IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図8
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図9
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図10
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図11
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図12
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図13
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図14
  • 特許-情報処理装置およびプログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20241106BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241106BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G06F30/10
G06T19/00 600
H05K3/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020157339
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051071
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】照井 義隆
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-090785(JP,A)
【文献】特開2019-139347(JP,A)
【文献】特開2013-238947(JP,A)
【文献】特開2007-004303(JP,A)
【文献】国際公開第2018/192613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G06T 19/00
H05K 3/00
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板により実現される複数の機能のうちの一部の機能が指定された場合、指定された機能を実現する際に使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示する
情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板を用いた電子機器が行う複数の動作のうちの一部の動作が指定された場合、指定された動作を実行するために使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示する
情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記設計情報を取得しなかった部品及び配線が配置されている領域上に、前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報を表示する請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報が、当該部品又は配線の拡大表示画像である請求項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報が、当該部品又は配線に関する注意情報である請求項記載の情報処理装置。
【請求項6】
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板により実現される複数の機能のうち部品及び配線に関連する情報を表示する機能の指定を利用者から受け付けるステップと、
利用者により指定された機能を実現する際に使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板を用いた電子機器が行う複数の動作のうち部品及び配線に関連する情報を表示する動作の指定を利用者から受け付けるステップと、
利用者により指定された動作を実行するために使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示装置の表示性能や動作状況に応じた、CADデータから抽出された加工後ワークの頂点数又はポリゴン数の最適量を算出して削減し、削減された頂点又はポリゴンに基づいて加工後ワークの3次元モデルを表示するようにした数値制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-042423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、撮影された画像に含まれる全ての物体の配置情報を取得して当該画像に含まれる物体に関連する情報を表示する場合と比較して、取得する配置情報のデータ量を削減することが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[情報処理装置]
請求項1に係る本発明は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板により実現される複数の機能のうちの一部の機能が指定された場合、指定された機能を実現する際に使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示する
情報処理装置である。
請求項2に係る本発明は、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板を用いた電子機器が行う複数の動作のうちの一部の動作が指定された場合、指定された動作を実行するために使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示する
情報処理装置である。
【0009】
請求項に係る本発明は、前記プロセッサが、前記設計情報を取得しなかった部品及び配線が配置されている領域上に、前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報を表示する請求項1又は2記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項に係る本発明は、前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報が、当該部品又は配線の拡大表示画像である請求項記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項に係る本発明は、前記設計情報を取得した部品及び配線に関する情報が、当該部品又は配線に関する注意情報である請求項記載の情報処理装置である。
【0012】
[プログラム]
請求項に係る本発明は、撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板により実現される複数の機能のうち部品及び配線に関連する情報を表示する機能の指定を利用者から受け付けるステップと、
利用者により指定された機能を実現する際に使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項7に係る本発明は、撮影されたプリント配線基板の画像上に当該プリント配線基板の画像に含まれる複数の部品及び配線に関連する情報をそれぞれ重畳して表示する際に、利用者により前記プリント配線基板を用いた電子機器が行う複数の動作のうち部品及び配線に関連する情報を表示する動作の指定を利用者から受け付けるステップと、
利用者により指定された動作を実行するために使用される部品及び配線の設計情報のみを取得して、前記プリント配線基板の画像上に重畳して表示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、撮影されたプリント配線基板の画像に含まれる全ての部品及び配線の設計情報を取得して当該画像に含まれる部品及び配線に関連する情報を表示する場合と比較して、取得する設計情報のデータ量を削減することが可能な情報処理装置を提供することができる。
また、請求項1に係る本発明によれば、利用者は情報を表示させたい部品又は配線が使用される機能を指定するだけで、目的の部品又は配線に関連する情報をプリント配線基板の画像上に表示させることができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、撮影されたプリント配線基板の画像に含まれる全ての部品及び配線の設計情報を取得して当該画像に含まれる部品及び配線に関連する情報を表示する場合と比較して、取得する設計情報のデータ量を削減することが可能な情報処理装置を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明によれば、利用者は情報を表示させたい部品又は配線が使用される電子機器の動作を指定するだけで、目的の部品又は配線に関連する情報をプリント配線基板の画像上に表示させることができる。
【0017】
請求項に係る本発明によれば、目的の部品又は配線に関連する情報を表示しない領域を有効利用することができる。
【0018】
請求項に係る本発明によれば、目的の部品又は配線の拡大表示画像を利用者に表示することが可能となる。
【0019】
請求項に係る本発明によれば、目的の部品又は配線に関する注意情報を利用者に表示することが可能となる。
【0020】
請求項に係る本発明によれば、撮影されたプリント配線基板の画像に含まれる全ての部品及び配線の設計情報を取得して当該画像に含まれる部品及び配線に関連する情報を表示する場合と比較して、取得する設計情報のデータ量を削減することが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項6に係る本発明によれば、利用者は情報を表示させたい部品又は配線が使用される機能を指定するだけで、目的の部品又は配線に関連する情報をプリント配線基板の画像上に表示させることができる。
請求項7に係る本発明によれば、撮影されたプリント配線基板の画像に含まれる全ての部品及び配線の設計情報を取得して当該画像に含まれる部品及び配線に関連する情報を表示する場合と比較して、取得する設計情報のデータ量を削減することが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項7に係る本発明によれば、利用者は情報を表示させたい部品又は配線が使用される電子機器の動作を指定するだけで、目的の部品又は配線に関連する情報をプリント配線基板の画像上に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムのシステム構成を示す図である。
図2】カメラ20によりプリント配線基板30を撮影して、撮影されたプリント配線基板30の画像上にAR表示を行う様子を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態における端末装置10の機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態においてAR表示を行うプリント配線基板30の一例を示す図である。
図6】プリント配線基板30をカメラ20により撮影した画像上にAR表示を行って端末装置10のディスプレイ上に表示された状態の一例を示す図である。
図7】分類テーブル記憶部37に記憶されるユニット分類テーブルの一例を示す図である。
図8】分類テーブル記憶部37に記憶される機能分類テーブルの一例を示す図である。
図9】分類テーブル記憶部37に記憶される動作分類テーブルの一例を示す図である。
図10】CAD設計情報ファイルを管理サーバ40からダウンロードして取得する際の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】端末装置10において、利用者が部品情報及び配線情報を表示する部品及び配線パタンを動作分類により選択する場合を示す図である。
図12】利用者が動作番号301により特定される「スキャンした画像をUSBメモリに格納」という動作を選択した場合のAR表示例を示す図である。
図13】AR表示を行わない部品や配線パタンが設けられている領域をグレイアウト表示した場合の一例を示す図である。
図14】グレイアウト表示領域上に、指定された部品又は配線パタンの拡大画像を表示した場合の一例を示す図である。
図15】不具合解析上の注意情報をグレイアウト表示領域上に表示した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態の情報処理システムの構成を示す図である。
【0024】
近年、電子機器内に内蔵されるプリント配線基板の面積が小さくなる傾向にあり、部品の実装密度が高くなっている。従来では、プリント配線基板には実装する部品の部品番号等の情報をシルク印刷等により記載していたが、プリント配線基板上にシルク印刷を行うスペースがなくなってきている。また、部品番号等の情報を印刷できたとしても印刷する情報を省略したり、文字を小さくしたりせざるを得ず、十分な情報をプリント配線基板から直接得られなくなってきている。
【0025】
そこで、本実施形態の情報処理システムでは、プリント配線基板をカメラ20により撮影して、端末装置10のディスプレイ上において撮影されたプリント配線基板の画像上に、このプリント配線基板上に配置された複数の部品及び配線パタンのうちから指定された部品又は配線パタンに関する情報を重畳して表示する。
【0026】
本実施形態の情報処理システムは、図1に示すように、プリント配線基板を設定した際のCAD(Computer-Aided Design)設計情報ファイルを格納している管理サーバ40と、端末装置10とがインターネット等のネットワーク50により接続された構成となっている。そして、端末装置10には、AR(Augmented Reality(拡張現実)の略)表示を行う対象のプリント配線基板を撮影するためのカメラ20が接続されている。
【0027】
このカメラ20によりプリント配線基板30を撮影して、撮影されたプリント配線基板30の画像上にAR表示を行う様子を図2に示す。
【0028】
図2に示されるように、プリント配線基板30上には、基準位置を特定するためのマーカ61が設けられており、端末装置10では、カメラ20により撮影されたプリント配線基板30の画像からマーカ61を検出して、検出したマーカ61の位置に基づいて、プリント配線基板30の画像上に部品や配線パタンに関する情報の画像を重畳してディスプレイ上に表示する。
【0029】
その際に、端末装置10は、ネットワーク50を介して管理サーバ40から、AR表示を行おうとするプリント配線基板30上に実装された部品や部品間を接続している配線パタンの配置情報であるCAD設計情報ファイルをダウンロードして取得し、取得したCAD設計情報ファイルからプリント配線基板30上の部品情報や配線情報を抽出してAR表示を行っている。
【0030】
具体的には、本実施形態の情報処理システムでは、カメラ20により撮影したプリント配線基板30の画像を端末装置10のディスプレイ上に表示して、表示されたプリント配線基板30の画像上に部品番号や部品の種類等の部品情報や、配線パタンがどの部品のどの端子間を接続しているかを示す配線情報をAR表示する。
【0031】
次に、本実施形態の情報処理システムにおける端末装置10のハードウェア構成を図3に示す。
【0032】
端末装置10は、図3に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0033】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、端末装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0034】
図4は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される端末装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態の端末装置10は、図4に示されるように、操作入力部31と、表示部32と、データ送受信部33と、表示制御部34と、配置情報記憶部35と、画像取得部36と、分類テーブル記憶部37とを備えている。
【0036】
操作入力部31は、利用者により行われた各種操作情報を入力する。表示部32は、表示制御部34により制御され、利用者に各種情報を表示する。
【0037】
データ送受信部33は、カメラ20や管理サーバ40等の外部の装置との間でデータの送受信を行う。画像取得部36は、データ送受信部33を介してカメラ20において撮影されたプリント配線基板30の画像等を取得する。
【0038】
配置情報記憶部35は、プリント配線基板30上に実装されている部品や、各部品の端子間を接続している配線パタンの配置場所等に関する配置情報を記憶している。この配置情報は、管理サーバ40からダウンロードしたCAD設計情報ファイルから必要な情報のみを抽出して生成される。または、CAD設計情報ファイルそのものを配置情報として配置情報記憶部35において記憶するようにしても良い。
【0039】
この配置情報記憶部35に記憶される配置情報としては、部品についてはプリント配線基板上の基準点からの位置情報および部品番号の情報が部品毎に記憶され、配線パタンについては、配転パタン番号と、どの部品の何番目の端子からどの部品の何番目の端子を接続しているのかという情報と、構成されている直線パタンの本数と、それぞれの直線パタンの始点と終点の位置情報とが配線パタン毎に記憶されている。
【0040】
表示制御部34は、配置情報記憶部35に記憶されている配置情報と、プリント配線基板30上におけるマーカ61の基準点との相対的位置情報に基づいて、プリント配線基板31上の部品や配線パタンの近傍や上にシルク印刷の代替となる部品番号や部品名、配線パタンがどのような接続を行っているかという接続情報等をプリント配線基板30の画像上に重畳したりするようなAR表示を行う。
【0041】
本実施形態においてAR表示を行うプリント配線基板30の一例を図5に示す。図5を参照すると、プリント配線基板30上には、様々な部品が配置されているが、その部品名や部品番号等の部品情報が印刷されていないのが分かる。
【0042】
そして、このプリント配線基板30をカメラ20により撮影した画像上にAR表示を行って端末装置10のディスプレイ上に表示された状態の一例を図6に示す。
【0043】
図6を参照すると、プリント配線基板30の画像上において、配置された部品の近傍や上に「IC101」等の部品番号や「CPU」という部品名の情報が重畳されるとともに、それぞれの配線パタンがどの部品とどの部品を接続しているのかが分かるような配線情報が重畳して表示されているのが分かる。
【0044】
なお、図5及び図6は、あくまでも本実施形態における端末装置10の動作を説明するための一例であり、実際にはもっと数多くの部品は配線パタンがプリント配線基板30上に設けられる。
【0045】
そのため、プリント配線基板30がカメラ20により撮影された後に、プリント配線基板30上に配置されている全ての部品や配線パタンのCAD設計情報を管理サーバ40からダウンロードして取得したのでは、CAD設計情報を取得するための時間が長くなるとともに、拠点間の転送情報量が多くなりトラフィックを圧迫してしまうことになる。その結果、カメラ20によりプリント配線基板30を撮影してから、部品情報や配線情報を重畳して表示するまでの時間が長くなってしまうことになる。
【0046】
しかし、例えばユーザのオフィス等に設置された複合機の不具合をカスタマーエンジニア等が設定場所まで出向いて解析して修理するような場合に本実施形態の情報処理システムを用いた場合、不具合の原因となった箇所を特定する際には必ずしもプリント配線基板30上に配置されている全部の部品や配線パタンの情報が必要となるわけではない。
【0047】
そのため、本実施形態の端末装置10では、操作入力部31を介して、プリント配線基板30上の部品や配線パタンを、機能、動作又はユニット単位で分類して、撮影されたプリント配線基板30の画像上にその画像に含まれる複数の部品や配線パタンに関連する部品情報や配線情報をそれぞれ重畳して表示する際に、部品情報や配線情報を表示する部品や配線パタンの指定を、機能、動作又はユニット単位で利用者から受け付ける。そして、表示制御部34は、プリント配線基板30上に配置された部品や配線パタンのうちの利用者により指定された部品及び配線パタンのCAD設計情報のみを管理サーバ40からダウンロードして取得し、プリント配線基板30の画像上に重畳して表示する。
【0048】
次に、図4に示した分類テーブル記憶部37に記憶される分類テーブルの一例を図7図9に示す。
【0049】
図7の分類テーブルでは、ユニット分類テーブルの一例が示されており、プリント配線基板30上の部品や配線パタンをユニット単位で分類したテーブルとなっている。ここで、ユニットとは、配線パタンの場合には、ある部品の端子と別の部品の端子間を接続する1つの配線パタンを意味し、部品の場合には、その部品の1つの端子を意味している。なお、このユニットの単位としては、どのような単位としてもよく1つの部品全体を1つのユニットとしても良いし、複数の部品をまとめて1つのユニットとしても良い。
【0050】
図7に示したユニット分類テーブル例では、例えば、ユニット番号が101のユニットは、「IC101 8ピン」であり、部品番号がIC101の部品の8ピンとなっている。そして、ユニット番号が101のユニットの部品名としては、この端子を含む全体の部品の部品名として「CPU」という部品名が対応付けられている。
【0051】
ただし、このユニット分類テーブルでは、部品情報等を表示したいユニットを1つずつ指定しなければならない。
【0052】
そのため、図8に示す機能分類テーブルを用いて、機能毎に複数のユニットを指定できるようにしても良い。図8に示された機能分類テーブル例では、例えば、機能番号が201の機能として、機能名「スキャナ」が対応付けられており、この機能を実現するために使用されるユニットのユニット番号が101、105、・・・・・、120であることを示している。
【0053】
つまり、利用者が機能番号201を指定することにより、ユニット番号101、105、・・・・・、120という複数のユニットが指定されたことになる。
【0054】
さらに、図9に示す動作分類テーブルを用いて、動作毎に複数のユニットを指定できるようにしても良い。図9に示された動作分類テーブル例では、例えば、動作番号が101の動作として、動作内容「スキャンした画像をUSBメモリに格納」という動作が対応付けられており、この動作を実現するために必要な機能の機能番号が201、201であることを示している。
【0055】
つまり、利用者が動作番号301を指定することにより、機能番号201、202という2つの機能が指定されたことになり、さらに図8に示した機能分類テーブルを参照することにより、ニット番号101、102、105、・・・・・、111、120という複数のユニットが指定されたことになる。
【0056】
このように、表示制御部34は、カメラ20により撮影されたプリント配線基板30の画像上に、そのプリント配線基板上30に配置された複数の部品及び配線パタンのうちから指定された部品又は配線パタンに関連する情報を重畳して表示するAR表示を行う際に、利用者により指定された部品及び配線パタンの配置情報であるCAD設計情報ファイルのみを管理サーバ40から取得して、プリント配線基板30の画像上に重畳して表示する。
【0057】
なお、本実施形態ではプリント配線基板30上に配置された複数の部品及び配線パタンの設計情報であるCAD設計情報ファイルを取得して、プリント配線基板30上に複数の部品及び配線パタンに関する情報を重畳して表示する場合について説明するが、撮影された画像に含まれる物体の配置情報を取得して、この画像上に複数の物体に関する情報を重畳して表示するような場合にも同様に適用可能である。例えば、ある街を撮影した画像上に、画像に含まれるビルの名称等の情報を重畳して表示するような場合でも本発明を同様に適用可能である。
【0058】
そして、表示制御部34は、図8に示した機能分類テーブルを利用することにより、利用者によってプリント配線基板30により実現される複数の機能のうちの一部の機能が指定された場合、指定された機能を実現する際に使用される部品及び配線パタンの設計情報のみを取得して、プリント配線基板30の画像上に重畳して表示する。
【0059】
さらに、表示制御部34は、図9に示した動作分類テーブルを利用することにより、利用者によりプリント配線基板30を用いた電子機器が行う複数の動作のうちの一部の動作が指定された場合、指定された動作を実行するために使用される部品及び配線パタンの設計情報のみを取得して、プリント配線基板30の画像上に表示する。
【0060】
なお、表示制御部34は、設計情報を取得しなかった部品及び配線パタンが配置されている領域上に、設計情報を取得した部品及び配線パタンに関する情報を表示するようにしても良い。
【0061】
具体的には、表示制御部34は、設計情報を取得しなかった部品及び配線が配置されている領域上に、設計情報を取得した部品及び配線パタンの拡大表示画像を表示するようにしても良い。
【0062】
また、表示制御部34は、設計情報を取得しなかった部品及び配線が配置されている領域上に、設計情報を取得した部品又は配線パタンに関する注意情報、例えば不具合解析を行う際の注意情報を表示するようにしても良い。
【0063】
次に、本実施形態の端末装置10においてカメラ20により撮影されたプリント配線基板30の画像中の部品及び配線パタンのCAD設計情報ファイルを管理サーバ40からダウンロードして取得する際の動作を図10のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においては、CAD設計情報ファイルを単に設計情報として表示する。
【0064】
まず、ステップS101において、操作入力部31を介して利用者より表示を行う部品及び配線パタンがユニット単位で指定された場合、表示制御部34は、ステップS102において、指定されたユニット番号に基づいて、設計情報をダウンロードする部品及び配線パタンを選択する。
【0065】
また、ステップS103において、操作入力部31を介して利用者より表示を行う部品及び配線パタンが機能単位で指定された場合、表示制御部34は、ステップS104において、指定された機能番号に基づいて、設計情報をダウンロードする部品及び配線パタンを選択する。
【0066】
さらに、ステップS105において、操作入力部31を介して利用者より表示を行う部品及び配線パタンが動作単位で指定された場合、表示制御部34は、ステップS106において、指定された動作番号に基づいて、設計情報をダウンロードする部品及び配線パタンを選択する。
【0067】
最後に、ステップS101、S103、S105のいずれにおいても表示を行う部品及び配線パタンが指定されなかった場合、表示制御部34は、ステップS107において、プリント配線基板30に配置されている全ての部品及び配線パタンを選択する。
【0068】
さらに、表示制御部34は、ステップS108において、実際に設計情報のダウンロードを開始する前に、再度設計情報をダウンロードする部品及び配線パタンを利用者に確認して、利用者が設計情報をダウンロードする部品又は配線パタンの選択を解除できるようにしても良い。
【0069】
そして、表示制御部34は、ステップS109において、選択された部品及び配線パタンの設計情報を管理サーバ40からダウンロードして取得する。
【0070】
次に、図11図15を参照して、端末装置10のディスプレイ上にAR表示を行う際の具体的な動作例を説明する。
【0071】
まず、端末装置10において、利用者が部品情報及び配線情報を表示する部品及び配線パタンを動作分類により選択する場合を図11に示す。
【0072】
図11を参照すると、利用者が「スキャンした画像をUSBメモリに格納」という動作内容を選択する様子が示されている。
【0073】
そして、利用者が動作番号301により特定される「スキャンした画像をUSBメモリに格納」という動作を選択した場合のAR表示例を図12に示す。
【0074】
利用者が動作番号301を指定したことにより、表示制御部34は、この動作番号301に対応する機能番号201、202により特定されるユニット番号101、102、105、106、107、108、109、110、111、120に対応した部品及び配線パタンの設計情報を管理サーバ40よりダウンロードする。
【0075】
そして、表示制御部34は、ダウンロードした設計情報に基づいてAR表示を行うことにより、図12に示すように、指定された部品及び配線パタンに関する情報のみをプリント配線基板の画像上に重畳する。
【0076】
図6に示したようなプリント配線基板30上の全ての部品及び配線パタンに関連する情報をAR表示した場合と比較して、図12に示した場合では、利用者が指定した動作を実現するための部品及び配線パタンに関連する情報のみがAR表示されている。このようなAR表示を行うことにより、利用者により指定された部品及び配線パタンの設計情報のみを管理サーバ40からダウンロードすれば良いため、プリント配線基板30を噛めた20により撮影してからAR表示が行われるまでの時間が短縮されることになる。
【0077】
また、不具合解析等を行う場合には、解析に必要な部品及び配線パタンに対してのみAR表示が行われ、解析の効率が図られることになる。
【0078】
さらに、設計情報をダウンロードしなかった部品や配線パタンが設けられている領域、つまりAR表示を行わない部品や配線パタンが設けられている領域をグレイアウト表示して部品等を隠した状態で表示するようにした場合を図13に示す。
【0079】
図13では、AR表示を行わない領域をグレイアウト表示とすることにより、解析対象の部品や配線パタンが着目し易くなり解析の効率が図られることになる。
【0080】
さらに、複数の部品や配線パタンが表示されている状態において、解析が終了した部品や配線パタンの表示/非表示を切り替えることができるようにすれば、利用者は解析が終わった部品や配線パタンを順次非表示とすることがで、解析が必要な部品や配線パタンにより着目し易くなり、解析の効率がさらに図られることになる。
【0081】
また、AR表示を行った部品が密集しているような場合に、利用者により指定された箇所の部品や配線パタンの拡大表示画像をグレイアウト表示した領域上に表示するようにしても良い。このようにグレイアウト表示領域上に、指定された部品又は配線パタンの拡大画像を表示した場合の一例を図14に示す。
【0082】
さらに、不具合解析上の注意ポイント、注意事項等の注意情報をグレイアウト表示した領域上に表示するようにしても良い。このような不具合解析上の注意情報をグレイアウト表示領域上に表示した場合の一例を図15に示す。
【0083】
図15を参照すると、トラブル解析の際の注意事項として、「IC101の端子には半田付け不良が発生している場合があるので要注意」というような文章がグレイアウト表示領域上に重畳されているのが分かる。
【0084】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0085】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0086】
[変形例]
上記実施形態では、ノートパソコンのような端末装置10にカメラ20を接続して端末装置10のディスプレイ上にAR表示を行う場合を用いて説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば透過型スクリーンとカメラとが一体となったメガネ型デバイス等の情報処理装置を用いてAR表示を行う場合でも本発明を同様に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0087】
10 端末装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 制御バス
20 カメラ
30 プリント配線基板
31 操作入力部
32 表示部
33 データ送受信部
34 表示制御部
35 配置情報記憶部
36 画像取得部
37 分類テーブル記憶部
40 管理サーバ
50 ネットワーク
61 マーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15