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特許7581698推定装置、通信システム、推定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】推定装置、通信システム、推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20241106BHJP
   H04L 1/16 20230101ALI20241106BHJP
   H04W 16/18 20090101ALN20241106BHJP
【FI】
H04W24/08
H04L1/16
H04W16/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020138704
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034823
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】李 譚生
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-049588(JP,A)
【文献】特開2019-057785(JP,A)
【文献】Jim Lansford,WLAN Packet traffic and efficiency analysis, IEEE 802.11-15/0754r0 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/15/11-15-0754-00-00ax-wlan-packet-traffic-and-efficiency-analysis.ppt>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04L1/00
1/08-1/24
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部であって、前記複数の無線フレームは、所定の周期に従って転送される、取得部と、
前記複数の無線フレームの第1のセットが転送された第1の周期に対応する第1の時刻と、前記複数の無線フレームの第2のセットが転送された第2の周期に対応する第2の時刻とに基づいて、第1のキーフレーム及び第2のキーフレームを特定する特定部であって、前記第1のキーフレームは、前記第1の時刻に最も近い時刻に取得され、前記第2のキーフレームは、前記第2の時刻に最も近い時刻に取得される、特定部と、
前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置する無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、
前記第1のキーフレームが取得された時刻前記第2のキーフレームが取得された時刻との間の時間差、及び算定された前記合計に基づいて、取得されなかったACKフレームの数を推定することによって、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、
を備える推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記第1のキーフレームが取得された時刻と前記第2のキーフレームが取得された時刻との間の時間差と、前記合計とを比較した比較結果に基づいて、前記未取得無線フレームの数を推定する、
請求項1記載の推定装置。
【請求項3】
前記算定部は、前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置する前記無線フレームの時間長の前記合計として、前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置するデータフレームの時間長の合計を算定する、
請求項1又は請求項に記載の推定装置。
【請求項4】
前記推定部によって推定される前記未取得無線フレームの数は、前記データフレームに対する応答として送信されるACKフレームの数である、
請求項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記未取得無線フレームの数が、隣接する2つのキーフレームの間に位置する前記データフレームの数に等しいと推定する、
請求項又は請求項に記載の推定装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの取得部は、複数の取得部を含み、
前記複数の取得部によって取得された複数の前記無線フレームを結合した無線フレームの和集合を前記特定部による特定処理に提供する結合部をさらに備える、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項7】
無線チャネルを介して複数の無線フレームを送受信する複数の無線装置と、推定装置とを備える通信システムであって、
前記推定装置は、複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部であって、前記複数の無線フレームは、所定の周期に従って転送される、取得部と、
前記複数の無線フレームの第1のセットが転送された第1の周期に対応する第1の時刻と、前記複数の無線フレームの第2のセットが転送された第2の周期に対応する第2の時刻とに基づいて、第1のキーフレーム及び第2のキーフレームを特定する特定部であって、前記第1のキーフレームは、前記第1の時刻に最も近い時刻に取得され、前記第2のキーフレームは、前記第2の時刻に最も近い時刻に取得される、特定部と、
前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置する無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、
前記第1のキーフレームが取得された時刻前記第2のキーフレームが取得された時刻との間の時間差、及び算定された前記合計に基づいて、取得されなかったACKフレームの数を推定することによって、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、を備える、
通信システム。
【請求項8】
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することであって、前記複数の無線フレームは、所定の周期に従って転送される、取得することと、
前記複数の無線フレームの第1のセットが転送された第1の周期に対応する第1の時刻と、前記複数の無線フレームの第2のセットが転送された第2の周期に対応する第2の時刻とに基づいて、第1のキーフレーム及び第2のキーフレームを特定することであって、前記第1のキーフレームは、前記第1の時刻に最も近い時刻に取得され、前記第2のキーフレームは、前記第2の時刻に最も近い時刻に取得される、特定することと、
前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置する無線フレームの時間長の合計を算定することと、
前記第1のキーフレームが取得された時刻前記第2のキーフレームが取得された時刻との間の時間差、及び算定された前記合計に基づいて、取得されなかったACKフレームの数を推定することによって、取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、
を備える推定方法。
【請求項9】
コンピュータに、
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することであって、前記複数の無線フレームは、所定の周期に従って転送される、取得することと、
前記複数の無線フレームの第1のセットが転送された第1の周期に対応する第1の時刻と、前記複数の無線フレームの第2のセットが転送された第2の周期に対応する第2の時刻とに基づいて、第1のキーフレーム及び第2のキーフレームを特定することであって、前記第1のキーフレームは、前記第1の時刻に最も近い時刻に取得され、前記第2のキーフレームは、前記第2の時刻に最も近い時刻に取得される、特定することと、
前記第1のキーフレームと前記第2のキーフレームとの間に位置する無線フレームの時間長の合計を算定することと、
前記第1のキーフレームが取得された時刻前記第2のキーフレームが取得された時刻との間の時間差、及び算定された前記合計に基づいて、取得されなかったACKフレームの数を推定することによって、取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置、通信システム、推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の継続的な発展に伴い、様々な場所で無線通信が用いられている。例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズに準拠した無線設備が広く用いられている。
【0003】
無線設備を新たに導入する際には、既存の無線環境を評価することが重要である。例えば、無線チャネル(物理チャネル)は媒体特性に基づいて排他的に使用されるので、無線の混雑度(無線チャネルの使用率)を評価すると好適である。既に使用されているのと同じ無線チャネルを使用する無線設備の性能(無線性能)は劣化する傾向にあるからである。
【0004】
無線チャネルの使用率を算定する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、上下リンクの無線通信に無線チャネルが使用された時間を測定し、以上のチャネル使用時間を総測定時間で除算することによって、チャネル使用率を算定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6029071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術において、送受信される無線フレームを全て取得できる場合には、高精度にチャネル使用率を算定することができる。しかしながら、一般的に、無線子機等のキャプチャ装置によって全ての無線フレームを取得することは困難である。取得されなかった無線フレームはチャネル使用率の算定に用いられないので、チャネル使用率の算定精度が低下してしまう。加えて、無線フレームの数に基づいて算定される他の無線パラメータに関しても同様の問題が生じることは明らかである。
【0007】
以上の事情に鑑み、本発明は、取得されなかった無線フレームの数を推定できる推定装置、通信システム、推定方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る推定装置は、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部と、取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する特定部と、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る通信システムは、無線チャネルを介して複数の無線フレームを送受信する複数の無線装置と、推定装置とを備える通信システムであって、前記推定装置は、複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部と、取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する特定部と、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る推定方法は、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することと、取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定することと、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定することと、特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得することにおいて取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することと、取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定することと、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定することと、特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得することにおいて取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取得されなかった無線フレームの数が適切に推定される。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る通信システムS1の概略的な構成を例示する説明図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る無線装置100の概略的なハードウェア構成を例示するブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る推定装置200の概略的なハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る推定装置200の概略的な機能構成を例示するブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る推定装置200における推定処理を例示するフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態における無線フレームFのタイムスタンプに関する説明図である。
図7】本発明の第1実施形態における非集約状態及び集約状態の説明図である。
図8】本発明の第1実施形態におけるステップS540の推定処理に関する説明図である。
図9】本発明の第1実施形態の変形例に係る推定装置200の概略的な機能構成を例示するブロック図である。
図10】本発明の第1実施形態の変形例に係る推定装置200における推定処理を例示するフローチャートである。
図11】本発明の第1実施形態の変形例における無線フレーム集合の説明図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る通信システムS1aの概略的な構成を例示するブロック図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る推定装置200aの概略的な構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複した説明が省略され得る。
【0015】
以下に説明される各実施形態は、本発明を実現可能な構成の一例に過ぎない。以下の各実施形態は、本発明が適用される装置の構成や各種の条件に応じて適宜に修正又は変更することが可能である。以下の各実施形態に含まれる要素の組合せの全てが本発明を実現するに必須であるとは限られず、要素の一部を適宜に省略することが可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の各実施形態に記載される構成によって限定されるものではない。相互に矛盾のない限りにおいて、実施形態内に記載された複数の構成を組み合わせた構成も採用可能である。
【0016】
本発明に係る説明は、以下の順序で行われる。
1. 本発明の実施形態の概要
2. 第1実施形態
2.1. 通信システムS1の構成
2.2. 無線装置100の構成
2.3. 推定装置200の構成
2.4. 動作例
2.5. 変形例
3. 第2実施形態
3.1. 通信システムS1a及び推定装置200aの構成と動作例
4. 他の実施形態
【0017】
<<1. 本発明の実施形態の概要>>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0018】
(1)技術的課題
近年、無線通信技術の継続的な発展に伴い、様々な場所で無線通信が用いられている。例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズに準拠した無線設備が広く用いられている。
【0019】
無線設備を新たに導入する際には、既存の無線環境を評価することが重要である。例えば、無線チャネル(物理チャネル)は媒体特性に基づいて排他的に使用されるので、無線の混雑度(無線チャネルの使用率)を評価すると好適である。既に使用されているのと同じ無線チャネルを使用する無線設備の性能(無線性能)は劣化する傾向にあるからである。
【0020】
無線チャネルの使用率を評価する技術において、送受信される無線フレームを全て取得できる場合には、高精度にチャネル使用率を算定することができる。しかしながら、一般的に、無線子機等のキャプチャ装置によって全ての無線フレームを取得することは困難である。取得されなかった無線フレームはチャネル使用率の算定に用いられないので、チャネル使用率の算定精度が低下してしまう。加えて、無線フレームの数に基づいて算定される他の無線パラメータに関しても同様の問題が生じることは明らかである。
【0021】
以上の事情に鑑み、本実施形態は、取得されなかった無線フレームの数を適切に推定することを目的とする。
【0022】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、推定装置が、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部と、取得された複数の上記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する特定部と、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、特定された上記キーフレームと算定された上記合計に基づいて、上記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、を備える。
【0023】
以上の構成によれば、取得されなかった無線フレームの数が適切に推定される。
【0024】
なお、本実施形態により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0025】
<<2. 第1実施形態>>
次いで、図1から図8を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
【0026】
<<2.1. 通信システムS1の構成>>
図1は、本実施形態に係る通信システムS1の概略的な構成を例示する説明図である。図1に示すように、本実施形態の通信システムS1は、無線通信機能を有する複数の無線装置100(100-1~100-n(nは自然数を示す))及び推定装置200を有する。
【0027】
本実施形態の無線装置100-1~100-nは、1つ以上の無線規格に準拠した装置である。以上の無線規格として、Wi-Fi(登録商標)、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズ、無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、5G NR(5th Generation New Radio)、Bluetooth(登録商標)等が非限定的に例示される。
【0028】
無線装置100-1~100-nは、準拠する無線規格に従ってデータ通信を実行する。本実施形態の無線装置100-1~100-nは、少なくとも、Wi-Fiに従って無線通信を実行することができる。
【0029】
無線装置100は、例えば、監視カメラやロボット等のIoTデバイスであってもよいし、スマートフォン等の携帯電話端末であってもよいし、自動運転車に搭載される通信モジュールであってもよい。
【0030】
推定装置200は、無線装置100-1~100-nが送受信する無線フレームの推定に関する種々の処理を実行する装置である。推定装置200は、通信システムS1上の任意の位置に設置されてよい。例えば、無線装置100に隣接して設置されてもよいし、無線区間の間に設置されてもよいし、無線区間と離隔した位置に設置されてもよい。
【0031】
<<2.2. 無線装置100の構成>>
図2は、本実施形態に係る無線装置100の概略的なハードウェア構成を例示するブロック図である。図2に示すように、無線装置100は、CPU(Central Processing Unit)101とメモリ102と入出力インタフェース103とRF(Radio Frequency)回路104とアンテナ105とを有する。無線装置100に設けられる以上の要素は内部バスによって相互に接続される。なお、無線装置100は、図2に示された要素以外のハードウェア要素を有してもよい。
【0032】
CPU101は、無線装置100の種々の機能を実現する演算素子である。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置等の記憶媒体によって構成される。
【0033】
メモリ102は、無線装置100における種々の処理を実行するのに用いられるプログラム(命令)及びデータを一時的又は恒久的に格納する要素である。上記プログラムは、無線装置100の動作のための1つ以上の命令を含む。CPU101は、メモリ102に記憶されたプログラムをメモリ102及び/又は不図示のシステムメモリに展開し実行することによって、無線装置100の機能を実現する。
【0034】
入出力インタフェース103は、無線装置100への操作を受け付けてCPU101に供給すると共に、種々の情報を提示するインタフェースであって、例えばタッチパネルである。
【0035】
RF回路104は、無線通信を実現するための種々の信号処理を実行する回路である。RF回路104は、アンテナ105を介して他の無線装置100と無線信号を送受信する。
【0036】
<<2.3. 推定装置200の構成>>
図3は、本実施形態に係る推定装置200の概略的なハードウェア構成を例示するブロック図である。図3に示すように、推定装置200は、CPU201とメモリ202と入出力インタフェース203とを有する。推定装置200に設けられる以上の要素は内部バスによって相互に接続される。なお、推定装置200は、図3に示された要素以外のハードウェア要素を有してもよい。
【0037】
CPU201は、推定装置200の種々の機能を実現する演算装置である。推定装置200は、複数のCPU201を有してもよい。メモリ202は、RAM、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置等の記憶媒体によって構成される。
【0038】
メモリ202は、推定装置200における種々の処理を実行するのに用いられるプログラム(命令)及びデータを一時的又は恒久的に格納する要素である。上記プログラムは、推定装置200の動作のための1つ以上の命令を含む。CPU201は、メモリ202に記憶されたプログラムをメモリ202及び/又は不図示のシステムメモリに展開し実行することによって、推定装置200の機能(後述される機能ブロック)を実現する。
【0039】
なお、メモリ202に記憶されているプログラムは、ネットワークを介してダウンロードされる更新データ又は記憶媒体に記憶された更新データを用いて更新され得る。
【0040】
入出力インタフェース203は、推定装置200への操作を受け付けてCPU201に供給すると共に、種々の情報を提示するインタフェースである。入出力インタフェース203は、例えば、マウス、キーボード等の入力装置と、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んでよい。
【0041】
図4は、本実施形態に係る推定装置200の概略的な機能構成を例示するブロック図である。図4に示すように、推定装置200は、取得部211、特定部212、算定部213、及び推定部214を含む制御部210を有する。制御部210、取得部211、特定部212、算定部213、及び推定部214は、前述のようにCPU201がメモリ202に記憶されたプログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。なお、制御部210は、以上の機能ブロック以外の構成要素を更に含んでよい。即ち、制御部210は、以上の機能ブロックによる動作以外の動作を実行できる。
【0042】
以上の機能ブロック(制御部210、取得部211、特定部212、算定部213、及び推定部214)は、半導体チップによってハードウェア的に実現されてもよい。すなわち、以上の機能ブロックは、ソフトウェアによって実現されてもハードウェアによって実現されてもよい。
【0043】
取得部211は、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームFを取得する。例えば、取得部211は、推定装置200に接続された無線子機等のキャプチャ装置を介して無線フレームFを取得することができる。なお、複数の取得部211が制御部210(推定装置200)に設けられてよい。各無線フレームFの時間長は、例えば10ミリ秒である。
【0044】
特定部212は、取得部211によって取得された複数の無線フレームFのタイムスタンプ(時刻情報)に基づいて、キーフレームKFを特定する。例えば、特定部212は、時間的に隣接する2つの無線フレームFのタイムスタンプの差分Δ1に基づいて、キーフレームKFを特定する。特定部212は、上記したタイムスタンプの差分Δ1が閾値Thを上回る場合に、後者の(2つ目の)無線フレームFをキーフレームKFとして特定してよい。
【0045】
算定部213は、無線フレームFの時間長(無線フレームFが無線チャネルを占有する時間の長さ)を算定する。例えば、算定部213は、隣接する2つのキーフレームKFの間に位置する無線フレームFの時間長の合計を算定する。
【0046】
推定部214は、取得部211によって取得されなかった無線フレームF(未取得無線フレーム)に関する推定処理を実行する。例えば、推定部214は、取得部211によって取得されなかった無線フレームFの数を推定する。
【0047】
なお、推定装置200が仮想化されていてもよい。すなわち、推定装置200が仮想マシンとして実装されてもよい。以上の場合、推定装置200(仮想マシン)は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(ハードウェア)及びハイパーバイザ上で仮想マシンとして動作してよい。
【0048】
<<2.4. 動作例>>
図5は、本実施形態の推定装置200における推定処理を例示するフローチャートである。
【0049】
ステップS510において、取得部211が、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームFを取得する。より具体的には以下の通りである。
【0050】
取得部211は、推定装置200に接続されモニタモードに設定された無線子機(キャプチャ装置)から供給される無線チャネル中の無線フレームFをキャプチャして取得する。以上のキャプチャ処理は、Linux(登録商標)におけるdumpcapコマンド若しくはtsharkコマンド、又はWindows(登録商標)におけるwiresharkコマンドによって実現されてよい。
【0051】
取得部211が取得した複数の無線フレームFは、無線フレーム集合とも称呼され得る。上記された複数の無線フレームF(無線フレーム集合)は、メモリ202や他の記憶媒体に記憶され、他のソフトウェアやハードウェアによって処理され得るデータである。
【0052】
取得部211は、ステップS510において取得した複数の無線フレームF(無線フレーム集合)を特定部212に供給する。
【0053】
ステップS520において、特定部212が、時間的に隣接する2つの無線フレームFのタイムスタンプ(時刻情報)の差分Δ1に基づいて、キーフレームKFを特定する。より具体的には以下の通りである。
【0054】
本実施形態における無線フレームFのタイムスタンプは、無線フレームFが実際に発生した時刻を示さない。なぜなら、上記したキャプチャ装置において、キャプチャされた無線フレームFは所定の転送周期(例えば、1ミリ秒)ごとにまとめて転送され、推定装置200のOS(オペレーションシステム)によってタイムスタンプが付与されるからである。
【0055】
図6に示すように、時刻T1から時刻T2までの間にキャプチャされた無線フレームF1,F2,F3のタイムスタンプは、時刻T2又は時刻T2に非常に近い値(T2+ε2)を取る。同様に、時刻T2から時刻T3までの間にキャプチャされた無線フレームF4,F5,F6のタイムスタンプは、時刻T3又は時刻T3に非常に近い値(T3+ε3)を取る。
【0056】
例えば、無線フレームF1のタイムスタンプは時刻T2を取り、無線フレームF2のタイムスタンプは時刻(T2+ε2)を取り、無線フレームF3のタイムスタンプは時刻(T2+ε2)を取る。ここで、値ε(ε1,ε2,…)は、無線フレームFの長さよりも短い値(例えば、数マイクロ秒)を示す。
【0057】
特定部212は、取得部211から供給された複数の無線フレームF(F1,F2,…)のタイムスタンプに基づいて、転送周期に対応する時刻T1,T2,T3,…に最も近い無線フレームF(図6では、F0,F1,F4,…)をキーフレームKFとして特定する。
【0058】
より具体的には、例えば、特定部212は、時間的に隣接する2つの無線フレームFのタイムスタンプの差分Δ1が閾値を上回る場合に、後者の(2つ目の)無線フレームFをキーフレームKFとして特定し、時刻Tを記憶する。なお、閾値は、値εより大きな値(例えば、500ミリ秒)であってよい。
【0059】
加えて、特定部212は、特定されたキーフレームKFに基づいて、時間的に隣接する2つのキーフレームKFのタイムスタンプの差分Δ2(図6では、F0とF1との差分、F1とF4との差分、…)を算定して記憶する。
【0060】
ステップS530において、算定部213は、隣接する2つのキーフレームKFの間に位置する無線フレームFの時間長(無線フレームFが無線チャネルを占有する時間の長さ)の合計を算定する。より具体的には以下の通りである。
【0061】
図6の例を参照すると、算定部213は、時刻T1と時刻T2との間に位置する無線フレームF1,F2,F3の時間長の合計を算定する。算定部213は、例えば、無線フレームFのビット数及びフレーム伝送速度に基づいて、無線フレームF1,F2,F3の時間長の合計を算定してよい。他に、算定部213は、無線チャネルの占有時間を測定することによって、無線フレームF1,F2,F3の時間長の合計を算定してよい。他に、算定部213は、無線フレームFに含まれる時間長に基づいて無線フレームF1,F2,F3の時間長の合計を算定してよい。
【0062】
加えて、算定部213は、無線フレームFのうちユーザデータを搬送するデータフレームDの時間長の合計を算定してよい。
【0063】
ステップS540において、推定部214は、取得部211によって取得されなかった無線フレームFの数を推定する。推定部214が、取得部211によって取得されなかったACK(Acknowledge)フレーム(応答フレーム)の数を推定すると好適である。より具体的には以下の通りである。
【0064】
推定部214は、ステップS520にて算定された隣接する2つのキーフレームKFのタイムスタンプの差分Δ2と、ステップS530にて算定された隣接する2つのキーフレームKFの間に位置する無線フレームFの時間長の合計とを比較する。無線フレームFの時間長の合計は、データフレーム(ユーザデータを搬送する無線フレームF)の時間長の合計であってよい。
【0065】
次いで、推定部214は、上記した比較の結果に基づいて無線通信の集約状態を推定する。図7は、本実施形態における非集約状態及び集約状態の説明図である。通常、送信側の無線装置100が1つのデータフレーム(図中の「Data」)を送信すると、応答として、受信側の無線装置100が1つのACKフレーム(図中の「ACK」)を返送する。すなわち、データフレームとACKフレームとが1対1の関係にある。以上のような通常のフレーム送受信が実行されている状態を「非集約状態」と称呼する。
【0066】
本実施形態の無線装置100は、無線リソースを節約するために、上記した「非集約状態」とは異なる「集約状態」でのフレーム送受信を実行することができる。集約状態では、送信側の無線装置100が複数のデータフレーム(図中の「Data」)を送信するのに対して、受信側の無線装置100が1つのACKフレーム(図中の「ACK」)を返送する。すなわち、データフレームとACKフレームとが複数対1の関係にある。集約状態においては、非集約状態と比較してACKフレームの数が低減されるので、無線チャネルの利用効率が向上する。
【0067】
以上のように、集約状態と非集約状態とでは無線フレームFの配置が異なる。したがって、推定部214は、隣接する2つのキーフレームKFのタイムスタンプの差分Δ2と、隣接する2つのキーフレームKFの間に位置する無線フレームF(例えば、データフレームD)の時間長の合計とを比較して、無線通信の集約状態を推定する。以下、図8を参照してより詳細に説明する。
【0068】
図8において、時刻T1から時刻T2までは非集約状態であり、時刻T2から時刻T3までは集約状態であると想定する。非集約状態においては、データフレームD(D1,D2)とACKフレームとが交互に送信される。他方、集約状態においては、データフレームD(D3~D7)が連続的に送信される。
【0069】
推定部214は、隣接する2つのキーフレームKFの間に位置するデータフレームDの時間長の合計Smが、隣接する2つのキーフレームKFのタイムスタンプの差分Δ2に所定の係数α(0<α≦1)を乗じた値を下回る場合(Sm<α・Δ2)、非集約状態であると推定する。図8の例において、推定部214は、時刻T1から時刻T2までの期間(Δ2=T2-T1)を非集約状態であると推定する。
【0070】
前述したように、非集約状態においては、データフレームDとACKフレームとが1対1の関係にある。したがって、推定部214は、ACKフレームの数はデータフレームDの数と同じであると推定する。
【0071】
また、推定部214は、隣接する2つのキーフレームKFの間に位置するデータフレームDの時間長の合計Smが、隣接する2つのキーフレームKFのタイムスタンプの差分Δ2に所定の係数αを乗じた値以上である場合(Sm≧α・Δ2)、集約状態であると推定する。図8の例において、推定部214は、時刻T2から時刻T3までの期間(Δ2=T3-T2)を集約状態であると推定する。
【0072】
前述したように、集約状態においては、データフレームDとACKフレームとが複数対1の関係にある。したがって、推定部214は、ACKフレームの数はデータフレームDの数よりも少なく、取得部211によって取得されたACKフレーム以外に取得されなかったACKフレームは存在しないと推定する。
【0073】
上記した本実施形態の構成によれば、取得されなかった無線フレームFの数が適切に推定される。より具体的には、無線装置100が実行する無線通信が非集約状態であるか集約状態であるかに基づいて、一般に取得することが困難であるACKフレームの数を推定することが可能である。
【0074】
<<2.5. 変形例>>
上記した本実施形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以上の実施形態及び以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0075】
図9は、本実施形態の変形例に係る推定装置200の概略的な機能構成を例示するブロック図である。本変形例の推定装置200は、第1取得部211-1、第2取得部211-2、及び結合部215を有する。他の構成に関しては、上記した第1実施形態と同様である。なお、本変形例の推定装置200が、3つ以上の取得部211-1,211-2,211-3,…を有してもよい。
【0076】
図10は、本実施形態の変形例に係る推定装置200における推定処理を例示するフローチャートである。
【0077】
ステップS1010において、第1取得部211-1及び第2取得部211-2は、それぞれ、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームFを取得する。具体的な取得手法については、第1実施形態における取得部211による動作と同様である。
【0078】
次いで、結合部215は、第1取得部211-1が取得した複数の無線フレームF(第1無線フレーム集合)と第2取得部211-2が取得した複数の無線フレームF(第2無線フレーム集合)とを結合する結合処理を実行する。なお、いずれかの取得部211-1,211-2が本処理を実行してもよい。より具体的には以下の通りである。
【0079】
結合部215は、図11に示すように、第1無線フレーム集合と第2無線フレーム集合との和集合を求めることによって、上記した結合処理を実現する。上記した結合処理によって、第3無線フレーム集合(上記の和集合)が形成される。
【0080】
図11の例では、第1無線フレーム集合が無線フレームF1,F2,F3,F5を含み、第2無線フレーム集合が無線フレームF1,F3,F5,F6を含む。各無線フレームFは、タイムスタンプやシーケンス番号等の識別情報に基づいて識別される。他に、識別情報として、無線フレームFの内容の一部や無線フレームFの全部又は一部から導出された文字列が用いられてもよい。例えば、無線フレームFのハッシュ関数が識別情報として用いられてよい。
【0081】
結合部215は、第1無線フレーム集合と第2無線フレーム集合とに含まれる無線フレームFを重複しないように第3無線フレーム集合に含める。図11の例では、第1無線フレーム集合と第2無線フレーム集合と重複する無線フレームF1,F3,F5が、それぞれ1つだけ含まれるように第3無線フレーム集合が形成される。
【0082】
結合部215は、結合処理によって得られた第3無線フレーム集合を特定部212に供給する。後続するステップS1020~S1040では、上記した第3無線フレーム集合に対して、図5を参照して説明したステップS520~S540と同様の処理が実行される。
【0083】
以上の構成によれば、第1実施形態(図5等)と同様の技術的効果が奏される。加えて、複数の取得部211-1,211-2によってより多くの複数の無線フレームFを取得できるので、推定精度をより向上させることが可能である。
【0084】
<<3. 第2実施形態>>
次いで、図12及び図13を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。上述した第1実施形態は具体的な実施形態であるが、第2実施形態はより一般化された実施形態である。以下の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の技術的効果が奏される。
【0085】
<<3.1. 通信システムS1a及び推定装置200aの構成と動作例>>
図12は、本発明の第2実施形態に係る通信システムS1aの概略的な構成を例示するブロック図である。通信システムS1aは、無線チャネルを介して複数の無線フレームを送受信する複数の無線装置100a(100a-1,100a-2,…,100a-n)と、推定装置200aとを備える。
【0086】
図13は、本発明の第2実施形態に係る推定装置200aの概略的な構成を例示するブロック図である。推定装置200aは、少なくとも1つの取得部211aと、特定部212aと、算定部213aと、推定部214aとを備える。
【0087】
取得部211aは、無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得する。特定部212aは、取得された複数の上記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する。算定部213aは、隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する。推定部214aは、特定された上記キーフレームと算定された上記合計に基づいて、上記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する。
【0088】
-第1実施形態との関係
一例として、第2実施形態に係る推定装置200aが、第1実施形態に係る推定装置200の動作を実行してもよい。同様に、一例として、第2実施形態に係る通信システムS1aが、第1実施形態に係る通信システムS1と同様に構成されてもよい。以上の場合、第1実施形態についての説明が第2実施形態にも適用可能である。なお、第2実施形態は以上の例に限定されるものではない。
【0089】
<<4. 他の実施形態>>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0090】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0091】
また、本明細書において説明した無線装置及び推定装置の構成要素(例えば、取得部、特定部、算定部、推定部及び/又は結合部)を備える装置(例えば、以上のいずれかのエンティティを構成する複数の装置(又はユニット)のうちの1つ以上の装置(又はユニット)、又は上記複数の装置(又はユニット)のうちの1つのためのモジュール)が提供されてもよい。
【0092】
また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0093】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0094】
(付記1)
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部と、
取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する特定部と、
隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、
特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、
を備える推定装置。
【0095】
(付記2)
前記特定部は、時間的に隣接する2つの無線フレームの時刻情報の差分が閾値を上回る場合、後者の無線フレームを前記キーフレームとして特定する、
付記1に記載の推定装置。
【0096】
(付記3)
前記推定部は、前記隣接する2つのキーフレームの時刻情報の差分と、前記合計とを比較した比較結果に基づいて、前記未取得無線フレームの数を推定する、
付記1又は付記2に記載の推定装置。
【0097】
(付記4)
前記算定部は、前記隣接する2つのキーフレームの間に位置する前記少なくとも一部の無線フレームの時間長の前記合計として、前記隣接する2つのキーフレームの間に位置するデータフレームの時間長の合計を算定する、
付記1から付記3のいずれか1項に記載の推定装置。
【0098】
(付記5)
前記推定部によって推定される前記未取得無線フレームの数は、前記データフレームに対する応答として送信されるACKフレームの数である、
付記4に記載の推定装置。
【0099】
(付記6)
前記推定部は、前記未取得無線フレームの数が、前記隣接する2つのキーフレームの間に位置する前記データフレームの数に等しいと推定する、
付記4又は付記5に記載の推定装置。
【0100】
(付記7)
前記少なくとも1つの取得部は、複数の取得部を含み、
前記複数の取得部によって取得された複数の前記無線フレームを結合した無線フレーム集合を前記特定部による特定処理に提供する結合部をさらに備える、
付記1から付記6のいずれか1項に記載の推定装置。
【0101】
(付記8)
前記取得部は、モニタモードに設定されたキャプチャ装置から供給される前記無線チャネル中の前記無線フレームをキャプチャして取得する、
付記1から付記7のいずれか1項に記載の推定装置。
【0102】
(付記9)
前記算定部は、複数の前記無線フレームのビット数及びフレーム伝送速度に基づいて、又は、前記無線チャネルの占有時間を測定することによって、複数の前記無線フレームの時間長の合計を算定する、
付記1から付記8のいずれか1項に記載の推定装置。
【0103】
(付記10)
前記推定部は、特定された前記キーフレームと算定された前記合計に応じて推定された集約状態に基づいて、前記未取得無線フレームの数を推定する、
付記1から付記9のいずれか1項に記載の推定装置。
【0104】
(付記11)
無線チャネルを介して複数の無線フレームを送受信する複数の無線装置と、推定装置とを備える通信システムであって、
前記推定装置は、複数の無線フレームを取得する少なくとも1つの取得部と、
取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定する特定部と、
隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定する算定部と、
特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得部によって取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定する推定部と、を備える、
通信システム。
【0105】
(付記12)
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することと、
取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定することと、
隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定することと、
特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得することにおいて取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、
を備える推定方法。
【0106】
(付記13)
コンピュータに、
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することと、
取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定することと、
隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定することと、
特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得することにおいて取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、
を実行させるプログラム。
【0107】
(付記14)
コンピュータに、
無線チャネルを介して送受信される複数の無線フレームを取得することと、
取得された複数の前記無線フレームの時刻情報に基づいてキーフレームを特定することと、
隣接する2つのキーフレームの間に位置する少なくとも一部の無線フレームの時間長の合計を算定することと、
特定された前記キーフレームと算定された前記合計に基づいて、前記取得することにおいて取得されなかった無線フレームである未取得無線フレームの数を推定することと、
を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一過性の記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0108】
取得されなかった無線フレームの数が適切に推定される。
【符号の説明】
【0109】
100 無線装置
200 推定装置
211 取得部
212 特定部
213 算定部
214 推定部
215 結合部
S1 通信システム


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13