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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】送液装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/02 20060101AFI20241106BHJP
   F04B 53/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F04B23/02 E
F04B53/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020140480
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035871
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
(72)【発明者】
【氏名】今西 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】北村 佳久
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-065009(JP,A)
【文献】米国特許第05967623(US,A)
【文献】特開2007-096146(JP,A)
【文献】特開2020-068301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/02
F04B 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ機構と、補給機構と、を有し、
前記ポンプ機構は、
液体が流入する流入口と、
前記流入口から流入した前記液体が流出する流出口と、
前記流入口と前記流出口との間を連絡する連絡流路と、
前記液体を循環させるポンプと、
前記連絡流路の間に位置し、前記ポンプが配置されたポンプ室と、
を有し、
前記補給機構は、
前記連絡流路側が開口した有底筒状部材であり、開口箇所が前記連絡流路に接続され、少なくとも一部に前記液体を収容可能なシリンダーと、
前記シリンダー内部に配置され、前記シリンダーに沿って移動可能であり、前記シリンダー内の前記液体を封止する封止部材と、
前記封止部材を前記ポンプ室に向けて加圧し、前記シリンダーの延びる方向である加圧方向に移動可能である加圧部材と、
を有し、
前記ポンプ室は、前記ポンプに供給される液体を吸い込む吸込口を有し、
前記吸込口は、前記加圧方向に前記補給機構と対向する、送液装置。
【請求項2】
前記加圧部材は、前記シリンダーの底部と前記封止部材との間に配置されたバネを含む、請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記シリンダーの底部に孔が開いている、請求項2に記載の送液装置。
【請求項4】
前記連絡流路のうちの前記流入口と前記ポンプ室との間に位置する上流流路と接続し、
前記ポンプ室に隣接する補助タンクをさらに有する、請求項1から3のいずれかに記載の送液装置。
【請求項5】
前記シリンダーは、
前記連絡流路のうちの前記上流流路に対向する第1シリンダーと、
前記補助タンクと対向する第2シリンダーと、
を有する、請求項4に記載の送液装置。
【請求項6】
前記補給機構は、前記第1シリンダーと、前記第2シリンダーと、前記第1シリンダーと前記第2シリンダーとの間に位置する追加タンクとを収容する補給ケースをさらに有する、請求項5に記載の送液装置。
【請求項7】
前記補給機構は、前記連絡流路のうちの前記流入口と前記ポンプ室との間において、前記ポンプに前記液体を補給する、請求項1から6のいずれかに記載の送液装置。
【請求項8】
前記ポンプは、非自給式ポンプを含む、請求項1からのいずれかに記載の送液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプを用いて液体を送り出す送液装置は、種々の装置に用いられる。一例では、送液装置は、熱源を冷却するための冷媒を循環させる冷却装置に用いられる。送液装置を用いた循環冷却機構内において気泡が発生すると、熱交換効率が低下することが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の液冷装置では、重力方向にかかわらず冷媒液内の気泡が冷却対象物の冷却を妨げないようにするために、空気溜まりを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-162530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液冷装置では、循環経路から液体が蒸発することがある。この場合、ポンプの近傍の液体が不足すると、ポンプが空転していまい、液体が充分に循環されないことがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプの空転を抑制可能な送液装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な送液装置は、ポンプ機構と、補給機構と、を有する。前記ポンプ機構は、液体が流入する流入口と、前記流入口から流入した前記液体が流出する流出口と、前記流入口と前記流出口との間を連絡する連絡流路と、前記液体を循環させるポンプと、前記連絡流路の間に位置し、前記ポンプが配置されたポンプ室と、を有する。前記補給機構は、前記連絡流路側が開口した有底筒状部材であり、開口箇所が前記連絡流路に接続され、少なくとも一部に前記液体を収容可能なシリンダーと、前記シリンダー内部に配置され、前記シリンダーに沿って移動可能であり、前記シリンダー内の前記液体を封止する封止部材と、前記封止部材を前記ポンプ室に向けて加圧する加圧部材とを有する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、ポンプの空転を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、例示的な第1の実施形態の送液装置を有する冷却機構の模式図である。
図2図2は、例示的な第1の実施形態の送液装置の模式図である。
図3図3は、例示的な第1の実施形態の送液装置の模式的な分解斜視図である。
図4図4は、例示的な第2の実施形態の送液装置を有する冷却機構の模式図である。
図5図5は、例示的な第2の実施形態の送液装置の模式的な斜視図である。
図6図6は、例示的な第2の実施形態の送液装置の一部を透過した模式的な斜視図である。
図7図7は、例示的な第2の実施形態の送液装置の模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、Z軸は、鉛直方向に平行であり、X軸およびY軸は、水平方向に平行であるが、X軸、Y軸およびZ軸の向きは、これらに限定されない。
【0011】
まず、図1を参照して、例示的な第1の実施形態の送液装置100を有する冷却機構10を説明する。図1は、冷却機構10の模式図である。冷却機構10は、対象機器の冷却に用いられる。
【0012】
冷却機構10は、配管20と、ラジエータ30と、コールドプレート40と、送液装置100と、を有する。冷却機構10は、冷媒として液体を循環する。送液装置100が液体を順次送り出すことにより、冷却機構10において液体が循環する。
【0013】
送液装置100、ラジエータ30およびコールドプレート40は、配管20を介して接続する。送液装置100は、配管20を介して供給された液体を、ラジエータ30に向けて送り出す。液体は、送液装置100によって配管20を介してラジエータ30にまで送られる。ラジエータ30は、配管20を流れる液体の熱を外部に放出することで、配管20内の液体は冷却される。
【0014】
典型的には、コールドプレート40は、熱源Hの近くに配置される。例えば、コールドプレート40は、熱源Hに対向して配置される。あるいは、コールドプレート40は、熱源Hと接触して配置されてもよい。コールドプレート40に、ラジエータ30において冷却された液体が流れると、熱源Hの熱は、コールドプレート40を伝わって内部の液体に吸収される。その後、コールドプレート40を通過した液体は、送液装置100に戻り、再び、配管20に送り出される。
【0015】
冷却機構10において、循環する液体は、水であってもよい。あるいは、循環する液体は、混合液であってもよい。例えば、混合液は、水とプロピレングリコールの混合液であってもよい。
【0016】
配管20は、筒状である。例えば、配管20は、樹脂から形成される。一例では、配管20は、ゴムチューブである。
【0017】
配管20は、配管20aと、配管20bと、配管20cとを有する。配管20aは、送液装置100とラジエータ30とを繋ぐ。送液装置100から送り出された液体は、配管20aを通ってラジエータ30に向かって流れる。ラジエータ30により、液体の熱が放出される。このため、液体は、ラジエータ30において冷却される。
【0018】
配管20bは、ラジエータ30とコールドプレート40とを繋ぐ。ラジエータ30において冷却された液体は、配管20bを通ってコールドプレート40に向かって流れる。コールドプレート40において液体は、熱源Hからの熱を吸収する。
【0019】
配管20cは、コールドプレート40と送液装置100を繋ぐ。コールドプレート40において熱を吸収した液体は、配管20cを通って送液装置100に向かって流れる。液体は、送液装置100において押し出され、再び、配管20a、配管20bおよび配管20cを通って循環する。
【0020】
例えば、冷却機構10は、内部に発熱素子を有する電子機器を冷却してもよい。冷却機構10は、電子機器の回路を冷却してもよい。あるいは、冷却機構10は、電子機器の光源等を冷却してもよい。例えば、電子機器は、サーバ、プロジェクター、ノート型パーソナルコンピュータ、二次元ディスプレイ装置のいずれであってもよい。
【0021】
上述したように、液体は、配管20を通って流れる。この際に、液体が、配管20から蒸発することがある。特に、配管20として比較的安価なゴムチューブを用いる場合、冷却機構10を長期間使用すると、配管20から液体が徐々に蒸発して冷却機構10を循環する液体の量が減少することがある。
【0022】
次に、図2を参照して、例示的な第1の実施形態の送液装置100を説明する。図2は、送液装置100の模式図である。
【0023】
図2に示すように、送液装置100は、ポンプ機構110と、補給機構120とを有する。ポンプ機構110は、ポンプ機構110に供給された液体を送り出す。補給機構120は、ポンプ機構110に液体を補給する。補給機構120は、ポンプ機構110に取りつけられる。
【0024】
ポンプ機構110は、流入口112aと、流出口112bと、連絡流路114と、ポンプ室114pと、ポンプ116と、を有する。流入口112aには、液体が流入する。例えば、流入口112aには、配管20c(図1)が取り付けられる。流出口112bは、流入口112aから流入した液体が流出する。流出口112bには、配管20a(図1)が取り付けられる。連絡流路114は、流入口112aと流出口112bとの間を連絡する。ポンプ116は、液体を循環させる。ポンプ室114pは、連絡流路114の流入口112aから流出口112bまでの間に位置する。ポンプ室114pには、ポンプ116が配置される。
【0025】
連絡流路114は、流入口112aと流出口112bとの間を連絡する。流入口112aに流入した液体は、連絡流路114を流れて、流出口112bから流出する。ポンプ室114pにはポンプ116が配置される。ポンプ室114pは、連絡流路114の途中に位置する。本明細書において、連絡流路114のうちの流入口112aからポンプ室114pまでを上流流路114aと記載し、連絡流路114のうちのポンプ室114pから流出口112bまでを下流流路114bと記載することがある。
【0026】
上流流路114aには、溜め部114cが配置される。溜め部114cは、連絡流路114の一部を構成する。溜め部114cは、円筒形状である。溜め部114cの径は、上流流路114aの径よりも大きい。
【0027】
ポンプ室114pは、ポンプ116に供給される液体を吸い込む吸込口114sを有する。ポンプ機構110に流入口112aから液体が流入すると、液体は、連絡流路114を通って吸込口114sからポンプ室114pに流れる。ポンプ116は、液体を循環するために用いられる。ポンプ116は、流入口112aから流入した液体を流出口112bに向けて送り出す。ポンプ116によって押し出された液体は、ポンプ室114pから連絡流路114を通って流出口112bまで流れて流出口112bから外部に流される。
【0028】
補給機構120は、シリンダー122と、封止部材124と、加圧部材126とを有する。シリンダー122は、連絡流路114側が開口した有底筒状部材である。シリンダー122は、Z軸方向に延びる。シリンダー122の開口箇所は、連絡流路114に接続される。シリンダー122は、少なくとも一部に液体を収容できる。具体的には、シリンダー122内において、封止部材124を境に加圧部材126と反対側に液体が収容される。
【0029】
シリンダー122は、シリンダー122の開口箇所が溜め部114cと連通して配置される。このため、シリンダー122に収容された液体は、溜め部114cに供給される。ここでは、シリンダー122の内径(XY面に沿った長さ)は、溜め部114cの径とほぼ等しい。
【0030】
封止部材124は、シリンダー122内部に配置される。封止部材124は、シリンダー122に沿って移動可能である。封止部材124は、シリンダー122内の液体を封止する。加圧部材126は、封止部材124をポンプ室114pに向けて加圧する。
【0031】
例示的な第1の実施形態の送液装置100によれば、加圧部材126が、補給機構120のシリンダー122内の液体をシリンダー122内の封止部材124を介して連絡流路114に向けて加圧することにより、送液装置100内が加圧された状態となる。そのため、配管20などから液体が抜けた際、送液装置100内に空気が混入するのを防ぐことができる。そして、ポンプ116内に液体が充満されるため、ポンプ116の空転を抑制できる。特に、送液装置100自体の姿勢が変わるような機器の場合、姿勢によってはポンプ116側に空気が溜まってしまう場合があるが、第1の実施形態の送液装置100であれば、姿勢が変わってもポンプ116内には液体が充満された状態を保つことができる。また、連絡流路114とシリンダー122が連通する構造であるため、省スペース化できる。
【0032】
補給機構120は、連絡流路114のうちの流入口112aとポンプ室114pとの間(上流流路114a)においてポンプ機構110に液体を補給する。補給機構120がポンプ116の上流側に位置するため、仮に送液装置100と接続する配管20(図1)において液体が抜けていったとしても、ポンプ116内の液体が減少することを遅らせることができる。
【0033】
加圧部材126は、シリンダー122の底部と封止部材124との間に配置されたバネを含む。加圧部材126により、送液装置100を流れる液体が長期間にわたって徐々に蒸発する場合でも、ポンプ116内を液体が満たされるようにし、ポンプ116の空転を抑制できる。また、加圧部材126の部品として、比較的安価なバネを用いることで、上記機能を実現することができる。
【0034】
ポンプ116は、非自給式ポンプを含む。この場合、ポンプ116が自給能力を有さない非自給式ポンプであっても、空転を抑制できる。
【0035】
次に、図3を参照して、例示的な第1の実施形態の送液装置100を説明する。図3は、送液装置100の模式的な分解斜視図である。
【0036】
図3に示すように、ポンプ機構110は、筐体111を有する。筐体111の外形は、流入口112a、流出口112bおよび溜め部114cを除き、略直方体形状を有する。筐体111は、上面111aと、下面111bと、側面111cと、側面111dと、側面111eと、側面111fとを有する。上面111aは、下面111bの反対側に位置する。側面111cは、側面111eの反対側に位置し、側面111dは、側面111fの反対側に位置する。上面111aは、側面111cと、側面111dと、側面111eと、側面111fとを接続し、下面111bは、側面111cと、側面111dと、側面111eと、側面111fとを接続する。
【0037】
上面111aには連絡流路114が露出される。詳細には、上面111aに連絡流路114の上流流路114aが露出される。上面111aに対して、補給機構120が設置される。
【0038】
側面111cには、流入口112aおよび流出口112bが配置される。ここでは、流入口112aは、流出口112bよりも上面111a側に位置し、流出口112bは、流入口112aよりも下面111b側に位置する。
【0039】
側面111cには、連絡流路114が連結された流入口112aおよび流出口112が配置される。また、連絡流路114は、上面111aにおいて露出される一方で、下面111b、側面111c、側面111d、側面111eおよび側面111fから露出されない。
【0040】
補給機構120は、補給ケース121を有する。補給ケース121の外形は、貫通孔121hを除き、略直方体形状を有する。補給ケース121は、下面121aと、上面121bと、側面121cと、側面121dと、側面121eと、側面121fとを有する。下面121aは、上面121bの反対側に位置する。側面121cは、側面121eの反対側に位置し、側面121cは、側面121eの反対側に位置する。下面121aは、側面121cと、側面121dと、側面121eと、側面121fとを接続し、上面121bは、側面121cと、側面121dと、側面121eと、側面121fとを接続する。補給ケース121の下面121aは、筐体111の上面111aと対向する。
【0041】
下面121aには、孔121pが設けられる。孔121pは、Z軸方向に延びる。孔121pのXY断面は略円形状である。上面121bには、孔121qが設けられる。孔121pのXY断面は略円形状である。下面121aの孔121pの孔径は、上面121bの孔121qの孔径よりも大きい。
【0042】
孔121pは孔121qと接続する。このため、孔121pと孔121qとにより、下面121aから上面121bまで貫通する貫通孔121hが形成される。ここでは、孔121pの中心は孔121qの中心と直線状に位置する。
【0043】
貫通孔121hにシリンダー122が挿入される。上述したように、シリンダー122は、連絡流路114側が開口した有底筒状部材である。
【0044】
シリンダー122の外形は、略円筒形状を有する。シリンダー122は、下面122aと、上面122bと、外周面122cとを有する。下面122aには、孔122pが設けられる。孔122pは、Z軸方向に延びる。孔122pのXY断面は略円形状である。上面122bには、孔122qが設けられる。孔122pのXY断面は略円形状である。下面122aの孔122pの孔径は、上面122bの孔122qの孔径よりも大きい。
【0045】
孔122pは孔122qと接続する。このため、孔122pと孔122qとにより、下面122aから上面122bまで貫通する貫通孔122hが形成される。ここでは、孔122pの中心は孔122qの中心と直線状に位置する。
【0046】
シリンダー122の下面122aおよび上面122bのそれぞれの外径(XY面に沿った長さ)は、補給ケース121の貫通孔121hの孔121pよりも小さく、孔121qよりも大きい。このため、シリンダー122は、補給ケース121の貫通孔121hに挿入され、貫通孔121hに装着される。
【0047】
なお、孔121p、孔122p、孔122qおよび孔121qにより、シリンダー122が補給ケース121の貫通孔121hに挿入されても、補給ケース121の下面121aから上面121bまで貫通したままである。
【0048】
シリンダー122の上面122bに孔122qが開いている。また、補給ケース121の上面121bにも孔121qが開いている。このため、シリンダー122の加圧部材126近傍の気圧を大気圧と等しくできる。したがって、連絡流路114を流れる液体の量が減少しても、シリンダー122の加圧部材126側が負圧になることを抑制できる。
【0049】
なお、図2および図3では、加圧部材126の一例としてバネ(コイルバネ)を示したが、本実施形態はこれに限定されない。加圧部材126は、気体供給部であってもよい。この場合、加圧部材126が封止部材124に気体を供給することにより、シリンダー122内の液体を封止する封止部材124を加圧できる。
【0050】
なお、図1に示した冷却機構10は、1つのラジエータ30を有したが、冷却機構10は、2以上のラジエータを有してもよい。
【0051】
また、図2および図3に示した送液装置100では、補給機構200が1つのシリンダー122を有したが、補給機構200は、2本以上のシリンダーを有してもよい。
【0052】
次に、図4を参照して例示的な第2の実施形態の送液装置100を有する冷却機構10を説明する。図4は、冷却機構10の模式的な斜視図である。なお、図4の冷却機構10において、図1の冷却機構10と重複する説明は、冗長を避けるために省略する。
【0053】
図4に示すように、冷却機構10は、配管20と、ラジエータ30と、コールドプレート40と、送液装置100と、を有する。冷却機構10は、冷媒として液体を循環する。送液装置100が液体を順次送り出すことにより、冷却機構10において液体が循環する。
【0054】
送液装置100、ラジエータ30およびコールドプレート40は、配管20を介して接続する。送液装置100は、配管20を介して供給された液体を、ラジエータ30に向けて送り出す。液体は、送液装置100によって配管20を介してラジエータ30にまで送られる。ラジエータ30は、配管20を流れる液体の熱を外部に放出するため、配管20内の液体は冷却される。
【0055】
典型的には、コールドプレート40は、熱源の近くに配置される。例えば、コールドプレート40は、熱源に対向して配置される。あるいは、コールドプレート40は、熱源と接触して配置されてもよい。コールドプレート40に、ラジエータ30において冷却された液体が流れると、熱源の熱は、コールドプレート40を伝わって内部の液体に吸収される。その後、コールドプレート40を通過した液体は、送液装置100に戻り、再び、配管20に送り出される。
【0056】
配管20は、配管20aと、配管20bと、配管20cとを有する。配管20aは、送液装置100とラジエータ30とを繋ぐ。送液装置100から送り出された液体は、配管20aを通ってラジエータ30に向かって流れる。ラジエータ30により、液体の熱が放出される。このため、液体は、ラジエータ30において冷却される。
【0057】
配管20bは、ラジエータ30とコールドプレート40とを繋ぐ。ラジエータ30において冷却された液体は、配管20bを通ってコールドプレート40に向かって流れる。コールドプレート40において液体は、熱源からの熱を吸収する。
【0058】
配管20cは、コールドプレート40と送液装置100を繋ぐ。コールドプレート40において熱を吸収した液体は、配管20cを通って送液装置100に向かって流れる。液体は、送液装置100において押し出され、再び、配管20a、配管20bおよび配管20cを通って循環する。
【0059】
次に、図5図7を参照して、例示的な第2の実施形態の送液装置100を説明する。図5は、送液装置100の模式的な斜視図である。図6は、図5の送液装置100の一部を透過した模式的な斜視図である。図7は、送液装置100の模式的な分解斜視図である。なお、図5図7の送液装置100において、図2および図3を参照して上述した送液装置100と重複する説明は、冗長を避けるために省略する。
【0060】
図5図7に示すように、送液装置100は、ポンプ機構110と、補給機構120とを有する。ポンプ機構110は、液体を送り出す。補給機構120は、送液装置100に液体を補給する。補給機構120は、ポンプ機構110に取り付けられる。
【0061】
流入口112aには、液体が流入する。流出口112bは、流入口112aから流入した液体が流出する。流入口112aに流入した液体は、連絡流路114を流れて、流出口112bから流出する。ポンプ室114pにはポンプ116が配置される。ポンプ室114pは、連絡流路114の途中に位置する。
【0062】
連絡流路114は、流入口112aと流出口112bとの間を連絡する。ポンプ116は、液体を循環させる。ポンプ室114pは、連絡流路114の流入口112aから流出口112bまでの間に位置する。ポンプ室114pには、ポンプ116が配置される。ポンプ116は、液体を循環するために用いられる。
【0063】
図6に示すように、流入口112aから流入した液体は、筐体111内の連絡流路114を通り連絡口114rを介して溜め部114cに流れる。溜め部114cは、円柱形状の穴である。
【0064】
ポンプ室114pは、ポンプ116に供給される液体を吸い込む吸込口114sを有する。吸込口114sは、溜め部114cに位置する。吸込口114sは、連絡流路114を介して補給機構120と対向する。このように、ポンプ室114pの吸込口114sが補給機構120と対向するため、仮に加圧部材126の加圧が不充分になった状態で送液装置100の姿勢が変化しても、ポンプ室114pの吸込口114sに液体がない状態を避けることができる。
【0065】
送液装置100は、補助タンク118をさらに有する。ここでは、補助タンク118は、ポンプ機構110に配置される。補助タンク118は、上流流路114aと接続し、ポンプ室114pに隣接する。補助タンク118がポンプ室114pに隣接することにより、省スペースでポンプ116の空転を抑制できる。
【0066】
詳細には、補助タンク118は、連結部114dを介して溜め部114cと連結する。連結部114dは、X軸方向に延びる穴である。ここでは、連結部114dの深さ(Z軸方向の長さ)は、溜め部114cの深さ(Z軸方向の長さ)とほぼ等しい。一方で、補助タンク118の深さ(Z軸方向の長さ)は、溜め部114cおよび連結部114dの深さ(Z軸方向の長さ)よりも大きい。補助タンク118により、液体の蒸発量が比較的多くても、ポンプ116が空転することなく液体の循環を継続できる。
【0067】
シリンダー122は、第1シリンダー122Aと、第2シリンダー122Bとを有する。第1シリンダー122Aは、連絡流路114のうちの上流流路114aに対向する。第2シリンダー122Bは、補助タンク118と対向する。
【0068】
第1シリンダー122Aは、連絡流路114側が開口した有底筒状部材である。第1シリンダー122Aの開口箇所が連絡流路114に接続される。第1シリンダー122Aは、少なくとも一部に液体を収容できる。
【0069】
第1シリンダー122A内部に、第1封止部材124Aおよび第1加圧部材126Aが配置される。第1封止部材124Aは、第1シリンダー122Aに沿って移動可能である。第1封止部材124Aは、第1シリンダー122A内の液体を封止する。第1加圧部材126Aは、第1封止部材124Aをポンプ室114pに向けて加圧する。第1シリンダー122Aは、連絡流路114のうちの上流流路114aに対向する。
【0070】
第2シリンダー122Bは、連絡流路114側が開口した有底筒状部材である。第2シリンダー122Bの開口箇所が連絡流路114に接続される。第2シリンダー122Bは、少なくとも一部に液体を収容できる。
【0071】
第2シリンダー122B内部に、第2封止部材124Bおよび第2加圧部材126Bが配置される。第2封止部材124Bは、第2シリンダー122Bに沿って移動可能である。第2封止部材124Bは、第2シリンダー122B内の液体を封止する。第2加圧部材126Bは、第2封止部材124Bをポンプ室114pに向けて加圧する。第2シリンダー122Bは、連絡流路114のうちの補助タンク118に対向する。
【0072】
第1シリンダー122Aおよび第2シリンダー122Bのそれぞれに液体を収容できる。このため、液体の減少量が比較的多くても、ポンプ116の空転の抑制を継続できる。
【0073】
補給機構120は、第1シリンダー122Aと、第2シリンダー122Bと、追加タンク122Cとを収容する補給ケース121を有する。追加タンク122Cは、第1シリンダー122Aと第2シリンダー122Bとの間に位置する。ポンプ機構110と補給機構120とを組み立てることにより、送液装置100を構成できる。
【0074】
図7に示すように、第1シリンダー122Aのうちのポンプ機構110側の底面には、孔122p1が設けられ、反対側の底面には、孔122q1が設けられる。第1シリンダー122Aの孔122q1は、補給ケース121の孔121q1と連通する。
【0075】
また、第2シリンダー122Bのうちのポンプ機構110側の底面には、孔122p2が設けられ、反対側の底面には、孔122q2が設けられる。第2シリンダー122Bの孔122q2は、補給ケース121の孔121q2と連通する。
【0076】
第1シリンダー122Aに孔122q1が開いており、補給ケース121にも孔121q1が開いているため、シリンダー122の第1加圧部材126Aの気圧を大気圧と等しくできる。したがって、連絡流路114を流れる液体の量が減少しても、第1シリンダー122Aの第1加圧部材126A側が負圧になることを抑制できる。同様に、第2シリンダー122Bに孔122q2が開いており、補給ケース121にも孔121q2が開いているため、シリンダー122の第2加圧部材126Bの気圧を大気圧と等しくできる。したがって、連絡流路114を流れる液体の量が減少しても、第2シリンダー122Bの第2加圧部材126B側が負圧になることを抑制できる。
【0077】
なお、図1を参照した上述の説明では、送液装置100は、冷却機構10の一部として用いられたが、本実施形態はこれに限定されない。送液装置100は、冷却機構10以外の循環機構に用いられてもよい。
【0078】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0079】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、送液装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0081】
100 送液装置
110 ポンプ機構
112a 流入口
112b 流出口
114 連絡流路
114p ポンプ室
116 ポンプ
120 補給機構
122 シリンダー
124 封止部材
126 加圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7