(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】検出システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20241106BHJP
G08B 21/08 20060101ALI20241106BHJP
G01B 17/00 20060101ALI20241106BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20241106BHJP
G01S 15/04 20060101ALI20241106BHJP
G01S 15/08 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01B21/00 A
G08B21/08
G01B17/00 Z
A47K3/00 Z
G01S15/04
G01S15/08
(21)【出願番号】P 2020159737
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 康之
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-113867(JP,A)
【文献】特開2017-162040(JP,A)
【文献】特開平04-083190(JP,A)
【文献】特開平11-86168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00
G01B 17/00
A47K 3/00
G08B 21/08
G01S 15/04
G01S 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に向けて超音波を発信及び受信する超音波発受信装置と、
前記対象物における超音波の反射波の基準反射波形を記憶する基準反射波形記憶部と、
前記対象物に向けて赤外光を発光及び受光する赤外光発受光装置と、
前記対象物の第一面に配置され赤外光を反射する第一反射部と、
前記対象物の第一面とは異なる第二面に配置され赤外光を反射する第二反射部と、
前記超音波発受信装置から発信された超音波の前記対象物における反射波の反射波形と、前記基準反射波形記憶部に記憶した前記基準反射波形と、前記赤外光発受光装置から発光された赤外光の前記第一反射部または前記第二反射部における反射光とに基づいて、前記対象物を判定する判定部と、
を備える検出システム。
【請求項2】
対象物に向けて超音波を発信及び受信する超音波発受信装置と、
前記超音波発受信装置から発信された超音波の前記対象物における反射波に基づいて、前記超音波発受信装置から前記対象物までの距離を算出する距離算出部と、
前記対象物に向けて赤外光を発光及び受光する赤外光発受光装置と、
前記対象物の第一面に配置され赤外光を反射する第一反射部と、
前記対象物の第一面とは異なる第二面に配置され赤外光を反射する第二反射部と、
前記距離算出部によって算出された距離と距離閾値との比較と、前記距離算出部によって算出された距離と前記赤外光発受光装置から発光された赤外光の前記第二反射部における反射光から算出された距離とに基づいて、所定の高さに位置する対象物を判定する判定部と、
を備える検出システム。
【請求項3】
前記第二反射部は、前記赤外光発受光装置の発光部および受光部と前記第一反射部とを結ぶ光路上に配置される、
請求項1または2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記対象物は、浴室内の物体であり、
前記第一面は、浴槽の底面であり、
前記第二面は、蓋の表面である、
請求項1または2に記載の検出システム。
【請求項5】
請求項
1に記載の検出システムが実行する検出方法であって、
前記超音波発受信装置から発信された超音波の前記対象物における反射波の反射波形と、前記基準反射波形記憶部に記憶した前記基準反射波形と、前記赤外光発受光装置から発光された赤外光の前記第一反射部または前記第二反射部における反射光とに基づいて、前記対象物を判定すること、
を検出システムが実行する検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を使用して、入浴者が浴槽において溺水しているか否かを判定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、浴室には、浴槽の他に、シャワー、鏡、及び、図示しないシャンプーなどの雑貨などの様々な物体が配置されている。物体を認識する方法の一つとして、カメラで撮影された撮影データを画像処理することが知られている。ところが、撮影データを使用する場合、プライバシーに十分配慮することが必要である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プライバシーに配慮して対象物を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る検出システムは、対象物に向けて超音波を発信及び受信する超音波発受信装置と、前記対象物における超音波の反射波の基準反射波形を記憶する基準反射波形記憶部と、前記超音波発受信装置から発信された超音波の前記対象物における反射波の反射波形と、前記基準反射波形記憶部に記憶した前記基準反射波形とに基づいて、前記対象物を判定する判定部とを備える。
【0007】
本発明に係る検出方法は、対象物に向けて超音波を発信及び受信する超音波発受信装置から発信された超音波の前記対象物における反射波の反射波形と、前記対象物における超音波の反射波の基準反射波形とに基づいて、前記対象物を判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プライバシーに配慮して対象物を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る検出システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、浴室を上方から見た概略図であり、入浴者がいない状態を示す図である。
【
図3】
図3は、浴室を上方から見た概略図であり、入浴者が浴槽内にいる状態を示す図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る超音波検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、超音波を用いた対象物の検出を説明する説明図であり、入浴者がいない状態の受信波形を示す図である。
【
図6】
図6は、超音波を用いた対象物の検出を説明する説明図であり、入浴者が浴槽内にいる状態の受信波形を示す図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態に係る検出システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係る超音波検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る検出システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第三実施形態に係る超音波検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第三実施形態に係る検出システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第四実施形態に係る検出システムの構成例を示す概略図である。
【
図13】
図13は、第四実施形態に係る検出システムの赤外光発受光装置と赤外光検出装置との構成例を示す概略図である。
【
図14】
図14は、浴室を側方から見た概略図であり、浴槽に蓋をしている状態を示す図である。
【
図15】
図15は、浴室を側方から見た概略図であり、水の入っていない浴槽に蓋をしていない状態を示す図である。
【
図16】
図16は、浴室を側方から見た概略図であり、水の入っていない浴槽に蓋をしていない状態を示す図である。
【
図17】
図17は、浴室を側方から見た概略図であり、水の入った浴槽の半分に蓋をしている状態を示す図である。
【
図18】
図18は、浴槽の蓋に配置された反射部の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、浴槽の蓋に配置された反射部の他の例を示す図である。
【
図20】
図20は、浴槽の蓋に配置された反射部の他の例を示す図である。
【
図21】
図21は、第四実施形態に係る検出システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、第四実施形態に係る検出システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る検出システム及び検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
(検出システム)
図1は、第一実施形態に係る検出システム1の構成例を示す概略図である。
図2は、浴室100を上方から見た概略図であり、入浴者Mがいない状態を示す図である。
図3は、浴室100を上方から見た概略図であり、入浴者Mが浴槽101内にいる状態を示す図である。
図1に示すように、検出システム1は、超音波発受信装置2と、超音波検出装置3とを備える。検出システム1は、対象物に向けて超音波を発信し、その反射波によって対象物を検出する。検出システム1は、例えば、浴室100、ガレージ、介護施設などの屋内または屋外において、対象物を検出する。本実施形態では、検出システム1は、浴室100において対象物を検出するものとして説明する。言い換えると、本実施形態において、対象物は、浴室100内の人を含む物体である。
【0012】
図2、
図3に示すように、浴室100には、浴槽101が配置されている。また、浴室100には、浴槽101の他に、シャワー102、鏡103、及び、図示しないシャンプーなどの雑貨などが配置されている。
【0013】
超音波発受信装置2は、対象物に向けて超音波を発信及び受信する。本実施形態では、超音波発受信装置2は、浴室100の上部に位置する天井109に配置され、下方に向けて超音波を発信し、その反射波を受信する。超音波発受信装置2は、浴室100の全体に向けて短時間の超音波を間欠的に発信する。超音波発受信装置2は、発信した超音波が入浴者M、浴槽101の縁部上面101a、またはシャワー102、鏡103、及び、図示しないシャンプーなどの雑貨等で反射した反射波(エコー波)を受信する。
【0014】
(超音波検出装置)
超音波検出装置3は、超音波発受信装置2が受信した反射波に基づいて、浴室100の対象物を検出する。超音波検出装置3は、例えば、浴室100の内外の任意の場所に設置可能である。本実施形態では、超音波検出装置3は、例えば、浴室100に設置されている。超音波検出装置3は、超音波発受信装置2に内蔵されていてもよい。超音波発受信装置2と超音波検出装置3とは、有線または無線で信号を送受信可能に接続されている。
【0015】
図4は、第一実施形態に係る超音波検出装置3の構成例を示すブロック図である。超音波検出装置3は、パルス発生回路20と、発振回路21と、断続回路22と、送信用増幅回路23と、発受信切替回路24と、受信用増幅回路25と、フィルタ回路26と、波形分析回路27と、反射波抽出部28と、基準反射波形記憶部29と、判定部30と、を備える。反射波抽出部28と判定部30とは、例えば中央演算処理装置(CPU)の論理回路により構成される。
【0016】
パルス発生回路20は、超音波の発受信時間を決定するためのパルスを発生し、発受信切替回路24、断続回路22及び波形分析回路27に出力する。
【0017】
発振回路21は、超音波帯域の交流信号を発生させる。断続回路22は、パルス発生回路20からのパルスにより制御され、発振回路21からの交流信号をパルス状の振幅を持った交流波形とする。送信用増幅回路23は、断続回路22からの交流信号を増幅する。
【0018】
発受信切替回路24は、パルス発生回路20からのパルスにより制御され、超音波発受信装置2の発受信を切り替える。まず、発受信切替回路24は、超音波発受信装置2の接続先を送信用増幅回路23に切り替える。超音波発受信装置2により、継続時間幅が短いパルス状の超音波が浴室100の内部に向けて発射される。超音波が入浴者Mの頭頂部を含む身体や縁部上面101a、浴槽101の周辺部分に反射し再び超音波発受信装置2に到達する。反射波が超音波発受信装置2に到達する時点において、発受信切替回路24は、超音波発受信装置2の接続先を受信用増幅回路25に切り替える。
【0019】
受信用増幅回路25は、超音波発受信装置2により受信された反射波を増幅する。フィルタ回路26は、超音波発受信装置2が発信した超音波の周波数成分以外の周波数成分を除去する。フィルタ回路26からの出力は波形分析回路27に入力される。
【0020】
波形分析回路27は、フィルタ回路26から入力した反射波の受信波形に対して、エンベロープ検波を行い、エンベロープ検波波形を出力する。
【0021】
反射波抽出部28は、波形分析回路27から出力された受信波形及びそのエンベロープ検波波形の少なくともいずれか一つに基づいて、受信波形を対象物における反射波として抽出する。本実施形態では、反射波抽出部28は、波形分析回路27から出力された受信波形及びそのエンベロープ検波波形の少なくともいずれか一つに基づいて、受信波形を浴室100に位置する対象物における反射波として抽出する。
【0022】
基準反射波形記憶部29は、検出対象となり得る対象物における超音波の反射波の反射波形を基準反射波形として記憶する。本実施形態では、基準反射波形記憶部29は、浴室100に位置する対象物における超音波の反射波の基準反射波形を記憶する。基準反射波形記憶部29は、例えば、入浴者M、浴槽101の縁部上面101a、またはシャワー102、鏡103、及び、図示しないシャンプーなどの雑貨等における超音波の反射波の基準反射波形を記憶する。
【0023】
基準反射波形は、波形の形状を含む。基準反射波形は、波形が観測されるタイミングの情報を含んでもよい。
【0024】
判定部30は、超音波発受信装置2から発信された超音波の対象物における反射波の反射波形と、基準反射波形記憶部29に記憶した基準反射波形とに基づいて、対象物を判定する。判定部30は、反射波抽出部28が抽出した対象物における反射波形と、基準反射波形記憶部29に記憶した基準反射波形とに基づいて、対象物を特定する。本実施形態では、判定部30は、反射波抽出部28が抽出した反射波形と、基準反射波形記憶部29に記憶した基準反射波形とに基づいて、浴室100に存在する対象物を判定する。判定部30は、例えば、反射波形が、入浴者Mにおける基準反射波形に一致する場合、対象物は入浴者Mであると判定する。判定部30は、例えば、反射波形が、浴槽101の縁部上面101aにおける基準反射波形に一致する場合、対象物は浴槽101の縁部上面101aであると判定する。
【0025】
判定部30は、反射波形と基準反射波形との波形の形状を比較して、対象物を判定可能である。波形の形状は、反射波の周期、振幅、揺らぎなどを示す。波形の形状は、対象物の形状及び面積によって変化する。波形の形状は、対象物が固定物であるか、水面のように変動するものであるかで変化する。判定部30は、反射波形と基準反射波形とが観測されるタイミングを比較して、対象物を判定可能してもよい。波形が観測されるタイミングは、対象物の位置に応じて変化する。
【0026】
図5は、超音波を用いた対象物の検出を説明する説明図であり、入浴者Mがいない状態の受信波形を示す図である。
図5は、浴室100に入浴者Mがいない状態において、波形分析回路27に入力される受信波形(rx)を示す。
図5に示すように、超音波発受信装置2から浴室100へ超音波が発信されると、超音波発受信装置2の近くに位置する対象物で反射した受信波形Wから順番に観測される。
図5に示す例では、観測される順番が早い順に、シャワー102で反射した受信波形W102、鏡103で反射した受信波形W103、浴槽101の縁部上面101aで反射した受信波形W101a、浴槽101の水面110で反射した受信波形W110が観測される。
【0027】
例えば、シャワー102は固定物であり、天井109に近く、反射波が反射する反射面の面積が小さい。例えば、鏡103は固定物であり、シャワー102の次に天井109に近く、反射波が反射する反射面の面積がシャワー102の次に狭い。例えば、浴槽101の縁部上面101aは固定物であり、鏡103より天井109から遠く、反射波が反射する反射面の面積が鏡103より広い。例えば、浴槽101の水面110は、浴槽101の縁部上面101aより天井109から遠く、反射波が反射する反射面の面積が浴槽101の縁部上面101aより広い。対象物が固定物である場合、受信波形は受信強度及び出現タイミングに変動がなく、一定となる。例えば、浴槽101の水面110は、固定物ではないため、受信波形W110は一定にならない。水面110には浴槽101の形状及び大きさで決定する定在波による波が存在するので、水面110に対応する反射波は、周期的で、変動周期が短い傾向がみられる。このように、対象物ごとに、波形に特徴があるので、他の受信波形から区別することが可能である。
【0028】
図6は、超音波を用いた対象物の検出を説明する説明図であり、入浴者Mが浴槽101内にいる状態の受信波形を示す図である。
図6は、浴室100に入浴者Mがいる状態において、波形分析回路27に入力される受信波形(rx)を示す。
図6に示すように、超音波発受信装置2から浴室100へ超音波が発信されると、
図5に示した受信波形に加えて、入浴者Mで反射した受信波形WMが観測される。
【0029】
例えば、入浴者Mは浴槽101の縁部上面101aより天井109に近く、反射波が反射する反射面の面積が浴槽101の水面110より狭い。
【0030】
(超音波による検出方法)
次に、
図7を用いて、検出システム1における処理の流れについて説明する。
図7は、第一実施形態に係る検出システム1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
超音波発受信装置2が、浴室100へ向けて超音波を発信する(ステップS101)。発信された超音波は、浴槽101の縁部上面101a、またはシャワー102、鏡103、及び、図示しないシャンプーなどの雑貨等で反射し、反射波が超音波発受信装置2により受信される。
【0032】
超音波検出装置3は、波形分析回路27によって、超音波発受信装置2が受信した反射波の波形、そのエンベロープ検波波形を出力する(ステップS102)。
【0033】
超音波検出装置3は、反射波抽出部28によって、波形分析回路27からの出力された受信波形及びそのエンベロープ検波波形に基づいて、受信した反射波のうち受信波形Wを浴室100に位置する対象物における反射波として抽出する(ステップS103)。
【0034】
超音波検出装置3は、判定部30によって、反射波抽出部28が抽出した反射波形と、基準反射波形記憶部29に記憶した基準反射波形とに基づいて、対象物を特定する(ステップS104)。
【0035】
(効果)
上述したように、本実施形態は、超音波の対象物における反射波の反射波形と、基準反射波形記憶部29に記憶した基準反射波形とに基づいて、対象物を判定することができる。本実施形態では、超音波の対象物における反射波を利用するので、対象物及び対象物の周辺のプライバシーを保護して、対象物を判定することができる。
【0036】
上記のように構成された検出システム1を、浴室100における溺水検出システムに適用する場合について説明する。検出システム1は、浴室100における対象物を判定可能である。検出システム1は、入浴者Mの頭部が、浴槽101の水面110より下に位置することを検出した場合、溺水の可能性があると判定する。検出システム1によって、浴槽101の水面110より高い位置に、入浴者Mの頭部以外の対象物があることが判定された場合、当該対象物を溺水検出の検出対象から除くことができる。
【0037】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態に係る超音波検出装置3Aの構成例を示すブロック図である。
図9は、第二実施形態に係る検出システム1Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。超音波検出装置3Aは、所定の高さに対象物が検出された場合、警報装置9Aから警報を出力する。本実施形態では、超音波検出装置3Aは、入浴時の入浴者Mの頭部の高さと同程度の高さに対象物が検出された場合、警報装置9Aから警報を出力する。超音波検出装置3Aと警報装置9Aとは、有線または無線で信号を送受信可能に接続されている。
【0038】
超音波検出装置3Aは、パルス発生回路20と、発振回路21と、断続回路22と、送信用増幅回路23と、発受信切替回路24と、受信用増幅回路25と、フィルタ回路26と、波形分析回路27と、反射波抽出部28と、距離算出部31Aと、判定部30Aとを備える。
【0039】
距離算出部31Aは、超音波発受信装置2から発信された超音波の対象物における反射波に基づいて、超音波発受信装置2から対象物までの距離を算出する。より詳しくは、距離算出部31Aは、反射波抽出部28により抽出された各対象物の反射波の受信波形に基づいて、超音波発受信装置2から各対象物までの距離を算出する。
【0040】
超音波発受信装置2から各対象物までの距離は、超音波が発信されてから、反射波抽出部28により抽出された各対象物の反射波が受信されるまでの時間に、超音波の伝搬速度を乗算することによって算出される。
【0041】
判定部30Aは、距離算出部31Aによって算出された距離と距離閾値とを比較して、所定の高さに位置する対象物を判定する。本実施形態では、判定部30Aは、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物を判定する。より詳しくは、判定部30Aは、距離算出部31Aが算出した超音波発受信装置2から各対象物までの距離と、図示しない記憶部に記憶された超音波発受信装置2から浴槽101の縁部上面101aまでの距離とを比較する。判定部30Aは、超音波発受信装置2から対象物までの距離が、超音波発受信装置2から浴槽101の縁部上面101aまでの距離の閾値以内である場合、当該対象物が浴槽101の縁部上面101aの高さの近傍に位置すると判定する。
【0042】
警報装置9Aは、超音波検出装置3Aの判定部30Aによって、所定の高さに位置する対象物が存在すると判定された場合、警報を出力する。本実施形態では、警報装置9Aは、超音波検出装置3Aの判定部30Aによって、浴槽101の縁部上面101aの近傍に位置する対象物が存在すると判定された場合、警報を出力する。警報装置9Aは、例えば、スピーカ、警報ランプ、表示部などである。
【0043】
警報装置9Aは、例えば、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物を動かすように案内する音声をスピーカから出力してもよい。警報装置9Aは、例えば、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物を動かすように案内する映像を表示部に表示してもよい。警報装置9Aは、例えば、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物が存在することを警告灯の点灯によって通知してもよい。
【0044】
次に、
図9を用いて、検出システム1Aにおける処理の流れについて説明する。ステップS111ないしステップS113の処理は、
図7に示すフローチャートのステップS101ないしステップS103と同様の処理を行う。
【0045】
距離算出部31Aは、反射波抽出部28により抽出された各対象物の反射波に基づいて、超音波発受信装置2から各対象物までの距離を算出する(ステップS114)。
【0046】
判定部30Aは、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物があるか否かを判定する(ステップS115)。判定部30Aは、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物があると判定する場合(ステップS115でYes)、ステップS116へ進む。判定部30Aは、浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物があると判定しない場合(ステップS115でNo)、処理を終了する。
【0047】
浴槽101の縁部上面101aの近傍の高さに位置する対象物があると判定する場合(ステップS115でYes)、警報装置9Aは、警報を出力する(ステップS116)。
【0048】
上述したように、本実施形態は、超音波の反射波に基づいて、所定の高さに位置する対象物が存在すると判定された場合、警報を出力することができる。本実施形態によれば、例えば、所定の高さに存在する対象物を動かすように警報を出力できる。
【0049】
上記のように構成された検出システム1Aを、浴室100における溺水検出システムに適用する場合について説明する。浴槽101の縁部上面101aに位置する対象物がある場合、警報を出力することができる。本実施形態によれば、対象物を誤って検出することを抑制できる。本実施形態によれば、溺水検出の精度を向上できる。
【0050】
[第三実施形態]
図10は、第三実施形態に係る超音波検出装置3Bの構成例を示すブロック図である。
図11は、第三実施形態に係る検出システム1Bにおける処理の流れを示すフローチャートである。超音波検出装置3Bは、基準状態と異なる状態における反射波形から、基準状態における反射波形のキャンセル処理を行う。本実施形態では、超音波検出装置3Bは、入浴者Mがいるときに得られた浴室100の反射波形から、入浴者Mがいないときに得られた浴室100の反射波形のキャンセル処理を行う。
【0051】
超音波検出装置3Bは、パルス発生回路20と、発振回路21と、断続回路22と、送信用増幅回路23と、発受信切替回路24と、受信用増幅回路25と、フィルタ回路26と、波形分析回路27と、反射波抽出部28と、キャンセル処理部32Bとを備える。
【0052】
反射波抽出部28は、基準状態における反射波と、基準状態と異なる状態における反射波とを抽出する。本実施形態では、反射波抽出部28は、基準状態として入浴者Mがいない状態における浴室100における基準反射波と、基準状態と異なる状態として入浴者Mの入浴時における浴室100における処理前反射波とを抽出する。基準反射波と処理前反射波との区別を要しない場合、反射波という。
【0053】
キャンセル処理部32Bは、基準状態と異なる状態において超音波発受信装置2から発信された超音波の対象物における処理前反射波から、基準状態において超音波発受信装置2から発信された超音波の対象物における基準反射波をキャンセルする。キャンセル処理部32Bは、反射波抽出部28によって得られた、基準状態と異なる状態における反射波から、基準状態における反射波のキャンセル処理を行う。本実施形態では、キャンセル処理部32Bは、入浴者Mの入浴時における浴室100における反射波から、入浴者Mがいない状態における浴室100における反射波をキャンセルする。これにより、入浴者Mがいるときと入浴者Mがいないときの、反射波形の差分が取得可能である。得られた反射波形の差分は、入浴者Mの入浴時にのみ存在する対象物における反射波形である。入浴時と入浴前とで、浴室100内に配置されている物体の変化がない場合、反射波形の差分は、入浴者Mにおける反射波の波形である。
【0054】
次に、
図11を用いて、検出システム1Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS121ないしステップS123の処理は、
図7に示すフローチャートのステップS101ないしステップS103と同様の処理を行う。
【0055】
キャンセル処理部32Bは、入浴者Mの入浴時における浴室100における反射波から、入浴者Mがいない状態における浴室100における反射波をキャンセルする。(ステップS124)。
【0056】
上述したように、本実施形態は、基準状態と異なる状態における反射波から、基準状態における反射波をキャンセルする。本実施形態によれば、基準状態と、基準状態と異なる状態とにおいて変化した物体における反射波のみを取得できる。
【0057】
本実施形態によれば、例えば、浴室100に位置する物体の反射波形をデータベースとして記憶することなく、基準状態と異なる状態とにおいて変化した物体における反射波のみを取得できる。
【0058】
上記のように構成された検出システム1Bを、浴室100における溺水検出システムに適用する場合について説明する。入浴者Mの入浴時における浴室100における反射波から、入浴者Mがいない状態における浴室100における反射波をキャンセルすることができる。本実施形態によれば、入浴時と入浴前とで、浴室100内に配置されている物体の変化がない場合、反射波形の差分として、入浴者Mにおける反射波の波形のみを取得できる。本実施形態によれば、入浴者M以外の物体を誤って検出することを抑制できる。本実施形態によれば、溺水検出の精度を向上できる。
【0059】
[第四実施形態]
図12ないし
図22を用いて、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、赤外光による検出装置を組み合わせた検出システム1Cについて説明する。
図12は、第四実施形態に係る検出システム1Cの構成例を示す概略図である。
図13は、第四実施形態に係る検出システム1Cの赤外光発受光装置4と赤外光検出装置5との構成例を示す概略図である。
図14は、浴室100を側方から見た概略図であり、浴槽101に蓋105をしている状態を示す図である。
【0060】
蓋105は、浴槽101の底面の少なくとも一部を覆う位置に着脱可能に配置される開閉体である。蓋105は、浴槽101の蓋である。蓋105は、浴槽101の縁部上面101aに置いた状態で使用される。蓋105の表面(第二面)とは、浴槽101を覆って配置した状態で、天井109を向いた面である。
【0061】
図12に示すように、検出システム1Cは、超音波発受信装置2と、超音波検出装置3と、赤外光発受光装置4と、赤外光検出装置5と、処理装置10とを備える。本実施形態の超音波検出装置3は、第一実施形態ないし第三実施形態のいずれかと同様の構成を有する。検出システム1Cは、対象物に向けて超音波を発信し、その反射波によって対象物を検出するシステムにおいて、赤外光を使用して超音波を遮る遮蔽物が存在するか否かを検出可能なシステムである。本実施形態では、検出システム1Cは、赤外光を使用して浴槽101内の入浴者Mを検出するシステムにおいて、赤外光を使用して浴槽101に蓋105がされているか否かを検出する。より詳しくは、検出システム1Cは、浴槽101の底面(第一面)に設置した第一反射部7に赤外光を照射し反射光によって入浴者Mの有無を検出する。また、検出システム1Cは、蓋105の表面(第二面)に設置した第二反射部8に赤外光を照射し反射光によって浴槽101に蓋105がされているか否かを検出する。
【0062】
赤外光発受光装置4は、対象物である浴槽101内の入浴者Mに向けて赤外光を発受光する。赤外光発受光装置4は、浴室100の上部に位置する天井109に配置され、下方に向けて赤外光を発光し反射光を受光する。本実施形態では、赤外光発受光装置4は、超音波発受信装置2の近傍に配置される。赤外光発受光装置4は、少なくとも浴槽101に向けて赤外光を発光する。赤外光発受光装置4は、発光した赤外光が浴槽101の底面に置かれた第一反射部7、または、蓋105に置かれた第二反射部8で反射した反射光を受光する。
【0063】
赤外光発受光装置4は、赤外光の発光部41と、発光部41から発光された赤外光の反射光を受光する受光部42とを含む。本実施形態では、発光部41が浴槽101に赤外光を照射し、受光部42が反射光を受光する。
【0064】
第一反射部7は、再帰性反射板である。第一反射部7は、第一面である浴槽101の底面に配置され、赤外光発受光装置4から発光された赤外光を反射する。第一反射部7は、入浴者Mの入浴時、入浴者Mの身体の下方になるように配置されている。本実施形態では、第一反射部7は、浴槽101の長手方向の両端部に配置されている。入浴者Mが入浴していない時、赤外光発受光装置4が発光した光は、第一反射部7に入射し反射する。入浴者Mの入浴時、赤外光発受光装置4が発光した光の少なくとも一部は、入浴者Mの身体によって遮られて第一反射部7に入射しない。これにより、第一反射部7から反射する反射光は、入浴者Mの入浴時は非入浴時に比べて、少なくとも低減する。
【0065】
第二反射部8は、再帰性反射板である。第二反射部8は、浴槽101の蓋105に配置されている。より詳しくは、第二反射部8は、浴槽101の底面の少なくとも一部を覆う位置に着脱可能に配置される蓋105の表面に配置され、赤外光発受光装置4から発光された赤外光を反射する。第二反射部8は、赤外光発受光装置4の発光部41と第一反射部7とを結ぶ光路上、かつ、赤外光発受光装置4の受光部42と第一反射部7とを結ぶ光路上に配置されている。
【0066】
図14ないし
図17を用いて、浴槽101の蓋105と第二反射部8との関係について説明する。
図15は、浴室100を側方から見た概略図であり、水の入った浴槽101に蓋105をしていない状態を示す図である。
図16は、浴室100を側方から見た概略図であり、水の入っていない浴槽101に蓋105をしていない状態を示す図である。
図17は、浴室100を側方から見た概略図であり、水の入った浴槽101の半分に蓋105をしている状態を示す図である。
図14は、浴槽101に蓋105をした状態を示す。この場合、赤外光発受光装置4が発光した光は、蓋105によって遮られて第一反射部7に入射しない。赤外光発受光装置4が発光した光は、第二反射部8において反射して、受光部42によって受光される。
図15は、浴槽101に蓋105がされていない状態を示す。
図15は、浴槽101に水がない状態である。この場合、赤外光発受光装置4が発光した光は、第一反射部7において反射して、受光部42によって受光される。
図16は、浴槽101に蓋105がされていない状態を示す。
図16は、浴槽101に水がある状態である。この場合、赤外光発受光装置4が発光した光は、第一反射部7において反射して、受光部42によって受光される。赤外光発受光装置4が発光した光は、浴槽101の水を通過する。このため、受光部42が受光する反射光は、浴槽101に水がない状態に比べて低減する。
図17は、浴槽101の右側に蓋105をした状態を示す。
図17は、浴槽101に水がある状態である。この場合、浴槽101の右側では、赤外光発受光装置4が発光した光は、蓋105によって遮られて第一反射部7Rに入射せず、第二反射部8Rにおいて反射して、受光部42によって受光される。また、浴槽101の左側では、赤外光発受光装置4が発光した光は、第一反射部7Lにおいて反射して、受光部42によって受光される。
【0067】
図18ないし
図20を用いて、第二反射部8の配置について説明する。
図18は、浴槽101の蓋105に配置された第二反射部8の一例を示す図である。
図19は、浴槽101の蓋105に配置された第二反射部8の他の例を示す図である。
図20は、浴槽101の蓋105に配置された第二反射部8の他の例を示す図である。
図18に示すように、第二反射部8は、一対の蓋105にそれぞれ配置されていてもよい。一対の蓋105のそれぞれは、浴槽101の半分を覆うことが可能である。
図19に示すように第二反射部8は、複数に分割された蓋105にそれぞれ配置されていてもよい。この場合、浴槽101の縁部上面101aにおける蓋105を並べる順番は限定されない。
図20に示すように、第二反射部8は、例えばロール式のような1枚の蓋105の長手方向に沿って配置されていてもよい。
【0068】
(赤外光検出装置)
赤外光検出装置5は、赤外光発受光装置4における赤外光の発受光を制御するとともに、反射光を検出する。赤外光検出装置5は、赤外光発受光装置4が発光した赤外光の反射光に基づいて、入浴者Mの有無を検出する。赤外光検出装置5は、赤外光発受光装置4が発光した赤外光の反射光に基づいて、蓋105の有無を検出する。赤外光検出装置5は、例えば、浴室100の内外の任意の場所に設置可能である。本実施形態では、赤外光検出装置5は、例えば、浴室100に設置されている。赤外光検出装置5は、赤外光発受光装置4に内蔵されていてもよい。赤外光発受光装置4と赤外光検出装置5とは、有線または無線で信号を送受信可能に接続されている。
図13に示すように、赤外光検出装置5は、検出部50を有する。検出部50は、例えば中央演算処理装置(CPU)の論理回路により構成される。
【0069】
検出部50は、赤外光発受光装置4が受光した反射光を検出する。より詳しくは、検出部50は、反射光の強度を検出する。検出部50は、反射強度が閾値以上である場合に、反射光として検出してもよい。検出部50は、発光部41によって発光された時間と、受光部42によって受光された時間とから反射光の検出時間を検出してもよい。
【0070】
(処理装置)
処理装置10は、例えば、浴室100の内外の任意の場所に設置可能である。本実施形態では、処理装置10は、例えば、浴室100に設置されている。処理装置10と超音波検出装置3と赤外光検出装置5とは、有線または無線で信号を送受信可能に接続されている。処理装置10は、判定部11を有する。判定部11は、例えば中央演算処理装置(CPU)の論理回路により構成される。
【0071】
判定部11は、第一反射部7または第二反射部8における反射光に基づいて、浴槽101内の第一反射部7の上の入浴者Mの有無を判定する。より詳しくは、判定部11は、赤外光検出装置5の検出結果に基づいて、第一反射部7または第二反射部8から反射光を受光したか否かによって、浴槽101に入浴者Mがいるか否かを判定する。判定部11は、赤外光検出装置5の検出結果が反射光を受光したことを示す場合、浴槽101に入浴者Mがいないと判定する。判定部11は、赤外光検出装置5の検出結果が反射光を受光していない、または、反射光が減少していることを示す場合、浴槽101に入浴者Mがいると判定する。
【0072】
判定部11は、超音波検出装置3の距離算出部によって算出された距離と、第二反射部8における反射光から算出された距離とに基づいて、蓋105が置かれていると判定してもよい。より詳しくは、判定部11は、超音波検出装置3の検出結果と、赤外光検出装置5の検出結果とに基づいて、浴槽101に蓋105が設置されているか否かを判定してもよい。より詳しくは、判定部11は、超音波検出装置3によって検出された浴槽101の縁部上面101aまでの距離と、赤外光検出装置5によって検出された反射光の検出時間から算出した距離とが同程度である場合、蓋105がされていると判定する。同程度であるとは、超音波検出装置3が算出した浴槽101の縁部上面101aまでの距離と、赤外光検出装置5が算出した距離との差が、所定範囲内であることをいう。
【0073】
赤外光検出装置5から各対象物までの距離は、赤外光が発光されてから、各対象物の反射波が受光されるまでの時間に、赤外光の伝搬速度を乗算することによって算出される。
【0074】
判定部11は、超音波検出装置3の検出結果と、赤外光検出装置5の検出結果とに基づいて、浴槽101に蓋105が一部されているか否かを判定してもよい。より詳しくは、判定部11は、赤外光検出装置5によって検出された左右どちらか一方の第二反射部8における反射光の検出時間から算出した距離と、他方の第一反射部7における反射光の検出時間から算出した距離とに例えば数10cm程度の差異があり、赤外光検出装置5によって検出された第二反射部8からの反射光の検出時間から算出した距離が超音波検出装置3によって検出された浴槽101の縁部上面101aまでの距離と同程度である場合、一方の蓋105がされていると判定してもよい。
【0075】
次に、
図21、
図22を用いて、検出システム1Cにおける処理の流れについて説明する。
図21は、第四実施形態に係る検出システム1Cにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図22は、第四実施形態に係る検出システム1Cにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
赤外光発受光装置4が、浴槽101へ向けて赤外光を発光する(ステップS201)。発光された赤外光は、浴槽101の床面に配置された第一反射部7、または、蓋105に配置された第二反射部8で反射し、反射光が赤外光発受光装置4により受光される。
【0077】
赤外光検出装置5は、検出部50によって、赤外光発受光装置4が受光した反射を検出する(ステップS202)。
【0078】
処理装置10は、判定部11によって、超音波検出装置3から検出結果を取得する(ステップS301)。
【0079】
処理装置10は、判定部11によって、赤外光検出装置5から検出結果を取得する(ステップS302)。
【0080】
処理装置10は、判定部11によって、赤外光の反射強度が閾値以上であり、かつ、超音波で検出した浴槽101の縁部上面101aと同じ高さに強い反射があるか否かを判定する(ステップS303)。処理装置10は、判定部11によって、赤外光の反射強度が閾値以上であり、かつ、超音波で検出した浴槽101の縁部上面101aと同じ高さに強い反射があると判定する場合(ステップS303でYes)、ステップS304へ進む。処理装置10は、判定部11によって、赤外光の反射強度が閾値以上ではない、または、超音波で検出した浴槽101の縁部上面101aと同じ高さに強い反射がないと判定する場合(ステップS303でNo)、処理を終了する。
【0081】
処理装置10は、判定部11によって、浴槽101には蓋105がされていると判定する(ステップS304)。
【0082】
このように、浴槽101に蓋105がされていると判定した場合、入浴者Mが入浴していないので、溺水検出システムの溺水判定処理を行わないようにしてもよい。
【0083】
上述したように、本実施形態は、浴槽101に蓋105がされている場合、第二反射部8から反射光が反射される。本実施形態は、浴槽101に蓋105がされて第一反射部7からの反射光が遮断されても、第二反射部8からの反射光を検出可能である。本実施形態によれば、浴槽101に蓋105がされたことを、入浴者Mが入浴中であると誤検出することを抑制できる。
【0084】
本実施形態は、超音波距離測定を同時に行うことにより、反射波が浴槽101の縁部上面101aと同じ距離で、かつ、強い反射が得られる場合、蓋105がされていると判断することができる。
【0085】
本実施形態は、左右どちらか一方の第二反射部からの反射があり、左右の他方の第一反射部7からの反射がなく入浴検出のための赤外光の光路が遮断されている場合、蓋105の一部を設置して入浴者Mが入浴していると判断することができる。これにより、本実施形態は、溺水検出システムによる溺水検出を蓋105がされていない側、言い換えると、入浴者Mがいる側に限定して行うことで、検出精度を向上することができる。
【0086】
本発明に係る検出システム1は、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0087】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0088】
第一実施形態は、一例として浴室100において物体を検出する場合について説明したが、例えば、介護施設または病院などのベッドに人がいるか否かを検出する、いわゆる離床検出にも適用可能である。この場合にも、プライバシーを保護して、ベッド上の人を検出できる。
【符号の説明】
【0089】
1 検出システム
2 超音波発受信装置
3 超音波検出装置
4 赤外光発受光装置
5 赤外光検出装置
50 検出部
10 処理装置
11 判定部
20 パルス発生回路
21 発振回路
22 断続回路
23 送信用増幅回路
24 発受信切替回路
25 受信用増幅回路
26 フィルタ回路
27 波形分析回路
28 反射波抽出部
29 基準反射波形記憶部
30 判定部
100 浴室
101 浴槽
101a 縁部上面
105 蓋
110 水面
M 入浴者