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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020159499
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052951
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】森脇 徹
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139681(JP,A)
【文献】特開2006-014208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0285460(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225405(US,A1)
【文献】特開2017-130861(JP,A)
【文献】特開2007-312387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B5/30-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載された搭載基板と、
前記搭載基板を収納する収納凹部を有するベースと、
前記ベースの開口に接合されて、前記搭載基板が収納された前記収納凹部を気密に封止する蓋体とを備え、
前記搭載基板は、断熱用空間を有し、
前記搭載基板は、搭載面を有する第1基板と、前記収納凹部に接合される第2基板とを含む複数の基板が、重なるように接合されて構成され、
前記複数の基板の内の少なくとも一つの基板は、前記断熱用空間を有し、
前記第1基板は、絶縁基板に、配線パターン及び複数の搭載用のパッド部が形成されて前記搭載面が構成され、
前記少なくとも一つの基板は、絶縁基板に前記断熱用空間が形成されて構成される、
ことを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記絶縁基板が、水晶基板又はガラス基板である、
請求項に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板の前記複数の搭載用のパッド部に重ならない領域に形成されている
請求項1または2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に重なる領域内に形成されている
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記集積回路素子は、平面視が矩形であって、複数の実装端子を有し、
前記複数の実装端子が、前記矩形の二組の対向辺の内の一方の組の各対向辺に沿う二列に配置され、かつ、各列の複数の前記実装端子が、前記各対向辺寄りにそれぞれに配置されており、
前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に重なる領域内であって、かつ、前記複数の実装端子の前記二列の間の領域に形成されている、
請求項に記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記ベースは、前記収納凹部に接続電極を有し、
前記集積回路素子は、前記複数の実装端子が、前記第1基板の複数の前記搭載用のパッド部にフリップチップ接続されて前記第1基板に搭載され、
前記圧電振動子は、一方の面に接続端子を有し、前記圧電振動子は、その他方の面が、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に接合されて、該集積回路素子上に積層され、前記圧電振動子の前記一方の面の前記接続端子が、ボンディングワイヤーによって、前記第1基板の前記搭載用のパッド部、及び、前記ベースの前記接続電極の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている
請求項に記載の圧電発振器。
【請求項7】
前記発熱体は、一方の面に抵抗配線が形成されたヒータ基板であり、該ヒータ基板は、その他方の面が、前記圧電振動子に接合されて、該圧電振動子上に積層され、前記ヒータ基板の前記一方の面の前記抵抗配線が、ボンディングワイヤーによって、前記第1基板の前記搭載用のパッド部、及び、前記ベースの前記接続電極の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている
請求項に記載の圧電発振器。
【請求項8】
前記搭載基板は、前記第1基板と前記第2基板との二枚の基板が互いに重なるように接合されて構成され、
前記少なくとも一つの基板が、前記第2基板である
請求項1ないしのいずれか一項に記載の圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発振器に関し、更に詳しくは、周囲温度の影響を受けにくい周波数安定度の高い圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信機器等に用いる水晶発振器などの圧電発振器として、周波数安定度が高い恒温槽型の圧電発振器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この圧電発振器では、発振回路ユニットを収容するインナーオーブンと、インナーオーブンを収容するアウターオーブンとの二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆っている。
【0004】
また、インナーオーブン内のインナープリント基板と、アウターオーブン内のアウタープリント基板とは、接続ピンによって電気的機械的に接続され、アウタープリント基板と、外側金属ケース内のベースプリント基板とは、接続ピンによって電気的機械的に接続され、ベースプリント基板は、接続ピンによってマザープリント基板に設けたスルーホール等に挿通し半田接続されることによって、当該圧電発振器はマザープリント基板上に搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4270158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動体通信機器等では、機器の小型化が求められており、それに伴って圧電発振器についても小型化が求められている。
【0007】
上記特許文献1の圧電発振器では、インナーオーブンとアウターオーブンとの二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆う三重構造となっているので、大きくならざるを得ず、小型化を図るのは困難である。
【0008】
また、インナープリント基板とアウタープリント基板、アウタープリント基板とベースプリント基板、及び、ベースプリント基板とマザープリント基板を電気的機械的にそれぞれ接続する接続ピンは、熱伝導率が高く、周囲温度の影響を受け易い。
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることができると共に、周囲温度の影響を受けにくい周波数安定度の高い圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
(1)本発明の圧電発振器は、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載された搭載基板と、前記搭載基板を収納する収納凹部を有するベースと、前記ベースの開口に接合されて、前記搭載基板が収納された前記収納凹部を気密に封止する蓋体とを備え、前記搭載基板は、断熱用空間を有する。
【0012】
本発明によれば、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載された搭載基板は、断熱用空間を有するので、この断熱用空間によって効果的に断熱し、搭載基板に搭載された発熱体からの熱が、ベースの収納凹部を介して外部に放熱されるのを抑制しつつ、発熱体によって圧電振動子を効率よく加熱することができ、圧電振動子の温度を安定に保持して、周波数の安定化を図ることができる。
【0013】
また、ベース内に、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体を搭載した搭載基板を収納して蓋体で気密に封止することで、搭載基板の断熱用空間によって効果的に断熱することができるので、上記特許文献1のように、二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆って断熱する必要がなく、小型化を図ることができる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記搭載基板の前記断熱用空間が、窪み部及び貫通部の少なくともいずれか一方によって形成されている。
【0015】
この実施態様によると、搭載基板の断熱用空間を形成する窪み部や貫通部によって、搭載基板に搭載された発熱体からの熱がベースの収納凹部を介して放熱されるのを効果的に抑制しつつ、発熱体によって圧電振動子を効率よく加熱することができる。
【0016】
(3)本発明の他の実施態様では、前記搭載基板は、搭載面を有する第1基板と、前記収納凹部に接合される第2基板とを含む複数の基板が、重なるように接合されて構成され、前記複数の基板の内の少なくとも一つの基板は、前記断熱用空間を有する。
【0017】
この実施態様によると、搭載基板は、搭載面を有する第1基板と、収納凹部に接合される第2基板とを含む複数の基板が、重なるように接合されて構成され、前記複数の基板の内の少なくとも一つの基板は、断熱用空間を有するので、搭載基板を構成する基板の枚数、断熱用空間を形成する基板、基板に形成する断熱用空間の位置といった選択が可能となり、設計の自由度が高まる。
【0018】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記第1基板は、絶縁基板に、配線パターン及び複数の搭載用のパッド部が形成されて前記搭載面が構成され、前記少なくとも一つの基板は、絶縁基板に前記断熱用空間が形成されて構成される。
【0019】
この実施態様によると、絶縁基板に、配線パターン及び複数の搭載用のパッド部が形成された搭載面を有する第1基板に、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載され、複数の基板の内の少なくとも一つの基板は、断熱用空間が形成された絶縁基板であり、この断熱用空間が形成された絶縁基板によって、第1基板に搭載された発熱体からの熱が、ベースの収納凹部を介して外部に放熱されるのを抑制しつつ、発熱体によって第1基板に搭載された圧電振動子を効率よく加熱することができる。
【0020】
(5)本発明の一実施態様では、前記絶縁基板が、水晶基板又はガラス基板である。
【0021】
この実施態様によると、絶縁基板が、水晶基板又はガラス基板であるので、セラミック基板やセラミックパッケージの内底面のようにセラミックからなる平面に比べて平坦度が良好である。これによって、集積回路素子を第1基板に搭載する際の荷重が均等に印加されて、安定した接続が可能となり、集積回路素子の接続の信頼性が向上する。
【0022】
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板の前記複数の搭載用のパッド部に重ならない領域に形成されている。
【0023】
第1基板の複数の搭載用のパッド部は、集積回路素子等を搭載するときに、荷重が印加されるが、この実施態様によれば、少なくとも一つの基板に形成されている断熱用空間は、平面視で、第1基板の複数の搭載用のパッド部に重ならない領域に形成されている。換言すると、平面視で、第1基板の複数の搭載用のパッド部に重なる領域には、断熱用空間が形成されていないので、集積回路素子等を搭載するときに印加される荷重を、断熱用空間のない強固な領域で安定して受け止めることができる。
【0024】
(7)本発明の他の実施態様では、前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に重なる領域内に形成されている。
【0025】
この実施態様によると、基板の断熱用空間は、平面視で、第1基板に搭載された集積回路素子に重なる領域内に形成されている。換言すると、第1基板の集積回路素子が搭載された領域の下方には、基板の断熱用空間が形成されているので、集積回路素子の発熱による熱が、ベースの収納凹部へ放熱されるのを、断熱用空間によって効果的に抑制することができる。
【0026】
(8)本発明の更に他の実施態様では、前記集積回路素子は、平面視が矩形であって、複数の実装端子を有し、前記複数の実装端子が、前記矩形の二組の対向辺の内の一方の組の各対向辺に沿う二列に配置され、かつ、各列の複数の前記実装端子が、前記各対向辺寄りにそれぞれに配置されており、前記少なくとも一つの基板の前記断熱用空間は、平面視で、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に重なる領域内であって、かつ、前記複数の実装端子の前記二列の間の領域に形成されている。
【0027】
この実施態様によると、基板の断熱用空間は、平面視で、第1基板に搭載された集積回路素子に重なる領域内にあるので、集積回路素子の発熱による熱が、ベースの収納凹部へ放熱されるのを、断熱用空間によって効果的に抑制することができる。更に、基板の断熱用空間は、平面視で、集積回路素子を第1基板に搭載する際に、荷重が印加される集積回路素子の複数の実装端子に重なる領域ではなく、二列の実装端子の間の領域に形成されているので、集積回路素子を搭載する際に複数の実装端子に印加される荷重を、断熱用空間が形成されていない強固な領域で安定して受け止めることができる。
【0028】
(9)本発明の一実施態様では、前記ベースは、前記収納凹部に接続電極を有し、前記集積回路素子は、前記複数の実装端子が、前記第1基板の複数の前記搭載用のパッド部にフリップチップ接続されて前記第1基板に搭載され、前記圧電振動子は、一方の面に接続端子を有し、前記圧電振動子は、その他方の面が、前記第1基板に搭載された前記集積回路素子に接合されて、該集積回路素子上に積層され、前記圧電振動子の前記一方の面の前記接続端子が、ボンディングワイヤーによって、前記第1基板の前記搭載用のパッド部、及び、前記ベースの前記接続電極の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている。
【0029】
この実施態様によると、圧電振動子は、第1基板にフリップチップ接続によって搭載された集積回路素子上に積層されて、ボンディングワイヤーによって、第1基板の搭載用のパッド部やベースの接続電極に接続される。このように圧電振動子は、第1基板に搭載された集積回路素子上に積層されるので、当該圧電発振器の平面サイズを小さくして小型化を図ることができる。
【0030】
(10)本発明の他の実施態様では、前記発熱体は、一方の面に抵抗配線が形成されたヒータ基板であり、該ヒータ基板は、その他方の面が、前記圧電振動子に接合されて、該圧電振動子上に積層され、前記ヒータ基板の前記一方の面の前記抵抗配線が、ボンディングワイヤーによって、前記第1基板の前記搭載用のパッド部、及び、前記ベースの前記接続電極の少なくともいずれか一方に電気的に接続されている。
【0031】
この実施態様によると、ヒータ基板は、圧電振動子に接合されて、該圧電振動子上に積層されるので、圧電振動子を効率的に加熱することができると共に、当該圧電発振器の平面サイズを小さくして小型化を図ることができる。
【0032】
(11)本発明の更に他の実施態様では、前記搭載基板は、前記第1基板と前記第2基板との二枚の基板が互いに重なるように接合されて構成され、前記少なくとも一つの基板が、前記第2基板である。
【0033】
この実施態様によると、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体が搭載されている第1基板とは別の第2基板に断熱用空間を形成するので、第1基板の強度が低下することなく、第2基板の断熱用空間によって、第1基板に搭載された発熱体からの熱が、ベースの収納凹部を介して外部に放熱されるのを抑制しつつ、発熱体によって圧電振動子を効率よく加熱することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆って断熱するといった多重の構造ではなく、ベース内に、圧電振動子、集積回路素子及び発熱体を搭載した搭載基板を収納して蓋体で気密に封止するという構造で、搭載基板の断熱用空間によって効果的に断熱し、搭載基板に搭載された発熱体からの熱が、ベースの収納凹部を介して外部に放熱されるのを抑制しつつ、発熱体によって圧電振動子を効率よく加熱することができ、圧電振動子の温度を安定に保持することができる。
【0035】
これによって、周囲の温度変化に影響されることなく安定した周波数特性を有する小型の圧電発振器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る水晶発振器の概略構成図である。
図2図2は搭載基板の概略平面図である。
図3図3図2のA-A線に沿う断面図である。
図4図4は第2基板の概略平面図である。
図5図5は搭載基板が収納されたベースの概略平面図である。
図6図6は搭載基板にICチップ及びコンデンサが搭載された状態のベースの概略平面図である。
図7図7図1の水晶振動子の上下を反転させて、その側方から見た拡大断面図である。
図8図8図7の水晶振動板の両主面の概略平面図である。
図9図9図7の第1封止部材の両主面の概略平面図である。
図10図10図7の第2封止部材の両面の概略平面図である。
図11図11は搭載基板に搭載されたICチップ上に、水晶振動子が搭載された状態のベースの概略平面図である。
図12図12は水晶振動子に搭載されるヒータ基板の平面図である。
図13図13は搭載基板に搭載された水晶振動子上に、ヒータ基板が搭載され、ワイヤーボンディングされた状態を示すベースの概略平面図である。
図14図14は本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
図15図15は搭載基板の第2基板の他の例を示す概略平面図である。
図16図16は本発明の更に他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、圧電発振器として、外部の温度変化に影響されることなく高安定な周波数を出力する恒温槽型の水晶発振器に適用して説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る恒温槽型の水晶発振器の概略構成図である。
【0039】
この実施形態の水晶発振器1は、水晶振動子2と、集積回路素子としてのICチップ3と、水晶振動子2を加熱する発熱体としてのヒータ基板5と、受動部品であるコンデンサ7と、これら2,3,5,7を搭載した搭載基板50と、この搭載基板50を収納して気密に封止するパッケージ6とを備えている。
【0040】
この実施形態の搭載基板50は、平面サイズが等しい2枚の第1,第2基板51,52が互いに重なるように接合されて構成されている。
【0041】
ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5は、その平面サイズが略等しく、ICチップ3は、搭載基板50の第1基板51上にフリップチップ実装され、水晶振動子2はICチップ3上に、ヒータ基板5は水晶振動子2上に、それぞれ後述のように積層して搭載される。なお、ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5は、その平面サイズが互いに異なっていてもよい。
【0042】
水晶振動子2は、水晶振動板14及びこの水晶振動板14の振動部を気密に封止する第1,第2封止部材15,16を備えている。
【0043】
パッケージ6は、上部が開口し、水晶振動子2等が搭載された搭載基板50を収納する収納凹部8aを有するベース8と、シールリング9を介してベース8に接合されて上部の開口を閉塞して収納凹部8aを気密に封止する蓋体としてのリッド10とを備えている。
【0044】
ベース8は、平板状の底板部8bと、その外周部に形成された第1側壁部8cと、この第1側壁部8cの外周部に形成された第2側壁部8dとを備えており、内周壁に段部を有する収容凹部8aが構成される。
【0045】
リッド10による気密封止は、真空雰囲気中または窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われ、パッケージ6の内部の空間は、真空または不活性ガス雰囲気とされる。
【0046】
ベース8は、アルミナ等のセラミック材料からなり、例えば、3枚のセラミックグリーンシートを積層して上部が開口した段部を有する凹状に一体焼成して構成される。
【0047】
この実施形態では、水晶振動子2を加熱するためのヒータ基板5の熱が、ベース8から当該水晶発振器1が搭載される外部基板側へ放熱されるのを抑制して、水晶振動子2の温度を安定に維持できるようにするために、次のようにしている。
【0048】
すなわち、ベース8の収納凹部8aの底面に接合される第2基板52の上面には、窪んだ第1~第3窪み部52a~52cが形成されている。これによって、搭載基板50の水晶振動子2等が搭載される第1基板51の搭載面(上面)とベース8の収納凹部8aの底面との間に、断熱するための第1~第3窪み部52a~52cによる断熱用空間が形成される。
【0049】
図2は、搭載基板50の概略平面図であり、図3は、図2のA-A線に沿う断面図であり、図4は、第2基板52の概略平面図である。
【0050】
搭載基板50は、水晶振動子2等が搭載される第1基板51と、ベース8の収納凹部8aの底面に接合される第2基板52とが、互いに重なるように非導電性接着剤によって接合されている。第2基板52は、ベース8の収納凹部8aの底面に非導電性接着剤によって接合されている。
【0051】
水晶振動子2等が搭載される第1基板51の搭載面、すなわち、上面には、図2に示すように配線パターン11が形成されると共に、所要の配線パターン11の端部には、ICチップ3をフリップチップ接続するための搭載用のパッド部(図示せず)が形成されている。
【0052】
ベース8の収納凹部8aの底面に接合される第2基板52の、第1基板51との接合面、すなわち、第2基板52の上面には、上記の第1~第3窪み部52a~52cが、図4に示すように異なる平面サイズの矩形にそれぞれ形成されている。第1基板51と第2基板52とが接合されて、第2基板52の第1~第3窪み部52a~52cが第1基板51によって閉塞されて断熱用空間が構成される。
【0053】
この実施形態の第2基板52の厚みは、図3に示されるように、第1基板51の厚みに比べて厚く強度が高いので、第1~第3窪み部52a~52cの深さを深くすることができ、また、サイズを大きくすることができるので、効果的な断熱を図ることができる。
【0054】
また、第2基板52の上面に形成された第1~第3窪み部52a~52cによって、第1基板51と第2基板52との接触面積を低減できるので、両基板51,52間の熱伝導が抑制され、第1基板51に搭載されているヒータ基板5からの熱が、ベース8の収納凹部8aの底部を介して当該水晶発振器1が搭載される外部基板側へ放熱されるのを抑制することができる。
【0055】
この実施形態では、第1,第2窪み部52a,52bは、図1に示すように、コンデンサ7の下方に近接した領域に形成されている。第3窪み部52cは、図1及び図4の仮想線で示されるように、第1基板51に搭載されたICチップ3に、平面視で重なる領域内、すなわち、ICチップ3を、第2基板52に投影したICチップ投影領域内に形成されている。
【0056】
このように第2基板52の第3窪み部52cを、第1基板51に搭載されたICチップ3に平面視で重なる領域内に形成しているので、ICチップ3上のヒータ基板5からの熱が、搭載基板50の第2基板52の第3窪み部52cよって効果的に断熱されることになる。これによって、ベース8の収納凹部8aの底部を介して当該水晶発振器1が搭載される外部基板側へ放熱されるのを抑制して、水晶振動子2の温度を安定に維持できる。
【0057】
平面視矩形のICチップ3は、図4の仮想線で示すように、複数、この例では6個の実装端子3aを備えている。この6個の実装端子3aは、対向する各長辺寄りの位置に、各長辺に沿って3個ずつ二列に配置されている。
【0058】
第2基板52の第3窪み部52cは、この二列の複数の実装端子3aに重ならないように、前記二列の間の領域、すなわち、ICチップ3の二列の各実装端子3aを第2基板52に投影した投影実装端子の前記二列の間の領域に形成されている。
【0059】
このように第2基板52の第3窪み部52cは、平面視で、第1基板51にフリップチップ接続によって搭載されるICチップ3の二列の実装端子3aの間の領域に形成されている。換言すると、ICチップ3の二列の実装端子3aの下方には、第3窪み部52cは形成されていないので、ICチップ3を搭載する際に印加される荷重を、第3窪み部52cが形成されていない第2基板52の強固な領域で安定して受け止めることができる。
【0060】
この実施形態の搭載基板50を構成する第1,第2基板51,52は、水晶基板で構成されており、セラミックからなる平板、例えば、セラミック基板やセラミックパッケージの底板部に比べて、その平面の平坦度が良好である。
【0061】
このため、セラミックからなるベース8の収納凹部8aの底面に反りがあっても、このベース8の収納凹部8aの底面に、非導電性接着剤を介してダイボンディングされた第2基板52及び第1基板51の上面の平坦度は良好である。
【0062】
図5は、搭載基板50が収納凹部8aの底面にダイボンディングされた状態のベース8の概略平面図である。搭載基板50の搭載面である第1基板51の上面には、上記のように複数の配線パターン11が形成されている。
【0063】
ICチップ3は、上記のように6個の実装端子3aを備えており、搭載基板50の第1基板51の搭載面の配線パターン11に、図1に示されるように、金属バンプ13を介してフリップチップ接続される。
【0064】
上記のように搭載基板50は、平坦度が良好であるので、ICチップ3をフリップチップ実装する際に印加される荷重が、ICチップ3の複数の実装端子3a間でばらつくのが抑制されて、安定な接続が可能となり、ICチップ3の接続の信頼性が向上する。
【0065】
ベース8の第1側壁部8cの上面、すなわち、内周壁の段部の上面には、導体配線パターンからなる複数の接続電極12が形成されている。この接続電極12は、後述のようにボンディングワイヤー39によって、第1基板51の配線パターン11に電気的に接続される。
【0066】
図6は、収納凹部8aの底面に接合された搭載基板50の第1基板51の搭載面に、ICチップ3がフリップチップ実装された状態を示す図5に対応する概略平面図である。第1基板51の搭載面の配線パターン11には、複数のコンデンサ7も半田等の接合材によって実装される。
【0067】
この実施形態のICチップ3は、発振回路、温度センサ、及び、温度センサの検出温度に基づいて、ヒータ基板5の発熱を制御する温度制御回路を内蔵している。
【0068】
水晶振動子2は、図1に示されるように、ICチップ3上に搭載される。水晶振動子2は、後述の外部接続端子が上方に臨むように、上下を反転させた状態で搭載される。
【0069】
図7は、図1の水晶振動子2を側方から見た拡大断面図であって、図1の水晶振動子2の上下を反転させた状態の拡大断面図である。水晶振動子2は、圧電振動板である水晶振動板14と、水晶振動板14の一方の主面側を覆って気密に封止する第1封止部材15と、水晶振動板14の他方の主面側を覆って気密に封止する第2封止部材16とを備えている。
【0070】
この水晶振動子2では、水晶振動板14の両主面側に、第1,第2封止部材15,16がそれぞれ接合されて、いわゆるサンドイッチ構造のパッケージが構成される。この水晶振動子2のパッケージは、直方体であって、平面視矩形である。
【0071】
次に、水晶振動子2を構成する水晶振動板14及び第1,第2封止部材15,16の各構成について説明する。
【0072】
図8(a)は図7の水晶振動板14の一方の主面(図7では上面)側を示す概略平面図であり、図8(b)は水晶振動板14の一方の主面側から透視した他方の主面(図7では下面)側を示す概略平面図である。
【0073】
この実施形態の水晶振動板14は、ATカット水晶板であり、その両主面が、XZ´平面である。
【0074】
水晶振動板14は、略矩形の振動部20と、この振動部20の周囲を、空間(隙間)21を挟んで囲む外枠部22と、振動部20と外枠部22とを連結する連結部23とを備えている。振動部20、外枠部22及び連結部23は、一体的に形成されている。図示していないが、振動部20及び連結部23は、外枠部22に比べて薄く形成されている。
【0075】
振動部20の両主面には、一対の第1,第2励振電極24,25がそれぞれ形成されている。第1,第2励振電極24,25からは、第1,第2引出し電極26,27がそれぞれ引出されている。一方の主面側の第1引出し電極26は、連結部23を経て外枠部22に形成された接続用接合パターン28まで引出されている。他方の主面側の第2引出し電極27は、連結部23を経て外枠部22に形成された接続用接合パターン30まで引出されている。
【0076】
水晶振動板14の一方の主面には、水晶振動板14を第1封止部材15に接合するための接合用金属膜としての第1封止用接合パターン31が、外枠部22の全周に亘って、水晶振動板14の外周縁に略沿うように環状に形成されている。水晶振動板14の他方の主面には、水晶振動板14を第2封止部材16に接合するための接合用金属膜としての第2封止用接合パターン32が、外枠部22の全周に亘って、水晶振動板14の外周縁に略沿うように環状に形成されている。
【0077】
水晶振動板14には、両主面間を貫通する第1貫通電極29が形成されている。第1貫通電極29は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1貫通電極29は、環状の第1,第2封止用接合パターン31,32の内側であって、平面視矩形の水晶振動板14の一方の短辺寄りの外枠部22に形成されている。水晶振動板14の一方の主面側の第1貫通電極29の周囲には、第1励振電極24から引出された第1引出し電極26に連なる上記接続用接合パターン28が延びている。第1貫通電極29は、接続用接合パターン28に電気的に接続されており、したがって、第1貫通電極29は、第1励振電極24に電気的に接続されている。
【0078】
水晶振動板14の第1,第2励振電極24,25、第1,第2引出し電極26,27、第1,第2封止用接合パターン31,32、及び、接続用接合パターン28,30は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0079】
図9(a)は図7の第1封止部材15の一方の主面(図7では上面)側を示す概略平面図であり、図9(b)は第1封止部材15の一方の主面側から透視した他方の主面(図7では下面)側を示す概略平面図である。
【0080】
第1封止部材15は、水晶振動板14と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。この第1封止部材15の一方の主面には、図9(a)に示すように、外周縁を除いて全面に熱伝導用の配線パターン48が形成されている。第1封止部材15の他方の主面には、図9(b)に示すように、水晶振動板14の一方の主面の第1封止用接合パターン31に接合して封止するための接合用金属膜としての第1封止用接合パターン33が、第1封止部材15の全周に亘って、第1封止部材15の外周縁に略沿うように環状に形成されている。
【0081】
第1封止部材15には、その両主面間を貫通して、一方の主面の配線パターン48と他方の主面の第1封止用接合パターン33とを繋ぐ貫通電極49が形成されている。この貫通電極49は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。
【0082】
配線パターン48及び第1封止用接合パターン33は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0083】
図10(a)は図7の第2封止部材16の一方の主面(図7では上面)側を示す概略平面図であり、図10(b)は第2封止部材16の一方の主面側から透視した他方の主面(図7では下面)側を示す概略平面図である。
【0084】
第2封止部材16は、水晶振動板14や第1封止部材15と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。
【0085】
第2封止部材16の一方の主面には、図10(a)に示すように、水晶振動板14の他方の主面の第2封止用接合パターン32に接合して封止するための接合用金属膜としての第2封止用接合パターン34が、第2封止部材16の全周に亘って、第2封止部材16の外周縁に略沿うように環状にそれぞれ形成されている。
【0086】
第2封止部材16には、その両主面間を貫通する2つの第2,第3貫通電極42,43が、環状の第2封止用接合パターン34の内側に形成されている。各貫通電極42,43は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。
【0087】
第2封止部材16の環状の第2封止用接合パターン34の内側の一方の短辺寄りには、接続用接合パターン37が、水晶振動板14の他方の主面の第1貫通電極29に対応するように形成されている。水晶振動板14と第2封止部材16とが後述のように接合されることによって、第1貫通電極29は、接続用接合パターン37に接合されて電気的に接続される。第1貫通電極29は、図8(a)に示すように、水晶振動板14の第1励振電極24に電気的に接続されている。したがって、第2封止部材16の一方の主面の接続用接合パターン37は、水晶振動板14と第2封止部材16との接合によって、第1励振電極24に電気的に接続される。
【0088】
この接続用接合パターン37は、図10(a)に示すように、接続用配線パターン36を介して、他方の短辺寄りの第2貫通電極42に電気的に接続されている。したがって、第2貫通電極42は、水晶振動板14と第2封止部材16との接合によって、接続用配線パターン36、接続用接合パターン37、水晶振動板14の第1貫通電極29、接続用接合パターン28及び第1引出し電極26を介して第1励振電極24に電気的に接続される。
【0089】
第2封止部材16の一方の主面の第3貫通電極43は、水晶振動板14の他方の主面の接続用接合パターン30に対応するように形成されている。水晶振動板14の他方の主面の接続用接合パターン30は、図8(b)に示されるように、第2励振電極25に電気的に接続されている。したがって、水晶振動板14と第2封止部材16とが後述のように接合されることによって、第2封止部材16の第3貫通電極43は、水晶振動板14の接続用接合パターン30、第2引出し電極27を介して第2励振電極25に電気的に接続される。
【0090】
第2封止部材16の他方の主面には、図10(b)に示すように、外部に電気的に接続するための一対の第1,第2外部接続端子40,41が設けられている。第1,第2外部接続端子40,41は、第2封止部材16の長辺方向の両端側において、それぞれ短辺方向に沿って延びている。
【0091】
第1,第2外部接続端子40,41は、第2,第3貫通電極42,43にそれぞれ電気的に接続されている。第2,第3貫通電極42,43は、上記のように、水晶振動板14の第1,第2励振電極24,25にそれぞれ電気的に接続されるので、第1,第2外部接続端子40,41は、第1,第2励振電極24,25にそれぞれ電気的に接続される。
【0092】
第2封止部材16の第2封止用接合パターン34、接続用接合パターン37、接続用配線パターン36、及び、第1,第2外部接続端子40,41は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0093】
この実施形態の水晶振動子2は、水晶振動板14と第1封止部材15とが、それぞれの第1封止用接合パターン31,33を重ね合わせた状態で拡散接合されると共に、水晶振動板14と第2封止部材16とが、それぞれの第2封止用接合パターン32,34を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図7に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。これによって、水晶振動板14の振動部20が収容された収容空間が、両封止部材15,16によって気密に封止される。
【0094】
このように水晶振動板14及び第1,2封止部材15,16の3枚の水晶板を積層して、振動部20を収容したパッケージ構造の水晶振動子2が得られる。これによって、収容空間となる凹部を有する箱状のセラミック容器内に、水晶振動片を収容して蓋を接合して封止するパッケージ構造の水晶振動子に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0095】
図7に示される水晶振動子2は、第1封止部材15が下面、第2封止部材16が上面となるように上下が反転されて、ICチップ3の非能動面である上面に、非導電性接着剤を介して接合される。
【0096】
図11は、図6に示されるICチップ3の上面に接合された水晶振動子2を示すベース8の概略平面図である。ICチップ3上に搭載された水晶振動子2は、その第1,第2外部接続端子40,41が上方に露出している。
【0097】
図12は、この水晶振動子2上に搭載されるヒータ基板5を示す平面図である。
【0098】
ヒータ基板5は、水晶等の基板17に、蛇行したパターンの抵抗配線18が形成されている。この基板17は、平面視略矩形の4つの角部の内の一つの角部が矩形に切欠かれた第1切欠き部17aと、一方の長辺の短辺寄りの部分が矩形に切欠かれた第2切欠き部17bとを有している。これら切欠き部17a,17bは、ヒータ基板5を、水晶振動子2上に搭載した状態で、水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41の一部を、上方へ露出させるための切欠きである。
【0099】
抵抗配線18の両端部18a,18bは、一方の短辺側へ引出されており、この抵抗配線59には、例えば、ニクロム、クロム、タングステン等が使用される。
【0100】
図13は、図11の水晶振動子2上に、ヒータ基板5を搭載し、ワイヤーボンディングを行った状態を示す概略平面図である。
【0101】
ヒータ基板5は、抵抗配線18が形成されていない下面側を、非導電性接着剤によって、水晶振動子2に接合する。この状態では、ヒータ基板5の第1,第2切欠き部17a,17bから水晶振動子2の第2封止部材16の第1,第2外部接続端子40,41の一部が上方へ露出している。なお、ヒータ基板5と水晶振動子2との接合は、非導電性接着剤に代えて、導電性接着剤を用いてもよい。
【0102】
この水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41、及び、ヒータ基板5の抵抗配線18の両端部18a,18bが、ボンディングワイヤ-38によって、搭載基板50の第1基板51の所要の配線パターン11にそれぞれ電気的に接続される。
【0103】
これによって、搭載基板50の第1基板51にフリップチップ実装されたICチップ3は、搭載基板50の第1基板51の配線パターン11を介して水晶振動子2及びヒータ基板5に電気的にそれぞれ接続される。
【0104】
また、搭載基板50の第1基板51の所要の配線パターン11が、ボンディングワイヤ-39によって、ベース8の第1側壁部8cの上面の所要の接続電極12にそれぞれ電気的に接続される。
【0105】
これによって、ICチップ3は、搭載基板50の配線パターン11、ボンディングワイヤー39、ベース8の接続電極12及びベース8の内部配線を介してベース8の外底面の図示しない電源端子、出力端子、制御端子、GND端子等の複数の外部接続端子、すなわち、当該水晶発振器1の実装用の複数の外部接続端子に電気的に接続される。
【0106】
ボンディングワイヤー38,39の素材としては、信頼性の観点からAuが好ましいが、Cuなどであってもよい。
【0107】
この実施形態の水晶発振器1では、ICチップ3によって、ヒータ基板5の発熱量が制御されて、水晶振動子2の温度が制御される。
【0108】
以上の構成を有する本実施形態によれば、水晶振動子2、ICチップ3及びヒータ基板5を搭載して、ベース8の収納凹部8aの底面に接合される搭載基板50は、搭載面と収納凹部8aの底面との間に、第1~第3窪み部52a~52cからなる断熱用空間を有するので、この断熱用空間によって効果的に断熱することができる。これによって、搭載基板50に搭載されたヒータ基板5からの熱が、ベース8の収納凹部8aを介して外部に放熱されるのを抑制しつつ、ヒータ基板5によって水晶振動子2を効率よく加熱することができ、外部の温度等が変化しても、水晶振動子2の温度を安定に保持して、周波数の安定化を図ることができる。
【0109】
また、ベース8内に、水晶振動子2、ICチップ3及びヒータ基板5を搭載した搭載基板50を収納してリッド10で気密に封止する構造なので、上記特許文献1のように、二重の恒温槽を、外側金属ケースで覆うような三重の構造にする必要がなく、小型化を図ることができる。
【0110】
これによって、周囲の温度変化に影響されることなく安定した周波数特性を有する小型の水晶発振器1となる。
【0111】
更に、搭載基板50上に、ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5を積層して搭載するので、当該水晶発振器1の平面サイズを小さくすることができる。
【0112】
また、ICチップ3上に水晶振動子2が搭載されているので、水晶振動子2の温度を、ICチップ3の内蔵の温度センサによって正確に検出することができ、水晶振動子2の温度制御を高精度に行うことができる。
【0113】
水晶振動子2は、熱伝導用の配線パターン48が全面に形成された第1封止部材15の一方の主面が、ICチップ3に接合されているので、ICチップ3の発熱が、第1封止部材15の配線パターン48、貫通電極49、及び、第1封止用接合パターン33を介して水晶振動板14の第1封止用接合パターン31に伝導する。これによって、ICチップ3の発熱で水晶振動板14を効率的に加熱することができる。
【0114】
図14は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【0115】
上記実施形態では、搭載基板50にフリップチップ実装されたICチップ3上に、水晶振動子2及びヒータ基板5を積層して搭載したが、この実施形態の水晶発振器1では、搭載基板50にフリップチップ実装されたICチップ3上には、水晶振動子2及びヒータ基板5を搭載することなく、搭載基板50上に、水晶振動子2を搭載し、この水晶振動子2上にヒータ基板5を搭載している。
【0116】
搭載基板50には、図示しないコンデンサ等の受動部品が搭載されている。
【0117】
この実施形態の搭載基板50では、第1基板51の上面に、ICチップ3及び水晶振動子2を搭載するための配線パターン等が形成されており、第2基板52には、水晶振動子2に平面視で重なる領域に、第1窪み部52aが形成され、ICチップIC3に平面視で重なる領域に、第2窪み部52bがそれぞれ形成されている。第1,第2窪み部52a,52bは、平面視矩形である。
【0118】
その他の構成は、上記図1の実施形態と同様である。
【0119】
第2基板52,52に形成される窪み部の数や形状等は、上記実施形態に限らず、例えば、図15(a)の第2基板52に示すように、サイズの異なる複数、例えば、3つの第1~第3窪み部52a~52cを形成してもよい。この場合、特に放熱を抑制したい部分に大きなサイズの窪み部を形成するのが好ましい
また、例えば、図15(b)の第2基板52に示すように、小さな矩形の第1窪み部52aを、格子状に多数配列形成し、更に、第1窪み部52aよりも大きな第2窪み部52b及び第3窪み部52cを形成してもよい。
【0120】
また、格子状に配列形成される多数の第1窪み部52aの内、第1基板51の搭載用のパッド部の下方に重なる領域p1~p3には、第1窪み部52aを形成しないようにして、第1基板51の搭載用のパッド部に印加される荷重を、第1窪み部52aが形成されていない第2基板52の強固な領域で安定して受け止めるようにするのが好ましい。
【0121】
更に、窪み部は、第2基板52,52,52,52の上面に限らず、下面に形成してもよく、あるいは、両面に形成してもよい。
【0122】
上記各実施形態では、第2基板52,52,52,52に、窪み部52a~52c,52a,52b,52a~52c,52a~52cを形成して断熱用空間を構成したが、窪み部に限らず、例えば、第2基板を貫通する貫通孔等の貫通部を形成して断熱用空間を構成してもよく、あるいは、窪み部と貫通部との両者を形成してもよい。
【0123】
本発明の更に他の実施形態として、図16に示されるように、搭載基板50を、ベース8の収納凹部8aの底面ではなく、収納凹部8a内の段部、すなわち、収納凹部8aの底面の外周部に形成された第1側壁部8cに架け渡すように、第1側壁部8cの上面に接合してもよい。この構成によれば、搭載基板50の第2基板52の下面と、収納凹部8aの底面との間に、空間55が形成されるので、この空間55と搭載基板50の第2基板52に形成された第1~第3窪み部52a~52cとが相俟って、断熱効果を一層高めることができる。
【0124】
この図16の実施形態では、搭載基板50の第1基板51上には、発熱体としてのヒータ用IC4、水晶振動子2、及び、ICチップ3が、この順で積層されて搭載されている。ヒータ用IC4、水晶振動子2が、及び、ICチップ3は、平面サイズが互いに異なっており、ヒータ用IC4が最も大きく、ICチップ3が最も小さい。したがって、搭載基板50から上方へ向けて平面サイズが徐々に小さくなるように、ヒータ用IC4、水晶振動子2、及び、ICチップ3が積層される。
【0125】
搭載基板50の第1基板51とヒータ用IC4、ヒータ用IC4と水晶振動子2、及び、水晶振動子2とICチップ3とは、非導電性接着剤によってそれぞれ接合されている。なお、水晶振動子2とICチップ3とを、金属バンプや半田ボール等の接合部材によって接合してもよい。
【0126】
ヒータ用IC4は、発熱部と、この発熱部の温度を制御する電流制御用の制御回路と、発熱部の温度を検出する温度センサが一体となって構成されている。
【0127】
この実施形態のICチップ3は、発振用のICであって、温度センサ及び温度制御回路は内蔵していない。
【0128】
ヒータ用IC4、水晶振動子2及びICチップ3は、ボンディングワイヤ-38によって、搭載基板50の第1基板51の所要の配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。
【0129】
また、搭載基板50の第1基板51の所要の配線パターンが、ボンディングワイヤ-39によって、ベース8の第1側壁部8cの上面の所要の接続電極にそれぞれ電気的に接続されている。
【0130】
なお、ヒータ用ICは、発熱部及び温度センサを内蔵していなくてもよく、外部のヒータの発熱を制御する回路を内蔵するものであればよい。
【0131】
本発明の他の実施形態として、基板に形成された窪み部や貫通部によって構成される複数の断熱用空間の少なくとも一部の断熱用空間には、樹脂を充填して、基板を補強してもよい。この場合、水晶に比べて熱伝導率の低い樹脂の充填によって、断熱を図ることができる。
【0132】
上記各実施形態では、搭載基板50,50を二枚の基板で構成したが、搭載基板を1枚、あるいは、3枚以上の基板で構成してもよい。この場合、水晶振動子2等が搭載される搭載面とベース8の収納凹部8aの底面との間に、断熱用空間があるのが好ましく、一枚あるいは複数枚のいずれの基板に断熱用空間を形成するかは任意である。
【0133】
上記各実施形態では、ヒータ基板5に第1,第2切欠き部17a,17bを形成して、水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41の一部を露出させたが、ヒータ基板5に切欠きを形成することなく、その平面サイズを小さくして、第1,第2外部接続端子40,41の一部を露出させるようにしてもよい。あるいは、水晶振動子2の平面サイズを、ヒータ基板5に比べて大きくして、第1,第2外部接続端子40,41を露出させてもよい。
【0134】
上記各実施形態では、平坦度が良好な絶縁性の基板として、水晶基板を使用したが、水晶基板に限らず、ガラス基板等を使用してもよい。
【0135】
水晶振動子2を加熱する発熱体としては、ヒータ基板5に代えて、例えば、ポリイミドフィルム等に金属箔の抵抗パターンを形成したフィルム抵抗を用いてもよく、チップ抵抗体を、搭載基板50,50に搭載してもよい。
【0136】
上記各実施形態では、水晶振動板14にATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶を用いてもよい。
【0137】
上記実施形態では、各貫通電極29,42,43は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されているが、これに限らず、貫通孔を導電材料によって埋めてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1,1,1 水晶発振器
2 水晶振動子
3,3 ICチップ(集積回路素子)
4 ヒータ用IC
5 ヒータ基板
6 パッケージ
7 コンデンサ
8 ベース
10 リッド(蓋体)
11 配線パターン
12 接続電極
13 金属バンプ
14 水晶振動板
15 第1封止部材
16 第2封止部材
38,39 ボンディングワイヤー
50,50,50 搭載基板
51,51,51 第1基板
52,52~52 第2基板
52a,52a~52a 第1窪み部(空隙)
52b,52b~52b 第2窪み部(空隙)
52c,52c~52c 第3窪み部(空隙)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16