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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241106BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20241106BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G03G21/00 310
B65H5/00 B
G03G15/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020167885
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059962
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 和紀
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊彰
(72)【発明者】
【氏名】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-166875(JP,A)
【文献】特開平06-095527(JP,A)
【文献】実開昭50-082242(JP,U)
【文献】実開昭56-164262(JP,U)
【文献】特開平08-095458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B65H 5/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に凹部が形成された回転体と、
前記回転体の外周面に接触し、前記回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、
前記回転体の外周面に接触し、該外周面に付着したトナーを除去するブラシを含む清掃部と、
前記回転体の前記凹部が前記清掃部の縁に対向する回転位置において、前記凹部に対向する吸引口を有するダクトと、
前記ダクトを通じて前記吸引口からトナーを吸引する吸引機と、
前記回転体の外周面に対する接近位置と離間位置とに移動可能に画像形成装置本体に設けられ、前記ダクトが配置された移動体と、
前記離間位置に位置する移動体に前記ダクトを残した状態で該移動体から取り外し可能に前記移動体に設けられ、前記ブラシが内部に収容され、前記回転体に対する前記ブラシの接触部分を露出させる開口部を有する筐体と、
前記移動体を前記離間位置から前記接近位置へ移動させて、該接近位置に位置決めする移動機構と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトは、前記吸引口が前記転写部とブラシとの間に配置されている
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転体の前記凹部が前記清掃部の縁に対向する回転位置において、前記ブラシに対する前記転写部とは反対側で前記凹部に対向する吸引口を有する他のダクトをさらに備える
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転体の外周面に対する前記転写部の接触位置は、前記清掃部に対する上方側に配置されている
請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体上の像を転写する転写装置において、循環移動路に沿って転写材を無端移動する転写材搬送手段と、この搬送手段に取付けられており、回転軸に軸支されて台部材に対して回転動作し、上記転写材の先端辺を把持するグリッパ片と、上記台部材側に取付けたスイッチ部材とを有し、上記グリッパ片のスイッチ部材位置を一部切欠くことによりグリッパ内の転写材の存在を検知することを特徴とする転写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭58-005769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置としては、外周面に凹部が形成された回転体と、回転体の外周面に接触し回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、回転体の外周面に接触し該外周面に付着したトナーを除去するブラシと、を備える画像形成装置が考えられる。該画像形成装置において、さらに、吸引口を有するダクトと、ダクトを通じて吸引口からトナーを吸引する吸引機と、を備える構成が考えられる。該構成において、ダクトが、回転体に対する反対側に開口する吸引口を有する場合では、回転体の凹部へトナーが付着する場合がある。
【0005】
本発明は、ダクトが、回転体に対する反対側にのみ開口する吸引口を有する構成に比べ、回転体の凹部へのトナーの付着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、外周面に凹部が形成された回転体と、前記回転体の外周面に接触し、前記回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、前記回転体の外周面に接触し、該外周面に付着したトナーを除去するブラシを含む清掃部と、前記回転体の前記凹部が前記清掃部の縁に対向する回転位置において、前記凹部に対向する吸引口を有するダクトと、前記ダクトを通じて前記吸引口からトナーを吸引する吸引機と、を備える。
【0007】
第2態様は、前記ダクトは、前記吸引口が前記転写部とブラシとの間に配置されている。
【0008】
第3態様は、前記回転体の前記凹部が前記清掃部の縁に対向する回転位置において、前記ブラシに対する前記転写部とは反対側で前記凹部に対向する吸引口を有する他のダクトをさらに備える。
【0009】
第4態様は、前記回転体の外周面に対する接近位置と離間位置とに移動可能に前記画像形成装置の装置本体に設けられ、前記ダクトが配置された移動体と、前記離間位置に位置する移動体に前記ダクトを残した状態で該移動体から取り外し可能に前記移動体に設けられ、前記ブラシが内部に収容され、前記回転体に対する前記ブラシの接触部分を露出させる開口部を有する筐体と、前記移動体を前記離間位置から前記接近位置へ移動させて、該接近位置に位置決めする移動機構と、を備える。
【0010】
第5態様では、前記回転体の外周面に対する前記転写部の接触位置は、前記清掃部に対する上方側に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
第1態様の構成によれば、ダクトが、回転体に対する反対側にのみ開口する吸引口を有する構成に比べ、回転体の凹部へのトナーの付着が抑制される。
【0012】
第2態様の構成によれば、吸引口がブラシに対する転写部とは反対側に配置された構成に比べ、転写部と回転体との間を通過する記録媒体の非転写面の汚れが抑制される。
【0013】
第3態様の構成によれば、吸引口が転写部とブラシとの間に配置されたダクトのみを備える構成に比べ、回転体の凹部へのトナーの付着が抑制される。
【0014】
第4態様の構成によれば、筐体がダクト全体と一体でのみ移動体から取り外し可能である構成に比べ、ブラシとダクトの吸引口とを回転体に対して一体に位置決めでき且つ筐体の移動体からの取り外しが容易となる。
【0015】
第5態様の構成によれば、回転体の外周面に対する転写部の接触位置が清掃部に対する下方側に配置されている構成に比べ、転写部と回転体との間を通過する記録媒体の非転写面の汚れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る転写胴周辺の構成を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係るグリッパを示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る清掃装置及び転写胴の構成を示す概略図である。
図5】本実施形態に係る清掃装置の構成を示す拡大図である。
図6】本実施形態に係る清掃装置本体が離間位置に位置する状態を示す概略図である。
図7】本実施形態に係るブラシ及びフリッカを示す概略図である。
図8】本実施形態に係る清掃装置において、転写胴の凹部がブラシに対向する状態を示す概略図である。
図9】本実施形態に係る清掃装置のダクトを示す概略図である。
図10】本実施形態に係る清掃装置の仕切板を示す概略図である。
図11】本実施形態に係る画像形成装置本体のフロントカバーを示す概略図である。
図12】本実施形態に係る画像形成装置本体のフロントカバーが開放された状態を示す概略図である。
図13】本実施形態に係る着脱ユニットを示す斜視図である。
図14】本実施形態に係る着脱ユニットの一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0018】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向(装置前後方向)を示す。特に、装置の後方を示す場合には、矢印DRを付す。各図に示す各部分同士のH方向、W方向、及びD方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0019】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。具体的には、画像形成装置10は、画像形成部214と、定着装置30と、搬送機構12と、清掃装置15と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部214、定着装置30、搬送機構12及び清掃装置15)について説明する。
【0020】
(画像形成部214)
画像形成部214は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部214は、図1に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部222と、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置217と、を有している。
【0021】
(トナー像形成部222)
図1に示されるトナー像形成部222は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部222が設けられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0022】
なお、各色のトナー像形成部222は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部222を代表して、図1ではトナー像形成部222(K)の各部に符号を付している。
【0023】
各色のトナー像形成部222は、具体的には、一方向(例えば図1における反時計回り方向)に回転する感光体224を有している。また、各色のトナー像形成部222は、帯電器223と、露光装置240と、現像装置238と、を有している。
【0024】
各色のトナー像形成部222では、帯電器223が、感光体224を帯電させる。さらに、露光装置240が、帯電器223によって帯電された感光体224を露光して、感光体224に静電潜像を形成する。また、現像装置238が、露光装置240によって感光体224に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0025】
(転写装置217)
図1に示される転写装置217は、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置217は、各色の感光体224のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト213に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。転写装置217は、図1に示されるように、転写ベルト213と、一次転写ロール226と、転写胴250と、を備えている。なお、転写胴250は、回転体の一例であり、転写ベルト213は、転写部の一例である。
【0026】
一次転写ロール226は、各色の感光体224のトナー像を、感光体224と一次転写ロール226との間の一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール226と感光体224との間に一次転写電界が印加されることで、感光体224に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写される。
【0027】
転写ベルト213は、各色の感光体224からトナー像が外周面に転写される。この転写ベルト213は、図1に示されるように、無端状を成すと共に、正面視にて(装置奥行方向に見て)逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール232及び対向ロール234に巻き掛けられている。転写ベルト213は、複数のロール232の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印A方向へ周回する。
【0028】
転写胴250は、転写ベルト213に転写されたトナー像を、対向ロール234と転写胴250との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写する転写体である。転写胴250は、図1に示されるように、転写ベルト213に対する下方側に転写ベルト213に対向して配置されている。この転写胴250は、側面視にて円形状に形成されると共に、外周面に凹部254を有している。この凹部254は、後述のグリッパ24及び取付部材23が収容される。これにより、該グリッパ24及び取付部材23が二次転写位置T2を通過する際に、転写ベルト213との接触が回避される。なお、凹部254の具体的な構成は、後述する。
【0029】
転写胴250の軸方向両端側には、図2に示されるように、一対のスプロケット25が設けられている。この一対のスプロケット25は、転写胴250の同軸上に配置されており、転写胴250と一体に回転する構成とされている。転写胴250及び一対のスプロケット25は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される。なお、以下では、転写胴250の軸方向を、単に「軸方向」と表現する場合がある。
【0030】
さらに具体的には、転写胴250は、図4に示されるように、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料で形成された胴本体252と、胴本体252の外周に巻き付けられた弾性層256と、を有している。弾性層256としては、例えば、発泡ゴムからなるゴム層が用いられる。
【0031】
本実施形態では、対向ロール234と転写胴250との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト213に転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。なお、転写ベルト213と転写胴250の外周面とは、二次転写位置T2にて、接触しており、転写ベルト213と転写胴250とが、二次転写位置T2にて記録媒体Pを挟み込んだ状態で搬送しながら、トナー像が転写される。
【0032】
(定着装置30)
本実施形態では、定着装置30は、転写胴250によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置として機能する。具体的には、定着装置30は、図1に示されるように、加圧ロール31と、加熱ロール32と、を有している。
【0033】
定着装置30では、加熱ロール32が、加圧ロール31に対する上方側に配置されている。この加熱ロール32は、ロール内部にハロゲンランプ等の加熱源32Aを有している。
【0034】
加圧ロール31は、外周面に凹部34を有している。この凹部34は、加圧ロール31の外周面における周方向の一部に1つ設けられている。さらに、凹部34は、加圧ロール31の軸方向に沿って長くされると共に、加圧ロール31の径方向に沿った深さを有している。凹部34は、後述のグリッパ24及び取付部材23が収容される。これにより、該グリッパ24及び取付部材23が、図1に示される定着位置NPを通過する際に、加熱ロール32との接触が回避される。
【0035】
加圧ロール31の軸方向両端側には、一対のスプロケット37が設けられている。この一対のスプロケット37は、加圧ロール31の同軸上に配置されており、加圧ロール31と一体に回転する構成とされている。
【0036】
そして、定着装置30では、加熱ロール32と加圧ロール31とで記録媒体Pを定着位置NPで挟み込んだ状態で搬送しつつ、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0037】
(搬送機構12)
図1に示される搬送機構12は、記録媒体Pを搬送する機構である。搬送機構12は、図1及び図2に示されるように、一対のチェーン22と、グリッパ24と、を有している。なお、図1では、一対のチェーン22のうちの一方を示し、且つ、チェーン22及びグリッパ24を簡略化して示している。
【0038】
一対のチェーン22は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン22は、図2に示されるように、装置奥行方向(図中のD方向)に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン22の各々は、転写胴250の軸方向両端側に設けられた一対のスプロケット25の各々と、加圧ロール31の軸方向両端側に設けられた一対のスプロケット37(図1参照)の各々と、に巻き掛けられている。そして、転写胴250と一対のスプロケット25とが一体に回転方向B(矢印B方向)へ回転駆動されることで、チェーン22が周回方向C(矢印C方向)へ周回する。
【0039】
一対のチェーン22には、図2に示されるように、グリッパ24が取り付けられた取付部材23が装置奥行方向に沿って掛け渡されている。取付部材23はチェーン22の周回方向Cに沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン22に固定されている。
【0040】
グリッパ24は、図2に示されるように、装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材23に取り付けられている。このグリッパ24は、記録媒体Pの先端部を保持する保持部として機能する。具体的には、グリッパ24は、図3に示されるように、爪24Aと爪台24Bとを有している。グリッパ24では、爪24Aと爪台24Bとの間に記録媒体Pの先端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。なお、グリッパ24は、例えば、爪24Aが爪台24Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪24Aが爪台24Bに対して開閉される。
【0041】
搬送機構12では、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pの先端部を、図3に示されるように、グリッパ24で保持する。記録媒体Pの先端部を保持したグリッパ24は、チェーン22が周回方向Cへ周回することで、記録媒体Pを搬送し、二次転写位置T2及び定着位置NPを通過させる。そして、各色の一次転写位置T1で転写ベルト213に重ねて一次転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに二次転写される。記録媒体Pに二次転写されたトナー像が定着位置NPにて記録媒体Pに定着される。
【0042】
なお、グリッパ24は、二次転写位置T2を通過する際には、転写胴250の外周面に形成された凹部254に、取付部材23と共に収容され、定着位置NPを通過する際には、加圧ロール31の外周面に形成された凹部34に、取付部材23と共に、収容される。
【0043】
(清掃装置15)
図4に示される清掃装置15は、転写胴250の外周面を清掃する装置である。具体的には、清掃装置15は、転写胴250の外周面に付着したトナーを除去する装置である。この清掃装置15は、図4に示されるように、清掃装置本体40と、移動機構50と、ダクトフレーム60と、着脱ユニット70と、を備えている。なお、清掃装置本体40は移動体の一例であり、着脱ユニット70は清掃部の一例である。また、転写胴250の外周面とは、本実施形態では、弾性層256の表面である。
【0044】
(清掃装置本体40及び移動機構50)
清掃装置本体40は、図5に示されるように、箱状に形成された筐体42と、取付部44と、を有している。筐体42は、軸方向に沿って長くされた略直方体形状に形成されている。この筐体42は、転写胴250側(図5における右側)に開口する開口部42Aを有している。本実施形態では、清掃装置本体40は、ダクトフレーム60及び着脱ユニット70を含めて、装置幅方向に沿って移動可能に、画像形成装置10の本体11(以下、「画像形成装置本体11」という)に設けられている。具体的には、清掃装置本体40は、図4に示される接近位置と、図6に示される離間位置と、に装置幅方向に沿って移動可能とされている。
【0045】
図4に示される接近位置は、転写胴250の外周面に対する接近位置である。該接近位置では、ブラシ72に転写胴250の外周面が対向している場合に、ブラシ72が転写胴250の外周面に接触する。また、後述の封止材78に転写胴250の外周面が対向している場合に、該封止材78が転写胴250の外周面に接触する。図6に示される離間位置は、転写胴250の外周面に対する離間位置である。該離間位置では、ブラシ72が転写胴250の外周面から離間する。
【0046】
取付部44は、図5に示されるように、移動機構50の後述の引張バネ52が取り付けられる部分である。取付部44は、筐体42の側壁42Bにおいて、転写胴250とは反対側(図5における左側)に2つ設けられている。
【0047】
移動機構50は、清掃装置本体40を図4に示される接近位置と、図6に示される離間位置とに移動させる機構である。具体的には、移動機構50は、図5に示されるように、2つの引張バネ52と、カム54と、を有している。2つの引張バネ52の各々は、一端部が取付部44に取り付けられ、他端部が、画像形成装置本体11に設けられた取付部13に取り付けられている。これにより、2つの引張バネ52は、接近位置に対する離間位置側(図5における左側)へ清掃装置本体40を引っ張っている。カム54は、揺動軸54A周りに揺動可能に画像形成装置本体11に設けられている。移動機構50では、カム54が揺動し、カム54の長径部分が筐体42の側壁42Bに接触することで、引張バネ52の弾性力に対抗して、清掃装置本体40を図4に示される接近位置に移動させる。清掃装置本体40は、接近位置において画像形成装置本体11の位置決め部(図示省略)に突き当たり、転写胴250に対して位置決めされる。
【0048】
また、移動機構50では、カム54が揺動し、カム54の短径部分が筐体42の側壁42B側を向くと、引張バネ52の弾性力によって、清掃装置本体40を図6に示される離間位置に移動させる。
【0049】
(ダクトフレーム60及び着脱ユニット70)
ダクトフレーム60及び着脱ユニット70は、図5に示されるように、清掃装置本体40の筐体42の内部に配置されている。
【0050】
着脱ユニット70は、画像形成装置本体11に設けられた清掃装置本体40に対して前後方向へ抜き差し可能に設けられている。具体的には、着脱ユニット70は、清掃装置本体40から前方側(図5における紙面の手前側)へ引き出されることで、画像形成装置本体11から取り外され、清掃装置本体40に対して前方側から後方側(図5における紙面の奥側)へ挿し込まれることで、清掃装置本体40に装着される。このように、着脱ユニット70は、画像形成装置本体11に対して着脱可能に設けられている。
【0051】
着脱ユニット70は、具体的には、箱状に形成された筐体80と、ブラシ72と、フリッカ74と、搬送オーガ76と、封止材78、79と、を有している。フリッカ74は、接触部材の一例であり、搬送オーガ76は搬送部材の一例である。
【0052】
筐体80は、軸方向に沿って長くされた略直方体形状に形成されている。この筐体80は、転写胴250側(図5における右側)に開口する開口部82を有している。具体的には、筐体80は、一例として、側壁81と、上壁89と、上縁83と、傾斜壁84、86と、底壁85と、下縁87と、を有している。
【0053】
側壁81は、ブラシ72に対する転写胴250とは反対側(図5における左側)に配置されている。側壁81は、前後方向視にて上下方向に延びる板状に形成されている。上壁89は、前後方向視にて、側壁81の上端から転写胴250側(図5における右側)に延びる板状に形成されている。上縁83は、前後方向視にて、上壁89の右端(転写胴250側の端、以下同様)から転写胴250側(図5における右側)に斜め下方へ延びる板状に形成されている。上縁83は、開口部82の上側の縁を構成しており、着脱ユニット70における転写胴250の回転方向上流側に配置された縁である。
【0054】
傾斜壁84は、前後方向視にて、側壁81の下端から転写胴250側(図5における右側)に斜め下方へ延びる板状に形成されている。底壁85は、前後方向視にて、傾斜壁84の下端から転写胴250側(図5における右側)に延びる板状に形成されている。
【0055】
傾斜壁86は、前後方向視にて、底壁85の右端から転写胴250側(図5における右側)に斜め上方へ延びる板状に形成されている。下縁87は、前後方向視にて、傾斜壁86の上端から上方側へ延びる板状に形成されている。下縁87は、開口部82の下側の縁を構成しており、着脱ユニット70における転写胴250の回転方向下流側に配置された縁である。
【0056】
ブラシ72は、軸部72Aと、軸部72Aの外周に設けられたブラシ部72Bと、を有している。ブラシ部72Bは、軸部72Aの全周にわたって配置されており、軸部72Aから径方向外側へ放射状に延びる繊維により構成されている。該繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂繊維が用いられる。また、該繊維の繊維径は、例えば、2d(デニール)以上15d(デニール)以下とされ、繊維密度は、例えば、10000本/inch以上120000本/inch以下とされる。ブラシ部72Bの周方向の一部が転写胴250の外周面に接触する接触部分とされている。
【0057】
具体的には、ブラシ72は、筐体80の内部に収容されており、転写胴250に対するブラシ部72Bの接触部分が開口部82を通じて露出している。そして、ブラシ部72Bの接触部分が、図4に示される接近位置において、転写胴250の外周面に接触する。
【0058】
ブラシ72の軸部72Aは、装置前後方向に延びており、軸方向の両端部が軸受73(図14参照)を介して清掃装置本体40に回転可能に支持されている。ブラシ72は、軸部72Aが駆動部(図示省略)により駆動されて、転写胴250の回転方向に対する順方向へ回転する。すなわち、転写胴250が図4における反時計回り方向へ回転するのに対して、ブラシ72は、図4における時計回り方向へ回転する。転写胴250に対するブラシ72の周速比は、1を超える。すなわち、ブラシ72の周速は、転写胴250の周速よりも速くされている。本実施形態では、転写胴250に対するブラシ72の周速比は、例えば、1を超え2.5以下の範囲で設定されている。なお、ブラシ72の周速は、転写胴250に対して食い込んでいない部分での先端での周速である。
【0059】
ブラシ72では、回転により、ブラシ部72Bの周方向の各部が転写胴250の外周面に対して、接触及び離間を繰り返す。そして、転写胴250の外周面に接触することで弾性変形したブラシ部72Bが、弾性復帰することにより、転写胴250の外周面に付着したトナーを弾くことで、該トナーを該外周面から物理的に除去する。
【0060】
なお、ブラシ72は、上記の物理的な除去に加えて又は替えて、静電力によりトナーを、転写胴250の外周面から除去する構成であってもよい。
【0061】
フリッカ74は、ブラシ72の下方側に配置されており、ブラシ部72Bに接触している。フリッカ74は、断面円形の棒状に形成されている。フリッカ74は、回転しているブラシ72に接触することで、ブラシ72に付着したトナーを落下させる。落下したトナーは、筐体80の内部に収容され、筐体80の内部の底壁85上に堆積していく。
【0062】
本実施形態では、図7に示されるように、ブラシ72のフリッカ74に対する食い込み量をKAとし、ブラシ72の転写胴250に対する食い込み量をKBとした場合において、KA>KBの関係を有している。食い込み量KAは、ブラシ72の径方向において、ブラシ72とフリッカ74とが重なる長さである。食い込み量KBは、ブラシ72の径方向において、ブラシ72と転写胴250とが重なる長さである。本実施形態では、食い込み量KAは、例えば、0.5mm以上3.0mm以下とされ、食い込み量KBは、例えば、0.3mm以上2.8mm以下とされている。なお、ブラシ部72Bの繊維の長さ(すなわち径方向長さ)は、例えば、4mm以上10mm以下とされており、ブラシ72の軸部72Aと転写胴250との間の距離は、1.2mm以上9.7mm以下されている。
【0063】
搬送オーガ76は、図5に示されるように、筐体80の内部の底壁85上に配置されている。搬送オーガ76は、軸部76Aと、軸部76Aの外周に螺旋状に設けられた羽根部76Bと、を有している。
【0064】
搬送オーガ76の軸部76Aは、装置前後方向に延びており、軸方向の両端部が清掃装置本体40に回転可能に支持されている。搬送オーガ76では、軸部76Aの回転により、羽根部76Bが旋回して、筐体80の内部の底壁85上に落下したトナーをブラシ72の軸方向に沿って後方へ搬送し、筐体80の後方側(軸方向の一端側の一例)から排出管76C(図13参照)を通じてトナーを排出する。
【0065】
封止材78、79は、筐体80の内部に収容されたトナーが、筐体80の開口部82を通じて、筐体80の外側へ漏出することを抑制する機能を有している。この封止材78、79は、一例として、撓み変形が可能なフィルム材で構成されている。
【0066】
封止材78は、図5に示されるように、筐体80の上縁83に取り付けられている。具体的には、封止材78は、上縁83から転写胴250側(図5における右側)に斜め下方へ延びており、先端部が転写胴250の外周面に接触している。これにより、封止材78は、筐体80の上縁83と、転写胴250の外周面との隙間を通じて、トナーが漏出することを抑制する。
【0067】
封止材79は、筐体80の下縁87に取り付けられている。具体的には、封止材79は、下縁87から上方側に延びており、先端部がフリッカ74に接触している。これにより、封止材79は、筐体80の下縁87と、フリッカ74との隙間を通じて、トナーが漏出することを抑制する。
【0068】
ダクトフレーム60は、ダクト91、92を構成する構成部としてのフレームである。本実施形態では、ダクト91、92は、ダクトフレーム60と、着脱ユニット70の筐体80と、によって構成される。具体的には、ダクトフレーム60は、一例として、側壁61、65と、上壁62と、傾斜壁63、66と、底壁64と、を有している。なお、ダクト91はダクトの一例であり、ダクト92は他のダクトの一例である。
【0069】
側壁61は、着脱ユニット70の筐体80における側壁81に対する転写胴250とは反対側(図5における左側)に配置されている。側壁61は、前後方向視にて上下方向に延びる板状に形成されている。具体的には、側壁61は、着脱ユニット70の筐体80における上壁89の上方側及び、底壁85の下方側へ延びている。
【0070】
上壁62は、前後方向視にて、側壁61の上端から転写胴250側(図5における右側)に延びる板状に形成されている。傾斜壁63は、前後方向視にて、上壁62の右端から転写胴250側(図5における右側)に斜め下方へ延びる板状に形成されている。
【0071】
底壁64は、前後方向視にて、側壁61の下端から転写胴250側(図5における右側)へ延びる板状に形成されている。側壁65は、前後方向視にて、底壁64の右端から上方へ延びる板状に形成されている。傾斜壁66は、前後方向視にて、側壁65の上端から転写胴250側(図5における右側)に斜め上方へ延びる板状に形成されている。
【0072】
ダクト91は、ブラシ72の上方側であって、筐体80の上壁89の上方側に配置されている。また、ダクト91は、二次転写位置T2の下方側に配置されている。すなわち、ダクト91は、転写ベルト213の下方側に配置されている。ダクト91は、筐体80の上壁89及び上縁83と、ダクトフレーム60の側壁61の上部、上壁62及び傾斜壁63と、で構成されている。
【0073】
ダクト91は、筐体80の上縁83と、ダクトフレーム60の傾斜壁63との間に、吸引口91Aを有している。吸引口91Aは、転写胴250側へ開口している。転写胴250の凹部254が、着脱ユニット70における筐体80の上縁83に対向する回転位置にておいて、吸引口91Aは、凹部254と対向する(図8参照)。なお、図8に示される転写胴250の回転位置において、凹部254は開口部82及びブラシ72に対向している。さらにいえば、吸引口91Aは、転写ベルト213(二次転写位置T2)とブラシ72との間に配置されている。すなわち、吸引口91Aは、転写ベルト213(二次転写位置T2)の下方側であって、ブラシ72の上方側で開口している。また、ダクト91は、図9に示されるように、前後方向へ延びている。なお、ダクト91の前方側には、ダクト91の前方を閉じる前壁67が設けられている。
【0074】
さらにダクト91の内部には、図5に示されるように、仕切板93が設けられている。具体的には、仕切板93は、吸引口91Aと側壁61との間であって、ダクトフレーム60の上壁62と、筐体80の上壁89との間に配置されている。仕切板93は、ダクト91の内部を、吸引口91A側の空間91Xと、側壁61側の空間91Yと、に仕切っている。仕切板93には、図10に示されるように、複数の開口93Aが形成されている。仕切板93の後端部での開口93Aによる開口面積が、仕切板93の前端部での開口93Aによる開口面積よりも小さくされている。具体的には、複数の開口93Aは、前方側から後方側に向かって、段階的に小さくされると共に、配置間隔が大きくなっている。
【0075】
ダクト92は、図5に示されるように、ブラシ72の下方側であって、筐体80の底壁85の下方側に配置されている。ダクト92は、筐体80の傾斜壁84、86、底壁85及び下縁87と、ダクトフレーム60の側壁61の下部、底壁64、側壁65及び傾斜壁66と、で構成されている。ダクト92は、筐体80の下縁87と、ダクトフレーム60の傾斜壁66との間に、吸引口92Aを有している。吸引口92Aは、転写胴250側へ開口している。図8に示されるように、転写胴250における凹部254がブラシ72側(図5における左側)を向く回転位置において、吸引口92Aは、凹部254と対向する。さらにいえば、吸引口92Aは、ブラシ72に対する転写ベルト213(二次転写位置T2)とは反対側に配置されている。すなわち、吸引口92Aは、ブラシ72の下方側で開口している。また、ダクト92は、図9に示されるように、前後方向へ延びている。なお、ダクト92の前方側には、ダクト92の前方を閉じる前壁68が設けられている。
【0076】
さらにダクト92の内部には、図5に示されるように、仕切板94が設けられている。具体的には、仕切板94は、吸引口92Aと底壁64との間であって、ダクトフレーム60の側壁65と、筐体80の底壁85との間に配置されている。仕切板94は、ダクト92の内部を、吸引口92A側の空間92Xと、底壁64側の空間92Yと、に仕切っている。仕切板94は、仕切板93と同様に開口94Aを有している(図10参照)。
【0077】
そして、ダクト91とダクト92とは、図9に示されるように、後方側で連結されており、該連結部分における側壁61側(すなわち、空間91Y及び空間92Y側、図5参照)には、ホース等の可撓性を有する管95の一端部が接続されている。管95の他端部には、管95を流通するトナーを除去するフィルタ96が収容された収容部97が設けられている。フィルタ96は、収容部97から矢印M方向へ引き出し可能とされており、新しいフィルタ96と交換可能な構成とされている。すなわち、フィルタ96は、収容部97に対して着脱可能に設けられている。以上のように、本実施形態では、トナーを吸引するためのダクトが、ダクト91、ダクト92及び管95によって構成されている。
【0078】
さらに、収容部97の下方側には、吸引機の一例としての送風機98が設けられている。送風機98が駆動することで、トナーを含む空気が、吸引口91Aからダクト91内に取り込まれ、吸引口92Aからダクト92内に取り込まれる。ダクト91内に取り込まれた空気は、仕切板93の開口93Aを通過しつつ、後方側へ流通する。ダクト92内に取り込まれた空気は、仕切板94の開口94Aを通過しつつ、後方側へ流通し、ダクト91を流通した空気と合流し、管95及びフィルタ96を通過して排出される。このように、送風機98が、ダクト91、92を通じて吸引口91A、92Aからトナーを含む空気を吸引する。本実施形態では、ダクト91、92の後方側が送風機98による吸引側であるので、仕切板93、94の開口面積が、後端側で小さくされることで、風量の前後方向でのばらつきが抑制される。
【0079】
本実施形態では、前述のように、着脱ユニット70及びダクトフレーム60が、清掃装置本体40に設けられており、着脱ユニット70及びダクトフレーム60は、清掃装置本体40と一体に図4に示される接近位置と、図6に示される離間位置と、に装置幅方向に沿って移動する。したがって、着脱ユニット70の各部(例えばブラシ72及びフリッカ74)及び、ダクトフレーム60で構成されるダクト91、92も、清掃装置本体40と一体に図4に示される接近位置と、図6に示される離間位置と、に装置幅方向に沿って移動する。
【0080】
(清掃装置15の各部の位置関係)
図4に示されるように、二次転写位置T2(接触位置の一例)は、ブラシ72を含む着脱ユニット70に対する上方側であって、転写胴250に対する上方側に配置されている。この二次転写位置T2を基準に、転写胴250の外周面を転写胴250の回転方向の下流側部分と上流側部分とに等分した場合において、ブラシ72は、下流側部分(図4における左半分側の部分)に接触している。さらに、転写胴250に対する二次転写位置T2及びブラシ72の位置を、時計の文字盤に対応させて考えた場合、二次転写位置T2が、転写胴250おける12時の位置だとすると、ブラシ72は、例えば8時~10時の間の位置に配置されている。
【0081】
また、転写胴250の外周面に対するブラシ72の接触位置72Sを基準に、ブラシ72をその回転方向の下流側部分と上流側部分とに等分した場合において、フリッカ74は、下流側部分に接触する。すなわち、フリッカ74は、ブラシ72の下半分側の部分に接触している。さらに、ブラシ72に対する転写胴250との接触位置72S及びフリッカ74の位置を、時計の文字盤に対応させて考えた場合、接触位置72Sが、ブラシ72における3時の位置だとすると、フリッカ74は、例えば4時~6時の間の位置に配置されている。
【0082】
また、二次転写位置T2は、ブラシ72に対する上方側に配置されているのに対して、フリッカ74は、ブラシ72に対する下方側に配置されている。すなわち、フリッカ74は、ブラシ72に対する二次転写位置T2の配置側とは反対側に配置されている。
【0083】
(清掃装置15の各部と転写胴250の凹部254との関係)
転写胴250の凹部254は、図8に示されるように、転写胴250の外周面における周方向の一部に1つ設けられている。この凹部254は、転写胴250の軸方向に沿って長くされると共に、転写胴250の径方向に沿った深さを有している。
【0084】
凹部254の軸方向視における開口幅254L(図8参照)は、ブラシ72と転写胴250の外周面との軸方向視における接触幅SL(図7参照)よりも広い。また、凹部254の深さ254D(図8参照)は、ブラシ72の転写胴250に対する食い込み量KB(図7参照)よりも深い。このため、ブラシ72は、凹部254と対向した状態において、転写胴250と非接触となり、転写胴250に対して食い込んだ状態が解除される。さらに、凹部254の開口幅254Lは、ブラシ72の外径よりも広く、筐体80の開口部82の軸方向視における開口幅80Lよりも広く、ダクトフレーム60の傾斜壁63の先端と傾斜壁66の先端との間の軸方向視における幅60Lよりも広くされている。なお、開口幅254L、接触幅SL、開口幅80L及び幅60Lは、転写胴250の周方向に沿った幅である。
【0085】
(着脱ユニット70の構成及び着脱ユニット70を着脱するための構成)
図11及び図12に示されるように、画像形成装置本体11に設けられたレバー11Aを、図11に示される閉位置から図12に示される開位置へ揺動させ、フロントカバー11Bを前方へ倒して開放することで、筐体80を含む着脱ユニット70が着脱可能となる。具体的には、筐体80を含む着脱ユニット70は、以下のように着脱可能とされている。
【0086】
本実施形態では、レバー11Aの揺動軸は、カム54の揺動軸54Aと一体に構成されている。レバー11Aを開位置へ揺動させることで、カム54が揺動し、カム54の短径部分が筐体42の側壁42B側を向き、引張バネ52の弾性力によって、清掃装置本体40を図6に示される離間位置に移動させる。フロントカバー11Bは、離間位置における着脱ユニット70の前方側に配置されており、フロントカバー11Bを開放することで、着脱ユニット70が着脱可能となる。
【0087】
また、本実施形態では、ダクト91、92を構成するダクトフレーム60を、離間位置に位置する清掃装置本体40に残した状態で、筐体80を含む着脱ユニット70が清掃装置本体40から取り外し可能となっている。具体的には、筐体80を含む着脱ユニット70が清掃装置本体40から取り外された状態において、ダクト91の一部及びダクト92の一部が清掃装置本体40に残る。該ダクト91の一部には、ダクト91の流路を構成する空間91X及び空間91Yと、ダクトフレーム60の側壁61の上部、上壁62及び傾斜壁63と、仕切板93とが、含まれる。また、該ダクト92の一部には、ダクト92の流路を構成する空間92X及び空間92Yと、ダクトフレーム60の側壁61の下部、底壁64、側壁65及び傾斜壁66と、仕切板94とが、含まれる。
【0088】
なお、本実施形態では、筐体80の上壁89及び上縁83がダクト91の一部を構成していたが、これに限られない。例えば、ダクトフレーム60が、上壁89及び上縁83の上面上に、上壁89及び上縁83に沿った壁を有し、該壁によってダクト91の一部を構成してもよい。この場合では、筐体80の上壁89及び上縁83は、ダクト91を構成せず、筐体80を含む着脱ユニット70が清掃装置本体40から取り外された状態において、ダクト91全体が清掃装置本体40に残る。
【0089】
また、本実施形態では、筐体80の傾斜壁84、86、底壁85及び下縁87が、ダクト92の一部を構成していたが、これに限られない。例えば、ダクトフレーム60が、傾斜壁84、86、底壁85及び下縁87の下面下に、傾斜壁84、86、底壁85及び下縁87に沿った壁を有し、該壁によってダクト92の一部を構成してもよい。この場合では、筐体80の傾斜壁84、86、底壁85及び下縁87は、ダクト92を構成せず、筐体80を含む着脱ユニット70が清掃装置本体40から取り外された状態において、ダクト92全体が清掃装置本体40に残る。
【0090】
本実施形態では、着脱ユニット70の前方に、図12及び図13に示されるように、取っ手70Aが設けられており、取っ手70Aを引っ張ることで、着脱ユニット70を画像形成装置本体11から引き出し可能となっている。この取っ手70Aが設けられた箱状の構造体70Eは、筐体80に対して着脱可能とされている(図14参照)。さらに、図13に示されるように、着脱ユニット70の上部には、持ち運び用の取っ手70Bが設けられている。なお、図13では、フリッカ74の図示を省略している。
【0091】
着脱ユニット70は、図13に示されるように、筐体80の開口部82をブラシ72の軸方向両端側で封止するサイド封止材71を有している。サイド封止材71は、筐体80に着脱可能に設けられている。具体的には、サイド封止材71は、図14に示されるように、ネジ77によって筐体80にねじ止めすることで装着され、該ネジ77を外すことで、筐体80から取り外し可能となっている。なお、サイド封止材71は、封止部の一例である。
【0092】
ブラシ72の軸部72Aの両端部を支持する軸受73は、筐体80に着脱可能に設けられている。具体的には、軸受73は、図14に示されるように、ネジ75によって筐体80にねじ止めすることで装着され、該ネジ75を外すことで、サイド封止材71及び構造体70Eの取り外し状態において、筐体80の開口部82側から矢印Z方向へ取り外し可能となっている。
【0093】
なお、サイド封止材71及びブラシ72は、着脱ユニット70が画像形成装置本体11から取り外された状態において、筐体80に対して着脱可能となる。
【0094】
また、搬送オーガ76の軸部76A(図5参照)の前端部には、接続部76Sが設けられている。図14に示されるように、着脱ユニット70が画像形成装置本体11から取り外された状態且つ構造体70Eの取り外し状態において、ハンドル99が軸部76Aの接続部76Sに対して、前方側から接続される。操作者により、ハンドル99に対して、搬送オーガ76を回転させる操作がなされる。これにより、筐体80の後方側の排出管76C(図13参照)に収容袋等を装着して、排出管76Cを通じて該収容袋にトナーを排出する。なお、ハンドル99は、操作部の一例である。
【0095】
(本実施形態の作用)
本実施形態によれば、前述のように、転写胴250における凹部254がブラシ72側(図5における左側)を向く回転位置において、吸引口91A、92Aは、凹部254と対向する(図8参照)。このため、凹部254周辺に浮遊するトナーが吸引され、吸引口91A、92Aが転写胴250に対する反対側にのみ開口する構成に比べ、転写胴250の凹部254へのトナーの付着が抑制される。
【0096】
また、本実施形態では、吸引口91Aは、転写ベルト213(二次転写位置T2)とブラシ72との間に配置されている。このため、ブラシ72周辺に浮遊するトナーが、転写ベルト213側へ向かう途中で吸引されるので、吸引口91Aがブラシ72に対する転写ベルト213(二次転写位置T2)とは反対側に配置された構成に比べ、二次転写位置T2を通過する記録媒体Pの非転写面の汚れが抑制される。
【0097】
また、本実施形態では、清掃装置15は、ブラシ72に対する転写ベルト213(二次転写位置T2)とは反対側に配置された吸引口92Aを有するダクト92を備えている。このため、清掃装置15がダクト91のみを備える構成に比べ、転写胴250の凹部254へのトナーの付着が抑制される。
【0098】
また、本実施形態では、筐体80を含む着脱ユニット70は、離間位置に位置する清掃装置本体40にダクト91、92の一部を残した状態で清掃装置本体40から取り外し可能とされている。一方、着脱ユニット70が清掃装置本体40に取り付けられた状態では、筐体80を含む着脱ユニット70及びダクト91、92が設けられた清掃装置本体40が、図4に示される接近位置において、転写胴250に対して位置決めされる。したがって、着脱ユニット70に設けられたブラシ72と、ダクト91、92の吸引口91A、92Aとが転写胴250に対して一体に位置決めされる。
【0099】
ここで、筐体80を含む着脱ユニット70がダクト91、92全体と一体でのみ清掃装置本体40から取り外し可能である構成(以下、構成Aという)では、ダクト91、92によって着脱ユニット70が上下方向に大型化し、着脱ユニット70の取り扱いが煩雑となる。
【0100】
これに対して、本実施形態では、筐体80を含む着脱ユニット70が、離間位置に位置する清掃装置本体40にダクト91、92の一部を残した状態で清掃装置本体40から取り外し可能であるため、構成Aに比べ、ブラシ72とダクト91、92の吸引口91A、92Aとを転写胴250に対して一体に位置決め可能であり且つ着脱ユニット70の清掃装置本体40からの取り外しが容易となる。
【0101】
また、本実施形態では、二次転写位置T2がブラシ72を含む着脱ユニット70に対する上方側に配置されている。この構成では、転写胴250の回転により、凹部254が着脱ユニット70の筐体80の上縁83を通過した際に、筐体80の開口部82からトナーが漏れた場合でも、該トナーが自重で向かわない側に二次転写位置T2があるので、二次転写位置T2が着脱ユニット70に対する下方側に配置されている構成に比べ、二次転写位置T2を通過する記録媒体Pの非転写面の汚れが抑制される。
【0102】
また、本実施形態では、フィルタ96は、収容部97に対して着脱可能に設けられている。このため、フィルタ96単体で交換可能となるので、フィルタ96が、収容部97に対して着脱不能である構成に比べ、部品の交換コストが低減される。
【0103】
(変形例)
本実施形態では、転写部の一例として、中間転写体としての転写ベルト213を用いたが、これに限られない。転写部の一例としては、感光体などであってもよく、直接転写型の転写部を用いてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、ブラシ72が転写胴250の回転方向に対する順方向へ回転していたが、これに限られない。例えば、ブラシ72が転写胴250の回転方向に対する逆方向へ回転する構成であってもよい。また、ブラシ72が回転しない構成であってもよい。この場合では、例えば、フリッカ74は不要となる。
【0105】
また、本実施形態では、転写胴250に対するブラシ72の周速比が、1を超えていたがこれに限られない。転写胴250に対するブラシ72の周速比が、1以下である構成であってもよい。
【0106】
また、本実施形態では、図4に示されるように、二次転写位置T2を基準に、転写胴250の外周面を転写胴250の回転方向の下流側部分と上流側部分とに等分した場合において、ブラシ72が、下流側部分(図4における左半分側の部分)に接触していたが、これに限られない。例えば、ブラシ72が上流側部分に接触する構成であってもよい。
【0107】
また、本実施形態では、フリッカ74を有していたが、フリッカ74を有さない構成であってもよい。
【0108】
また、本実施形態では、図7に示されるように、ブラシ72のフリッカ74に対する食い込み量をKAとし、ブラシ72の転写胴250に対する食い込み量をKBとした場合において、KA>KBの関係を有していたが、これに限られない。例えば、KA≦KBの関係を有する構成であってもよい。
【0109】
また、本実施形態では、転写胴250の外周面に対するブラシ72の接触位置を基準に、ブラシ72をその回転方向の下流側部分と上流側部分とに等分した場合において、フリッカ74が、下流側部分に接触していたが、これに限られない。例えば、フリッカ74が上流側部分に接触する構成であってもよい。
【0110】
また、本実施形態では、二次転写位置T2は、ブラシ72に対する上方側に配置されているのに対して、フリッカ74は、ブラシ72に対する下方側に配置されていたが、これに限られない。例えば、フリッカ74が、ブラシ72に対する上方側に配置されている構成であってもよい。
【0111】
また、本実施形態では、ブラシ72は、画像形成装置本体11から取り外された状態の着脱ユニット70の筐体80に対して着脱可能に筐体80に設けられていたが、これに限られない。例えば、ブラシ72が筐体80に対して着脱不能であり、着脱ユニット70全体を交換単位とする構成であってもよい。
【0112】
また、本実施形態では、筐体80の開口部82をブラシ72の軸方向両端側で封止するサイド封止材71が、筐体80に着脱可能に設けられていたが、これに限られない。例えば、サイド封止材71が、筐体80に対して着脱不能であり、着脱ユニット70全体を交換単位とする構成であってもよい。
【0113】
また、本実施形態では、着脱ユニット70が画像形成装置本体11から取り外された状態において、搬送オーガ76の接続部76Sに接続されたハンドル99に対して、操作者により回転操作がなされることで、筐体80内部に落下したトナーが排出される構成とされていたが、これに限られない。例えば、画像形成装置本体11に着脱ユニット70が取り付けられた状態において筐体80内部に落下したトナーを筐体80から排出する構成であってもよい。
【0114】
また、本実施形態では、清掃装置15は、ダクト91、92を備える構成であったがこれに限られない。例えば、清掃装置15がダクト91又はダクト92の一方のみを備える構成であってもよい。
【0115】
また、本実施形態では、筐体80を含む着脱ユニット70は、離間位置に位置する清掃装置本体40にダクト91、92の一部を残した状態で清掃装置本体40から取り外し可能とされていたが、これに限られない。例えば、筐体80を含む着脱ユニット70が、ダクト91、92全体と一体に清掃装置本体40から取り外し可能とされた構成であってもよい。
【0116】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 画像形成装置
11 画像形成装置本体
40 清掃装置本体(移動体の一例)
50 移動機構
72 ブラシ
80 筐体
91 ダクト
91A、92A吸引口
92 ダクト(他のダクトの一例)
96 フィルタ
98 送風機(吸引機の一例)
213 転写ベルト(転写部の一例)
250 転写胴(回転体の一例)
254 凹部
P 記録媒体
図1
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