4の天面側で弾性的に支持されている。
ダンパー5はいずれも、第一の振動体12を支持可能な程度の剛性を有した金属製の板状の部材であり、第一の振動体12の振動をフレーム4へ、可能な限り低減させることなく伝達可能に構成されている。本実施形態のダンパー5は、例えばステンレス製の薄板状の基材の面内に、弾性を高めるための適宜形状の多数のスリット孔5A(
図1)を設けて構成されている。
【0013】
第一のボイスコイルボビン13は、
図2に示すように、フレーム4の内側に設置された円筒状の部材であり、熱伝導性が高い材料(例えば金属)から形成されている。第一のボイスコイルボビン13は、後述する第二の振動体22が備える第二のヨーク24の凹部24Dに一端13Aが固定され、音響信号が流れる第一のボイスコイル17が他端13Bの外周面に巻回されている。この他端13Bが第一の振動体12の近傍まで延設されることで、第一のボイスコイル17が第一の振動体12の第一の磁気ギャップg1内に配置される。
【0014】
かかる構成の第一の振動部10において、音響信号が第一のボイスコイル17に流れると、この第一のボイスコイル17と第一の振動体12との間に音響信号に応じたローレンツ力が生じて第一のボイスコイル17及び第一の振動体12が振動する。第一の振動体12の振動がダンパー5を介してフレーム4に伝わることにより、当該フレーム4が固定された伝達媒体60に振動が伝えられ、当該伝達媒体60から音が出力される。
【0015】
次いで、第二の振動部20について詳述する。
図2に示すように、フレーム4の底面部4Aには円形の開口部6が形成され、この開口部6に第二の振動部20が配置されている。
本実施形態の第二の振動部20は、第二の振動体22と、第二のボイスコイルボビン23と、振動部材21と、を備えている。
【0016】
第二の振動体22は、フレーム4に内設される部材であり、磁性材料であって熱伝導性が高い材料(本実施形態では鉄)から成る第二のヨーク24と、円盤状の第二の磁石25と、金属材料から成る円盤状の第二の金属板26と、を備え、これらが磁気回路を構成している。
第二のヨーク24は、円形の天面部24Aと、円筒状の側壁部24Bと、円環状のフランジ部24Cと、を有する皿状を成し、天面部24Aと側壁部24Bとによって、フレーム4の内側(底面部4Aの側)に凹む凹部24Dが構成されている。第二のヨーク24は、天面部24Aの天面24A1に、上記第二の磁石25が接着剤で接着され、この第二の磁石25に積層するように上記第二の金属板26が接着剤で接着される。
第二の磁石25、及び第二の金属板26の径は、第二のヨーク24の側壁部24Bとの間に隙間を形成する大きさであり、この隙間によって磁気回路の第二の磁気ギャップg2が形成されている。
【0017】
第二のヨーク24は、凹部24Dがフレーム4の内側から底面部4Aの開口部6を覆うようにフランジ部24Cがフレーム4に接着剤で接着される。これにより、第二の振動体22がフレーム4の内側であって開口部6を臨む位置に配置される。
また第二のヨーク24の筒状の凹部24Dには、上記第一の振動部10が備える筒状の第一のボイスコイルボビン13の一端13Aが嵌められ、第二のヨーク24と第一のボイスコイルボビン13とが接着剤で固定される。この固定構造によれば、第二のヨーク24の位置によって第一のボイスコイルボビン13の位置が決まるため、第一のボイスコイルボビン13の位置決めが容易となる。
【0018】
開口部6の開口縁にはエッジ7が設けられている。エッジ7は、振動部材21の振動を大きく低減させることなく当該振動部材21をフレーム4に取り付けるための部材である。エッジ7は、開口部6を囲む円環状を成し、フレーム4の底面部4Aに固定されている。そして、第二の振動部20の振動部材21、及び第二のボイスコイルボビン23はいずれも当該エッジ7に接続されている。
【0019】
第二のボイスコイルボビン23は円筒状の部材であり、一端23Aがエッジ7に接続され、音響信号が流れる第二のボイスコイル27が他端23Bの外周面に巻回されている。この第二のボイスコイルボビン23は、他端23Bが第二の振動体22の近傍まで延設されることで、第二のボイスコイル27が第二の振動体22の磁気回路の第二の磁気ギャップg2内に配置される。
【0020】
振動部材21は、高音域出力専用のスピーカ(すなわちツィーター)のドーム部に用いられる部材であり、例えばシルクから成るドーム形状の部材である。この振動部材21は、フレーム4の外側から開口部6を覆うようにエッジ7に接続される。なお、振動部材21の材質はシルク以外でもよい。
【0021】
かかる構成の第二の振動部20において、音響信号が第二のボイスコイル27に流れると、この第二のボイスコイル27と第二の振動体22との間に音響信号に応じたローレンツ力が生じて第二のボイスコイル27及び第二の振動体22が振動する。第二のボイスコイル27の振動が第二のボイスコイルボビン23を介して振動部材21に伝わることにより、当該振動部材21の振動によって音響信号が空気振動(物理振動)へと変換され、音が振動部材21を介して空気中に出力される。この振動部材21は、上述の通り、高音域出力専用スピーカのドーム部に用いられる部材と同じであるため、振動部材21が出力する音は、第一の振動部10よりも高音となる。
【0022】
また、第二の振動部20において、振動部材21、及び第二のボイスコイルボビン23はいずれもフレーム4に直接固定されるのではなく、エッジ7を介して固定される構成である。このため、第二の振動部20の振動が第一の振動部10によるフレーム4の振動の影響を受け難くなり、歪みが少ない高音質な高音が再生される。
【0023】
さらに、振動部材21は、第一の振動部10の第一のボイスコイルボビン13ではなく、開口部6に配置された第二の振動体22から延びる第二のボイスコイルボビン23に接続されている。第二のボイスコイルボビン23は、一端23Aの側の振動部材21から他端23Bの第二のボイスコイル27までの距離を、第一のボイスコイルボビン13よりも短くすることができる。すなわち、振動部材21が第一のボイスコイルボビン13に接続される構成に比べて、より微細な振動が振動部材21に伝わり易くなり、より肌理の細かい高音を出力できる。
【0024】
図3は、エキサイタ1を車両70の車室内に設置した状態を示す模式図である。
車両70は、屋根を構成するルーフパネル71と、車室内の天井面を形成する板状の内装材72と、を備え、エキサイタ1は、これらルーフパネル71と内装材72の間の天井裏空間Saに配置される。具体的には、エキサイタ1は、フレーム4の底面部4Aが例えば両面テープ等で内装材72の面上に固定され、当該内装材72が伝達媒体60として用いられる。さらに内装材72には、高音を車室空間Sbに出力するための開口部73が形成されており、エキサイタ1の固定時には、第二の振動部20の振動部材21が開口部73に配置される。
【0025】
かかる設置状態において、エキサイタ1の第一の振動部10が振動することで伝達媒体60である内装材72が振動し当該内装材72を介して音が車室空間Sbに出力される。また第二の振動部20が振動することで振動部材21が振動し、高音を内装材72(伝達媒体60)の開口部73から車室空間Sbへ出力する。
【0026】
この構成によれば、車両70の内装材72の材質が、高音の再生には適さない材質(例えばプラスチック等)であったとしても、第一の振動部10とは異なる第二の振動部20によって高音が出力されるため、低音から高音までの広い周波数帯域の音が車室空間Sbに再生される。
【0027】
上述した実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0028】
本実施形態のエキサイタ1は、第一のボイスコイルボビン13に設けられた第一のボイスコイル17を流れる音響信号に応じて第一の振動体12が振動することで伝達媒体60を介して音を出力する第一の振動部10と、当該第一の振動部10よりも高音を出力する第二の振動部20と、を備える。
そして、当該第二の振動部20は、振動部材21と、一端23Aに振動部材21が設けられ、他端23Bに第二のボイスコイル27が設けられた第二のボイスコイルボビン23と、を備え、第二のボイスコイル27を流れる音響信号に応じた第二のボイスコイルボビン23の振動が振動部材21に伝わることで音を出力するように構成されている。
【0029】
かかる構成によれば、高音を出力するためのスピーカをエキサイタ1とは別に設ける必要がないため、省スペース化、及び部品点数の削減が可能となり、コストダウンを図ることができる。
【0030】
また、第二の振動部20において、振動部材21、及び第二のボイスコイルボビン23はいずれもフレーム4に直接固定されるのではなく、エッジ7を介してフレーム4に設けられている。このため、第二の振動部20の振動が第一の振動部10によるフレーム4の振動の影響を受け難くなり、より歪みが少ない高音質な高音を出力することができる。
【0031】
また第一のボイスコイルボビン13の一端13Aは第二のヨーク24の凹部24Dに固定される構成であるため、第一のボイスコイルボビン13の位置決めが容易となる。
【0032】
本実施形態のエキサイタ100において、第二のボイスコイルボビン23は、一端23Aから他端23Bまでの長さが第一のボイスコイルボビン13よりも短い。
この構成によれば、振動部材21が第一のボイスコイルボビン13に接続される構成に比べ、微細な振動が振動部材21に伝わり易くなり、より肌理の細かい高品質な高音を出力することができる。
【0033】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0034】
[第1変形例]
図4は本変形例に係るエキサイタ100の内部構成を模式的に示す図である。なお、同図において、既に説明した部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
エキサイタ100は、上述した実施形態のエキサイタ1において、第二のダンパー170をダンパー5とは別に設けたものである。
第二のダンパー170は、第一の振動体12をフレーム4に支持するための部材であり、フレーム4の内部への埃や塵の入り込みを防止可能な集塵性と、通気性とを有する繊維製の基材を適宜形状(典型的には波型)に成形したものである。かかる基材には、混紡糸で織られておりフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸された布や、帝人株式会社製のメタ系アラミド繊維である「コーネックス」(登録商標)を用いることができる。
【0035】
そして、エキサイタ100において、かかる第二のダンパー170が、フレーム4の開放端に位置するように当該フレーム4の上端部4Bに設けられたダンパー5よりもフレーム4の内側(底面部4Aの側)に配置されている。
この配置によれば、ダンパー5のスリット孔5Aからフレーム4に入り込んだ微塵が第二のダンパー170により捕集され、フレーム4の内部への浸入が防止される。これにより、エキサイタ100による音質が、フレーム4に浸入した微塵に影響されることがない。
また、第二のダンパー170が通気性を有するため、エキサイタ1の内部に熱が籠もることもない。
【0036】
なお、本変形例において、2つのダンパー5のいずれかを第二のダンパー170に置き換えてもよい。
【0037】
[第2変形例]
図5は本変形例に係るエキサイタ200の内部構成を模式的に示す図である。なお、同図において、既に説明した部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
エキサイタ200は、上述した実施形態のエキサイタ1において、フレーム4が、その開放側を閉じる天面部175を備えることで、第一の振動体12及び第二の振動体22を内包する有底有天の円筒状に形成されたものである。
本変形例によれば、第一の振動体12をフレーム4に支持するダンパー5といった第一の振動部10の全体がフレーム4の中に収められるため、ダンパー5にスリット孔5A(
図1)が設けられている場合でも、フレーム4の内部への浸入を確実に防止することができる。
【0038】
[第3変形例]
図6は本変形例に係るエキサイタ300の内部構成を模式的に示す図である。なお、同図において、既に説明した部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
エキサイタ300は、上述した実施形態のエキサイタ1において、フレーム4の底面部4Aに、平面視適宜形状の第二の開口部177が形成されており、第二のヨーク24のフランジ部24Cが第二の開口部177を内側から塞ぐようにフレーム4に内設されることで、当該フランジ部24Cが第二の開口部177から外気に曝されるように構成したものである。底面部4Aにおいて、第二の開口部177は、エッジ7に覆われることがない位置、すなわちエッジ7よりも外周側に設けられている。
【0039】
かかるエキサイタ300において、第一のボイスコイルボビン13と、第二のヨーク24とは熱伝導性が高い材料から形成されている。したがって、第一のボイスコイルボビン13及び第一のボイスコイル17が発する熱は、第二のヨーク24に伝わり、第二の開口部177から外部に放熱される。
これにより、フレーム4の内部に籠もる熱が抑えられる。
さらに、第二の開口部177が第二のヨーク24に塞がれているため、第二の開口部177からフレーム4の内部への微塵の浸入を防止できる。
【0040】
なお、本変形例のエキサイタ300において、第2変形例と同様に、フレーム4の開放側が天面部175によって閉じられてもよい。
これにより、フレーム4の内部への微塵の浸入を確実に防止しつつ、第二の開口部177からの放熱によって熱の籠もりを抑えることができる。
また、本変形例のエキサイタ300において、第1変形例と同様に、第二のダンパー170を備えてもよい。
【0041】
[第4変形例]
図7は本変形例に係るエキサイタ400の内部構成を模式的に示す図である。なお、同図において、既に説明した部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
エキサイタ400は、上述した第3変形例のエキサイタ300において、第一の振動部10の磁気回路の磁束を増すために、第一の振動体12が第三の磁石178を備えるものである。この第三の磁石178と第一の磁石15とは同極同士で第一の金属板16を挟むように対向配置されており、これにより反発磁気回路が構成されている。
さらに、エキサイタ400は、第二の振動体22が第二のヨーク24に設けられた第四の磁石179を備え、この第四の磁石179が第三の磁石178との対向位置で、互いに同極同士が対向することで反発し合うように設けられている。
このエキサイタ400によれば、第三の磁石178が第一の振動部10に設けられることで、第一の振動部10の第一の振動体12(第三の磁石178)と第二の振動部20の第二の振動体22との間が狭くなっても、第一の振動体12の振動時に、当該第一の振動体12の第三の磁石178が第二の振動体22に吸着される等の不具合を防止できる。
【0042】
なお、本変形例の第三の磁石178、及び第四の磁石179は、第3変形例のエキサイタ300以外にも、上述した実施形態のエキサイタ1や、第1変形例のエキサイタ100、第2変形例のエキサイタ200にも設けることができる。
【0043】
[他の変形例]
上述した実施形態において、水平、及び垂直等の方向、各種の数値、及び形状に係る記載は、特段の断りがない限り、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状を除外するものではない。すなわち、これらの方向、数値、及び形状と同じ作用効果を奏する限りにおいて、実施形態における方向、数値、及び形状は、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状(いわゆる、均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0044】
1、100、200、300、400 エキサイタ
4 フレーム
5 ダンパー
5A スリット孔
6 開口部
7 エッジ
10 第一の振動部
12 第一の振動体
13 第一のボイスコイルボビン
14 第一のヨーク
15 第一の磁石
17 第一のボイスコイル
20 第二の振動部
21 振動部材
22 第二の振動体
23 第二のボイスコイルボビン
24 第二のヨーク
24D 凹部
25 第二の磁石
27 第二のボイスコイル
60 伝達媒体
170 第二のダンパー
177 第二の開口部
178 第三の磁石
179 第四の磁石