(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】遊技球の発射装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
A63F7/02 308G
(21)【出願番号】P 2020144550
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】一色 信賢
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴志
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043409(JP,A)
【文献】特開2011-152246(JP,A)
【文献】特開2011-147722(JP,A)
【文献】特開2008-079874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に搭載され、遊技球を発射する発射装置であって、
遊技者による操作部の操作量が増加するほど高い駆動電圧を出力する電圧調整部と、
前記駆動電圧が高いほど、遊技球に加速度を与えて遊技球を発射する弾球部材による遊技球の発射速度が高くなるように、前記弾球部材を駆動する駆動部に供給する駆動電流を増加させる電流供給部と、
を有し、
前記電圧調整部は、
電源とグラウンドとの間に接続され、前記操作量が増加するほど、前記グラウンドと制御電圧が出力される端子間において高くなる抵抗値を有し、前記抵抗値が高くなるほど、前記端子から出力される前記制御電圧を高くする可変抵抗と、
前記制御電圧と所定の境界速度電圧とを比較し、前記制御電圧が前記境界速度電圧未満である場合、前記制御電圧を、遊技球が所定の位置まで到達可能な発射速度に相当する下限速度電圧に設定する比較部と、
前記制御電圧に応じた前記駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、
を有し、
前記所定の位置は、前記遊技機における前記遊技球の発射位置から前記遊技機における遊技領域までの経路において、前記発射装置により発射されたにもかかわらず、前記遊技領域まで到達しない遊技球を回収するための戻り通路が設けられる位置であり、
前記境界速度電圧は、前記発射装置により発射された遊技球が前記戻り通路を超え、かつ、前記遊技領域に到達しない発射速度に相当する電圧である
、発射装置。
【請求項2】
前記電圧調整部は、
前記可変抵抗から出力される前記制御電圧が、前記発射装置により発射された遊技球が前記遊技領域に到達する発射速度に相当する基準電圧よりも高いか否か判定する判定部と、
前記可変抵抗から出力される前記制御電圧が前記基準電圧よりも高い場合、前記境界速度電圧及び前記下限速度電圧を前記基準電圧以上の電圧に変更する発射速度調整部とをさらに有する、請求項
1に記載の発射装置。
【請求項3】
前記電圧調整部は、前記遊技機の遊技状態に応じて前記境界速度電圧及び前記下限速度電圧を設定する発射速度調整部をさらに有する、請求項
1に記載の発射装置。
【請求項4】
前記発射速度調整部は、前記遊技機の遊技状態が特定の遊技状態である場合、前記境界速度電圧及び前記下限速度電圧を、前記発射装置により発射された遊技球が前記遊技機における遊技領域内の所定の方向へ向かう発射速度に相当する電圧に設定する、請求項
3に記載の発射装置。
【請求項5】
遊技機に搭載され、遊技球を発射する発射装置であって、
遊技者による操作部の操作量が増加するほど高い駆動電圧を出力する電圧調整部と、
前記駆動電圧が高いほど、遊技球に加速度を与えて遊技球を発射する弾球部材による遊技球の発射速度が高くなるように、前記弾球部材を駆動する駆動部に供給する駆動電流を増加させる電流供給部と、
を有し、
前記電圧調整部は、
電源とグラウンドとの間に接続され、前記操作量が増加するほど、前記グラウンドと制御電圧が出力される端子間において高くなる抵抗値を有し、前記抵抗値が高くなるほど、前記端子から出力される前記制御電圧を高くする可変抵抗と、
前記制御電圧と所定の境界速度電圧とを比較し、前記制御電圧が前記境界速度電圧未満である場合、前記制御電圧を、遊技球が所定の位置まで到達可能な発射速度に相当する下限速度電圧に設定する比較部と、
前記制御電圧に応じた前記駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、
を有し、
前記境界速度電圧及び前記下限速度電圧は、前記発射装置により発射された遊技球が前記遊技機における遊技領域まで到達する発射速度に相当する電圧である
、発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球の発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機には、遊技球を発射するための発射装置が搭載されている。このような発射装置は、遊技者が意図した位置へ向けて遊技球を発射できるようにするために、遊技者による発射装置の操作部(例えば、回動可能なハンドル)の操作量(例えば、ハンドルの回転角)に応じて遊技球の発射速度を調節することが可能となっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発射装置を有する遊技機では、遊技球の発射速度が低すぎる場合、遊技球が遊技領域まで到達せず、遊技球の発射位置に戻ってきてしまい、球詰まりの原因となることがある。
【0005】
そこで、本発明は、遊技球の球詰まりを防止することが可能な遊技球の発射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの形態として、遊技機に搭載され、遊技球を発射する発射装置が提供される。この発射装置は、遊技者による操作部の操作量が増加するほど高い駆動電圧を出力する電圧調整部と、駆動電圧が高いほど、遊技球に加速度を与えて遊技球を発射する弾球部材による遊技球の発射速度が高くなるように、弾球部材を駆動する駆動部に供給する駆動電流を増加させる電流供給部とを有する。そして電圧調整部は、電源とグラウンドとの間に接続され、操作量が増加するほど、グラウンドと制御電圧が出力される端子間において高くなる抵抗値を有し、抵抗値が高くなるほど、その端子から出力される制御電圧を高くする可変抵抗と、制御電圧と所定の境界速度電圧とを比較し、制御電圧がその境界速度電圧未満である場合、その制御電圧を、遊技球が所定の位置まで到達可能な発射速度に相当する下限速度電圧に設定する比較部と、制御電圧に応じた駆動電圧を生成する駆動電圧生成部とを有する。
係る構成を有することにより、この発射装置は、遊技球の球詰まりを防止することができる。
【0007】
この発射装置において、所定の位置は、遊技機における遊技球の発射位置から遊技機における遊技領域までの経路において、発射装置により発射されたにもかかわらず、遊技領域まで到達しない遊技球を回収するための戻り通路が設けられる位置であり、境界速度電圧は、発射装置により発射された遊技球が戻り通路を超え、かつ、遊技領域に到達しない発射速度に相当する電圧であることが好ましい。
これにより、この発射装置は、遊技領域に到達しなかった遊技球が確実に回収されるようにすることができるので、遊技領域に到達しなかった遊技球が発射位置まで戻ることで生じる球詰まりを確実に防止することができる。
【0008】
また、この発射装置において、電圧調整部は、可変抵抗から出力される制御電圧が、発射装置により発射された遊技球が遊技機における遊技領域に到達する発射速度に相当する基準電圧よりも高いか否か判定する判定部と、可変抵抗から出力される制御電圧が基準電圧よりも高い場合、境界速度電圧及び下限速度電圧を基準電圧以上の電圧に変更する発射速度調整部とをさらに有することが好ましい。
係る構成を有することにより、この発射装置は、遊技球が一旦遊技領域に到達するようになると、それ以降に発射される遊技球を確実に遊技領域に到達させることが可能となる。その結果として、遊技領域まで到達せずに回収された遊技球に遊技者が気付かず、遊技者が遊技機会を損なうことを防止できる。
【0009】
あるいは、この発射装置において、電圧調整部は、遊技機の遊技状態に応じて境界速度電圧及び下限速度電圧を設定する発射速度調整部をさらに有することが好ましい。
係る構成を有することにより、この発射装置は、遊技の状態に応じて遊技球が発射される方向を調整することができる。
【0010】
この場合において、発射速度調整部は、遊技機の遊技状態が特定の遊技状態である場合、境界速度電圧及び下限速度電圧を、発射装置により発射された遊技球が遊技領域内の所定の方向へ向かう発射速度に相当する電圧に設定することが好ましい。
係る構成を有することにより、この発射装置は、遊技の状態が特定の遊技状態である場合に、遊技球を特定の方向へ向けて発射することを容易化できる。
【0011】
また、この発射装置において、境界速度電圧及び下限速度電圧は、発射装置により発射された遊技球が遊技機における遊技領域まで到達する発射速度に相当する電圧であることが好ましい。
これにより、この発射装置は、発射された遊技球を遊技領域に確実に到達させることができるので、発射された遊技球が発射位置まで戻ることで生じる球詰まりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一つの実施形態による、遊技球を発射する発射装置が搭載された遊技機の概略正面図である。
【
図2】本発明の一つの実施形態による発射装置の分解斜視図である。
【
図3】本発明の一つの実施形態による発射装置の断面図である。
【
図4】発射装置が有する発射回路の回路構成図である。
【
図5】電圧調整回路及び発射用電流供給回路の一例を示す回路図である。
【
図6】(a)は、可変抵抗から出力される制御電圧と、発射ソレノイドに供給される励磁電流との関係を示す図である。(b)は、下限速度電圧と遊技球の到達位置との関係の一例を示す、遊技機の概略正面図である。
【
図7】変形例による、電圧調整回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一つの実施形態による遊技球の発射装置を、図を参照しつつ説明する。この発射装置は、遊技者による操作部の操作量に応じた励磁電流を、遊技球を発射するための弾球部材を駆動する発射ソレノイドに供給することで、その操作量に応じた発射速度で遊技球を発射する。そして発射された遊技球は、遊技機に形成された所定の経路を通過して遊技領域に達する。ただし、遊技球の発射速度があまりに低いと、遊技球が遊技領域まで達せずに、発射位置へ戻ってきてしまい、球詰まりを生じるおそれがある。そこでこの発射装置は、操作部の操作量が少なくても、所定の経路上に設けられた、遊技領域から発射位置へ戻る遊技球(以下、戻り球と呼ぶことがある)を回収するための戻り球通路を超える位置まで到達するだけの発射速度を遊技球に与えるよう、発射ソレノイドに供給する励磁電流を制御する。これにより、この発射装置は、遊技球の球詰まりを防止する。
【0014】
図1は、本発明の一つの実施形態による、遊技球を発射する発射装置が搭載された遊技機の概略正面図である。
図1に示すように、遊技機1は、上部から中央部の大部分の領域に設けられ、かつ遊技領域を形成する遊技盤2と、下部に配設された球受け部3及び回転ハンドル4などで構成される。遊技機1では、遊技者が回転ハンドル4を回動させると、遊技機1に内蔵された発射装置が、一定の発射間隔で、その回転角に応じた発射速度で遊技球を発射する。回転ハンドル4は、操作部の一例である。なお、回転ハンドル4には、遊技者が回転ハンドル4に触れたことを検知するタッチスイッチ(図示せず)、及び、遊技球の発射を停止するためのストップスイッチ(図示せず)が設けられる。発射された遊技球は、遊技盤2の側方に設けられ、遊技球の発射位置から遊技領域までの経路を形成するレール5に沿って上方へ移動し、遊技盤2上に設けられた多数の障害釘(図示せず)の間を落下する。そして、その落下する遊技球が入賞口6に入ると、すなわち、入賞すると、所定個数の遊技球が、遊技盤2の背面に設置された賞球払出装置(図示せず)を通じて球受け部3へ払い出される。さらに、遊技盤2の略中央部に配設された表示装置7は、入賞の有無などに応じて様々に変化する遊技情報を遊技者に表示する。さらに、レール5の途中には、発射された遊技球が、遊技領域の入り口であるレール5の上端まで到達せず、発射位置へ戻る方向へ進む戻り球を回収するための戻り球通路5aが形成されている。そして戻り球通路に入った戻り球は、球受け部3へ戻される。
【0015】
図2は、本発明の一つの実施形態による発射装置の分解斜視図である。また
図3は、発射装置の断面図である。
図2及び
図3に示されるように、発射装置10は、遊技球を弾いて発射させる弾球鎚11と、弾球鎚11を駆動する発射ソレノイド12と、誘導通路20内に遊技球を係止するための係止部材13と、係止部材13を駆動して、誘導通路内20内の遊技球を発射位置まで移動させる球送りソレノイド14を有する。発射装置10は、さらに、発射ソレノイド12及び球送りソレノイド14を駆動するための電流を供給する発射回路を有する。発射回路の詳細については後述する。
【0016】
弾球鎚11は、遊技球に加速度を与えて遊技球を発射する弾球部材の一例であり、その一端が発射ソレノイド12に対して接近しまたは遠ざかるように回動可能に取り付けられる。また、弾球鎚11の他端には、待機通路21上の発射位置にある遊技球Pを弾く突起状の鎚部分11aが形成されている。そして弾球鎚11は、発射回路から発射ソレノイド12に供給される励磁電流に応じた回転速度で回動することで、発射位置の遊技球Pを鎚部分11aで打撃することにより、遊技球Pにその回転速度に応じた加速度を与えて遊技球Pを発射する。
【0017】
発射ソレノイド12は、駆動部の一例であり、発射回路から供給される励磁電流に応じた磁力を発生させる。発射ソレノイド12は、発生させた磁力にて弾球鎚11を回転駆動することにより、発射回路から供給される励磁電流に応じた発射速度で遊技球を発射させる。
【0018】
係止部材13は、
図1に示された球受け部3から供給される遊技球Pを受け口22から取り込み、送り口23から誘導通路20へ誘導する。受け口22から送り口23へと遊技球を誘導する誘導経路は、発射装置10の筐体によって形成される。
【0019】
係止部材13の一方の端部は、遊技球を保持可能な球受け部13aとして形成されており、誘導通路20内に位置するように配置される。一方、係止部材13の他方の端部は誘導通路20外に位置し、誘導通路20が形成される面と直交する方向に沿って設けられる回転軸13bに固定されている。また、係止部材13は、球受け部13aと回転軸13bとを連結する連結部上に磁性体13cを有する。これら球受け部13a、磁性体13c、及び回転軸13bは、球送りソレノイド14が生じる磁力が磁性体13cに作用することで、球受け部13aが回転軸13bを軸として誘導通路20上を往復揺動するように配置されている。
【0020】
係止部材13は、球受け部13aが誘導通路20の送り口23の側の第1の位置に揺動した状態において、受け口22から流れ込む遊技球Pを球受け部13aによって阻止して遊技球Pが誘導通路20を通過して流下できないようにする。
【0021】
一方、係止部材13は、球受け部13aが誘導通路20の受け口22の側の第2の位置に揺動した状態において、受け口22から流れ込む遊技球Pを球受け部13aに保持する。その後、球受け部13aが誘導通路20の送り口23の側に揺動すると、球受け部13aに保持された遊技球Pは、送り口23から待機通路21へと流下することが可能となる。
【0022】
球送りソレノイド14は、誘導通路20外において係止部材13の磁性体13cと対向する位置に配置され、発射回路から供給される励磁電流に応じた磁力を発生させる。そして球送りソレノイド14は、発生させた磁力を磁性体13cに作用させて、係止部材13の球受け部13aを誘導通路20の受け口22と送り口23の間で往復揺動させる。
【0023】
以下に、発射回路の詳細について説明する。発射回路は、所定の発射周期にて、遊技機の回転ハンドル4を通じて指定された発射速度で遊技球を発射するように、発射ソレノイド12に供給する励磁電流及び球送りソレノイド14に供給する励磁電流を制御する。
【0024】
図4は、発射回路15の回路構成図である。
図4に示されるように、発射回路15は、駆動許否信号生成回路31と、制御信号生成回路32と、球送り用電流供給回路33と、電圧調整回路34と、発射用電流供給回路35と、発射回路15の各部に直流の定電圧を供給する定電圧生成回路36とを有する。
【0025】
駆動許否信号生成回路31は、回転ハンドル4に設けられたタッチスイッチ41及びストップスイッチ42からの信号に基づいて、遊技球の発射を許可するか否かを判定し、遊技球の発射を許可する場合に、遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ許否信号を生成し、一方、遊技球の発射を許可しない場合、遊技球の発射が許可されないことを示す信号値を持つ許否信号を生成する。そして駆動許否信号生成回路31は、生成した許否信号を制御信号生成回路32へ出力する。そのために、駆動許否信号生成回路31は、例えば、タッチスイッチ41からの信号及びストップスイッチ42からの信号を入力とするアンド回路を有し、アンド回路は、タッチスイッチ41からの信号及びストップスイッチ42からの信号の何れも、遊技球の発射を許可することを表す値を有する場合に限り、遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ許否信号を出力する。なお、駆動許否信号生成回路31は、タッチスイッチ41及びストップスイッチ42からの信号だけでなく、発射装置10の外部からの信号、例えば、遊技機の払出し機構部(図示せず)から送信された発射停止信号もアンド回路の入力としてよい。この場合、アンド回路は、タッチスイッチ41からの信号及びストップスイッチ42からの信号だけでなく、アンド回路に入力される他の信号も、遊技球の発射を許可することを表す値を有する場合に限り、遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ許否信号を出力するように構成されればよい。
【0026】
制御信号生成回路32は、所定の発射周期を持つ制御信号を生成し、その制御信号を、駆動許否信号生成回路31から、遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ許否信号を受信している間に限り、球送り用電流供給回路33及び発射用電流供給回路35へ出力する。
【0027】
そのために、制御信号生成回路32は、例えば、発振器と、分周回路と、アンド回路と、遅延回路とを有する。発振器は、所定の周期を持つ発振信号を生成し、その発振信号を分周回路へ出力する。分周回路は、発振器からの発振信号を分周することで所定の発射周期を持つ制御信号(例えば、発射周期ごとに一つのパルスを有するパルス信号)を生成し、その制御信号をアンド回路へ出力する。アンド回路には、制御信号とともに許否信号が入力される。そしてアンド回路は、許否信号が遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ場合に限り、制御信号をそのまま出力する。アンド回路から出力された制御信号は、球送り用電流供給回路33へ出力されるとともに、遅延回路を介して、遊技球が誘導通路20から待機通路21へ誘導されるのに要する時間だけ遅延されて、発射用電流供給回路35へ出力される。なお、制御信号生成回路32は、上記の構成に限られず、遊技球の発射が許可されることを示す信号値を持つ許否信号を受信している間に限り、発射周期を持つ制御信号を生成し、かつ出力することが可能な構成を有していればよい。
【0028】
球送り用電流供給回路33は、制御信号生成回路32から制御信号を受信している間、発射周期ごとに球送りソレノイド14へ励磁電流を供給する。そのために、球送り用電流供給回路33は、例えば、直流電源とグラウンドとの間において球送りソレノイド14と直列に接続されるMOSFETといったスイッチング素子を有する。そしてMOSFETのゲート端子といった、スイッチング素子のスイッチング端子が制御信号生成回路32と接続される。そのため、球送り用電流供給回路33に制御信号(例えば、上記のようなパルス信号)が入力されている間、発射周期ごとにスイッチング素子がONとなり、スイッチング素子がONとなっている間、直流電源から球送りソレノイド14に励磁電流が供給される。
【0029】
電圧調整回路34は、電圧調整部の一例であり、回転ハンドル4の回転角が大きくなるほど高くなる駆動電圧を生成し、その駆動電圧を発射用電流供給回路35へ出力する。発射用電流供給回路35は、電流供給部の一例であり、制御信号生成回路32から制御信号を受信している間、発射周期ごとに駆動電圧に応じた励磁電流を発射ソレノイド12に供給する。なお、発射用電流供給回路35から発射ソレノイド12に供給される励磁電流は、発射ソレノイド12を駆動するための駆動電流の一例である。
【0030】
図5は、電圧調整回路34及び発射用電流供給回路35の一例を示す回路図である。
図5に示されるように、電圧調整回路34は、3個の可変抵抗51~53と、閾値電圧設定回路54と、比較回路55と、増加比調整回路56とを有する。
【0031】
可変抵抗51は、回転ハンドル4に内蔵され、定電圧生成回路36とグラウンドとの間において、固定抵抗器VRbと直列に接続される。なお、固定抵抗器VRbは省略されてもよい。そして可変抵抗51は、回転ハンドル4の回転角が大きくなるほど抵抗値が小さくなる抵抗VRc1と、回転ハンドル4の回転角が大きくなるほど抵抗値が大きくなる抵抗VRc2とを有し、抵抗VRc1と抵抗VRc2とは、定電圧生成回路36側からグラウンド側へ順に直列に接続される。なお、抵抗VRc1と抵抗VRc2の抵抗値の和は一定である。そして抵抗VRc1と抵抗VRc2との間の出力端子から、回転ハンドル4の回転角が大きくなるほど高くなる制御電圧Vinが出力される。
【0032】
可変抵抗52は、定電圧生成回路36とグラウンドとの間において、可変抵抗51と並列に接続される。そして可変抵抗52と定電圧生成回路36との間の出力端子から下限速度電圧VSET1が出力され、その下限速度電圧VSET1は、比較回路55に入力される。下限速度電圧VSET1は、遊技球の発射速度の下限値に相当する電圧であり、可変抵抗52が有する抵抗値が高くなるほど、下限速度電圧VSET1は高くなる。
【0033】
可変抵抗53は、定電圧生成回路36とグラウンドとの間において、可変抵抗51及び可変抵抗52のそれぞれと並列に接続される。そして可変抵抗53と定電圧生成回路36との間の出力端子から境界速度電圧VSET2が出力され、その境界速度電圧VSET2は、閾値電圧設定回路54に入力される。境界速度電圧VSET2は、発射装置10により発射された遊技球が戻り球通路5aを超える所定の位置まで到達するための最小の発射速度に相当する電圧であり、可変抵抗53が有する抵抗値が高くなるほど、境界速度電圧VSET2は高くなる。なお、遊技球が戻り球通路5aに確実に到達できるようにするために、下限速度電圧VSET1は、境界速度電圧VSET2以上に設定されることが好ましい。
【0034】
閾値電圧設定回路54は、可変抵抗53の出力端子からの境界速度電圧VSET2を保持する。そして閾値電圧設定回路54は、境界速度電圧VSET2を比較回路55へ通知する。
【0035】
比較回路55は、比較部の一例であり、可変抵抗51の出力端子からの制御電圧Vinと境界速度電圧VSET2とを比較する。そして比較回路55は、制御電圧Vinが境界速度電圧VSET2以上である場合には、制御電圧Vinをそのまま増加比調整回路56へ出力する。一方、制御電圧Vinが境界速度電圧VSET2未満である場合、比較回路55は、制御電圧Vinを可変抵抗52の出力端子からの下限速度電圧VSET1に変更して増加比調整回路56へ出力する。
【0036】
なお、閾値電圧設定回路54及び比較回路55は、上記の処理を実行するためのアナログ回路またはデジタル回路として構成されてもよく、あるいは、一つマイクロコントローラとして一体的に構成されてもよい。閾値電圧設定回路54及び比較回路55がマイクロコントローラとして構成される場合、閾値電圧設定回路54は、入力された境界速度電圧VSET2をアナログ/デジタル変換することで、境界速度電圧VSET2に相当する値を求め、その値を比較回路55へ通知してもよい。同様に、比較回路55は、入力された制御電圧Vinをアナログ/デジタル変換することで、制御電圧Vinに相当する値を求めてもよい。そして比較回路55は、境界速度電圧VSET2に相当する値と制御電圧Vinに相当する値とを比較することで、上記の比較回路55の処理を実行してもよい。
【0037】
増加比調整回路56は、駆動電圧生成部の一例であり、比較回路55から出力された電圧制御電圧Vinに応じた駆動電圧V1を生成するとともに、制御電圧Vinの増加に対する駆動電圧V1の増加の比率を所定の比率に設定する。そのために、増加比調整回路56は、オペアンプOP1と、二つの固定抵抗器VRa及びR1とを有する。オペアンプOP1の非反転入力端子には、比較回路55から出力された制御電圧Vinが入力され、オペアンプOP1の反転入力端子には、オペアンプOP1の出力端子から出力される電圧が入力される。さらに、オペアンプOP1の出力端子から出力される電圧は、抵抗器R1を介して駆動電圧V1となり、発射用電流供給回路35へ供給される。
【0038】
また、抵抗器VRaの一端は、抵抗器R1と発射用電流供給回路35との間に接続され、抵抗器VRaの他端は接地される。
【0039】
発射用電流供給回路35は、オペアンプOP2を有する。オペアンプOP2の非反転入力端子は、電圧調整回路34と、MOSFETといったスイッチング素子(図示せず)を介して接続される。またスイッチング素子のスイッチング端子は、制御信号生成回路32と接続される。したがって、制御信号生成回路32から出力された制御信号がスイッチング素子に入力されている場合に限り、発射周期ごとに電圧調整回路34から出力された駆動電圧V1がオペアンプOP2の非反転入力端子に入力される。一方、オペアンプOP2の反転入力端子は、オペアンプOP2の出力端子と、発射ソレノイド12を介して接続されるとともに、抵抗器R2を介して接地される。
【0040】
したがって、制御電圧Vinと、駆動電圧V1及びオペアンプOP2の反転入力端子に入力される電圧V2と、発射ソレノイド12に供給される励磁電流Ioutとの間に、次式で表される関係が成立する。なお、以下の説明では、個々の抵抗器の抵抗値は、その抵抗器の参照符号で表される。また、定電圧生成回路36から供給される定電圧はVCCで表される。
Vin = VCC*(VRc2+VRb)/(VRc1+VRc2+VRb)
V1 = V2 = Vin*VRa/(R1+VRa) (1)
Iout = V2/R2
【0041】
(1)式に示されるように、励磁電流Ioutは、発射ソレノイド12の状態に依存しない。また、回転ハンドル4の回転角が増加するほど、すなわち、可変抵抗51のグラウンド側の抵抗VRc2の抵抗値が増加するとともに電源側の抵抗VRc1の抵抗値が減少するにつれて、可変抵抗51から出力される制御電圧Vinは高くなり、制御電圧Vinが高くなるにつれて、駆動電圧V1も線形に増加する。したがって、回転ハンドル4の回転角が増加するほど、発射ソレノイド12に供給される励磁電流Ioutも増加して、発射ソレノイド12が生じる磁力が強くなるので、遊技球の発射速度も大きくなる。ただし、回転ハンドル4の回転角がゼロ、すなわち、抵抗VRc2がゼロでも、可変抵抗51から出力される制御電圧Vinは、ゼロとならず、定電圧生成回路36から供給される定電圧VCCを、抵抗VRc1と抵抗値VRbとで分圧して得られる電圧となる。また、増加比調整回路56の抵抗器VRaの抵抗値が大きくなるほど、制御電圧Vinの増加に対する、駆動電圧V1の増加の比率も高くなり、その結果として、回転ハンドル4の回転角の増加に対する発射ソレノイド12に供給される励磁電流Ioutの増加の比率も高くなる。
【0042】
図6(a)は、可変抵抗51から出力される制御電圧Vinと、発射ソレノイド12に供給される励磁電流Ioutとの関係を示す図である。また、
図6(b)は、下限速度電圧VSET1と遊技球の到達位置との関係の一例を示す、遊技機1の概略正面図である。
図6(a)において、横軸は制御電圧Vinを表し、縦軸は励磁電流Ioutを表す。グラフ601は、本実施形態による、制御電圧Vinと励磁電流Ioutの関係を表す。なお、
図6(a)に示される例では、下限速度電圧VSET1と境界速度電圧VSET2とは同じ値に設定されている。
【0043】
グラフ601に示されるように、本実施形態では、回転ハンドル4の回転角が小さく、可変抵抗51から出力される制御電圧Vinが境界速度電圧VSET2以下である場合、比較回路55により、その制御電圧Vinは、下限速度電圧VSET1に変更されてから増加比調整回路56に入力されるので、励磁電流Ioutは、下限速度電圧VSET1に対応する一定値となる。そのため、回転ハンドル4の回転角が小さくても、発射装置10により発射された遊技球は、
図6(b)において点線で示される、戻り球通路5aを超える位置602までは到達するので、その発射された遊技球が発射位置まで戻ることはない。また、可変抵抗51から出力される制御電圧Vinが境界速度電圧VSET2以上となる場合には、制御電圧Vinが増加するにつれて励磁電流Ioutも大きくなる。したがって、回転ハンドル4の回転角が増加するにつれて、遊技球の発射速度も速くなる。
【0044】
以上に説明してきたように、この発射装置は、操作部の操作量が少なくても、遊技球が戻り球通路に到達できる発射速度を遊技球に与えるよう、発射ソレノイドに供給する励磁電流を制御する。したがって、この発射装置は、遊技球が発射位置へ戻ることを防止して、遊技球の球詰まりを防止することができる。
【0045】
変形例によれば、
図6(b)にて点線で示されるレール先端位置603まで、すなわち、遊技領域まで、発射装置10にて発射された遊技球が到達可能なように、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2は設定されてもよい。この場合には、発射装置10にて発射された遊技球は、レール5を確実に超えて遊技領域に到達するので、遊技球の球詰まりがより確実に防止される。なお、この場合には、発射装置10にて発射された遊技球がレール5を発射装置10側へ戻ることはないので、戻り球通路5aは省略されてもよい。
【0046】
他の変形例によれば、電圧調整回路34は、遊技球が遊技領域に到達したか否かにより、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を変更することが可能なように構成されてもよい。例えば、遊技球が遊技領域に到達するようになるまでは、電圧調整回路34は、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球が戻り球通路5aを超え、かつ、レール5の先端を超えない位置まで到達するように設定する。一方、遊技球が遊技領域に到達すると、それ以降、電圧調整回路34は、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球がレール5の先端を超える位置まで到達するように設定する。
【0047】
図7は、この変形例による、電圧調整回路341の一例を示す回路図である。この変形例による電圧調整回路341は、
図5に示される電圧調整回路34と比較して、可変抵抗52及び53の代わりに、3個の可変電圧源61~63と、コンパレータ64と、発射速度パラメータ制御回路65とを有する点で相違する。そこで以下では、この相違点及び関連部分について説明する。
【0048】
3個の可変電圧源61~63は、それぞれ、発射速度パラメータ制御回路65からの制御信号に応じた電圧を生成し、生成した電圧を出力する。これらの可変電圧源のうち、可変電圧源61は、発射速度パラメータ制御回路65からの制御信号に従って下限速度電圧VSET1を生成し、下限速度電圧VSET1を比較回路55へ出力する。また、可変電圧源62は、発射速度パラメータ制御回路65からの制御信号に従って境界速度電圧VSET2を生成し、生成した境界速度電圧VSET2を閾値電圧設定回路54へ出力する。さらに、可変電圧源63は、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を変更するか否かを判定するための基準電圧VSET3を生成し、その基準電圧VSET3をコンパレータ64へ出力する。なお、可変電圧源61~63は、出力する電圧を2段階以上に変更可能な電源であればよい。
【0049】
コンパレータ64は、判定部の一例であり、可変抵抗51から出力された制御電圧Vinが基準電圧よりも高いか否か判定し、その判定結果を表す信号を発射速度パラメータ制御回路65へ出力する。そのために、可変電圧源63からの基準電圧VSET3は、コンパレータ64の反転入力端子に入力され、制御電圧Vinは、コンパレータ64の非反転入力端子に入力される。そしてコンパレータ64の出力端子は、発射速度パラメータ制御回路65と接続される。そしてコンパレータ64は、制御電圧Vinが基準電圧VSET3以上よりも高いか否かで異なる電圧を持つ信号を発射速度パラメータ制御回路65へ出力する。
【0050】
発射速度パラメータ制御回路65は、発射速度調整部の一例であり、例えば、マイクロコントローラとして構成される。発射速度パラメータ制御回路65は、発射装置10に電源が投入されると、下限速度電圧VSET1を、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球が戻り球通路5aを超え、かつ、レール5の先端を超えない位置まで到達する電圧V1aに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源61へ出力する。同様に、発射速度パラメータ制御回路65は、発射装置10に電源が投入されると、境界速度電圧VSET2を、発射装置10により発射された遊技球が戻り球通路5aを超え、かつ、レール5の先端を超えない位置まで到達するときの発射速度に相当する電圧V2aに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源62へ出力する。すなわち、発射装置10に電源が投入され、遊技球が遊技領域に到達するようになるまでは、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2は、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球が戻り球通路5aを超え、かつ、レール5の先端を超えない位置まで到達するように設定される。さらに、発射速度パラメータ制御回路65は、発射装置10に電源が投入されると、基準電圧VSET3を、発射装置10により発射された遊技球がレール5の先端に到達するときの発射速度に相当する電圧V2bに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源63へ出力する。
【0051】
一方、遊技球が遊技領域に到達するようになると、可変抵抗51から出力された制御電圧Vinが、基準電圧VSET3よりも高くなったことを表す信号がコンパレータ64から発射速度パラメータ制御回路65に入力されるようになる。この場合、発射速度パラメータ制御回路65は、下限速度電圧VSET1を、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球がレール5の先端を超える位置に到達する電圧V1bに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源61へ出力する。同様に、発射速度パラメータ制御回路65は、境界速度電圧VSET2を、発射装置10により発射された遊技球がレール5の先端を超える位置まで到達するときの発射速度に相当する電圧V2bに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源62へ出力する。すなわち、一旦、遊技球が遊技領域に到達するようになると、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2は、発射装置10により下限速度電圧VSET1に相当する発射速度にて発射された遊技球が遊技領域に到達するように設定される。さらに、発射速度パラメータ制御回路65は、基準電圧VSET3を、発射装置10により発射された遊技球がレール5の先端にまで到達しない発射速度に相当する電圧、例えば、上記の電圧V2aに設定する制御信号を生成し、その制御信号を可変電圧源63へ出力する。したがって、一旦、遊技球が遊技領域に到達するようになると、制御電圧Vinが基準電圧VSET3以下となるまでは、発射装置10により発射された遊技球は常に遊技領域に到達する。
【0052】
その後、回転ハンドル4の回転角が小さくなり、制御電圧Vinが基準電圧VSET3以下となったことを表す信号がコンパレータ64から発射速度パラメータ制御回路65に入力されるようになると、発射速度パラメータ制御回路65は、下限速度電圧VSET1を電圧V1aに戻す制御信号を可変電圧源61に出力するとともに、境界速度電圧VSET2を電圧V2aに戻す制御信号を可変電圧源62に出力する。さらに、発射速度パラメータ制御回路65は、基準電圧VSET3を電圧V2bに戻す制御信号を可変電圧源63に出力する。したがって、下限速度電圧VSET1、境界速度電圧VSET2及び基準電圧VSET3は、発射装置10の電源投入直後におけるそれらの電圧に設定される。なお、発射速度パラメータ制御回路65は、制御電圧Vinが基準電圧VSET3以下となったことを表す信号が所定期間(例えば、遊技球の発射間隔の数倍程度の期間)にわたってコンパレータ64から入力された場合に限り、上記のように、下限速度電圧VSET1、境界速度電圧VSET2及び基準電圧VSET3を発射装置10の電源投入直後におけるそれらの電圧に設定するよう、各可変電圧源に対して制御信号を出力してもよい。
【0053】
この変形例によれば、遊技球が一旦遊技領域に到達するようになると、回転ハンドル4の回転角が多少小さくなっても遊技球は確実に遊技領域に到達するように、発射ソレノイド12に供給される励磁電流が制御される。そのため、遊技者が、遊技の途中または終了間際において、遊技領域まで到達せずに、戻り球通路5aを介して回収された遊技球があることに気付かずに遊技を終了して、遊技者が遊技機会を損なうことを防止できる。
【0054】
また、この変形例において、発射速度パラメータ制御回路65は、遊技機1の遊技状態に応じて、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を設定してもよい。例えば、発射速度パラメータ制御回路65は、遊技機1の上位の制御装置からの遊技状態を表す制御信号に基づいて、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2を設定してもよい。例えば、発射速度パラメータ制御回路65は、上位の制御装置から、遊技機の現在の遊技状態が、大当たりといった特定の遊技状態であることを表す制御信号が入力されると、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2のそれぞれを、遊技球が特定の方向(例えば、レール5と反対側の遊技領域の端部、
図1では、右端)へ向かう電圧に設定する制御信号を、可変電圧源61、62へ出力する。これにより、遊技機の遊技状態が特定の遊技状態である間、回転ハンドル4の回転角によらずに遊技球は常に特定の方向へ向けて発射されるので、遊技者は容易に遊技球をその特定の方向へ向けて発射することができる。
【0055】
また、発射速度パラメータ制御回路65は、上位の制御装置から、遊技機の現在の遊技状態が通常の遊技状態であることを表す制御信号が入力されると、下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2のそれぞれを、発射装置10により発射された遊技球が戻り球通路5aを超え、かつ、レール5の先端を超えない位置まで到達するときの発射速度に相当する電圧に設定する制御信号を、可変電圧源61、62へ出力する。これにより、電圧調整回路341は、遊技機の遊技状態が通常の遊技状態である場合には、上記の実施形態と同様に、発射された遊技球が発射位置まで戻って球詰まりが生じることを防止しつつ、遊技者による回転ハンドル4の回転角に応じた方向へ遊技球を向かわせることができる。なお、この場合には、上位の制御装置からの制御信号に従って下限速度電圧VSET1及び境界速度電圧VSET2が設定されるので、可変電圧源63及びコンパレータ64は省略されてもよい。
【0056】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機
2 遊技盤
3 球受け部
4 回転ハンドル
5 レール
5a 戻り球通路
6 入賞口
7 表示装置
10 発射装置
11 弾球鎚
11a 鎚部分
12 発射ソレノイド
13 係止部材
13a 球受け部
13b 回転軸
13c 磁性体
14 球送りソレノイド
15 発射回路
20 誘導通路
21 待機通路
22 受け口
23 送り口
31 駆動許否信号生成回路
32 制御信号生成回路
33 球送り用電流供給回路
34、341 電圧調整回路
35 発射用電流供給回路
36 定電圧生成回路
41 タッチスイッチ
42 ストップスイッチ
51~53 可変抵抗
54 閾値電圧設定回路
55 比較回路
56 増加比調整回路
61~63 可変電圧源
64 コンパレータ
65 発射速度パラメータ制御回路