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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241106BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241106BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20241106BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20241106BHJP
   H01G 11/14 20130101ALI20241106BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/209
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01G11/12
H01G11/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020098859
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192358
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】楠 寿樹
(72)【発明者】
【氏名】川内 智弘
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
(72)【発明者】
【氏名】時井 敦志
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147150(WO,A1)
【文献】特開2010-277735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
H01G 11/12
H01G 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子上に配置されて、前記ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部材と、
前記複数の蓄電素子のそれぞれと、前記排気部材との間に配置され、前記排気部材よりも柔軟性の高い板状のシール材と、を備え、
前記排気部材は、
前記複数の蓄電素子のそれぞれの前記ガス排出弁に連通する複数の孔部を備え、
前記シール材は、前記孔部に対して連通する貫通孔部を有しており、
前記排気部材または前記シール材の一方には、前記孔部及び前記貫通孔部を囲んだ状態で先端部が他方に当接する環状凸部が形成されおり、
前記貫通孔部の内周縁には、内方に向けて突出する突出片が設けられている
蓄電装置。
【請求項2】
前記環状凸部の先端部は、当該環状凸部の周方向に直交する平面で切断した場合の断面形状が先細り形状である
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記貫通孔部の平面形状は、第一方向での第一幅と、第一方向に交差する第二方向での第二幅とが異なる形状である
請求項1または2のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電素子は、前記シール材の位置を規制する規制部を有している
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記環状凸部は、前記排気部材に備えられており、
前記環状凸部の内方には、前記孔部を形成するフランジ部が周方向に連続して設けられている
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記シール材は、前記貫通孔部をそれぞれ有する複数のシール部と、隣り合う前記シール部を連結する少なくとも一つのジョイント部とを有する
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
それぞれガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子上に配置されて、前記ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部材と、
前記複数の蓄電素子のそれぞれと、前記排気部材との間に配置され、前記排気部材よりも柔軟性の高い板状のシール材と、を備え、
前記排気部材は、
前記複数の蓄電素子のそれぞれの前記ガス排出弁に連通する複数の孔部を備え、
前記シール材は、前記孔部に対して連通する貫通孔部を有しており、
前記排気部材または前記シール材の一方には、前記孔部及び前記貫通孔部を囲んだ状態で先端部が他方に当接する環状凸部が形成されており、
前記蓄電素子は、前記シール材の外縁に接触することで、前記シール材の位置を規制する規制部を有する
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電装置には、所定の方向に配列された複数の蓄電素子(二次電池)に対して、排気部材(上部プレート)が取り付けられている(例えば特許文献1参照)。排気部材は、各蓄電素子のガス排出弁(ベント)から放出されたガスの流路を形成する部材であり、この先端部からガスや電解液が排出される。排気部材には、ガス排出弁から排出されたガスを排気部材内に導入するための孔部(開口部)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-108653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、排気部材の孔部と蓄電素子との間の密閉性が弱いと、ガスが孔部から排気部材内に導入される前に漏れ出てしまうおそれがある。
【0005】
このため、本発明の目的は、排気部材の孔部と蓄電素子との間の密閉性を高めることができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、それぞれガス排出弁を有し、当該ガス排出弁が同一方向を向く姿勢で配列された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子上に配置されて、ガス排出弁から排出されたガスの排気経路をなす排気部材と、複数の蓄電素子のそれぞれと、排気部材との間に配置され、排気部材よりも柔軟性の高い板状のシール材と、を備え、排気部材は、複数の蓄電素子のそれぞれのガス排出弁に連通する複数の孔部を備え、シール材は、孔部に対して連通する貫通孔部を有しており、排気部材またはシール材の一方には、孔部及び貫通孔部を囲んだ状態で先端部が他方に当接する環状凸部が形成されている。
【0007】
排気部材に対して環状凸部が設けられている場合には、環状凸部の先端部が孔部及び貫通孔部を囲んだ状態で全周にわたってシール材に当接しているので、環状凸部は、シール材を変形させた状態でシール材に密着する。これにより、排気部材とシール材との間における密閉性を高めることができる。ここで、排気部材に備わる環状凸部の先端部が、柔軟性の高いシール材を押圧しているので、シール材の全面を押圧する場合と比べても小さい力でシール材に食い込むことができる。つまり、シール材を押圧するための構造を簡素化したとしても、高い密閉性を維持することができる。
【0008】
一方、シール材に対して環状凸部が設けられている場合には、環状凸部の先端部が孔部及び貫通孔部を囲んだ状態で全周にわたって排気部材に当接しているので、環状凸部自身が変形した状態で排気部材に密着する。これにより、排気部材とシール材との間における密閉性を高めることができる。この場合、環状凸部自体の柔軟性を高くすることができ、密着性を高めることが可能である。
【0009】
一方、シール材に対して環状凸部が設けられている場合には、環状凸部の先端部が孔部及び貫通孔部を囲んだ状態で全周にわたって排気部材に当接しているので、環状凸部は、自らが変形した状態で排気部材に密着する。これにより、排気部材とシール材との間における密閉性を高めることができる。ここで、シール材に備わる環状凸部の先端部が、排気部材に当接することで圧縮されているので、シール材の全体が圧縮される場合と比べても接触面積を小さくでき、結果として小さい力で環状凸部を変形させることができる。つまり、シール材を押圧するための構造を簡素化したとしても、高い密閉性を維持することができる。
【0010】
また、環状凸部の先端部は、当該環状凸部の周方向に直交する平面で切断した場合の断面形状が先細り形状であってもよい。
【0011】
これによれば、環状凸部の先端部の断面形状が先細り形状であるので、押圧時にはシール材に対して食い込みやすい。したがって、より小さい力で高い密閉性を維持することができる。
【0012】
また、貫通孔部の内周縁には、内方に向けて突出する突出片が設けられていてもよい。
【0013】
これによれば、貫通孔部の内周縁に突出片が設けられているので、平面視において貫通孔部の中心を通る幅は、回転させることで突出片の有無により変動する。例えば、複数の蓄電素子の並び方向と、突出片がある部分での貫通孔部の幅方向とが平行になる姿勢がシール材の正規の姿勢であるとする。この場合、シール材が正規の姿勢からずれていて、並び方向と、突出片がない部分での貫通孔部の幅方向とが平行になっていると、並び方向を基準とした貫通孔部の幅は、正規な姿勢での幅とは異なる。つまり、並び方向を基準にして貫通孔部の幅を計測することで、シール材が正規な姿勢で配置されているか否かを判断することができる。これにより、製造時におけるシール材の誤配置を検出することができる。シール材の誤配置が検出できれば、誤配置を起因とした密閉性の低下を抑制することができる。
【0014】
また、貫通孔部の平面形状は、第一方向での第一幅と、第一方向に交差する第二方向での第二幅とが異なる形状であってもよい。
【0015】
例えば、複数の蓄電素子の並び方向と第一方向とが平行となる姿勢が、シール材の正規な姿勢であるとする。この場合、並び方向での貫通孔部の幅は第一幅となる。一方、シール材が正規な姿勢からずれて、並び方向に対して第二方向が平行となっている場合には、並び方向での貫通孔部の幅は第二幅となる。つまり、並び方向を基準にして貫通孔部の幅を計測することで、シール材が正規な姿勢で配置されているか否かを判断することができる。これにより、製造時におけるシール材の誤配置を検出することができる。シール材の誤配置が検出できれば、誤配置を起因とした密閉性の低下を抑制することができる。
【0016】
また、蓄電素子は、シール材の位置を規制する規制部を有していてもよい。
【0017】
これによれば、シール材の位置を規制する規制部が蓄電素子に設けられているので、規制部によってシール材の位置ずれを抑制することができる。したがって、シール材と環状凸部との位置ずれも抑制され、密閉性をより確実に発揮させることができる。
【0018】
また、環状凸部は、排気部材に備えられており、環状凸部の内方には、孔部を形成するフランジ部が周方向に連続して設けられていてもよい。
【0019】
例えば、1つの蓄電素子のガス排出弁からガスが排出されると、当該ガスは、貫通孔部及び孔部を介して排気経路に排出される。このとき、排気経路から高温化したガスが他の正常な蓄電素子に到達してしまうと、正常な蓄電素子に悪影響を及ぼし好ましくない。環状凸部の内方にフランジ部が設けられていれば、このフランジ部が障壁となるために、排気経路から蓄電素子へのガスの逆流を抑制することができる。
【0020】
また、シール材は、貫通孔部をそれぞれ有する複数のシール部と、隣り合う一対のシール部を連結する少なくとも一つのジョイント部とを有し、ジョイント部は、シール部よりも薄肉であってもよい。
【0021】
これによれば、シール材には、隣り合うシール部の間にジョイント部が設けられている。隣り合うシール部がジョイント部により連結されているので、複数のシール部がジョイント部により一体化されている。このため、1つの貫通孔部に対して1つのシール材を設置する場合と比べても、設置工数を削減することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の蓄電装置によれば、排気部材の孔部と蓄電素子との間の密閉性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図1B】実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す側面図である。
図1C】実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す正面図である。
図2】実施の形態1に係る蓄電ユニットを分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係る排気部及びバスバーフレームの概略構成を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る排気部及び外装体蓋体の概略構成を示す分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る排気部の一部である第一分割体と、その周辺の部材とを示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る第一分割体及び第二分割体の概略構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態1に係る第一分割体及び第二分割体の概略構成を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係る複数の位置決め突起と、蓄電素子との位置関係を模式的に示す平面図である。
図9】実施の形態に係る位置決め突起の概略構成を示す断面図である。
図10】実施の形態1に係る各第一干渉部と、その周辺の部材とを示す断面図である。
図11】実施の形態1に係る第一係合部と第二係合部との係合関係を示す断面図である。
図12】実施の形態に係る実施の形態に係る第一分割体と第二分割体とを模式的に示す平面図である。
図13】実施の形態1に係る蓋部材と排気部材との組み立て途中の状態を示す断面図である。
図14】実施の形態1に係るシール材を示す説明図である。
図15】実施の形態2に係るシール材の概略構成を示す説明図である。
図16】実施の形態2に係るシール材が第一分割体及び第二分割体に組み付けられた状態を示す下面図である。
図17】実施の形態3に係るシール材と、その周辺の部材とを示す断面図である。
図18】実施の形態4に係る第一干渉部の配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0025】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電装置の長手方向、1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。蓄電装置の幅方向、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向をY軸方向と定義する。蓄電装置の高さ方向、蓄電ユニットの外装体支持体と外装体蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、蓄電素子の容器本体と上壁部との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0026】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。本実施の形態では、Y軸方向プラス方向は後方であり、Y軸マイナス方向は前方であるものとする。また、以下では、Y軸方向を第一方向とも呼び、X軸方向を第二方向とも呼ぶ場合がある。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0027】
(実施の形態1)
[1 蓄電装置]
本実施の形態における蓄電装置1の構成について説明する。図1Aは、実施の形態1に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図1Bは、実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す側面図である。図1Bの(a)は、蓄電装置の全体的な側面図を示しており、図1Bの(b)は、図1Bの(a)における破線で囲まれた部分を拡大して示す側面図である。図1Cは、実施の形態1に係る蓄電装置の外観を示す正面図である。図2は、実施の形態1に係る蓄電ユニット10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0028】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される。具体的には、蓄電装置1は、例えば、家庭用または産業用の蓄電設備等に使用される定置用のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いることができる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。
【0029】
図1A図1B図1C及び図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電ユニット10と、蓄電ユニット10に取り付けられる基板ユニット20と、を備えている。蓄電ユニット10は、Y軸方向に長尺の略直方体形状を有する電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11と、バスバーフレーム12と、排気部50と、複数のバスバー13と、これらを収容する外装体本体14、外装体支持体15及び外装体蓋体17からなる外装体18と、を有している。また、蓄電ユニット10は、主回路配線の一部をなすケーブル30や検出線13aを含んでいる。なお、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子11を拘束する拘束部材(エンドプレート、サイドプレート等)等を有していてもよい。
【0030】
蓄電素子11は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子11は、正極には、LiとNi、Co、Mnを主体とした三成分系正極活物質が含まれ、負極には、活物質としてグラファイトが含まれている。なお、正極の活物質にはLiMn系、LiFePO、LiCO、LiNiO系などでも良く、特に制限されない。負極の活物質には炭素系材料(ソフトカーボン、ハードカーボン等)やSiおよびその酸化物(SiO等)、錫等合金系負極などでも良く、特に制限されない。また、蓄電素子11のエネルギー密度は、120Wh/kg以上である。蓄電素子11は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、16個の蓄電素子11がY軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子11の形状、配置位置及び個数等は、特に限定されない。また、蓄電素子11は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子11は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子11は、固体電解質を用いた電池であってもよい。また、蓄電素子11は、ラミネート型の蓄電素子であってもよい。
【0031】
具体的には、蓄電素子11は、金属製の容器11aを備え、容器11aの上壁部11dには、金属製の電極端子である正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。つまり、本体部の上面には、正極端子11b及び負極端子11cが設けられている。容器11aの上壁部11dには、容器11a内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁111(図5等参照)が正極端子11b及び負極端子11cの間に設けられている。蓄電素子11は、厚さ(Y軸方向の寸法)が、幅(X軸方向の寸法)よりも小さい扁平な直方体状の形状を有しており、上面視(Z軸方向視)において上壁部11dは長方形の形状を有している。また、蓄電素子11は、XZ平面に平行な長側面とYZ平面に平行な短側面を備えており、複数の蓄電素子11の長側面同士が対向するように配列している。複数の蓄電素子11は、それぞれのガス排出弁111が同一方向(Z軸プラス方向)を向く姿勢で配列されている。また、隣り合う蓄電素子11同士の間には、断熱性を有する平板状のスペーサ11eが配置されている。なお、容器11aの上壁部11dには、電解液を注液するための注液部等が設けられていてもよい。また、容器11aの内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0032】
ここで、正極端子11b及び負極端子11cは、容器11aの上壁部11dから上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。そして、複数の蓄電素子11が有する最も外側の正極端子11b及び負極端子11cが、ケーブル30に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0033】
ケーブル30は、蓄電装置1(蓄電素子11)を充放電するための電流(充放電電流、主電流ともいう)が流れる電線(電源ケーブル、電力ケーブル、電源線、電力線、主回路ケーブルともいう)であり、正極側の正極電源ケーブル31と、負極側の負極電源ケーブル32とを有している。つまり、複数の蓄電素子11のうちの、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の正極端子11bに、ケーブル30の正極電源ケーブル31が接続され、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の負極端子11cに、ケーブル30の負極電源ケーブル32が接続される。
【0034】
バスバーフレーム12は、バスバー13と他の部材との電気的な絶縁、及び、バスバー13の位置規制を行うことができる扁平な矩形状の部材である。バスバーフレーム12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の絶縁部材により形成されている。具体的には、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11の上方に載置され、複数の蓄電素子11に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム12上には、複数のバスバー13が載置されて位置決めされている。これにより、各バスバー13は、複数の蓄電素子11に対して位置決めされて、当該複数の蓄電素子11が有する正極端子11b及び負極端子11cに接合される。バスバーフレーム12の詳細については後述する。
【0035】
排気部50は、バスバーフレーム12上に配置されており、各蓄電素子11のガス排出弁111から排出されたガスの排気経路59(図5等参照)を構成している。排気部50のY軸プラス方向の一端部は、ガスが排出される排気口51であり、外装体18のY軸プラス方向の一端部から突出している。
【0036】
各バスバー13は、複数の蓄電素子11上(バスバーフレーム12上)に配置され、複数の蓄電素子11の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー13は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル材等の金属で形成されている。本実施の形態では、バスバー13は、隣り合う蓄電素子11の正極端子11bと負極端子11cとを接続することで、16個の蓄電素子11を直列に接続している。複数のバスバー13は、X軸プラス方向側(一側方)でY軸方向に沿って配列された第一バスバー群と、X軸マイナス方向側(他側方)でY軸方向に沿って配列された第二バスバー群とに分けられる。なお、蓄電素子11の接続の態様は上記には限定されず、直列接続及び並列接続がどのように組み合わされていてもよい。
【0037】
また、バスバー13、または、蓄電素子11の電極端子には、検出線13aが接続されている。なお、これらの接続構造の図示は省略している。検出線13aは、各蓄電素子11の状態を検出するためのケーブルである。検出線13aは、蓄電素子11の電圧計測用、温度計測用、または、蓄電素子11間の電圧バランス用の電線(通信ケーブル、制御ケーブル、通信線、制御線ともいう)である。なお、バスバー13または蓄電素子11の電極端子には、蓄電素子11の温度を計測するためのサーミスタ(図示せず)が配置されているが、説明は省略する。また、検出線13aのY軸マイナス方向の端部には、コネクタ13bが接続されている。コネクタ13bは、後述する基板ユニット20の基板に接続されるコネクタである。つまり、検出線13aは、コネクタ13bを介して、蓄電素子11の電圧及び温度等の情報を、基板ユニット20の基板に伝達する。また、検出線13aは、基板の制御によって、電圧が高い蓄電素子11を放電させて、蓄電素子11間の電圧をバランスさせる機能も有している。
【0038】
外装体18は、蓄電ユニット10の外装体を構成する矩形状(箱状)の筐体(モジュールケース)である。つまり、外装体18は、蓄電素子11等の外方に配置され、蓄電素子11等を所定の位置で固定し、衝撃などから保護する。ここで、外装体18は、外装体18の本体を構成する外装体本体14と、外装体本体14を支持する外装体支持体15と、外装体18の蓋体(外蓋)を構成する外装体蓋体17と、を有している。
【0039】
外装体本体14は、上面に開口が形成された有底矩形箱状のハウジングである。外装体本体14は、例えば、PC、PP、PE等の絶縁部材により形成されている。外装体本体14は、複数の蓄電素子11、排気部50及びバスバーフレーム12などを収容している。
【0040】
また、外装体本体14内部の底壁には蓄電素子11を支持する複数の仕切り壁部142が設けられている。隣接する仕切り壁部142の間に蓄電素子11が挿入されて配列されている。このことにより、蓄電素子11の間隔が所定の間隔になるように位置決めされている。なお、蓄電素子11を外装体本体14に支持、位置決めする構成は他の構成であってもよい。外装体本体14は、側面にも側面開口部143を有している。この側面開口部143により、隣接する蓄電素子11の間の空間と蓄電装置1の外部の空間とが連通し、蓄電素子11を含む蓄電装置1の冷却に寄与している。外装体本体14におけるY軸プラス方向側の端部であって、その上部中央には排気部50の排気口51が貫通する切欠部141が形成されている。切欠部141は、上方が開放された矩形状の切欠である。
【0041】
外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を保護(補強)する外装部材である。外装体支持体15及び外装体蓋体17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材により形成されている。なお、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0042】
外装体支持体15は、外装体本体14を下方(Z軸マイナス方向)から支持する部材であり、底部15aと、基板ユニット取付部16と、接続部15b及び15cと、固定部15dとを有している。底部15aは、蓄電装置1の底部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の下方に配置される。
【0043】
接続部15bは、底部15aのY軸マイナス方向の端部から外装体蓋体17に向けてZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、さらに、Z軸プラス方向の端部からY軸方向マイナス方向に突出する締結部を有している。接続部15bは、当該締結部において外装体蓋体17と接続される。接続部15bは、蓄電ユニット10の前方の側面の一部をなす。接続部15cは、底部15aのY軸プラス方向の端部から外装体蓋体17に向けてZ軸プラス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、さらにY軸プラス方向に突出する締結部を有している。接続部15cは当該締結部において外装体蓋体17と接続される。また、接続部15cは蓄電ユニット10の後方の側面の一部をなす。
【0044】
固定部15dは、底部15aのY軸マイナス方向の端部からZ軸マイナス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位であり、蓄電装置1を図示しない棚などの構造体に固定する締結部である。固定部15dは、X軸方向において底部15aの中央部に配置されている。本実施の形態では、固定部15dと棚との固定にネジ止めを用いているが、固定及びその解除を自在に行えるのであれば固定方法は如何様でもよい。
【0045】
外装体蓋体17は、複数の蓄電素子11の上方を覆う部材である。具体的には、外装体蓋体17は、外装体本体14の開口を塞ぐように配置される部材であり、天板部17aと、接続部17b及び17cと、を有している。天板部17aは、蓄電装置1の上面部を構成する、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位であり、外装体本体14の上方に配置される。接続部17bは、天板部17aのY軸マイナス方向の端部に配置され、外装体支持体15に向けて曲げられ、さらにY軸マイナス方向に突出する締結部を備え、外装体支持体15の接続部15bと接続される。接続部17cは、天板部17aのY軸プラス方向の端部からZ軸マイナス方向に立設された平板状かつ矩形状の部位と、さらにY軸プラス方向に突出する締結部を有している。接続部17cは、当該締結部において外装体支持体15の接続部15cと接続される。また、接続部17cは蓄電ユニット10の後方の側面の一部をなす。このように、外装体支持体15及び外装体蓋体17は、外装体本体14を上下方向から挟み込んだ状態で、接続部15b及び15cと接続部17b及び17cとが各締結部においてネジ止め等で接続されることで固定される構成となっている。これにより、外装体本体14内に収容される各部材(バスバーフレーム12、複数の蓄電素子11及び排気部50)は、外装体支持体15及び外装体蓋体17によって上下方向で挟持されている。このため、外装体蓋体17は、排気部50の上方を覆うことになる。
【0046】
また、外装体蓋体17の接続部17cには、上端部(Z軸プラス方向側の端部)の中央に、排気部50の排気口51が貫通する開口部171(図4参照)が形成されている。開口部171は、排気部50の外形形状に対応した平面視形状を有している。本実施の形態では、開口部171は平面視矩形状の形状を有している。排気部50の排気口51は、開口部171と、外装体本体14の切欠部141とを貫通することで外装体18から突出している。
【0047】
バスバーフレーム12には蓄電素子11の電極端子(正極端子11b及び負極端子11c)、バスバー13、検出線13a等の通電部品が配置されている。このため、金属部品である外装体蓋体17との電気的絶縁を確保するべく、外装体蓋体17の天板部17aの裏面(下面)に絶縁板を配置してもよい。絶縁板は、天板部17aに対してネジ止めされていたり、貼付されていていてもよい。
【0048】
図1Aに示す基板ユニット20は、蓄電ユニット10が有する蓄電素子11の状態の監視、及び、蓄電素子11の制御を行うことができる機器である。本実施の形態では、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の長手方向の端部、つまり、蓄電ユニット10のY軸マイナス方向の側面に取り付けられる扁平な矩形状の部材である。具体的には、基板ユニット20は、蓄電ユニット10の外装体18が有する外装体支持体15の前面に設けられた基板ユニット取付部16(図2参照)に、回動可能に取り付けられる。基板ユニット取付部16は、接続部15bの一部である。より詳細には、基板ユニット取付部16の下方に下向きのU字状保持部が備えられており、当該保持部に基板ユニット20の回動軸が収容される。
【0049】
基板ユニット20は、図1B及び図1Cに示すように、ケーブルガイド21、22と通信ケーブル用コネクタ23とを備えている。通信ケーブル用コネクタ23は入力用コネクタと出力用コネクタとから構成されている。ケーブルガイド21、22はそれぞれ一対のガイド壁を有している。なお、通信ケーブルは図示を省略している。通信ケーブルは、複数の蓄電装置1を接続する、蓄電装置1間の通信用のケーブルである。相互に接続される蓄電装置1のうち末端の蓄電装置1に接続される通信ケーブルの一つは、蓄電装置群全体の制御装置に接続される。ここで、蓄電装置1に接続される通信ケーブルは、蓄電装置1の前面に鉛直または水平方向に配置されるため、ケーブル自体が動きやすく取り扱いが煩わしいという課題がある。本実施の形態では、基板ユニット20がケーブルガイド21、22を有しており、通信ケーブルを一対のガイド壁に収容することにより、通信ケーブルの動きが抑えられ、取り扱いが容易になる。通信ケーブルによる複数の蓄電装置1同士の接続は鉛直方向の接続と水平方向の接続がある。ケーブルガイド21はガイド壁がZ軸方向に伸びており、鉛直方向の通信ケーブルを収容し固定できる。また、ケーブルガイド22はガイド壁がX軸方向に伸びており、水平方向の通信ケーブルを収容し固定できる。この結果、蓄電装置1同士の通信ケーブルによる接続が、鉛直方向いよび水平方向の双方に対応できる効果を有している。
【0050】
[2 バスバーフレーム]
次にバスバーフレーム12の詳細について説明する。図3は、実施の形態1に係る排気部50及びバスバーフレーム12の概略構成を示す分解斜視図である。具体的には、図3は、排気部50及びバスバーフレーム12を上方から見た斜視図である。
【0051】
図3に示すように、バスバーフレーム12は、複数の蓄電素子11上に配置されて、複数のバスバー13を保持するフレーム状の部材である。具体的には、バスバーフレーム12は、第一保持部71と、第二保持部72と、連結部73とを有している。ここで、複数の検出線13aのうち、第一保持部71で保持される複数の検出線13aを第一検出線と称す。また、複数の検出線13aのうち、第二保持部72で保持される複数の検出線13aを第二検出線と称す。
【0052】
第一保持部71は、バスバーフレーム12におけるX軸プラス方向側(一側方)の部位であり、第一バスバー群と正極電源ケーブル31と複数の第一検出線とを保持する部位である。複数の第一検出線は、各蓄電素子11におけるX軸プラス方向の電極端子(正極端子11bまたは負極端子11c)または、第一バスバー群に含まれるバスバー13に接続されている。
【0053】
第一保持部71は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸プラス方向に配置されている。第一保持部71は、当該第一保持部71の外周を囲む第一外壁部711を有している。
【0054】
第一外壁部711は、Y軸方向に長尺な上面視矩形状の枠壁であり、その内部に第一バスバー群と正極電源ケーブル31と複数の第一検出線とが収容されている。第一外壁部711におけるY軸マイナス方向の端部には、一対の第一切欠711a及び711bが形成されている。一対の第一切欠711a及び711bのうち一方の第一切欠711aには、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が貫通するように配置されている。また、他方の第一切欠711bには負極電源ケーブル32が貫通するように配置されている。
【0055】
第一外壁部711内において、X軸マイナス方向の端部領域は、Y軸方向に沿って貫通された第一ケーブル経路部715となっている。第一ケーブル経路部715は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第一バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第一ケーブル経路部715は、バスバーフレーム12内において、第一バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0056】
第一ケーブル経路部715には、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線が配置されている。第一ケーブル経路部715は、正極電源ケーブル31及び複数の第一検出線の配索経路をなしている。複数の第一検出線及び正極電源ケーブル31は、第一ケーブル経路部715内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0057】
第二保持部72は、バスバーフレーム12におけるX軸マイナス方向側(他側方)の部位である。第二保持部72は、第二バスバー群と、各蓄電素子11におけるX軸マイナス方向の電極端子(正極端子11bもしくは負極端子11c)、または、第二バスバー群に含まれるバスバー13に接続される複数の第二検出線とを保持している。
【0058】
第二保持部72は、各蓄電素子11のガス排出弁111よりもX軸マイナス方向に配置されている。第二保持部72は、当該第二保持部72の外周を囲む第二外壁部721を有している。
【0059】
第二外壁部721は、Y軸方向に長尺な上面視矩形状の枠壁であり、その内部に第二バスバー群と複数の第二検出線とが収容されている。第二外壁部721におけるY軸マイナス方向の端部には、第二切欠721aが形成されている。第二切欠721aには、複数の第二検出線が貫通するように配置されている。
【0060】
第二外壁部721内においてX軸プラス方向の端部領域は、Y軸方向に沿って貫通された第二ケーブル経路部725である。第二ケーブル経路部725は、各蓄電素子11のガス排出弁111と、第二バスバー群に含まれる各バスバー13との間に配置されている。このように、第二ケーブル経路部725は、バスバーフレーム12内において、第二バスバー群よりもX軸方向の内方に配置されている。
【0061】
第二ケーブル経路部725には、複数の第二検出線が配置されている。複数の第二検出線は、第二ケーブル経路部725内に配置されることで、第一保持部71と第二保持部72との間、つまり連結部73上を回避して配置されている。
【0062】
図3に示すように、連結部73は、第一保持部71と第二保持部72とを連結する部位である。具体的には、連結部73は、一端部が第一保持部71に連結され、他端部が第二保持部72に連結されたX軸方向に伸びる複数の梁部731を有している。複数の梁部731は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。複数の梁部731上には、排気部50が配置されている。複数の梁部731のうち、Y軸マイナス方向の端部の梁部731は、Y軸マイナス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。また、Y軸プラス方向の端部の梁部731は、Y軸プラス方向の端部の蓄電素子11の外方に配置されている。これら以外の梁部731は、隣り合う一対の蓄電素子11の間に配置されている。このように、複数の梁部731は、各蓄電素子11のガス排出弁111から退避した位置に配置されている。換言すると、各蓄電素子11のガス排出弁111は、上面視で複数の梁部731の間から露出された状態となっている。
【0063】
第一外壁部711において連結部73に対向する部位と、第二外壁部721において連結部73に対向する部位とは、互いに対向する一対の第三壁部716である。各第三壁部716は、YZ平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位である。一対の第三壁部716の間では、複数の梁部731上で排気部50が収納される。一対の第三壁部716の上縁部には、排気部50を位置決めするための複数組の凹部が形成されている。本実施の形態では、一対の凹部が二組設けられている。一組目の凹部は、Y軸方向でのバスバーフレーム12の中心よりもY軸プラス方向に配置された一対の第一凹部717である。一対の第一凹部717は、それぞれX軸方向視で上方が開放された矩形状に形成されており、Y軸方向において同位置に配置されている。二組目の凹部は、Y軸方向でのバスバーフレーム12の中心よりもY軸マイナス方向に配置された一対の第二凹部727である。一対の第二凹部727は、それぞれX軸方向視で上方が開放された矩形状に形成されたおり、Y軸方向において同位置に配置されている。このように、連結部73に排気部50を収納するバスバーフレーム12は、フレーム部材の一例である。
【0064】
[3 排気部]
図3図5に示すように、排気部50は、排気部材60と、蓋部材65と、複数のシール材95とを有している。また、排気部材60と蓋部材65とは排気経路59を形成している。
【0065】
図4は、実施の形態1に係る排気部50及び外装体蓋体17の概略構成を示す分解斜視図である。具体的には、図4は、排気部50及び外装体蓋体17を下方から見た斜視図である。図5は、図1に示す実施の形態1の蓄電装置1をY軸に垂直な平面で切断した断面の、排気部50周辺の断面図である。具体的には、排気部50の一部である第一分割体66と、その周辺の部材とを示す断面図である。
【0066】
[3-1 排気部材]
排気部材60は、全体としてバスバーフレーム12に収納された状態で、各蓄電素子11のガス排出弁111の直上に配置されている。排気部材60は、底部61と、一対の第一壁部62とを備えている。底部61は、XY平面に平行なかつY軸方向に延設された矩形状の部位である。一対の第一壁部62は、底部61のX軸方向の両端部から立設した部位である。排気部材60のY軸方向の長さは、外装体本体14のY軸方向の全長に対応した長さとなっている。このため、排気部材60は、全体を外装体本体14内に収めることができる。また、排気部材60は、Y軸方向における中間位置で二つに分割されている。このうち、一方が第一分割体66であり、他方が第二分割体67である。第一分割体66と第二分割体67とはY軸方向の長さが概ね同等である。第一分割体66は、第二分割体67よりもY軸プラス方向に配置されている。つまり、第一分割体66は、排気経路59における排気口51側に配置されている。
【0067】
第一分割体66及び第二分割体67からなる排気部材60は、蓄電素子11から排出される高温のガスの排気経路となるため、耐熱性の高い樹脂から形成されている。本実施の形態では、第一分割体66及び第二分割体67を、耐熱性の高い樹脂材料であるポリフェニレンスルファイド(PPS)で形成している。ここで、バスバーフレーム12は、耐熱性を有していなくてもよく、排気部材60よりも耐熱性の低い、通常の樹脂材料であるPPから形成されている。なお、バスバーフレーム12と第一分割体66及び第二分割体67とを単一の樹脂により一体成形する場合には、その全てを耐熱性の高い樹脂で成形してもよい。しかし、本実施の形態では、バスバーフレーム12とは別体の第一分割体66及び第二分割体67のみを耐熱性の高い樹脂で形成すればよいので、当該樹脂の使用量を抑制することができる。
【0068】
排気部材60は、蓄電素子11の配列方向であるY軸方向に延びる長尺な部材である。本実施の形態では、耐熱性樹脂であるPPSは、PP等の通常の樹脂材料よりも成形性が悪いため、排気部材60を成形しやすいように、一体成形品ではなくY軸方向に分割した部材として形成している。
【0069】
[3-1-1 第一分割体]
図6及び図7は、実施の形態1に係る第一分割体66及び第二分割体67の概略構成を示す斜視図である。具体的には、図6は第一分割体66及び第二分割体67を上方から見た斜視図であり、図7は第一分割体66及び第二分割体67を下方から見た斜視図である。
【0070】
図5図7に示すように、第一分割体66は、Y軸方向視で上方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。第一分割体66は、第一底部661と、一対の第一分割壁部662とを備えている。第一底部661は、XY平面に平行なかつY軸方向に延設された矩形状の部位であり、底部61の一部をなしている。
【0071】
第一底部661において、X軸方向の両端部の上面には、一対の第一分割壁部662が立設している。第一底部661の上面には、各第一分割壁部662の近傍に、Y軸方向に沿って延設された一対の第一溝663が形成されている。各第一溝663内には、蓋部材65の各第二壁部652が配置されている。
【0072】
第一底部661においてX軸方向の中央部には、各蓄電素子11のガス排出弁111を露出させる複数の第一孔部664(本実施の形態では8つ)が形成されている。複数の第一孔部664は、Y軸方向に沿って所定の間隔をあけて配列されている。第一孔部664は、平面視円形状に形成された貫通孔である。なお、第一孔部664の平面視形状は如何様でもよく、その他の平面視形状としては楕円形状、長円形状、多角形状などが挙げられる。
【0073】
第一底部661の外底面には、各第一孔部664をそれぞれ囲む複数の環状凸部665が設けられている。環状凸部665は、平面視円環状に連続的に形成された凸条部であり、第一孔部664と同心円状に配置されている。なお、環状凸部665の平面視形状は、連続した環状であれば如何様でもよく、その他の平面視形状としては楕円環状、長円環状、多角環状などが挙げられる。環状凸部665は、当該環状凸部の周方向に直交する平面で切断した場合の断面形状が先細り形状となっている(図5参照)。環状凸部665は全周にわたって均等な断面形状となっている。本実施の形態では、環状凸部665の断面形状が全体として先細り形状となっている場合を例示しているが、先端部のみが先細り形状となっていてもよい。また、本実施の形態では、環状凸部665の先端部が平坦面に形成されているが、角状に形成されていてもよい。また、環状凸部665の内方には、第一孔部664を形成するフランジ部669が周方向に連続して設けられている。フランジ部669は、環状凸部665からXY平面の面方向内方に向けて突出した環状の部位である。フランジ部669がない場合と比べると、第一孔部664の内径は小さくなっている。
【0074】
また、第一底部661の外底面には、下方に向けて突出する複数の位置決め突起666が形成されている。位置決め突起666は、1つの蓄電素子11に対して当接することで、蓄電素子11と第一分割体66との相対的な位置決めを行う部位である。
【0075】
複数の位置決め突起666は、第一分割体66のY軸方向のいずれかの位置から、複数の蓄電素子11のうちいずれかの蓄電素子11に向けて突出している。具体的には、複数の位置決め突起666は、第一分割体66におけるY軸マイナス方向の一端部から4番目の第一孔部664の近傍に配置されている。つまり、複数の位置決め突起666は、第一分割体66におけるY軸マイナス方向の一端部から4番目の蓄電素子11に対して当接する。このように、複数の位置決め突起666は、第一分割体66においてY軸方向の中央部にのみ配置されている。ここで、第一分割体66の中央部とは、Y軸方向における中心位置を含む領域である。具体的には、第一分割体66に対応する8つの蓄電素子11のうち、端から4番目と5番目との蓄電素子11に上面視で重なる第一分割体66の領域内を、第一分割体66の中央部とする。
【0076】
図8は、実施の形態1に係る複数の位置決め突起666と、蓄電素子11との位置関係を模式的に示す平面図である。図8に示すように、本実施の形態では、4つの位置決め突起666が第一分割体66に設けられている。4つの位置決め突起666は、前記4番目の蓄電素子11に対してY軸プラス方向から当接する一対の第一位置決め突起666aと、Y軸マイナス方向から当接する一対の第二位置決め突起666bとに分類される。
【0077】
一対の第一位置決め突起666aは、X軸方向に所定の間隔をあけて配列されている。一対の第二位置決め突起666bは、X軸方向において一対の第一位置決め突起666aに対応する位置に配置されている。
【0078】
図9は、実施の形態に係る位置決め突起666の概略構成を示す断面図である。図9では、第一分割体66が蓄電素子11に組み付けられる途中の状態を示している。また、図9では、一対の第一位置決め突起666aのうちの一方と、一対の第二位置決め突起666bのうちの一方とを図示しているが、一対の第一位置決め突起666aのうち他方と、一対の第二位置決め突起666bの他方においても同様であるのでこれらの説明を省略する。
【0079】
一方の第一位置決め突起666aと一方の第二位置決め突起666bとは、Y軸方向で蓄電素子11を挟む位置に配置された一対の位置決め突起666である。一方の第一位置決め突起666aは、第一底部661の外底面から下方に向けて突出している。一方の第一位置決め突起666aは、略矩形状の突起であり、その先端部において蓄電素子11側の角部666cが面取りされている。
【0080】
一方の第二位置決め突起666bは、第一底部661の外底面から下方に向けて突出している。一方の第二位置決め突起666bは、略矩形状の突起であり、その先端部において蓄電素子11側の角部666dが面取りされている。
【0081】
つまり、一方の第一位置決め突起666aと、一方の第二位置決め突起666bとの間隔は、その角部666c及び666dによって、上方に向かうほど徐々に幅が狭まっていく。このため、蓄電素子11に対して第一分割体66を組み付ける際には、蓄電素子11の上部が角部666c及び666dによってガイドされながら所定の位置に収まり、各位置決め突起666に当接することになる。位置決め後には、図8に示すように、全ての位置決め突起666が蓄電素子11に当接した状態となる。具体的には、一対の第一位置決め突起666aと、一対の第二位置決め突起666bとによって蓄電素子11が挟まれている。このため、第一分割体66と蓄電素子11とのY軸方向での位置ズレや、Z軸を中心とする回転方向での位置ズレが規制され、1つの蓄電素子11に対して第一分割体66を正確に位置合わせすることができる。
【0082】
なお、第一分割体66は、バスバーフレーム12の一対の第三壁部716間に配置されることで、X軸方向での位置決めが行われている。さらに第一分割体66は、蓄電素子11上に載置されているので、Z軸方向での位置決めが行われている。
【0083】
ここで、蓄電素子11は、厚さ(Y軸方向の寸法)が幅(X軸方向の寸法)よりも小さい扁平形状である。このため、蓄電素子11の上壁部11dにおいて、ガス排出弁111から上壁部11dの端縁までの距離は、蓄電素子11の厚さ方向の距離が幅方向の距離よりも小さく、その差も大きい。換言すると、ガス排出弁111の周囲は、厚さ方向ではスペースが狭く、幅方向ではスペースが広くなっている。従って、ガス排出弁111の周囲に他の部材を配置する場合、ガス排出弁111のY軸方向(蓄電素子11の配列方向)の側方は部材配置領域が比較的狭くなっており、X軸方向の側方では比較的広くなっている。ガス排出弁111の周囲に配置する部材としては、第一分割体66の環状凸部665、シール材95などが挙げられる。
【0084】
ガス排出弁111のY軸方向の側方は部品配置領域が狭いため、この領域に他の部材を配置するためには位置ずれを抑制する必要がある。本実施の形態では、第一分割体66の第一位置決め突起666a、666bを、他の部材を介在せず直接的に、蓄電素子11の長側面にY軸方向から当接させて位置決めしている。このことにより、容易かつ正確に第一分割体66の環状凸部665とガス排出弁111の位置を合わせることが可能になっている。
【0085】
第一置決め突起666は、少なくとも1個、いずれかの蓄電素子11に当接していればよく、例えば、配列方向の一番端の蓄電素子11に当接していてもよい。本実施の形態では、複数の蓄電素子11は、外装体本体14の所定の位置に配置されているため、第一分割体66が一番端の蓄電素子11に位置決めされれば、他の蓄電素子11に対しても所定の位置関係となるように配置される。この際、好ましくは、本実施の形態のように蓄電素子11の長側面に当接させればよいが、当接の仕方はこれに限らない。例えば、蓄電素子11の上壁部11dに対向するように突出する位置決め突起であってもよい。また、好ましくは、第一置決め突起666は、配列された複数の蓄電素子11の一番外側の長側面ではなく、他の長側面に当接する方がよい。詳細は後述するが、位置決め突起666のY軸方向両側に第一孔部664が存在し、位置決め突起666から最も離れた第一孔部664までの距離を少しでも短くでき、公差の増大を抑えることができる。
【0086】
第一分割体66における位置決め突起666の設置位置は、任意の蓄電素子11に対応する位置に配置され得る。一例は、上記のように、配列方向の一番端の蓄電素子11に当接する位置への配置であるが、配列端から2番目の蓄電素子11へ当接する位置への配置でもよい。ここで、位置決め突起666を当接させた蓄電素子11に対応する第一孔部664(664aとする)の中心を基準位置とした場合、図8に示すように、基準位置から各第一孔部664の中心までの距離の実寸法は、基準位置から離れるほど、設計値からのバラツキがおおきくなる。つまり、基準位置から離れるほど、第一孔部664の中心までの距離の公差が大きくなる(図8では、公差t1<t2<t3<t4)。従って、基準位置を第一分割体66の一番端の第一孔部664に設定した場合、基準位置から反対の端の第一孔部664までの距離の公差は最大となる。一方、図8に示すように、位置決め突起666を第一分割体66の中央部に設定すると、基準位置から一番離れた第一孔部664までの寸法(距離」の公差は、基準位置を端に設定した場合のおよそ半分程度であり、公差を広げずに精度よく位置決めすることができるので好ましい。また、Y軸方向では、環状凸部665が載るスペースがX軸方向と比べて狭い。つまり、Y軸方向では、X軸方向よりも精度が要求されるが、上述したように、位置決め突起666により第一分割体66のY軸方向の設置精度が高められていることが好適である。
【0087】
図5図7に示すように、一対の第一分割壁部662は、第一底部661のX軸方向の両端部の上面から立設した部位であり、第一壁部62の一部をなしている。一対の第一分割壁部662は、上方に向かうに連れて互いの間隔が開くように、Z軸方向に傾斜した状態で第一底部661から立設している(図5参照)。各第一分割壁部662は、Y軸方向に沿って長尺な板状かつ矩形状の部位である。各第一分割壁部662においてY軸方向の所定の位置には、外方に向けて突出した凸状の第一干渉部668が形成されている。各第一干渉部668は、各第一分割壁部662の上端部であって、各第一分割壁部662のY軸方向の略中央部に配置されている。
【0088】
図10は、実施の形態1に係る各第一干渉部668と、その周辺の部材とを示す断面図である。図10に示すように、各第一干渉部668は、バスバーフレーム12の一対の第一凹部717内に収容されている。これにより、各第一干渉部668は、バスバーフレーム12の各第三壁部716と、各第一分割壁部662との境界上に配置されている。
【0089】
図6及び図7に示すように、第一分割体66におけるY軸マイナス方向の一端部には、第二分割体67におけるY軸プラス方向の他端部に係合する第一係合部68が形成されている。第一係合部68は、オーバラップ部681と、第一鍔部682とを有している。
【0090】
オーバラップ部681は、第二分割体67の他端部に対してZ軸方向視(平面視)で重なる部位である。具体的には、オーバラップ部681は、第一分割体66の第一底部661の一端部からY軸マイナス方向に突出している。つまり、オーバラップ部681は、第一底部661の一端部から第二分割体67に向けて突出している。オーバラップ部681は、XY平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位である。
【0091】
第一鍔部682は、第一分割体66の第一底部661の一端部から下方に向けて突出している。つまり、第一鍔部682は、蓄電素子11に向けて突出している。第一鍔部682は、XZ平面に平行かつZ軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位である。第一係合部68と、第二分割体67との係合関係については後述する。
【0092】
[3-1-2 第二分割体]
次に第二分割体67について説明する。第二分割体67は基本的に第一分割体66と同じ構成であるので、まず、第二分割体67の各部において第一分割体66の各部との対応関係を説明し、その詳細についての説明は省略する。その後、第一分割体66とは異なる点について詳細に説明する。
【0093】
図6及び図7に示すように、第二分割体67は、Y軸方向視で上方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。第二分割体67は、第一底部661に対応する第二底部671と、各第一分割壁部662に対応する一対の第二分割壁部672とを備えている。第二底部671には、各第一溝663に対応する一対の第二溝673と、各第一孔部664に対応する複数の第二孔部674と、各環状凸部665に対応する複数の環状凸部675と、各位置決め突起666に対応する複数の位置決め突起676とが設けられている。複数の位置決め突起676は、第二分割体67におけるY軸プラス方向の他端部から4番目の第一孔部664の近傍に配置されている。
【0094】
また、一対の第二分割壁部672には、各第一干渉部668に対応するように複数の第二干渉部678が設けられている。各第二干渉部678は、バスバーフレーム12の一対の第二凹部727内に収容される。このような対応関係であるため、第二分割体67の各部においても、第一分割体66の対応箇所と同等の作用効果が得られることとなる。
【0095】
次に、第二分割体67において第一分割体66とは異なる部位について詳細に説明する。第二分割体67において、Y軸マイナス方向の一端部には、第二底部671と一対の第二分割壁部672とに連続して、排気経路59を閉塞するための終端壁部677が形成されている。終端壁部677は、XZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位である。この終端壁部677によって、排気経路59を流れるガスが、蓄電装置1のY軸マイナス方向の端部から漏れ出ることが防止されている。
【0096】
また、第二分割体67におけるY軸プラス方向の他端部には、第一分割体66の第一係合部68に係合する第二係合部69が形成されている。
【0097】
図11は、実施の形態1に係る第一係合部68と第二係合部69との係合関係を示す断面図である。図6図7及び図11に示すように、第二係合部69は、収容凹部691と、第二鍔部692とを有している。
【0098】
収容凹部691は、オーバラップ部681を収容する部位である。具体的には、収容凹部691は、第二底部671における他端部の上面に形成されている。収容凹部691は、Z軸方向視においてオーバラップ部681を収容できる形状に形成されている。例えば、収容凹部691は、Y軸プラス方向の端部が開放された、Z軸マイナス方向に窪んだ凹部であり、下方に底を有している。収容凹部691内にオーバラップ部681が収容されると、当該オーバラップ部681は平面視(Z軸方向視)で第二分割体67の他端部に重なっている。これにより、第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分での隙間が、断面視において屈曲した空間となるので、ガスが通過し難くなり、当該隣り合う部分からのガス漏れが抑制されている。
【0099】
また、収容凹部691に収容されたオーバラップ部681の先端部は、収容凹部691の壁面に対してY軸方向で間隔S1をあけて配置されている。例えば、第一分割体66と第二分割体67とはそれぞれの長手方向の寸法公差のバラツキによって、オーバラップ部681のY軸方向の先端と収容凹部691のY軸方向端部の壁面が干渉する虞がある。干渉が発生した場合、蓄電装置1の組み立て不良につながる。本実施の形態では、第一分割体66と第二分割体67とが、それぞれ寸法公差内最大値同士の部材で組み合わせられても、オーバラップ部681の先端部が、第二分割体67の他端部に対して間隔S1をあけるように構成されている。この間隔S1によって第一分割体66と第二分割体67との寸法バラツキを吸収することができ、組み立て不良の発生を抑制することができる。また、第一分割体66と第二分割体67とが、それぞれ寸法公差内最小値同士の部材で組み合わせられる場合においても、本実施の形態では、第二分割体67の他端部の上方をオーバラップ部681が覆うように構成されている。これにより、第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分からのガス漏れが抑制されている。なお、第一分割体66と第二分割体67とを寸法精度を高めて作製し、オーバラップ部681の先端部を、第二分割体67の他端部に対して接触させた場合においては、間隔S1がなくなるためにガス漏れも抑制でき、好適である。なお、図11では、オーバラップ部681の底面が、収容凹部691の底からZ軸方向に離間している場合を例示しているが、オーバラップ部681の底面は収容凹部691の底に対して当接していてもよい。この場合においてはガス漏れをより抑制することができる。
【0100】
第二鍔部692は、第二分割体67の第二底部671の他端部から下方に向けて突出している。つまり、第二鍔部692は、蓄電素子11に向けて突出している。第二鍔部692は、XZ平面に平行かつZ軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位である。第二鍔部692は、Y軸方向で間隔S2をあけて第一鍔部682に対向している。ここで、間隔S2が間隔S1よりも小さいと、間隔S1が吸収しうる公差内寸法バラツキの最大量を満たす前に、第二鍔部692と第一鍔部682とが当接してしまい、所望の寸法バラツキ吸収効果が得られないおそれがある。このため、第二鍔部692と第一鍔部682との間隔S2は、間隔S1以上に設定されている。
【0101】
また、第一分割体66と第二分割体67とはそれぞれの公差によって、蓄電素子11と排気部50との並び方向(Z軸方向)で位置ズレする場合も想定される。本実施の形態では、第一底部661の一端部に第一鍔部682が形成され、この第一鍔部682にY軸方向で対向する第二鍔部692が第二底部671の他端部に形成されている。このため、第一分割体66と第二分割体67とがZ軸方向に位置ズレしたとしても、第一鍔部682と第二鍔部692との対向関係を維持することができ、第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分の隙間を狭めることができる。これにより、第一分割体66と第二分割体67とがZ軸方向に位置ズレしたとしてもガス漏れを抑制することができる。
【0102】
さらに、第一分割体66に第一鍔部682が設けられ、第二分割体67に第二鍔部692が設けられていることにより、第一分割体66と第二分割体67の境界部分における、蓄電素子11と金属部材である蓋部材65の第二壁部652の端部との沿面距離が確保されている。また、第二分割体67のY軸プラス方向側(排気口51側)の端部に第三鍔部683が設けられていることにより、第一分割体66の排気口51側端部における、蓄電素子11と金属部材である蓋部材65の第二壁部652の端部との沿面距離が確保されている。
【0103】
ここで、蓄電素子11のガス排出弁111が作動した場合について説明する。ガス排出弁111が作動し高温化したガスが排気経路59から外部に排出される場合には、排気経路59の排気口でガスが空気(酸素)に触れて着火することがある。ここで、排気部材60の第一分割体66側にあり、かつ排気口51に近い蓄電素子11は、空気(酸素)に触れやすく着火する可能性がある。逆に排気経路59のY軸プラス方向側の端部は閉塞しているため、第二分割体67側の蓄電素子11は空気(酸素)に触れにくく着火の可能性は低い。また、第二分割体67側の蓄電素子11からのガスは排気経路59を排気口51に向けて通過するうちに温度が低下し、着火の可能性が低下する。排気経路59の途中には、第一分割体66と第二分割体67の境界の隙間S1、S2があるが、この隙間S1、S2は排気口51に比べて僅かであり、ガスが空気(酸素)の触れることは抑制されている。第一分割体66側の、排気口51に近い蓄電素子11からガスが排出されると、その大部分は排気口51に向かう。排気口51から排出されたガスに着火すると、その火は蓄電装置1側に廻りこんで、第一分割体66と第二分割体67との境界部分(隙間S1、S2)から排気経路59に侵入し正常な他の蓄電素子11のガス排出弁111に到達するおそれがある。第一分割体66側の他の蓄電素子11は、ガス排出弁111が作動した蓄電素子11による高温下に晒されているため、火が移る可能性もある。本実施の形態では、第一分割体66のオーバラップ部681が排気口51と反対側(Y軸マイナス方向)に向かって延設されており、かつオーバラップ部681が第二分割体67の他端部よりも上方に配置されているため、境界部分から侵入した火を、熱影響を比較的受けていない第二分割体67側(Y軸プラス方向側)に受け流すことができる。第二分割体67側に受流された火は弱まり、火が移ることを抑制できる。
【0104】
[3-1-3 第一干渉部及び第二干渉部の設置箇所]
次に、第一分割体66の各第一干渉部668と、第二分割体67の各第二干渉部678とのそれぞれの設置箇所について説明する。図12は、実施の形態に係る第一分割体66と第二分割体67とを模式的に示す平面図である。図12は組立状態の図ではなく、部材である第一分割体66と第二分割体67と各部材の長手方向(Y軸方向)が平行になるように並べた図である。
【0105】
図12に示すように、第一分割体66では、一対の第一干渉部668が平面視における第一分割体66の中心G1を基準とした点対称とならない位置に配置されている。具体的には、一対の第一干渉部668は、中心G1からY軸プラス方向に第一距離L1だけずれた位置に設置されている。このため中心G1を基準にZ軸回りに第一分割体66を180度回転させると、一対の第一干渉部668は、中心G1から第一距離L1だけY軸マイナス方向にずれた位置に配置される(図12の第一分割体66における破線部)。バスバーフレーム12の各第一凹部717は、回転前の第一分割体66を位置決めする機能を有する。このため、回転後の第一分割体66の各第一干渉部668を各第一凹部717に収容してしまうと、第一分割体66がY軸方向に2倍の第一距離L1程度に位置ズレしてしまう。これにより、組み立て作業者は一見して第一分割体66が誤配置されたことを把握することができる。また、作業者が見逃したとしても、当該工程の組み立てができないことにより位置ズレを検出できる。
【0106】
同様に、第二分割体67では、一対の第二干渉部678が平面視における第二分割体67の中心G2を基準とした点対称とならない位置に配置されている。さらに、一対の第二干渉部678は、第一分割体66の一対の第一干渉部668とは、平面視で異なる位置関係である。具体的には、各第二干渉部678は、中心G2からY軸プラス方向に第二距離L2だけずれた位置に設置されている。ここで、第二距離L2は、第一距離L1とは異なっているので、各第一干渉部668と各第二干渉部678とが平面視で異なる位置関係となっている。各第一干渉部668と各第二干渉部678とはY軸方向で距離L10だけ位置を変えている。なお、本実施の形態では、第二距離L2は第一距離L1よりも小さい場合を例示しているが、第二距離L2は第一距離L1よりも大きくてもよい。
【0107】
例えば、中心G2を基準にZ軸回りに第二分割体67を180度回転させると、一対の第二干渉部678は、中心G2から第二距離L2だけY軸マイナス方向にずれた位置に配置される(図12の第二分割体67における破線部)。バスバーフレーム12の各第二凹部727は、回転前の第二分割体67を位置決めする機能を有する。このため、回転後の第二分割体67の各第二干渉部678を各第二凹部727に収容してしまうと、第二分割体67がY軸方向に2倍の第二距離L2程度に位置ズレしてしまう。これにより、作業者は一見して第二分割体67が誤配置されたことを把握することができる。また、作業者が見逃したとしても、当該工程の組み立てができないことにより位置ズレを検出できる。
【0108】
また、回転前の第二分割体67が、第一分割体66の配置箇所に誤配置される場合を想定する。具体的には、バスバーフレーム12の第一分割体66用の各第一凹部717に対して、回転前の第二分割体67の各第二干渉部678が収容されようとする場合である。この場合には、第二分割体67が、第一分割体66の正規な位置から距離L10程度にY軸方向に位置ズレしてしまう。回転後の第二分割体67が第一分割体66用の配置箇所に誤配置された場合においても、第二分割体67が、第一分割体66の正規な位置からY軸方向に位置ズレしてしまう。いずれの場合であっても、作業者は一見して第二分割体67が誤配置されたことを把握することができる。また、作業者が見逃したとしても、当該工程の組み立てができないことにより位置ズレを検出できる。これは、第一分割体66が第二分割体67の設置箇所に誤配置された場合においても同様である。
【0109】
[3-2 蓋部材]
図3図5に示すように、蓋部材65は、排気部材60の上方に配置されており、排気部材60の開放部分を閉塞し、排気経路59の上方を覆っている。具体的には、蓋部材65は、金属製であり、排気部材60よりも放熱性が高い。蓋部材65は、Y軸方向視で下方が開放されたU字状に形成されており、Y軸方向に長尺な部材である。蓋部材65は、第一分割体66及び第二分割体67からなる排気部材60内に収容されている。蓋部材65のY軸方向の長さは、排気部材60のY軸方向の全長よりも長い。このため、蓋部材65のY軸プラス方向の他端部を排気部材60から突出させることができる。
【0110】
蓋部材65のY軸プラス方向の他端部は、排気部材60から突出した状態で下方及び先端面が開放されている。一方、蓋部材65のY軸マイナス方向の一端部は、前方壁部659によって閉塞されている。この前方壁部659は、XZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位であり、第二分割体67の終端壁部677を外方から覆っている。つまり、蓋部材65の前方壁部659と、第二分割体67の終端壁部677とで、Y軸マイナス方向の一端部からのガスの排出を防止し、確実に排気口51からガスを排出できる。前方壁部659は蓋部材65の作製時に絞り加工で形成されている。このため前方壁部659と他の部分に隙間がなく、ガスの漏れ防止として好ましい。なお、蓄電装置1の使用条件等によっては、前方壁部659は金属板の折り曲げ加工等で形成してもよい。蓋部材65は、排気部材60内に収容された状態で、排気部材60とともにガスの排気経路59を構成している。前述した蓋部材65の他端部における開放された部位からはガスが排出される。つまり、蓋部材65の他端部はガスが排出される排気口51である。これにより、排気口51は、ガスの進行方向視(Y軸方向視)でU字状となっている。具体的には、排気口51は、開放部が下方を向くU字状となっている。上述したように、蓋部材65における排気口51は、開口部171と、外装体本体14の切欠部141とを貫通することで外装体18から突出している。
【0111】
また、蓋部材65は、蓋部651と、一対の第二壁部652とを備えており、これらによってY軸方向視でU字状の外形をなしている。蓋部651は、下方が開放された板部である。蓋部651は、外装体蓋体17の天板部17aに対して取り付けられ、蓋部材65と外装体蓋体17とが一体化されている。
【0112】
一対の第二壁部652は、蓋部651におけるX軸方向の両端部から下方に向けて延設されている。具体的には、各第二壁部652は、YZ平面に平行かつY軸方向に延設された板状かつ矩形状の部位である。
【0113】
各第二壁部652は、排気部材60の一対の第一壁部62に対してX軸方向の内方で隣接するように収容されている。具体的には、各第二壁部652は、第一分割体66の一対の第一分割壁部662と、第二分割体67の一対の第二分割壁部672とのそれぞれに対して隣接している。この状態では、各第二壁部652の先端部は、第一分割体66の各第一溝663及び第二分割体67の各第二溝673に収容され、各溝部の底面に当接されている。このため、各第二壁部652の下端が平面に当接された場合と比べても、各第二壁部652と排気部材60との密閉性を高くすることができる。各第二壁部652は、第一分割体66の第一分割壁部662と、第二分割体67の第二分割壁部672とが隣り合う部分に対して、この部分の隙間を内方から覆うように重なっている。これにより、各第二壁部652は、当該隙間からのガス漏れを抑制している。
【0114】
また、この状態においては、蓋部材65の蓋部651は、排気部材60の一対の第一壁部62よりも上方に配置されている。このため、蓋部材65の蓋部651が、外装体蓋体17の天板部17aによって下方に向けて押圧されている。この押圧力によって、蓋部材65の一対の第一壁部62が各第一溝663及び各第二溝673の底面に押圧されるので、より高い密閉性を発揮することができる。さらに、蓄電素子11のガス排出弁111からガスが排出された場合には、蓋部材65がガスを受けるために蓋部材65が浮くおそれもある。蓋部材65が外装体蓋体17から下方への押圧力を受けているので、ガスの排出を起因とした蓋部材65の浮きを抑制することができる。
【0115】
また、排気部材60に対しても、蓋部材65の一対の第一壁部62から下方に向かう押圧力が作用しているので、排気部材60は複数の蓄電素子11を下方へと押圧している。これにより、排気部材60と蓄電素子11との間に介在する各シール材95を確実に圧縮させることができ、より高い密着性を発揮することができる。また、この押圧力によって、複数の蓄電素子11を上下方向にも支持している。
【0116】
[3-2-1 蓋部材と排気部材との組み立て時]
次に、蓋部材65と排気部材60との組み立て時について説明する。ここでは、排気部材60の一部である第一分割体66と蓋部材65とを例示するが、第二分割体67においても同様である。
【0117】
図13は、実施の形態1に係る蓋部材65と排気部材60との組み立て途中の状態を示す断面図である。具体的には、図13の(a)は蓋部材65が正規な位置に配置される場合を示しており、図13の(b)は蓋部材65が非正規な位置に配置される場合を示している。
【0118】
図13の(a)に示すように、組立時に蓋部材65が正規な位置に配置される場合には、蓋部材65の各第二壁部652は、一対の第一分割壁部662の間に挿入されるため、各第一干渉部668に対して干渉しない。つまり、挿入が阻害されずに、蓋部材65はスムーズに正規な位置に配置されて、第一分割体66に対して組み付けられる(図10参照)。
【0119】
一方、図13の(b)に示すように、組立時において蓋部材65が正規な位置からX軸方向にずれたまま下降すると、一方の第二壁部652が、第一干渉部668の突出方向(X軸方向)に交差する方向(Z軸方向)から一方の第一干渉部668に干渉する。図13の(b)とは逆方向に蓋部材65がずれている場合には、他方の第二壁部652が他方の第一干渉部668に干渉する。つまり、組立時に蓋部材65が非正規な位置に配置されようとした場合には、第一干渉部668が第二壁部652に干渉しその挿入を阻害する。これにより、蓋部材65が正規な位置から大きく浮く(図13の(b)の破線部参照)。この状態であれば、作業者が一見して蓋部材65の誤挿入を把握することができるので、組立作業をやり直すことができる。また、作業者が見逃したとしても、当該工程の組み立てができないことにより誤挿入を検出できる。
【0120】
特に本実施の形態では、各第一干渉部668は、バスバーフレーム12の各第一凹部717に収容されている。この状態では、第一壁部62と第三壁部716との境界(隙間)に各第一干渉部668が配置されている。つまり、蓋部材65が位置ずれして第二壁部652が第一分割壁部662と第三壁部716との境界(隙間)に進入しようとしたとしても、第二壁部652が第一干渉部668に当接するため、第一分割壁部662と第三壁部716との境界に進入できない。したがって、第一分割壁部662と第三壁部716との境界に第二壁部652が誤挿入されることを抑制することができる。
【0121】
第一分割壁部662と第三壁部716との境界の下方には、蓄電素子11が存在している。このため金属製の蓋部材65の第二壁部652がこの境界内に誤挿入されてしまうと、蓄電素子11に接触して短絡を生じさせるおそれもある。しかしながら、本実施の形態では、当該境界へ第二壁部652が誤挿入されないために、短絡の発生も抑制できている。
【0122】
ここで、蓋部材65が組立時から外装体蓋体17に対して一体化されていると、組立時においては外装体蓋体17が蓋部材65を覆うため作業者から蓋部材65が視認できない。このため、蓋部材65が誤配置されうる。第一干渉部668及び第二干渉部678が設けられていない場合を想定すると、誤配置によって蓋部材65の第二壁部652が第一壁部62と第三壁部716との間に挿入されてしまえば、前述したような浮きも生じない。仮に浮きがあったとしても、蓋部材65を外装体蓋体17が覆っているために、外観からはその浮きを発見しにくい状況である。本実施の形態では、図13の(b)に示したように蓋部材65とともに外装体蓋体17が正規な位置から大きく浮くので、作業者は一見して蓋部材65の誤挿入を把握することができる。
【0123】
なお、本実施の形態では、蓋部材65の前方壁部659と第二分割体67の終端壁部677とが存在しているために誤挿入が発生しにくい構成であるが、この場合でも、外装体蓋体17をY軸に対して傾けて組付ける際などには、排気口51付近で部分的な誤挿入が発生しうる。
【0124】
[3-3 シール材]
次にシール材95について説明する。シール材95は、図5に示すように、蓄電素子11と排気部材60との間に配置され、蓄電素子11と排気部材60との間の気密性を維持するための部材である。シール材95は、各蓄電素子11に対して1つずつ設けられている。つまり、蓄電装置1の全体としては、16個のシール材95が設けられている(図3参照)。いずれのシール材95は、同形状であるので、ここでは1つのシール材95を挙げて説明する。
【0125】
図14は、実施の形態1に係るシール材95およびその周辺部材を示す説明図である。具体的には、図14の(a)は、シール材95の平面図であり、図14の(b)は、蓄電素子11上に設置されたシール材95の断面図である。図14の(b)は、図14の(a)のXIVb-XIVb線を含む切断面を見た断面図である。図14の(a)では、第一分割体66の各部との位置関係も示しており、第一孔部664を破線で示し、環状凸部665を二点鎖線で示している。
【0126】
図14に示すように、シール材95は板状の部材である。具体的には、シール材95は、平面視長方形状の板体である。シール材95は、蓄電素子11における容器11aの上壁部11d上に載置されている。ここで、上壁部11dの上面には規制凹部112が形成されている。規制凹部112は、上壁部11dの周縁部よりも下方に窪んだ部位である。規制凹部112内にシール材95が配置されると、シール材95のY軸方向の両端部が、規制凹部112の内側面に当接し、Y軸方向の移動および回転が規制される。つまり、規制凹部112は、シール材95の移動を規制する規制部である。なお、規制部は、シール材95の移動を規制するものであれば如何様でもよい。例えば、蓄電素子11の上壁部11dに備わる正極あるいは負極のガスケットをシール材95に当接させることで規制部としてもよい。ガスケットの場合には、X軸方向からシール材95に当接させることができる。また、蓄電素子11の容器11aに貼り付けられる絶縁性のシートをシール材95に当接させることで規制部としてもよい。さらに、シール材95を規制するための専用の部材を上壁部11dに設け、それを規制部としてもよい。
【0127】
また、シール材95の中央部には、排気部材60の各孔部(第一孔部664、第二孔部674)に連通する貫通孔部96が形成されている。貫通孔部96は円形を基準とした形状であり、その内周縁においてX軸方向の中央部に互いにY軸方向で対向する一対の突出片97が形成されている。一対の突出片97は、貫通孔部96の中心に向かって突出しており、その先端面が凸状の湾曲面となっている。このため、貫通孔部96の平面視形状は、Y軸方向(第一方向)での第一幅W1と、X軸方向(第二方向)での第二幅W2とが異なる形状である。
【0128】
このように貫通孔部96の内周縁に一対の突出片97が設けられているので、平面視において貫通孔部96の中心を通るY軸方向の幅は、シール材95を回転させることで突出片97の位置がかわるために変動する。本実施の形態では、複数の蓄電素子11の並び方向と、第一幅W1での幅方向とが平行になる姿勢がシール材95の正規の姿勢である。つまり、並び方向を基準にして貫通孔部96の幅を計測し、その計測結果が第一幅W1となった場合には、シール材95が正規な姿勢で配置されていると判断できる。
【0129】
例えば、シール材95が正規の姿勢からずれていて、蓄電素子11の並び方向と第二幅W2での幅方向とが平行になっている場合を想定する。(シール材95を90度回転させて誤配置した場合。)この場合、並び方向を基準にして貫通孔部96の幅を計測すると、その計測結果は第二幅W2となるので、シール材95が非正規な姿勢で配置されていると判断できる。また、シール材95が配置されていない場合も、W1が計測できないためシール材95の配置忘れを検出できる。つまり、蓄電素子11の並び方向に貫通孔部96の幅を計測することで、シール材95の有無および正規な姿勢で配置されているか否かを判断することができる。貫通孔部96の幅の計測には、例えば、レーザ測距計を用いた計測方法、画像測定機を用いた計測方法などが挙げられる。
【0130】
また、貫通孔部96の形状は、第一幅W1と第二幅W2とが異なるのであれば如何様でもよい。その他の貫通孔部96の平面視形状としては、多角形状、楕円形状、長円形状などが挙げられる。また、第一幅W1と第二幅W2とが異なるのであれば、突出片97は、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0131】
また、シール材95は、排気部材60よりも柔軟性が高い。つまり、シール材95は、排気部材60よりも柔らかく変形しやすい特性を有している。具体的には、シール材95は、排気部材60よりも硬度が低くてもよいし、ヤング率が低くてもよい。本実施の形態では、シール材95は、耐熱性のゴムにより形成されている。このように、シール材95が排気部材60よりも柔軟性が高いために、排気部材60の環状凸部665の先端部がシール材95を変形させた状態でシール材95に密着する(図5参照)。密着時においては、環状凸部665は、第一孔部664及び貫通孔部96を全周にわたって連続的に囲んでいるので、排気部材60とシール材95との間の密閉性を確保できる。
【0132】
[4 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、環状凸部665の先端部が第一孔部664及び貫通孔部96を囲んだ状態で全周にわたってシール材95に当接しているので、環状凸部665は、シール材95を変形させた状態でシール材95に密着する。これにより、排気部材60とシール材95との間における密閉性を高めることができる。ここで、排気部材60に備わる環状凸部665の先端部が、柔軟性の高いシール材95を押圧しているので、シール材95の全面を押圧する場合と比べて小さい力でシール材95に食い込むことができる。つまり、シール材95を押圧するための構造を簡素化したとしても、高い密閉性を維持することができる。
【0133】
また、環状凸部665の先端部の断面形状が先細り形状であるので、押圧時にはシール材95に対して食い込みやすい。したがって、より小さい力で高い密閉性を維持することができる。
【0134】
また、貫通孔部96の内周縁に突出片97が設けられている。シール材95が正規の姿勢からずれていて、例えば、並び方向と、第二幅W2で幅方向とが平行になっていると、並び方向を基準とした貫通孔部96の幅(第二幅W2)は、正規な姿勢での幅(第一幅W1)とは異なる。つまり、並び方向を基準にして貫通孔部96の幅を計測することで、シール材95が正規な姿勢で配置されているか否かを判断することができる。これにより、製造時におけるシール材95の誤配置を検出することができる。シール材95の誤配置が検出できれば、誤配置を起因とした密閉性の低下を抑制することができる。
【0135】
また、シール材95の位置を規制する規制凹部112(規制部)が蓄電素子11に設けられているので、規制凹部112によってシール材95の位置ずれを抑制することができる。したがって、シール材95と環状凸部665との位置ずれも抑制され、密閉性をより確実に発揮させることができる。
【0136】
ここで、例えば、1つの蓄電素子11のガス排出弁111からガスが排出されると、当該ガスは、貫通孔部96及び第一孔部664を介して排気経路59に排出される。このとき、排気経路59から高温化したガスが他の正常な蓄電素子11に到達してしまうと、正常な蓄電素子11に悪影響を及ぼし好ましくない。本実施の形態では、環状凸部665の内方にフランジ部669が設けられているので、このフランジ部669が障壁となり、排気経路59から蓄電素子11へのガスの逆流を抑制することができる。
【0137】
また、排気部材60を構成する第一分割体66には、蓄電素子11に対して直接当接する位置決め突起666が設けられているので、排気部材60と当該蓄電素子11とにおいてはこの二者間のみで相対的な位置が決まる。つまり、他の部材が介在せず、公差の積み重なりが最少部材間のみとなる。したがって、排気部材60と蓄電素子11との組付け時の寸法バラツキを低減することができ、各第一孔部664と各ガス排出弁111との位置ズレを抑制することができる。これは第二分割体67においても同様である。
【0138】
また、一対の位置決め突起666が、複数の蓄電素子11の並び方向(Y軸方向)で蓄電素子11を挟むので、並び方向における蓄電素子11と第一分割体66との位置決めを確実に行うことができる。また、第一分割体66が蓄電素子11に対して二箇所で位置決めされるので、蓄電素子11に対する第一分割体66の回転も規制される。これらのことより、排気部材60の一部である第一分割体66と蓄電素子11との位置合わせの安定性を高めることができる。これは第二分割体67においても同様である。
【0139】
また、一対の位置決め突起666のそれぞれは、互いに対向する角部666cが面取りされているので、一対の位置決め突起666の角部666cが蓄電素子11を案内するガイド部として機能する。これにより、蓄電素子11を一対の位置決め突起666間にスムーズに挿入することができる。これは第二分割体67においても同様である。
【0140】
また、複数の蓄電素子11の並び方向に交差する方向(X軸方向)で一対の位置決め突起666が配列されているので、第一分割体66が蓄電素子11に対して二箇所で位置決めされる。これにより、蓄電素子11に対する第一分割体66の回転を規制することができ、排気部材の一部である第一分割体66と蓄電素子11との位置合わせの安定性をより高めることができる。これは第二分割体67においても同様である。
【0141】
また、位置決め突起666が第一分割体66の中央部にのみ配置されているので、複数の蓄電素子11のうち中央に配置された蓄電素子11に対して、位置決め突起666が当接し、位置決めされる。つまり、第一分割体66における公差の蓄積を抑制することができる。したがって、排気部材60の一部である第一分割体66と蓄電素子11とをより正確に位置合わせすることができる。これは第二分割体67においても同様である。
【0142】
また、第一干渉部668は、蓋部材65が排気経路59を正規な位置で覆う際には、第二壁部652に干渉しない。したがって、正規な位置に対する蓋部材65の挿入は阻害されず、蓋部材65を正規な位置にスムーズに配置することができる。一方、第一干渉部668は、蓋部材65が排気経路59を非正規な位置で覆う際に、第一干渉部668の突出方向に交差する方向(Z軸方向)で第二壁部652に干渉する。このため、組立時に蓋部材65の第二壁部652が非正規な位置に配置されようとした場合には、第一干渉部668が第二壁部652に干渉しその挿入を阻害する。これにより、蓋部材65が正規な位置に配置された場合よりも浮くために、作業者が一見して蓋部材65の誤挿入を把握することができる。したがって、蓋部材65が誤った位置に設置されることを抑制できる。
【0143】
また、一対の第一壁部62の一部である各第一分割壁部662のそれぞれに第一干渉部668が形成されているので、一対の第一干渉部668で蓋部材65の誤挿入を抑制することができる。したがって、蓋部材65が誤った位置に設置されることをより確実に抑制できる。
【0144】
また、一対の第一壁部62の一部である各第一分割壁部662のそれぞれの第一干渉部668が、平面視における第一分割体66の中心G1を基準とした点対称とならない位置に配置されている。このため、組立時に作業者が第一分割体66を180度回転してバスバーフレーム12に収容した場合には、一対の第一干渉部668を起点として第一分割体66は正規の位置から位置ズレすることになる。これにより、作業者に第一分割体66の誤配置を容易に認識させることができる。
【0145】
また、蓋部材65を外装体蓋体17が覆っているので、第一干渉部668により蓋部材65が浮いた場合には外装体蓋体17も浮くことになる。したがって、作業者は、外装体蓋体17の浮きを認識することで、蓋部材65の誤配置を把握することができる。つまり、蓋部材65を覆う外装体蓋体17を有する蓄電装置1においても、蓋部材65の誤配置を抑制することが可能である。
【0146】
また、第一分割体66の第一干渉部668と、第二分割体67の第二干渉部678とは、平面視で異なる位置関係である。このため、組立時に作業者が間違えて、例えばバスバーフレーム12における第一分割体用の第一凹部717に、第二分割体67の第二干渉部678を収容した場合には、第二分割体67は、第一分割体用の正規の位置から位置ズレすることとなる。これは第二分割体用の第二凹部727に第一分割体66の第一干渉部668を収容した場合にも同様である。これにより、作業者に第一分割体66と第二分割体67とを入れ違えたことを容易に認識させることができる。
【0147】
また、排気部材60を収納するバスバーフレーム12には、一対の第三壁部716が設けられており、この第三壁部716のそれぞれに第一干渉部668を収容する第一凹部717が形成されている。第一干渉部668が第一凹部717に収容された状態では、第一分割壁部662と第三壁部716との境界(隙間)に第一干渉部668が配置されている。つまり、蓋部材65が位置ずれして第二壁部652が第一分割壁部662と第三壁部716との境界(隙間)に進入しようとしたとしても、第二壁部652が第一干渉部668に当接するため、第一分割壁部662と第三壁部716との境界に進入できない。したがって、第一分割壁部662と第三壁部716との境界に第二壁部652が誤挿入されることを抑制することができる。
【0148】
また、排気部50をなす第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分においては、第一分割体66の一端部に設けられたオーバラップ部681が第二分割体67の他端部に平面視で重なっている。このオーバラップ部681によって、第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分の隙間を狭めることができ、当該隣り合う部分からのガス漏れを抑制することができる。
【0149】
また、第一分割壁部662と第二分割壁部672との隣接部分の隙間が、蓋部材65の第二壁部652によって覆われている。このように、オーバラップ部681と蓋部材65とで、第一分割体66と第二分割体67との隣り合う部分の隙間を狭めることができ、当該隣り合う部分からのガス漏れをより抑制することができる。
【0150】
また、第一底部661の一端部に第一鍔部682が形成され、第二底部671の他端部に第一鍔部682に対向する第二鍔部692が形成されているので、第一鍔部682と第二鍔部692とが重なりあうことで組付け部分の隙間を狭めることができる。
【0151】
ここで、第一分割体66と第二分割体67とはそれぞれの公差によって、Z軸方向で位置ズレする場合も想定される。本実施の形態では、第一底部661の一端部に第一鍔部682が形成され、第二底部671の他端部に第一鍔部682に対向する第二鍔部692が形成されている。このため、第一分割体66と第二分割体67とがZ軸方向に位置ズレしたとしても、第一鍔部682と第二鍔部692との対向関係を維持することができ、組付け部分の隙間を狭めることができる。これにより、第一分割体66と第二分割体67とがZ軸方向に位置ズレしたとしてもガス漏れを抑制することができる。
【0152】
また、オーバラップ部681の先端部が、第二分割体67の他端部に対して間隔S1をあけて配置されているので、この間隔S1によって公差を起因とした位置ズレを吸収することができる。これにより、第一分割体66と第二分割体67とを、長手方向で正確な位置に配置することができる。
【0153】
また、オーバラップ部681を有する第一分割体66が排気口51側に配置され、かつオーバラップ部681が第二分割体67の他端部よりも上方に配置されているので、蓄電素子11側に侵入する火をオーバラップ部681で遮ることができる。つまり、万が一、ガスが着火したとしても、正常な蓄電素子11が類焼してしまうことを抑制することができる。
【0154】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、シール材95が各蓄電素子11に対して一対一となるように複数設けられている場合を例示した。しかしながら、1つのシール材が複数の蓄電素子11に対応していてもよい。この実施の形態2では、1つのシール材95Aが8つの蓄電素子11に対応している場合を例示する。なお、実施の形態2では、上記実施の形態1と同等の部分には同等の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0155】
1つの蓄電装置1には、同型の2つのシール材95Aが備えられている。2つのシール材95Aのうち一方が第一分割体66に対応し、他方が第二分割体67に対応する。
【0156】
図15は、実施の形態2に係るシール材95Aの概略構成を示す説明図である。具体的には、図15の(a)はシール材95Aの平面図であり、図15の(b)はシール材95Aの側面図である。
【0157】
図15に示すように、シール材95Aは、Y軸方向に長尺な矩形板状に形成されている。シール材95Aには、各蓄電素子11に対応する複数のシール部951aと、各シール部951aを連結する複数のジョイント部952aとを備えている。
【0158】
シール部951aは、各蓄電素子11の上壁部11d上に載置される部位である。シール部951aは、Y軸方向に長尺な平面視長方形状に形成されている。シール部951aは、また、シール部951aの中央部には、排気部材60の各孔部(第一孔部664、第二孔部674)に連通する貫通孔部96aが形成されている。貫通孔部96aは円形を基準とした形状であり、その内周縁においてY軸方向に突出する1つの突出片97aが形成されている。各突出片97aは、シール材95AにおけるY軸方向の中心に向かって突出している。突出片97aによる効果は、実施の形態1における突出片97の効果と同様である。なお、各突出片97aは、Y軸方向の中央を境にして、突出の向きを逆にしている。中央からY軸方向プラス側の各突出片97aはY軸マイナス側へ突出しており、中央からY軸方向マイナス側の各突出片97aはY軸プラス側へ突出している。従って、シール材95Aを180度回転させた場合においても、各突出片97aの位置は、回転前の位置と同じになる。これにより、シール材95Aを180度回転させて配置しても誤組立にはならず、シール材の配置作業が容易になる。また、シール材95Aの両端部に位置する一対のシール部951aには、貫通孔部96aの内周縁においてX軸方向に突出する突起959aが形成されている。突起959aは、突出片97aよりも大きさの小さい突起である。前記一対のシール部951aのうち、一方のシール部951aでは、貫通孔部96aのX軸マイナス方向の端部に突起959aが設けられており、他方のシール部951aでは、貫通孔部96aのX軸プラス方向の端部に突起959aが設けられている。本実施の形態におけるシール材95Aの正規な配置では、一対の突起959aは、平面視において互いに異なる前述の位置関係で配置されている。逆に、シール材95Aが裏返された状態で複数の蓄電素子11上に配置された場合では、一方のシール部951aの突起959aは、貫通孔部96aのX軸プラス方向の端部に配置され、他方のシール部951aの突起959aは、貫通孔部96aのX軸マイナス方向の端部に配置される。つまり、一対の突起959aの位置関係が、正規の場合とは異なる。このため、シール材95Aが正規に配置されたか否かを、画像測定を用いた測定方法あるいは目視などによって容易に判断することができる。
【0159】
ジョイント部952aは、隣り合うシール部951a間に配置されており、これらのシール部951aを連結している。ジョイント部952aの下面には、X軸方向に沿って延びる段差部953aが形成されている。つまり、ジョイント部952aは、下面側から見た際に、隣接するシール部951の間の領域が、シール部951の下面に対して段差形状に凹むように形成されている。これにより、ジョイント部952aの肉厚は、シール部951aの肉厚よりも薄くなっている。このため、ジョイント部952aは、シール部951aよりも撓みやすくなっている。また、ジョイント部952aにおけるY軸方向の長さは、隣り合う蓄電素子11の間隔よりも長く設定されている。このため、組み付け後においては、ジョイント部952aは撓んでアーチ状となる。ジョイント部952aの段差形状、長さ設定により、蓄電素子11における規制凹部112を形成する周壁を回避し、蓄電素子11間の間隔バラツキを吸収することができる。このため、各シール部951aを各蓄電素子11上に作業性よく設置することが可能である。
【0160】
また、段差部953a内には、隣り合う蓄電素子11の規制凹部112(図14参照)がなす段差が収容される。つまり、各ジョイント部952aが各段差を乗り越えるようにシール材95Aを配置すれば、各シール部951aが段差の影響を受けて蓄電素子11から浮いてしまうことも抑制でき、密閉性を安定化させることができる。
【0161】
各ジョイント部952aのX軸方向の両端部は、他の部材との干渉を避けるために切り欠かれている。ここで、複数のジョイント部952aのうち、Y軸方向の中央部の3つ(3対)のジョイント部952aにおいては、他のジョイント部952aよりもX軸方向の長さが長く切り欠かれている。これは、排気部材60の位置決め突起666、676を収容するためである。3対設ける理由は、1つのシール材95Aで、第一分割体66及び第二分割体67のいずれにも組付け可能としたためである。この3対の切欠を、組付用切欠954aと称する。
【0162】
図16は、実施の形態2に係るシール材95Aが第一分割体66及び第二分割体67に組み付けられた状態を示す下面図である。図16に示すように、第一分割体66に組み付けられたシール材95Aでは、第一分割体66の複数の位置決め突起666が、3対の組付用切欠954aのうち、Y軸マイナス方向の2対の組付用切欠954aに収容されている。また、第二分割体67に組み付けられたシール材95Aでは、第二分割体67の複数の位置決め突起676が、3対の組付用切欠954aのうち、Y軸プラス方向の2対の組付用切欠954aに収容されている。このように、1つのシール材95Aは、第一分割体66と第二分割体67とに対して共通化されている。
【0163】
また、以上の説明を総合して、シール材95Aは、Z軸方向からの平面視において回転対象の形状となっており、回転(180度)の向きを考慮せずに配置することができる。また、裏表の配置に対しては、突起959aにより、容易に正誤判定できる。このように蓄電装置1の組み立てが容易なものとなっている。
【0164】
以上のように、本実施の形態によれば、隣り合うシール部951aがジョイント部952aにより連結されているので、複数のシール部951aがジョイント部952aにより一体化されている。このため、1つの貫通孔部96aに対して1つのシール材を設置する場合と比べても、設置工数を削減することが可能である。また、隣り合うシール部951aの間に、シール部951aよりも薄肉なジョイント部952aが設けられている。ここで、各部材の寸法バラツキによって、排気部材60の各孔部とシール材95Aの各貫通孔部96aとに位置ズレが生じうるが、薄肉化されたジョイント部952aにより、位置ズレを吸収することができる。したがって、位置ズレを起因とした密閉性の低下を抑制することができる。また、隣り合うシール部951aをジョイント部952aで連結する連結数は如何様でもよい。
【0165】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、環状凸部665及び675が排気部材60に設けられている場合を例示した。この実施の形態3では、シール材に環状凸部が設けられている場合を例示する。なお、実施の形態3では、上記実施の形態1と同等の部分には同等の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0166】
図17は、実施の形態3に係るシール材95Bと、その周辺の部材とを示す断面図である。具体的には、図17図5に対応する図である。
【0167】
図17に示すように、第一分割体66bにおける第一底部661bの外底面は、平坦状に形成されている。一方、シール材95Bの上面には、第一分割体66bに向かって突出する環状凸部955bが形成されている。環状凸部955bは、第一孔部664及び貫通孔部96を囲んだ状態で先端部が第一底部661bの外底面に当接している。当接時においては、環状凸部955bは、Z軸方向で圧縮されているが、無負荷時においては図17に示す状態よりもZ軸方向の長さが長い。
【0168】
このように、環状凸部955bは、その先端部が第一孔部664及び貫通孔部96を囲んだ状態で全周にわたって第一分割体66bに当接しているので、環状凸部955b自身が変形した状態で第一分割体66bに密着する。これにより、第一分割体66bとシール材95Bとの間における密閉性を高めることができる。ここで、シール材95Bに備わる環状凸部955bの先端部が、第一分割体66bに当接することで圧縮されているので、シール材の全体が圧縮される場合と比べても接触面積を小さくでき、結果として小さい力で環状凸部955bを変形させることができる。つまり、シール材95Bを押圧するための構造を簡素化したとしても、高い密閉性を維持することができる。
【0169】
(実施の形態4)
実施の形態4では、第一干渉部の他の配置例について説明する。ここでは、第一干渉部を例にして説明するが、第二干渉部においても同様である。なお、実施の形態4では、上記実施の形態1と同等の部分には同等の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0170】
図18は、実施の形態4に係る第一干渉部の配置例を示す模式図である。具体的には、図18の(a)では、実施の形態4に係る変形例1を示し、図18の(b)では実施の形態4に係る変形例2を示し、図18の(c)では実施の形態4に係る変形例3を示し、図18の(d)では実施の形態4に係る変形例4を示している。
【0171】
上記実施の形態1では、第一分割体66の第一分割壁部662の上端部に第一干渉部668が設けられている場合を例示した。しかしながら、非正規な位置に配置される蓋部材65の移動を遮るのであれば、第一干渉部の配置箇所は第一分割壁部662c内において如何様でもよい。例えば、変形例1では、図18の(a)に示すように、第一分割体66cの第一分割壁部662cの下端部に第一干渉部668cが設けられている。蓋部材65は、正規な位置に配置されている場合には、第一干渉部668cに干渉することなく、一対の第一分割壁部662c間に収まっている(図18の(a)の実線部)。一方、蓋部材65が非正規な位置に配置されようとすると、蓋部材65の第二壁部652が第一干渉部668cにZ軸方向で干渉するので、蓋部材65のそれ以上の移動が妨げられ、蓋部材65が浮くことになる(図18の(a)の破線部)。これにより、蓋部材65が正規な位置に配置される場合よりも浮くため、作業者が一見して蓋部材65の誤挿入を把握することができる。
【0172】
上記実施の形態1では、第一分割体66の一対の第一分割壁部662内に、蓋部材65の一対の第二壁部652が配置される場合を例示した。しかしながら、一対の第二壁部652dは、一対の第一分割壁部662外に配置されてもよい。例えば、変形例2では、蓋部材65dの一対の第二壁部652dは、正規な位置として第一分割体66の一対の第一分割壁部662の外方に配置されている(図18の(b)の実線部)。この状態では、一対の第二壁部652dは、第一干渉部668に干渉していない。一方、蓋部材65dが非正規な位置に配置されようとすると、蓋部材65dの第二壁部652dが第一干渉部668にZ軸方向で干渉するので、蓋部材65dのそれ以上の移動が妨げられ、蓋部材65dが浮くことになる(図18の(b)の破線部)。これにより、蓋部材65dが正規な位置に配置される場合よりも浮くため、作業者が一見して蓋部材65dの誤挿入を把握することができる。
【0173】
上記実施の形態1では、第一分割体66の第一分割壁部662に第一干渉部668が設けられている場合を例示した。しかしながら、非正規な位置に配置される蓋部材65の移動を遮るのであれば、第一干渉部の設置対象は如何様でもよい。例えば、変形例3では、図18の(c)に示すように、蓋部材65eの一対の第二壁部652eに第一干渉部668eが設けられている。具体的には、第一干渉部668eは、一対の第二壁部652eの外側面であって、その下端部から外方に向けて突出している。一方、第一分割体66eの第一分割壁部662eには第一干渉部が設けられていない。
【0174】
蓋部材65eは、正規な位置に配置されている場合には、一対の第一分割壁部662e間に収まっている(図18の(c)の実線部)。この状態では、一対の第一分割壁部662eは、第一干渉部668eに干渉していない。一方、蓋部材65eが非正規な位置に配置されようとすると、蓋部材65eの第一干渉部668eは、Z軸方向で第一分割壁部662eに干渉する。このため、蓋部材65eのそれ以上の移動が妨げられ、蓋部材65eが浮くことになる(図18の(c)の破線部)。これにより、蓋部材65eが正規な位置に配置される場合よりも浮くため、作業者が一見して蓋部材65eの誤挿入を把握することができる。
【0175】
上記実施の形態1では、第一干渉部668が排気経路59に設けられている場合を例示した。しかしながら、非正規な位置に配置される蓋部材の移動を遮るのであれば、排気経路の近傍に第一干渉部が設けられていてもよい。例えば、変形例4では、図18の(d)に示すように、バスバーフレーム12fに第一干渉部668fが設けられている。具体的には、各第一干渉部668fは、バスバーフレーム12fの各第三壁部716fの上端部から排気経路59に向かって突出している。また、この変形例4では、第一分割体66fには第一干渉部は設けられていない。
【0176】
蓋部材65は、正規な位置に配置されている場合には、一対の第一分割壁部662f間に収まっている(図18の(d)の実線部)。この状態では、一対の第一分割壁部662fは、第一干渉部668fに干渉していない。一方、蓋部材65が非正規な位置に配置されようとすると、蓋部材65の第二壁部652は、Z軸方向で第一干渉部668fに干渉する。このため、蓋部材65のそれ以上の移動が妨げられ、蓋部材65が浮くことになる(図18の(d)の破線部)。これにより、蓋部材65が正規な位置に配置される場合よりも浮くため、作業者が一見して蓋部材65の誤挿入を把握することができる。
【0177】
(その他)
以上、各実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、各実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0178】
例えば、実施の形態1では、排気部材60とバスバーフレーム12とが別部材である場合を例示した。しかしながら、バスバーフレームと排気部材とが一体成型されていてもよい。この場合、バスバーフレームを排気部材と呼ぶことができる。バスバーフレームは、排気部材の態様に応じて分割されていてもよい。
【0179】
また、実施の形態1では、排気部材60が2つに分割されている場合を例示したが、その分割個数は3つ以上であってもよい。この場合、隣り合う二つの分割体が、第一分割体及び第二分割体に対応する。なお、排気部材60は分割されておらず全体として一体物であってもよい。
【0180】
また、第二分割体67の終端壁部677または蓋部材65の前方壁部659はなくてもよい。また、前方壁部が蓋部の一端部から折り曲げられることで形成されており、前方壁部と第二壁部との間に隙間があってもよい。これらの場合に誤挿入が発生する可能性があり、誤挿入防止に干渉部が有効である。
【0181】
また、実施の形態1では、1つの蓄電素子11に当接する4つの位置決め突起666が第一分割体66に設けられている場合を例示したが、1つの蓄電素子11に当接する位置決め突起は4つ以外であってもよい。また、複数の位置決め突起は、第一分割体66に対応する全ての蓄電素子11よりも少ない個数の蓄電素子11に当接するように設けられていてもよい。
【0182】
また、実施の形態1では、排気部50が排気部材60、蓋部材65及びシール材95を備えているが、蓄電素子11の性能、蓄電装置1の使用環境やガス排出の許容具合によっては蓋部材65を有していなくてもよい。また、排気部材60と蓋部材65が一体に形成されていてもよい。
【0183】
本明細書で開示される構成は実施形態のようなエネルギー密度の高い蓄電素子11を使用する蓄電装置1において好適である。
【0184】
また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0186】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
11 蓄電素子
11a 容器
11b 正極端子
11c 負極端子
11d 上壁部
11e スペーサ
12、12f バスバーフレーム
13 バスバー
13a 検出線
13b コネクタ
14 外装体本体
15 外装体支持体
15a 底部
15b、15c、17b、17c 接続部
15d 固定部
16 基板ユニット取付部
17 外装体蓋体
17a 天板部
18 外装体
20 基板ユニット
21、22 ケーブルガイド
23 通信ケーブル用コネクタ
30 ケーブル
31 正極電源ケーブル
32 負極電源ケーブル
50 排気部
51 排気口
59 排気経路
60 排気部材
61 底部
62 第一壁部
65、65d、65e 蓋部材
66、66b、66c、66e 第一分割体
67 第二分割体
68 第一係合部
69 第二係合部
71 第一保持部
72 第二保持部
73 連結部
95、95A、95B シール材
96、96a 貫通孔部
97、97a 突出片
111 ガス排出弁
112 規制凹部
141 切欠部
142 仕切り壁部
143 側面開口部
171 開口部
651 蓋部
652、652d、652e 第二壁部
659 前方壁部
661、661b 第一底部
662、662c、662e、662f 第一分割壁部
663 第一溝
664 第一孔部(孔部)
665、675、955b 環状凸部
666、676 位置決め突起
666a 第一位置決め突起
666b 第二位置決め突起
666c、666d 角部
668、668c、668e、668f 第一干渉部(干渉部)
669 フランジ部
671 第二底部
672 第二分割壁部
673 第二溝
674 第二孔部(孔部)
677 終端壁部
678 第二干渉部(干渉部)
681 オーバラップ部
682 第一鍔部
691 収容凹部
692 第二鍔部
711 第一外壁部
711a、711b 第一切欠
715 第一ケーブル経路部
716、716f 第三壁部
717 第一凹部
721 第二外壁部
721a 第二切欠
725 第二ケーブル経路部
727 第二凹部
731 梁部
951a シール部
952a ジョイント部
953a 段差部
954a 組付用切欠
959a 突起
G1 中心
G2 中心
L1 第一距離
L10 距離
L2 第二距離
S1 間隔
S2 間隔
W1 第一幅
W2 第二幅
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18