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特許7581744換気システム、換気方法及び換気プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】換気システム、換気方法及び換気プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241106BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241106BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20241106BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20241106BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20241106BHJP
   F24F 120/14 20180101ALN20241106BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 C
F24F11/74
G06T7/20 300Z
F24F110:65
F24F120:14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020163803
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056030
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】沼田 和清
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 進一
(72)【発明者】
【氏名】井上 友理
(72)【発明者】
【氏名】椋梨 幾雄
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-030837(JP,A)
【文献】特開2005-147624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 7/06
F24F 11/74
G06T 7/20
F24F 110/65
F24F 120/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気対象エリアに層流状の空気の流れを形成して換気する換気部に接続された制御部を備えた換気システムであって、
前記制御部が、
前記換気対象エリアの汚染濃度を検知する濃度検知部と、
前記換気対象エリア毎に、移動体数、各移動体の大きさ及び移動量を特定し、前記移動体数、各移動体の大きさ及び移動量に応じて、前記層流状の空気の流れを攪乱する活動量を検知する活動量検知部と、に接続され、
前記換気対象エリア毎に、前記濃度検知部で検知した汚染濃度及び前記活動量検知部で検知した活動量に応じた換気量条件で換気量制御処理を実行することを特徴とする換気システム。
【請求項2】
換気対象エリアに層流状の空気の流れを形成して換気する換気部に接続された制御部を備えた換気システムを用いて換気を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記換気対象エリアの汚染濃度を検知する濃度検知部と、
前記換気対象エリア毎に、移動体数、各移動体の大きさ及び移動量を特定し、前記移動体数、各移動体の大きさ及び移動量に応じて、前記層流状の空気の流れを攪乱する活動量を検知する活動量検知部と、に接続され、
前記換気対象エリア毎に、前記濃度検知部で検知した汚染濃度及び前記活動量検知部で検知した活動量に応じた換気量条件で換気量制御処理を実行することを特徴とする換気方法。
【請求項3】
換気対象エリアに層流状の空気の流れを形成して換気する換気部に接続された制御部を備えた換気システムを用いて換気を行なうためのプログラムであって、
前記制御部が、
前記換気対象エリアの汚染濃度を検知する濃度検知部と、
前記換気対象エリア毎に、移動体数、各移動体の大きさ及び移動量を特定し、前記移動体数、各移動体の大きさ及び移動量に応じて、前記層流状の空気の流れを攪乱する活動量を検知する活動量検知部と、に接続され、
前記制御部を、前記換気対象エリア毎に、前記濃度検知部で検知した汚染濃度及び前記活動量検知部で検知した活動量に応じた換気量条件で換気量制御処理を実行する手段として機能させることを特徴とする換気プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層流による換気を行なう換気システム、換気方法及び換気プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム等の対象空間の空調設備として、ソックフィルタと呼ばれる給気システムが用いられることがある。ソックフィルタは、例えば布製の円筒状または半円筒状のソック本体を有する。このソック本体は、一端が閉塞され他端に開口を有し、この開口にファン等の給気装置が接続される。この給気装置によりソック本体に気体が送り込まれ、ソック本体が対象空間に対して給気を行なう。ソックフィルタは、ソック本体が有する多数の小孔から供給された気体を浸み出させることで、微風流を生成する。従って、ソックフィルタから供給される気体は、風速・風向が均一に広がるため、直風や、食品等の作業対象物の表面の乾燥、塵や埃の舞い等を抑制できる。更に、このソックフィルタを用いた空調システムも検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に開示された技術においては、対象空間に気体を供給する給気システムと、対象空間内の気体を排出する排気システムとを備える。給気システムは、複数の小孔を有する半円筒型の拡散体と、拡散体に気体を供給する給気装置とを備え、排気システムは、排気口と、排気口から気体を吸引する排気装置とを備える。拡散体は、天井面に設けられ、天井面が有する辺に対応する長さを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-078422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実験室の対象空間では、人の移動等の乱流発生の要因が多い。微風速による換気が求められる化学系実験室のような室内気流環境下においては、実験室の上から下方向への微風速ラミナーフロー(層流)が形成されていたとしても、通常の使用状況下ではこのような人の動きによって層流が攪乱されてしまう。そのため、実験室で用いられる溶剤の拡散によって、周囲の在室者に影響を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための換気システムは、換気対象エリアに層流状の空気の流れを形成して換気する換気部に接続された制御部を備える。そして、前記制御部が、前記換気対象エリア内の物体の活動量を検知する活動量検知部に接続され、前記活動量検知部で検知した活動量に応じた換気量条件で換気量制御処理を実行する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、気流速を高められない気流環境下であっても、換気効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のシステムの説明図。
図2】実施形態の換気対象エリアの説明図。
図3】実施形態のハードウェア構成の説明図。
図4】実施形態の記憶部の説明図であって、(a)は風量情報記憶部、(b)はエリア情報記憶部の説明図。
図5】実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図5に従って、換気システム、換気方法及び換気プログラムの一実施形態を説明する。
本実施形態では、図2に示すように、複数の実験設備u1が配置された実験室A0内を、複数の換気対象エリアA1に分割する。そして、換気対象エリアA1毎に、換気を行なう換気システムとして説明する。
本実施形態では、複数の換気対象エリアA1に対して、一つの管理装置20を用いる。
【0009】
(ハードウェア構成の説明)
図3を用いて、管理装置20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0010】
通信装置H11は、他の装置との間で通信ルートを確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0011】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶部H14は、管理装置20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0012】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理装置20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0013】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0014】
(システム構成)
次に、図1を用いて、換気システムの各機能を説明する。本実施形態では、換気対象エリアA1の換気を行なう。この換気対象エリアA1の上方(天井部)には、ソックフィルタ11が設けられている。このソックフィルタ11は、布製の円筒状で、一端が閉塞され他端に開口部を有する。そして、ソックフィルタ11の開口部には、給気ファン12が接続されている。この給気ファン12は、外気の外部吸気口13からの空気を、微風速でソックフィルタ11に供給する。
【0015】
また、換気対象エリアA1の床f1には、通気性を有する床は孔あき状で、例えば、格子状のグレーチングが設けられている。床f1の下方には、排気口14が設けられている。これにより、換気対象エリアA1は、床下排気を行なう。
【0016】
排気口14は、排気ファン15に接続されている。この排気ファン15は、外部への外部排気口16から排気を行なう。給気ファン12、排気ファン15には、各ファンが設置された換気対象エリアA1を特定するための情報(例えば、エリアID)が付与されている。
【0017】
本実施形態では、ソックフィルタ11、給気ファン12、排気口14及び排気ファン15が換気部として機能する。そして、給気ファン12から、ソックフィルタ11を介して換気対象エリアA1に供給された空気は、床f1の床下の排気口14から、排気ファン15により排出される。これにより、換気対象エリアA1内で、層流状(ラミナーフロー)を形成する。
【0018】
また、換気対象エリアA1には、濃度検知部としての濃度センサs1、活動量検知部としての活動量センサs2が設けられている。濃度センサs1、活動量センサs2には、各センサが設置された換気対象エリアA1を特定するための情報(例えば、エリアID)が付与されている。
【0019】
濃度センサs1は、換気対象エリアA1内の汚染物質(例えば、揮発性溶剤、有毒ガス等)の汚染濃度を検出する。
活動量センサs2は、換気対象エリアA1内の移動体の活動量を検出する。ここで、移動体は、層流を攪乱する物体(人や物)である。例えば、活動量センサs2として、監視カメラを用いることにより、時系列の各フレームにおいて、動きを検出して、各動きの状況により、活動量を検出する。
【0020】
管理装置20は、活動量センサs2、濃度センサs1から取得した各種情報を用いて、換気を管理するコンピュータシステムである。この管理装置20は、制御部21、風量情報記憶部22、エリア情報記憶部23を備える。
【0021】
制御部21は、後述する処理(取得段階、駆動段階等を含む処理)を行なう。このための換気プログラムを実行することにより、制御部21は、取得部211、駆動部212等として機能する。
【0022】
取得部211は、活動量センサs2、濃度センサs1から各種情報を取得する処理を実行する。この取得部211は、各ファン及び各センサに関連付けて、これらに付与された換気対象エリアA1のエリアIDを記憶している。更に、取得部211は、移動体数、移動体の大きさ及び移動量に基づいて、活動量を算出するための活動量評価情報を保持している。
駆動部212は、給気ファン12、排気ファン15の駆動を制御する処理を実行する。
【0023】
図4(a)に示すように、風量情報記憶部22には、風量決定マトリクス220が記録される。この風量決定マトリクス220は、汚染濃度、活動量に応じた風量が決定された場合に記録される。風量決定マトリクス220には、汚染濃度、活動量に対して風量に関する情報が記録される。
【0024】
汚染濃度データ領域には、濃度センサs1で検出する可能性がある汚染濃度(例えば、有毒ガス濃度)に関する情報が記録されている。
活動量データ領域には、活動量センサs2で検出する可能性がある活動量に関する情報が記録されている。
【0025】
風量データ領域には、検出した汚染濃度、活動量に応じて、環境を改善するために必要な換気量条件(風量)に関する情報が記録されている。ここでは、汚染物質を検知した場合や、層流が攪乱された場合等において、所定時間内に汚染物質の濃度を所定値以下にして、層流を再現するために必要な風量が記録される。具体的には、汚染濃度が高い程、活動量が多い程、大きな風量が設定されている。従って、汚染濃度が低く、活動量が少ない場合には、最小限の風量を用いる。また、活動量が多くても、汚染濃度が低い場合や、汚染濃度が高くても、活動量が少ない場合には、中程度の風量を用いる。一方、汚染濃度が高く、活動量が多い場合には、最大限の風量を用いる。
【0026】
図4(b)に示すように、エリア情報記憶部23には、エリア管理レコード230が記録される。このエリア管理レコード230は、各換気対象エリアA1についての換気量制御処理を実行した場合に記録される。このエリア管理レコード230には、エリアID、汚染濃度、活動量、風量に関する情報が記録される。
【0027】
エリアIDデータ領域には、各エリアを特定するための識別子に関する情報が記録されている。
汚染濃度データ領域には、このエリアの濃度センサs1で検出した汚染濃度に関する情報が記録される。
【0028】
活動量データ領域には、このエリアの活動量センサs2で検出した活動量に関する情報が記録される。
風量データ領域には、このエリアの汚染濃度、活動量に応じて決定した風量に関する情報が記録される。
【0029】
(換気量制御処理)
次に、図5を用いて、上記のように構成された換気システムにおける換気量制御処理の処理手順を説明する。ここでは、複数の換気対象エリアA1において、順次、処理対象エリアを特定して、以下の処理を実行する。
【0030】
まず、管理装置20の制御部21は、汚染濃度の取得処理を実行する(ステップS101)。具体的には、制御部21の取得部211は、処理対象エリアの換気対象エリアA1に対応付けられた濃度センサs1から、この処理対象エリアの汚染濃度を取得する。
【0031】
次に、管理装置20の制御部21は、活動量の特定処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21の取得部211は、処理対象エリアの換気対象エリアA1に対応付けられた活動量センサs2から、所定期間の複数のフレーム画像を取得する。次に、取得部211は、各フレーム画像において移動している各物体(人や物等)を特定する。そして、取得部211は、移動体数、各移動体の大きさ及び移動量に基づいて、活動量を算出する。ここでは、移動体数が多い程、移動体が大きい程、移動量が大きい程、大きな活動量を算出する。
【0032】
次に、管理装置20の制御部21は、風量の決定処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21の取得部211は、風量情報記憶部22に記録された風量決定マトリクス220を用いて、エリア管理レコード230に記録された汚染濃度、活動量に対応する風量を取得する。
【0033】
次に、管理装置20の制御部21は、現在の風量と一致かどうかについての判定処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21の駆動部212は、エリア管理レコード230に記録された風量と、風量決定マトリクス220を用いて決定した風量とを比較する。そして、両者が一致しない場合には、現在の風量と不一致と判定する。
【0034】
現在の風量と不一致と判定した場合(ステップS104において「NO」の場合)、管理装置20の制御部21は、ファン稼働調整処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の駆動部212は、風量決定マトリクス220を用いて決定した風量になるように、処理対象エリアの換気対象エリアA1に対応付けられた給気ファン12、排気ファン15の駆動を制御する。
【0035】
一方、エリア管理レコード230に記録された風量と、風量決定マトリクス220を用いて決定した風量とが同じで、現在の風量と一致と判定した場合(ステップS104において「YES」の場合)、管理装置20の制御部21は、ファン稼働調整処理(ステップS105)をスキップする。この場合、給気ファン12、排気ファン15は、現在の風量で駆動を継続する。
【0036】
そして、管理装置20の制御部21は、データ更新処理を実行する(ステップS106)。具体的には、制御部21の駆動部212は、処理対象エリアのエリアIDが記録されたエリア管理レコード230に汚染濃度、活動量、風量を記録する。そして、次の処理対象エリアを特定し、上述した換気量制御処理を行なう。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、換気対象エリアA1の上方(天井部)には、ソックフィルタ11が設けられている。また、換気対象エリアA1の床f1には、格子状のグレーチングが設けられている。これにより、換気対象エリアA1を、層流状の気流で換気することができる。層流状の気流は、換気効率が高いので、換気流速を高められない室内気流環境下であっても、効率的な換気を実現できる。
【0038】
(2)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、汚染濃度の取得処理を実行する(ステップS101)。これにより、換気対象エリアA1内の汚染物質の拡散状況を把握することができる。
【0039】
(3)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、活動量の特定処理を実行する(ステップS102)。これにより、換気対象エリアA1内の層流を攪乱する移動体の状況を把握することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、風量の決定処理を実行する(ステップS103)。これにより、汚染物質の状況、活動量に応じて換気量を制御し、より安全性の高いラミナーフローによる微風速換気を行なうことができる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、実験室内の換気に適用するが、換気の対象はこれに限定されるものではない。例えば、オフィス内や建物内の各オフィスについて、換気を行なうようにしてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、複数の換気対象エリアA1に対して、一つの管理装置20を用いる。ハードウェア構成は、これに限定されるものではなく、換気対象エリアA1毎に、管理装置20を設けてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、濃度センサs1は、換気対象エリアA1内の汚染物質(例えば、揮発性溶剤、有毒ガス)の濃度を検出する。汚染物質は、揮発性溶剤、有毒ガスに限定されるものではない。例えば、埃や粉塵等のダストを対象にしてもよい。この場合には、ダストカウンタを用いて、汚染物質量を検知する。
また、ウィルス感染者を検知するようにしてもよい。この場合には、例えば、体温が高い人を検知することにより、汚染物質としてのウィルスの拡散の可能性を検出する。
【0044】
・上記実施形態では、換気対象エリアA1の上方(天井部)に、ソックフィルタ11を設ける。層流を形成できれば、換気手段や、換気手段の配置は限定されるものではない。
【0045】
・上記実施形態では、換気対象エリアA1の床f1に、格子状のグレーチングを設けて、床下排気を行なうが、排気方法は、床下排気に限定されるものではない。層流を形成できれば、実験台下に設置された足元排気口等を用いてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、管理装置20の制御部21は、風量の決定処理を実行する(ステップS103)。この場合、汚染濃度、活動量に対して風量に関する情報が記録される風量決定マトリクス220を用いる。風量を決定する要素は、汚染濃度、活動量に限定されるものではない。例えば、少なくとも、層流を攪乱する活動量に応じて風量を決定すればよい。
【0047】
また、他の要素を用いて、風量を決定してもよい。例えば、換気対象エリアA1の室温や湿度等を用いてもよい。この場合、汚染濃度、活動量に対して、風量の決定要素としての室温の優先度は低くしておいてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、風量情報記憶部22には、風量決定マトリクス220が記録される。ここで、換気対象エリアA1毎に登録された風量決定マトリクス220を用いてもよい。この場合には、風量情報記憶部22にエリアIDに関連付けて、風量決定マトリクス220を記録する。そして、風量の決定処理(ステップS103)において、制御部21は、処理対象の換気対象エリアA1のエリアIDに関連付けられた風量決定マトリクス220を用いて、風量を決定する。これにより、各換気対象エリアA1の実験設備u1の配置等の環境状況に応じて、汚染物質の拡散抑制や、層流の再現できる風量の決定を行なうことができる。
【0049】
・上記実施形態では、活動量センサs2として、カメラを用いる。そして、時系列の各フレームにおいて、動きを検出して、各動きの大きさにより、活動量を検出する。換気対象エリアA1内の移動体の活動量を検出できれば、活動量の評価方法は、カメラ画像や動き検出に限定されるものではない。例えば、人感センサ等を用いてもよい。また、移動体に発信器を取り付けて、発信器からの信号を受信することにより、距離や位置を測定するビーコン技術等を用いて、移動体の活動量を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
A0…実験室、A1…換気対象エリア、f1…床、s2…活動量センサ、s1…濃度センサ、u1…実験設備、11…ソックフィルタ、12…給気ファン、13…外部吸気口、14…排気口、15…排気ファン、16…外部排気口、20…管理装置、21…制御部、211…取得部、212…駆動部、22…風量情報記憶部、23…エリア情報記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5