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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/04 20060101AFI20241106BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20241106BHJP
   F25D 21/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F25B5/04 B
F25B47/02 510C
F25D21/06 H
F25B47/02 510F
F25B47/02 520B
F25B47/02 560
F25D21/06 D
F25D21/06 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020037569
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021139547
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中村 新吾
(72)【発明者】
【氏名】神保 直道
(72)【発明者】
【氏名】高野 幸裕
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-095177(JP,A)
【文献】実開昭51-148078(JP,U)
【文献】特開2020-016374(JP,A)
【文献】特開2014-009862(JP,A)
【文献】特開昭63-129288(JP,A)
【文献】特開平01-169283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 5/04
F25B 47/02
F25D 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる第1膨張部と、
冷却する空気が送られる空気流路に設けられ、前記第1膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器と、
前記冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、前記冷却用蒸発器から流出する冷媒を膨張させる第2膨張部と、
前記冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、前記冷却用蒸発器に直列に接続され、前記第2膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、前記冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する捕集時に蒸発器として機能する捕集用蒸発器と、を備え
前記捕集用蒸発器は、冷却時に前記冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入しないとともに、除霜時に前記冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入するように構成されている、冷却装置。
【請求項2】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる第1膨張部と、
冷却する空気が送られる空気流路に設けられ、前記第1膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器と、
前記冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、前記冷却用蒸発器から流出する冷媒を膨張させる第2膨張部と、
前記冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、前記冷却用蒸発器に直列に接続され、前記第2膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、前記冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する捕集時に蒸発器として機能する捕集用蒸発器と
前記空気流路内の前記冷却用蒸発器に対して空気を送る送風機と、
前記冷却用蒸発器の除霜時に、前記冷却用蒸発器の温度を冷却時よりも高くするとともに、前記送風機による送風により前記冷却用蒸発器の霜を気流により取り除く制御を行う制御部と、をさらに備える、冷却装置。
【請求項3】
前記冷却用蒸発器は、複数設けられ、
前記捕集用蒸発器は、複数の前記冷却用蒸発器のうち除霜されている前記冷却用蒸発器から流出する冷媒が前記第2膨張部を介して流入するとともに、複数の前記冷却用蒸発器のうち空気を冷却している前記冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入しないように構成されている、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記捕集用蒸発器は、前記冷却用蒸発器の除霜時に前記冷却用蒸発器から空気が送られる下流の空気流路内に設けられ、前記冷却用蒸発器の除霜時に、前記冷却用蒸発器から送られる空気を、前記冷却用蒸発器による冷却時の温度に冷却するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却用蒸発器により空気流路の空気を冷却させる冷却時に、前記冷却用蒸発器から流出する冷媒を前記捕集用蒸発器を介さずに前記圧縮機に流入させる第1状態と、前記冷却用蒸発器の除霜時に、前記冷却用蒸発器から流出する冷媒を前記捕集用蒸発器を介して前記圧縮機に流入させる第2状態と、を切り替える第1冷媒流路切替部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記第1冷媒流路切替部は、前記冷却用蒸発器および前記圧縮機を前記捕集用蒸発器を介さずに接続する第1冷媒流路と、前記冷却用蒸発器および前記捕集用蒸発器を前記第2膨張部を介して接続する第2冷媒流路と、前記第1冷媒流路に設けられた第1の弁と、前記第2冷媒流路に設けられた第1逆流防止部と、を含む、請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記捕集用蒸発器の除霜時に、前記凝縮器から流出する冷媒を前記捕集用蒸発器に流入させた後、前記第1膨張部を介して前記冷却用蒸発器に流入させる第3状態と、前記冷却用蒸発器の除霜時に、前記凝縮器から流出する冷媒を前記第1膨張部を介して前記冷却用蒸発器に流入させた後、前記第2膨張部を介して前記捕集用蒸発器に流入させる第4状態と、を切り替える第2冷媒流路切替部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記第2冷媒流路切替部は、前記冷却用蒸発器および前記圧縮機を前記捕集用蒸発器を介さずに接続する第1冷媒流路と、前記冷却用蒸発器および前記捕集用蒸発器を前記第2膨張部を介して接続する第2冷媒流路と、前記凝縮器および前記捕集用蒸発器を前記冷却用蒸発器を介さずに接続する第3冷媒流路と、前記捕集用蒸発器および前記冷却用蒸発器を前記第1膨張部を介して接続する第4冷媒流路と、前記凝縮器および前記冷却用蒸発器を前記捕集用蒸発器を介さずに接続する第5冷媒流路と、前記第1冷媒流路に設けられた第1の弁と、前記第2冷媒流路に設けられた第1逆流防止部と、前記第3冷媒流路に設けられた第2の弁と、前記第4冷媒流路に設けられた第2逆流防止部と、を含む、請求項7に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却装置に関し、特に、冷却用蒸発器の霜を気流による昇華および剥離により取り除く冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却用蒸発器の霜を気流による昇華および剥離により取り除く冷却装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる膨張部と、膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器と、を備える冷却装置が開示されている。この特許文献1の冷却装置は、冷却用蒸発器の温度を冷却時よりも高くして、冷却時に冷却用蒸発器に空気を送る送風機により、冷却用蒸発器に風(気流)を送って、冷却用蒸発器の霜を気流による昇華および剥離により取り除くように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-095177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された冷却装置では、上記のように、冷却用蒸発器の温度を冷却時よりも高くして、冷却時に冷却用蒸発器に空気を送る送風機により、冷却用蒸発器に風(気流)を送って、冷却用蒸発器の霜を気流による昇華および剥離により取り除く。このため、冷却用蒸発器から取り除かれた霜や水分を含むとともに冷却時よりも温度が高い空気が冷却空間に流れ込んでしまう。そこで、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することが望まれる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することが可能な冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の局面による冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる第1膨張部と、冷却する空気が送られる空気流路に設けられ、第1膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器と、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、冷却用蒸発器から流出する冷媒を膨張させる第2膨張部と、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、冷却用蒸発器に直列に接続され、第2膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する捕集時に蒸発器として機能する捕集用蒸発器と、を備え、捕集用蒸発器は、冷却時に冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入しないとともに、除霜時に冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入するように構成されている
【0008】
第1の局面による冷却装置では、上記のように、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、冷却用蒸発器に直列に接続され、第2膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する捕集用蒸発器を設ける。これにより、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時において、冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集用蒸発器により捕集することができる。また、捕集用蒸発器において冷媒を蒸発させることにより、霜および水分の捕集時に空気流路の空気を冷却させることができる。その結果、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することができる。また、捕集用蒸発器を、冷却用蒸発器に対して直列に接続することにより、冷却用蒸発器を通過した冷媒を捕集用蒸発器において用いることができる。これにより、捕集用蒸発器を冷却用蒸発器に対して並列に接続する場合と異なり、冷却用蒸発器と捕集用蒸発器とに冷媒を分けて供給する必要がないので、循環させる冷媒の総量が多くなることを抑制することができる。
【0009】
第2の局面による冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる第1膨張部と、冷却する空気が送られる空気流路に設けられ、第1膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させる冷却用蒸発器と、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、冷却用蒸発器から流出する冷媒を膨張させる第2膨張部と、冷却用蒸発器の気流による昇華および剥離による除霜時に、冷却用蒸発器に直列に接続され、第2膨張部によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、冷却用蒸発器から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する捕集時に蒸発器として機能する捕集用蒸発器と、空気流路内の冷却用蒸発器に対して空気を送る送風機と、冷却用蒸発器の除霜時に、冷却用蒸発器の温度を冷却時よりも高くするとともに、送風機による送風により冷却用蒸発器の霜を気流により取り除く制御を行う制御部と、をさらに備える。これにより、冷却用蒸発器の温度を冷却時よりも高くした状態で、送風機により冷却用蒸発器に送風することにより、冷却用蒸発器に付着した霜を容易に取り除くことができる。また、除霜時において冷却用蒸発器の温度を高くするので、冷却用蒸発器において冷媒が受け取る熱量を小さくすることができる。これにより、冷却用蒸発器に直列に接続され、冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入する捕集用蒸発器において、冷媒が受けることが可能な熱量を大きくすることができる。その結果、捕集用蒸発器における冷却能力を向上させることができる。
【0010】
上記第1および第2の局面による冷却装置において、好ましくは、冷却用蒸発器は、複数設けられ、捕集用蒸発器は、複数の冷却用蒸発器のうち除霜されている冷却用蒸発器から流出する冷媒が第2膨張部を介して流入するとともに、複数の冷却用蒸発器のうち空気を冷却している冷却用蒸発器から流出する冷媒が流入しないように構成されている。このように構成すれば、冷却用蒸発器の除霜時に、除霜中の冷却用蒸発器から流出する液体の冷媒を蒸発させて捕集用蒸発器を冷却することができる。また、冷却用蒸発器による空気の冷却時に、冷却中の冷却用蒸発器から流出する気体の冷媒を捕集用蒸発器を介さずに圧縮機に戻すことができる。
【0011】
上記第1および第2の局面による冷却装置において、好ましくは、捕集用蒸発器は、冷却用蒸発器の除霜時に冷却用蒸発器から空気が送られる下流の空気流路内に設けられ、冷却用蒸発器の除霜時に、冷却用蒸発器から送られる空気を、冷却用蒸発器による冷却時の温度に冷却するように構成されている。このように構成すれば、冷却用蒸発器の除霜時においても、捕集用蒸発器により、空気を冷却時と同じ温度に冷却することができるので、冷却用蒸発器の除霜時および冷却時の両方において、冷却温度が変化するのを抑制することができる。
【0012】
上記第1および第2の局面による冷却装置において、好ましくは、冷却用蒸発器により空気流路の空気を冷却させる冷却時に、冷却用蒸発器から流出する冷媒を捕集用蒸発器を介さずに圧縮機に流入させる第1状態と、冷却用蒸発器の除霜時に、冷却用蒸発器から流出する冷媒を捕集用蒸発器を介して圧縮機に流入させる第2状態と、を切り替える第1冷媒流路切替部をさらに備える。このように構成すれば、冷却用蒸発器による空気の冷却時に捕集用蒸発器に冷媒を流入させない第1状態と、冷却用蒸発器の除霜時に捕集用蒸発器に冷媒を流入させる第2状態とを第1冷媒流路切替部により切り替えることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、第1冷媒流路切替部は、冷却用蒸発器および圧縮機を捕集用蒸発器を介さずに接続する第1冷媒流路と、冷却用蒸発器および捕集用蒸発器を第2膨張部を介して接続する第2冷媒流路と、第1冷媒流路に設けられた第1の弁と、第2冷媒流路に設けられた第1逆流防止部と、を含む。このように構成すれば、冷却用蒸発器による空気の冷却時に、第1の弁を開くことにより第1冷媒流路に冷媒を流す第1状態にすることができる。また、冷却用蒸発器の除霜時に、第1の弁を閉じることにより第2冷媒流路に冷媒を流す第2状態にすることができる。また、第1の弁を開いている場合に、第2冷媒流路を冷媒が冷却用蒸発器側に逆流するのを第1逆流防止部により防止することができる。
【0014】
上記第1および第2の局面による冷却装置において、好ましくは、捕集用蒸発器の除霜時に、凝縮器から流出する冷媒を捕集用蒸発器に流入させた後、第1膨張部を介して冷却用蒸発器に流入させる第3状態と、冷却用蒸発器の除霜時に、凝縮器から流出する冷媒を第1膨張部を介して冷却用蒸発器に流入させた後、第2膨張部を介して捕集用蒸発器に流入させる第4状態と、を切り替える第2冷媒流路切替部をさらに備える。このように構成すれば、捕集用蒸発器の除霜時に、膨張部を介さずに捕集用蒸発器に冷媒を流入させることができるので、比較的温度および圧力が高い液体の冷媒を捕集用蒸発器に流入させることができる。これにより、捕集用蒸発器に流入する冷媒により捕集用蒸発器の霜を融解させることができるので、捕集用蒸発器の除霜のために、ヒータや気流による除霜のための送風機を別途設ける必要がない。
【0015】
この場合、好ましくは、第2冷媒流路切替部は、冷却用蒸発器および圧縮機を捕集用蒸発器を介さずに接続する第1冷媒流路と、冷却用蒸発器および捕集用蒸発器を第2膨張部を介して接続する第2冷媒流路と、凝縮器および捕集用蒸発器を冷却用蒸発器を介さずに接続する第3冷媒流路と、捕集用蒸発器および冷却用蒸発器を第1膨張部を介して接続する第4冷媒流路と、凝縮器および冷却用蒸発器を捕集用蒸発器を介さずに接続する第5冷媒流路と、第1冷媒流路に設けられた第1の弁と、第2冷媒流路に設けられた第1逆流防止部と、第3冷媒流路に設けられた第2の弁と、第4冷媒流路に設けられた第2逆流防止部と、を含む。このように構成すれば、捕集用蒸発器の除霜時に、第2の弁を開くことにより第3冷媒流路に冷媒を流す第3状態にすることができるとともに、冷却用蒸発器の除霜時に、第1の弁および第2の弁を閉じることにより第2冷媒流路に冷媒を流す第4状態にすることができる。また、第1の弁を開いている場合に、第2冷媒流路を冷媒が冷却用蒸発器側に逆流するのを第1逆流防止部により防止することができる。また、第2の弁を閉じている場合に、第4冷媒流路を捕集用蒸発器側に冷媒が逆流するのを第2逆流防止部により防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、冷却用蒸発器の除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態による冷却装置の冷媒流路の構成を示したブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態による冷却装置の空気流路を示した側面図である。
図3】本発明の第1実施形態による冷却装置の冷却処理を説明するための冷媒流路図である。
図4】本発明の第1実施形態による冷却装置の冷却処理を説明するための空気流路の側面図である。
図5】本発明の第1実施形態による冷却装置の除霜処理の第1例を説明するための冷媒流路図である。
図6】本発明の第1実施形態による冷却装置の除霜処理の第1例を説明するための空気流路の側面図である。
図7】本発明の第1実施形態による冷却装置の除霜処理の第2例を説明するための冷媒流路図である。
図8】本発明の第1実施形態による冷却装置の通常冷却時の冷媒の状態を説明するためのp-h線図である。
図9】本発明の第1実施形態による冷却装置の除霜時の冷媒の状態を説明するためのp-h線図である。
図10】本発明の第2実施形態による冷却装置の冷媒流路の構成を示したブロック図である。
図11】本発明の第2実施形態による冷却装置の冷却処理を説明するための冷媒流路図である。
図12】本発明の第2実施形態による冷却装置の除霜処理の第1例を説明するための冷媒流路図である。
図13】本発明の第2実施形態による冷却装置の除霜処理の第2例を説明するための冷媒流路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1図9を参照して、第1実施形態による冷却装置100の構成について説明する。
【0020】
冷却装置100は、冷却空間を冷却するように構成されている。具体的には、冷却装置100は、冷却空間を0℃以下の温度に冷却するように構成されている。たとえば、冷却装置100は、冷却空間を-20℃程度の温度に冷却するように構成されている。冷却装置100は、冷却空間としての、ショーケース、冷蔵庫、冷凍庫、倉庫または部屋の内部を冷却するように構成されている。たとえば、冷却装置100は、冷却空間の上部が開放され、冷凍食品、氷菓を冷却するアイスショーケースである。
【0021】
図1に示すように、冷却装置100は、圧縮機10を備えている。圧縮機10は、冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機10は、インバータ(図示せず)により制御されている。これにより、圧縮機10は、圧縮機10から吐出される冷媒の流量を調整可能に構成されている。なお、冷媒は、たとえば、R410A、R404A、R32および二酸化炭素(CO)などである。
【0022】
また、冷却装置100は、凝縮器20を備えている。凝縮器20は、圧縮機10から吐出された冷媒を凝縮するように構成されている。凝縮器20には、送風機21が設けられている。送風機21は、凝縮器20に空気を送るように構成されている。そして、凝縮器20の冷媒から、送風機21により送られた空気に熱が伝達される。
【0023】
また、冷却装置100は、膨張弁30a、30b、30cを備えている。膨張弁30a、30b、30cは、凝縮器20により凝縮された冷媒を膨張させるように構成されている。また、膨張弁30a、30b、30cは、たとえば、ニードル弁から構成されている。また、膨張弁30a、30b、30cの開度は、膨張弁30a、30b、30cに取り付けられたステッピングモータ(図示せず)により調整される。また、膨張弁30a、30b、30cの開度が調整されることにより、それぞれの下流に設けられた蒸発器40a、40b、40cへの冷媒の流量が調整される。なお、膨張弁30a、30b、30cは、特許請求の範囲の「第1膨張部」の一例である。
【0024】
また、冷却装置100は、蒸発器40a、40b、40cを備えている。蒸発器40a、40b、40cは、それぞれ膨張弁30a、30b、30cによって膨張された冷媒を蒸発させるように構成されている。蒸発器40a、40b、40cは、図2に示すように、冷却する空気が送られる空気流路71に設けられている。蒸発器40a、40b、40cは、互いに並列に設けられている。また、蒸発器40a、40b、40cは、冷媒が流れる冷媒流路と、冷媒の温度を伝熱させる伝熱表面とを含む。具体的には、蒸発器40a、40b、40cは、互いに平行に配置される複数の平板を含む。また、平板は、たとえば、アルミニウムなどの金属から構成されている。また、平板の表面および裏面が伝熱表面である。そして、冷媒流路は、複数の平板を貫通するとともに、蛇行するように設けられている。また、伝熱表面は、平坦であってもよいし、凹凸形状を有していてもよい。伝熱表面が凹凸形状を有することにより、付着した霜を取り除き易くすることが可能である。なお、蒸発器40a、40b、40cは、特許請求の範囲の「冷却用蒸発器」の一例である。
【0025】
図1および図2に示すように、冷却装置100は、送風機41a、41b、41cを備えている。送風機41a(41b、41c)は、空気流路71内の蒸発器40a(40b、40c)に対して空気を送るように構成されている。具体的には、送風機41a、41b、41cは、それぞれ、冷却時に吸込口74から吸入された空気を蒸発器40a、40b、40cを通して冷却して吹出口73に送るように構成されている。また、送風機41a、41b、41cは、それぞれ、除霜時に、蒸発器40a、40b、40cに空気を送風(供給)するように構成されている。また、送風機41a(41b、41c)は、空気の流れ(気流)を冷却時とは逆方向にして蒸発器40a(40b、40c)を含む空気流路72内に空気を循環させて、蒸発器40a(40b、40c)の霜を取り除くように構成されている。また、送風機41a(41b、41c)は、蒸発器40a(40b、40c)と吹出口73との間に配置されている。
【0026】
また、冷却装置100は、膨張部31を備えている。膨張部31は、通過する冷媒を減圧して膨張させるように構成されている。膨張部31は、たとえば、キャピラリを含んでいる。つまり、膨張部31の開度は一定であり、制御により調整されない。膨張部31は、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒を膨張させるように構成されている。
【0027】
ここで、本実施形態では、冷却装置100は、蒸発器42を備えている。蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から気流により取り除かれた霜および水分を捕集するように構成されている。つまり、蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から剥離した(取り除かれた)霜および水分を捕集する捕集部として設けられている。蒸発器42は、蒸発器40a、40b、40cに対して共通に設けられている。捕集部としての蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)に直列に接続され、膨張部31によって膨張された冷媒を蒸発させる。また、捕集部としての蒸発器42は、捕集した霜を除霜する際に、ヒータまたはホットガスにより加温されて除霜される。蒸発器42は、空気流路72内に設けられている。
【0028】
冷却装置100は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、空気流路72に送風して、空気を循環させる送風機43を備えている。送風機43は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に駆動し、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時以外には停止する。
【0029】
また、冷却装置100には、冷媒の流れに対して、蒸発器40a、40b、40c、42の下流側に、アキュムレータ11(高圧の冷媒を蓄積する装置)が設けられている。また、冷却装置100には、アキュムレータ11の下流側に、ストレーナ12(冷媒内の異物などを除去するための配管)が設けられている。また、ストレーナ12の下流側には、圧縮機10が設けられている。
【0030】
また、冷却装置100には、圧縮機10の冷媒の流入側と凝縮器20の流出側とを接続するようにバイパス回路が設けられている。バイパス回路には、逆止弁13と、ストレーナ14と、キャピラリ15とが設けられている。
【0031】
また、冷却装置100は、蒸発器40a(40b、40c)により空気流路71の空気を冷却させる冷却時に、蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒を蒸発器42を介さずに圧縮機10に流入させる第1状態と、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒を蒸発器42を介して圧縮機10に流入させる第2状態と、が切り替えられるように構成されている。
【0032】
具体的には、冷却装置100は、蒸発器40a(40b、40c)および圧縮機10を蒸発器42を介さずに接続する冷媒流路51と、蒸発器40a(40b、40c)および蒸発器42を膨張部31を介して接続する冷媒流路52と、冷媒流路51に設けられた電磁弁51a(51b、51c)と、冷媒流路52に設けられた逆流防止弁52a(52b、52c)と、を備えている。なお、冷媒流路51は、特許請求の範囲の「第1冷媒流路」、「第1冷媒流路切替部」の一例である。また、電磁弁51a、51b、51cは、特許請求の範囲の「第1の弁」、「第1冷媒流路切替部」の一例である。また、冷媒流路52は、特許請求の範囲の「第2冷媒流路」、「第1冷媒流路切替部」の一例である。また、逆流防止弁52a、52b、52cは、特許請求の範囲の「第1逆流防止部」、「第1冷媒流路切替部」の一例である。
【0033】
電磁弁51a(51b、51c)は、蒸発器40a(40b、40c)による空気の冷却時(通常冷却時)に開かれる。これにより、冷媒流路51に冷媒が流れる第1状態となる。また、電磁弁51a(51b、51c)は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に閉じられる。これにより、冷媒流路52に冷媒が流れる第2状態となる。
【0034】
図1に示すように、冷却装置100は、冷却装置100の各部を制御する制御部60を備えている。具体的には、制御部60は、圧縮機10の駆動を制御する。また、制御部60は、送風機21の駆動を制御する。また、制御部60は、膨張弁30a、30b、30cの開閉を制御する。また、制御部60は、送風機41a、41b、41c、43の駆動を制御する。また、制御部60は、電磁弁51a、51b、51cの開閉を制御する。
【0035】
また、制御部60は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)の温度を冷却時よりも高くするとともに、送風機41a(41b、41c)による送風により蒸発器40a(40b、40c)の霜を気流により取り除く制御を行うように構成されている。つまり、制御部60は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)の温度が高くなるように、膨張弁30a(30b、30c)の開度を調整して、冷媒の流量を調整する。たとえば、蒸発器40a(40b、40c)に流入する冷媒は、冷却時に-40℃程度にされ、除霜時に0℃程度にされる。
【0036】
図2に示すように、冷却装置100は、蒸発器40a(40b、40c)を通して送風機41a(41b、41c)から吹出口73に送られる空気の空気流路71を備えている。また、冷却装置100は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に空気が循環する空気流路72を備えている。なお、図2では、蒸発器40aについての空気流路71、72を示しているが、蒸発器40bおよび40cの空気流路71、72についても同様である。
【0037】
図2に示すように、冷却装置100は、除霜時における蒸発器40a(40b、40c)の下流側の空気流路72内に配置され、蒸発器40a(40b、40c)から送られる空気を空気流路72に導いて、吸込口74への空気の逆流を抑制する逆流抑制部75を備えている。具体的には、逆流抑制部75は、空気流路72の流路を狭めるように形成されている。つまり、除霜時における空気流路72の上流側から下流側にかけて流路を狭めるように構成されている。これにより、除霜時において、蒸発器40a(40b、40c)から吹き出される空気が蒸発器42側に導かれる。
【0038】
ここで、本実施形態では、蒸発器42は、複数の蒸発器40a、40b、40cのうち除霜されている蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒が膨張部31を介して流入するとともに、複数の蒸発器40a、40b、40cのうち空気を冷却している蒸発器40b、40c(40a)から流出する冷媒が流入しないように構成されている。
【0039】
また、本実施形態では、蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に蒸発器40a(40b、40c)から空気が送られる下流の空気流路72内に設けられている。また、蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から送られる空気を、蒸発器40a(40b、40c)による冷却時の温度に冷却するように構成されている。
【0040】
(冷却時の動作)
次に、冷却装置100の冷却時の動作について説明する。
【0041】
まず、冷媒は、圧縮機10により圧縮される。これにより、冷媒は、高温(60℃程度)高圧となる。なお、圧縮機10は、たとえば、60Hzの駆動周波数により駆動される。次に、圧縮機10により圧縮された冷媒は、凝縮器20により冷却されることにより凝縮(液化)される。これにより、冷媒は、中温(30℃程度)高圧となる。
【0042】
次に、液化された冷媒が膨張弁30a~30cによって膨張される。これにより、冷媒の圧力は、比較的低くなる。たとえば、膨張弁30a~30cの開度は、全開の状態の約10%である。次に、膨張弁30a~30cによって膨張された冷媒は、蒸発器40a~40cによって蒸発(気化)される。このとき、冷媒の気化熱によって、蒸発器40a~40cの伝熱表面の周囲の空気の温度が低下(冷却)される。たとえば、冷媒は、低温(-40℃程度)低圧となる。また、送風機41a~41cによって、蒸発器40a~40cの伝熱表面に、空気が送風される。これにより、冷却された空気は、冷却対象となる冷却空間に送風される。また空気の熱量が冷媒に伝わることにより、冷媒は、低温(-20℃程度)低圧となる。また、吸込口74から吸入された-20℃程度の空気は、蒸発器40a~40cにより-25℃程度に冷却されて、吹出口73から吹き出される。ここで、送風された空気が、伝熱表面によって冷却されるため、空気中の水分が、伝熱表面に凝縮(凍結)する。このため、伝熱表面に、霜が付着(成長)する。また、気化した冷媒は、再び圧縮機10により圧縮される。
【0043】
また、蒸発器40a~40cの全てにおいて、空気を冷却する場合は、図3に示すように、電磁弁51a、51b、51cが開にされる。これにより、蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51aを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51bを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51cを介して圧縮機10に流入する。なお、この場合、冷媒流路52には、膨張部31があるため、冷媒流路51の方が圧力損失が小さくなる。このため、冷媒流路52には冷媒がほとんど流れない。
【0044】
また、図4に示すように、冷却時は、送風機41a(41b、41c)が順方向に駆動されて、吸込口74から空気を吸入し、送風機41a(41b、41c)を通り、吹出口73から冷却された空気が吹き出される。
【0045】
また、全ての蒸発器40a~40cにより冷却処理を行っている場合に、捕集部としての蒸発器42の除霜が行われる。蒸発器42の霜は、加熱されることにより融解されて、排出部76より排水される。
【0046】
また、図8に示すように、蒸発器40a(40b、40c)による空気の冷却時では、圧縮機10において、冷媒は、A1の状態からA2の状態に(加圧)圧縮される。そして、凝縮器20において、冷媒は、A2の状態からA3の状態に凝縮される。そして、膨張弁30a(30b、30c)において、冷媒は、A3の状態からA4の状態に減圧(膨張)される。そして、蒸発器40a(40b、40c)において、冷媒は、A4の状態からA1の状態にされる。
【0047】
(除霜時の動作)
次に、冷却装置100の除霜時の動作について説明する。なお、除霜とは、蒸発器40a~40cの伝熱表面に付着した霜を取り除くことを意味する。
【0048】
除霜時には、蒸発器40a(40b、40c)の伝熱表面に、冷却時よりも速い流速の空気が送られる。具体的には、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、送風機41a(41b、41c)から送られる空気の流速が、冷却時に送風機41a(41b、41c)から送られる空気の流速よりも大きくなるように、送風機41a(41b、41c)が駆動される。また、除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)の温度が高くなるように冷媒の流量が調整される。ただし、除霜時の蒸発器40a(40b、40c)の伝熱表面の温度は、0℃以下である。たとえば、冷媒は、膨張弁30a(30b、30c)において、0℃中圧とされ、蒸発器40a(40b、40c)に流入する。また、蒸発器40a(40b、40c)では、低温空気(-25℃程度)による気流による除霜により、冷媒は、-10℃中圧の過冷却状態となる。伝熱表面の温度を、冷却時の伝熱表面の温度よりも高くすることにより、霜の付着強度は小さくなる。これにより、除霜時に、送風機41a(41b、41c)から送風される空気によって、伝熱表面に付着した霜を容易に取り除くことが可能になる。
【0049】
蒸発器40a(40b、40c)から取り除かれて下流に飛ばされた霜は、捕集部としての蒸発器42により捕集される。この際に、蒸発器42は、除霜中の蒸発器40a(40b、40c)から冷媒が供給されて冷却される。この場合、蒸発器42は、除霜中の蒸発器40a(40b、40c)よりも低い温度に冷却される。たとえば、蒸発器40a(40b、40c)から流出する-10℃中圧の過冷却状態の冷媒は、膨張部31により膨張されて、低温(-40℃程度)低圧となる。そして、蒸発器42において、流入した低温(-40℃程度)低圧の冷媒が蒸発されて、空気が冷却されるとともに、水分および霜の捕集が行われる。これにより、蒸発器40a(40b、40c)の気流による除霜により-20℃程度に上昇した空気温度が、蒸発器42により再冷却されて-25℃程度にされる。また、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時には、送風機43が駆動される。
【0050】
また、蒸発器40a~40cの除霜処理は、たとえば、数時間毎に、数分間の間に行われる。なお、除霜の時間は、環境温度、湿度、冷却装置100の大きさなどによって異なるので、上記の時間に限られない。
【0051】
図5に示す除霜処理の第1例では、蒸発器40aの除霜処理が行われる。また、蒸発器40bおよび40cでは、冷却処理が行われる。
【0052】
蒸発器40aの除霜が行われ、蒸発器40bおよび40cにおいて空気を冷却する場合は、図5に示すように、電磁弁51aが閉にされ、電磁弁51b、51cが開にされる。これにより、蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52a、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。そして、蒸発器42から流出した冷媒は、圧縮機10に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51bを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51cを介して圧縮機10に流入する。
【0053】
なお、図5では、蒸発器40aの除霜を行い、蒸発器40bおよび40cでは、冷却を行う例を示しているが、蒸発器40aまたは40cの除霜を行う場合も同様である。つまり、蒸発器40bの除霜が行われ、蒸発器40aおよび40cにおいて空気を冷却する場合は、電磁弁51bが閉にされ、電磁弁51a、51cが開にされる。また、蒸発器40cの除霜が行われ、蒸発器40aおよび40bにおいて空気を冷却する場合は、電磁弁51cが閉にされ、電磁弁51a、51bが開にされる。
【0054】
除霜処理が行われる蒸発器40aでは、吸込口74から吸入する空気の温度が蒸発器40aの伝熱表面の温度よりも高くなるため、冷媒から熱量(エネルギー)が奪われる。また、除霜処理が行われる蒸発器40aでは、霜の融解により冷媒から熱量(エネルギー)が奪われる。
【0055】
図6に示すように、除霜時は、送風機41a(41b、41c)が逆方向に駆動される。そして、除霜時は、吸込口74から空気を吸入し、蒸発器40aを含む空気流路71および72内を空気が循環する。また、蒸発器42により冷却および除湿された空気が吹出口73から吐出される。なお、図6では、蒸発器40aの除霜を行い、蒸発器40bおよび40cでは、冷却を行う例を示しているが、蒸発器40aまたは40cの除霜を行う場合も同様である。
【0056】
図7に示す除霜処理の第2例では、蒸発器40a、40b、40cの除霜処理が行われる。
【0057】
蒸発器40a、40b、40cの全ての除霜が行われる場合は、図7に示すように、電磁弁51a、51b、51cが閉にされる。これにより、蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52a、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52b、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52c、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。そして、蒸発器42から流出した冷媒は、圧縮機10に流入する。
【0058】
また、図9に示すように、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時では、圧縮機10において、冷媒は、B1の状態からB2の状態に(加圧)圧縮される。そして、凝縮器20において、冷媒は、B2の状態からB3の状態に凝縮される。そして、膨張弁30a(30b、30c)において、冷媒は、B3の状態からB4の状態に減圧(膨張)される。そして、蒸発器40a(40b、40c)において、冷媒は、B4の状態からB5の状態に凝縮される。そして、膨張部31において、冷媒は、B5の状態からB6の状態に減圧(膨張)される。そして、蒸発器42において、冷媒は、B6の状態からB1の状態にされる。
【0059】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
第1実施形態では、上記のように、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)に直列に接続され、膨張部31によって膨張された冷媒を蒸発させるとともに、蒸発器40a(40b、40c)から気流により取り除かれた霜および水分を捕集する蒸発器42を設ける。これにより、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時において、蒸発器40a(40b、40c)から気流により取り除かれた霜および水分を蒸発器42により捕集することができる。また、蒸発器42において冷媒を蒸発させることにより、霜および水分の捕集時に空気流路71および72の空気を冷却させることができる。その結果、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することができる。また、蒸発器42を、蒸発器40a(40b、40c)に対して直列に接続することにより、蒸発器40a(40b、40c)を通過した冷媒を蒸発器42において用いることができる。これにより、蒸発器42を蒸発器40a(40b、40c)に対して並列に接続する場合と異なり、蒸発器40a(40b、40c)と蒸発器42とに冷媒を分けて供給する必要がないので、循環させる冷媒の総量が多くなることを抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部60を、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)の温度を冷却時よりも高くするとともに、送風機41a(41b、41c)による送風により蒸発器40a(40b、40c)の霜を気流により取り除く制御を行うように構成する。これにより、蒸発器40a(40b、40c)の温度を冷却時よりも高くした状態で、送風機41a(41b、41c)により蒸発器40a(40b、40c)に送風することにより、蒸発器40a(40b、40c)に付着した霜を容易に取り除くことができる。また、除霜時において蒸発器40a(40b、40c)の温度を高くするので、蒸発器40a(40b、40c)において冷媒が受け取る熱量を小さくすることができる。これにより、蒸発器40a(40b、40c)に直列に接続され、蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒が流入する蒸発器42において、冷媒が受けることが可能な熱量を大きくすることができる。その結果、蒸発器42における冷却能力を向上させることができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、蒸発器42を、複数の蒸発器40a、40b、40cのうち除霜されている蒸発器40a(40b、40c)から流出する冷媒が膨張部31を介して流入するとともに、複数の蒸発器40a、40b、40cのうち空気を冷却している蒸発器40b、40c(40a)から流出する冷媒が流入しないように構成する。これにより、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、除霜中の蒸発器40a(40b、40c)から流出する液体の冷媒を蒸発させて蒸発器42を冷却することができる。また、蒸発器40b、40c(40a)による空気の冷却時に、冷却中の蒸発器40b、40c(40a)から流出する気体の冷媒を蒸発器42を介さずに圧縮機10に戻すことができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、蒸発器42を、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に蒸発器40a(40b、40c)から空気が送られる下流の空気流路72内に設ける。また、蒸発器42を、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から送られる空気を、蒸発器40a(40b、40c)による冷却時の温度に冷却するように構成する。これにより、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時においても、蒸発器42により、空気を冷却時と同じ温度に冷却することができるので、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時および冷却時の両方において、冷却温度が変化するのを抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、蒸発器40a(40b、40c)および圧縮機10を蒸発器42を介さずに接続する冷媒流路51と、蒸発器40a(40b、40c)および蒸発器42を膨張部31を介して接続する冷媒流路52と、冷媒流路51に設けられた電磁弁51a(51b、51c)と、冷媒流路52に設けられた逆流防止弁52a(52b、52c)と、を設ける。これにより、蒸発器40a(40b、40c)による空気の冷却時に、電磁弁51a(51b、51c)を開くことにより冷媒流路51に冷媒を流す第1状態にすることができる。また、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、電磁弁51a(51b、51c)を閉じることにより冷媒流路52に冷媒を流す第2状態にすることができる。また、電磁弁51a(51b、51c)を開いている場合に、冷媒流路52を冷媒が蒸発器40a(40b、40c)側に逆流するのを逆流防止弁52a(52b、52c)により防止することができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、図10図13を参照して、第2実施形態による冷却装置200の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、蒸発器42の除霜時に、蒸発器42から流出する冷媒を蒸発器40a~40cに流入させる構成の例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0066】
図10に示すように、冷却装置200は、圧縮機10と、凝縮器20と、膨張弁30a、30b、30cと、蒸発器40a、40b、40cと、を備えている。また、冷却装置200は、膨張部31と、蒸発器42と、を備えている。また、冷却装置200は、アキュムレータ11と、ストレーナ12と、を備えている。また、冷却装置200は、逆止弁13と、ストレーナ14と、キャピラリ15と、を備えている。また、冷却装置200は、送風機21と、送風機41a、41b、41cと、送風機43と、を備えている。
【0067】
また、冷却装置200は、冷媒流路51と、電磁弁51a、51b、51cと、を備えている。また、冷却装置200は、冷媒流路52と、逆流防止弁52a、52b、52cと、を備えている。
【0068】
ここで、第2実施形態では、冷却装置200は、蒸発器42の除霜時に、凝縮器20から流出する冷媒を蒸発器42に流入させた後、膨張弁30a(30b、30c)を介して蒸発器40a(40b、40c)に流入させる第3状態と、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、凝縮器20から流出する冷媒を膨張弁30a(30b、30c)を介して蒸発器40a(40b、40c)に流入させた後、膨張部31を介して蒸発器42に流入させる第4状態と、が切り替えられるように構成されている。
【0069】
具体的には、冷却装置200は、蒸発器40a(40b、40c)および圧縮機10を蒸発器42を介さずに接続する冷媒流路51と、蒸発器40a(40b、40c)および蒸発器42を膨張部31を介して接続する冷媒流路52と、を備えている。また、冷却装置200は、凝縮器20および蒸発器42を蒸発器40a(40b、40c)を介さずに接続する冷媒流路53と、蒸発器42および蒸発器40a(40b、40c)を膨張弁30a(30b、30c)を介して接続する冷媒流路54と、を備えている。また、冷却装置200は、凝縮器20および蒸発器40a(40b、40c)を蒸発器42を介さずに接続する冷媒流路55と、冷媒流路51に設けられた電磁弁51a(51b、51c)と、を備えている。また、冷却装置200は、冷媒流路52に設けられた逆流防止弁52a(52b、52c)と、冷媒流路53に設けられた電磁弁53aと、冷媒流路54に設けられた逆流防止弁54aと、を備えている。なお、冷媒流路51は、特許請求の範囲の「第1冷媒流路」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、電磁弁51a、51b、51cは、特許請求の範囲の「第1の弁」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、冷媒流路52は、特許請求の範囲の「第2冷媒流路」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、逆流防止弁52a、52b、52cは、特許請求の範囲の「第1逆流防止部」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、冷媒流路53は、特許請求の範囲の「第3冷媒流路」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、電磁弁53aは、特許請求の範囲の「第2の弁」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、冷媒流路54は、特許請求の範囲の「第4冷媒流路」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、逆流防止弁54aは、特許請求の範囲の「第2逆流防止部」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。また、冷媒流路55は、特許請求の範囲の「第5冷媒流路」、「第2冷媒流路切替部」の一例である。
【0070】
また、冷却装置200は、蒸発器42および圧縮機を接続する冷媒流路56と、冷媒流路56に設けられた電磁弁56aを備えている。
【0071】
また、第2実施形態では、蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から気流により取り除かれた霜および水分を捕集するように構成されている。つまり、蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)から剥離した(取り除かれた)霜および水分を捕集する捕集部として設けられている。蒸発器42は、蒸発器40a、40b、40cに対して共通に設けられている。捕集部としての蒸発器42は、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、蒸発器40a(40b、40c)に直列に接続され、膨張部31によって膨張された冷媒を蒸発させる。
【0072】
また、捕集部としての蒸発器42は、捕集した霜を除霜する際に、凝縮器20から流出する中温(たとえば、30℃程度)高圧の冷媒により加温されて除霜される。
【0073】
蒸発器42の除霜が行われ、蒸発器40a~40cの全てにおいて、空気を冷却する場合は、図11に示すように、電磁弁51a、51b、51cが開にされる。また、電磁弁53aが開にされる。また、電磁弁55aが閉にされる。また、電磁弁56aが閉にされる。これにより、凝縮器20から流出した冷媒は、冷媒流路53を介して蒸発器42に流入する。そして、蒸発器42から流出した冷媒は、冷媒流路54を介して膨張弁30a、30b、30cに流入する。膨張弁30a、30b、30cから流出した冷媒は、それぞれ、蒸発器40a、40b、40cに流入する。また、蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51aを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51bを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51cを介して圧縮機10に流入する。なお、この場合、冷媒流路52には、膨張部31があるため、冷媒流路51の方が圧力損失が小さくなる。このため、冷媒流路52には冷媒がほとんど流れない。
【0074】
図11に示す例では、冷媒は、圧縮機10により圧縮される。これにより、冷媒は、高温(60℃程度)高圧となる。次に、圧縮機10により圧縮された冷媒は、凝縮器20により冷却されることにより凝縮(液化)される。これにより、冷媒は、中温(30℃程度)高圧となる。次に、中温(30℃程度)高圧の冷媒は、蒸発器42の除霜により、熱量が奪われて10℃中圧の過冷却状態となる。蒸発器42から流出する10℃中圧の過冷却状態の冷媒は、膨張弁30a(30b、30c)において、低温(-40℃程度)低圧となる。そして、蒸発器40a(40b、40c)において、流入した低温(-40℃程度)低圧の冷媒が蒸発されて、空気が冷却される。これにより、冷媒は、-30℃低圧となる。その後、冷媒は、冷媒流路51を通って圧縮機10に戻される。
【0075】
蒸発器40aの除霜が行われ、蒸発器40bおよび40cにおいて空気を冷却する場合は、図12に示すように、電磁弁51aが閉にされ、電磁弁51b、51cが開にされる。また、電磁弁53aが閉にされる。また、電磁弁55aが開にされる。また、電磁弁56aが開にされる。これにより、凝縮器20から流出した冷媒は、冷媒流路55を介して膨張弁30a、30b、30cに流入する。膨張弁30a、30b、30cから流出した冷媒は、それぞれ、蒸発器40a、40b、40cに流入する。蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52a、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。そして、蒸発器42から流出した冷媒は、冷媒流路56を介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51bを介して圧縮機10に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路51の電磁弁51cを介して圧縮機10に流入する。
【0076】
図12に示す例では、冷媒は、圧縮機10により圧縮される。これにより、冷媒は、高温(60℃程度)高圧となる。次に、圧縮機10により圧縮された冷媒は、凝縮器20により冷却されることにより凝縮(液化)される。これにより、冷媒は、中温(30℃程度)高圧となる。次に、中温(30℃程度)高圧の冷媒は、膨張弁30aにより膨張されて、0℃中圧とされ、蒸発器40aに流入する。また、中温(30℃程度)高圧の冷媒は、膨張弁30b(30c)により膨張されて、-40℃低圧とされ、蒸発器40b(40c)に流入する。また、蒸発器40aでは、低温空気(-25℃程度)による気流による除霜により、冷媒は、-10℃中圧の過冷却状態となる。また、蒸発器40b(40c)において、流入した低温(-40℃程度)低圧の冷媒が蒸発されて、空気が冷却される。これにより、冷媒は、-30℃低圧となる。蒸発器40aから流出する-10℃中圧の過冷却状態の冷媒は、膨張部31により膨張されて、低温(-40℃程度)低圧となる。そして、蒸発器42において、流入した低温(-40℃程度)低圧の冷媒が蒸発されて、空気が冷却されるとともに、水分および霜の捕集が行われる。これにより、冷媒は、-30℃低圧となる。そして、蒸発器40b、40c、および42から流出するー30℃低圧の冷媒は、圧縮機10に戻される。
【0077】
なお、図12では、蒸発器40aの除霜を行い、蒸発器40bおよび40cでは、冷却を行う例を示しているが、蒸発器40aまたは40cの除霜を行う場合も同様である。つまり、蒸発器40bの除霜が行われ、蒸発器40aおよび40cにおいて空気を冷却する場合は、電磁弁51bが閉にされ、電磁弁51a、51cが開にされる。また、電磁弁53aが閉にされる。また、電磁弁55aが開にされる。また、電磁弁56aが開にされる。また、蒸発器40cの除霜が行われ、蒸発器40aおよび40bにおいて空気を冷却する場合は、電磁弁51cが閉にされ、電磁弁51a、51bが開にされる。また、電磁弁53aが閉にされる。また、電磁弁55aが開にされる。また、電磁弁56aが開にされる。
【0078】
蒸発器40a、40b、40cの全ての除霜が行われる場合は、図13に示すように、電磁弁51a、51b、51cが閉にされる。また、電磁弁53aが閉にされる。また、電磁弁55aが開にされる。また、電磁弁56aが開にされる。これにより、凝縮器20から流出した冷媒は、冷媒流路55を介して膨張弁30a、30b、30cに流入する。膨張弁30a、30b、30cから流出した冷媒は、それぞれ、蒸発器40a、40b、40cに流入する。蒸発器40aから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52a、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。また、蒸発器40bから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52b、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。また、蒸発器40cから流出した冷媒は、冷媒流路52の逆流防止弁52c、膨張部31を介して蒸発器42に流入する。そして、蒸発器42から流出した冷媒は、圧縮機10に流入する。
【0079】
図13に示す例では、冷媒は、圧縮機10により圧縮される。これにより、冷媒は、高温(60℃程度)高圧となる。次に、圧縮機10により圧縮された冷媒は、凝縮器20により冷却されることにより凝縮(液化)される。これにより、冷媒は、中温(30℃程度)高圧となる。次に、中温(30℃程度)高圧の冷媒は、膨張弁30a(30b、30c)により膨張されて、0℃中圧とされ、蒸発器40a(40b、40c)に流入する。また、蒸発器40a(40b、40c)では、低温空気(-25℃程度)による気流による除霜により、冷媒は、-10℃中圧の過冷却状態となる。蒸発器40a、40b、40cから流出する-10℃中圧の過冷却状態の冷媒は、膨張部31により膨張されて、低温(-40℃程度)低圧となる。そして、蒸発器42において、流入した低温(-40℃程度)低圧の冷媒が蒸発されて、空気が冷却されるとともに、水分および霜の捕集が行われる。これにより、冷媒は、-30℃低圧となる。そして、蒸発器42から流出するー30℃低圧の冷媒は、圧縮機10に戻される。
【0080】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、蒸発器40a(40b、40c)の気流による昇華および剥離による除霜時に、水分を含む高い温度の空気が冷却空間に流れ込むのを抑制することができる。また、循環させる冷媒の総量が多くなることを抑制することができる。
【0082】
また、第2実施形態では、上記のように、蒸発器42の除霜時に、電磁弁53aを開くことにより冷媒流路53に冷媒を流す第3状態にすることができるとともに、蒸発器40a(40b、40c)の除霜時に、電磁弁51a(51b、51c)および電磁弁53aを閉じることにより冷媒流路52に冷媒を流す第4状態にすることができる。また、電磁弁51a(51b、51c)を開いている場合に、冷媒流路52を冷媒が蒸発器40a(40b、40c)側に逆流するのを逆流防止弁52a(52b、52c)により防止することができる。また、電磁弁53aを閉じている場合に、冷媒流路54を冷媒が蒸発器42側に逆流するのを逆流防止弁54aにより防止することができる。
【0083】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0084】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0085】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、冷却のための蒸発器を3つ設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却のための蒸発器を1つ、2つ、または、4つ以上設けてもよい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、複数の蒸発器を1つずつ順次除霜処理を行う構成、複数の蒸発器の全てを並行して除霜処理を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1以上の蒸発器により冷却処理を行いながら、複数の蒸発器の除霜処理を行ってもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、蒸発器(冷却用蒸発器)による空気の冷却時と、蒸発器(冷却用蒸発器)の除霜時とにおいて、蒸発器(冷却用蒸発器)に送る気流(風)の向きが反対(逆)である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却用蒸発器による空気の冷却時と、冷却用蒸発器の除霜時とにおいて、冷却用蒸発器に送る気流(風)の向きが同じであってもよい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、第1膨張部として膨張弁を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1膨張部として、エジェクタなどの膨張弁以外の部材を用いてもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、第2膨張部として開度が一定である膨張部を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2膨張部として膨張弁を用いて、第2膨張部の開度を制御により調整してもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、冷却のための複数の蒸発器(冷却用蒸発器)に対して、霜を捕集するための共通の蒸発器(捕集用蒸発器)を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却のための冷却用蒸発器に対して、個別に捕集用蒸発器を設けてもよい。この場合、同じ空気の流路に配置された対応する冷却用蒸発器および捕集用蒸発器の冷媒流路を直列に接続することが好ましい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、電磁弁の開閉により冷媒流路を切り替える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、三方弁などにより、冷媒流路を切り替えてもよい。
【0092】
また、上記第2実施形態では、蒸発器(冷却用蒸発器)による空気の冷却時に、凝縮器から流出する冷媒を捕集部としての蒸発器(捕集用蒸発器)を介して蒸発器(冷却用蒸発器)に流入させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、冷却用蒸発器による空気の冷却時に、凝縮器から流出する冷媒を捕集用蒸発器を介さずに、冷却用蒸発器に流入させてもよい。つまり、第2実施形態において、蒸発器40a、40b、40c(冷却用蒸発器)による空気の冷却時に、電磁弁51a、51b、51c、55aを開にし、電磁弁53aを閉にしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 圧縮機
20 凝縮器
30a、30b、30c 膨張弁(第1膨張部)
31 膨張部(第2膨張部)
40a、40b、40c 蒸発器(冷却用蒸発器)
41a、41b、41c 送風機
42 蒸発器(捕集用蒸発器)
51 冷媒流路(第1冷媒流路、第1冷媒流路切替部、第2冷媒流路切替部)
51a、51b、51c 電磁弁(第1の弁、第1冷媒流路切替部、第2冷媒流路切替部)
52 冷媒流路(第2冷媒流路、第1冷媒流路切替部、第2冷媒流路切替部)
52a、52b、52c 逆流防止弁(第1逆流防止部、第1冷媒流路切替部、第2冷媒流路切替部)
53 冷媒流路(第3冷媒流路、第2冷媒流路切替部)
53a 電磁弁(第2の弁、第2冷媒流路切替部)
54 冷媒流路(第4冷媒流路、第2冷媒流路切替部)
54a 逆流防止弁(第2逆流防止部、第2冷媒流路切替部)
55 冷媒流路(第5冷媒流路、第2冷媒流路切替部)
60 制御部
71、72 空気流路
100、200 冷却装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13