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  • 特許-分別装置、及び分別方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】分別装置、及び分別方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20241106BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20241106BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H3/06 350A
B65H31/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020161002
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054040
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】野村 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵生
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-200320(JP,A)
【文献】特開2006-082968(JP,A)
【文献】特開平08-002707(JP,A)
【文献】特開平06-290300(JP,A)
【文献】特開2019-179216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68,7/00-7/20,
31/00-31/40,43/00-43/08
G03G 13/34,15/00,15/36,21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を給紙する給紙部と、
前記給紙部から給送される前記用紙の重送を検出する第1センサーと、
前記用紙の破損を検出する第2センサーと、
前記用紙を画像として検出する第3センサーと、
前記用紙を積載する複数の載置部と、
前記第1センサー、前記第2センサー及び前記第3センサーの検出結果のうちの少なく
とも1つの検出結果に応じて前記用紙を所定の前記載置部に排紙する制御部と、
前記用紙を所定の前記載置部へ搬送させる複数の切替え部と、を備え、
前記制御部は、前記少なくとも1つの検出結果に応じて各前記切替え部を制御し、
前記用紙が搬送される搬送方向の上流から下流に向かって前記第1センサー、前記第3
センサー、前記第2センサーの順に配置されること、
を特徴とする分別装置。
【請求項2】
前記第1センサーは超音波センサーであり、前記第2センサーは光センサーであり、前
記第3センサーは画像センサーであること、
を特徴とする請求項に記載の分別装置。
【請求項3】
前記給紙部は、前記用紙を送り出すピックアップローラーを備え、
前記用紙を送り出す際の前記ピックアップローラーのトルクを検出する第4センサーを
有すること、
を特徴とする請求項に記載の分別装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第3センサーで検出した前記用紙の画像から前記用紙の下地色の画素データを取
得し、前記下地色の画素データに基づく閾値を決定し、
前記用紙の画像から非記録領域の画素データを抽出し、前記閾値に基づいて前記非記
録領域の画素データを白と黒との2値に2値化し、
前記2値化された画素データのうちの黒の比率に基づいて前記用紙が再生紙か否かを
判断すること、
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の分別装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の分別装置を使用して前記用紙を分別する
分別方法であって、
前記用紙を給紙する給紙工程と、
前記給紙部から給送される前記用紙の重送を検出する重送検出工程と、
前記用紙の破損を検出する破損検出工程と、
前記用紙を画像として検出する画像検出工程と、
前記第1センサー、前記第2センサー及び前記第3センサーの検出結果のうちの少なく
とも1つの検出結果に応じて前記用紙を所定の前記載置部に排紙する排紙工程と、
を含むことを特徴とする分別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分別装置、及び分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用済みの古紙を紙の状態に応じた複数の種類に分別する分別装置が知られていた。例えば、特許文献1には、マグネットローラーとカラーセンサーとを備えた分別装置が開示されている。この分別装置は、裏面に記録が可能な用紙の分別や、湿式の再生紙製造に用いるための用紙の分別を行うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-75283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状の用紙を原料として供給する再生紙製造装置では、紙ジャムを引き起こす可能性がある、綴じ具で綴じられた用紙や、穴や破れなどの破損のある用紙を除去する必要がある。また、再生紙製造装置で製造された再生紙と非再生紙とを分別する必要があった。しかしながら、特許文献1に記載の分別装置は、このような分別に対応したものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
分別装置は、用紙を給紙する給紙部と、前記給紙部から給送される前記用紙の重送を検出する第1センサーと、前記用紙の破損を検出する第2センサーと、前記用紙を画像として検出する第3センサーと、前記用紙を積載する複数の載置部と、前記第1センサー、前記第2センサー及び前記第3センサーの検出結果のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて前記用紙を所定の前記載置部に排紙する制御部と、を備える。
【0006】
分別方法は、上記の分別装置を使用して前記用紙を分別する分別方法であって、前記用紙を給紙する給紙工程と、前記給紙部から給送される前記用紙の重送を検出する重送検出工程と、前記用紙の破損を検出する破損検出工程と、前記用紙を画像として検出する画像検出工程と、前記第1センサー、前記第2センサー及び前記第3センサーの検出結果のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて前記用紙を所定の前記載置部に排紙する排紙工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る分別装置の概略構成を示す外観図。
図2】分別装置の内部構成を示す断面図。
図3】分別装置の要部の電気的接続を示すブロック図。
図4】分別装置の分別方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
実施形態に係わる分別装置100の概略構成について説明する。図面に付記する座標においては、分別装置100が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する2つの仮想軸を、X軸及びZ軸とする。X軸は、分別装置100の左右方向と平行な軸であり、X軸を示す矢印の先端側を「右」とする。Z軸は鉛直方向と平行な仮想軸であり、Z軸を示す矢印の先端側を「上」とする。
【0009】
図1に示すように、分別装置100は、Z方向に長い直方体状の筐体10を有し、その上部にシート状の用紙Pを供給する給紙部20を備える。筐体10は、分別された用紙Pを積載する複数の載置部として、ボックス状の第1排紙カセット11、第2排紙カセット12、第3排紙カセット13、及び第4排紙カセット14を備えている。第1~第4排紙カセット11~14は、筐体10の下部から4段に積層され、筐体10に対して引出し式に挿抜可能に設けられている。第1~第4排紙カセット11~14は、用紙Pが満杯に積載されたことを報知する報知部61~64を備えている。各報知部61~64は、光を発するLEDや音を発するスピーカーなどを有する。
【0010】
鉛直方向における給紙部20と第1排紙カセット11との間には、表示部16及び入力部17が設けられている。入力部17は、入力操作するための複数の操作ボタンを備える。用紙Pの分別を開始する際の各種条件が入力部17から入力される。表示部16は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。表示部16には、入力部17による入力操作の案内や、入力部17で入力された内容が表示される。また、表示部16の左側には、分別装置100による用紙Pの分別を開始する開始ボタン18と、用紙Pの分別を終了する停止ボタン19とが設けられている。なお、表示部16、入力部17、開始ボタン18、及び停止ボタン19は、タッチパネル式のディスプレイにより一体で構成されていてもよい。
【0011】
図2に示すように、給紙部20は、分別前のシート状の用紙Pを積載する給紙トレー21、ピックアップローラー22、セパレートローラー23、及びリタードローラー24などを有する。
【0012】
ピックアップローラー22は、給紙トレー21に積載された用紙Pの下流側端部の上方に位置し、用紙Pを給紙トレー21から送り出す。ピックアップローラー22は、用紙Pの上面に接触した状態で回転することにより、用紙Pを取り出す。セパレートローラー23及びリタードローラー24は、ピックアップローラー22の下流において上下に対向して設けられる。セパレートローラー23及びリタードローラー24は、ピックアップローラー22によって給紙トレー21から取り出された用紙Pを挟み込んだ状態で回転することで、用紙Pを搬送経路30に沿う搬送方向の下流側に送り出す。
【0013】
セパレートローラー23は、用紙Pに対してピックアップローラー22が接触する面と同一の上面に接触するローラーであり、リタードローラー24はその反対側の下面に接触するローラーである。すなわち、リタードローラー24は、セパレートローラー23の下方に位置する。図2において、セパレートローラー23とリタードローラー24とは、共に反時計回りに回転駆動するローラーである。
【0014】
セパレートローラー23の回転駆動力はリタードローラー24の回転駆動力より強い。ピックアップローラー22により用紙Pが1枚送られた場合には、リタードローラー24は、用紙Pを介してセパレートローラー23に向けて押圧され、回転駆動力に勝るセパレートローラー23の回転に伴って時計回りに逆回転することで用紙Pを搬送方向の下流側に送り出す。
【0015】
リタードローラー24は、用紙Pに対する摩擦係数がセパレートローラー23よりも大きくなるように構成されている。ピックアップローラー22により用紙Pが2枚送られた場合には、セパレートローラー23は、上側の用紙Pのみを搬送方向の下流側に送り出し、リタードローラー24は、下側の用紙Pを搬送方向の上流側に押し戻す。これにより、用紙Pが一枚ずつに分離して送り出される。
【0016】
セパレートローラー23及びリタードローラー24の下流には、用紙Pを搬送方向に搬送させる搬送経路30が設けられている。搬送経路30には、搬送経路30に沿って用紙Pを搬送する複数の搬送ローラーが設けられる。搬送経路30には、用紙Pを所定の第1~第4排紙カセット11,12,13,14へ搬送させる第1~第3切替え部41,42,43が備えられている。
【0017】
搬送経路30は、セパレートローラー23から第4排紙カセット14に至る主搬送路34と、主搬送路34から分岐し第1排紙カセット11に至る第1分岐路31と、主搬送路34から分岐し第2排紙カセット12に至る第2分岐路32と、主搬送路34から分岐し第3排紙カセット13に至る第3分岐路33とを有する。
【0018】
第1切替え部41は、主搬送路34と第1分岐路31との分岐点に設けられる可動式のフラップである。第1切替え部41は、第1分岐路31への進入口を塞ぐ位置と、主搬送路34を塞ぐ位置とに変位可能に構成されている。第1切替え部41が主搬送路34を塞ぐ位置に変位することにより、用紙Pが主搬送路34から第1分岐路31に搬送され、第1排紙カセット11に積載される。第1切替え部41が第1分岐路31への進入口を塞ぐことにより、用紙Pが主搬送路34の下流に搬送される。
【0019】
第2切替え部42は、第1切替え部41の下流側に位置する、主搬送路34と第2分岐路32との分岐点に設けられる可動式のフラップである。第2切替え部42は、第2分岐路32への進入口を塞ぐ位置と、主搬送路34を塞ぐ位置とに変位可能に構成されている。第2切替え部42が主搬送路34を塞ぐ位置に変位することにより、用紙Pが主搬送路34から第2分岐路32に搬送され、第2排紙カセット12に積載される。第2切替え部42が第2分岐路32への進入口を塞ぐことにより、用紙Pが主搬送路34の下流に搬送される。
【0020】
第3切替え部43は、第2切替え部42の下流側に位置する、主搬送路34と第3分岐路33との分岐点に設けられる可動式のフラップである。第3切替え部43は、第3分岐路33への進入口を塞ぐ位置と、主搬送路34を塞ぐ位置とに変位可能に構成されている。第3切替え部43が主搬送路34を塞ぐ位置に変位することにより、用紙Pが主搬送路34から第3分岐路33に搬送され、第3排紙カセット13に積載される。また、第3切替え部43が第3分岐路33への進入口を塞ぐことにより、用紙Pが主搬送路34の下流に搬送され、第4排紙カセット14に積載される。
【0021】
次に、分別装置100の各部に備えられる各種センサーについて説明する。
セパレートローラー23の下流側には、給紙部20から給紙される用紙Pの重送を検出する第1センサー51が設けられる。第1センサー51は、超音波を発信する発信部と、超音波を受信する受信部とを有する超音波センサーで構成することができる。送信部は、主搬送路34における用紙Pの一方の面と対向する側に設けられ、受信部は、主搬送路34における用紙Pの他方の面と対向する側に設けられる。超音波センサーで計測される用紙Pを透過した超音波の減衰量によって、用紙Pの重送を検出することができる。
【0022】
主搬送路34における第1切替え部41と第2切替え部42との間には、用紙Pの破損を検出する第2センサー52が設けられる。第2センサー52は、LEDやレーザーなどの光を出射する発光部と、発光部から出射された光が反射した反射光を受光する受光部とを有する反射型の光センサーで構成することができる。光センサーは、主搬送路34における用紙Pの一方の面と対向する側において紙幅方向にライン状に複数設けられることが好ましい。主搬送路34における用紙Pの他方の面と対向する側には、光の反射を抑制させる光吸収体が設けられる。光吸収体は、黒いシートや光を吸収する塗料などで構成できる。光センサーで計測される反射光の受光量によって、用紙Pの破損を検出することができる。
【0023】
主搬送路34における第1センサー51と第2センサー52との間には、用紙Pを画像として検出する第3センサー53が設けられる。すなわち、主搬送路34には、用紙Pが搬送される搬送方向の上流から下流に向かって第1センサー51、第3センサー53、第2センサー52の順に配置されている。第3センサー53は、スキャナーに含まれるCMOSセンサーなどの画像センサーである。画像センサーは、用紙Pに照射された光の反射光を受光し、用紙Pの画像の情報を電気信号に変換する。画像センサーは、主搬送路34における用紙Pの一方の面と対向する側において紙幅方向にライン状に複数設けられる。なお、画像センサーは、主搬送路34における用紙Pの両面と対向する両側に設けられていてもよい。また、本実施形態で示した第1~第3センサー51,52,53の配置位置は、一例である。第1センサー51は、第1切替え部41よりも上流側、第2センサー52は、第1センサーよりも下流側、且つ、第2切替え部42よりも上流側、第3センサー53は、第1センサーよりも下流側、且つ、第3切替え部43よりも上流側に設けられていればよい。
【0024】
ピックアップローラー22には、用紙Pを送り出す際のピックアップローラー22のトルクを検出する第4センサー22aが設けられる。第4センサー22aは、ピックアップローラー22を回転駆動させるモーターに流れる電流を計測する電流センサーである。電流センサーで計測された電流量によって、ピックアップローラー22のトルクを検出することができる。
【0025】
第1~第4排紙カセット11,12,13,14には、積載された用紙Pが満杯になったことを検出する満杯センサー11a~14aが設けられる。満杯センサー11a~14aは、LEDやレーザーなどの光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光する受光部とを有する透過型の光センサーで構成することができる。発光部と受光部とは、各排紙カセット11,12,13,14の対向する内壁の上部に設けられる。用紙Pが積み上がり、発光部の光が遮られ、受光部で計測される受光量が減少することによって、用紙Pが満杯状態であることを検出することができる。
【0026】
分別装置100は、上述の各部を制御する制御部1を備えている。
図3に示すように、制御部1は、CPU(Central Processing Unit)2、記憶部3、制御回路4などを含んで構成される。CPU2はバスにより各部と接続される。また、CPU2は、バスを介して第1センサー51、第2センサー52、第3センサー53、第4センサー22a、満杯センサー11a~14aを含む各種の検出器群50と接続される。
【0027】
CPU2は、各種の入力信号処理や、記憶部3に格納されているプログラムに従って分別装置100全体の制御を行うための演算処理装置である。
記憶部3は、CPU2のプログラムを格納する領域や作業領域などを確保するための記憶媒体であり、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶素子を有する。
制御回路4は、給紙部20、第1切替え部41、第2切替え部42、第3切替え部43、報知部61~64と接続され、これらの各部の駆動を制御するための制御信号を生成する回路である。
【0028】
第1センサー51、第2センサー52、第3センサー53、第4センサー22a、満杯センサー11a~14aは、各センサーで検出した結果を出力信号として出力する。
【0029】
制御部1は、第1センサー51、第2センサー52、及び第3センサー53のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて用紙Pを所定の排紙カセット11~14に排紙させるために、第1~第3切替え部41~43を制御する。
制御部1は、給紙部20に含まれるピックアップローラー22のトルクを検出する第4センサー22aの検出結果に応じてリタードローラー24の駆動を制御する。
制御部1は、満杯センサー11a~14aの検出結果に応じて、対応する排紙カセット11~14に備えられる報知部61~64を駆動する。
【0030】
次に、分別装置100による用紙Pの分別方法について図4を参照して説明する。本実施形態の分別方法は、給紙トレー21に用紙Pが積載され、開始ボタン18が押下されることで開始する。
【0031】
ステップS101は、用紙Pを給送する給紙工程である。制御部1は、ピックアップローラー22、セパレートローラー23、及びリタードローラー24を制御して、給紙トレー21に積載された用紙Pを搬送経路30に送り出す。また、制御部1は、第4センサー22aの出力信号を受信し、ピックアップローラー22のトルクが所定値以上の場合に、リタードローラー24を時計回りに逆回転する駆動に切り替える。例えば、用紙Pの上流側の端部にて、複数枚の用紙Pがステープラーなどの綴じ具で綴じられていた場合、給紙部20で紙ジャムを起こす恐れがある。本実施形態の分別装置100は、用紙Pを取り出す際に検出されたピックアップローラー22のトルクが所定値以上の場合、綴じ具で綴じられた用紙Pであると判断し、リタードローラー24を逆回転させるので、紙ジャムせずに綴じ具で綴じられた複数枚の用紙Pを同時に送り出すことができる。
【0032】
ステップS102は、給紙部20から給送される用紙Pの重送を検出する重送検出工程である。制御部1は、第1センサー51の出力信号を受信する。用紙Pが重送である場合は、用紙Pを透過した超音波の減衰量が大きくなるので、用紙Pが重送か否かを検出することができる。
【0033】
ステップS103は、用紙Pを画像として検出する画像検出工程である。制御部1は、第3センサー53の出力信号を受信し、用紙Pの画像データを生成する。制御部1は、用紙Pの画像データから用紙Pの下地色の画素データを取得し、下地色の画素データに基づく閾値を決定する。詳しくは、制御部1は、用紙Pの下地部分の複数の画素データを取得し、その平均値を下地色の画素データとする。この際、汚れなどの異常がある画素データは除外される。画素データは、例えば、RGB色空間の256階調で表される。制御部1は、所定の係数を用いた計算式により閾値を求める。
【0034】
制御部1は、用紙Pの画像から非記録領域の画素データを抽出し、閾値に基づいて非記録領域の画素データを白と黒との2値に2値化する。以下の説明では、2値化で黒に変換された画素データを黒画素、白に変換された画素データを白画素ともいう。非記録領域とは、用紙Pに印刷が施されていない領域である。非記録領域は、用紙Pの画像から特定してもよいし、入力部17から入力された非記録領域を特定する座標データから求めてもよい。制御部1は、白と黒とに2値化された画素データのうちの黒の比率を算出する。乾式の再生紙製造装置で製造された再生紙は、特徴のある複数の微小斑点を有している。微小斑点のある画素は、2値化により黒画素になるので、黒画素の比率に基づいて用紙Pが再生紙か非再生紙かを検出することができる。
【0035】
ステップS104は、用紙Pの破損を検出する破損検出工程である。制御部1は、第2センサー52で検出された受光量を受信する。用紙Pに破損がある場合は、発光部から出射した光は、破損部を通過して光吸収体で減衰する。これにより、受光部で受光される受光量が著しく低下するので、用紙Pの破損を検出することができる。
【0036】
ステップS105は、用紙Pを所定の第1~第4排紙カセット11,12,13,14に排紙する排紙工程である。制御部1は、第1センサー51、第2センサー52、及び第3センサー53のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて、第1~第3切替え部41~43を制御する。
【0037】
まず、制御部1は、用紙Pが重送か否かを判断する。制御部1は、第1センサー51の出力信号より用紙Pが重送であると判断した場合、第1切替え部41を、主搬送路34を塞ぐ位置に変位させ、第1分岐路31を開放する。これにより、綴じ具で綴じられた用紙Pが第1排紙カセット11に排紙される。なお、用紙Pが重送と判断された場合は、ステップS103及びステップS104をスキップさせてもよい。
【0038】
次に、制御部1は、用紙Pに破損があるか否かを判断する。制御部1は、第2センサー52の出力信号より用紙Pに破損があると判断した場合、第2切替え部42を、主搬送路34を塞ぐ位置に変位させ、第2分岐路32を開放する。これにより、破損した用紙Pが第2排紙カセット12に排紙される。
【0039】
次に、制御部1は、用紙Pが再生紙か非再生紙かを判断する。制御部1は、算出した黒画素の比率から用紙Pが再生紙であると判断した場合、第3切替え部43を、主搬送路34を塞ぐ位置に変位させ、第3分岐路33を開放する。これにより、再生紙である用紙Pが第3排紙カセット13に排紙される。用紙Pが非再生紙の場合、第3切替え部43は、第3分岐路33を塞ぎ、主搬送路34を開放する位置に位置しているので、非再生紙である用紙Pが第4排紙カセット14に排紙される。
【0040】
制御部1は、用紙PごとにステップS101~ステップS105を繰り返し実行し、実行中において、満杯センサー11a~14aから用紙Pが満杯になった出力信号を受信した場合、対応する排紙カセット11~14に備えられる報知部61~64を駆動する。
制御部1は、給紙トレー21に載置された用紙Pが無くなったか、停止ボタン19が押下されたことを検知して、本フローを終了する。
【0041】
なお、分別装置100及び分別方法は、上述のほか、各種の分別を行う機能を備えていてもよい。例えば、用紙Pの画像データから用紙Pの色や印刷比率、汚れを検出して、再生紙の原料に不適切な用紙を排除する分別を行うことができる。
また、本実施形態では、用紙Pの載置部として、筐体10に対して挿抜可能な引き出し式の第1~第4排紙カセット11~14を備えた分別装置100を例示したが、用紙Pが筐体から突出して設けられた複数の排紙トレーに積載される構成の分別装置であってもよい。
【0042】
以上述べたように、本実施形態に係る分別装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0043】
分別装置100は、第1センサー51と第2センサー52とを備えている。第1センサー51は、綴じ具で綴じられるなどにより重送された用紙Pを検出し、第2センサー52は、破損のある用紙Pを検出するので、再生紙製造装置に供給する際に紙ジャムを引き起こす可能性のある用紙Pを分別することができる。また、分別装置100は、第3センサー53を備えている。第3センサー53が検出した用紙Pの画像データから再生紙と非再生紙とを分別することが可能となる。したがって、原料としてシート状の用紙Pを供給する再生紙製造装置に使用するための用紙Pを分別する分別装置100を提供することができる。
【0044】
分別装置100は、用紙Pを載置部としての第1~第4排紙カセット11~14へ搬送させる第1~第3切替え部41~43を備えている。制御部1は、第1~第3センサー51~53の検出結果に応じて第1~第3切替え部41~43を制御するので、用紙Pを所定の第1~第4排紙カセット11~14に分別することができる。
【0045】
第3センサー53は、第1センサー51と第2センサー52との間に配置されている。第3センサー53の出力信号から生成する画像データは、処理に時間を要するため、第3センサー53を第2センサー52よりも上流側に配置することで、処理時間を稼ぐことができる。
【0046】
第1センサー51は超音波センサーであるので、用紙Pを透過した超音波の減衰量から用紙Pの重送を好適に検出することが可能である。第2センサー52は光センサーであるので、用紙Pから反射した光の光量により用紙Pの破損を好適に検出ことが可能である。第3センサー53は画像センサーであるので、用紙Pを容易に読み取ることができる。
【0047】
分別装置100は、ピックアップローラー22のトルクを検出する第4センサー22aを有している。用紙Pの上流側の端部にて、複数枚の用紙Pが綴じ具で綴じられていた場合、給紙部20で紙ジャムを起こす恐れがある。分別装置100は、第4センサー22aによってピックアップローラー22のトルクを検出するので、紙ジャムを起こす可能性のある用紙Pを事前に検出することができる。
【0048】
制御部1は、用紙Pの下地色の画素データに基づく閾値を決定し、非記録領域の画素データを閾値に基づいて2値化する。乾式の再生紙製造装置で製造された再生紙は、特徴のある微小斑点を有している。微小斑点のある画素は、2値化により黒画素になるので、黒画素の比率に基づいて用紙Pが再生紙か非再生紙かを検出することができる。
【0049】
分別方法は、重送検出工程と破損検出工程とを備えている。重送検出工程は、綴じ具で綴じられるなどにより重送された用紙Pを検出し、破損検出工程は、破損のある用紙Pを検出するので、再生紙製造装置に供給する際に紙ジャムを引き起こす可能性のある用紙Pを分別することができる。また、分別方法は、画像検出工程を備えている。画像検出工程で生成された用紙Pの画像データから再生紙と非再生紙とを分別することが可能となる。したがって、原料としてシート状の用紙Pを供給する再生紙製造装置に使用するための用紙Pを分別する分別方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…制御部、11…第1排紙カセット、12…第2排紙カセット、13…第3排紙カセット、14…第4排紙カセット、20…給紙部、22…ピックアップローラー、22a…第4センサー、41…第1切替え部、42…第2切替え部、43…第3切替え部、51…第1センサー、52…第2センサー、53…第3センサー、100…分別装置、P…用紙。
図1
図2
図3
図4