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特許7581728説明文出力装置、説明文出力プログラム及び説明文出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】説明文出力装置、説明文出力プログラム及び説明文出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/56 20200101AFI20241106BHJP
【FI】
G06F40/56
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020158901
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052481
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 侑吾
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0357211(US,A1)
【文献】鷲崎 誠司 外3名,情報提供文の自動生成技術,NTT R&D,社団法人電気通信協会,1991年07月10日,第40巻 第7号 ,pp.925-932
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06F 16/00-958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の抽出対象となる対象物に関連する属性を示すラベルと階層化された分類とが対応付けられた複数の関連情報を記憶する記憶部から、複数の前記抽出対象に対応する複数の前記関連情報を取得する取得部と、
前記ラベル毎に付与された優先度を記憶する記憶部から、前記ラベル毎の優先度を取得する優先度取得部と、
取得した複数の前記関連情報のそれぞれに含まれるラベルが示す属性を用いて、複数の文を生成する文生成部と、
生成した複数の前記文を、前記分類に基づくグループ毎に区分し、各グループ内の文を、各文の生成に用いた属性を示すラベルの優先度に基づく順序で結合し、説明文を生成する説明文生成部と、
生成した前記説明文を出力する出力部と
を備えることを特徴とする説明文出力装置。
【請求項2】
前記優先度取得部が取得した前記優先度に基づいて、前記文を複数選択する選択部
を備え、
前記説明文生成部は、選択された前記文より、前記説明文を生成する
ことを特徴とする請求項に記載の説明文出力装置。
【請求項3】
前記優先度は、前記ラベル毎の重要度に基づき定めてある
ことを特徴とする請求項に記載の説明文出力装置。
【請求項4】
前記重要度は、前記記憶部が記憶する前記ラベル毎のデータ数に基づいて定めてある
ことを特徴とする請求項に記載の説明文出力装置。
【請求項5】
前記重要度は、前記データ数を前記対象物及び前記ラベルとの関連度合いに基づき、重み付けしてある
ことを特徴とする請求項に記載の説明文出力装置。
【請求項6】
文字数が所定値を超えているか否か判定する判定部を備え、
前記選択部は、前記優先度の高い順に前記文を一文ずつ選択し、
前記選択部が前記文を選択する毎に、前記判定部は、前記文の合計文字数が前記所定値を超えているか否かを判定し、前記合計文字数が前記所定値を超えていないと判定した場合、前記選択部の選択動作を継続させ、前記合計文字数が前記所定値を超えたと判定した場合、前記選択部が最後に選択した前記文を破棄する
ことを特徴とする請求項から請求項の何れか一項に記載の説明文出力装置。
【請求項7】
複数の抽出対象となる対象物に関連する属性を示すラベルと階層化された分類とが対応付けられた複数の関連情報を記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータに、
複数の前記抽出対象に対応する複数の前記関連情報を取得し、
前記ラベル毎に付与された優先度を記憶する記憶部から、前記ラベル毎の優先度を取得し、
取得した複数の前記関連情報のそれぞれに含まれるラベルが示す属性を用いて、複数の文を生成し、
生成した複数の前記文を、前記分類に基づくグループ毎に区分し、各グループ内の文を、各文の生成に用いた属性を示すラベルの優先度に基づく順序で結合し、説明文を生成し、
生成した前記説明文を出力する
処理を実行させることを特徴とする説明文出力プログラム。
【請求項8】
複数の抽出対象となる対象物に関連する属性を示すラベルと階層化された分類とが対応付けられた複数の関連情報を記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータが、
複数の前記抽出対象に対応する複数の前記関連情報を取得し、
前記ラベル毎に付与された優先度を記憶する記憶部から、前記ラベル毎の優先度を取得し、
取得した複数の前記関連情報のそれぞれに含まれるラベルが示す属性を用いて、複数の文を生成し、
生成した複数の前記文を、前記分類に基づくグループ毎に区分し、各グループ内の文を、各文の生成に用いた属性を示すラベルの優先度に基づく順序で結合し、説明文を生成し、
生成した前記説明文を出力する
処理を実行することを特徴とする説明文出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事物に関する説明文を出力する説明文出力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
知識ベースを用いて事物に関する説明文を生成する説明文生成装置が提案されている。例えば、特許文献1には、説明対象概念には存在するが、類似概念には含まれない感覚特徴を有する概念を探索し、探索された概念の特徴を組み合わせて説明文を生成する説明文生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-305708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、説明対象となる事物によっては、事物に関連する情報を説明文に含めることが求められる。例えば、説明対象が美術品であれば、美術品に関する説明だけではなく、美術品の作者や美術品の所蔵場所についての説明も求められる。この場合、生成した説明文を美術品自体、美術品の作者、美術品の所蔵場所等の分類毎にまとめたものとしなければ、説明文の内容が理解しづらくなる。特に、説明文を音声で聞く場合は顕著となる。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、事物に関する情報が分類毎に整理された説明文を生成可能な説明文出力装置等の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る説明文出力装置は、複数の抽出対象となる対象物に関連する属性と階層化された分類とがラベル付けされた複数の関連情報を記憶する記憶部から、前記抽出対象の前記関連情報を複数取得する取得部と、取得した複数の前記関連情報からラベル付けされた属性を用いて、複数の文を生成する文生成部と、生成した複数の前記文を、前記分類に基づいて結合し、説明文を生成する説明文生成部と、生成した前記説明文を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願の一態様にあっては、視聴者が内容を理解しやすい説明文を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】説明文提供システムの構成例を示す説明図である。
図2】出力装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】ユーザ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】美術品DBの構造を有向グラフで示した説明図である。
図5】美術品DBの例を示す説明図である。
図6】美術品DBの他の例を示す説明図である。
図7】生成出力処理の手順例を示すフローチャートである。
図8】優先度DBの例を示す説明図である。
図9】生成出力処理の他の手順例を示すフローチャートである。
図10】説明文の生成過程を示す説明図である。
図11】優先度DBの他の例を示す説明図である。
図12】生成出力処理の他の手順例を示すフローチャートである。
図13】説明文の生成過程を示す説明図である。
図14】出力装置が備える機能部の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は説明文提供システムの構成例を示す説明図である。説明文提供システム100は出力装置(説明文出力装置)1及びユーザ端末2を含む。出力装置1及びユーザ端末2はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。出力装置1はサーバコンピュータ、PC(Personal Computer)等で構成する。また、出力装置1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。さらに、出力装置1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。ユーザ端末2はノートパソコン、パネルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等で構成する。
【0010】
図2は出力装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。出力装置1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15はバスBにより接続されている。
【0011】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(説明文出力プログラム)を読み出して実行することにより、出力装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、取得部、文生成部、説明文生成部及び出力部等の機能部を実現する。
【0012】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0013】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、美術品DB131及び優先度DB132並びにテンプレートTPを記憶する。補助記憶部13は出力装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、出力装置1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0014】
通信部14はネットワークNを介して、ユーザ端末2と通信を行う。また、制御部11が通信部14を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0015】
読み取り部15はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部15を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0016】
図3はユーザ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。ユーザ端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25及び表示部26を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0017】
制御部21は補助記憶部23に記憶された制御プログラム2Pにしたがい、ハードウェア各部を制御する。一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2Pを読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0018】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0019】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23はユーザ端末2に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各データ等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0020】
通信部24はネットワークNを介して、出力装置1と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0021】
入力部25はキーボードやマウスである。表示部26は液晶表示パネル等を含む。表示部26は出力装置1が出力した説明文などを表示する。また、表示部26は入力部25と一体化したタッチパネルディスプレイでもよい。なお、ユーザ端末2は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0022】
また、出力装置1又はユーザ端末2は、テキストを音声へ変換する音声合成部を備えてもよい。ユーザ端末2は、出力装置1から説明文を取得し、取得した説明文を音声へ変換する。又は、出力装置1は説明文を音声へ変換し、ユーザ端末2へ送信する。ユーザ端末2は説明文を音声出力する。
【0023】
図4は美術品DBの構造を有向グラフで示した説明図である。図面中央のノードN1はノードの一つであり、美術品を示す画像である。エッジの終点ノードは、始点ノードの関連情報を示す。エッジには始点ノードに関連する属性と階層化された分類とがラベル付けされている。例えば、ノードN1からノードN2へのエッジE1には、属性である作品名と、階層化した分類として(1→2a)とがラベル付けされている。それにより、ノードN1の作品名がノードN2(モナ・リザ)であることを表している。その他のノード、エッジも同様である。なお、階層化された分類の機能については後述する。
【0024】
図5は美術品DBの例を示す説明図である。図5では美術品DB131をカード型データベースとした場合の例である。美術品DB131は美術品毎にレコードが作成される。各レコードはテーブル形式となっている。各テーブルはラベル列、分類列及びデータ列を含む。ラベル列は属性を記憶する。分類列はノード間の接続関係を含む階層化された分類を示す。データ列は関連情報を記憶する。図5において、作品名「中国人家族のいる雪景色」は作者不詳である。そのため、「作者」、「出身国」、「生年」のデータは欠落している。「制作地」も不明で欠落している。
【0025】
図6は美術品DBの他の例を示す説明図である。図6に示すのは、美術品DB131をリレーショナルデータベースに実装した場合のスキーマを示したものである。ここでは、美術品DB131を3つのテーブルで表現している。
【0026】
図6Aは作品テーブルの例を示す。作品テーブル1311は作品(美術品)についての情報を記憶する。作品テーブル1311は作品ID列、作品名列、作者ID列、制作年列、及び所蔵博物館ID列を含む。作品ID列は作品を一意に特定可能な作品IDを記憶する。作品名列は作品の名称を記憶する。作者ID列は作品の作者を示す作者IDを記憶する。作者IDは外部キーであり、後述する作者テーブル1312の主キーである。制作年列は作品が制作された年を記憶する。作品が複数年に亘っている制作されている場合、制作年列は制作開始年と制作終了年とを記憶する。所蔵博物館ID列は作品を所蔵している博物館を示す博物館IDを記憶する。博物館IDは外部キーであり後述する博物館テーブル1313の主キーである。
【0027】
図6Bは作者テーブルの例を示す。作者テーブル1312は作品の作者に関する情報を記憶する。作者テーブル1312は作者ID列、氏名列、出身国列、生年列及び没年列を含む。作者ID列は作者を一意に特定可能な作者IDを記憶する。氏名列は作者の氏名を記憶する。出身国列は作者の出身国を記憶する。生年列は作者の生年を記憶する。没年列は作者の没年を記憶する。作者が存命中の場合、没年列は空白等を記憶するか、値なし(NULL)とする。
【0028】
図6Cは博物館テーブルの例を示す。博物館テーブル1313は作品を所蔵する博物館の情報を記憶する。ここでいう博物館は名称に博物館を含む施設に限らない。美術品を所蔵する美術館、資料館、記念館等も含む。博物館テーブル1313は博物館ID列、博物館名列、所在地列及び来館者列を含む。博物館ID列は博物館を一意に特定可能な博物館IDを記憶する。博物館名列は博物館の名称を記憶する。所在地列は博物館の所在地を記憶する。図6Cでは所在国を記憶している。来館者列は年間の来館者数を記憶する。
【0029】
続いて、説明文提供システム100で行われる処理について説明する。図7は生成出力処理の手順例を示すフローチャートである。出力装置1の制御部11はユーザ端末2等から説明文の生成対象となる作品の識別情報、例えば作品IDを取得する(ステップS1)。制御部11は識別情報をキーにして、美術品DB131を検索し、作品情報を取得する(ステップS2)。制御部11は取得した作品情報とテンプレートTPとを用いて、作品情報に含まれるラベル毎に単文を生成する(ステップS3)。制御部11はラベルの分類に基づいて、生成した単文を分類に基づくグループ毎にまとまるように順序を入れ替える(ステップS4)。制御部11はグループ内の単文を結合する(ステップS5)。制御部11は結合した得た説明文を出力する(ステップS6)。制御部11は説明文をユーザ端末2へ送信する。制御部11は説明文を補助記憶部13に記憶しておき、同じ作品IDについての問い合わせをユーザ端末2から受けた場合、記憶している説明文を送信してもよい。
【0030】
次に、生成出力処理の例を示す。図5に示したモナ・リザの説明文を生成する場合について説明する。作品情報からテンプレートTPを用いて、次の文が得られる。文の後ろのカッコ内の文字列は文の基になった分類を示す。当該分類は図4にも示している。
【0031】
「この作品はモナ・リザです」(1→2a)
「作者はレオナルド・ダ・ヴィンチです」(1→2b)
「出身国はイタリアです」(2b→3a)
「生年は1452年です」(2b→3b)
「制作年は1503年~1519年です」(1→2c)
「制作地はイタリアです」(1→2d)
「所蔵はルーヴル美術館です」(1→2e)
「所在地はフランスです」(2e→3a)
「来訪者は740万人です」(2e→3b)
【0032】
次に分類に基づいて順番を入れ替える。分類毎にまとまるように入れ替える。分類を示す文字列には矢印を含むものがある。このような分類において、矢元の分類を先行分類といい、矢先の分類を後続分類という。まとめかたは次のように行なう。分類を示す文字列に矢印を含まない場合、当該分類を示す文字列を用いて、まとめる。上述の場合、文字列「1」である。分類を示す文字列に矢印を含む場合、先行分類を用いて、まとめる。上述の場合、文字列「1」、文字列「2b」、「2e」が該当する。後続分類が先行分類にもなっている場合は、後続分類を用いる。上述の場合、分類「1→2b」は、文字列「2b」を用いてまとめられる。以上のアルゴリズムから、文字列「1」、「2b」、「2e」により、まとめられる。それぞれの文字列を用いてまとめる分類を以下、分類1、分類2b、分類2eという。まず、分類1でまとめると以下のようになる。
【0033】
「この作品はモナ・リザです」(1→2a)
「制作年は1503年~1519年です」(1→2c)
「制作地はイタリアです」(1→2d)
【0034】
分類2bでまとめると以下のようになる。上述したように、分類「1→2b」はまとめる際の分類は、分類「1」ではなく分類「2b」である。
【0035】
「作者はレオナルド・ダ・ヴィンチです」(1→2b)
「出身国はイタリアです」(2b→3a)
「生年は1452年です」(2b→3b)
【0036】
分類2eでまとめると以下のようになる。上述したように、分類「1→2e」はまとめる際の分類は、分類「1」ではなく分類「2e」である。
【0037】
「所蔵はルーヴル美術館です」(1→2e)
「所在地はフランスです」(2e→3a)
「来訪者は740万人です」(2e→3b)
【0038】
続いて、グループ内の文を結合すると、以下のようになる。
【0039】
「この作品はモナ・リザで、制作年は1503年~1519年、制作地はイタリアです。」(分類1)
「作者はレオナルド・ダ・ヴィンチで、出身国はイタリア、生年は1452年です。」(分類2b)
「所蔵はルーヴル美術館で、所在地はフランス、来訪者は740万人です」(分類2e)
【0040】
以上の3文が説明文として出力される。本実施の形態は、次の効果を奏する。生成した文の順序を、分類を用いて入れ替えることで、可読性の高い説明文を生成可能となる。また、データがないラベルや文字数制限などで説明文に含めないラベルがあった場合も、柔軟に対応可能となる。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態は、美術品DB131の各ラベルに重要度を付与し、重要度により説明文に含めるラベルを選択する形態に関する。ここで、重要度は同じ構造のデータの中に、どれだけそのラベルのデータを持っているかで決める。また、重要度によってラベルを順位付けした場合の順位を優先度という。なお、システム構成、ハードウェア構成は実施の形態1と同様であるから、説明を省略する。
【0042】
図8は優先度DBの例を示す説明図である。優先度DB132はラベル毎に、重要度に基づく優先度を記憶する。優先度DB132はラベル列、分類列、データ数列、正規化列及び優先度列を含む。ラベル列はラベルを記憶する。分類列はラベルの分類を記憶する。データ数列はデータ数を記憶する。当該データ数は重要度に相当する。正規化列はラベルのデータ数を正規化した値を記憶する。ラベルのデータ数を、必ず又は最も多いデータを持つラベルのデータ数、例えば作品のデータ数で除算した値を、正規化列は記憶する。当該正規化した値を重要度としてもよい。優先度列は重要度によりラベルの順位付けをした場合の順位を記憶する。
【0043】
図9は生成出力処理の他の手順例を示すフローチャートである。出力装置1の制御部11はユーザ端末2等から説明文の生成対象となる作品の識別情報、例えば作品IDを取得する(ステップS21)。制御部11は識別情報をキーにして、美術品DB131を検索し、作品情報を取得する(ステップS22)。制御部11は優先度DB132から優先度を取得する(ステップS23)。取得するのはデータを持っているラベルのみでよい。制御部11はループ変数nに1を代入する(ステップS24)。制御部11は優先度nのラベルのデータを取得する(ステップS25)。制御部11はテンプレートTPを用いて単文を生成し、生成した文を分類と対応付けて一時記憶領域に記憶する(ステップS26)。一時記憶領域は主記憶部12又は補助記憶部13に設ける。制御部11はループ変数nを1増加させる(ステップS27)。制御部11はループ変数nが閾値kより大きいか否かを判定する(ステップS28)。kの値は予め設定しておく。kを5とすると、優先度1から5までのラベルについての単文が生成される。制御部11はループ変数nが閾値k未満と判定した場合(ステップS28でNO)、ステップS25へ戻す。制御部11はループ変数nが閾値kより大きいと判定した場合(ステップS28でYES)、一時記憶領域に記憶した単文をラベルの分類毎にまとまるように順序を入れ替える(ステップS29)。制御部11は入れ替えた単文を分類毎に結合する(ステップS30)。制御部11は結合して得た説明文を出力する(ステップS31)。
【0044】
図10は説明文の生成過程を示す説明図である。上記同様、モナ・リザの説明文を生成する例である。なお、閾値kは5である。図8の優先度DB132から、優先度1のラベルは作品名である。優先度2のラベルは作者である。優先度3のラベルは制作年である。優先度4のラベルは出身国である。優先度5は生年である。制御部11はラベルそれぞれについての単文を生成する。生成した結果が図10の左に示した5文である。制御部11はラベルの分類毎にまとまるように順序を入れ替える。制御部11は第3文を第2文に繰り上げる。図10の中央に示した文の並びとなる。制御部11はグループ毎に文を結合する。その結果、図10の右に示した説明文が生成される。制御部11は説明文を出力する。
【0045】
本実施の形態においては、重要度に基づく優先度の高いラベルについての単文を生成するので、コンパクトで中身の濃い説明文を生成可能となる。
【0046】
(実施の形態3)
本実施の形態は、各ラベルの重要度に重み付けをする形態に関する。また、説明文の文字数に上限を設ける形態に関する。なお、システム構成、ハードウェア構成は実施の形態1と同様であるから、説明を省略する。
【0047】
図11は優先度DBの他の例を示す説明図である。優先度DB132は図11Bに示している。図11Aは優先度DBを作成する途上を示す。図11Aにおいて、ラベル列、分類列及び正規化列は、図8と同様である。距離列は各ラベルの作品からの距離(関連度合い)を示す。距離は分類列から求めることが可能である。例えば作品の分類は1で、作品名の分類は「1→2a」であるから、距離は1となる。同様に作者も距離は1となる。出身国の分類は「2b→3a」であるところ、作者の分類は「1→2b」であるから、作品と出身国との関係は、作品→作者→出身国と表現できる。したがって、出身国の距離は2となる。同様に距離を求めると、図11Aに示すものとなる。正規化した重要度の値を距離の逆数で重み付けする。すなわち、正規化した重要度の値を距離で除した値を、本実施の形態における重要度とする。重み付けした値は重要度列の値である。そして、重要度に順位付けを行う。各ラベルの順位が優先度となる。図11Bに示した表が、本実施の形態の優先度DB132の例である。
【0048】
次に、説明文の生成について説明する。図12は生成出力処理の他の手順例を示すフローチャートである。出力装置1の制御部11はユーザ端末2等から説明文の生成対象となる作品の識別情報、例えば作品ID及び上限数(上限の文字数)を取得する(ステップS41)。制御部11は識別情報をキーにして、美術品DB131を検索し、作品情報を取得する(ステップS42)。制御部11はループ変数nに1を代入する(ステップS43)。制御部11は優先度nのラベルのデータを取得する(ステップS44)。制御部11は、優先度DB132を参照して優先度nのラベルから取得し、取得したラベルのデータを作品情報から取得する。制御部11はテンプレートTPを用いて単文を生成し、生成した文を分類と対応付けて一時記憶領域に記憶する(ステップS45)。制御部11はすでに作成した単文の合計文字数が、上限数以上であるか否かを判定する(ステップS46)。制御部11はすでに作成した単文の合計文字数が上限数未満であると判定した場合(ステップS46でNO)、制御部11はループ変数nを1増加させ(ステップS47)、処理をステップS44に戻す。制御部11はすでに作成した単文の合計文字数が上限数以上であると判定した場合(ステップS46でYES)、すでに作成した単文を分類毎にまとまるように順序を入れ替える(ステップS48)。制御部11は入替え後の文を分類毎に結合する(ステップS49)。制御部11は結合した文を出力する(ステップS50)。なお、単文を結合した結果、説明文の文字数が上限数を超えてしまう場合は、優先度が最も低いラベルに基づく単文を除いた上で、ステップS48以降を再度、実行してもよい。
【0049】
図13は説明文の生成過程を示す説明図である。上記同様、モナ・リザの説明文を生成する例である。上限文字数は75文字とする。制御部11は優先度DB132を参照し、優先度1のラベル「作品名」についての単文を生成する。続いて、ラベル「作者」、「制作年」、「所蔵」、「出身国」、「生年」の順に単文を生成する。生成された単文は図13の左に示したものとなる。
【0050】
各文に付した括弧内の値は、分類と文字数である。ここで、「出身国」までの文字数が合計69文字である。「生年」についての単文を加えると79文字となり、上限文字数を超えるので、「生年」についての単文は捨てられる。次に制御部11はラベルの分類にしたがって、順番の入替えをする。その結果が図13の真ん中に示したものである。次に制御部11は分類毎に単文を結合する。その結果が説明文として出力する文章であり、図13の右に示したものである。
【0051】
本実施の形態においては、ラベルの重要度に重み付けをするので、美術品により密接な事項についての文がより先の順序に現れる説明文を生成可能となる。それにより、上限文字数の範囲内で説明文を生成する場合であっても、内容が十分の説明文を生成可能となる。
【0052】
図14は出力装置が備える機能部の一例を示すブロック図である。出力装置1は機能部として、取得部11a、文生成部11b、説明文生成部11c及び出力部11dを備える。これらの各機能部は、制御部11が制御プログラム1Pに基づいて動作することにより、実現される。
【0053】
取得部11aは、複数の抽出対象となる対象物に関連する属性と階層化された分類とがラベル付けされた複数の関連情報を記憶する記憶部から、前記抽出対象の前記関連情報を複数取得する。文生成部11bは、取得した複数の前記関連情報からラベル付けされた属性を用いて、複数の文を生成する。説明文生成部11cは、生成した複数の前記文を、分類に基づいて結合し、説明文を生成する。出力部11dは、生成した説明文を出力する。なお、説明文生成部11cは、優先度に基づく順番で生成した文を結合してもよい。
【0054】
また、図14には示していないが、出力装置1は機能部として、ラベル毎の優先度を取得する優先度取得部、取得した優先度に基づいて単文を複数選択する選択部、及び、説明文の文字数が所定値を超えているか否か判定する判定部を備えてもよい。
【0055】
上述の実施の形態において、各ラベルとそのデータより単文を生成するとしたが、それに限らない。文を生成する前に、複数のラベルをグループ毎にまとめ、まとまったグループ毎に、一つの重文を生成してもよい。上述の例では、ラベル「作品」、「制作年」、「制作地」が一つのまとまったグループとなるので、単文を作成することなく、「この作品はモナ・リザで、制作年は1503年~1519年、制作地はイタリアです。」との重文を生成する。
【0056】
また、テンプレートTPを変更することにより、複文を生成してもよい。例えば、「<生年のデータ>に<出身国のデータ>で生まれた<作者のデータ>の作品です。」とのテンプレートTPを用意しておく。当該テンプレートTPにより、「1452年にイタリアで生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。」等の複文が生成可能となる。
【0057】
上述の実施の形態において、作品を指定する際、ユーザは作品名を音声入力してもよい。出力装置1は音声認識により、指定された作品の識別情報を取得する。また、ユーザはチャットボットにより作品を指定してよい。出力装置1はチャットボットのメッセージから、作品の識別情報を取得する。出力装置1は、生成した説明文をチャットボットにより返信する。
【0058】
上述の実施の形態において、作品を指定して、作品についての説明文を生成するとしたが、それに限らない。作者を指定して、作者についての説明文を生成するとしてもよい。このような場合に対応するには、図5に示した美術品DB131を作者の観点で再構成した作者DBを構築し利用する。図6に示したように、美術品DB131をリレーショナルデータベースに実装している場合は、データベースの再構成を行わなくともよい。
【0059】
説明文の生成は美術品に限らない。商品全般に適用可能である。この場合、美術品DB131を商品DBとして、各ラベルとそのデータを商品に適したものに変更する。利用想定はネットショップや仮想ショッピングモール等である。
【0060】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
100 説明文提供システム
1 出力装置
11 制御部
11a 取得部
11b 文生成部
11c 説明文生成部
11d 出力部
12 主記憶部
13 補助記憶部
131 美術品DB
1311 作品テーブル
1312 作者テーブル
1313 博物館テーブル
132 優先度DB
TP テンプレート
14 通信部
15 読み取り部
1P 制御プログラム
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
2 ユーザ端末
B バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14