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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241106BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241106BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 318
G03G21/14
G03G21/00 510
G03G21/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020139822
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035476
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】森田 さや香
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-006689(JP,A)
【文献】特開2017-037126(JP,A)
【文献】特開平11-038832(JP,A)
【文献】特開2020-060653(JP,A)
【文献】特開2016-075777(JP,A)
【文献】特開2005-338334(JP,A)
【文献】特開2002-062737(JP,A)
【文献】特開2003-263069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
中間転写体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって前記中間転写体と像担持体とが接触した状態で塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を、画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加は、前記潤滑剤の回収作用の低減によって行われる請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記潤滑剤の回収作用の低減は、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減、中間転写体と像担持体との離間の少なくともいずれかによって実現される請求項1または請求項3を引用する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記潤滑剤の回収作用の低減は、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減の少なくともいずれかによって実現される請求項2を引用する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は回転駆動され、前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加は、前記像担持体を複数回回転させることによって行われる請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潤滑剤ムラ検知手段は、前記像担持体の表面の反射率を測定することにより、前記潤滑剤ムラを検知する請求項1、請求項2、請求項1または請求項2を引用する請求項4、請求項6、請求項1または請求項2を引用する請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記潤滑剤ムラ検知手段は、前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記像担持体への潤滑剤の塗布量を増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記潤滑剤ムラを検知する請求項1~8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記潤滑剤ムラ検知手段により潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラを抑制するための潤滑剤ムラ回復モードを備えている請求項1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、前記像担持体に対する前記潤滑剤塗布部材の線速度を増大させる請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、非画像形成状態で前記像担持体と前記潤滑剤塗布手段を駆動する請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項14】
潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、中間転写体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって前記中間転写体と像担持体とが接触した状態で塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を、画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項15】
潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記塗布量増加ステップでは、前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、前記潤滑剤の回収作用の低減によって行う処理を前記コンピュータに実行させる請求項13~15のいずれかに記載のプログラム。
【請求項17】
前記潤滑剤の回収作用の低減を、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減、中間転写体と像担持体との離間の少なくともいずれかによって実現する処理を前記コンピュータに実行させる請求項13または請求項15を引用する請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記潤滑剤の回収作用の低減を、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減の少なくともいずれかによって実現する処理を前記コンピュータに実行させる請求項14を引用する請求項16に記載のプログラム。
【請求項19】
前記像担持体は回転駆動され、前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、前記像担持体を複数回回転させることによって行う処理を前記コンピュータに実行させる請求項13~15のいずれかに記載のプログラム。
【請求項20】
前記潤滑剤ムラ検知ステップでは、前記像担持体の表面の反射率を測定することにより、前記潤滑剤ムラを検知する処理を前記コンピュータに実行させる請求項13、請求項14、請求項13または請求項14を引用する請求項16、請求項18、請求項13または請求項14を引用する請求項19のいずれかに記載のプログラム。
【請求項21】
前記潤滑剤ムラ検知ステップでは、前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記像担持体への潤滑剤の塗布量を増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記潤滑剤ムラを検知する処理を前記コンピュータに実行させる請求項13~20のいずれかに記載のプログラム。
【請求項22】
前記潤滑剤ムラ検知ステップにより潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラを抑制するための潤滑剤ムラ回復モードを前記コンピュータに実行させる請求項13~21のいずれかに記載のプログラム。
【請求項23】
前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、前記像担持体に対する前記潤滑剤塗布部材の線速度を増大させる処理を前記コンピュータに実行させる請求項22に記載のプログラム。
【請求項24】
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、非画像形成状態で前記像担持体と前記潤滑剤塗布手段を駆動する処理を前記コンピュータに実行させる請求項22または23に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはこれら複数の装置の機能を備えた複合機等の画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像形成装置、特に印刷方式として電子写真方式が採用されている画像形成装置においては、像担持体としての感光体の表面に潤滑剤を塗布するものが知られている。潤滑剤は、感光体の表面の摩擦係数を低下させ、感光体およびクリーニング装置の負荷を低下させるという役割を担っている。また、潤滑剤は、トナーの転写効率を向上させたり、感光体を放電生成物から保護したりする役割をも担っている。
【0003】
このような潤滑剤として固形のものが用いられる場合は、この固形の潤滑剤を備えた潤滑剤塗布装置が、潤滑剤を削り取って感光体に塗布している。
【0004】
しかし、トナー外添剤がクリーニング装置を通過し潤滑剤塗布装置の感光体との接触部分に付着することで、潤滑剤を削りにくくなり、潤滑剤の塗布量に部分的な差つまり潤滑剤ムラが発生する。潤滑剤ムラが発生すると、筋状の画像ノイズ(濃度ムラ)が発生し画像品質の劣化を招く。このため、潤滑剤の塗布ムラつまり潤滑剤ムラを早期に検知することが必要となる。
【0005】
潤滑剤ムラは、使用条件の影響を大きく受けることから、潤滑剤塗布装置が寿命に達していなくても発生する。このため、潤滑剤が十分に残っていても、画像ノイズが許容できなくなることで、寿命前にもかかわらず潤滑剤塗布装置が交換される自体が生じている。
【0006】
なお、潤滑剤ムラを予防するため、トナー外添剤が付着しても潤滑剤を十分に削り取ることができるように設計することも可能であるが、削り量が多くなることから、潤滑剤の節約のために削り量を多くすることは実際には困難である。
【0007】
特許文献1には、感光体表面上の潤滑剤の潤滑剤ムラを無くして潤滑剤ムラ起因による画像スジを防止することができる画像形成装置として、トナーを担持する像担持体と、像担持体に潤滑剤を供給する供給手段と、供給手段により潤滑剤が供給された像担持体において、記録材の搬送方向と直交する方向の潤滑剤量を検出する潤滑剤量検出手段と、像担持体に供給された潤滑剤を除去する潤滑剤除去手段と、潤滑剤量検出手段により像担持体における記録材の搬送方向と直交する方向に潤滑剤ムラが有ると判断した場合、像担持体に供給された潤滑剤を除去するように潤滑剤除去手段を制御する制御手段とを備えた画像形成装置が提案されている。
【0008】
特許文献2には、像担持体の軸方向における滑剤の量の分布を、簡易な方法で検出することが可能となる画像形成装置として、像担持体を有し、像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、像担持体上にトナー画像を形成する現像手段と、像担持体上の残留トナーを清掃する清掃手段とが、像担持体の周囲でその回転方向へ並ぶように配置され、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電する滑剤が像担持体へ供給され、清掃手段と現像手段の間において、像担持体の軸方向に延存し、像担持体へ接触してこれを摩擦帯電させる摩擦帯電部材と、当該軸方向に延存し、像担持体の軸方向の表面電位分布を計測する表面電位計測手段とが、この順に前記回転方向に沿って設けられ、像担持体を摩擦帯電させてから表面電位分布を計測することにより、像担持体上の軸方向における潤滑剤の分布を検出する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-75777号公報
【文献】特開2016-24451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の特許文献1に記載の画像形成装置では、潤滑剤ムラの検出感度が不足しており、潤滑剤ムラを早期に検出することができないという課題がある。
【0011】
又、特許文献2に記載の画像形成装置では、表面電位の分布の計測の分解能は低く、やはり潤滑剤ムラを早期に検知できないという課題がある。
【0012】
この発明の目的は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、像担持体の表面の潤滑剤ムラを早期に精度良く検知することができる画像形成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
中間転写体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって前記中間転写体と像担持体とが接触した状態で塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を、画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(3)潤滑剤ムラ検知モードを有する画像形成装置であって、
像担持体と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(4)前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加は、前記潤滑剤の回収作用の低減によって行われる前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記潤滑剤の回収作用の低減は、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減、中間転写体と像担持体との離間の少なくともいずれかによって実現される前項1または前項3を引用する前項4に記載の画像形成装置。
(6)前記潤滑剤の回収作用の低減は、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減の少なくともいずれかによって実現される前項2を引用する前項4に記載の画像形成装置。
(7)前記像担持体は回転駆動され、前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加は、前記像担持体を複数回回転させることによって行われる前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記潤滑剤ムラ検知手段は、前記像担持体の表面の反射率を測定することにより、前記潤滑剤ムラを検知する前項1、前項2、前項1または前項2を引用する前項4、前項6、前項1または前項2を引用する前項7のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)前記潤滑剤ムラ検知手段は、前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記像担持体への潤滑剤の塗布量を増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記潤滑剤ムラを検知する前項1~8のいずれかに記載の画像形成装置。
(10)前記潤滑剤ムラ検知手段により潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラを抑制するための潤滑剤ムラ回復モードを備えている前項1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
(11)前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、前記像担持体に対する前記潤滑剤塗布部材の線速度を増大させる前項10に記載の画像形成装置。
(12)前記潤滑剤ムラ回復モードでは、非画像形成状態で前記像担持体と前記潤滑剤塗布手段を駆動する前項10または11に記載の画像形成装置。
(13)潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
(14)潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、中間転写体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって前記中間転写体と像担持体とが接触した状態で塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を、画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
(15)潤滑剤ムラ検知モードを有し、さらに像担持体と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記潤滑剤塗布手段によって塗布される前記像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させる塗布量増加ステップと、
前記塗布量増加ステップにより、潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知する潤滑剤ムラ検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
(16)前記塗布量増加ステップでは、前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、前記潤滑剤の回収作用の低減によって行う処理を前記コンピュータに実行させる前項13~15のいずれかに記載のプログラム。
(17)前記潤滑剤の回収作用の低減を、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減、中間転写体と像担持体との離間の少なくともいずれかによって実現する処理を前記コンピュータに実行させる前項13または前項15を引用する前項16に記載のプログラム。
(18)前記潤滑剤の回収作用の低減を、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減の少なくともいずれかによって実現する処理を前記コンピュータに実行させる前項14を引用する前項16に記載のプログラム。
(19)前記像担持体は回転駆動され、前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、前記像担持体を複数回回転させることによって行う処理を前記コンピュータに実行させる前項13~15のいずれかに記載のプログラム。
(20)前記潤滑剤ムラ検知ステップでは、前記像担持体の表面の反射率を測定することにより、前記潤滑剤ムラを検知する処理を前記コンピュータに実行させる前項13、前項14、前項13または前項14を引用する前項16、前項18、前項13または前項14を引用する前項19のいずれかに記載のプログラム。
(21)前記潤滑剤ムラ検知ステップでは、前記潤滑剤ムラ検知モードにおいて、前記像担持体への潤滑剤の塗布量を増加させた状態で、前記像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、前記潤滑剤ムラを検知する処理を前記コンピュータに実行させる前項13~20のいずれかに記載のプログラム。
(22)前記潤滑剤ムラ検知ステップにより潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラを抑制するための潤滑剤ムラ回復モードを前記コンピュータに実行させる前項13~21のいずれかに記載のプログラム。
(23)前記潤滑剤塗布手段は、前記像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、
前記潤滑剤ムラ回復モードでは、前記像担持体に対する前記潤滑剤塗布部材の線速度を増大させる処理を前記コンピュータに実行させる前項22に記載のプログラム。
(24)前記潤滑剤ムラ回復モードでは、非画像形成状態で前記像担持体と前記潤滑剤塗布手段を駆動する処理を前記コンピュータに実行させる前項22または23に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)及び(13)に記載の発明によれば、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、潤滑剤塗布手段によって塗布される像担持体への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、像担持体の表面の潤滑剤ムラを検知するから、潤滑剤ムラの検知感度を増大させることができ、潤滑剤ムラを早期に精度良く検知することができる。
【0015】
前項()及び(16)に記載の発明によれば、像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、潤滑剤の回収作用の低減によって行うことができる。
【0017】
前項()及び(17)に記載の発明によれば、潤滑剤の回収作用の低減を、現像装置と像担持体間の距離の拡大、現像バイアスの絶対値の低減、中間転写体と像担持体との離間の少なくともいずれかによって実現できる。
【0018】
前項()及び(19)に記載の発明によれば、像担持体は回転駆動され、潤滑剤塗布手段は、像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備えている場合に、像担持体への潤滑剤の塗布量の増加を、像担持体を複数回回転させることによって行うことができる。
【0019】
前項()及び(20)に記載の発明によれば、像担持体の表面の反射率を測定することにより、潤滑剤ムラが早期に精度良く検知される。
【0020】
前項()及び(21)に記載の発明によれば、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、像担持体への潤滑剤の塗布量を増加させた状態で、像担持体に形成された濃度ムラ測定用の画像か、当該画像の1次または複数次の転写によって得られた濃度ムラ測定用の画像の少なくともいずれかの濃度ムラ測定用の画像について測定された濃度ムラに基づいて、潤滑剤ムラが早期に精度良く検知される。
【0021】
前項(10)及び(22)に記載の発明によれば、潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラ回復モードにおいて潤滑剤ムラを抑制することができる。
【0022】
前項(11)及び(23)に記載の発明によれば、潤滑剤塗布手段は、像担持体と接触して潤滑剤を塗布する回転可能な潤滑剤塗布部材を備え、潤滑剤ムラ回復モードでは、像担持体に対する潤滑剤塗布部材の線速度を増大させることで、潤滑剤ムラを抑制することができる。
【0023】
前項(12)及び(24)に記載の発明によれば、潤滑剤ムラ回復モードでは、非画像形成状態で像担持体と潤滑剤塗布手段を駆動することで、像担持体への潤滑剤塗布量を増やし潤滑剤ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の要部断面図である。
図2】潤滑剤塗布装置の構成を示す図である。
図3】(A)(B)は潤滑剤の供給率と像担持体表面の潤滑剤量との関係をそれぞれ示す図である。
図4】潤滑剤ムラ検知モードにおける潤滑剤の供給率と像担持体表面の潤滑剤量との関係を示す図である。
図5】画像形成装置の潤滑剤ムラ検知モードにおける動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の要部断面図である。
【0027】
図1において、符号1は、潤滑剤塗布対象の像担持体である感光体ドラムである。感光体ドラム1は矢印a方向に回転するが、感光体ドラム1の周囲には回転方向に沿って、帯電部2、露光部3、現像部4、1次転写部材5や中間転写ベルト6などから成る転写手段、クリーニング部7が配置されている。
【0028】
中間転写ベルト6は、図1の紙面上から下へと走行移動する。中間転写ベルト6の移動方向において、1次転写部材5よりも前方側の中間転写ベルト6の表面(転写面)に対向する位置には、画像の濃度を測定する濃度センサ12が中間転写ベルト6の移動方向と直交する方向(CD方向)の全域にわたって配置されている。
【0029】
クリーニング部7は、主に感光体ドラム1に当接するクリーニングブレード71、潤滑剤塗布装置72、回収したトナーをクリーニング部7の外部に搬送する搬送スクリュー73等で構成されている。
【0030】
図1に示した画像形成装置では、帯電部2で帯電された感光体ドラム1の表面に、露光部3により画像データに応じた露光を行って静電潜像を形成した後、現像部4で現像して感光体ドラム1の表面に画像(トナー像)を形成する。
【0031】
この実施形態では、画像形成装置は、通常の画像形成モードと潤滑剤ムラ検知モードを有している。画像形成モードでは、感光体ドラム1上に形成された画像は、1次転写部材5により中間転写ベルト6に1次転写される。1次転写された中間転写ベルト6上の画像は、中間転写ベルト6によって図示しない2次転写位置に運ばれ、2次転写位置で2次転写部材によって用紙(シート)に転写される。用紙に転写された画像は定着装置で定着され、装置外へと排出される。
【0032】
中間転写ベルト6へ画像転写された感光体ドラム1は、クリーニング部7のクリーニングブレード71で残留トナーを除去回収される。回収されたトナーは搬送スクリュー73でクリーニング部7の外部へ搬送される。残留トナーを除去された感光体ドラム1の表面には、潤滑剤塗布装置72により潤滑剤が塗布される。
【0033】
潤滑剤塗布装置72は図2に示すように、潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ8と、固形の潤滑剤9と、押圧バネ10と、均一化部材11(図1に示す)を備えている。潤滑剤9は、潤滑剤塗布ブラシ8の下方位置において、下方から押圧バネ10による上方への付勢力を付与されて、潤滑剤塗布ブラシ8の下部領域に圧接した状態で設けられており、潤滑剤塗布ブラシ8に潤滑剤を供給する。潤滑剤塗布ブラシ8及び潤滑剤9は、感光体ドラム1の軸方向の全域にわたって延びている。
【0034】
潤滑剤塗布ブラシ8は図示しないモータ等の駆動手段により回転駆動されるローラの表面にブラシが配設された構成を有し、感光体ドラム1の表面に接触している。そして、感光体ドラム1の回転時に潤滑剤塗布ブラシ8のローラを回転させることにより、潤滑剤塗布ブラシ8により潤滑剤9を削り取って感光体ドラム1の表面に塗布する。なお、潤滑剤塗布部材は塗布ブラシではなく、塗布ローラであっても良い。
【0035】
潤滑剤は、感光体ドラム1の表面の摩擦係数を低下させ、感光体ドラム1およびクリーニング装置の負荷を低下させたり、トナーの転写効率を向上させたり、感光体ドラム1を放電生成物から保護する等の役割を担う。
【0036】
均一化部材11は、感光体ドラム1の表面に塗布された潤滑剤を均一に均す役割を果たす。なお、押圧バネ10の下端は、ハウジング14に取り付けられるカバー13に止着されている。
【0037】
画像形成装置は制御部100を備えている。この制御部100は、CPU101と、CPU101の動作プログラムその他のデータが格納されたROM102と、CPU101が動作する際の作業領域となるRAM103を備え、CPU101がROM102等に格納された動作プログラムに従って動作することにより、画像形成装置の全体を統括的に制御する。
【0038】
具体的には、制御部100は、画像形成部による画像形成動作を制御する。画像形成部は、感光体ドラム1、帯電部2、露光部3、現像部4、1次転写部材5、中間転写ベルト6、クリーニング部7、図示しない2次転写部材等、画像形成に係わる部材で構成される。
【0039】
更に制御部100は、潤滑剤塗布装置72による潤滑剤の感光体ドラム1に対する塗布量を変更したり、濃度センサ12によって測定された画像の濃度から画像の濃度ムラを算出したり、濃度ムラに基づいて潤滑剤の感光体ドラム1への潤滑剤ムラを検知したり、潤滑剤ムラの検知結果に基づいて、各種の判定や制御等を行うが、詳細については後述する。
[潤滑剤ムラ検知の考え方]
ところで、潤滑剤塗布装置72を備える画像形成装置では、潤滑剤の供給率と感光体ドラム1の表面の潤滑剤量には図3(A)に示すような関係がある。図3(A)では横軸に潤滑剤の供給率を、縦軸に感光体ドラム1の表面の潤滑剤量をそれぞれ示している。
【0040】
すなわち、像担持体である感光体ドラム1上の潤滑剤量は、潤滑剤塗布装置72から供給される潤滑剤の量と、均―化部材11、現像部4、中間転写ベルト6、クリーニング部7で回収される潤滑剤の回収量の関係によって決まる。回収量は潤滑剤の供給率が低い領域では少なく、供給率が高くなると多くなる傾向を持つ。
【0041】
そのため、画像形成時(画像形成モード時)の設定においては、図3(A)に示すように、感光体ドラム1上の潤滑剤量は、潤滑剤の供給量が多くなると増加率が小さくなる傾向を持つ。ここで、潤滑剤供給率は感光体ドラム1の移動距離に対する滑剤塗布装置72からの潤滑剤供給量をいう。
【0042】
さらに、画像形成時の潤滑剤供給量は、感光体ドラム1上の潤滑剤量の変動を小さくするため、増加率が小さい領域に設定される。例えば、潤滑剤の供給量が横軸方向で差(矢印A1)がある状態での感光体ドラム1上の潤滑剤量の差(矢印B1)は小さく画像ノイズとして現れず、検知することもできない。
【0043】
しかし、トナー外添剤が潤滑剤塗布装置72における潤滑剤塗布ブラシ8の感光体ドラム1との接触部分に徐々に付着して、潤滑剤塗布装置72が汚染されてくると、潤滑剤塗布量が低下する。
【0044】
例えば図3(B)のように、潤滑剤塗布装置72がある程度汚染され、潤滑剤供給量が低下した状態では、潤滑剤の供給量が横軸方向で差(矢印A2)がある状態での感光体ドラム1上の潤滑剤量差(矢印B2)は検出できるようになる。しかし、汚染による付着物の除去が困難になるため、潤滑剤供給量のムラを回復することは困難となる。
【0045】
このため、潤滑剤塗布装置72の汚染が少ない状態、すなわち潤滑剤供給量の低下が小さく潤滑剤供給量の差(潤滑剤ムラ)が小さい状態を検出する必要がある。
【0046】
そこで、この実施形態では図4に示すように、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、潤滑剤供給率が多いときの感光体ドラム1上の潤滑剤量を増加させることで、潤滑剤供給量差に対する感光体ドラム1上の潤滑剤量差を増大させ、潤滑剤供給量差つまり潤滑剤ムラの検知を可能とする。
【0047】
ここで、潤滑剤供給率が多いときの感光体ドラム1上の潤滑剤量の増加は、潤滑剤の回収作用の低減により可能となる。
[潤滑剤の回収作用の低減]
潤滑剤の回収作用の低減は、均一化部材11、現像部4、中間転写ベルト6、クリーニング部7の少なくとも一つの回収作用を低減することで可能である。
【0048】
現像部4により回収作用を低減する場合、現像部4と感光体ドラム1の距離の制御、現像部4で印加される現像バイアスの制御のいずれかより可能である。
【0049】
距離の制御では、現像部4と感光体ドラム1の距離を、画像形成時(例えば0.3mm)より広く(例えば0.5mm)することで回収作用を低減できる。
【0050】
バイアスの制御では、現像部4と感光体ドラム1間のバイアスの絶対値を低減することにより(例えば、画像形成時は-500V、潤滑剤ムラ検知モード時は0V)、あるいは交流電圧を重畳している場合は、その周波数の低減により回収作用を低減できる。
【0051】
中間転写ベルト6により回収作用を低減する場合、感光体ドラム1と中間転写ベルト6を離間することで可能である。
【0052】
ブレード形状の均一化部材11あるいはクリーニング部7のクリーニングブレード71により回収作用を低減する場合、均一化部材11あるいはクリーニングブレード71の感光体ドラム1に対する押圧力の低減(例えば、画像形成時は5N、潤滑剤ムラ検知モード時は1N)や、均一化部材11あるいはクリーニングブレード71の感光体ドラム1からの離間により可能である。
【0053】
また、均―化部材11の感光体ドラム1に対する当接角度を変化させる(画像形成時は15度、潤滑剤ムラ検知モード時は5度)ことによっても、回収作用を低減することができる。
【0054】
クリーニング部7がクリーニングブレード71ではなく、ブラシ形状あるいはローラー形状のクリーニング部材を備えている場合は、感光体ドラム1に対する押圧力の低減(例えば、画像形成時は2N、潤滑剤ムラ検知モード時は0.5N)や、クリーニング部材の感光体ドラム1からの離間により、回収作用の低減が可能である。また、回転数の低減(例えば、画像形成時は1.5回転、潤滑剤ムラ検知モード時は1回転)、バイアスの低減(例えば、画像形成時は-500V、潤滑剤ムラ検知モード時は0V)によっても回収作用を低減することができる。
[感光体ドラム上の潤滑剤量制御]
潤滑剤の回収作用を低減する制御を行ったうえで、あるいは行うことなく、潤滑剤塗布装置72の潤滑剤塗布動作と感光体ドラム1の駆動による感光体ドラム1上の潤滑剤量の制御を行うことで、感光体ドラム1上の潤滑剤量を画像形成時(印字時)よりも増加させることができる。
【0055】
具体例としては、例えば、感光体ドラム1上の潤滑剤量の制御において、感光体ドラム1の回転数が1回転ではなく複数回転(例えば10回転)となるように制御することにより、感光体ドラム1上の潤滑剤量を増やし、潤滑剤ムラの検知感度を向上することができる。
【0056】
また、感光体ドラム1と潤滑剤塗布装置72の潤滑剤塗布ブラシ8の速度比を複数水準持つことで、検出状態を制御することができる。例えば、潤滑剤塗布ブラシ8の回転速度を画像形成時(例えば速度比1.3)より大きく(例えば速度比1.5)することで、潤滑剤ムラの検知に必要な時間を短縮することができる。
【0057】
逆に潤滑剤塗布ブラシ8の速度を画像形成時より小さく(例えば速度比1.1)することで、細かな潤滑剤ムラまで検知することができる。
【0058】
また、潤滑剤塗布ブラシ8の回転数を感光体ドラム1の回転数の整数倍に設定することで、潤滑剤塗布ブラシ8や塗布ローラの回転方向の潤滑剤ムラを検出することができる。
[潤滑剤ムラの検知]
<検知タイミング>
潤潤滑剤潤滑剤ムラ検知モードにおける潤滑剤ムラの検知は、所定の印刷枚数毎(例えば5万枚毎)に実施するのか良い。検知タイミングは長くしても短くしても良い。検知タイミングを短くすると潤滑剤ムラの抑制機能が高くなる。
【0059】
更に、検知タイミングは耐久枚数に応じて変更しても良い。例えば、通常の画像形成時の濃度ムラが基準値を下回る時は、潤滑剤ムラが発生している可能性は低いため、検知タイミングとなる所定の印刷毎数を多く(例えば10万枚毎)、濃度ムラが基準値を上回る時は潤滑剤ムラの恐れがあるため、検知タイミングとなる所定の印刷毎数を少なく(例えば1万枚毎)設定しても良い。
【0060】
尚、潤滑剤ムラの検知タイミングは、低温時や印字率が高い時は検知間隔を短くするなど、設置環境や印字率に応じて変更しても良い。
<検知方法>
潤滑剤ムラの検知方法の一つとして、画像の濃度ムラ(濃度差)を測定することによる方法を挙げることができる。即ち、潤滑剤ムラが発生すると画像の濃度ムラが発生することから、濃度ムラを測定することにより潤滑剤ムラを検知する。
【0061】
具体的には、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、潤滑剤塗布装置72によって塗布される感光体ドラム1への潤滑剤の塗布量を、上述した方法で画像形成時よりも増加させた状態で、感光体ドラム1上に所定のパターン画像からなる濃度ムラ測定用画像を形成する。次に、感光体ドラム1上に形成したハーフトーン画像を中間転写ベルト6上に一次転写して、中間転写ベルト6上に濃度ムラ測定用画像を形成する。濃度ムラ測定用画像の濃度は、ベタを256階調として64階調に相当する濃度に設定するのが、濃度ムラを精度良く測定できる点で望ましい。
【0062】
一次転写された中間転写ベルト6上の濃度ムラ測定用画像は、中間転写ベルト6の搬送に伴い濃度センサ12を通過するときに濃度センサ12により画像の濃度が測定され、測定された濃度に基づいて制御部100により濃度ムラが算出される。
【0063】
なお、中間転写ベルト6に形成された濃度ムラ測定用画像は、濃度測定後はシートに2次転写されることなく消去されても良い。又、この実施形態では、濃度ムラ測定用画像を中間転写ベルト6に形成する構成となっているが、感光体ドラム1上に形成した濃度ムラ測定用画像の濃度を測定して濃度ムラを算出しても良い。
【0064】
あるいはさらに、中間転写ベルト6上の濃度ムラ測定用画像をシートに2次転写したのち図示しない定着装置で定着し、この定着されたシート上の濃度ムラ測定用画像の濃度を測定して濃度ムラを算出しても良い。この場合、濃度ムラ測定用画像の濃度測定や濃度ムラの算出を、画像形成装置が行うのではなく、画像形成装置に接続されている自動品質最適化ユニット(コニカミノルタ株式会社製のIQ-501)やスキャナ装置等の外部装置が、シートに転写定着された濃度ムラ測定用画像を読み込んで、濃度測定及び/又は濃度ムラの算出を行い、画像形成装置がその結果を受信して潤滑剤ムラを検知しても良い。
【0065】
また、中間転写ベルト6を備えていない画像形成装置においては、感光体ドラム1上に形成した濃度ムラ測定用画像の濃度ムラや、シートに転写定着した濃度ムラ測定用画像の濃度ムラを測定すれば良い。
【0066】
なお、感光体ドラム1を複数個備えたカラー画像形成装置では、カラー画像からなる濃度ムラ測定用画像を形成しても良いし、複数個の感光体ドラム1のうちの1個、例えばブラック用の感光体ドラム1を用いて、濃度ムラ測定用画像を形成しても良い。
【0067】
濃度センサ12は、通紙方向(中間転写ベルト6の移動方向)と直交する方向(CD方向)において、複数の位置の画像濃度を測定し、測定結果を制御部100に送信する。各測定位置の画像濃度は、通紙方向(FD方向)で複数回測定したデータを用いて算出する。制御部100のCPU101は、濃度センサ12から受信した濃度に基づき濃度差を算出し、潤滑剤ムラを算出する。潤滑剤ムラは、CD方向の各測定位置において、隣接する測定位置との濃度差を算出したときの、全ての測定位置の濃度差の最大値で定義される。この最大値が予め設定された基準値を超えていれば潤滑ムラありと判定される。
【0068】
潤滑剤ムラの他の検知方法として、感光体ドラム1の表面の反射率を測定することによる方法を挙げることができる。
【0069】
具体的には、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、潤滑剤塗布装置72によって塗布される感光体ドラム1への潤滑剤の塗布量を、上述した方法で画像形成時よりも増加させ、潤滑剤塗布後の感光体ドラム1の表面の反射率を、感光体ドラム1の軸方向(CD方向)において、複数の位置で測定し、測定結果を制御部100に送信する。各測定位置の反射率は、感光体ドラム1の回転方向で複数回測定したデータを用いて算出する。制御部100のCPU101は、測定された反射率に基づき測定値差を算出し、潤滑剤ムラを算出する。潤滑剤ムラは、CD方向の各測定位置において、隣接する測定位置との測定値差を算出したときの、全ての測定位置の測定値差の最大値で定義される。この最大値が予め設定された基準値を超えていれば潤滑ムラありと判定される。
【0070】
なお、感光体ドラム1の表面の反射率の測定方法は公知であり、例えば特開2016-75777号公報に記載された方法を用いれば良い。
[潤滑剤ムラの回復モード]
この実施形態では、潤滑剤ムラが検知された場合、非画像形成状態で所定時間潤滑剤の供給動作を実行しながら、感光体ドラム1を回転駆動し、潤滑剤の塗布量を増やして潤滑剤ムラを解消する回復モードを実施する。潤滑剤ムラが検知された場合に回復モードを実施するか否かを予め設定しておき、実施する設定がなされていた場合にのみ回復モードを実施しても良い。
【0071】
この回復モードにおいて、トナー像を形成しない白ベタ画像、あるいはCD方向の全幅にわたるトナー像を形成しても良い。この時のトナー像は平均カバレッジが低ければ帯状のベタ画像や線画像であっても良い。
【0072】
回復モードでは、感光体ドラム1に対する潤滑剤塗布ブラシ8の線速度を、通常よりも高く(例えば通常は1.3倍、回復モードでは1.4倍)設定することで、潤滑剤ムラの回復速度を上げることができる。
【0073】
回復モード後に潤滑剤ムラ検知モードによる潤滑剤ムラ検知を再実行することで、潤滑剤ムラの回復を確実にすることができる。
[潤滑剤ムラの回復設定]
潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラを回復させるために潤滑剤の塗布等の条件を回復条件に変更することで、印字を休止することなく潤滑剤ムラを回復することができる。また、回復条件に変更することで、潤滑剤ムラが生じやすい環境、印字率条件においても潤滑剤ムラを発生させることなく適切に印字を継続することができる。
【0074】
潤滑剤ムラの回復設定においては、画像形成時のシート間距離を長く設定することで、潤滑剤塗布ブラシ8の汚染を抑制しながら潤滑剤塗布機能の回復を行うことができる。あるいは、感光体ドラム1に対する潤滑剤塗布ブラシの線速度を、通常の画像形成時から変更することで、潤滑剤塗布ブラシ8の汚染を抑制することができる。例えば、低温環境では線速度を高くすることで潤滑剤の供給率を上げ、これによって、汚染された潤滑剤を適切に除去しながら画像を形成することができる。
【0075】
図5は、潤滑剤ムラ検知モードにおける画像形成装置の動作を示すフローチャートである。この動作は、制御部100のCPU101がROM102等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0076】
ステップS01で画像信号の入力を受け、ステップS02では潤滑剤ムラ検知モードの実行タイミングかどうかを判断する。実行タイミングでなければ(ステップS02でNO)、ステップS13に進み、通常の条件で画像形成(印字)を行う。
【0077】
実行タイミングであれば(ステップS02でYES)、ステップS03で、感光体ドラム1上の潤滑剤量の増量制御を実行したのち、ステップS04で潤滑剤ムラの測定を行う。
【0078】
ステップS05では、測定値と所定の潤滑剤ムラ基準値を比較し、潤滑剤ムラの有無を判定する。潤滑剤ムラが無ければ(ステップS05でNO)、ステップS13で通常の画像形成を行う。潤滑剤ムラが有れば(ステップS05でYES)、ステップS06に進む。
【0079】
ステップS06では、回復が可能かどうかを判断する。回復が可能かどうかは、潤滑剤ムラの程度や過去の履歴等から判断すれば良い。可能であれば(ステップS06でYES)、ステップS08に進む。可能でなければ(ステップS06でNO)、ステップS07で、潤滑剤等装置72が寿命であると判断して交換を促すメッセージを表示する。
【0080】
ステップS08では、潤滑剤ムラを抑制するための回復モードが設定されているかどうかを判断する。回復モードが設定されていれば(ステップS08でYES)、ステップS09で潤滑剤ムラ回復モードを設定し所定の回復処理を実行したのち、ステップS10に進む。ステップS08で回復モードが設定されていない場合は(ステップS08でNO)、そのままステップS10に進む。
【0081】
ステップS10では、回復条件が設定されているかどうかを調べる。回復条件が設定されていなければ(ステップS10でNO)、ステップS13で通常の条件で画像形成を行う。回復条件が設定されていれば(ステップS10でYES)、ステップS11で、潤滑剤の塗布条件等を回復条件に変更設定したのち、ステップS12で、変更後の回復条件で画像形成を行う。
【0082】
なお、ステップS08の回復モードかどうかの判断、ステップS09の回復モードの実行、ステップS10の回復条件が設定されているかどうかの判断、ステップS11の回復条件の設定は、潤滑剤ムラ検知モードのたびに実行するのが望ましいが、限定はされない。ただし、回復モードを実行すると印字開始が遅れるため、入力画像のカバレッジが低い場合(例えば5%)、あるいは周辺温度が一定以上(例えば28℃)の場合等、周辺環境や印字率等の所定の基準を設け、所定の基準を超える場合は実行しない構成としても良い。
【0083】
このように、この実施形態では、潤滑剤ムラ検知モードにおいて、潤滑剤塗布装置72によって塗布される感光体ドラム1への潤滑剤の塗布量を画像形成時よりも増加させた状態で、潤滑剤の潤滑剤ムラを検知するから、潤滑剤ムラの検知感度を増大させることができ、潤滑剤ムラを早期に精度良く検知することができる。
【0084】
また、潤滑剤ムラが検知された場合、潤滑剤ムラ回復モードにおいて、感光体ドラム1に対する潤滑剤塗布ブラシ8の線速度を増大させたり、非画像形成状態で感光体ドラム1と潤滑剤塗布装置72を駆動することで、感光体ドラム1への潤滑剤塗布量を増やし潤滑剤ムラを抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電部
3 露光部
4 現像部
5 1次転写部材
6 中間転写ベルト
7 クリーニング部
8 潤滑剤塗布ブラシ
9 潤滑剤
10 押圧バネ
11 均一化部材
12 濃度センサ
71 クリーニングブレード
72 潤滑剤塗布装置
図1
図2
図3
図4
図5