(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】搭載機能の使用促進装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20241106BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20241106BHJP
B60S 1/54 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60H1/34 671Z
B60H1/00 103S
B60H1/00 103Z
B60H1/00 103P
B60S1/54 D
(21)【出願番号】P 2020187274
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晋
(72)【発明者】
【氏名】高濱 健一
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095280(JP,A)
【文献】特開昭62-128861(JP,A)
【文献】特開平07-081377(JP,A)
【文献】特開2018-207500(JP,A)
【文献】特開2002-036846(JP,A)
【文献】特開2016-030018(JP,A)
【文献】特開2009-204175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0289458(US,A1)
【文献】特開2017-170953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
B60H 1/00
B60S 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスの曇りを除去可能なデフロスタモードを有するとともに前記車両内の温度を調節可能な空調と、
前記窓ガラスの曇り量を取得可能な取得センサと、
デフロスタ機能の説明を表示可能な表示部と、
ユーザに対して前記デフロスタ機能の説明を開始するための前記曇り量に関する説明開始条件、前記デフロスタ機能への
前記ユーザの理解度を所定の応答動作で規定した理解条件、及び前記空調を前記デフロスタモードへ自動で変更する条件を規定した自動デフロスタ条件を保持する記憶部と、
前記説明開始条件を満たした場合に前記表示部に前記説明を表示させ、前記自動デフロスタ条件を前記応答動作に基づく前記理解度に応じて切り替える制御部と、を備え
、
前記自動デフロスタ条件は、前記ユーザの前記デフロスタ機能への前記理解度がある場合の第1条件と、前記デフロスタ機能への前記理解度がない場合の前記第1条件より厳しい条件である第2条件と、を含むことを特徴とする搭載機能の使用促進装置。
【請求項2】
前記自動デフロスタ条件の前記第1条件は、前記説明開始条件よりも厳しい条件である請求項
1に記載の搭載機能の使用促進装置。
【請求項3】
前記理解条件は、前記表示部に表示される前記デフロスタ機能の説明表示への確認動作の有無で規定される請求項
1又は請求項
2に記載の搭載機能の使用促進装置。
【請求項4】
車両の各種の搭載機能の説明を表示可能な表示部と、
各々の前記搭載機能の不使用期間についての閾値及び前記搭載機能の使用推奨タイミングを保持するとともに各々の前記搭載機能の使用履歴を蓄積する記憶部と、
前記閾値を超えて不使用、かつ、前記使用推奨タイミングである場合に前記搭載機能について説明を表示させる制御部と、を備えることを特徴とする使用促進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両に搭載された機能の使用促進技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者がデフロスタ(DEF;Defroster)スイッチを操作するだけで、自動的に最適の防曇搭載機能を発揮させることができる仕様が知られている。どのようなユーザであっても、常にフロントガラス及びフロントドアウィンドウの曇りを確実に除去して明快な視界を得るための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、ユーザが車両の搭載機能を十分に把握していないために搭載機能が適切に利用されないことがあるという課題があった。
例えば、ユーザが搭載機能を把握していないためにその搭載機能が長期間不使用であることがある。また、新しい搭載機能が発動した際にユーザが故障したと誤認する恐れもある。例えば、一般的に最大風量で作動するはずのデフロスタの風量が、最大風量で作動されずに故障であると誤認されることが挙げられる。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、車両の搭載機能を適切に利用させることができる搭載機能の使用促進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る搭載機能の使用促進装置は、車両の窓ガラスの曇りを除去可能なデフロスタモードを有するとともに前記車両内の温度を調節可能な空調と、前記窓ガラスの曇り量を取得可能な取得センサと、デフロスタ機能の説明を表示可能な表示部と、ユーザに対して前記デフロスタ機能の説明を開始するための前記曇り量に関する説明開始条件、前記デフロスタ機能への前記ユーザの理解度を所定の応答動作で規定した理解条件、及び前記空調を前記デフロスタモードへ自動で変更する条件を規定した自動デフロスタ条件を保持する記憶部と、前記説明開始条件を満たした場合に前記表示部に前記説明を表示させ、前記自動デフロスタ条件を前記応答動作に基づく前記理解度に応じて切り替える制御部と、を備え、前記自動デフロスタ条件は、前記ユーザの前記デフロスタ機能への前記理解度がある場合の第1条件と、前記デフロスタ機能への前記理解度がない場合の前記第1条件より厳しい条件である第2条件と、を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、車両の搭載機能を適切に利用させることができる搭載機能の使用促進装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置を搭載した車両を概念的に示したブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置による説明画面の表示態様を示す図。
【
図3】(A)~(D)第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置によるデフロスタ機能の分割表示態様を示す図。
【
図4】第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置の動作手順を示すフローチャート。
【
図5】第2実施形態に係る搭載機能の使用促進装置を搭載した車両を概念的に示したブロック図。
【
図6】第2実施形態における各搭載機能の不使用期間及び使用推奨タイミングを示す図。
【
図7】第2実施形態に係る搭載機能の使用促進装置の動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、
図1を用いて、第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置10(以下、単に「促進装置10」という)の構成を説明する。
図1は、第1実施形態に係る促進装置10を搭載した車両100を概念的に示したブロック図である。
【0011】
第1実施形態に係る促進装置10は、空調11と、取得センサ12と、表示部13と、制御部14と、記憶部15と、を備える。
これらの各車載機器は、CAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等の車内ネットワーク16で接続されて互いに情報が授受される。
【0012】
空調11は、送風ファン21及びコンプレッサ22が空調制御部23で制御されて、車両100内の温度環境を調整する。空調11は、例えば、通常モード、デフロスタモード、FOOTモード、自動デフロスタモード等の各種のモードを有する。これらのモードは、乗車したユーザにより空調操作パネル24又はリモートコントローラで切り替えられる。
【0013】
デフロスタモードとは、フロントガラス及びフロントドアウィンドウの車室内側の曇りを除去する機能である。窓ガラスが曇る原因は、車内外の空気の温度差又は湿度差が大きくなることである。デフロスタモードでは、空調11によって除湿された空気を、大風量で除湿したい箇所に集中的に送風する。
なお、自動デフロスタモードは、自動で発動されたデフロスタモードである。よって、デフロスタモードと自動デフロスタモードとは必ずしも区別された別のモードでなくてもよい。
【0014】
取得センサ12は、例えば、車室内各所に設けられた車内カメラ12である。
車内カメラ12は、例えば、車室内から窓ガラスを介して車外を監視するビューカメラ12a又は運転者の顔を監視するDMS(Driver Monitoring System)カメラ12bである。
ビューカメラ12aとして、フロントガラス越しに進行方向前方を監視するフロントカメラ、進行方向後方を監視するリアカメラ及び左右を監視するサイドカメラなどが設置される。
また、DMSカメラ12bは、運転席前方のステアリングコラムに設けられて運転者の顔を見上げて監視する。
【0015】
ビューカメラ12aは窓ガラスの曇り量σを検出する。この検出には運転中の前方の視界に影響するフロントガラスを監視するフロントカメラが用いられることが多いため、以下では適宜フロントカメラがフロントガラスの曇り量σを検出する例で説明する。ただし、他のビューカメラ12aで曇り量σを検出しても良く、またDMSカメラ12bに写り込む運転席側のフロントドアウィンドウの曇り量σを検出してもよい。
【0016】
なお、取得センサ12は、窓ガラスの曇り量σが取得できれば、車内カメラ12に限定されない。例えば、取得センサ12は、天候情報を発信する車外のサーバと通信を行い、天候情報を取得する送受信部17であってもよい。また、取得センサ12は、車内外の温度を検知する温度計又は湿度計であってもよい。いずれの場合も、取得した情報から窓ガラスの曇り量σを算出して推定することができるため、取得センサ12として用いることができる。また、車両100の所在地域も曇り量σの推定に用いることができるため、GPS機能も取得センサ12として用いることができる。
【0017】
表示部13は、デフロスタ機能の説明画面30を表示可能な画面である。
ここで、
図2は、促進装置10による説明画面30の表示態様を示す図である。
表示部13は、例えば
図2に示されるように、運転席前面が全面液晶化されたデジタルインナーパネル13aである。デジタルインナーパネル13a上には、スピードメータ28や、タコメータ、GPSマップ等の画像が適宜切り替えられ又は重ね合わされて表示される。
表示部13は、デジタルインナーパネル13aに代えて、ハンドルとダッシュボードとの間に設置されて複合的なメディア機能を提供するIVI(In-Vehicle Infotainment)の表示画面であってもよい。また、フロントガラスが映像表示機能を有する場合には、フロントガラスを表示部13にしてもよい。
【0018】
デフロスタ機能の説明画面30は、例えば
図2に示されるように、スピードメータ表示の図面右下方の空き部分に配置される。
デフロスタ機能の説明画面30では、例えば、ダッシュボード中央にあるインストルメントパネルに嵌め込まれた空調操作パネル24を模したパネル模式
図26が表示される。
【0019】
このパネル模式
図26上でデフロスタモードは、扇形に直線又は曲線が重ね合わされた図形の下に「FRONT」の文字が記されて表される。このデフロスタマーク下のボタンマーク27が○で囲まれるなどしてハイライトされ、デフロスタボタンの位置が示される。さらに、ボタンマーク27から引出線や吹出しなどが引かれてデフロスタ機能の解説文が表示される。解説文は、
図2に示されるような1コマに一括表示する場合、例えば「窓ガラスの曇りを取りたいときデフロスタを利用しましょう」又は「デフロスタボタンを押すと自動的にエアコンが作動し、吹出口が切り替わります。同時にスイッチ内の表示が点灯し、ディスプレイも切り替わります。」等の短い説明文が表示される。
【0020】
また、
図3(A)~(D)は、促進装置10によるデフロスタ機能の分割表示態様を示す図である。
デフロスタ機能の説明態様は、
図2に示される1コマの一括表示形式に代えて、
図3(A)~
図3(D)で示される複数のコマが順に遷移していく分割表示形式のスライド式表示であってもよい。各コマは、自動で遷移しても、ユーザが操作してスライドさせてもよい。スライド式表示の説明画像30では、より詳しく説明ができるため、下位機能が多岐にわたる場合又は説明内容が多い場合に好適に用いられる。
【0021】
例えば、まず、
図3(A)の1コマ目では、デフロスタ機能の使用のタイミングは窓ガラスが曇ったときであることをユーザに把握させる。
次に、
図3(B)の2コマ目では、デフロスタ機能をユーザが利用するための方法を説明する。例えば、デフロスタボタンの位置、ユーザの取りうる動作及びその動作に対する空調11の動作が説明される。
【0022】
そして、
図3(C)の3コマ目では、デフロスタ機能の仕組みを説明する。
例えば、デフロスタボタンの押下によって自動で空調11が作動して吹出口が切り替わる旨及びデフロスタマークが点灯する旨が説明される。また、デフロスタボタンの再度の押下でデフロスタモードが取り消される旨等、ユーザの動作に対する空調11の応答動作の詳細が説明される。なお、車室内の湿度や車内外の温度差と結露との関係や、これら結露等とデフロスタ機能との関係が説明されてもよい。
【0023】
次に、
図3(D)の4コマ目では、自動デフロスタ機能について説明する。
例えば、フロントガラスに結露が発生すると自動的に空調11が行われる旨、結露が消滅したら自動デフロスタモードは終了する旨、自動デフロスタモード中はデフロスタマークが点滅する旨等、自動デフロスタ機能の概要が説明される。
また、自動デフロスタモードでは吹出口、内外気、及び風量の状態が変わることがある旨、内気循環の際外気が導入されて風量が増加する旨等、デフロスタモードが自動で発動した場合に、ユーザが故障と誤認しないための説明表示がなされてもよい。
また、風量の調整方法、自動デフロスタモード中でのモードの切替方法についても説明を加えてもよい。なお、デフロスタ機能の説明態様は、静止画の表示でも動画の再生でもよく、その説明態様は特には限定されない。
【0024】
図1に戻って、促進装置10の構成の説明を続ける。
記憶部15は、ユーザに対してデフロスタ機能の説明を開始するための説明開始条件を保持する。
説明開始条件は、デフロスタ機能の使用を推奨するタイミングを規定するものである。
説明開始条件は、例えば窓ガラスの白色化した面積の割合や、白色化した窓ガラスの白色濃度等、曇り量σを数値化した指標で規定される。
【0025】
ただし、説明開始条件の指標は曇り量σに直接的に結びつけられた指標でなくてもよい。
例えば、曇りが発生していると推定できる状態は、温度、昼夜温度差又は湿度を組み合わせることでも規定することができる。そこで、これら温度、昼夜温度差又は湿度に説明表示を開始するための閾値(以下、「開始閾値」という)を設けて、説明開始条件を構成する指標としてもよい。
【0026】
また、例えば青森県の12月~3月の20時~8時等、曇り量σを推定できる所在地域、季節及び時間帯などの組み合わせに開始閾値を設けて説明開始条件の指標に含めてもよい。また、車内カメラ12のレンズが曇っている場合には、窓ガラスも曇っている確率が高いため、車内カメラ12自体のレンズの曇り度合いに開始閾値を設けて説明開始条件に含めてもよい。
【0027】
制御部14は、取得センサ12で取得した情報に基づいて説明開始条件を構成する各指標を算出する。
そして、制御部14は、取得センサ12で取得した情報から上述の説明開始条件の指標を算出する。そして、制御部14は、算出された指標が開始閾値を超え説明開始条件が満たされた場合に、表示部13に上述のデフロスタ機能の説明を表示させる。
【0028】
以上の構成により、促進装置10は、ユーザが搭載機能を把握していないことが理由でその搭載機能が長期間不使用になることを防止することができる。また、ユーザがデフロスタ機能を正確に把握することができる。
なお、近年では、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)、LKA(Lane Keeping Assist system)制御機能及びAHB(Automatic High Beam)/ADB(Adaptive Driving Beam)制御機能を搭載する車種が普及してきている。これらの機能は、ビューカメラ12aによる撮像画像に基づいて制御部14がブレーキシステム18、パワーステアリング19、及びランプ20を制御して発揮することが多い。この場合、ビューカメラ12aの前面にある窓ガラスに結露があると、これらの機能が適切に作動しないおそれがあるため、車両性能の維持の観点から、デフロスタ機能をユーザに理解させることは一層重要になってくる。
【0029】
また、第1実施形態では、さらに記憶部15が、デフロスタ機能へのユーザの理解度を所定の応答動作で規定した理解条件、及び、空調11をデフロスタモードへ自動で変更する条件を規定した自動デフロスタ条件を保持する。そして、制御部14が、自動デフロスタ条件を応答動作に基づく理解度に応じて切り替えて、適時に自動デフロスタモードを発動させる。
【0030】
従来では、デフロスタボタンを操作しない限りデフロスタ機能を使用できないため、フロントカメラの撮像範囲内に発生する結露を適切に除去できないおそれがあった。そこで、第1実施形態では、さらに自動デフロスタ条件の成否に応じて、空調11を自動デフロスタモードで稼働させる。
以下、理解条件及び自動デフロスタ条件について、より具体的に説明する。
【0031】
理解条件は、デフロスタ機能へのユーザの理解度を所定の応答動作で規定した条件である。
応答動作として、例えば、説明画像30の確認時間又は表示部13への確認操作の有無、空調操作パネル24の入力操作の有無などが規定される。説明画像30の確認時間は、例えばDMSカメラ12bを用いてユーザの視線が表示部13へ向いている時間として計測される。ユーザの視線が一定時間以上表示部13を向いている場合には、説明画像30に表示されたデフロスタ機能の説明はユーザに理解されたと判断する。
【0032】
また、表示部13の確認操作は、ステアリング又は表示部13上に設けられる「ホームボタン」又は「戻るボタン」等が押された場合にデフロスタ機能をユーザが理解したと判断する。
また、
図3のように複数のコマをスライドさせて機能説明をする場合、最後のコマまでスライドされた場合にもデフロスタ機能をユーザが理解したと判断してもよい。なお、このようなスライド式の表示態様では、ユーザ自身が次のコマへスライドを遷移させる操作をするため、ユーザの機能理解を促進できるとともに、制御部14がユーザの理解に即した判断をすることができる。
また、デフロスタ機能の説明が動画で行われる場合、動画再生が終了した場合にデフロスタ機能をユーザが理解したと判断してもよい。
【0033】
自動デフロスタ条件は、空調11をデフロスタモードへ自動で変更する条件である。
自動デフロスタ条件は、説明開始条件で挙げたものと同様の項目を有する条件であり、説明開始条件よりも厳しく設定される。つまり、自動デフロスタ条件は、説明開始条件よりも曇り量σが多くなったときに満たされるように閾値が設定される。
なお、例えば、説明開始条件が季節を指標とする一方、自動デフロスタ条件がより直接的に曇り量σの面積割合を指標とする等、説明開始条件の構成指標と自動デフロスタ条件の構成指標とが一致していなくてもよい。
【0034】
また、自動デフロスタ条件は、ユーザのデフロスタ機能への理解度がある場合の第1条件と、デフロスタ機能への理解度がない場合の第1条件より厳しい条件である第2条件と、を含む。つまり、第2条件は、第1条件よりも曇り量σが多くなったときに満たされるように閾値が設定される。
例えば、第1条件では曇り量σが10%を条件成立の閾値として、第2条件ではより曇りの程度が重い40%を条件成立の閾値とする。また、温度を指標とする場合には、第1条件は3℃を条件成立の閾値とし、第2条件ではより曇りの程度が重いと考えられる0℃を条件成立の閾値とする。
以上の構成により、ユーザがデフロスタ機能を理解した場合に速やかに自動デフロスタモードを実行することができる。
【0035】
次に、第1実施形態に係る促進装置10の動作手順を、
図4のフローチャートを用いて説明する(適宜
図1~
図3を参照)。
説明開始条件が成立するまでは(S11においてNO)、デフロスタモードの発動を必要としない環境下における説明表示の不要なポップアップを避けるため、デフロスタ機能の説明画面30は表示しない。
【0036】
説明開始条件が成立した場合、さらに表示可能なタイミングであるかを確認する(S11においてYES,S12)。
ここで、表示可能なタイミングとは、停車中又は完全自動運転中等、ユーザが安全に表示部13を目視で確認できるタイミングである。
説明画像30を表示可能なタイミングでない場合(S12においてNO)、デフロスタ機能の説明画面30は表示されないまま第2条件の成否が判断される(S13)。
【0037】
そして、自動デフロスタ条件の第2条件が成立した場合(S13においてYES)、デフロスタ機能を自動で稼働させる(S17)。
第2条件が満たされ、曇り量σが多く速やかな曇り除去が必要と判断がなされたため、デフロスタ機能をユーザの判断に依らず自動で稼働させたことを意味する。なお、第2条件が成立した場合、車内カメラ12に設けられるヒーターを単独又はデフロスタモードと併用して駆動することで車内カメラ12の曇りを除去してもよい。
【0038】
一方、第2条件を満たさない場合、デフロスタモードの発動の必要性は低いため、表示可能なタイミングを待って説明画像30を表示する(S13においてNO,S12へ)。
説明画像30を表示可能なタイミングである場合(S12においてYES)、デフロスタ機能の説明画像30を表示する(S14)。
【0039】
説明画面30をユーザが確認するまで、すなわち理解条件が満たされるまで説明画面30の表示を継続する(S15においてNO)。ただし、一定時間経過しても確認が完了しない場合、表示を中断し、制御部14は自動デフロスタモードの第2条件の成否を判断する(S13)。
説明画面30をユーザが確認した場合、すなわち理解条件が満たされた場合(S15においてYES)、制御部14は自動デフロスタ条件の第1条件の成否を確認する。
自動デフロスタ条件の第1条件を満たさない場合(S16においてNO)、自動ではデフロスタモードを発動しない。この第1条件を満たしていないということは、曇り量σが少なくデフロスタモードの発動の必要性が低いためである。
【0040】
自動デフロスタ条件の第1条件が成立した場合、制御部14は自動でデフロスタモードを発動する(S16においてYES,S17)。
ユーザは説明画面30を確認しているため、デフロスタモードを自動で発動してもユーザが故障と誤認しないと考えられるためである。
自動デフロスタ機能が稼働して曇りが除去されると、促進装置10の動作は終了する(S17、END)。
【0041】
なお、促進装置10の各動作は、プログラムに沿ってコンピュータで実行してもよい。
例えば、促進装置10は、CPU等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、或いはHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、を具備するコンピュータとして構成することができる。
この場合、
図1に示す各部のうち、空調11、取得センサ12、制御部14及び送受信部17の搭載機能は、記憶装置に記憶された所定のプログラムをプロセッサが実行することによって実現することができる。
また、このようなソフトウェア処理に換えて、ASIC(Application Specific Integration Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現することもできる。
【0042】
さらに、これらの構成の機能は、ソフトウェア処理とハードウェアによる処理を組み合わせて実現することもできる。
また、
図1に示す構成のうち、記憶部15は、ROM又はRAM等の記憶装置によって実現される。
【0043】
以上のように、第1実施形態に係る搭載機能の使用促進装置10により、以下の(1)~(4)の効果を発揮して、車両100の搭載機能を適切に利用させることができる。
(1)ユーザが搭載機能を把握していないことが理由でその搭載機能が長期間不使用になることを防止することができる。また、ユーザがデフロスタ機能を正確に把握することができる。
(2)ユーザのデフロスタ機能の理解の有無によって自動デフロスタモードの発動の条件を異ならせることで、適時に曇りを除去することができ、ビューカメラ12aの撮像画像に依存する搭載機能の性能を維持することが可能である。
従って、ユーザが強制的に駆動されることへの理解がある場合には、早期に自動デフロスタ機能を実行することができ、ビューカメラ12aの視界を鮮明に維持することができるので、上述したAEB等の車両機能の精度を維持することができる。
(3)ユーザが窓ガラスの曇りがない状態を維持するように心がけることを促進することができる。
(4)ビューカメラ12aのエイミング(素点補正)時に自動デフロスタモードが発動することを説明した上で実際に発動させながらエイミングすることで、好適にエイミングすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る促進装置10Aを搭載した車両100を概念的に示したブロック図である。
図6は、第2実施形態における各搭載機能の不使用期間及び使用推奨タイミングを示す図である。
【0045】
第2実施形態に係る使用促進装置10Aは、
図5に示されるように、記憶部15Aが、各々の搭載機能の不使用期間についての閾値(以下、「期間閾値」という)及び搭載機能の使用推奨タイミングを保持するとともに各々の搭載機能の使用履歴を蓄積する。
そして、制御部14Aが、期間閾値を超えて不使用で、さらに使用推奨タイミングである場合に搭載機能について表示部13Aに説明を表示させる。
【0046】
つまり、第1実施形態で説明した説明開始条件の指標が不使用期間であり、この不使用期間が各搭載機器について規定された期間閾値を超えて不使用だった場合に説明画像30が表示される。
【0047】
説明画面30で説明表示がなされる車両100の搭載機能は、例えば
図6に示されるように、ウォッシャー、フォグランプ、ドアミラーヒーター、ヒルディセントコントロール又はスノーモードである。これらの各搭載機能には、それぞれ期間閾値が規定されるとともに不使用履歴が蓄積される。例えば、
図6では、ウォッシャーには、100日間の期間閾値が設けられ、既に30日間不使用な状態になっている。
【0048】
また、第2実施形態では、第1実施形態で説明した停車中等の表示可能タイミングに加え、個々の搭載機能に規定された特有の使用推奨タイミングが規定される。
例えば、
図6に示されるように、フォグランプには霧が発生すると予報があったとき、ヒルディセントコントロールには標高が高いときという個々の推奨タイミンが規定されている。この結果、例えば過去数ヶ月間期間閾値を超えて使用実績がない場合、使用推奨タイミングで車載機能の説明画面30が表示されることになる。
【0049】
このような天候情報又は標高等の情報の多くは送受信部17によって車外から取得される。ただし、車外から情報を受信することができない場合、車載の各種機器で算出可能な代替の条件を
図6の各使用推奨タイミングの趣旨に即して規定してもよい。
なお、第2実施形態では使用を促進する対象は車両100に搭載される各種機能であることに伴い、表示部13Aも、車両100の各種の搭載機能の説明が表示可能である。
【0050】
このように第2実施形態によれば、長期間不使用のまま有効に利用されていない搭載機能の利用を促進することができる。
【0051】
なお、使用を促進する対象が各種の搭載機能であること、搭載機能の不使用期間に着目したこと、及び個々の使用推奨タイミングを規定したこと以外は、第2実施形態は第1実施形態と構成的にも動作的にも同様となるので、重複する説明を省略する。
なお、第1実施形態で示したユーザの理解度に即した自動モードの発動機能については、第2実施形態では搭載しても搭載しなくてもよい。
【0052】
次に、第2実施形態に係る促進装置10Aの動作手順を、
図7のフローチャートを用いて説明する(適宜
図5及び
図6を参照)。
なお、ステップS21~ステップS25は、自動デフロスタ条件の判断ステップS13を除いた第1実施形態のS11~S15と基本構成が同一なため、以下では差異がある部分について説明する。また、第1実施形態の自動デフロスタ条件の判断ステップS13,S16及び自動デフロスタの発動ステップS17に対応する自動的な発動に関する動作は第2実施形態においても含めることもできる。
【0053】
ステップS21では、説明開始条件の指標が不使用期間である。不使用期間が各搭載機能について規定された期間閾値を超えて不使用であった場合に説明条件が満たされる(S21においてYES)。
ステップS22では、第1実施形態で示した表示可能タイミングであるか否かに加え、搭載機能が
図6に示される使用推奨タイミングにあるか否かが判断される。
ステップS23では、期間閾値を超えて不使用であり、表示タイミングを満たし、さらに使用推奨タイミングを満たす搭載機能について説明画面30が表示される(S21においてYES,S22においてYES)。
【0054】
また、ステップS25において、説明表示を実施した機能については、この機能を使用したものとみなして、不使用履歴のカウントをリセットする。カウントをリセットすることで、使用していない搭載機能を特定し、ユーザに対して車両機能を報知することができる。
なお、納車時に不使用期間の初期値を最大値に設定することで、車両100の使用開始時に全搭載機能をユーザに対して報知することができる。例えば、不使用期間の初期値を、
図6のヒルディセントコントロール機能のように3桁の最大値である999に設定する。
【0055】
このように、第2実施形態に係る搭載機能の使用促進装置10Aによれば、第1実施形態と同様に、ユーザが搭載機能を把握していないことが理由でその搭載機能が長期間不使用になることを防止することができる。また、ユーザが搭載機能を正確に把握することができる。
また、季節や運転状態に即したタイムリーな情報を表示することができるため、ユーザの関心を高めることができる。
【0056】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の使用促進装置によれば、車両の搭載機能を適時に報知することで、搭載機能を適切に利用させることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
10(10A)…搭載機能の使用促進装置(促進装置)、11…空調、12…取得センサ(車内カメラ)、12(12a,12b)…車内カメラ(DMSカメラ,ビューカメラ)、13(13A)…表示部、13a(13)…デジタルインナーパネル、14(14A)…制御部、15(15A)…記憶部、16…車内ネットワーク、17…送受信部、18…ブレーキシステム、19…パワーステアリング、20…ランプ、21…送風ファン、22…コンプレッサ、23…空調制御部、24…空調操作パネル、26…パネル模式図、27…ボタンマーク、28…スピードメータ、30(30a~30d)…説明画像(説明画面)、100…車両。