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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/38 20060101AFI20241106BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L23/38
H01S5/024
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020176428
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067705
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山田 麻子
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】古川 将人
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-258968(JP,A)
【文献】特開2007-115812(JP,A)
【文献】特開2001-085781(JP,A)
【文献】特開2004-312986(JP,A)
【文献】特開2019-215441(JP,A)
【文献】特開2019-211597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、
前記支持板上に配置される電子冷却モジュールと、
光を形成するように構成され、前記電子冷却モジュール上に配置される光形成部と、を備え、
前記電子冷却モジュールは、
一枚の放熱板と、
一枚の板状であって、第1領域と、厚さ方向に見て前記第1領域と離れて配置される第2領域とを含み、前記放熱板と厚さ方向に離れて配置される吸熱板と、
前記放熱板と前記吸熱板との間であって、前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第1領域と重なる領域に配置され、前記放熱板および前記吸熱板に接続される複数の第1半導体柱と、
前記放熱板と前記吸熱板との間であって、前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第2領域と重なる領域に配置され、前記放熱板および前記吸熱板に接続される複数の第2半導体柱と、
前記複数の第1半導体柱を電気的に接続して構成される第1の電気回路と、
前記複数の第2半導体柱を電気的に接続して構成される第2の電気回路と、を含み、
前記光形成部は、前記吸熱板上であって前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第1領域内に配置され、光を出射する半導体発光素子を含み、
前記吸熱板上であって前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第2領域内に配置され、前記半導体発光素子から出射される光を走査するミラー駆動機構と
前記ミラー駆動機構を支持するステージと、をさらに備え
前記ステージは、前記吸熱板上に直接取り付けられ、
前記ミラー駆動機構は、前記ステージ上に直接取り付けられる、光モジュール。
【請求項2】
前記第1領域の温度を検知する第1温度検知部と、
前記第2領域の温度を検知する第2温度検知部と、をさらに備える、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第1領域と前記第2領域との間に配置され、前記吸熱板の肉厚を減ずる溝部を有する、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1領域と前記第2領域との間隔は、前記複数の第1半導体柱同士の間隔および前記複数の第2半導体柱同士の間隔よりも広い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記吸熱板の厚さ方向に見て前記第1領域と前記第2領域との間に配置され、前記第1の電気回路および前記第2の電気回路のいずれにも電気的に接続されておらず、前記放熱板および前記吸熱板を接続する第3半導体柱をさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
第1熱電冷却モジュールと、第2熱電冷却モジュールと、を含み、ペルチェ効果を利用して熱交換を行う温度調節装置を備えるレーザモジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、板状の下基板と、複数の板状の上基板と、を有し、ペルチェ素子によりレーザ素子の温度調節を行う温度調節器を備える光モジュールが知られている(たとえば、特許文献2参照)。また、一対の絶縁基板に形成される各電極の大きさについて、熱電素子の端面を1個だけ接合できる大きさに設定したサーモモジュールが知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-134776号公報
【文献】特開2019-140306号公報
【文献】特開2007-266084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子冷却モジュールは、放熱板と、吸熱板と、放熱板と吸熱板との間に配置される複数の半導体柱と、を含む。半導体柱はペルチェ素子から構成されており、p型の半導体柱とn型の半導体柱とがそれぞれ交互に隣り合って配置される。隣り合う半導体柱の端部同士を交互に電気的に直列に接続して、電気回路が構成される。電子冷却モジュールにおいては、吸熱板上に温度を検知する部材が載置される。そして、電気回路に電流を流すと、たとえば吸熱板側が冷却され、放熱板側が発熱する。このようにしてペルチェ効果を利用して、たとえば吸熱板上に載置された部材を冷却して、温度を調節する。
【0005】
電子冷却モジュールにより温度を調節する部材として、たとえば発熱する領域の配置に偏りがある場合がある。このような場合において、電子冷却モジュールにより吸熱板上に配置される部材を一様に冷却すると、温度分布が生じてしまう。このような温度分布が生じることが望まれない場合に、対応することが困難となる。
【0006】
特許文献1においては、第1熱電冷却モジュールと第2熱電冷却モジュールとを用いることとしている。しかし、電子冷却モジュールがそれぞれ別個の部品となっているため、製造時において2つの部品を組み付ける必要があり、作業性が劣ってしまう。特許文献2に開示の温度調節器については、吸熱板となる上基板を分割することとしている。しかし、放熱板となる下基板は共通するものの、吸熱板となる上基板は複数設けられているため、たとえば放熱板の温度変化により反りが生じ、2つの上基板上に配置された部材の相対的な位置がずれるおそれがある。よって、厳密な部品の配置が求められる場合に対応することが困難となる。また、特許文献3によると、形状上の制約があり、電子部品の搭載において利便性を損なうおそれがある。上記のようなペルチェ効果を利用した電子冷却モジュールにおいて、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることが望まれる。
【0007】
そこで、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることができる電子冷却モジュールを提供することを本開示の目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従った電子冷却モジュールは、一枚の放熱板と、一枚の板状であって、第1領域と、厚さ方向に見て第1領域と離れて配置される第2領域とを含み、放熱板と厚さ方向に離れて配置される吸熱板と、放熱板と吸熱板との間であって、吸熱板の厚さ方向に見て第1領域と重なる領域に配置され、放熱板および吸熱板に接続される複数の第1半導体柱と、放熱板と吸熱板との間であって、吸熱板の厚さ方向に見て第2領域と重なる領域に配置され、放熱板および吸熱板に接続される複数の第2半導体柱と、複数の第1半導体柱を電気的に接続して構成される第1の電気回路と、複数の第2半導体柱を電気的に接続して構成される第2の電気回路と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
上記電子冷却モジュールによれば、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1における電子冷却モジュールの概略側面図である。
図2図2は、図1に示す実施の形態1の電子冷却モジュールの概略平面図である。
図3図3は、実施の形態1の電子冷却モジュールの一部を模式的に示す概略斜視図である。
図4図4は、実施の形態1における電子冷却モジュールを含む光モジュールの構造を示す外観斜視図である。
図5図5は、図4に示す光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
図6図6は、実施の形態1における電子冷却モジュールを含む光モジュールの概略断面図である。
図7図7は、実施の形態1における電子冷却モジュールを含む光モジュールの概略断面図である。
図8図8は、実施の形態3における電子冷却モジュールの概略側面図である。
図9図9は、実施の形態4における電子冷却モジュールの概略側面図である。
図10図10は、実施の形態5における電子冷却モジュールの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る電子冷却モジュールは、一枚の放熱板と、一枚の板状であって、第1領域と、厚さ方向に見て第1領域と離れて配置される第2領域とを含み、放熱板と厚さ方向に離れて配置される吸熱板と、放熱板と吸熱板との間であって、吸熱板の厚さ方向に見て第1領域と重なる領域に配置され、放熱板および吸熱板に接続される複数の第1半導体柱と、放熱板と吸熱板との間であって、吸熱板の厚さ方向に見て第2領域と重なる領域に配置され、放熱板および吸熱板に接続される複数の第2半導体柱と、複数の第1半導体柱を電気的に接続して構成される第1の電気回路と、複数の第2半導体柱を電気的に接続して構成される第2の電気回路と、を含む。
【0012】
本開示の電子冷却モジュールにおいて、吸熱板は、第1領域と、第1領域と離れて配置される第2領域と、を含む。第1領域において、複数の第1半導体柱を電気的に接続して構成される第1の電気回路に流れる電流量を制御して、第1領域の温度を調節することができる。また、第2領域において、複数の第2半導体柱を電気的に接続して構成される第2の電気回路に流れる電流量を制御して、第2領域の温度を調節することができる。すなわち、吸熱板の第1領域および第2領域において、それぞれ別個に温度を調節することができる。また、吸熱板は一枚の板状の部材から構成されているため、放熱板が温度変化に基づく熱膨張や熱収縮により反った場合でも、この放熱板の反りによる吸熱板上の部材の相対的な位置のずれを抑制することができる。また、複数の電子冷却モジュールを準備して取り付け等を行う必要がなく、作業性の向上を図ることができる。したがって、このような電子冷却モジュールによると、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることができる。
【0013】
上記電子冷却モジュールにおいて、第1領域の温度を検知する第1温度検知部と、第2領域の温度を検知する第2温度検知部と、をさらに備えてもよい。このようにすることにより、第1温度検知部により検知された第1領域の温度および第2温度検知部により検知された第2領域の温度に基づいて、それぞれの領域の温度を調節することができる。したがって、第1領域と第2領域のそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0014】
上記電子冷却モジュールにおいて、吸熱板の厚さ方向に見て第1領域と第2領域との間に配置され、吸熱板の肉厚を減ずる溝部を有してもよい。このようにすることにより、第1領域と第2領域との間において、吸熱板を通じた伝熱を抑制することができる。したがって、第1領域と第2領域のそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0015】
上記電子冷却モジュールにおいて、吸熱板の厚さ方向に見て、第1領域と第2領域との間隔は、複数の第1半導体柱同士の間隔および複数の第2半導体柱同士の間隔よりも広くてもよい。このようにすることにより、第1領域と第2領域とを物理的に広く間隔をあけて配置することができる。したがって、第1領域と第2領域のそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0016】
上記電子冷却モジュールにおいて、吸熱板の厚さ方向に見て第1領域と第2領域との間に配置され、第1の電気回路および第2の電気回路のいずれにも電気的に接続されておらず、放熱板および吸熱板を接続する第3半導体柱をさらに含んでもよい。このようにすることにより、第3半導体柱が配置された領域の分だけ第1領域と第2領域とを離隔することができ、第1領域と第2領域との間の伝熱を抑制することができる。したがって、第1領域と第2領域のそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0017】
本開示に係る光モジュールは、支持板と、支持板上に配置される上記電子冷却モジュールと、光を形成するように構成され、電子冷却モジュール上に配置される光形成部と、を備える。光形成部は、吸熱板の厚さ方向に見て、第1領域内に配置され、光を出射する半導体発光素子を含む。
【0018】
光を出射する半導体発光素子を有する光形成部は、光モジュールに含まれる電子冷却モジュールにより、周囲の環境の温度が変化する場合でも光形成部の温度を調節してある一定の範囲内とし、出射する光の出力を安定させることができる。光形成部において、光の出射時において半導体発光素子が発熱するため、半導体発光素子が配置される領域については発熱による影響が大きく、比較的温度が高くなる。よって、冷却による吸熱を積極的に行う必要がある。一方、半導体発光素子が配置されない領域においては、発熱による影響が小さく、比較的温度が低いままである。よって、冷却による吸熱は積極的に行う必要はない。すなわち、このような光モジュールは、光モジュールの動作時、すなわち、光の出射時において温度分布が生ずる部材である。
【0019】
ここで、本開示の光モジュールによると、半導体発光素子が配置される領域を第1領域内に配置することにより、第1領域における第1の電気回路による制御を行うことができる。よって、第1領域と、半導体発光素子が配置されない第2領域とにおいて、それぞれ別個に温度の調節を行うことができる。したがって、このような光モジュールによると、光モジュールを構成する半導体発光素子以外の部材について、温度による影響を低減することができ、適切に温度を調節することができる。
【0020】
上記光モジュールにおいて、吸熱板の厚さ方向に見て第2領域内に配置され、半導体発光素子から出射される光を走査するミラー駆動機構を、さらに備えてもよい。ミラー駆動機構は、半導体発光素子から出射された光を反射するミラーを周期的に揺動させることにより、半導体発光素子から出射された光を走査する。光モジュールがミラー駆動機構を含むことにより、半導体発光素子から出射された光を走査して、光モジュール外へ出射することができる。そうすると、光モジュールにより、半導体発光素子から出射された光を用いて描画することができる。ここで、ミラーの揺動運動については、温度依存性が高く、ミラー駆動機構の温度がある一定の温度範囲内でなければ、ミラーの振れ角が大きく変化してしまう。そうすると、半導体発光素子から出射された光を適切に走査することができない。また、温度が変化する環境において、半導体発光素子に対するミラー駆動機構の相対的な位置がずれてしまうと、光モジュールが動作していない状態で調整した光軸のずれ量が大きくなってしまう。すなわち、温度が変化する環境においても、半導体発光素子に対するミラー駆動機構の厳密な配置が要求される。
【0021】
しかし、ミラー駆動機構を第2領域内に配置することにより、第2領域において、ミラー駆動機構の温度の調節を第2の電気回路により行うことができる。よって、第1領域に配置され、動作時に発熱する半導体発光素子と別にミラー駆動機構の温度を調節することができる。したがって、半導体発光素子およびミラー駆動機構のそれぞれについて、適切に温度を調節することができる。その結果、ミラーの振れ角の変化を小さくすることができる。また、吸熱板は一枚の板状の部材から構成されているため、放熱板が温度変化に基づく熱膨張や熱収縮により反った場合でも、この放熱板の反りによる吸熱板上の部材の相対的な位置のずれを抑制することができる。よって、温度が変化する環境においても、揺動するミラーに対して調整された、半導体発光素子から出射された光の光軸のずれを抑制することができる。その結果、光モジュールによる描画を適切に行うことができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の光モジュールの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0023】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における電子冷却モジュールについて説明する。図1は、実施の形態1における電子冷却モジュールの概略側面図である。図2は、図1に示す実施の形態1の電子冷却モジュールの概略平面図である。図3は、実施の形態1の電子冷却モジュールの一部を模式的に示す概略斜視図である。なお、図2において、後述するサーミスタ101A,101Bの図示を省略し、後述する放熱板31Aおよび吸熱板32Aを破線で図示している。また、図3において、吸熱板32Aを破線で図示している。
【0024】
図1図2および図3を参照して、実施の形態1における電子冷却モジュール30Aは、放熱板31Aと、吸熱板32Aと、を備える。電子冷却モジュール30Aは、TEC(Thermo-Electric Cooler)と呼ばれる場合もある。放熱板31Aおよび吸熱板32Aは、それぞれ一枚の平板状である。放熱板31Aおよび吸熱板32Aは、厚さ方向に見てそれぞれ矩形状、具体的には長方形の形状を有しており、同じ形状である。また、厚さも同じである。図1図2および図3において、矢印Xで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの長手方向を示し、矢印Yで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの短手方向を示し、矢印Zで示す向きまたはその逆の向きで示す方向は、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの厚さ方向を示す。
【0025】
吸熱板32Aは、放熱板31Aと厚さ方向に離れて配置される。なお、放熱板31Aおよび吸熱板32Aの材質としては、たとえばアルミナが選択される。放熱板31Aは、厚さ方向において吸熱板32Aと対向する一方の主面11Aと、一方の主面11Aと厚さ方向の反対側に位置する他方の主面11Bと、を含む。吸熱板32Aは、一方の主面12Aと、一方の主面12Aと厚さ方向の反対側に位置し、放熱板31Aと対向する他方の主面12Bと、を含む。
【0026】
吸熱板32Aは、二点鎖線で囲まれた領域で示す第1領域34Aと、一点鎖線で囲まれた領域で示す第2領域34Bと、を含む。第1領域34Aと第2領域34Bとは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て離れて配置される。本実施形態においては、第1領域34Aと第2領域34Bとは、X方向に離れて配置される。第1領域34Aおよび第2領域34Bはそれぞれ、吸熱板32Aの厚さ方向に見てY方向の長さがX方向の長さよりも長い矩形状である。
【0027】
電子冷却モジュール30Aは、複数の第1半導体柱33Aと、複数の第2半導体柱33Bと、を含む。複数の第1半導体柱33Aおよび複数の第2半導体柱33Bはそれぞれ、ペルチェ素子から構成されており、p型のものとn型のものを含む。第1半導体柱33Aおよび第2半導体柱33Bは、たとえばBiTe系の材料を用いて製造される。第1半導体柱33Aおよび第2半導体柱33Bはそれぞれ、放熱板31Aと吸熱板32Aとの間に間隔をあけて配置される。複数の第1半導体柱33Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て(X-Y平面において)第1領域34Aと重なる領域に配置される。複数の第2半導体柱33Bは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て(X-Y平面において)第2領域34Bと重なる領域に配置される。複数のp型の第1半導体柱33Aと複数のn型の第1半導体柱33Aとが、それぞれ交互に間隔をあけて配置される。同様に、複数のp型の第2半導体柱33Bと複数のn型の第2半導体柱33Bとが、それぞれ交互に間隔をあけて配置される。
【0028】
第1半導体柱33Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極35Aを挟んで放熱板31Aに接続される。第1半導体柱33Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極36Aを挟んで吸熱板32Aに接続される。図2において電極35Aは実線で示され、電極36Aは破線で示される。p型の第1半導体柱33Aの端部は、一方側に隣り合うn型の第1半導体柱33Aの端部と薄板状の電極35Aにより接続される。また、p型の第1半導体柱33Aの上記端部と異なる端部は、上記一方側とは異なる側に隣り合うn型の第1半導体柱33Aと薄板状の電極36Aにより接続される。このようにして、全ての第1半導体柱33Aが直列に接続される。直列に接続された第1半導体柱33Aに、電源39Aおよび回路の電気的な制御を行う制御部38Aが電気的に接続され、電子冷却モジュール30Aに含まれる第1の電気回路37Aが構成される。すなわち、第1の電気回路37Aは、複数の第1半導体柱33Aを電気的に接続して構成される。
【0029】
第2半導体柱33Bは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極35Bを挟んで放熱板31Aに接続される。第2半導体柱33Bは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て矩形状であって薄板状の電極36Bを挟んで吸熱板32Aに接続される。図2において電極35Bは実線で示され、電極36Bは破線で示される。p型の第2半導体柱33Bの端部は、一方側に隣り合うn型の第2半導体柱33Bの端部と薄板状の電極35Bにより接続される。また、p型の第2半導体柱33Bの上記端部と異なる端部は、上記一方側とは異なる側に隣り合うn型の第2半導体柱33Bと薄板状の電極36Bにより接続される。このようにして、全ての第2半導体柱33Bが直列に接続される。直列に接続された第2半導体柱33Bに、電源39Bおよび回路の電気的な制御を行う制御部38Bが電気的に接続され、電子冷却モジュール30Aに含まれる第2の電気回路37Bが構成される。すなわち、第2の電気回路37Bは、複数の第2半導体柱33Bを電気的に接続して構成される。
【0030】
電子冷却モジュール30Aは、第1領域34Aの温度を検知する第1温度検知部としてのサーミスタ101Aと、第2領域34Bの温度を検知する第2温度検知部としてのサーミスタ101Bと、を備える。サーミスタ101Aは、吸熱板32Aの第1領域34A内における一方の主面12A上に取り付けられる。サーミスタ101Aにより、第1領域34Aにおける吸熱板32Aの温度を検知することができる。サーミスタ101Bは、吸熱板32Aの第2領域34B内における一方の主面12A上に取り付けられる。サーミスタ101Bにより、第2領域34Bにおける吸熱板32Aの温度を検知することができる。
【0031】
このような電子冷却モジュール30Aにおいて、温度分布が生ずる部材について、第1領域34Aと第2領域34Bとの間に温度分布が生じるよう吸熱板32A上に配置した場合を考える。吸熱板32Aは、第1領域34Aと、第1領域34Aと離れて配置される第2領域34Bと、を含む。第1領域34Aにおいて、複数の第1半導体柱33Aを電気的に接続して構成される第1の電気回路37Aに流れる電流量を制御して、第1領域34Aの温度を調節することができる。また、第2領域34Bにおいて、複数の第2半導体柱33Bを電気的に接続して構成される第2の電気回路37Bに流れる電流量を制御して、第2領域34Bの温度を調節することができる。すなわち、吸熱板32Aの第1領域34Aおよび第2領域34Bにおいて、それぞれ別個に温度を調節することができる。具体的にはたとえば、吸熱板32Aの第1領域34Aの方が吸熱板32Aの第2領域34Bよりも温度が高くなるような温度分布で部材が配置された場合、第1の電気回路37Aに流す電流を大きくし、第2の電気回路37Bに流す電流を小さくして、第1領域34Aを第2領域34Bと比較して積極的に冷却することができる。なお、図3において、流れる電流の大きさを矢印の大きさで模式的に図示している。また、吸熱板32Aは一枚の板状の部材から構成されているため、放熱板31Aが温度変化に基づく熱膨張や熱収縮により反った場合でも、この放熱板31Aの反りによる吸熱板32A上の部材の相対的な位置のずれを抑制することができる。また、複数の電子冷却モジュールを準備して取り付け等を行う必要がなく、作業性の向上を図ることができる。したがって、このような電子冷却モジュール30Aによると、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることができる。
【0032】
本実施形態においては、第1領域34Aの温度を検知する第1温度検知部としてのサーミスタ101Aと、第2領域34Bの温度を検知する第2温度検知部としてのサーミスタ101Bを含む。よって、サーミスタ101Aにより検知された第1領域34Aの温度およびサーミスタ101Bにより検知された第2領域34Bの温度に基づいて、それぞれの領域の温度を調節することができる。したがって、第1領域34Aと第2領域34Bのそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0033】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2として、実施の形態1における電子冷却モジュール30Aを含む光モジュールについて説明する。図4は、実施の形態1における電子冷却モジュールを含む光モジュールの構造を示す外観斜視図である。図5は、図4に示す光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。図6および図7は、実施の形態1における電子冷却モジュールを含む光モジュールの概略断面図である。図6は、図4に示す光モジュールを、キャップを含み、光形成部を含まないX-Y平面で切断し、支持板の厚さ方向に見た図である。図7は、図4に示す光モジュールを、キャップを含み、光形成部を含まないX-Z平面で切断し、支持板の厚さ方向に垂直な方向、具体的にはY方向に見た図である。
【0034】
図4図7を併せて参照して、光モジュール1は、上記した実施の形態1の電子冷却モジュール30Aと、光を形成するように構成され、電子冷却モジュール30A上に配置される光形成部20と、光形成部20を取り囲み、光形成部20を封止する保護部材2とを備える。保護部材2は、ベース体としての平板状の支持板10と、支持板10に対して溶接された蓋部であるキャップ40と、を含む。電子冷却モジュール30Aは、放熱板31Aの他方の主面11Bが支持板10の一方の主面10Aに接触するように、支持板10の一方の主面10A上に配置される。光形成部20は、支持板10上に搭載される。具体的には、光形成部20は、支持板10の一方の主面10A上に配置された電子冷却モジュール30A上に配置される。キャップ40は、光形成部20を覆うように支持板10の一方の主面10A上に接触して配置される。光形成部20は、保護部材2により、ハーメチックシールされている。光形成部20が支持板10とキャップ40とによって取り囲まれることにより、光形成部20に含まれる各部材が外部環境から有効に保護される。支持板10の他方の主面10B側から一方の主面10A側まで貫通し、一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出するように、複数のリードピン51が支持板10に設置されている。
【0035】
光形成部20は、矢印Lで示す方向に赤色の光を出射する半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81と、矢印Lで示す方向に緑色の光を出射する半導体発光素子としての緑色レーザダイオード82と、矢印Lで示す方向に青色の光を出射する半導体発光素子としての青色レーザダイオード83と、第1レンズ91と、第2レンズ92と、第3レンズ93と、第1フィルタ97と、第2フィルタ98と、第3フィルタ99と、板状のレーザダイオードベース60と、直方体形状のブロック部61と、を含む。赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光は合波されて、窓42から光モジュール1の外部へ出射される。
【0036】
レーザダイオードベース60は、厚さ方向に見て長方形形状(正方形形状)を有する一方の主面60Aおよび他方の主面60Bを有している。レーザダイオードベース60の他方の主面60Bが吸熱板32Aの一方の主面12Aに接触するように、レーザダイオードベース60は、吸熱板32Aの一方の主面12A上に配置される。レーザダイオードベース60は、第1領域34A内に配置される。ブロック部61は、レーザダイオードベース60の一方の主面60Aの一部上に搭載されている。
【0037】
ブロック部61の一方の主面61A上には、平板状の第1サブマウント71、第2サブマウント72および第3サブマウント73が、並べて配置されている。第1サブマウント71上に、赤色レーザダイオード81が配置されている。第2サブマウント72上に、緑色レーザダイオード82が配置されている。第3サブマウント73上に、青色レーザダイオード83が配置されている。なお、ブロック部61の一方の主面61A上において、ブロック部61の温度を検出するサーミスタ101Aが配置されている。ここで、光形成部20は、吸熱板32Aの厚さ方向に見て、第1領域34A内に配置され、光を出射する半導体発光素子としての赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83を含む。
【0038】
レーザダイオードベース60の一方の主面60A上には、光のスポットサイズを変換する第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93が配置されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光のスポットサイズを変換する。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93により、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光がコリメート光に変換される。
【0039】
レーザダイオードベース60の一方の主面60A上には、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99が配置される。第1フィルタ97は、赤色の光を反射する。第2フィルタ98は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第3フィルタ99は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光を合波する。合波された光は、矢印Lで示す方向に沿って進行する。
【0040】
また、光モジュール1は、光形成部20により形成された光のビーム整形部としてのアパーチャ部材55を含む。アパーチャ部材55は、平板状の形状を有する。アパーチャ部材55は、アパーチャ部材55を厚み方向に貫通する貫通孔55Aを有する。本実施の形態において、貫通孔55Aの延びる方向に垂直な断面における形状は円形である。アパーチャ部材55は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光の進行方向に垂直な断面における赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光の形状を整形する。アパーチャ部材55は、吸熱板32Aの一方の主面12Aに配置される。具体的には、アパーチャ部材55は、吸熱板32Aの厚さ方向に見て第2領域34B内に配置される。アパーチャ部材55は、第3フィルタ99から見て第2フィルタ98とは反対側に配置される。貫通孔55Aが、第1フィルタ97、第2フィルタ98および第3フィルタ99において合波された光の光路に対応する領域に位置するように、アパーチャ部材55は配置される。アパーチャ部材55、後述するステージ65Aおよびミラー駆動機構110についても、保護部材2により、光形成部20等と共にハーメチックシールされている。
【0041】
また、光モジュール1は、光形成部20から出射される光、具体的には、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射され、合波された光を走査するミラー駆動機構110と、ステージ65Aと、を含む。ミラー駆動機構110は、揺動運動が可能なミラー111を含む。ミラー駆動機構110は、高速で揺動運動させたミラー111により光形成部20から出射される光を反射させて走査する。走査された光の一部を図7中の矢印Lで示す。ステージ65Aは、直三角柱の形状を有する。ステージ65Aは、ミラー駆動機構110を支持する。ミラー駆動機構110を支持するステージ65Aは、吸熱板32A上に配置される。ステージ65Aについても、アパーチャ部材55と同様に、吸熱板32Aの一方の主面12Aに配置される。具体的には、ステージ65Aは、吸熱板32Aの厚さ方向に見て第2領域34B内に配置される。すなわち、光モジュール1は、吸熱板32Aの厚さ方向に見て第2領域34B内に配置され、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光を走査するミラー駆動機構110を含む。ステージ65Aおよびミラー駆動機構110は、アパーチャ部材55から見て後述する第3フィルタ99とは反対側に配置される。
【0042】
本開示の光モジュール1によると、半導体発光素子である赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83が配置される領域を第1領域34A内に配置することにより、第1領域34Aにおける第1の電気回路37Aによる制御を行うことができる。よって、第1領域34Aと、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83が配置されない第2領域34Bとにおいて、それぞれ別個に温度の調節を行うことができる。したがって、このような光モジュール1によると、光モジュール1を構成する赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83以外の部材について、温度による影響を低減することができ、適切に温度を調節することができる。
【0043】
ここで、ミラー111の揺動運動については、温度依存性が高く、ミラー駆動機構110の温度がある一定の温度範囲内でなければ、ミラー111の振れ角が大きく変化してしまう。そうすると、光形成部20から出射された光を適切に走査することができない。また、温度が変化する環境において、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83に対するミラー駆動機構110の相対的な位置がずれてしまうと、光モジュール1が動作していない状態で調整した光軸のずれ量が大きくなってしまう。すなわち、温度が変化する環境においても、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83に対するミラー駆動機構110の厳密な配置が要求される。上記光モジュール1において、ミラー駆動機構110を第2領域34B内に配置することにより、第2領域34Bにおいて、ミラー駆動機構110の温度の調節を第2の電気回路37Bにより行うことができる。よって、第1領域34Aに配置され、動作時に発熱する赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83と別にミラー駆動機構110の温度を調節することができる。したがって、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83とミラー駆動機構110とのそれぞれについて、適切に温度を調節することができる。その結果、ミラー111の振れ角の変化を小さくすることができる。また、吸熱板32Aは一枚の板状の部材から構成されているため、放熱板31Aが温度変化に基づく熱膨張や熱収縮により反った場合でも、この放熱板31Aの反りによる吸熱板32A上の部材の相対的な位置のずれを抑制することができる。よって、温度が変化する環境においても、揺動するミラー111に対して調整された、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光の光軸のずれを抑制することができる。その結果、光モジュール1による描画を適切に行うことができる。
【0044】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図8は、実施の形態3における電子冷却モジュールの概略側面図である。実施の形態3の電子冷却モジュールは、吸熱板の形状が実施の形態1の場合と異なっている。
【0045】
図8を参照して、実施の形態3の電子冷却モジュール30Bは、放熱板31Bと、吸熱板32Bと、を含む。電子冷却モジュール30Bは、吸熱板32Bの厚さ方向に見て第1領域34Aと第2領域34Bとの間に配置され、吸熱板32Bの肉厚を減ずる溝部13を有する。溝部13は、一方の主面12A側に形成されている。溝部13は、Y方向に延びるように形成されている。このようにすることにより、第1領域34Aと第2領域34Bとの間において、吸熱板32Bを通じた伝熱を抑制することができる。したがって、第1領域34Aと第2領域34Bのそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0046】
なお、上記の実施の形態において、溝部13は、他方の主面12B側に形成されていてもよい。また、溝部13が、Y方向に連なっておらず、一部に形成されていてもよい。さらに、断続的に複数の溝部13が形成されている構成を採用してもよい。溝部13は、断面が円弧面等の曲面で構成されていてもよい。
【0047】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図9は、実施の形態4における電子冷却モジュールの概略側面図である。実施の形態4の電子冷却モジュールは、半導体柱の配置の構成が実施の形態1の場合と異なっている。
【0048】
図9を参照して、実施の形態4の電子冷却モジュール30Cは、放熱板31Cと、吸熱板32Cと、を含む。吸熱板32Cの厚さ方向に見て、第1領域34Aと第2領域34Bとの間隔は、複数の第1半導体柱33A同士の間隔および複数の第2半導体柱33B同士の間隔よりも広い。この場合、放熱板31Cおよび吸熱板32Cの面積を大きくして、具体的には、X方向の長さを実施の形態1の場合よりも長くして、第1領域34Aと第2領域34Bとの間隔をあけている。このようにすることにより、第1領域34Aと第2領域34Bとを物理的に広く間隔をあけて配置することができる。したがって、第1領域34Aと第2領域34Bのそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。なお、上記の実施の形態において、第1領域34Aと第2領域34Bとの間の領域において、吸熱板32Aの厚さ方向に貫通する切り欠きを設けるようにしてもよい。
【0049】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図10は、実施の形態5における電子冷却モジュールの概略側面図である。実施の形態5の電子冷却モジュールは、半導体柱の配置の構成が実施の形態4の場合と異なっている。
【0050】
図10を参照して、実施の形態5の電子冷却モジュール30Dは、放熱板31Dと、吸熱板32Dと、を含む。電子冷却モジュール30Dは、吸熱板32Dの厚さ方向に見て第1領域34Aと第2領域34Bとの間に配置され、第1の電気回路37Aおよび第2の電気回路37Bのいずれにも電気的に接続されておらず、放熱板31Dおよび吸熱板32Dを接続する第3半導体柱33Dを含む。このようにすることにより、第3半導体柱33Dが配置された領域の分だけ第1領域34Aと第2領域34Bとを離隔することができ、第1領域34Aと第2領域34Bとの間の伝熱を抑制することができる。したがって、第1領域34Aと第2領域34Bのそれぞれの温度の調節をより適切に行うことができる。
【0051】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、光モジュール1は、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび青色レーザダイオードを含む構成としたが、これに限らず、少なくともいずれか1色、すなわち、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび青色レーザダイオードのうちの少なくともいずれか1つを含む構成であってもよい。
【0052】
また、上記の実施の形態においては、部材を載置する吸熱板側において部材を冷却する場合について説明したが、周囲の環境の温度、あるいは調節したい部材の温度に応じて、吸熱板側で加熱し、放熱板側において冷却する構成としてもよい。
【0053】
なお、上記の実施の形態においては、吸熱板は、第1領域と、厚さ方向に見て第1領域と離れて配置される第2領域と、を含むこととしたが、これに限らず、吸熱板は、第1領域および第2領域と異なる第3領域を含むこととしてもよい。すなわち、吸熱板は、第1領域と、厚さ方向に見て第1領域と離れて配置される第2領域と、厚さ方向に見て第1領域および第2領域のそれぞれと離れて配置される第3領域と、を含むこととしてもよい。そして、電子冷却モジュールは、放熱板と吸熱板との間であって、吸熱板の厚さ方向に見て第3領域と重なる領域に配置され、放熱板および吸熱板に接続される複数の第4半導体柱と、複数の第4半導体柱を電気的に接続して構成される第3の電気回路と、を含むこととしてもよい。このようにすることにより、吸熱板の第1領域および第2領域における温度制御に加え、吸熱板の第3領域においても、第1領域および第2領域とはそれぞれ別の温度制御を行うことができる。よって、吸熱板上におけるさらに緻密な温度制御を行うことができる。もちろん、さらにそれぞれ個別に温度制御がなされる第4領域、第5領域等を設けることにしてもよい。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の電子冷却モジュールおよび光モジュールは、温度分布が生ずる部材の温度を適切に調節することができると共に、製造時における作業性を良好にすることができることが求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0056】
1 光モジュール
2 保護部材
4 ベース部材
10 支持板
10A,10B,11A,11B,12A,12B,60A,60B,61A 主面
13 溝部
20 光形成部
30A,30B,30C,30D 電子冷却モジュール
31A,31B,31C,31D 放熱板
32A,32B,32C,32D 吸熱板
33A 第1半導体柱
33B 第2半導体柱
33D 第3半導体柱
34A 第1領域
34B 第2領域
35A,35B,36A,36B 電極
37A 第1の電気回路
37B 第2の電気回路
38A,38B 制御部
39A,39B 電源
40 キャップ
42 窓
51 リードピン
55 アパーチャ部材
55A 貫通孔
60 レーザダイオードベース
61 ブロック部
65A ステージ
71 第1サブマウント
72 第2サブマウント
73 第3サブマウント
81 赤色レーザダイオード
82 緑色レーザダイオード
83 青色レーザダイオード
91 第1レンズ
92 第2レンズ
93 第3レンズ
97 第1フィルタ
98 第2フィルタ
99 第3フィルタ
101A,101B サーミスタ
110 ミラー駆動機構
111 ミラー
,L,L,L,L 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10