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特許7581726検査装置、画像形成装置、及び検査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】検査装置、画像形成装置、及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241106BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241106BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J29/393 105
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020157923
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051443
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 陽介
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215284(JP,A)
【文献】特開2009-230047(JP,A)
【文献】特開2019-132966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G03G 21/00
G03G 15/00
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録し、
前記プロセッサは、前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記第1検査は、前記第1基準画像データに対して、前記複数の読取画像データの先頭から順に照合され、ユーザが前記不良個所を許容するまで繰り返し行われ、
前記プロセッサは、前記第1検査の繰り返し回数が予め定められた回数以上になった場合に、警告を行う
検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第2検査を行う場合に、前記登録した第2基準画像データと、前記第2検査の検査対象とされる画像形成物の読取画像データとを照合し、照合した読取画像データの良否を判定する
請求項に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2検査を行う場合に、前記複数の読取画像データのうち前記第1検査を行った読取画像データを検査の対象外とする
請求項に記載の検査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、ユーザから前記不良個所の修正指示を受け付けた場合に、前記修正指示に従って、前記不良個所の画素を修正する
請求項~請求項の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録し、
前記プロセッサは、前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記プロセッサは、前記第2検査を行っている際に予め定められた条件が検知された場合に、前記第2検査を行っていない少なくとも1つの読取画像データに対して前記第1検査を行い、前記第2基準画像データを更新す
査装置。
【請求項6】
前記予め定められた条件は、前記第2検査を行う回数が一定回数以上になること、トナーを交換すること、記録媒体の詰まりが発生すること、及び、記録媒体の交換又は追加が発生すること、のいずれかである
請求項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第1検査において、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを検知する前に前記予め定めた基準を満たす読取画像データが検知された場合、当該読取画像データを前記第2基準画像データとして登録する
請求項~請求項の何れか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
原画像データを複数の記録媒体に形成する形成部と、
前記形成部により形成して得られた複数の画像形成物を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録するプロセッサを備えた検査装置と、
を備え
前記プロセッサは、前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記第1検査は、前記第1基準画像データに対して、前記複数の読取画像データの先頭から順に照合され、ユーザが前記不良個所を許容するまで繰り返し行われ、
前記プロセッサは、前記第1検査の繰り返し回数が予め定められた回数以上になった場合に、警告を行う
画像形成装置。
【請求項9】
原画像データを複数の記録媒体に形成する形成部と、
前記形成部により形成して得られた複数の画像形成物を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録するプロセッサを備えた検査装置と、
を備え、
前記プロセッサは、前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記プロセッサは、前記第2検査を行っている際に予め定められた条件が検知された場合に、前記第2検査を行っていない少なくとも1つの読取画像データに対して前記第1検査を行い、前記第2基準画像データを更新する
画像形成装置。
【請求項10】
原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録し、
前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記第1検査は、前記第1基準画像データに対して、前記複数の読取画像データの先頭から順に照合され、ユーザが前記不良個所を許容するまで繰り返し行われ、
前記第1検査の繰り返し回数が予め定められた回数以上になった場合に、警告を行うことを、
コンピュータに実行させるための検査プログラム。
【請求項11】
原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録し、
前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録し、
前記第2検査を行っている際に予め定められた条件が検知された場合に、前記第2検査を行っていない少なくとも1つの読取画像データに対して前記第1検査を行い、前記第2基準画像データを更新することを、
コンピュータに実行させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、画像を検査する機能を備えた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、複数の用紙上に形成された画像をそれぞれ読み取る画像読取部と、画像読取部により読み取られた複数の画像のいずれかを基準画像、その他を被検査画像として、基準画像及び被検査画像の1又は複数の特徴点をそれぞれ検出し、各特徴点の特徴量を算出する特徴量算出部と、を備える。また、この画像形成装置は、特徴量算出部により検出された基準画像と被検査画像の各特徴点の特徴量を照合することにより、被検査画像の良否を判定する判定部を備える。この判定部は、特徴量を照合する基準画像と被検査画像の各特徴点を、被検査画像の各画素を中心とする探索領域毎に探索し、探索領域のサイズを基準画像中の1又は複数のオブジェクトのサイズに応じて決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6323190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の画像形成物の各々を読み取った複数の読取画像データのいずれかを基準画像データとして検査を行う場合、基準画像データを選択する際に複数の読取画像データ(又は複数の画像形成物)を目視で確認する必要がある。
【0005】
このとき、もし汚れ等のある読取画像データを基準画像データとして選択してしまうと、その後の検査で、汚れ等のない読取画像データを不合格と判定してしまう可能性がある。
【0006】
このため、適切な基準画像データを選択するために目視による確認を念入りに行う必要があり、手間がかかる。つまり、このような目視による確認では、適切な基準画像データを効率的に選択することは難しい。
【0007】
ここで、目視に代えて、複数の読取画像データのうち一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択することを想定する。この場合、一定基準を満たしていない読取画像データは不良個所の程度の如何によらず選択されることはない。つまり、一部の不良個所さえなければ、基準画像データとして採用できる読取画像データであっても基準画像データとして採用できないことがある。
【0008】
本開示は、一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択する場合と比較して、一定基準を満たさない読取画像データであっても基準画像データとして効率的に選択することができる検査装置、画像形成装置、及び検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1態様に係る検査装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサが、原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録する。
【0010】
また、第2態様に係る検査装置は、第1態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記原画像データを第1基準画像データとし、前記第1基準画像データと、前記第1基準画像データから得られる前記複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、前記第1検査の結果、前記複数の読取画像データのうち前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で前記表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記第1検査とは異なる第2検査の第2基準画像データとして登録する。
【0011】
また、第3態様に係る検査装置は、第2態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第2検査を行う場合に、前記登録した第2基準画像データと、前記第2検査の検査対象とされる画像形成物の読取画像データとを照合し、照合した読取画像データの良否を判定する。
【0012】
また、第4態様に係る検査装置は、第3態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第2検査を行う場合に、前記複数の読取画像データのうち前記第1検査を行った読取画像データを検査の対象外とする。
【0013】
また、第5態様に係る検査装置は、第2態様~第4態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、ユーザから前記不良個所の修正指示を受け付けた場合に、前記修正指示に従って、前記不良個所の画素を修正する。
【0014】
また、第6態様に係る検査装置は、第2態様~第5態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記第1検査が、前記第1基準画像データに対して、前記複数の読取画像データの先頭から順に照合され、ユーザが前記不良個所を許容するまで繰り返し行われる。
【0015】
また、第7態様に係る検査装置は、第6態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第1検査の繰り返し回数が予め定められた回数以上になった場合に、警告を行う。
【0016】
また、第8態様に係る検査装置は、第2態様~第7態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第2検査を行っている際に予め定められた条件が検知された場合に、前記第2検査を行っていない少なくとも1つの読取画像データに対して前記第1検査を行い、前記第2基準画像データを更新する。
【0017】
また、第9態様に係る検査装置は、第8態様に係る検査装置において、前記予め定められた条件が、前記第2検査を行う回数が一定回数以上になること、トナーを交換すること、記録媒体の詰まりが発生すること、及び、記録媒体の交換又は追加が発生すること、のいずれかであるとされている。
【0018】
また、第10態様に係る検査装置は、第2態様~第9態様の何れか1の態様に係る検査装置において、前記プロセッサが、前記第1検査において、前記予め定めた基準を満たさない読取画像データを検知する前に前記予め定めた基準を満たす読取画像データが検知された場合、当該読取画像データを前記第2基準画像データとして登録する。
【0019】
更に、上記目的を達成するために、第11態様に係る画像形成装置は、原画像データを複数の記録媒体に形成する形成部と、前記形成部により形成して得られた複数の画像形成物を読み取る読取部と、前記読取部により読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録するプロセッサを備えた検査装置と、を備える。
【0020】
更に、上記目的を達成するために、第12態様に係る検査プログラムは、原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データの少なくとも1つを、不良個所が識別可能な状態で表示部に表示させると共に、前記不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に、前記画像形成物の検査に用いる基準画像データとして登録することを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
第1態様、第2態様、第11態様、及び第12態様によれば、一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択する場合と比較して、一定基準を満たさない読取画像データであっても基準画像データとして効率的に選択することができる、という効果を有する。
【0022】
第3態様によれば、第1基準画像データに対して予め定めた基準を満たさない読取画像データを第2基準画像データとして、第2検査を行うことができる、という効果を有する。
【0023】
第4態様によれば、第1検査を行った読取画像データも検査対象とする場合と比較して、第2検査を効率的に行うことができる、という効果を有する。
【0024】
第5態様によれば、ユーザからの修正指示に従って不良個所の画素を修正することができる、という効果を有する。
【0025】
第6態様によれば、ユーザが不良個所を許容した読取画像データを確実に得ることができる、という効果を有する。
【0026】
第7態様によれば、ユーザが装置の異常等を把握することができる、という効果を有する。
【0027】
第8態様によれば、第2検査の実行中に第2基準画像データを更新しない場合と比較して、検査精度のばらつきの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0028】
第9態様によれば、第2検査を行う回数が一定回数以上になること、トナーを交換すること、記録媒体の詰まりが発生すること、及び、記録媒体の交換又は追加が発生すること、のいずれかの条件を考慮しない場合と比較して、検査精度のばらつきの発生を抑制することができる、という効果を有する。
【0029】
第10態様によれば、予め定めた基準を満たす読取画像データを考慮しない場合と比較して、第2基準画像データを効率的に選択することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図2】(A)は実施形態に係るインラインセンサを用いた画像読取構造の一例を示す上面図である。(B)は実施形態に係るインラインセンサを用いた画像読取構造の一例を示す側面図である。
図3】実施形態に係る第1検査及び第2検査の説明に供する図である。
図4】実施形態に係る画像形成装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る編集画面の一例を示す正面図である。
図6】実施形態に係る修正指示ダイアログの一例を示す正面図である。
図7】実施形態に係る検査プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、検査装置30と、表示部16と、操作部17と、原稿読取部18と、画像形成部19と、インラインセンサ20と、通信部21と、を備えている。なお、画像形成部19は、形成部の一例であり、インラインセンサ20は、読取部の一例である。
【0034】
検査装置30は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、入出力インターフェース(I/O)14と、記憶部15と、を備えている。なお、本実施形態では、画像形成装置10と検査装置30とが一体的に設けられているが、これに限定されない。画像形成装置10と検査装置30とを別体で設けるようにしてもよい。
【0035】
CPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14の各部は、バスを介して各々接続されている。I/O14には、記憶部15と、表示部16と、操作部17と、原稿読取部18と、画像形成部19と、インラインセンサ20と、通信部21と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O14を介して、CPU11と相互に通信可能とされる。
【0036】
CPU11、ROM12、RAM13、及びI/O14によって制御部が構成される。制御部は、画像形成装置10の一部の動作を制御するサブ制御部として構成されてもよいし、画像形成装置10の全体の動作を制御するメイン制御部の一部として構成されてもよい。制御部の各ブロックの一部又は全部には、例えば、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路又はIC(Integrated Circuit)チップセットが用いられる。上記各ブロックに個別の回路を用いてもよいし、一部又は全部を集積した回路を用いてもよい。上記各ブロック同士が一体として設けられてもよいし、一部のブロックが別に設けられてもよい。また、上記各ブロックのそれぞれにおいて、その一部が別に設けられてもよい。制御部の集積化には、LSIに限らず、専用回路又は汎用プロセッサを用いてもよい。
【0037】
記憶部15としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部15には、本実施形態に係る検査処理を実行するための検査プログラム15Aが記憶される。なお、この検査プログラム15Aは、ROM12に記憶されていてもよい。
【0038】
検査プログラム15Aは、例えば、画像形成装置10に予めインストールされていてもよい。検査プログラム15Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、画像形成装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0039】
表示部16には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部16は、タッチパネルを一体的に有していてもよい。操作部17には、テンキーやスタートキー等の各種の操作キーが設けられている。表示部16及び操作部17は、画像形成装置10のユーザから各種の指示を受け付ける。この各種の指示には、例えば、原稿の読み取りを開始させる指示や、原稿のコピーを開始させる指示等が含まれる。表示部16は、ユーザから受け付けた指示に応じて実行された処理の結果や、処理に対する通知等の各種の情報を表示する。
【0040】
原稿読取部18は、画像形成装置10の上部に設けられた自動原稿送り装置(図示省略)の給紙台に置かれた原稿を1枚ずつ取り込み、取り込んだ原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。あるいは、原稿読取部18は、プラテンガラス等の原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。
【0041】
画像形成部19は、原稿読取部18による読み取りによって得られた画像情報、又は、ネットワークを介して接続された外部のパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)等から得られた画像情報に基づく画像を、紙等の記録媒体に形成する。なお、本実施形態においては、画像を形成する方式として、電子写真方式を例示して説明するが、インクジェット方式等の他の方式を採用してもよい。
【0042】
画像を形成する方式が電子写真方式の場合、画像形成部19は、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、及び定着部を含む。帯電部は、感光体ドラムに電圧を印加して感光体ドラムの表面を帯電させる。露光部は、帯電部で帯電された感光体ドラムを画像情報に応じた光で露光することにより感光体ドラムに静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーにより現像することで感光体ドラムにトナー像を形成する。転写部は、感光体ドラムに形成されたトナー像を記録媒体に転写する。定着部は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱及び加圧により定着させる。
【0043】
インラインセンサ20は、画像形成部19により記録媒体上に形成された画像を読み取るセンサである。
【0044】
通信部21は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続されており、外部のPC等との間でネットワークを介して通信が可能とされる。
【0045】
次に、図2(A)及び図2(B)を参照して、インラインセンサ20を用いた画像読取構造について説明する。
【0046】
図2(A)は、本実施形態に係るインラインセンサ20を用いた画像読取構造の一例を示す上面図である。図2(B)は、本実施形態に係るインラインセンサ20を用いた画像読取構造の一例を示す側面図である。
【0047】
図2(A)及び図2(B)に示すように、インラインセンサ20は、紙等の記録媒体P上に形成された画像を読み取るセンサであり、例えば、上述の定着部と排紙トレイ(図示省略)との間で記録媒体Pを搬送する搬送ベルトCbに設けられている。インラインセンサ20には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のセンサが用いられる。インラインセンサ20は、光源から光を照射すると、記録媒体Pからの反射光が受光レンズを介して受光部に結像され、受光部で反射光量に応じた電気信号に変換されて測定データが出力される。インラインセンサ20は、記録媒体Pを搬送方向に移動させることにより、記録媒体Pの1ライン毎の測定データを順次取得し、記録媒体Pの全体が通過した時点で、記録媒体Pの1面分の読取画像データを取得する。取得した読取画像データは記憶部15に記憶される。
【0048】
本実施形態に係る画像形成装置10は、画像形成物の検査を行う第1検査及び第2検査を行う機能を有している。なお、第1検査の基準画像データは、第1基準画像データの一例であり、第2検査の基準画像データは、第2基準画像データの一例である。
【0049】
第1検査は、原画像データを第1基準画像データとし、原画像データを記録媒体に形成して得られた画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象とする検査である。第1検査では、原画像データである第1基準画像データと、検査対象の読取画像データとが照合され、検査対象の読取画像データの良否が判定される。なお、複数の読取画像データを検査対象としてもよい。また、原画像データは、画像形成(印刷)される画像の基となる画像データであり、例えば、RIP(Raster Image Processor)処理後のデータ(ラスタライズデータ)、ビットマップデータ、GIF(Graphics Interchange Format)データ等が適用される。
【0050】
第2検査は、原画像データを複数の記録媒体に形成して得られた画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データのいずれかを第2基準画像データとし、新たな画像形成物を読み取って得られた読取画像データを検査対象とする検査である。第2検査では、読取画像データである第2基準画像データと、検査対象の読取画像データとが照合され、検査対象の読取画像データの良否が判定される。なお、上記第1検査と同様に、複数の読取画像データを検査対象としてもよい。
【0051】
第2検査では、例えば、第2基準画像データの候補として、原画像データをいくつかの記録媒体に形成した画像形成物を読み取って得られた読取画像データを表示させ、その中からユーザが選択した読取画像データを第2基準画像データとし、それ以降に新たに形成される画像形成物の読取画像データを検査対象とする。
【0052】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る第1検査及び第2検査について具体的に説明する。
【0053】
図3は、本実施形態に係る第1検査及び第2検査の説明に供する図である。
【0054】
まず、原画像データを第1基準画像データとする第1検査について説明する。
【0055】
図3の(S1)では、RIP部11Aが、一例として、PDL(Page Description Language)で記述された画像データD1の入力を受け付ける。PDLとしては、例えば、PCL(Printer Control Language、登録商標)、PS(Post Script、登録商標)等が挙げられる。なお、RIP部11Aは、RIP処理を行うもので、具体的な説明については後述する。
【0056】
(S2)では、RIP部11Aが、入力を受け付けた画像データD1に対してRIP処理を行い、原画像データD2を出力する。第1検査では、原画像データD2を第1基準画像データとする。
【0057】
(S3)では、画像形成部19が、原画像データD2の入力を受け付ける。
【0058】
(S4)では、画像形成部19が、入力を受け付けた原画像データD2を、例えば、複数の記録媒体に形成し、複数の画像形成物P3a~P3cを出力する。
【0059】
(S5)では、インラインセンサ20が、一例として、上述の図2(A)、図2(B)に示すように、搬送ベルトCb上を搬送される複数の画像形成物P3a~P3cの各々を読み取る。
【0060】
(S6)では、インラインセンサ20が、複数の画像形成物P3a~P3cの各々を読み取って得られた複数の読取画像データD4a~D4cを出力する。第1検査では、これら複数の読取画像データD4a~D4cを検査対象とする。
【0061】
第1検査では、原画像データD2である第1基準画像データと、検査対象である複数の読取画像データD4a~D4cの各々とが照合され、複数の読取画像データD4a~D4cの各々の良否が判定される。
【0062】
次に、複数の画像形成物の各々を読み取って得られた複数の読取画像データのいずれかを第2基準画像データとする第2検査について説明する。
【0063】
図3において、(S1)~(S6)までの処理は同様である。但し、第2検査では、複数の読取画像データD4a~D4cのいずれかを第2基準画像データとし、読取画像データD4c以降に新たに出力される読取画像データを検査対象とする。第2検査では、複数の読取画像データD4a~D4cのいずれかである第2基準画像データと、検査対象である新たな読取画像データの各々とを照合し、新たな読取画像データの各々の良否が判定される。
【0064】
ここで、第2検査では、読取画像データを基準画像データとしているため、第1検査と比べ、照合する画像の状態(例えば、サイズ、線の太さ等)が大体同じであると考えられる。このため、第1検査よりも検査を行い易いと言える。しかし、その反面、第2検査では、上述したように、基準画像データを選択する際に複数の読取画像データ(又は複数の画像形成物)を目視で確認する必要がある。このような目視による確認では、適切な基準画像データを効率的に選択することは難しい。
【0065】
また、目視に代えて、複数の読取画像データのうち一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択する場合、一定基準を満たさない読取画像データは、不良個所の程度の如何によらず基準画像データとして選択されることはない。このため、基準画像データを効率的に選択することが難しい場合がある。
【0066】
このため、本実施形態に係る画像形成装置10では、第2検査を行う場合に、一定基準を満たさない読取画像データを、不良個所が分かるように表示部に表示させ、一定基準を満たさない読取画像データを基準画像データ候補とする。そして、不良個所を修正した上で、修正した読取画像データを基準画像データとして登録する。つまり、第2検査の基準画像データを選択する際に、一定基準を満たさない読取画像データであっても基準画像データ候補とすることができるため、一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択する場合と比較して、基準画像データが効率的に選択される。
【0067】
具体的に、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU11は、記憶部15に記憶されている検査プログラム15AをRAM13に書き込んで実行することにより、図4に示す各部として機能する。
【0068】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10のCPU11は、RIP部11A、画像形成制御部11B、画像読取制御部11C、第1検査部11D、基準画像登録部11E、及び第2検査部11Fとして機能する。
【0070】
RIP部11Aは、一例として、PDLで記述された入力画像データを翻訳して中間データを生成し、生成した中間データに対して色変換を行い、レンダリングを行って原画像データを生成する。なお、原画像データは、上述したように、例えば、ラスタライズデータでもよいし、ビットマップデータでもよいし、GIFデータでもよい。なお、RIP部11Aで生成された原画像データは第1基準画像データとして記憶部15に登録される。上述の図3の例では、第1基準画像データは原画像データD2に相当する。
【0071】
画像形成制御部11Bは、画像形成部19の動作を制御する。画像形成部19は、画像形成制御部11Bからの制御信号に基づいて、記憶部15に登録された第1基準画像データを複数の記録媒体に形成し、複数の画像形成物を出力する。
【0072】
画像読取制御部11Cは、インラインセンサ20の動作を制御する。インラインセンサ20は、画像読取制御部11Cからの制御信号に基づいて、画像形成部19から出力された複数の画像形成物の各々を読み取り、複数の読取画像データを出力する。インラインセンサ20から出力された複数の読取画像データは記憶部15に登録される。上述の図3の例では、複数の読取画像データは複数の読取画像データD4a~D4cに相当する。
【0073】
第1検査部11Dは、記憶部15に登録された、第1基準画像データと、複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合する第1検査を行い、予め定めた基準を満たさない読取画像データを選択する。なお、第1基準画像データと照合した読取画像データが予め定めた基準を満たすか否かの判定は、各画素の閾値判定により行うことができる。例えば、2つのデータ間で対応する画素の画素値の差が閾値以上となる画素の数が所定割合以上であれば、基準を満たさないと判定する。ここで、閾値及び所定割合は、一定の品質基準を満たすように適切な値がユーザによって設定される。
【0074】
基準画像登録部11Eは、第1検査部11Dにより選択された読取画像データを、不良個所が識別可能な状態で表示部16に表示させると共に、不良個所の修正指示を受付可能とし、予め定めた基準を満たさない読取画像データを修正した後に(具体的には、後述の図5及び図6を参照。)、第2検査の第2基準画像データとして記憶部15に登録する。また、基準画像登録部11Eは、ユーザから不良個所の修正指示を受け付けた場合に、受け付けた修正指示に従って、不良個所の画素を修正する。
【0075】
第2検査部11Fは、第2検査を行う場合に、基準画像登録部11Eにより登録された第2基準画像データと、第2検査の検査対象とされる画像形成物の読取画像データとを照合し、照合した読取画像データの良否を判定する。なお、第2検査では、例えば、第1検査の際に出力された複数の読取画像データ以降に新たに出力された読取画像データを検査対象とする。上述の図3の例では、読取画像データD4c以降に新たに出力された読取画像データが検査対象とされる。また、第1検査の際に出力された複数の読取画像データのうち第1検査を行った読取画像データを検査の対象外とし、残りの読取画像データを検査対象としてもよい。また、第1検査の際に出力された複数の読取画像データの全てを検査対象としてもよい。つまり、第1検査の際に出力された複数の読取画像データの少なくとも一部に対して、第1検査及び第2検査を重複して行ってもよいし、第1検査を行った場合には第2検査を行わないようにしてもよい。
【0076】
また、第1検査は、第1基準画像データに対して、複数の読取画像データの先頭から順に照合され、ユーザが不良個所を許容するまで繰り返し行われる。このとき、第1検査部11Dは、第1検査の繰り返し回数が予め定められた回数以上になった場合に、画像形成部19に故障等が発生している可能性があり、警告を行うようにしてもよい。警告は、例えば、文字列で警告メッセージを表示させてもよいし、音声で警告メッセージを出力してもよいし、ビープ音等の警告音を出力してもよい。
【0077】
また、第2検査部11Fは、第2検査を行っている際に予め定められた条件が検知された場合に、第2検査を行っていない少なくとも1つの読取画像データに対して第1検査を行い、第2基準画像データを更新するようにしてもよい。なお、予め定められた条件は、第2検査を行う回数が一定回数以上になること、トナーを交換すること、記録媒体の詰まりが発生すること、及び、記録媒体の交換又は追加が発生すること、のいずれかである。
【0078】
例えば、大量の画像形成物を出力する場合、画像形成部19の濃度変動、記録媒体の位置変動等が発生することがある。このため、1ページと最終ページとでは印刷品質が異なり、検査精度にばらつきが発生する。そこで、第2検査を一定回数以上行った場合、つまり、第2検査の検査対象とされる画像形成物を一定枚数以上出力した場合、第1検査を行って第2基準画像データを更新することが望ましい。同様に、トナーを交換した場合、記録媒体の詰まりが発生した場合、及び、記録媒体の交換又は追加が発生した場合にも検査精度に影響する。このため、第1検査を行って第2基準画像データを更新することが望ましい。
【0079】
また、第1検査部11Dは、第1検査において、予め定めた基準を満たさない読取画像データを検知する前に、予め定めた基準を満たす読取画像データが検知された場合、当該読取画像データを選択する。この場合、基準画像登録部11Eは、第1検査部11Dにより選択された読取画像データを、第2検査の第2基準画像データとして記憶部15に登録する。
【0080】
図5は、本実施形態に係る編集画面40の一例を示す正面図である。また、図6は、本実施形態に係る修正指示ダイアログ43の一例を示す正面図である。
【0081】
図5に示す編集画面40は、上述の基準画像登録部11Eによって表示される画面である。編集画面40には、予め定めた基準を満たさない読取画像データが表示されると共に、許容選択欄41、修正ボタン42が表示される。このとき読取画像データは、不良個所が識別可能な状態で表示される。ユーザは編集画面40に表示された読取画像データの不良個所を見て、許容するか否かを判断する。不良個所を許容すると判断した場合、ユーザが許容選択欄41の「する」を選択すると、修正ボタン42は操作可能な状態となる。なお、許容選択欄41の黒丸は選択されていることを示す。一方、不良個所を許容しないと判断した場合、ユーザが許容選択欄41の「しない」を選択すると、修正ボタン42は操作できない状態(例えば、グレーアウト表示等)となる。
【0082】
図5に示す編集画面40において、ユーザが不良個所を許容し、修正ボタン42を操作した場合、図6に示す修正指示ダイアログ43が表示される。修正指示ダイアログ43には、修正方法として、例えば、「除去」、「置き換え1」、「置き換え2」、・・・が選択可能に表示される。「除去」とは、不良個所を除去することを意味する。「置き換え1」とは、不良個所の画素の画素値を、不良個所の近傍に位置する画素の画素値に置き換えることを意味する。「置き換え2」とは、不良個所の画素の画素値を、第1検査用の第1基準画像データ(原画像データ)の対応する画素の画素値に置き換えることを意味する。不良個所の修正方法には、公知の方法が適用される。ユーザはいずれかの修正方法を選択してから「OK」ボタンを操作すると、図5の編集画面40に戻る。
【0083】
図5の編集画面40では、ユーザによる「OK」ボタンの操作をもって、修正指示とされ、予め定めた基準を満たさない読取画像データに対して修正が実行される。そして、修正後の読取画像データは、第2検査の第2基準画像データとして記憶部15に登録される。
【0084】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0085】
図7は、本実施形態に係る検査プログラム15Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0086】
まず、画像形成装置10に対して、検査の実行が指示されると、検査プログラム15Aが起動され、以下の各ステップを実行する。
【0087】
図7のステップS101では、CPU11が、原稿読取部18あるいは外部のPCから、入力画像データを取得する。
【0088】
ステップS102では、CPU11が、ステップS101で取得した入力画像データに対してRIP処理を行い、原画像データを生成する。なお、生成した原画像データは記憶部15に登録される。また、原画像データには、上述したように、例えば、RIP処理後のデータ(ラスタライズデータ)、ビットマップデータ、GIFデータ等が適用される。
【0089】
ステップS103では、CPU11が、画像形成部19に対して制御信号を送り、ステップS102で登録した原画像データを複数の記録媒体の各々に形成して複数の画像形成物を出力するように画像形成部19の動作を制御する。
【0090】
ステップS104では、CPU11が、インラインセンサ20に対して制御信号を送り、ステップS103で出力した複数の画像形成物の各々を読み取って複数の読取画像データを出力するようにインラインセンサ20の動作を制御する。
【0091】
ステップS105では、CPU11が、第2検査用の第2基準画像データが記憶部15に登録済みであるか否かを判定する。第2検査用の第2基準画像データが登録済みであると判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS111に移行し、第2検査用の第2基準画像データが登録済みではない、つまり、未登録であると判定した場合(否定判定の場合)、ステップS106に移行する。
【0092】
ステップS106では、CPU11が、ステップS102で登録した原画像データを第1基準画像データとして第1検査を行う。第1検査では、上述したように、一例として、第1基準画像データに対して、複数の読取画像データの先頭から順に照合される。
【0093】
ステップS107では、CPU11が、第1検査として、複数の読取画像データの先頭ページが一定基準を満たすか否かを判定する。先頭ページが一定基準を満たすと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS108に移行し、先頭ページが一定基準を満たさないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS112に移行する。
【0094】
ステップS108では、CPU11が、一定基準を満たす先頭ページを、第2検査用の第2基準画像データとして記憶部15に登録する。
【0095】
ステップS109では、CPU11が、一定基準を満たす先頭ページに対応付けて第1検査の合格を登録する。
【0096】
ステップS110では、CPU11が、複数の読取画像データの次ページに移行し、当該次ページを第2検査の検査対象として指定する。
【0097】
ステップS111では、CPU11が、ステップS110で第2検査の検査対象として指定された次ページに対して、先頭ページを第2基準画像データとする第2検査を行い、検査結果を表示し、本検査プログラム15Aによる一連の処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS112では、CPU11が、一定基準を満たさない先頭ページに対応付けて第1検査の不合格を登録する。
【0099】
ステップS113では、CPU11が、一例として、上述の図5に示す編集画面40を表示部16に表示する制御を行う。
【0100】
ステップS114では、CPU11が、一例として、上述の図5に示す編集画面40に対するユーザの操作に従って、読取画像データの不良個所が許容されたか否かを判定する。例えば、編集画面40の許容選択欄41において「する」が選択されていれば、許容されたと判定し、「しない」が選択されていれば、許容されないと判定する。読取画像データの不良個所が許容されたと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップS115に移行し、読取画像データの不良個所が許容されないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップS116に移行する。
【0101】
ステップS115では、CPU11が、一例として、上述の図5に示す編集画面40及び図6に示す修正指示ダイアログ43を介して、ユーザからの修正指示を受け付け、受け付けた修正指示に従って、読取画像データの不良個所を修正し、ステップS108に移行する。これにより、修正後の読取画像データが第2検査用の第2基準画像データとして登録される。
【0102】
一方、ステップS116では、CPU11が、複数の読取画像データの次ページに移行し、当該次ページを第1検査の検査対象として指定し、ステップS106に戻り処理を繰り返す。
【0103】
このように本実施形態によれば、第2検査を行う場合に、原画像データと、複数の読取画像データの少なくとも1つとを照合し、一定基準を満たさない読取画像データを、不良個所が分かるように表示させると共に、ユーザの操作に従って不良個所を修正した上で、修正した読取画像データを基準画像データとして登録する。つまり、第2検査の基準画像データを第1検査によって選択する際に、一定基準を満たさない読取画像データであっても基準画像データ候補とすることができる。このため、一定基準を満たす読取画像データのみを基準画像データとして選択する場合と比較して、基準画像データが効率的に選択される。
【0104】
以上の実施形態においては、第2検査の基準画像データの候補を抽出する際に第1検査を前提とする場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されない。実施形態としては、一定基準を満たしていない読取画像データを抽出するのに、第1検査を行わない形態としてもよい。この場合、例えば、複数の読取画像データを表示部に表示させ、表示させた複数の読取画像データの中から不良個所の少ない読取画像データを目視等によって選択し、選択した読取画像データの不良個所を修正したデータを、第2検査の基準画像データとしてもよい。
【0105】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0106】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0107】
以上、実施形態に係る検査装置及び画像形成装置を例示して説明した。実施形態は、検査装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、これらのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体の形態としてもよい。
【0108】
その他、上記実施形態で説明した検査装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0109】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成装置
11 CPU
11A RIP部
11B 画像形成制御部
11C 画像読取制御部
11D 第1検査部
11E 基準画像登録部
11F 第2検査部
12 ROM
13 RAM
14 I/O
15 記憶部
15A 検査プログラム
16 表示部
17 操作部
18 原稿読取部
19 画像形成部
20 インラインセンサ
21 通信部
30 検査装置
40 編集画面
41 許容選択欄
42 修正ボタン
43 修正指示ダイアログ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7