(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】高誘電樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20241106BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241106BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241106BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20241106BHJP
C08L 79/00 20060101ALI20241106BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20241106BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20241106BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241106BHJP
H01B 3/40 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/22
C08K3/013
C08L45/00
C08L79/00 Z
C08J5/24 CFC
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
H05K3/46 T
H05K3/46 Q
H01B3/40 C
(21)【出願番号】P 2020095443
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大東 範行
(72)【発明者】
【氏名】和布浦 徹
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-055927(JP,A)
【文献】特開2006-059999(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139368(WO,A1)
【文献】特開2017-179014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08J 5/24
H05K 1/03
H05K 3/46
H01B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)、
誘電率(1MHz)が6未満の無機充填材(b)、シアネート樹脂(C)、およびクマロン樹脂(D)を含む、高誘電樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A)が、ビフェニル型エポキシ樹脂およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記無機充填材(B)が酸化チタン、アルミナ、およびチタン酸バリウムからなる群から選ばれる1種または2種
以上を含み、
前記無機充填材(B)の含有量が、前記高誘電樹脂組成物全量に対して、30質量%80質量%以下であって、
当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電率(Dk:εr)が4~10であり、当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電正接(Df:tanδ)が0.003~0.015である、高誘電樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機充填材(B)はペロブスカイト構造の有するものを含まない、請求項1に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項3】
当該高誘電樹脂組成物からなる硬化膜の銅箔に対するピール強度が、0.5kN/m以上である、請求項1または2に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項4】
前記高誘電樹脂組成物の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度η1の極小値が、50~2000Pa・sである、請求項1乃至3いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機充填材(B)は無機物および有機物で表面処理されている、請求項1乃至4いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項6】
前記シアネート樹脂(C)がブタジエン変性シアネートを含む、請求項1乃至5いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項7】
前記誘電率(1MHz)が6未満の無機充填材(b)は、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、および窒化炭素の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1乃至6いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至
7いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物の硬化物。
【請求項9】
請求項1乃至
7いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物中に繊維基材を含むプリプレグ。
【請求項10】
請求項
9に記載のプリプレグの少なくとも一方の面上に金属層を配置してなる積層板。
【請求項11】
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられた、請求項1乃至
7いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物からなる樹脂膜と、
を備える、キャリア付樹脂膜。
【請求項12】
請求項1乃至
7いずれか一項に記載の高誘電樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板。
【請求項13】
請求項
12に記載のプリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高誘電樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信情報の大容量化、多様化に伴い、通信の基地局用プリント基板、サーバ用プリント基板、ルータ用プリント基板などは通信速度の高速化が進んでいる。通信速度の高速化に対応するためには、信号を高周波化する必要がある。
【0003】
信号の品質を確保するためには、伝送損失の低減が重要となる。伝送損失は、主に、樹脂に起因する誘電体損失と、導体に起因する導体損失が挙げられる。前者の誘電体損失は、樹脂の誘電正接が小さくなるほど減少する傾向がある。また、後者の導体損失は、周波数が高くなるほど表皮効果(導体の表面から1~2μmの厚みを信号が流れる現象)によって、電流が流れる断面積が減少し、抵抗値が高くなることに起因する。
【0004】
一方、高誘電率である方がアンテナ形状を小型化できるという利点が知られている。
たとえば、特許文献1には、誘電体粉末の凝集物が生成するのを抑制して高誘電率樹脂層を得るために、エポキシ樹脂、チタン酸バリウム等の誘電体粉末、ノニオン性界面活性剤、及び硬化剤を含有する樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、高誘電樹脂組成物の各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。本発明者らは、新たに高誘電率かつ低誘電正接を実現する材料の開発に着目した。そして、鋭意検討の結果、上記特許文献1に記載される従来の技術では、高周波かつ小型化に対応する点で、改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはさらに検討したところ、エポキシ樹脂(A)、および、誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)を含む、高誘電樹脂組成物において、その誘電率と誘電正接を指標として制御することで、高誘電率と低誘電正接のバランスに優れるとともに、銅箔への密着性を向上できるようになる結果、従来よりも高水準で、高周波かつ小型化を実現できることを知見した。
【0008】
本発明によれば、エポキシ樹脂(A)、および、誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)を含む、高誘電樹脂組成物であって、
当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電率(Dk:εr)が4~10であり、当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電正接(Df:tanδ)が0.003~0.015である、高誘電樹脂組成物が提供される。
【0009】
また本発明によれば、上記の高誘電樹脂組成物の硬化物が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記高誘電樹脂組成物中に繊維基材を含むプリプレグが提供される。
【0011】
また本発明によれば、上記プリプレグの少なくとも一方の面上に金属層を配置してなる積層板が提供される。
【0012】
また本発明によれば、キャリア基材と、上記キャリア基材上に設けられた、上記の高誘電樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備える、キャリア付樹脂膜が提供される。
【0013】
また本発明によれば、上記高誘電樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板が提供される。
【0014】
また本発明によれば、
上記プリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高周波かつ小型化を実現できる高誘電樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る基材付き樹脂シートの構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】本実施形態に係る半導体装置の製造プロセスの一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
また、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
【0018】
また、本実施形態において、高誘電樹脂組成物の「硬化物」は、例えば、樹脂シートを複数枚数重ねて、真空プレス機を用いて、温度225℃、圧力0.5MPa、硬化時間2時間の条件で、硬化物の樹脂板を得られるものを意図する。例えば、100mm角、厚さ0.5mmである。
【0019】
また、本実施形態において、高誘電樹脂組成物に含まれる各成分の含有量は、特に断らない限り、高誘電樹脂組成物の固形分量100質量%に対する、含有量(質量%)である。
【0020】
<高誘電樹脂組成物>
本実施形態の高誘電樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、および、誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)を含む。また、当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電率(Dk:εr)が4~10であり、当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電正接(Df:tanδ)が0.003~0.015である。
これにより、高誘電率と低誘電正接のバランスに優れるとともに、銅箔への密着性を向上できることで、従来よりも高水準で、高周波かつ小型化を実現できる。
【0021】
[誘電率・誘電正接]
また、本実施形態の高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電率(Dk:εr)は4~10であり、好ましくは5~9であり、より好ましくは6~8であり、さらに好ましくは6~7である。
当該誘電率を上記下限値以上とすることにより、小型化が可能となる。一方、当該誘電率を上記上限値以下とすることにより、高周波化かつ小型化のバランスを良好に保持できる。
【0022】
また、本実施形態の高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電正接(Df:tanδ)は、0.003~0.015であり、好ましくは0.003~0.010であり、より好ましくは0.003~0.009であり、さらに好ましくは0.003~0.008である。
当該誘電正接を上記下限値以上とすることにより、アンテナとなる導体線路と誘電体層の密着信頼性を高め安定的にアンテナ性能を安定に保持しつつ、高周波かつ小型化のバランスを良好に保持できる。一方、当該誘電正接を上記上限値以下とすることにより、エネルギー損失を抑制し、高周波化に対応できる。すなわち、伝送損失の低減の観点からは、誘電正接は低いほど好ましいが、誘電が低いほどアンテナとなる導体に対する密着性が低下する傾向があるため、高周波かつ小型化を両立する観点からは、ある程度極性を残して誘電正接を上記下限値以上とすることが好ましい。
【0023】
上記の誘電率、および誘電正接は、たとえば高誘電樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、高誘電樹脂組成物の調製方法等を適切に選択などの公知の方法によって制御することが可能である。例えば、誘電率が大きい無機充填材(B)の含有量を高くするほど、高誘電樹脂組成物の硬化体の上記比誘電率(εr)を向上させることができる。
【0024】
[ピール強度]
本実施形態の高誘電樹脂組成物からなる硬化膜の銅箔に対するピール強度は、0.5kN/m以上であることが好ましく、0.6kN/m以上であることがより好ましい。
これにより、銅箔への高い密着性が得られる。
【0025】
なお、本実施形態において、ピール強度は、例えば、以下のようにして測定される。
まず、基材上に、当該高誘電樹脂組成物からなる樹脂層を形成し、さらに当該樹脂層の上に表面粗さRzが2μm以下の銅箔を配置し、温度225℃で真空プレスして、当該樹脂層の硬化膜と前記銅箔との積層体を形成する。得られた積層体を用いて、硬化膜と、銅箔とを剥離する時の応力をピール強度とする。また、ピール強度は、「JIS C 6481」に準拠して測定できる。また、必要に応じて、銅箔に銅メッキを施して、厚みを、例えば20μm程度に、大きくしてから、測定を行ってもよい。
【0026】
なお、本実施形態の高誘電樹脂組成物のピール強度は、樹脂組成物の極性官能基数等により制御することができる。
【0027】
[複素動的粘度]
高誘電樹脂組成物の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度η1の極小値が、50~2000Pa・sであることが好ましく、100~1500Pa・sであることがより好ましい。これにより、後述の無機充填剤(B)の分散性を向上し、良好な高誘電率と低誘電正接のバランスを安定的に得ることができる。
【0028】
なお、本実施形態の高誘電樹脂組成物の複素動的粘度は、無機充填材の含有量を調整したり、無機充填材の粒子径を変更すること等により制御することができる。
【0029】
[ガラス転移温度]
本実施形態においては、高誘電樹脂組成物の硬化体のガラス転移温度が、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。これにより、高誘電樹脂組成物の硬化体の耐熱性をより効果的に向上させることができる。一方で、上記ガラス転移温度の上限値は、特に限定されないが、例えば、250℃とすることができる。
【0030】
高誘電樹脂組成物の硬化体の上記ガラス転移温度は、例えば、次のように測定することができる。
高誘電樹脂組成物の硬化体を、さらに175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃~320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行う。この測定結果から、ガラス転移温度を算出する。
【0031】
本実施形態の高誘電樹脂組成物のガラス転移温度は、高誘電樹脂組成物を構成する各成分の種類や配合割合を適切に調節することにより制御することが可能である。
【0032】
以下、本実施形態の樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
【0033】
エポキシ樹脂(A)としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
本実施形態において、エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ樹脂(A)としては、耐湿信頼性と成形性のバランスを向上させる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂(A)としては、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂、下記式(2)で表されるエポキシ樹脂、および下記式(3)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものを用いることがさらに好ましい。
【0035】
【化1】
(式(1)中、Ar
1はフェニレン基またはナフチレン基を表し、Ar
1がナフチレン基の場合、グリシジルエーテル基はα位、β位のいずれに結合していてもよい。Ar
2はフェニレン基、ビフェニレン基またはナフチレン基のうちのいずれか1つの基を表す。R
aおよびR
bは、それぞれ独立に炭素数1~10の炭化水素基を表す。gは0~5の整数であり、hは0~8の整数である。n
3は重合度を表し、その平均値は1~3である。)
【0036】
【化2】
(式(2)中、複数存在するR
cは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~4の炭化水素基を表す。n
5は重合度を表し、その平均値は0~4である。)
【0037】
【化3】
(式(3)中、複数存在するR
dおよびR
eは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基を表す。n
6は重合度を表し、その平均値は0~4である。)
【0038】
本実施形態において、高誘電樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂(A)の含有量は、高電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、3質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形時において、十分な流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図ることができる。
一方で、高誘電樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂(A)の含有量は、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、高誘電樹脂組成物の硬化物における耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
【0039】
[無機充填材(B)]
本実施形態において、無機充填材(B)は誘電率(1MHz)が6以上である。これにより、低誘電正接であっても高誘電率の樹脂組成物を実現できるようになる。
無機充填材(B)としては、誘電率(1MHz)が6以上であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、無機充填材(B)としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、五酸化タンタル、および五酸化ニオブからなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。なかでも、無機充填材(B)としては、ペロブスカイト構造の有するものを含まないことが好ましく、例えば、チタン酸バリウムを含まないことが好ましく、一層低誘電正接とする点から、酸化チタンを含むことがより好ましい。
【0040】
また、無機充填材(B)は無機物および有機物で表面処理されていてもよい。表面処理の方法としては、大別すると、(1)コーティングによる改質、(2)トポケミカルな改質、(3)メカノケミカル反応による改質、(4)カプセル化による改質、(5)放射線照射の併用が挙げられる。詳細には、(1)は脂肪酸処理、界面活性剤処理など、(2)は有機物またはカップリング剤により表面官能基を有機化する方法など、(3)は粉砕などの機械的処理による固体の新生表面の活性を利用するものなど、(4)は無機物をポリマーで包んでカプセル化する方法などである。
なかでも、上記(2)の有機物またはカップリング剤により表面官能基を有機化することが好ましい。
【0041】
無機充填材(B)の含有量は、高誘電樹脂組成物全量に対して、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。無機充填材(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、高誘電樹脂組成物の誘電特性をより一層向上させることができる。
一方で、無機充填材(B)の含有量は、高誘電樹脂組成物全量に対して、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。無機充填材(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、高誘電樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させることが可能となる。
【0042】
無機充填材(B)の平均粒径D50は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.05μm以上8μm以下がより好ましい。平均粒径D50を上記下限値以上とすることにより、高誘電樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性をより効果的に向上させることが可能となる。また、平均粒径D50を上記上限値以下とすることにより、ゲート詰まり等が生じることを確実に抑制できる。
また、無機充填材(B)の平均粒径D90は、0.05μm以上20μm以下であることが好ましく、0.2μm以上15μm以下がより好ましい。
【0043】
なお、無機充填材(B)および後述の無機充填剤(b)の粒径は、市販のレーザー式粒度分布計(例えば、(株)島津製作所製、SALD-7000)を用いて、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径の頻度の累積50%をD50、累積90%をD90とすることができる。
【0044】
本実施形態の高誘電樹脂組成物は、さらに、以下の成分を含んでもよい。
【0045】
[シアネート樹脂(C)]
シアネート樹脂(C)により、低熱膨張係数、耐熱性を、樹脂組成物に付与しやすくなる。
シアネート樹脂(C)としては、芳香族シアネート樹脂が好ましく、具体的には、フェノールノボラック型、およびクレゾールノボラック型等のノボラック型シアネート樹脂;フェニルアラルキル型、ビフェニルアラルキル型、およびナフタレンアラルキル型等のアラルキル型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、ビスフェノール型シアネートおよび/またはノボラック型シアネート樹脂が好ましく、両者を併用することがより好ましい。この理由としては、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂は、架橋点が少ないため、トリアジン環を形成した際に未反応のシアネート基が残りにくく、誘電特性を良好に維持しやすくなると考えられる。また、ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成するため、剛性や耐熱性を向上でき、小型化・高周波化に対応しやすくなる。
【0046】
上記のノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるものを使用することができる。
【0047】
【0048】
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂(C)の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、とくに限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが上記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂(C)の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することを抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、とくに限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが上記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、プリプレグの成形性を向上させることができる。
【0049】
また、シアネート樹脂(C)は、変性されたものであってもよく、例えば、ブタジエンにより変性されたブタジエン変性シアネートを含むものであってもよい。ブタジエン変性シアネートの詳細は、シアン酸エステル化合物とポリブタジエンを混合した後、熱重合によって得られたもの、及び/又はシアン酸エステル化合物の重合物とポリブタジエンを混合した後、熱重合によって得られたものであってもよい。これにより、誘電特性および小型化を両立しつつ、耐熱性を良好に保持できる。
【0050】
シアネート樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、とくに限定されないが、Mw500以上が好ましく、Mw600以上がより好ましい。Mwが上記下限値以上であると、プリプレグを作製した場合にタック性の発生を抑制でき、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、プリプレグの転写が生じたりするのを抑制することができる。また、Mwは、とくに限定されないが、Mw4,500以下が好ましく、Mw3,000以下がより好ましい。Mwが上記上限値以下であると、シアネート樹脂(C)の環化反応が速くなるのを抑制でき、絶縁層に不良が生じたり、絶縁層と金属層とのピール強度が低下したりするのを抑制することができる。
【0051】
シアネート樹脂(C)のMwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
【0052】
また、シアネート樹脂(C)は1種類を単独で用いてもよいし、異なるMwを有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
【0053】
本実施形態において、高誘電樹脂組成物中におけるシアネート樹脂(C)の含有量は、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、12質量%以上であることがさらに好ましい。
一方で、高誘電樹脂組成物中におけるシアネート樹脂(C)の含有量は、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
[クマロン樹脂(D)]
本実施形態のクマロン樹脂(D)とは、その骨格構造にクマロン残基を含む平均重合度4~8の(共)重合体のことを示し、クマロン(1-ベンゾフラン)重合体の他、インデン(C9H8)、スチレン(C8H8)、α-メチルスチレン、メチルインデン及びビニル卜ルエンとの共重合体であってもよい。なかでも、クマロン-インデン共重合体、クマロン-インデン-スチレン共重合体であることが好ましい。
【0055】
インデン-クマロン樹脂は、インデ系モノマー由来の構造単位Aおよびクマロン系モノマー由来の構造単位Bを含むものである。上記インデン-クマロン樹脂は、他のモノマー由来の構造単位を有していてもよい。上記インデン-クマロン樹脂は、例えば、スチレン系モノマー由来の構造単位Cを有していてもよい。これらの構造単位の繰り返し構造を有することができる。
【0056】
上記インデン系モノマーに由来する構造単位Aは、例えば、下記一般式(M1)で表されるものが挙げられる。
【0057】
【0058】
(一般式(M1)中、R1からR7は、それぞれ独立して水素または炭素数1以上3以下の有機基である。)
【0059】
上記クマロン系モノマーに由来する構造単位Bは、例えば、下記一般式(M2)で表されるものが挙げられる。
【0060】
【0061】
(一般式(M2)中、RCは、水素または炭素数1以上3以下の有機基である。RCは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
【0062】
上記スチレン系モノマーに由来する構造単位Cは、例えば、下記一般式(M3)で表されるものが挙げられる。
【化7】
【0063】
(一般式(M3)中、RSは、水素または炭素数1以上3以下の有機基である。RSは互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
【0064】
上記一般式(M1)~(M3)において、R1からR7、RC及びRSは、例えば、有機基の構造に水素及び炭素以外の原子を含んでもよい。
水素及び炭素以外の原子としては、具体的には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。水素及び炭素以外の原子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
【0065】
上記一般式(M1)~(M3)において、R1からR7、RC及びRSは、それぞれ独立して、例えば、水素又は炭素数1以上3の有機基であり、水素または炭素数1の有機基であることが好ましく、水素であることが更に好ましい。
【0066】
上記一般式(M1)~(M3)において、上記R1からR7、RC及びRSを構成する有機基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基などのアルキル基;アリル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;シクロプロピル基などのシクロアルキル基;エポキシ基、オキセタニル基などのヘテロ環基などが挙げられる。
【0067】
上記インデン-クマロン樹脂は、この中でも、インデン、クマロンおよびスチレンの共重合体を含むことができる。これにより、低誘電特性を向上させることができる。
【0068】
また、上記インデン-クマロン樹脂は、分子内に、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する反応性基を備えることができる。これにより、低誘電特性を向上させることができる。
上記反応性基としては、OH基、COOH基などが挙げられる。
また、上記インデン-クマロン樹脂は、内部または末端にフェノール性水酸基を有する芳香族構造を有していてもよい。
【0069】
上記インデン-クマロン樹脂の重量平均分子量Mwの上限値は、例えば、4000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1500以下であることが更に好ましく、1200以下であることが一層好ましい。これにより、インデン-クマロン樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を高め、適切にインデン-クマロン樹脂を分散できる。一方、インデン-クマロン樹脂の重量平均分子量Mwの下限値は、例えば、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、550以上であることが更に好ましく、600以上であることが一層好ましい。これにより、樹脂組成物の中にインデン-クマロン樹脂が適切に分散できる。
【0070】
上記インデン-クマロン樹脂の含有量の下限値は、本実施形態の高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、例えば、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。これにより、低誘電特性および低吸水特性を向上できる。一方、上記インデン-クマロン樹脂の含有量の上限値は、本実施形態の高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、例えば、15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。これにより、他の物性とのバランスを図ることができる。
【0071】
クロマン樹脂(D)の融点は、40℃~120℃であることが好ましく、分子量、重合度により融点を制御することができる。
【0072】
クマロン樹脂(D)の含有量は、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、1質量%以上25質量% 以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましく、8質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0073】
[無機充填材(b)]
本実施形態の高誘電樹脂組成物は、上記の無機充填材(B)以外の無機充填材、すなわち、誘電率(1MHz)が6未満の無機充填材(b)を含んでもよい。
誘電率(1MHz)が6未満の無機充填材(b)としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物等を挙げることができる。
無機充填材(b)は、上記無機充填材(B)と同様にして、無機物および有機物で表面処理されていてもよい。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカがより好ましい。
無機充填材(b)の誘電率は特に限定されないが、たとえば、1~5としてもよく、2~4としてもよい。
【0074】
上記無機充填材(b)の平均粒子径D50は、特に限定されないが、例えば、0.01~10μmが好ましく、0.05~5μmがより好ましく、0.2~3μmがさらに好ましい。無機充填材(b)の平均粒子径D50を上記下限値以上とすることにより、粘度の上昇を抑制し、良好な作業性を保持できる。一方、無機充填材(b)の平均粒子径D50を上記上限値以下とすることにより、無機充填材(b)の分散性を良好にできる。
【0075】
[硬化剤]
高誘電樹脂組成物は、例えば、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂(A)と反応して硬化させるものであれば特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2~20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミン類;アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;トリスフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等を含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテル等のポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネート等のイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂等の有機酸類が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
高誘電樹脂組成物中における硬化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0077】
[カップリング剤]
高誘電樹脂組成物は、例えば、カップリング剤を含むことができる。カップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
高誘電樹脂組成物中におけるカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、高誘電樹脂組成物全体を100質量%としたとき、0.01質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。カップリング剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、高誘電樹脂組成物中における無機充填剤(B)の分散性を良好なものとすることができる。また、カップリング剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、高誘電樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。
【0079】
[その他の成分]
高誘電樹脂組成物は、上記成分の他に、例えば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、もしくはホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物、または1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7、イミダゾール等のアミジン系化合物、ベンジルジメチルアミン等の3級アミンや上記化合物の4級オニウム塩であるアミジニウム塩、もしくはアンモニウム塩等に代表される窒素原子含有化合物、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物等の硬化促進剤;カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を含むことができる。
【0080】
<ワニス>
本実施形態の高誘電樹脂組成物は、溶剤に溶かし、ワニスとすることができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
本実施形態の高誘電樹脂組成物がワニス状である場合において、当該樹脂組成物の固形分含有量は、たとえば30質量%以上80質量%以下としてもよく、より好ましくは40質量%以上70質量%以下としてもよい。これにより、作業性や成膜性に非常に優れることができる。
【0082】
ワニス状の当該樹脂組成物は、上述の各成分を、たとえば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
【0083】
<樹脂膜>
次いで、本実施形態の樹脂膜について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状である上記樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような樹脂膜においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5質量%以下とすることができる。本実施形態において、たとえば100℃~150℃、1分~5分の条件で溶剤を除去する工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂膜の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
【0084】
本実施形態の樹脂膜は、樹脂膜単独で構成されてもよく、繊維基材を内部に含むように構成されてもよい。
【0085】
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の高誘電樹脂組成物中に繊維基材を含むように構成される。プリプレグは、上記樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるものである。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線基板の絶縁層の製造に適している。
【0086】
本実施形態において、樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材を上記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維基材に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維基材に吹き付ける方法、樹脂組成物からなる上記樹脂膜で繊維基材の両面をラミネートする方法等が挙げられる。
【0087】
上記繊維基材としては、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材を用いると、プリント配線基板の機械的強度、耐熱性を良好なものとすることができる。
【0088】
繊維基材の厚みは、とくに限定されないが、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上90μm以下である。このような厚みを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上できる。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
【0089】
上記ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる一種または二種以上のガラスにより形成されたガラス繊維基材が好適に用いられる。
【0090】
本実施形態において、プリプレグは、例えば、プリント配線基板におけるビルドアップ層中の絶縁層やコア層中の絶縁層を形成するために用いることができる。プリプレグをプリント配線基板におけるコア層中の絶縁層を形成するために用いる場合は、例えば、2枚以上のプリプレグを重ね、得られた積層体を加熱硬化することによりコア層用の絶縁層とすることもできる。
【0091】
<金属張積層板>
本実施形態の積層板は、上記プリプレグの硬化物の少なくとも一方の面に金属層が配置された金属張積層板である。
【0092】
また、プリプレグを用いた金属張積層板製造方法は、例えば以下の通りである。
プリプレグまたはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の外側の上下両面または片面に金属箔を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次いで、プリプレグと金属箔とを重ねた積層体を加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。ここで、加熱加圧成形時に、冷却終了時まで加圧を継続することが好ましい。
【0093】
上記金属箔を構成する金属としては、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金、鉄、鉄系合金、コバール(商標名)、42アロイ、インバー、スーパーインバー等のFe-Ni系の合金、W、Mo等が挙げられる。これらの中でも、金属箔105を構成する金属としては、導電性に優れ、エッチングによる回路形成が容易であり、また安価であることから銅または銅合金が好ましい。すなわち、金属箔105としては、銅箔が好ましい。
また、金属箔としては、キャリア付金属箔等も使用することができる。
金属箔の厚みは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上18μm以下である。
【0094】
<キャリア付き樹脂膜>
次いで、本実施形態のキャリア付樹脂膜について説明する。
図1は、キャリア付樹脂膜10の構成の一例を示す図である。
【0095】
上記キャリア付樹脂膜10の一例は、キャリア基材30と、キャリア基材30上に設けられた、樹脂組成物からなる樹脂膜20)とを備えるものである。
【0096】
キャリア付樹脂膜10は、
図1(a)に示すような巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。
【0097】
上記キャリア基材30としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、上記キャリア付樹脂膜10から、適度な強度で剥離することが容易となる。
【0098】
また、キャリア付樹脂膜10の表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム50)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。
図1(b)に示すように、樹脂膜20がキャリア基材30とカバーフィルム50との間に形成されていてもよい。これにより、樹脂膜20のハンドリング性が向上する。
【0099】
本実施形態のキャリア付樹脂膜10の樹脂膜20は、単層でも多層でもよく、1種または2種以上の膜で構成されていてもよい。当該樹脂シートが多層の場合、同種で構成されてもよく、異種で構成されてもよい。
【0100】
上記樹脂膜20の膜厚の下限値は、例えば、5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。これにより、絶縁信頼性を向上させることができる。一方、上記樹脂膜20の膜厚の上限値は、例えば、50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。これにより、プリント配線基板の薄層化を実現できる。また、樹脂膜20の膜厚を上記範囲内とすることにより、プリント配線基板を製造する際に、内層回路の凹凸を充填して成形することができるとともに、好適なビルドアップ層の絶縁樹脂層厚みを確保することができる。
【0101】
キャリア基材30の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~100μmとしてもよく、10~70μmとしてもよい。これにより、キャリア付樹脂膜10を製造する際の取り扱い性が良好となり好ましい。
【0102】
<プリント配線基板>
本実施形態のプリント配線基板は、上記の樹脂膜の硬化物(樹脂組成物の硬化物)で構成された絶縁層を備えるものである。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のビルドアップ層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層、PLPに用いられるコアレス基板のビルドアップ層、MIS基板のビルドアップ層等に用いることができる。このようなビルドアップ層を構成する絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成するビルドアップ層にも好適に用いることができる。
【0103】
また、本実施形態において、絶縁膜形成用の樹脂組成物からなる樹脂膜において、ガラス繊維を含浸する構成とすることができる。このような樹脂膜をビルドアップ層に用いた半導体パッケージにおいても、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、パッケージ反りを十分に抑制することができる。
【0104】
<半導体パッケージ>
図2は、本実施形態の半導体パッケージ200の製造工程の一例を示す工程断面図である。
本実施形態の半導体装置(半導体パッケージ200)は、プリント配線基板と、プリント配線基板の回路層上に搭載された、またはプリント配線基板に内蔵された半導体素子240と、を備えることができる。
【0105】
以下、本実施形態の半導体パッケージ200の製造工程の概要について説明する。
まず、
図2(a)に示すように、絶縁層102、ビアホール104および金属層108を備えるコア層100を準備する。絶縁層102にはビアホール104が形成されている。ビアホール104には、金属層(ビア)が埋設されている。当該金属層は、無電解金属めっき膜106で覆われていてもよい。絶縁層102の表面に形成された金属層108(所定の回路パターンを有する回路層)は、ビアホール104に形成されたビアと電気的に接続する。
図2(a)には、金属層108は、コア層100の一面上に形成されているが、両面に形成されていてもよい。
【0106】
続いて、コア層100の一面上に金属層108を埋め込むように、上記樹脂組成物からなる樹脂膜20を形成する。例えば、キャリア付樹脂膜10からカバーフィルム50を剥離し、その樹脂膜20(絶縁膜)をコア層100の回路形成面上に配置してもよい。この樹脂膜20の表面にはキャリア基材30が設けられている。キャリア基材30は、この時点で樹脂膜20から分離してもよいが、マスクとして使用してもよい。
なお、樹脂膜20は、絶縁膜単層でもよく、絶縁膜およびプライマー層の複数層で構成されてもよい。
【0107】
続いて、上記樹脂膜20に、キャリア基材30を介して、不図示の開口部を形成する。開口部は、金属層108を露出させるように形成することができる。開口部の形成方法としては、特に限定されず、例えば、レーザー加工法、露光現像法またはブラスト工法、などの方法を用いることができる。
【0108】
本実施形態において、このような開口部を形成した後、樹脂膜20を熱硬化させてもよい。その後、キャリア基材30を剥離する。
【0109】
また、必要に応じて、デスミア処理を行うことができる。デスミア処理では、開口部の内部に生じたスミアを除去するとともに、上記樹脂膜20の表面を粗化できる。
【0110】
上記デスミア処理の方法は特に限定されないが、たとえば、以下のように行うことができる。まず、樹脂膜20を積層したコア層100を、有機溶剤を含む膨潤液に浸漬し、次いでアルカリ性過マンガン酸塩水溶液に浸漬し、中和して粗化処理することができる。有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやエチレングリコール等を用いる事ができる。このような膨潤液として、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリングディップ セキュリガント P」が挙げられる。過マンガン酸塩としては、たとえば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等を用いることができる。膨潤液や過マンガン酸塩水溶液の液温としては、例えば、50℃以上でもよく、100℃以下でもよい。また、膨潤液や過マンガン酸塩水溶液への浸漬時間は、例えば、1分間以上でもよく、30分間以下でもよい。
【0111】
デスミア処理する工程では、上記の湿式のデスミア処理のみを行うことができるが、デスミア処理に加えてプラズマ照射を行っても良い。
【0112】
続いて、樹脂膜20、あるいは樹脂膜20上に形成されたプライマー層(不図示)上に、無電解金属めっき膜202を形成する。無電解めっき法の例を説明する。例えば、下地層の表面上に触媒核を付与する。この触媒核としては、特に限定されないが、例えば、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができる。引き続き、この触媒核を核として、無電解めっき処理により、無電解金属めっき膜202を形成する。無電解めっきには、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウム等を含むものを用いることができる。なお、無電解めっき後に、100~250℃の加熱処理を施し、めっき被膜を安定化させることができる。
【0113】
続いて、
図2(b)に示すように、無電解金属めっき膜202上に所定の開口パターン(開口部206)を有するレジスト204を形成してもよい。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。レジスト204としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、液状およびドライフィルムを用いることができる。微細配線形成の場合には、レジスト204としては、感光性ドライフィルム等を用いることができる。感光性ドライフィルムを用いた一例を説明する。例えば、無電解金属めっき膜202上に感光性ドライフィルムを積層し、非回路形成領域を露光して光硬化させ、未露光部を現像液で溶解、除去する。硬化した感光性ドライフィルムを残存させることにより、レジスト204を形成する。
【0114】
続いて、
図2(c)に示すように、少なくともレジスト204の開口パターン内部かつ無電解金属めっき膜202上に、電気めっき処理により、電解金属めっき層208を形成する。電気めっきとしては、特に限定されないが、通常のプリント配線基板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅等のめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流す等の方法を使用することができる。電解金属めっき層208は単層でもよく多層構造を有していてもよい。電解金属めっき層208の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田のいずれか1種以上を用いることができる。
【0115】
続いて、
図2(d)に示すように、アルカリ性剥離液や硫酸または市販のレジスト剥離液等を用いて、レジスト204を除去する。
【0116】
続いて、
図2(e)に示すように、電解金属めっき層208が形成されている領域以外領域(開口部210)における無電解金属めっき膜202を除去する。すなわち、電解金属めっき層208をマスクとして、下層の無電解金属めっき膜202を選択的に除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、無電解金属めっき膜202を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、例えば、硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、所定のパターンを有する金属層220を形成することができる。このように、セミアディティブプロセス(SAP)によって、本実施形態の樹脂膜の硬化物からなる絶縁層上に、無電解金属めっき膜202および電解金属めっき層208で構成される金属層220を形成することができる。
【0117】
さらに、コア層100および上記ビルドアップ層で構成されるプリント配線基板上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返すことにより、多層にすることができる。
以上により、本実施形態のプリント配線基板が得られる。
【0118】
続いて、
図2(f)に示すように、得られたプリント配線基板上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返す。そして、必要に応じて、ソルダーレジスト層230をプリント配線基板の両面又は片面に積層する。
【0119】
ソルダーレジスト層230の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストをラミネートし、露光、および現像により形成する方法、または液状レジストを印刷したものを露光、および現像することにより形成する方法によりなされる。
【0120】
続いて、リフロー処理を行なうことによって、半導体素子240を配線パターンの一部である接続端子上に、半田バンプ250を介して固着させる。その後、半導体素子240、および半田バンプ250等を封止材層260で覆うように封止する。
以上により、
図2(f)に示す、半導体パッケージ200が得られる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体チップを封止する封止材として用いることもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. エポキシ樹脂(A)、および、誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)を含む、高誘電樹脂組成物であって、
当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電率(Dk:εr)が4~10であり、当該高誘電樹脂組成物の硬化物の10GHzにおける誘電正接(Df:tanδ)が0.003~0.015である、高誘電樹脂組成物。
2. シアネート樹脂(C)を含む、1.に記載の高誘電樹脂組成物。
3. 前記無機充填材(B)はペロブスカイト構造の有するものを含まない、1.または2.に記載の高誘電樹脂組成物。
4. 当該高誘電樹脂組成物からなる硬化膜の銅箔に対するピール強度が、0.5kN/m以上である、1.乃至3.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
5. 前記高誘電樹脂組成物の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度η1の極小値が、50~2000Pa・sである、1.乃至4.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
6. 前記無機充填材(B)が酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、五酸化タンタル、および五酸化ニオブからなる群から選ばれる1種または2種以上を含む、1.乃至5.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
7. 前記無機充填材(B)は無機物および有機物で表面処理されている、1.乃至6.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
8. 前記エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含む、1.乃至7.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
9. 前記シアネート樹脂(C)がブタジエン変性シアネートを含む、2.に記載の高誘電樹脂組成物。
10. さらに、クマロン樹脂(D)を含む、1.乃至9.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
11. 前記無機充填材(B)の含有量が、高誘電樹脂組成物全量に対して、30質量%80質量%以下である、1.乃至10.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物。
12. 1.乃至11.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物の硬化物。
13. 1.乃至11.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物中に繊維基材を含むプリプレグ。
14. 13.に記載のプリプレグの少なくとも一方の面上に金属層を配置してなる積層板。
15. キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられた、1.乃至11.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物からなる樹脂膜と、
を備える、キャリア付樹脂膜。
16. 1.乃至11.いずれか一つに記載の高誘電樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板。
17. 16.に記載のプリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置。
【実施例】
【0122】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0123】
<各実施例および比較例>
(高誘電樹脂組成物の調製)
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、ワニス状の高誘電樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、高誘電樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(質量%)を示している。
次いで、後述の各評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
【0124】
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
(1)エポキシ樹脂(A)
・エポキシ樹脂1:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX-4000K)
・エポキシ樹脂2:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC-3000)
・エポキシ樹脂3:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC-3500)
(2)誘電率(1MHz)が6以上の無機充填材(B)
・高誘電性無機充填剤1:酸化チタン(石原産業株式会社製、タイペークPF-728、D50:0.21μm、粒径D90:1.0μm、比誘電率(1MHz):90、比表面積:20m2/g、形状:球状、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量:80質量%)
・高誘電性無機充填剤2:アルミナ(株式会社マイクロン製、AX3-20R、D50:3μm、粒径D90:10μm、比表面積:0.6m2/g、比誘電率(1MHz):8.9、形状:球状、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量:14質量%)
・高誘電性無機充填剤3:チタン酸バリウム(日本化学工業株式会社製、BパルセラムBTUP-2、D50:2μm、粒径D90:2.8μm、比誘電率(1MHz):1500、比表面積:0.8m2/g、形状:破砕状、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量:13質量%)
(3)誘電率(1MHz)が6未満の無機充填材(b)
・シリカ粒子1:シリカ(株式会社アドマテックス社製、SC-C6、D50:2.0μm、粒径D90:8μm、比誘電率(1MHz):4、比表面積:2.0m2/g、形状:球状、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量:19質量%)
・シリカ粒子2:シリカ(株式会社アドマテックス社製、SC-2500-SQ、D50:0.55μm、粒径D90:1.0μm、比誘電率(1MHz):4、比表面積:6.4m2/g、形状:球状、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量:54質量%)
(4)シアネート樹脂(C)
・シアネート樹脂1:ノボラック型シアネート樹脂、ロンザ社製、製品名PT-30
・シアネート樹脂2:ビスフェノールA型シアネート樹脂、ロンザ社製、製品名BA-230S、:固形分75重量%、メチルエチルケトン25重量%
(5)クマロン樹脂(D)
・クマロン樹脂1:末端にフェノール基を含むインデン・クマロン・スチレン共重合体(日塗化学社製、V-120S、重量平均分子量:950、水酸基価:30mg KOH/g)
(6)カップリング剤
・カップリング剤1:N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、CF4083)
(7)その他
・触媒:四国化成社製、「2PZ-PW」
【0125】
各実施例および各比較例において、得られた樹脂ワニスP(樹脂組成物)を用い、次のようにして、キャリア付き樹脂膜、プリプレグ、プリント配線基板、半導体パッケージを作成した。
【0126】
(キャリア付き樹脂膜:樹脂シートの作製)
厚み38μmのPETフィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚みの総和が30μmとなるように、得られた樹脂ワニスPを塗工し、これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥して、PETフィルム上に、樹脂膜が積層された樹脂シート(キャリア付き樹脂膜)を得た。
【0127】
(プリプレグ)
得られた樹脂ワニスを、ガラス織布(クロスタイプ♯1078、Eガラス、坪量47.5g/m2)に塗布装置で含浸させ、150℃の熱風乾燥装置で4分間乾燥して、厚さ80μmのプリプレグを得た。
【0128】
(積層板)
プリプレグの両面に極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンFL、1.5μm)を重ね合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、金属箔付き積層板を得た。得られた金属箔付き積層板のコア層(樹脂基板からなる部分)の厚みは、0.080mmであった。
【0129】
(プリント配線板の作製)
前項で得られた金属箔付き樹脂基板の表面の極薄銅箔層に約1μmの粗化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ80μmのスルーホールを形成した。次いで、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分間浸漬後、中和してスルーホール内のデスミア処理を行った。次に、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成し、パターン銅メッキし、温度150℃時間30分加熱してポストキュアした。次いでメッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=15/15μmのパターンを形成した残銅60%の内層コア回路基板を得た。
次いで、実施例で得られたプリプレグを前記内層コア回路基板の両面に配置し極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンFL、1.5μm)を重ね合わせ、圧力3MPa、温度225℃で2時間加熱加圧成形することにより、金属箔付き多層積層板を得た。
次に、得られた多層積層板に炭酸レーザーによりブラインドビアを形成した。ビア内部を60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP:過マンガン酸ナトリウム濃度60g/l、NaOH濃度45g/l)に20分浸漬後、中和してビア内部のデスミア処理を行った。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm形成し、レジストを形成し、無電解銅めっき皮膜を給電層としてパターン電気めっき銅20μm形成させ、回路加工を施した。つぎに、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。次いで、ソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように開口部を形成した。最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、プリント配線板を得た。
【0130】
(半導体パッケージの作製)
半導体パッケージは、得られたプリント配線基板上に半田バンプを有する半導体素子(TEGチップ、サイズ10mm×10mm、厚み0.1mm)を、フリップチップボンダー装置により、加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP-4152S)を充填し、その後、液状封止樹脂を硬化させることで半導体パッケージを得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。上記半導体素子の半田バンプは、Sn/Pb組成の共晶で形成されたものを用いた。最後に14mm×14mmのサイズにルーターで個片化し、半導体パッケージを得た。
【0131】
上記樹脂ワニスP(樹脂組成物)を用いて得られた、キャリア付き樹脂膜、プリント配線基板、および半導体パッケージについて、以下の評価項目に基づいて評価を行い、表2に示す判定基準に従い評価を行った。結果を表1に示した。
【0132】
(1)誘電率、誘電正接
得られたキャリア付き樹脂膜の厚み30μmの樹脂膜を4枚重ね、銅箔を用いてホットプレスを用いて225℃、1kgf/mm2のプレス条件で、2時間加熱加圧し、樹脂膜を硬化させた。次いで、得られた硬化物の銅箔をエッチングにより除去し、サンプルとして硬化物を製造した。
得られた硬化物について、10GHzでの誘電率、誘電正接を空洞共振器法で測定した。
【0133】
(2)複素動的粘度
得られたキャリア付樹脂膜からPETフィルム(キャリア基材)剥離し、Bステージ状態の樹脂膜を測定サンプルとして準備した。
次いで、この測定サンプルに対し、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR-301)を用い、下記の条件で動的粘弾性試験を行い、複素動的粘度を測定した。
(条件)
周波数:62.83rad/sec
測定温度:50~200℃
昇温速度:3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:空気
【0134】
(3)ピール強度
ピール強度測定は、JISC6481に準拠して行った。尚、サンプルは得られた金属箔付き積層板を電気めっき銅30μmとしたものを用いた
【0135】
(4)ガラス転移温度
動的粘弾性装置を用いて、JISC-6481(DMA法)に準拠しておこなった。なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去したものを用いた。
【0136】
(5)熱膨張係数
熱膨張係数は、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、4mm×20mmの試験片を作製し、温度範囲30~300℃、10℃/分、荷重5gの条件で2サイクル目の50~100℃における線膨張係数(CTE)を測定した。なお、サンプルは金属箔付き積層板をエッチングして銅を除去したものを用いた
【0137】
(6)レーザー加工性
上記のプリント配線板のビアホール底部の周囲を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた画像からビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。最大スミア長からスミア除去性について基準に従って評価した。また、メッキ染み込み長さを観察した。
【0138】
(7)成形性
成形性は、上記のプリント配線板の外層銅箔を全面エッチング後に内層パターンへの埋め込み性を目視、および断面観察を実施し基準に従って評価した。
【0139】
(8)吸湿半田耐熱
50mm×50mm角のサンプルの片面の半分以外の、金属箔付き積層板の全銅箔をエッチング除去し、プレシッヤークッカー試験機(エスペック社製)で121℃、2気圧で所定時間処理後、260℃の半田槽に60秒間フロートさせて、外観変化の異常の有無を目視にて観察し基準に従って評価した。
【0140】
(9)絶縁性
スルーホール絶縁信頼性は、上記のプリント配線板のスルーホール壁間を0.1mmで、印加電圧5.5V、温度130℃湿度85%の条件で、連続測定し、基準に従って評価した。なお、絶縁抵抗値が106Ω未満となる時点で終了とした。
【0141】
【0142】
【符号の説明】
【0143】
10 キャリア付樹脂膜
20 樹脂膜
30 キャリア基材
50 カバーフィルム
100 コア層
102 絶縁層
104 ビアホール
106 無電解金属めっき膜
108 金属層
200 半導体パッケージ
202 無電解金属めっき膜
204 レジスト
206 開口部
208 電解金属めっき層
210 開口部
220 金属層
230 ソルダーレジスト層
240 半導体素子
250 半田バンプ
260 封止材層