(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】RFタグ付き包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20241106BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65D25/20 P
G06K19/077 216
G06K19/077 220
(21)【出願番号】P 2020163782
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201567(JP,A)
【文献】特開2020-102253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0364716(US,A1)
【文献】国際公開第2020/079961(WO,A1)
【文献】特開2008-107947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊代と前記糊代と接着させた部位の間にRFタグを収容した非金属製の包装容器であって,
前記RFタグは,ICチップとこれに接続した結合用導線を形成したインレイと,前記インレイとは別に形成したアンテナ本体を備え,
導電性インキを用いた印刷加工や金属箔を用いた箔押し加工により前記アンテナ本体を成形し,
前記インレイを前記アンテナ本体より小型にして,前記結合用導線と前記アンテナ本体を容量結合させるために,前記糊代に形成した糊層を用いて,前記結合用導線と前記アンテナ本体が重なるように,前記結合用導線を形成した前記インレイの面と前記アンテナ本体を貼着
した,
ことを特徴とするRFタグ付き包装容器。
【請求項2】
前記糊代の糊付け面に前記アンテナ本体を形成したことを特徴する,請求項1に記載したRFタグ付き包装容器。
【請求項3】
前記糊代と接着する部位の領域に前記アンテナ本体を形成したことを特徴する,請求項1に記載したRFタグ付き包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無線通信を用いた自動認識技術で用いられるRFタグ(RF: Radio Frequency)を付けた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,自動精算および在庫管理など包装容器の管理用途においてRFタグを利用することが検討されている。RFタグは,無線通信を用いた自動認識技術において,認識対象となる物に取り付ける情報媒体を意味する。RFタグは,無線タグ,ICタグ,または,RFIDタグ(RFID: Radio Frequency Identification)などと称されることもある。また,包装容器とは,商品を入れたり包んだりしているものを意味する。
【0003】
特許文献1の
図3で図示したように,認識対象となる包装容器(上記の
図3では,梱包箱)の表面にRFタグを貼着するのが一般的である。特許文献1では,認識対象となる包装容器の表面に貼着するために,アンテナの一部として機能するシート状のアンテナ材を包装容器(特許文献1では,包装材)に貼着した後,ICチップと導線からなるICストラップをアンテナ材と重なるように貼着している。
【0004】
包装容器の外面にRFタグを貼着するのは,認識対象となる包装容器の中面にRFタグを貼着すると,包装容器が食料品の場合は衛生的に問題がある。また,包装容器が梱包箱の場合,中身となる製品とRFタグが擦れることで,RFタグが故障することがある。
【0005】
認識対象となる包装容器の表面にRFタグを貼着すると,RFタグを貼着する工程は容易になるが,一方で,認識対象となる包装容器の表面にRFタグを貼着したことによる問題もある。この問題として,包装容器の外観が悪くなる問題や,RFタグに対する不正行為(RFタグが剥がされるなど)が容易に行える問題がある。この問題を解決するために,特許文献2で開示された発明では,包装容器において糊代とこれと接着する板(パネル)の間にRFタグを収容することで,RFタグが包装容器の表面および中面に現れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-63067号公報
【文献】特開2011-201567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
糊代とこれと接着する板の間にRFタグを収容することで,包装容器の表面にRFタグを貼着したときに発生する様々な問題を解決できる。しかし,糊代とこれと接着する板の間にRFタグを収容すると,包装容器の表面にRFタグは現れないが,RFタグを収容した箇所が膨らむため,糊代の接着不良などの不良が発生する原因になってしまう。
【0008】
包装容器において糊代とこれと接着する板の間に収容するRFタグのサイズを小さくすれば,RFタグを収容した箇所の膨らみも小さくなり,糊代の接着不良などの不良の発生を抑えられる。しかし,RFタグのサイズを小さくすると,RFタグのアンテナのサイズも小さくなるため,RFタグの通信距離が短くなってしまう。
【0009】
そこで,本発明は,包装容器において糊代とこれと接着する板の間にRFタグを収容する包装容器において,RFタグのアンテナのサイズを小さくすることなく,RFタグを収容した箇所の膨みを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する本発明は,糊代と前記糊代と接着させた部位の間にRFタグを収容した非金属製の包装容器であって,前記RFタグは,ICチップとこれに接続した結合用導線を形成したインレイと,前記インレイとは別に形成したアンテナ本体を備え,導電性インキを用いた印刷加工や金属箔を用いた箔押し加工により前記アンテナ本体を成形して,前記インレイを前記アンテナ本体より小型にして,前記結合用導線と前記アンテナ本体を容量結合させるために,前記糊代に形成した糊層を用いて,前記結合用導線と前記アンテナ本体が重なるように,前記結合用導線を形成した前記インレイの面と前記アンテナ本体を貼着したことを特徴とするRFタグ付き包装容器である。
本発明では,前記糊代の糊付け面に前記アンテナ本体を形成することができる。更に,本発明では,前記糊代と接着する部位の領域に前記アンテナ本体を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るRFタグ付き包装容器では,糊代とこれと接着する板の間にRFタグを収容しても,膨らみが発生する箇所をインレイが配置された箇所に限定できる。アンテナ本体を所望する通信距離が得られるサイズにしても,インレイはアンテナ本体よりも小型化できるため,RFタグを収容した箇所の膨みは小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るRFタグ付き包装容器を説明する図。
【
図2】本実施形態に係るRF付きタグ包装容器に設けるRFタグを説明する図。
【
図3】本実施形態に係るRFタグ付き包装容器に用いるブランクを説明する図。
【
図4】ブランクをサック貼りする工程を説明する図。
【
図5】第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器を説明する図。
【
図7】第1の変形例に係るブランクをサック貼りする工程を説明する図。
【
図8】第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器を説明する図。
【
図10】第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器を説明する図。
【
図11】第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここから,本発明に係る実施形態について記載する。本実施形態は,本発明の理解を容易にするためのものであり,本発明は,本実施形態に限定されるものではない。また,特に断りのない限り,図面は,本発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0014】
図1は,本実施形態に係るRFタグ付き包装容器1を説明する図である。
図1で図示したRFタグ付き包装容器1は,糊代10とこの糊代10と接着させた部位の間にRFタグ2を収容した構造の非金属製の包装容器である。
図1において,RFタグ2を収納した箇所は,RFタグ付き包装容器1の胴体1aになっている。
【0015】
非金属製の包装容器とは,非金属基材を用いた包装容器を意味する。包装容器に用いる非金属基材とは,金属ではない基材を意味する。包装容器に用いる非金属基材としては,プラスチックや紙またはこれらを積層させた積層基材を利用できる。
【0016】
RFタグ付き包装容器1において,RFタグ2を収容した箇所の層構成は,RFタグ付き包装容器1の中面から順に,糊を塗布する糊代10,糊代10に加工したアンテナ本体20,糊代10に塗布した糊層12,ICチップ22とこれの両側に接続した結合用導線23をインレイ基材24に形成したインレイ21,および,糊代10と接着する部位となる側板11aになる。なお,
図1では,分かり易くするために,糊代10と側板11aは接着していないように図示しているが,実際のRFタグ付き包装容器1において,糊代10と側板11aは圧着され糊層12によって接着している。
【0017】
図2は,本実施形態に係るRFタグ付き包装容器1に設けるRFタグ2を説明する図である。
図2(a)は,RFタグ2の構成要素を説明する図,
図2(b)は,RFタグ2の構造を説明する図である。
【0018】
図2(a)で図示したごとく,RFタグ2の構成要素は,ICチップ22とこれに接続した一対の結合用導線23をインレイ基材24に形成した小型のインレイ21(ストラップと称されることもある)と,インレイ21とは別に形成するアンテナ本体20になる。
【0019】
図2(b)で図示したごとく,RFタグ2では,ICチップ22とこの両側に設けられた結合用導線23をインレイ基材24に実装したインレイ21の表面(結合用導線23などを形成した面)とアンテナ本体20が,糊代10に形成した糊層12を利用して貼着している。
【0020】
本実施形態のアンテナ本体20は,UHF帯の周波数に対応した形状になっている。具体的に,アンテナ本体20はダイポールアンテナの形状をなしている。アンテナ本体20の中央にはスリット20aが設けられ,アンテナ本体20はスリット20aにより二つのパートに分割されている。ICチップ22を配置する箇所は,アンテナ本体20のスリット20aになる。
【0021】
RFタグ2を上から平面視した状態で,ICチップ22の両側に設けられた結合用導線23それぞれはアンテナ本体20と重なっている。ICチップ22の左側になる結合用導線23はアンテナ本体20の左側のパートと重なり,ICチップ22の右側になる結合用導線23はアンテナ本体20の右側のパートと重なっている。結合用導線23とアンテナ本体20の間には糊層12が存在するので,結合用導線23とアンテナ本体20が重なることで,結合用導線23とアンテナ本体20は糊層12を介して容量結合し,アンテナ本体20のそれぞれのパートはICチップ22の引出し配線の役割を果たす。
【0022】
図2で図示した通り,インレイ21とアンテナ本体20を分離して形成することで,RFタグ付き包装容器1において,糊代とこれと接着する板の間にRFタグを収容しても,膨らみが発生する箇所はインレイ21が配置された箇所に限定できる。アンテナ本体20は,導電性インキを用いた印刷加工や金属箔を用いた箔押し加工により成形される。よって,アンテナ本体20の厚みは非常に薄く,アンテナ本体20を所望する通信距離が得られるサイズにしても,アンテナ本体20の箇所は膨らまない。インレイ21にはインレイ基材24などがある都合上,その厚みは,アンテナ本体20よりも厚くなるが,インレイ21はアンテナ本体20より小型化できるため,RFタグ2を収容した箇所の膨みを小さくできる。よって,本実施形態のRFタグ付き包装容器1では,アンテナ本体20を所望する通信距離が得られるサイズにしても,インレイ21は,アンテナ本体20よりも小型化できるため,RFタグ2を収容した箇所の膨みを小さくできる。
【0023】
図3は,本実施形態に係るRFタグ付き包装容器1に用いるブランク3を説明する図である。本実施形態に係るRFタグ付き包装容器1は,RFタグ付き包装容器1の展開図の形状に打ち抜き,折り加工する箇所に罫線11mを加工した一枚のブランク3をサック貼りすることで成形される。
【0024】
図3で図示したブランク3は,RFタグ付き包装容器1の胴体1aを形成する四枚の側板11a,11b,11cおよび11dと,胴体1aの底側を塞ぐ一枚の底板11fと,胴体1aの天側を塞ぐ一枚の天板11eを有する。
図3で図示したブランク3では,胴体1aの天側を塞いだ状態で天板11eを固定するためのフラップ11gが天板11eと連結し,このためのフラップ11hが側板11cに連結し,このためのフラップ11iが側板11aに連結している。更に,
図3で図示したブランク3では,胴体1aの底側を塞いだ状態で底板11fを固定するためのフラップ11jが底板11fと連結し,このためのフラップ11kが側板11cに連結し,このためのフラップ11lが側板11aに連結している。
【0025】
図3では,ブランク3の表面(印刷面)を図示している。本発明を実現できるために,
図3で図示したブランク3では,側板11dの片側に糊代10が設けられ,この糊代10にアンテナ本体20が加工されている。これは,糊代10の表面が糊付け面になり,糊代10の表面に糊層12が形成されるからである。アンテナ本体20は,金属インキを用いた印刷加工や金属箔を用いた箔押加工で形成することができる。なお,糊代10と接着する部位は,糊代10の反対側になる側板11aになる。
【0026】
図4は,ブランク3をサック貼りする工程を説明する図で,ブランク3は中面が表になっている。ブランク3をサック貼りするとは,ブランク3の糊代10と側板11aを接着させ,ブランク3を包装容器の形態に組み立て可能な状態にすることを意味している。
【0027】
ブランク3をサック貼りする工程は,ブランク3の糊代10に糊を付ける糊付け工程S1と,糊代10に印刷したアンテナ本体20の位置に合わせてインレイ21を貼着するインレイ貼着工程S2と,折ガイドなどを用いてブランク3を折り込む折り込み工程S3と,糊代10と側板11aを圧着させる圧着工程S4を含む。
【0028】
ブランク3の糊代10に糊を付ける糊付け工程S1は,糊付けローラなどを用いて糊代10の表面に糊層12を形成する工程である。糊としては,ホットメルト接着剤,エマルジョン系接着剤または両面テープ等などを利用できる。糊代10に印刷したアンテナ本体20の位置に合わせてインレイ21を貼着するインレイ貼着工程S2には,シート状の媒体を貼り付ける貼着機が利用される。インレイ21は,糊付け工程S1にて糊代10に形成した糊層12の上に貼着される。折り込み工程S3は,ブランク3を搬送させながらブランク3に加工した所定の罫線を折りガイドに沿って折る工程である。糊代10と側板11aを圧着させる圧着工程S4は,圧着ローラを利用して糊付けしたブランク3の箇所を圧着する工程である。
【0029】
ブランク3をサック貼りすることで,ブランク3は糊代10と側板11aが接着した状態に加工される。この状態のブランク3の天側と底側をそれぞれ折ることで,
図1で図示したRFタグ付き包装容器1を組み立てることができる。
【0030】
上述した実施形態では,糊代10にアンテナ本体20を加工しているが,糊代10と接着する部位において,糊代10と重なる領域にアンテナ本体20を加工することもできる。
【0031】
図5は,第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4の構造を説明する図である。
図5では,
図1と同じ要素に
図1と同じ符号を付けている。
【0032】
図5で図示した第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4は,
図1で図示したRFタグ付き包装容器1と同様に,糊代10とこの糊代10と接着させた部位の間にRFタグ2を収容した構造の非金属製の包装容器である。
図5においても,
図1と同様に,RFタグ2を収納した箇所は,第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4の胴体4aになっている。
【0033】
糊代10とこの糊代10と接着させた部位の間にRFタグ2を収容した点において,上述したRFタグ付き包装容器1と第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4は同じであるが,RFタグ2を収容した箇所の層構成は異なる。
【0034】
第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4において,RFタグ2を収容した箇所の層構成は,第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4の中面から順に,糊を塗布する糊代10,糊代10を接着する接着剤層40,接着剤層40を介して糊代10と接着しているインレイ21,糊代10に塗布した糊層12,糊代10と接着する部位になる側板11aに加工したアンテナ本体20,および,糊代10と接着する部位となる側板11aになる。なお,
図5では,分かり易くするために,糊代10と側板11aは接着していないように図示しているが,第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4において,糊代10と側板11aは圧着され糊層12によって接着している。
【0035】
第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4において,RFタグ2の基本的な構造は
図2と同じである。RFタグ2は,ICチップ22とこの両側に設けた結合用導線23をインレイ基材24に形成したインレイ21と,結合用導線23と容量結合するアンテナ本体20を備える。第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器4において,インレイ21の裏面(結合用導線23を実装していない面)が接着剤層40により糊代10と接着し,ICチップ22は,糊代10に塗布した糊層12によって保護されることになる。
【0036】
図6は,第1の変形例に係るブランク5を説明する図である。
図6では,
図3と同じ要素に
図3と同じ符号を付けている。
【0037】
図6では,第1の変形例に係るブランク5の中面を図示している。
図6で図示した第1の変形例に係るブランク5の構造は
図3と同じであるため,ここでは説明を省く。本発明を実現できるために,
図6で図示した第1の変形例に係るブランク5では,糊代10と接着する部位である側板11aにおいて,糊代10と重なる領域にアンテナ本体20が加工されている。これは,糊代10と接着する部位である側板11aにおいて,糊代10と重なる領域は側板11aの中面になるからである。
【0038】
図7は,第1の変形例に係るブランク5をサック貼りする工程を説明する図である。第1の変形例に係るブランクでは,糊代10と接着する部位である側板11aの中面にアンテナ本体20を加工しているので,第1の変形例に係るブランク5をサック貼りする工程は
図4と異なる。
【0039】
第1の変形例に係るブランク5をサック貼りする工程は,糊代10にインレイ21を貼着するインレイ貼着工程S10と,第1の変形例に係るブランク5の糊代10に糊を付ける糊付け工程S11と,折ガイドなどを用いて第1の変形例に係るブランク5を折り込む折り込み工程S12と,糊代10と側板11aを圧着させる圧着工程S13を含む。
【0040】
第1の変形例では,糊代10にインレイ21を貼着するインレイ貼着工程S10を実行する時点において,糊代10には糊層12が形成されていない。そこで,この工程では,接着剤を利用して,インレイ21の裏面(結合用導線23を実装していない面)に接着剤層40を形成し,インレイ21の裏面と糊代10を接着することになる。インレイ21の裏面と糊代10を接着した時点で,インレイ21の表面(結合用導線23を実装した面)は,第1の変形例に係るブランク5の中面に現れた状態になる。
【0041】
第1の変形例に係るブランク5の糊代10に糊を付ける糊付け工程S11において,糊層12を第1の変形例に係るブランク5の糊代10に形成することで,インレイ21の表面(結合用導線23を実装した面)は糊層12で覆われ,インレイ21に実装したICチップ22は糊層12で保護された状態になる。
【0042】
なお,第1の変形例に係る折り込み工程S12と圧着工程S13は,
図4を用いて説明した内容と変わらないため,ここでは,説明を省く。
【0043】
これまで,包装容器の形態を箱体としていたが,本発明は,箱体以外の様々な包装容器に適用できる。
【0044】
図8は,第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6を説明する図である。
図8で図示したごとく,第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6の形態はゲーブルトップ型の液体用紙容器である。第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6では,二枚の封止用フラップ60の間に,インレイ21とアンテナ本体20を備えたRFタグ2を収容している。第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6の場合,一枚の封止用フラップ60が糊代になり,もう一枚の封止用フラップ60が糊代と接着する部位になる。これは,
図1で図示したRFタグ付き包装容器1と同様に,第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6の胴体6aにRFタグ2を収容すると,第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器6の胴体6aに充填される液体の影響でRFタグ2の通信距離が短くなるからである。
【0045】
図9は,第2の変形例に係るブランク7を説明する図である。第2の変形例に係るブランク7は,ゲーブルトップ型の一般的な液体用紙容器の展開図であるため,ここでは詳細な説明を省く。第2の変形例に係るブランク7では,第2の変形例に係るブランク7の天側にある二枚の封止用フラップ60のうち,一枚の封止用フラップ60の中面にアンテナ本体20が加工されている。サック貼りした第2の変形例に係るブランク7を液体用紙容器に組み立て,液体用紙容器に液体を充填してから,二枚の封止用フラップ60をシール加工することで,RFタグ2は,二枚の封止用フラップ60の間に収容される。
【0046】
図10は,第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器8を説明する図である。
図10で図示したごとく,第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器8の形態はピロー包装体である。第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器8では,樹脂フィルムの端が貼り合わされる合掌接着部80にRFタグ2を収容している。この場合,合掌接着部80に貼り合わされる樹脂フィルムの端の一つが糊代になり,もう一つの端が糊により糊代と接着する部位になる。
【0047】
インレイ21とアンテナ本体20を備えたRFタグ2は,第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器8の合掌接着部80をシール加工する際に合掌接着部80に収容される。第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器8では,樹脂フィルムの一つ端にアンテナ本体20が加工され,もう一方の端にインレイ21が貼着されることになる。
【0048】
図11は,第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器9を説明する図である。
図11で図示したごとく,第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器9の形態は蓋付容器である。第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器9では,収容部が形成された容器本体90と,容器本体90の周縁90aと糊により接着する蓋体91の間にRFタグ2を収容している。
【0049】
RFタグ2は,第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器9の容器本体90の周縁90aに蓋体91を貼着する際,糊代となる容器本体90の周縁90aと蓋体91の間に収容される。なお,アンテナ本体20を加工する部位は,糊代となる容器本体90の周縁90aでもよく,容器本体90の周縁90aと接着する蓋体91でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 RFタグ付き包装容器
10 糊代
11a 側板
12 糊層
2 RFタグ
20 アンテナ本体
21 インレイ
22 ICチップ
23 結合用導線
24 インレイ基材
3 ブランク
4 第1の変形例に係るRFタグ付き包装容器
40 接着剤層
5 第1の変形例に係るブランク
6 第2の変形例に係るRFタグ付き包装容器
60 封止用フラップ
7 第2の変形例に係るブランク
8 第3の変形例に係るRFタグ付き包装容器
80 合掌接着部
9 第4の変形例に係るRFタグ付き包装容器
90 容器本体
90a 周縁
91 蓋体