(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】発光装置、発光ディスプレイ、及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20241106BHJP
【FI】
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020126076
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【氏名又は名称】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】十文字 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】松尾 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/013386(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043216(WO,A1)
【文献】特開2013-171942(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0335635(US,A1)
【文献】特開2004-146634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する基板と、
前記電極及び前記基板上に配置されたフィルム部材と、
前記フィルム部材上に配置された発光素子と、
前記発光素子と前記電極とを電気的に接続する導電部材と、
を有し、
前記フィルム部材は、前記発光素子が配置された第1の面から前記第1の面の反対側
で
あって前記基板と接合する第2の面にかけて且つ前記電極の真上に形成された貫通穴を有し、
前記導電部材は、前記発光素子上から前記第1の面を介して前記貫通穴まで延在し、前記発光素子に電気的に接続された第1の導電部と、
前記第2の面から露出し、前記貫通穴を経由して前記第1の導電部と前記電極とを電気的に接続する第2の導電部とを有する
ことを特徴とする発光装置。
【請求項14】
電極を有する基板と、
前記電極及び前記基板上に配置されたフィルム部材と、
前記フィルム部材上に配置された発光素子と、
前記発光素子と前記電極とを電気的に接続する導電部材と、
を有し、
前記フィルム部材は、前記発光素子が配置された第1の面から前記第1の面の反対側の
第2の面にかけて且つ前記電極の真上に形成された貫通穴を有し、
前記導電部材は、前記発光素子上から前記第1の面を介して前記貫通穴まで延在し、前
記発光素子に電気的に接続された第1の導電部と、前記貫通穴を経由して前記第1の導電
部と前記電極とを電気的に接続する第2の導電部とを有し、
前記第2の面が、前記基板に接着され、
前記第1の導電部は、配線層であり、
前記第2の導電部は、導電性ペーストを材料とする部材である
ことを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光素子フィルム、発光ディスプレイ、及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2次元的に配置された複数のLED(Light Emitting Diode)を有する発光ディスプレイが提案されている。例えば、特許文献1参照。この発光ディスプレイは、マイクロLEDディスプレイとも呼ばれる。しかし、例えば、数百万個のLEDをパネル上に集積するための製造工程は長時間を必要とする。そこで、母材基板上に形成された複数のLEDを、貫通ビアと裏面電極(バンプ)とを備えたLEDアレイ基板上に一括で貼り付け、LEDアレイ基板を実装基板上にフリップチップ実装する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フリップチップ実装では、LEDアレイ基板のバンプを実装基板の電極パッド上に載せた状態で加熱加圧する工程が必要であり、この工程によってLEDに不具合が発生する可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、不具合が発生しにくい発光装置、発光素子フィルム、及び発光ディスプレイ、並びに、発光装置に不具合を発生させにくい発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る発光装置は、電極を有する基板と、前記電極及び前記基板上に配置されたフィルム部材と、前記フィルム部材上に配置された発光素子と、前記発光素子と前記電極とを電気的に接続する導電部材と、を有し、前記フィルム部材は、前記発光素子が配置された第1の面から前記第1の面の反対側であって前記基板と接合する第2の面にかけて且つ前記電極の真上に形成された貫通穴を有し、前記導電部材は、前記発光素子上から前記第1の面を介して前記貫通穴まで延在し、前記発光素子に電気的に接続された第1の導電部と、前記第2の面から露出し、前記貫通穴を経由して前記第1の導電部と前記電極とを電気的に接続する第2の導電部とを有することを特徴とする発光装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光装置に不具合が発生しにくいという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る発光装置の構成を示す概略平面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、第1の実施の形態に係る発光装置の単位画素の構成を示す概略平面図及び回路図である。
【
図3】
図1に示される発光装置をIII-III線で切る概略断面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る発光ディスプレイを示す回路図である。
【
図5】(A)及び(B)は、第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図6】(A)及び(B)は、第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施の形態に係る発光装置の構成を示す概略平面図である。
【
図9】
図8に示される発光装置をIX-IX線で切る概略断面図である。
【
図10】(A)及び(B)は、第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図11】(A)及び(B)は、第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施の形態に係る発光ディスプレイに含まれる不良LEDによって形成され得る電流経路を示す回路図である。
【
図14】第3の実施の形態に係る発光装置の構成を示す概略平面図である。
【
図15】
図14に示される発光装置をXV-XV線で切る概略断面図である。
【
図16】(A)及び(B)は、第3の実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【
図17】第3の実施の形態に係る発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図18】第4の実施の形態に係る発光装置の単位画素の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る発光装置、発光素子フィルム、発光ディスプレイ、及び発光装置の製造方法を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
《第1の実施の形態》
図1は、第1の実施の形態に係る発光装置100の構成を示す概略平面図である。
図1に示されるように、発光装置100は、薄膜基板としてのフィルム部材130上に格子状(すなわち、複数行複数列)に配置された複数の画素(単位画素)180を有している。各画素180は、複数の発光素子(すなわち、複数の副画素)としての複数のLED140を有している。第1の実施の形態では、各画素180が3個のLED140を含む例を説明する。ただし、各画素180に含まれるLEDの個数は、3個に限定されない。また、発光素子として、LED以外の発光素子を用いることも可能である。
【0011】
図2(A)及び(B)は、
図1に示される発光装置100の画素180の構成を示す概略平面図及び回路図である。同図の例では、3個のLED140は、赤色(R)用のLED(R1)、緑色(G)用のLED(G1)、青色(B)用のLED(B1)である。
【0012】
図3は、
図1に示される発光装置100をIII-III線で切る概略断面図である。発光装置100は、基板としての実装基板110と、フィルム部材130と、LED140と、導電部材151、152とを有している。実装基板110とフィルム部材130とは、接着剤(例えば、接着層(又は粘着層)120)によって接着される。
【0013】
実装基板110は、電極としての電極パッド111、112を有している。また、実装基板110は、電極パッド111、112に接続された配線を有している。実装基板110は、LED140を駆動する駆動回路を有してもよい。実装基板110は、例えば、PCB(Printed Circuit Board)又はFPC(Flexible Printed Circuits)などである。
【0014】
フィルム部材130は、LED140が配置された第1の面と、この第1の面の反対側の面である第2の面とを有している。第1の実施の形態では、第2の面が、実装基板110に接着層120によって接着されている。接着層120は、例えば、接着剤を含む層である。接着層120は、例えば、ガラスエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などを材料とする層であり、その膜厚は1μm~30μm程度である。
【0015】
フィルム部材130は、電極パッド111、112に対応する位置に形成された開口である貫通穴131、132を有している。フィルム部材130は、有機膜又は無機膜で形成されている。有機膜としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)、などを材料とする膜を用いることができる。無機膜としては、例えば、SiO2、Si、又はAl2O3、などを材料とする膜を用いることができる。フィルム部材130の膜厚は、例えば、0.5μm~20μm程度である。
【0016】
LED140は、第1導電型であるN型半導体からなるカソード層141と、第2導電型であるP型半導体からなるアノード層142とを有している。
図3では、カソード層141上にアノード層142が配置されているが、LED140は、アノード層上にカソード層を配置する構造であってもよい。LED140は、例えば、アルミニウム・ガリウム・ヒ素(AlGaAs)系、アルミニウム・インジウム・ガリウム・ヒ素(AlInGaP)系、又はガリウムナイトライド(GaN)系の半導体材料から形成される。
【0017】
LED140は、成長基板(図示せず)上でエピタキシャル成長させて形成された薄膜半導体層である半導体エピタキシャルフィルムを、フィルム部材130上に載せたものである。LED140の膜厚は、例えば、1μm~5μm程度である。第1の実施の形態では、隣接して配置された3つのLED140(
図2(A)におけるR1、G1、B1)によって単位画素である画素180が構成される。R用、G用、B用のLEDを備えることによって、フルカラーの画像を表示する表示デバイスを作製可能である。フィルム部材130の表面は数nm以下の平坦性を有するため、接着剤などを用いることなく、LED140が貼着されることが可能である。
【0018】
導電部材151は、LED140のアノード層142から貫通穴131まで(図示の例では、貫通穴131の縁まで)延在する第1の導電部としての配線層151aと、貫通穴131の内部を経由して配線層151aと電極パッド111とを接続する第2の導電部としての配線層151bとを有している。つまり、第1の実施の形態では、導電部材151の全体が配線層である。導電部材152は、LED140のカソード層141から貫通穴132まで(図示の例では、貫通穴132の縁まで)延在する第1の導電部としての配線層152aと、貫通穴132の内部を経由して配線層152aと電極パッド112とを接続する第2の導電部としての配線層152bとを有している。つまり、第1の実施の形態では、導電部材152の全体が配線層である。配線層は、例えば、金、銅、アルミニウムなどの単層、又は、これら金属のうちの2種類以上の合金、又は、これらの金属及び合金のうちの2つ以上の積層構造である。
【0019】
実装基板110には電極パッド111、112が形成されており、フィルム部材130には、電極パッド111、112に対応して貫通穴131、132が形成されている。フィルム部材130は接着層120によって実装基板110上に張り合わされている。フィルム部材130上には、LED140が形成されておりLED140は、導電部材151、152によって接続用の電極パッド111、112と接続されている。R用、G用、B用のLED140(R1、G1、B1)で単位画素である画素180が構成されている。そのため、LED140(R1、G1、B1)のアノード層は、互いに異なる貫通穴132を介して、互いに異なる電極パッド112に接続されている。また、単位画素内において、複数のLED140のカソード層は、共通の貫通穴131を介して共通の電極パッド111に接続されている。
【0020】
図4は、第1の実施の形態に係る発光ディスプレイ170を示す回路図である。発光ディスプレイ170は、複数の発光装置100を有している。発光ディスプレイ170は、LEDディスプレイ又はマイクロLEDディスプレイと呼ばれる。複数の発光装置100は、例えば、複数行複数列に配置されている。実装基板110には、複数のアノードライン171と、複数のカソードライン172とが形成されている。複数のアノードライン171は、アノードドライバ173に接続され、複数のカソードライン172は、カソードドライバ174に接続されている。フィルム部材130上の複数のLED140のアノード層142は、貫通穴131を通して、導電部材151、電極パッド111によってアノードライン171に接続されている。フィルム部材130上の複数のLED140のカソード層141は、貫通穴132を通して、導電部材152、電極パッド112によってカソードライン172に接続されている。
【0021】
実装基板110上に実装されているカソードドライバ174で特定のカソードライン172のみをON状態にし、発光させたいLEDが接続されているアノードライン171にのみアノードドライバ173から電流を注入することにより、特定のLEDを発光させることができる。カソードドライバ174により選択するカソードライン172を順次変更し、それと同期するようにアノードドライバ173から電流を注入することにより画像を表示することが可能となる。
【0022】
図5(A)及び(B)と
図6(A)及び(B)は、第1の実施の形態に係る発光装置100の製造工程を示す概略断面図である。また、
図7は、発光装置100の製造方法を示すフローチャートである。
【0023】
発光装置100の製造方法の概要を説明する。第1の実施の形態に係る発光装置100の製造は、電極パッド111、112を有する実装基板110と、電極パッド111、112に対応する位置に形成された貫通穴131、132を有するフィルム部材130と、フィルム部材130上に配置されたLED140と、フィルム部材130を実装基板110に接着する接着層120とを有する中間構造(
図5(A)及び(B)、
図6(A)及び(B)に示される)を形成する工程S11~S14と、LED140と電極パッド111、112とを電気的に接続する導電部材151、152(
図3に示される)を形成する工程S15とを有している。導電部材151、152は、LED140から貫通穴131、132まで延在する配線層151a、152aと、貫通穴131、132の内部を経由して配線層151a、152aと電極パッド111、112とをそれぞれ接続する配線層151b、152bとを有している。
【0024】
発光装置100の製造方法の具体例を説明する。先ず、支持基板400上にフィルム部材130を形成し(S11)、フィルム部材130の所定位置(電極パッド111、112に対応する位置)に、貫通穴131、132を形成する(S12)。次に、成長基板(図示せず)上で形成された薄膜半導体であるLED140をフィルム部材130上に貼り付ける(S13)。なお、ステップS13の後にステップS12を実行することも可能である。次に、このフィルム部材130を、支持基板400から剥離し、移動し、接着層120が備えられた実装基板110に接着する(S14)。接着層120の電極パッド111、112に対応する部分には、予め開口が形成されている。
【0025】
次に、LED140から貫通穴131、132を通して、電極パッド111、112まで延在する配線層である導電部材151、152を形成する(S15)。
【0026】
以上に説明したように、第1の実施の形態においては、LED140からフィルム部材130上、貫通穴131、132の内面を経由して電極パッド111、112まで延在する配線層である導電部材151、152によって、LED140と電極パッド111、112を接続している。このように、フィルム部材130を実装基板110に接着した状態で、加熱加圧する工程が不要であり、接着時の温度、及び圧力を低くできるので、LED140に不具合が発生し難い。
【0027】
また、LED140がフィルム部材130上に形成されており、接着層120を薄くすることにより、導電部材151、152の全体を、配線工程(例えば、スパッタ、蒸着など)のみで形成することが可能であり、製造工程の簡素化が可能になる。
【0028】
《第2の実施の形態》
図8は、第2の実施の形態に係る発光装置200の構成を示す概略平面図である。
図8に示されるように、発光装置200は、薄膜基板としてのフィルム部材130上に格子状(すなわち、複数行複数列)に配置された複数の画素(単位画素)280を有している。各画素280は、複数の発光素子としての複数のLED140を有している。
【0029】
図9は、
図8に示される発光装置200をIX-IX線で切る概略断面図である。発光装置200は、実装基板110と、フィルム部材130と、LED140と、導電部材251、252と、接着層120とを有している。
【0030】
第2の実施の形態に係る発光装置200は、導電部材251、252の構造の点が、第1の実施の形態に係る発光装置100と相違する。第2の実施の形態において、フィルム部材130は、LED140が配置された第1の面と、この面の反対側の面である第2の面とを有し、第2の面が、実装基板110に接着されている。また、導電部材251は、LED140から貫通穴131まで(図示の例では、貫通穴131の縁まで)延在する配線層である第1の導電部251aと、貫通穴131に充填された導電性ペーストを材料とする部材で形成された第2の導電部251bとを有している。また、導電部材252は、LED140から貫通穴132まで(図示の例では、貫通穴132の縁まで)延在する配線層である第1の導電部252aと、貫通穴132に充填された導電性ペーストを材料とする部材で形成された第2の導電部252bとを有している。導電性ペースとは、例えば、銀インクであり、インクジェット方式で所望の領域に注入可能である。
【0031】
図10(A)及び(B)並びに
図11(A)及び(B)は、第2の実施の形態に係る発光装置200の製造工程を示す概略断面図である。また、
図12は、発光装置200の製造方法を示すフローチャートである。
【0032】
先ず、発光装置200の製造方法の概要を説明する。第2の実施の形態に係る発光装置200の製造方法は、電極パッド111、112を有する実装基板110と、電極パッド111、112に対応する位置に形成された貫通穴131、132を有するフィルム部材130と、フィルム部材130上に配置されたLED140と、LED140から貫通穴131、132まで延在する第1の導電部251a、252aと、フィルム部材130を実装基板110に接着する接着層120とを有する中間構造(
図10(A)及び(B)、
図11(A)及び(B)に示される)を形成する工程(S21~S25)を有している。また、発光装置200の製造方法は、貫通穴131、132に導電性ペーストを充填(すなわち、金属インクの注入)して、第1の導電部251a、252aと電極パッド111、112とを電気的に接続する第2の導電部251b、252bを形成する工程(S26)とを有している。
【0033】
次に、
図12を参照して、発光装置200の製造方法の具体例を説明する。先ず、支持基板400上にフィルム部材130を形成し(S21)、フィルム部材130の所定位置(電極パッド111、112に対応する位置)に、貫通穴131、132を形成する(S22)。次に、成長基板(図示せず)上で形成された薄膜半導体であるLED140をフィルム部材130上に貼り付ける(S23)。なお、ステップS23の後にステップS22を実行することも可能である。次に、LED140から貫通穴131、132まで延在する第1の導電部251a、252aをスパッタ又は蒸着などによって形成する(S24)。次に、
図11(B)に示されるように、フィルム部材130を実装基板110上の接着層120上に置く(S35)。その後、貫通穴131、132に導電性ペーストを充填(例えば、導電性ペーストが溢れるまで充填)して、第1の導電部251a、252aと電極パッド111、112とを電気的に接続する第2の導電部251b、252bを形成する(S26)。接着層120の電極パッド111、112に対応する部分には、予め開口が形成されている。
【0034】
以上に説明したように、第2の実施の形態においては、LED140からフィルム部材130上、貫通穴131、132までを配線層である第1の導電部251a、252aによって形成し、貫通穴131、132の内部及び接着層120の開口に、導電性ペーストを材料とする第2の導電部251b、252bを形成することによって、LED140と電極パッド111、112を接続している。このように、フィルム部材130を実装基板110に接着した状態で、加熱加圧する工程が不要であり、接着時の温度及び圧力を低くできるので、LED140に不具合が発生し難い。
【0035】
図13は、第2の実施の形態に係る発光ディスプレイに含まれる不良LEDによって形成され得る電流経路を示す回路図である。
図13は、
図4において、LED177が不良LEDであり、望ましくない電流経路(破線の矢印で示される)が意図せずに形成される例を示している。この場合には、同じアノードラインに接続したLEDが常時点灯する不具合が発生する。しかしながら、第2の実施の形態では、
図11(B)に示される製造工程において、貫通穴131、132の少なくとも一方に導電性ペーストの充填を行わないことによって、不良LEDによる電流経路の形成を回避することが可能である。そのため、不良のLEDを実装基板上の回路に接続することを回避できるため、発光ディスプレイの画面に常時表示される明るい線である輝線の発生を回避することができる。
【0036】
なお、上記以外の点に関し、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同じである。
【0037】
《第3の実施の形態》
図14は、第3の実施の形態に係る発光装置300の構成を示す概略平面図である。
図14に示されるように、発光装置300は、薄膜基板としてのフィルム部材130上に格子状(すなわち、複数行複数列)に配置された複数の画素(単位画素)380を有している。各画素380は、複数の発光素子としての複数のLED140を有している。
【0038】
図15は、
図14に示される発光装置300をXV-XV線で切る概略断面図である。発光装置300は、実装基板110と、フィルム部材130と、LED140と、導電部材351、352と、接着層320とを有している。
【0039】
第3の実施の形態に係る発光装置300では、フィルム部材130は、LED140が配置された第1の面と、この面の反対側の面である第2の面とを有し、第1の面が、実装基板110に接着されている。つまり、上記第2の実施の形態では、フィルム部材130上のLED140は、実装基板110と反対側にあったが、第3の実施の形態では、フィルム部材130と実装基板110との間にLED140がある。
【0040】
また、第3の実施の形態に係る発光装置300は、導電部材351、352の構造の点が、第1及び第2の実施の形態に係る発光装置100、200と相違する。導電部材351は、LED140から貫通穴131まで(図示の例では、貫通穴131の縁まで)延在する配線層である第1の導電部351aと、貫通穴131に充填された導電性ペーストを材料とする部材で形成された第2の導電部351bとを有している。また、導電部材352は、LED140から貫通穴132まで(図示の例では、貫通穴132の縁まで)延在する配線層である第1の導電部352aと、貫通穴132に充填された導電性ペーストを材料とする部材で形成された第2の導電部352bとを有している。
【0041】
図16(A)及び(B)は、第3の実施の形態に係る発光装置300の製造工程を示す概略断面図である。また、
図17は、発光装置300の製造方法を示すフローチャートである。
【0042】
先ず、発光装置300の製造方法の概要を説明する。第3の実施の形態に係る発光装置300の製造方法は、電極パッド111、112を有する実装基板110と、電極パッド111、112に対応する位置に形成された貫通穴131、132を有するフィルム部材130と、フィルム部材130上に配置されたLED140と、LED140から貫通穴131、132まで延在する第1の導電部351a、352aと、フィルム部材130を実装基板110に接着する接着層320とを有する中間構造(
図16(A)及び(B)に示される)を形成する工程(S31~S35)を有している。また、発光装置300の製造方法は、形成された中間構造において、貫通穴131、132、及び貫通穴131,132と電極パッド111、112との間の空間に導電性ペーストを充填(すなわち、金属インクの注入)して、第1の導電部351a、352aと電極パッド111、112とを電気的に接続する第2の導電部351b、352bを形成する工程(S36)を有している。
【0043】
次に、
図17に基づいて、発光装置300の製造方法の具体例を説明する。先ず、支持基板400上にフィルム部材130を形成(例えば、塗布)し(S31)、フィルム部材130の所定位置(電極パッド111、112に対応する位置)に、エッチングなどにより貫通穴131、132を形成する(S32)。次に、成長基板(図示せず)上で形成された薄膜半導体であるLED140を、フィルム部材130上に貼り付ける(S33)。なお、ステップS33の後にステップS32を実行することも可能である。次に、LED140から貫通穴131、132まで延在する第1の導電部351a、352aを形成する(S34)。次に、
図16(B)に示されるように、フィルム部材130と実装基板110との間にLED140が配置されるように、フィルム部材130を実装基板110の接着層320上に置く(S35)。その後、貫通穴131、132及び接着層120の開口部に導電性ペーストを充填(導電性ペーストは溢れなくてよい)して、第1の導電部351a、352aと電極パッド111、112とを電気的に接続する第2の導電部351b、352bを形成する(S36)。接着層120の電極パッド111、112に対応する部分には、予め開口が形成されている。
【0044】
以上に説明したように、第3の実施の形態においては、LED140からフィルム部材130上を経由して貫通穴131、132までを配線層である第1の導電部351a、352aを形成し、貫通穴131、132の内部を、導電性ペーストを材料とする第2の導電部351b、352bで形成することによって、LED140と電極パッド111、112を電気的に接続している。このように、フィルム部材130を実装基板110に接着した状態で、加熱加圧する工程が不要であり、接着時の温度及び圧力を低くできるので、LED140に不具合が発生し難い。
【0045】
以上に説明したように、第3の実施の形態では、フィルム部材130と実装基板110との間にLED140を配置することにより、第2の実施の形態と比較して、装置表面にLEDの起伏がないため、外的要因によるLEDへのダメージを抑制することが可能となる。
【0046】
また、フィルム部材130上面の穴から第2の導電部251b、252bの材料である導電性ペーストを溢れさせる必要がないため、電流リークの可能性を抑制することが可能となる。
【0047】
なお、上記以外の点に関し、第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態と同じである。
【0048】
《第4の実施の形態》
図18は、第4の実施の形態に係る発光装置の単位画素の構成を示す回路図である。上記第1~3の実施の形態では、
図2(B)に示されるように、R用、G用、B用のLED140(すなわち、
図2(B)にR1、G1、B1で示される3個のLED)によって単位画素が構成されている。これに対し、第4の実施の形態では、2個のR用のLED、2個のG用のLED、2個のB用のLEDからなる合計6個のLED140(すなわち、
図18におけるR1、G1、B1、R2、G2、B2)によって単位画素が構成されている。LED140(R1、R2)のアノード層は、アノードライン用の端子Raに接続され、LED140(G1、G2)のアノード層は、アノードライン用の端子Gaに接続され、LED140(B1、B2)のアノード層は、アノードライン用の端子Baに接続されている。LED140(R1、G1、B1)のカソード層は、カソードライン用の端子K1に接続され、LED140(R2、G2、B2)のカソード層は、カソードライン用の端子K2に接続されている。
【0049】
仮に、製造段階において、LED140(B1)の不良が検出された場合、LED140(B1)の配線を形成せずに、LED140(B2)の配線を形成する。LED140(B1)の配線を形成せずとは、例えば、
図9における第2の導電部251b、252bの導電性ペーストを充填しないことである。これによって、R用、G用、B用の3個のLED140(すなわち、
図18におけるR1、G1、B2)によって単位画素を構成することができ、画素抜けを回避することができる。
【0050】
上記以外の点について、第4の実施の形態は、上記第1~第3の実施の形態のいずれかと同じである。
【0051】
以上に説明したように、第4の実施の形態によれば、単位画素を、R用、G用、B用のLED140の組み合わせの複数組(
図18では2組)で構成しているので、製造段階において、不良LEDが見つかった場合に、不良LEDの代りに、正常なLEDを用いることができる。このため、画素抜けを回避することができる。
【符号の説明】
【0052】
100、200、300 発光装置、 110 実装基板(基板)、 111、112 電極パッド、 120、320 接着層、 130 フィルム部材、 131、132 貫通穴、 140 LED(発光素子)、 141 カソード層、 142 アノード層、 151、152、251、252、351、352 導電部材、 151a、152a、251a、252a、351a、352a 配線層(第1の導電部)、 151b、152b 配線層(第2の導電部)、 251b、252b、351b、352b 導電性ペースト(第2の導電部)、 170 発光ディスプレイ、 400 支持基板。