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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】媒体排出装置及び画像読み取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/02 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B65H31/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020130367
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026754
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】藤 慶太
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-193453(JP,A)
【文献】特開2017-095227(JP,A)
【文献】特開2005-231833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0104280(US,A1)
【文献】特開2012-126530(JP,A)
【文献】特開2015-034067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 31/00-31/40
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備える媒体排出装置であって、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記ストッパーとして、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、
前記第2ストッパーは、
前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、
前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記凹部には、前記媒体排出装置の操作部が設けられることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体排出装置において、
前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接して前記スタッカーが閉状態に変位することを妨げることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体排出装置において、
前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接することにより変位して収容状態となることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項4】
凹部を有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記ストッパーとして、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、
前記第2ストッパーは、
前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、
前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接して前記スタッカーが閉状態に変位することを妨げることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項5】
凹部を有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記ストッパーとして、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、
前記第2ストッパーは、
前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、
前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接することにより変位して収容状態となることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の媒体排出装置において、
前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部と、
前記排出方向と交差する交差方向に沿って設けられた、前記第2ストッパーの回動軸と、
前記交差方向から見た際の前記スタッカーに対する前記第2ストッパーの傾斜角度を調整する角度調整部と、を備え、
前記角度調整部は、前記排出方向が前記切り替え部による前記第1角度から前記第2角度への切り替えに連動し、前記傾斜角度が緩やかになるように調整することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の媒体排出装置において、
前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部を備え、
前記切り替え部は、前記第1角度と前記第2角度とを切り替えることで、前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離を変更することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体排出装置において、
前記第1角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離は、前記第2角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離よりも長いことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体排出装置において、
前記第2ストッパーの前記スタッカーにおける位置を移動させる移動部を備えることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項10】
凹部を有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記ストッパーとして、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、
前記第2ストッパーは、
前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、
前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部を備え、
前記切り替え部は、前記第1角度と前記第2角度とを切り替えることで、前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離を変更することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の媒体排出装置において、
前記第1角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離は、前記第2角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離よりも長いことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の媒体排出装置において、
前記第2ストッパーの前記スタッカーにおける位置を移動させる移動部を備えることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項13】
凹部を有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記ストッパーとして、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、
前記第2ストッパーは、
前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、
前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込み、
前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部と、
前記排出方向と交差する交差方向に沿って設けられた、前記第2ストッパーの回動軸と、
前記交差方向から見た際の前記スタッカーに対する前記第2ストッパーの傾斜角度を調整する角度調整部と、を備え、
前記角度調整部は、前記排出方向が前記切り替え部による前記第1角度から前記第2角度への切り替えに連動し、前記傾斜角度が緩やかになるように調整することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の媒体排出装置において、
前記スタッカーは、第1スタッカーと第2スタッカーとを有し、
前記第1ストッパーは前記第1スタッカーに設けられ、前記第2ストッパーは前記第2スタッカーに設けられることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項15】
操作が行われる操作パネルと、
前記操作パネルを有する筐体部と、
媒体を排出する排出部と、
前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、
前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、
前記操作パネルは、前記筐体部において凹部の少なくとも一部を構成し、
前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部としての前記操作パネルと対向する領域に少なくとも一部が入り込むことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の媒体排出装置において、
前記ストッパーは、前記ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記操作パネルと当接して前記スタッカーが閉状態に変位することを妨げることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項17】
請求項15に記載の媒体排出装置において、
前記ストッパーは、前記ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記操作パネルと当接することにより変位して収容状態となることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項18】
媒体の面を読み取る読み取り手段と、
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の媒体排出装置と、
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置及び画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排出部から排出された媒体をスタッカーにスタックする様々な構成の媒体排出装置が使用されている。例えば、特許文献1には、排出部から排出されたシートを排出トレイにスタックする構成の画像読取装置が開示されている。特許文献1の画像読取装置は、排出トレイにスタックされるシートの整列性を高めるために、排出トレイの先端部分に排紙ストッパが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-39661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出部から排出された媒体をスタッカーにスタックする構成において、スタッカーに媒体の排出方向の移動を規制するストッパーを設けることで、排出トレイにスタックされる媒体の整列性が向上する。しかしながら、排出トレイに排紙ストッパが設けられる特許文献1の画像読取装置のような、スタッカーにストッパーを設ける構成においては、ストッパーが収納された場合のスタッカーの厚みにより、装置が大型化してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の媒体排出装置は、凹部を有する筐体部と、媒体を排出する排出部と、前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】装置本体が第2姿勢にある状態の実施例1のスキャナーを前方から視た外観斜視図。
図2】装置本体が第2姿勢にあり、前面カバーを開いた状態の実施例1のスキャナーを前方から視た外観斜視図。
図3】装置本体が第2姿勢にある状態の実施例1のスキャナーの原稿搬送経路を幅方向から視た断面図。
図4】装置本体の姿勢のバリエーションを示す図。
図5】実施例1のスキャナーの制御系統を示すブロック図。
図6】実施例1のスキャナーにおいて前面カバーが閉状態であり第2ストッパーが収容状態にある場合の装置本体の側面断面図。
図7】実施例1のスキャナーにおいて第2ストッパーが規制状態にある場合にスタッカーを開状態から閉状態にしようとする際の装置本体の側面断面図。
図8】実施例1のスキャナーにおいて排出方向を第1角度とした場合であってスタッカーが開状態であり第2ストッパーが規制状態にある場合の装置本体の側面断面図。
図9】実施例1のスキャナーにおいて排出方向を第1角度とした場合であって前面カバーが開状態にある場合の筐体部と前面カバーとの当接部分を表す装置本体の側面図及びその一部拡大図。
図10】実施例1のスキャナーにおいて排出方向を第2角度とした場合であって前面カバーが開状態であり第2ストッパーが規制状態にある場合の装置本体の側面断面図。
図11】実施例1のスキャナーにおいて排出方向を第2角度とした場合であって前面カバーが開状態にある場合の筐体部と前面カバーとの当接部分を表す装置本体の側面図及びその一部拡大図。
図12】第2ストッパーの傾斜角度が第1角度のときに原稿がスタックされる様子を表す概念図。
図13】第2ストッパーの傾斜角度が第2角度のときに原稿がスタックされる様子を表す概念図。
図14】実施例2のスキャナーにおける第2ストッパーの角度調整部を表す概略図であって、第2ストッパーのスタッカーに対してなす角度が第1角度である状態を表す図。
図15】実施例2のスキャナーにおける第2ストッパーの角度調整部を表す概略図であって、第2ストッパーのスタッカーに対してなす角度が第2角度である状態を表す図。
図16】実施例3のスキャナーにおける第2ストッパーの移動部を表す概略図であって、第2ストッパーが基端部側にある状態を表す図。
図17】実施例3のスキャナーにおける第2ストッパーの移動部を表す概略図であって、第2ストッパーが先端部側にある状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体排出装置は、凹部を有する筐体部と、媒体を排出する排出部と、前記筐体部に対して開閉可能に構成され、開状態で前記排出部から排出された媒体を載置面で受け前記載置面にスタックするとともに閉状態で前記載置面が前記筐体部と対向するスタッカーと、前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、ストッパーと、を備え、前記ストッパーは、前記ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込むことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、ストッパーは、スタッカーが閉状態である際に凹部と対向する位置に設けられ、ストッパーが収容状態であって、かつ、スタッカーが閉状態である際に、凹部に少なくとも一部が入り込む。このため、筐体部の凹部を利用して媒体排出装置を小型化することができる。
【0009】
第2の態様の媒体排出装置は、第1の態様において、前記ストッパーとして、前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第1ストッパーと、前記スタッカーに設けられ、前記排出部から排出される媒体の排出方向の先端に当接することで前記排出方向における媒体の位置を規制する規制状態と前記スタッカーに収容される収容状態とに変位可能な、第2ストッパーと、を備え、前記第2ストッパーは、前記排出方向において前記排出部と前記第1ストッパーとの間の位置であって、前記スタッカーが閉状態である際に前記凹部と対向する位置に設けられ、前記第2ストッパーが収容状態であって、かつ、前記スタッカーが閉状態である際に、前記凹部に少なくとも一部が入り込むことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第2ストッパーは、スタッカーが閉状態である際に凹部と対向する位置に設けられ、第2ストッパーが収容状態であって、かつ、スタッカーが閉状態である際に、凹部に少なくとも一部が入り込む。このため、筐体部の凹部を利用して媒体排出装置を小型化することができる。また、本態様によれば、第1ストッパーに加えて、排出部と第1ストッパーとの間に第2ストッパーを備えている。このため、第1ストッパーと第2ストッパーとを使い分けることで、使用する媒体の大きさに応じて、第1ストッパーで媒体を規制するか、第2ストッパーで媒体を規制するかを選択することができる。したがって、複数の大きさの媒体をスタッカーに整列性良くスタックさせることができる。
【0011】
第3の態様の媒体排出装置は、第2の態様において、前記凹部には、前記媒体排出装置の操作部が設けられることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、凹部に媒体排出装置の操作部が設けられる。媒体排出装置の操作部を筐体部に形成する際、製造の容易化及び低コスト化など製造上の観点から、操作部が筐体部に対して凹部を形成する場合が多い。このため、操作部を筐体部に形成することに伴ってできる凹部を有効に利用して媒体排出装置を小型化することができる。
【0013】
第4の態様の媒体排出装置は、第2または第3の態様において、前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接して前記スタッカーが閉状態に変位することを妨げることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第2ストッパーは、第2ストッパーを規制状態のままスタッカーを開状態から閉状態に変位させると、凹部と当接してスタッカーが閉状態に変位することを妨げる。このため、ユーザーが第2ストッパーを収容状態にすることなく規制状態のままにしてスタッカーを開状態から閉状態に変位させることを抑制することができる。
【0015】
第5の態様の媒体排出装置は、第2または第3の態様において、前記第2ストッパーは、前記第2ストッパーを規制状態のまま前記スタッカーを開状態から閉状態に変位させると、前記凹部と当接することにより変位して収容状態となることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第2ストッパーは、第2ストッパーを規制状態のままスタッカーを開状態から閉状態に変位させると、凹部と当接することにより変位して収容状態となる。このため、ユーザーが第2ストッパーを収容状態にすることなく規制状態のままにしてスタッカーを開状態から閉状態に変位させた場合に、自動で第2ストッパーを収容状態とすることができる。
【0017】
第6の態様の媒体排出装置は、第2から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記スタッカーは、第1スタッカーと第2スタッカーとを有し、前記第1ストッパーは前記第1スタッカーに設けられ、前記第2ストッパーは前記第2スタッカーに設けられることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1スタッカーと第2スタッカーとを有し、第1ストッパーは第1スタッカーに設けられ、第2ストッパーは第2スタッカーに設けられる。このため、排出部から第1ストッパー及び第2ストッパーまでの距離の調整範囲を広くとることができる。
【0019】
第7の態様の媒体排出装置は、第2から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部を備え、前記切り替え部は、前記第1角度と前記第2角度とを切り替えることで、前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離を変更することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、切り替え部により排出方向の角度を変更することで、排出された原稿の先端がストッパーに当たるまでの距離を適切な位置にすることができるので、ストッパーによるスタック性が改善できる。
【0021】
第8の態様の媒体排出装置は、第7の態様において、前記第1角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離は、前記第2角度における前記排出部から前記第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第1角度における排出部から第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離を、第2角度における排出部から第2ストッパーによる媒体の規制位置までの距離よりも長くすることで、切り替え部の構成を簡単にすることができる。
【0023】
第9の態様の媒体排出装置は、第8の態様において、前記第2ストッパーの前記スタッカーにおける位置を移動させる移動部を備えることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、第2ストッパーのスタッカーにおける位置を移動させる移動部を備える。このため、第2ストッパーを適切な位置に移動させることができ、スタッカーに整列性良く媒体をスタックさせることができる。
【0025】
第10の態様の媒体排出装置は、第2から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記スタッカーに対する前記排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替える切り替え部と、前記排出方向と交差する交差方向に沿って設けられた、前記第2ストッパーの回動軸と、前記交差方向から見た際の前記スタッカーに対する前記第2ストッパーの傾斜角度を調整する角度調整部と、を備え、前記角度調整部は、排出方向が前記切り替え部による前記第1角度から前記第2角度への切り替えに連動し、前記傾斜角度が緩やかになるように調整することを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、排出方向を、第1角度と、前記第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替えることができるので、媒体の種類によって第1角度と第2角度とを切り替えることができ、媒体のスタック性を向上することができる。また、角度調整部は、排出方向が切り替え部による第1角度から第2角度への切り替えに連動し、傾斜角度が緩やかになるように調整する。このため、第2角度とすることで第2ストッパーによる規制位置までの距離が短くなり媒体のスタック不良が生じることを抑制することができる。
【0027】
第11の態様の画像読み取り装置は、媒体の面を読み取る読み取り手段と、前記第1から第10のいずれか1つの態様の媒体排出装置と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、筐体部の凹部を利用して画像読み取り装置を小型化することができる。
【0029】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では、画像読み取り装置の一例として、媒体の一例である原稿の表面及び裏面のうち少なくとも一面を読み取り可能なスキャナー1を例に挙げる。スキャナー1は、読み取り手段に対して原稿を移動させつつ読み取りを行う、所謂ドキュメントスキャナーである。
【0030】
なお、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり原稿幅方向でもある。Y軸方向は装置奥行き方向であり、水平方向に沿った方向である。Z軸方向は鉛直方向に沿った方向である。また、V軸方向は原稿送り方向であり、後述する原稿搬送経路Tに平行な方向であって、装置の姿勢によって特にY軸方向及びZ軸方向との成す角度が変化する。また、V軸方向は、原稿である媒体の排出方向にも概ね対応する。本実施形態では、+Y方向を装置背面から前面に向かう方向とし、-Y方向を装置前面から背面に向かう方向とする。また、装置前面から見て左を+X方向、右を-X方向とする。また、以下では原稿が搬送されていく方向(+V方向)を「下流」といい、これと反対の方向(-V方向)を「上流」という場合がある。
【0031】
[実施例1]
最初に、図1から図13を参照して、実施例1のスキャナー1について説明する。
【0032】
以下に、図1から図4を参照して、本実施例のスキャナー1の概要について説明する。図1から図4において、スキャナー1は、装置本体部2と、装置本体部2を回転可能に支持する支持台5とを備えている。装置本体部2は、下部ユニット3、及び上部ユニット4を備えて構成されている。上部ユニット4は、図4で表されるように、下部ユニット3に対して回転軸30を中心に回転することで開閉可能に設けられており、上部ユニット4を装置前方に開くことで後述する原稿搬送経路Tを露呈させることができる。
【0033】
装置本体部2を構成する下部ユニット3は、支持台5を構成するアーム部5aに対して回転軸5bを介して回転可能に設けられ、回転することにより姿勢変化可能に構成されている。本実施例のスキャナー1の装置本体部2は、姿勢変化可能であるとともに不図示の姿勢保持手段によって3つの姿勢を保持可能に構成されており、3つの姿勢のうち2つは原稿読み取り時の姿勢であり、残る1つが非使用時の姿勢である。図4の中央及び下に示す姿勢は、原稿読み取り時の姿勢の一つであり、図4の中央の図が第1読み取り姿勢であり図4の下の図が第2読み取り姿勢である。また図4の上の図は、非使用時の姿勢である。非使用時の姿勢では、スキャナー1の載置面への投影面積が最も小さくなり、より具体的にはY軸方向の占有スペースが最も小さくなる姿勢となる。
【0034】
第1読み取り姿勢では、非使用時の姿勢よりも前記投影面積が増え、第2読み取り姿勢では、第1読み取り姿勢よりも前記投影面積が増える。また、第1読み取り姿勢では、原稿送り方向である+V方向が斜め下方向を向き、第2読み取り姿勢では、+V方向がほぼ水平方向となる。尚、本実施形態において第2読み取り姿勢では+V方向がほぼ水平方向となるが、必ずしも水平方向に限らず、第1読み取り姿勢よりも+V方向が水平方向に近づく姿勢であっても良い。
【0035】
装置本体部2の各姿勢は、不図示の保持手段によって保持可能であり、また不図示の解除レバーにより姿勢保持状態を解除できる様に構成されている。また、装置本体部2の各姿勢は、不図示の姿勢検出部によって検知可能に構成されている。
【0036】
上部ユニット4は前面カバー19を備え、下部ユニット3は上面カバー10を備えている。前面カバー19は、下部ユニット3及び上部ユニット4に対して回転軸30を中心に回転可能に設けられており、回転することで、図1に示す様に閉状態と、図2に示す様に開状態とを取り得る。前面カバー19は、開くことで、図12などで表されるように、読み取りが行われて排出される原稿Mを受ける排出トレイとして機能する。別の表現をすると、排出トレイとしての前面カバー19は、画像が読み取られた後の原稿Mを複数枚スタックすることが可能なスタッカーとしての役割を兼ねている。
【0037】
上部ユニット4は、上面に、図2に示す様に各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行い、また読み取り設定内容等を示す為のユーザーインターフェースが実現される操作パネル7を備えている。操作部としての操作パネル7は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼ねる。操作パネル7は、前面カバー19を開くことで露呈する。
【0038】
下部ユニット3に設けられた上面カバー10は、下部ユニット3に対して回転可能に設けられており、回転することで、図1に示す様に閉じた状態と、図2及び図3に示す様に開いた状態と、を取り得る。上面カバー10は、開くことで、給送される原稿Mを支持する原稿支持トレイとして機能する。図2で表されるように、原稿Mのサイドエッジをガイドするエッジガイド12a及び12bを備えている。装置本体部2の上部には装置本体部2内部に連なる給送口6が設けられており、上面カバー10に載置される原稿Mは、給送口6から装置本体部2内部に向けて送られる。
【0039】
次に、主として図3を参照して、スキャナー1における原稿搬送経路について説明する。原稿搬送経路Tは、下部ユニット3と上部ユニット4との間に形成される、略直線状の原稿搬送経路である。原稿搬送経路Tは、図4の上の図で表されるように装置本体部2が非使用時の姿勢をとる際には最も垂直に近くなり、図4の中央の図で表されるように装置本体部2が第1読み取り姿勢をとる際には45°に近い傾斜角度をとり、図4の下の図で表されるように装置本体部2が第2読み取り姿勢をとる際にはほぼ水平となる。
【0040】
原稿搬送経路Tの最も上流には、上述した上面カバー10が設けられており、上面カバー10の下流側には、上面カバー10に載置された原稿Mを下流に向けて送る給送ローラー14と、給送ローラー14との間で原稿Mをニップして原稿Mの分離を促す分離ローラー15とが設けられている。分離ローラー15は、不図示の負荷付与手段により、給送ローラー14に向けて押圧されているとともに、回転軸15aに制動力が付与されている。
【0041】
給送ローラー14は、上面カバー10に載置された原稿Mのうち、最下位のものと接する。従って上面カバー10に複数枚の原稿Mが載置された場合、最下位の原稿Mから順に下流に向けて給送される。
【0042】
原稿搬送経路Tにおける分離ローラー15の上流側にはフラップ31が設けられており、フラップ31は給送待機状態において上面カバー10にセットされる原稿Mの、分離ローラー15への接触を防止する。フラップ31は回転軸31aを中心に回転可能であるとともに、給送開始前は下端部がセットガイド29と係合しており図3の時計回り方向への回転が止められている。セットガイド29は、給送開始前は原稿Mを支持することで給送ローラー14に原稿Mを接触させない第1状態をとっている。
【0043】
そして原稿Mの給送が開始されると、セットガイド29は図5で表される搬送モーター58の動力によって回転軸29aを中心に図3の反時計回り方向に回転し、原稿Mを給送ローラー14に接触させる第2状態をとる。セットガイド29が第1状態から第2状態に切り換わると、フラップ31が回転可能となり、上面カバー10に載置された原稿束の先端が分離ローラー15に当接する。
【0044】
給送ローラー14には、図5で表される給送モーター57からワンウェイクラッチ32を介して図3において反時計回り方向、即ち原稿Mを給送方向下流に回転する方向のトルクが伝達される。以下では、給送ローラー14が原稿Mを下流に送る際の給送ローラー14の回転方向を正転方向と称し、その逆の回転方向を逆転方向と称する。同様に給送モーター57の回転方向についても、原稿Mを下流に送る際の回転方向を正転方向と称し、その逆を逆転方向と称する。
【0045】
給送ローラー14と給送モーター57との間の駆動力伝達経路にはワンウェイクラッチ32が設けられているので、給送モーター57が逆回転しても、給送ローラー14は逆回転しない。また、給送モーター57が停止した状態においては、給送ローラー14は搬送される原稿Mと接して、正転方向に従動回転することができる。
【0046】
続いて、分離ローラー15に対してトルクリミッター33が設けられている。給送ローラー14と分離ローラー15との間に原稿Mが介在しない場合、或いは1枚のみ介在する場合、給送ローラー14が分離ローラー15を図3の時計回り方向に回転させようとする回転トルクがトルクリミッター33のトルク上限値を越え、これによりトルクリミッター33において滑りが生じ、分離ローラー15は給送ローラー14に従動回転する。
【0047】
給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき原稿Mに加えて更に2枚目以降の原稿Mが入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー15は停止する。これにより、重送されようとする2枚目以降の原稿Mが上流に戻され、即ち重送が防止される。
【0048】
以上説明した上面カバー10、給送ローラー14及び分離ローラー15、並びに、後述する搬送ローラー対16、排出ローラー対17及びスタッカーとしての前面カバー19とで、媒体の一例である原稿Mを給送する媒体給送装置9を構成する。媒体給送装置9は、別の観点では、排出ローラー対17によりスタッカーである前面カバー19に現行Mを排出する媒体排出装置ととらえることができるとともに、スキャナー1から原稿読み取りに係る機能としての読み取り部20を省いた装置と捉えることもできる。或いは、原稿読み取りに係る機能としての読み取り部20を備えていても、原稿給送の観点に着目すれば、スキャナー1そのものが媒体給送装置或いは媒体排出装置と捉えることもできる。
【0049】
次に、給送ローラー14の下流には、搬送ローラー対16と、原稿画像を読み取る読み取り手段としての読み取り部20と、排出ローラー対17とが設けられている。搬送ローラー対16は、搬送モーター58により回転駆動される搬送駆動ローラー16aと、従動回転する搬送従動ローラー16bとを備えて成る。給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流に給送された原稿Mは搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流に位置する上部センサーユニット20A及び下部センサーユニット20Bと対向する位置に搬送される。
【0050】
読み取り部20は、原稿搬送経路Tに対して上に位置し、上部ユニット4に設けられた上部センサーユニット20Aと、原稿搬送経路Tに対して下に位置し、下部ユニット3に設けられた下部センサーユニット20Bと、を備えている。上部センサーユニット20Aはセンサーモジュール21Aを有し、下部センサーユニット20Bはセンサーモジュール21Bを有している。本実施形態においてセンサーモジュール21A及び21Bは、密着型イメージセンサーモジュールである。原稿搬送経路Tに対して上に位置するセンサーモジュール21Aにより、原稿Mの上面が読み取られ、原稿搬送経路Tに対して下に位置するセンサーモジュール21Bにより、原稿Mの下面が読み取られる。なお、上部センサーユニット20Aによる原稿読み取り面及び下部センサーユニット20Bによる原稿読み取り面は、原稿搬送経路Tに対して平行な面を成している。
【0051】
上部センサーユニット20Aは、下部センサーユニット20Bが備えるセンサーモジュール21Bと対向する位置に背景板22Aを備え、下部センサーユニット20Bは、上部センサーユニット20Aが備えるセンサーモジュール21Aと対向する位置に背景板22Bを備えている。背景板22A及び22Bは、シェーディング補正の為に、対向するセンサーモジュールにより読み取られる基準板で、例えば白色、灰色、黒色等の樹脂板または白色、灰色、黒色等に塗装された金属板等を用いることができる。
【0052】
背景板22A及び22Bは、不図示のモーターの動力により回転可能に設けられ、回転することにより、実線で示す様に対向するセンサーモジュールと対面する対面状態と、二点鎖線で示す様に前記対面状態を解消する非対面状態とを切り換えることができる。背景板22A及び22Bは、一例として白色を成しており、前記対面状態では白色基準値を取得することができ、前記非対面状態では黒色基準値を取得することができる。
【0053】
原稿Mは、読み取り部20において原稿Mの上面及び下面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読み取り部20の下流側に位置する排出部としての排出ローラー対17にニップされて、排出口18から前面カバー19の載置面190に排出される。排出ローラー対17は、搬送モーター58により回転駆動される排出駆動ローラー17aと、従動回転する排出従動ローラー17bとを備えて成る。
【0054】
また、図2で表されるように、スタッカーとしての前面カバー19には、読み取り部20により画像が読み取られた原稿Mが前面カバー19を超えて排出されないよう該原稿Mの排出方向における移動を規制する規制部としての第1ストッパー100が形成されている。図2で表されるように、前面カバー19は、トレイ19Aと、第1ストッパー100が形成されトレイ19Aに対して先端側に向けて引き出すことが可能なトレイ19Bと、を有している。第1ストッパー100は、X方向に沿う第1回動軸101を基準にトレイ19Bに対して回動可能となっており、第1ストッパー100を前面カバー19に収容した収容状態と、第1ストッパー100を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態と、に変位可能となっている。ここで、図2中の実線は第1ストッパー100を前面カバー19に収容した収容状態を表しており、図2中の破線は第1ストッパー100を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態を表している。
【0055】
また、図2で表されるように、スタッカーとしての前面カバー19には、読み取り部20により画像が読み取られた原稿Mの規制部としての第2ストッパー200がトレイ19Aに形成されている。第2ストッパー200は、X方向に沿う第2回動軸201を基準にトレイ19Aに対して回動可能となっており、第2ストッパー200を前面カバー19に収容した収容状態と、第2ストッパー200を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態と、に変位可能となっている。ここで、図2中の実線は第2ストッパー200を前面カバー19に収容した収容状態を表しており、図2中の破線は第2ストッパー200を前面カバー19から立てて規制部としての役割を担うことが可能な規制状態を表している。ここで、第1ストッパー100及び第2ストッパー200はともに、回動軸を基準に回動可能なレバー部であると表現できる。なお、第2ストッパー200の配置の詳細については後述する。
【0056】
続いて図5を参照しつつスキャナー1における制御系統について説明する。制御部50は原稿Mの給送、搬送、排出制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1の各種制御を行う。制御部50には操作部としての操作パネル7からの信号が入力され、また、操作パネル7の表示、特にユーザーインターフェースを実現する為の信号が制御部50から操作パネル7に送信される。
【0057】
制御部50は、給送モーター57、搬送モーター58、カムモーター59、のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。制御部50には、読み取り部20からの読み取りデータが入力され、また、読み取り部20を制御する為の信号が制御部50から読み取り部20に送信される。制御部50には、載置検出部54、重送検出部51、第1原稿検出部52、第2原稿検出部53、のこれら検出部からの信号も入力される。また制御部50には、給送モーター57、搬送モーター58、カムモーター59、のこれらモーターに対しそれぞれ設けられた不図示のロータリーエンコーダーの検出値も入力され、これにより制御部50は各モーターの回転量を把握でき、ひいては駆動対象の動作量を把握できる。
【0058】
制御部50は、CPU60、フラッシュROM61、及びRAM62を備えている。CPU60はフラッシュROM61に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、スキャナー1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM61は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリーである。また操作パネル7を介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM61に記憶される。記憶手段の一例であるRAM62には、一時的に各種情報が格納される。制御部50はインターフェース63を備えており、このインターフェース63を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0059】
次に、第2ストッパー200の配置の詳細ついて、図1から図5に加え、図6から図13を参照して説明する。ここで、最初に、第2ストッパー200の周辺部分について説明する。上記のように、前面カバー19は、図2で表されるような開状態で、排出ローラー対17から排出された原稿Mを載置面190で受け、該載置面190にスタックすることができる。また、前面カバー19は、図1及び図3で表されるような閉状態で、載置面190が上部ユニット4における筐体部41と対向する。ここで、図3及び図6で表されるように、操作パネル7は、筐体部41に対して凹んだ位置に形成されており、凹部となっている。
【0060】
そして、上記のように、第1ストッパー100及び第2ストッパー200はともに、原稿Mの位置を規制する規制状態と、前面カバー19に収容される収容状態と、に変位可能である。ここで、規制状態とは、詳細には、図12及び図13で表されるように、排出ローラー対17から排出される原稿Mの排出方向の先端M1に当接することで排出方向における原稿Mの位置を規制することが可能な状態である。そして、第2ストッパー200は、図2で表されるように、排出方向において排出ローラー対17と第1ストッパー100との間の位置に設けられている。
【0061】
図6は第2ストッパー200を収容状態としたうえで前面カバー19を閉状態とした状態図であるが、図6で表されるように、前面カバー19が閉状態である際に凹部である操作パネル7と対向する位置に設けられている。そして、図6で表されるように、第2ストッパー200が収容状態であって、かつ、前面カバー19が閉状態である際に、該凹部に第2ストッパー200の一部が入り込んでいる。図6では、該凹部の境界を表す1点鎖線よりも操作パネル7側に第2ストッパー200の一部が入り込んでいる状態が表されている。
【0062】
本実施例のスキャナー1のように、第2ストッパー200が、前面カバー19が閉状態である際に凹部と対向する位置に設けられ、第2ストッパー200が収容状態であって、かつ、前面カバー19が閉状態である際に、凹部に少なくとも一部が入り込む構成であることが好ましい。このような構成とすることで、筐体部41の凹部を利用してスキャナー1を小型化することができるためである。また、本実施例のスキャナー1は、第1ストッパー100に加えて、排出ローラー対17と第1ストッパー100との間に第2ストッパー200を備えている。このため、第1ストッパー100と第2ストッパー200とを使い分けることで、使用する原稿Mの大きさに応じて、第1ストッパー100で原稿Mを規制するか、第2ストッパー200で原稿Mを規制するかを選択することができる。したがって、本実施例のスキャナー1は、複数の大きさの原稿Mをスタッカーとしての前面カバー19に整列性良くスタックさせることができる。
【0063】
尚、本実施例のスキャナー1のように、第2ストッパー200が、前面カバー19が閉状態である際に凹部と対向する位置に設けられ、第2ストッパー200が収容状態であって、かつ、前面カバー19が閉状態である際に、凹部に少なくとも一部が入り込まず、かつ、凹部の位置と第2ストッパー200の一部の位置とが対向するような構成とすることも可能である。このような構成にすることで、本来確保すべき部品間のクリアランスを凹部によって満たすことができるので、画像読み取り装置を小型化することができる。
【0064】
画像読み取り装置の観点から説明すると、本実施例のスキャナー1は、原稿Mである媒体の面を読み取る読み取り手段である読み取り部20と、上記構成の媒体排出装置と、を備える。このような構成により、筐体部41の凹部を利用して画像読み取り装置を小型化することができるとともに、複数の大きさの画像を読み取った媒体をスタッカーに整列性良くスタックさせることができる。
【0065】
ここで、上記のように、筐体部41の凹部には、スキャナー1の操作部である操作パネル7が設けられている。スキャナー1の操作部を筐体部41に形成する際、製造の容易化及び低コスト化など製造上の観点から、操作部が筐体部41に対して凹部を形成することが好ましい。このため、本実施例のスキャナー1は、操作部を筐体部41に形成することに伴ってできる凹部を有効に利用してスキャナー1を小型化している。
【0066】
同様に、本実施例のスキャナー1のように、第2ストッパー200が、前面カバー19が閉状態である際に操作パネル7(操作部)と対向する位置に設けられ、第2ストッパー200が収容状態であって、かつ、前面カバー19が閉状態である際に、操作部に少なくとも一部が入り込まず、かつ、操作部の位置と第2ストッパー200の一部の位置とが対向するような構成であってもよい。このような構成にすることで、本来確保すべき部品間のクリアランスを満たすことができるので、画像読み取り装置を小型化することができる。
【0067】
また、本実施例のスキャナー1は、図7で表されるように、第2ストッパー200を規制状態のまま前面カバー19を開状態から閉状態に変位させると、第2ストッパー200が凹部である操作パネル7と当接して前面カバー19が閉状態に変位することを妨げる構成である。このため、本実施例のスキャナー1は、ユーザーが第2ストッパー200を収容状態にすることなく規制状態のままにして前面カバー19を開状態から閉状態に変位させることを抑制することができる。
【0068】
しかしながら、このような構成に限定されず、第2ストッパー200が、該第2ストッパー200を規制状態のまま前面カバー19を開状態から閉状態に変位させると、凹部と当接することにより変位して収容状態となる構成としてもよい。このような構成とすることで、ユーザーが第2ストッパー200を収容状態にすることなく規制状態のままにして前面カバー19を開状態から閉状態に変位させた場合に、自動で第2ストッパー200を収容状態とすることができる。
【0069】
また、上記のように、本実施例のスキャナー1は、スタッカーとしての前面カバー19として、第2ストッパー200が設けられるトレイ19Aと、第1ストッパー100が設けられるトレイ19Bと、を有している。すなわち、本実施例のスキャナー1は、スタッカーとして、第1スタッカーであるトレイ19Bと第2スタッカーであるトレイ19Aとを有し、第1ストッパー100は第1スタッカーであるトレイ19Bに設けられ、第2ストッパー200は第2スタッカーであるトレイ19Aに設けられている。本実施例のスキャナー1は、このような構成であるため、排出ローラー対17から第1ストッパー100及び第2ストッパー200までの距離を、広い調整範囲のなかから決定することができている。なお、詳細な構成は省略するが、本実施例のスキャナー1においては、トレイ19は、図8で表されるように第1トレイとしてのトレイ19Aに対して第2トレイ19C及び第3トレイ19Dを有し、トレイ19Aに対して第2トレイ19C及び第3トレイ19Dをスライドして出し入れ可能な構成である。ここで、第1ストッパー100は第3トレイ19Dに設けられており、本実施例のスキャナー1は、スタッカーとして、第1スタッカーである第3トレイ19Dと第2スタッカーであるトレイ19Aとを有し、第1ストッパー100は第1スタッカーである第3トレイ19Dに設けられ、第2ストッパー200は第2スタッカーであるトレイ19Aに設けられていると考えることもできる。
【0070】
また、上記のように、本実施例のスキャナー1は、図4の中央の図で表される第1読み取り姿勢と、図4の下の図で表される第2読み取り姿勢と、に変位することができる。別の表現をすると、本実施例のスキャナー1は、スタッカーとしての前面カバー19に対する原稿Mの排出方向を、図12及び図13で表される第1角度である排出方向R1と、第1角度よりも水平方向に近い第2角度である排出方向R2と、に切り替える切り替え部70を備えている。そして、図8で表される第1角度における排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置P1までの距離L1は、図10で表される第2角度における排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置P2までの距離L2よりも長い。なお、ここでの「第1角度」及び「第2角度」は、原稿Mの排出方向と交差する交差方向であるX方向に沿って見た場合の角度である。
【0071】
このように、本実施例のスキャナー1は、排出方向を、第1角度と、第1角度よりも水平方向に近い第2角度と、に切り替えることができるので、使用する原稿Mの種類によって第1角度と第2角度とを切り替えることができ、原稿Mのスタック性を向上することができる。また、本実施例のスキャナー1は、第1角度における排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置までの距離L1を、第2角度における排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置までの距離L2よりも長くしている。本実施例のように、切り替え部70により、スタッカーとしての前面カバー19に対する原稿Mの排出方向の角度を変更することで、排出された原稿Mの先端M1が第2ストッパー200に当たるまでの距離を適切な位置にすることができるので、第2ストッパー200によるスタック性が改善できる。
【0072】
ここで、本実施例のスキャナー1は、原稿Mの排出方向が第1角度である第1読み取り姿勢の際は、図9で表されるように、前面カバー19は支持台5の当接部55と当接する。一方、原稿Mの排出方向が第2角度である第2読み取り姿勢の際は、図11で表されるように、前面カバー19は装置本体部2のうちの下部ユニット3の当接部35と当接する。このように、第1読み取り姿勢の際と第2読み取り姿勢の際とで、前面カバー19は異なる場所に当接される。
【0073】
なお、本実施例のスキャナー1においては、規制状態における第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度をユーザーが手動により変更可能な構成となっている。このため、原稿Mの排出方向が第1角度である場合には図12で表されるように第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を急にし、原稿Mの排出方向が第2角度である場合には図13で表されるように第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を緩やかにすることができる。以下にこのようにすることでの利点について述べる。
【0074】
図12で表されるように、第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度が急である際、原稿Mの排出方向が第1角度である排出方向R1である場合には、排出ローラー対17から排出される原稿Mは問題なく前面カバー19にスタックされる。しかしながら、原稿Mの排出方向が第2角度である排出方向R2である場合には、上記のように排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置までの距離L2は短いので、排出ローラー対17から原稿Mが排出される前に原稿Mの先端M1が第2ストッパー200に衝突し、排出不良を招く虞がある。
【0075】
上記とは逆に、図13で表されるように、第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度が緩やかである際、原稿Mの排出方向が第2角度である排出方向R2である場合には、排出ローラー対17から第2ストッパー200による原稿Mの規制位置が遠くなるので、排出ローラー対17から排出される原稿Mは問題なく前面カバー19にスタックされる。しかしながら、原稿Mの排出方向が第1角度である排出方向R1である場合には、原稿Mは排出方向の下流側にずれてスタックされていくので、前面カバー19に既にスタックされていた原稿Mの後端M2に、排出ローラー対17から排出される原稿Mの先端M1が引っ掛かりやすくなり、排出不良やスタック不良を招く虞がある。
【0076】
上記の理由により、原稿Mの排出方向が第1角度である場合には第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を急にし、原稿Mの排出方向が第2角度である場合には第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を緩やかにすることが好ましい。なお、本実施例のスキャナー1は、規制状態における第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度をユーザーが手動により変更可能な構成であるが、第1読み取り姿勢と第2読み取り姿勢とを変えることで、自動で規制状態における第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を変更可能な構成としてもよい。
【0077】
[実施例2]
以下に、第1読み取り姿勢と第2読み取り姿勢とを変えることで、自動で規制状態における第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を変更可能な、実施例2のスキャナー1について、図14及び図15を参照して説明する。本実施例のスキャナー1は、自動で規制状態における第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度を変更可能な角度調整部210を備えること以外は、実施例1のスキャナー1と同様の構成である。このため、本実施例のスキャナー1は、下記で説明する実施例1のスキャナー1との違い以外については、実施例1のスキャナー1と同様の特徴を有する。
【0078】
図14及び図15で表されるように、本実施例のスキャナー1は、前面カバー19の内部に、壁部214と、壁部214を貫通しバネ固定部213が設けられ第2ストッパー200と当接する棒状部材211と、壁部214とバネ固定部213との間に設けられるバネ212と、を有する角度調整部210を備えている。そして、図14で表されるように、支持台5の当接部55には、前面カバー19の内部に挿入されて棒状部材211と当接する凸部56が設けられている。一方、図15で表されるように、下部ユニットの当接部35には、凸部は設けられていない。このため、図14図15とを比較すると明らかなように、図14で表される原稿Mの排出方向が第1角度である場合には第2ストッパー200が棒状部材211で押されて第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度が急になり、図15で表される原稿Mの排出方向が第2角度である場合には第2ストッパー200が棒状部材211で押されずに第2ストッパー200の前面カバー19に対する角度が緩やかになる。
【0079】
ここで、本実施例のスキャナー1は、前面カバー19に対する原稿Mの排出方向を、第1角度と第2角度とに切り替える切り替え部70を備えている。そして、排出方向と交差する交差方向に沿って設けられた第2ストッパー200の回動軸である第2回動軸201と、交差方向から見た際の前面カバー19に対する第2ストッパー200の傾斜角度を調整する角度調整部210と、を備えている。ここで、角度調整部210は、原稿Mの排出方向が切り替え部70による第1角度から第2角度への切り替えに連動し、傾斜角度が緩やかになるように調整するができる。
【0080】
本実施例のスキャナー1は、排出方向を、第1角度と第2角度とに切り替えることができるので、原稿Mの種類によって第1角度と第2角度とを切り替えることができ、原稿Mのスタック性を向上することができる。また、また、角度調整部は、排出方向が切り替え部70による第1角度から第2角度への切り替えに連動し、傾斜角度が緩やかになるように調整する。このため、第2角度とすることで第2ストッパー200による規制位置までの距離が短くなり現行Mのスタック不良が生じることを抑制することができる。
【0081】
[実施例3]
以下に、実施例3のスキャナー1について、図16及び図17を参照して説明する。本実施例のスキャナー1は、自動で第2ストッパー200の前面カバー19における位置を移動させる移動部220を備えること以外は、実施例1のスキャナー1と同様の構成である。このため、本実施例のスキャナー1は、下記で説明する実施例1のスキャナー1との違い以外については、実施例1のスキャナー1と同様の特徴を有する。
【0082】
図16及び図17で表されるように、本実施例のスキャナー1は、実施例2の角度調整部210と同様の構成の移動部220を備えている。そして、第2ストッパー200は、第2回動軸201を有さない代わりに、棒状部材211と接続される接続部230が設けられている。また、図16で表されるように、支持台5の当接部55には、前面カバー19の内部に挿入されて棒状部材211と当接する凸部が設けられていない。一方、図17で表されるように、下部ユニットの当接部35には、前面カバー19の内部に挿入されて棒状部材211と当接する凸部36が設けられている。本実施例のスキャナー1は、このような構成をしていることにより、図17で表される原稿Mの排出方向が第2角度である第2読み取り姿勢の際は、図16で表される原稿Mの排出方向が第1角度である第1読み取り姿勢の際よりも、第2ストッパー200は前面カバー19の先端側に移動する。
【0083】
このように、本実施例のスキャナー1は、第2ストッパー200の前面カバー19における位置を移動させる移動部220を備えている。このため、第2ストッパー200を適切な位置に移動させることができ、前面カバー19に整列性良く原稿Mをスタックさせることができる。
【0084】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。また、上記実施形態において媒体給送装置9はスキャナーに適用したが、媒体の一例としての記録用紙に記録を行う記録ヘッドを備えた記録装置、例えばプリンターに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…スキャナー、2…装置本体部、3…下部ユニット、4…上部ユニット、5…支持台、5a…アーム部、5b…回転軸、6…給送口、7…操作パネル(凹部、操作部)、9…媒体給送装置(媒体排出装置)、10…上面カバー、11…原稿案内部材、11a…第1上流接続部、11b…第2上流接続部、12a及び12b…エッジガイド、14…給送ローラー、15…分離ローラー、15a…回転軸、16…搬送ローラー対、16a…搬送駆動ローラー、16b…搬送従動ローラー、17…排出ローラー対(排出部)、17a…排出駆動ローラー、17b…排出従動ローラー、18…排出口、19…前面カバー(スタッカー)、19A…トレイ、19B…トレイ、19C…第2トレイ、19D…第3トレイ、20…読み取り部、20A…上部センサーユニット、20B…下部センサーユニット、21A及び21B…センサーモジュール、22A及び22B…背景板、29…セットガイド、29a…回転軸、30…回転軸、31…フラップ、31a…回転軸、32…ワンウェイクラッチ、33…トルクリミッター、35…当接部、36…凸部、41…筐体部、50…制御部、51…重送検出部、52…第1原稿検出部、53…第2原稿検出部、54…載置検出部、55…当接部、56…凸部、57…給送モーター、58…搬送モーター、59…カムモーター、60…CPU、61…フラッシュROM、62…RAM、63…インターフェース、70…切り替え部、90…外部コンピューター、100…第1ストッパー、101…第1回動軸、190…載置面、200…第2ストッパー、201…第2回動軸、210…角度調整部、211…棒状部材、212…バネ、213…バネ固定部、214…壁部、220…移動部、230…接続部、M…原稿(媒体)、M1…先端、M2…後端
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