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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】乗用芝刈機
(51)【国際特許分類】
   B60K 5/02 20060101AFI20241106BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20241106BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20241106BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B60K5/02 C
A01D34/64 H
B60K11/06
F01P5/06 510Z
F01P5/06 501
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020191157
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080148
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 智明
(72)【発明者】
【氏名】綱島 太郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-15168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0327582(US,A1)
【文献】特開2016-78608(JP,A)
【文献】特開2015-148174(JP,A)
【文献】特開2013-203087(JP,A)
【文献】特開2015-186939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 5/02
B60K 11/00 - 15/10
B60K 16/00
A01D 34/00 - 34/01
A01D 34/412- 34/90
A01D 42/00 - 42/08
A01D 43/06 - 43/077
F01P 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪を有する走行車体と、
前記走行車体に連結される芝刈り用のモア装置と、
前記走行車体の前部に配置される運転席と、
前記走行車体の後部に配置されるエンジンと、
前記エンジンの前方に配置されるエンジンファンと
を備え、
前記エンジンファンの前方に配置され、前記エンジンを制御するエンジン制御装置
をさらに備え、
前記エンジン制御装置は、外形が扁平形状であり、面積の広い面を前後方向に向けて立設され
前記走行車体は、前記エンジンを囲うように設けられた車体フレームを有し、
前記車体フレームは、前記走行車体の左右の側部に立設された左右のフレーム部と、前記左右のフレーム部の間を前記エンジンの前方で連結する横フレーム部と、前記横フレーム部に取り付けられ、前記横フレーム部に対して前記エンジン制御装置を固定する第1ブラケットとを有し、
前記第1ブラケットは、所定間隔をあけて3箇所に配置された3つの緩衝材を有し、前記3つの緩衝材を介して前記エンジン制御装置を固定する
ことを特徴とする乗用芝刈機。
【請求項2】
走行輪を有する走行車体と、
前記走行車体に連結される芝刈り用のモア装置と、
前記走行車体の前部に配置される運転席と、
前記走行車体の後部に配置されるエンジンと、
前記エンジンの前方に配置されるエンジンファンと
を備え、
前記エンジンファンの前方に配置され、前記エンジンを制御するエンジン制御装置
をさらに備え、
前記エンジン制御装置は、外形が扁平形状であり、面積の広い面を前後方向に向けて立設され、
前記走行車体は、前記エンジンを囲うように設けられた車体フレームを有し、
前記車体フレームは、前記走行車体の左右の側部に立設された左右のフレーム部と、前記左右のフレーム部の間を前記エンジンの前方で連結する横フレーム部と、前記横フレーム部に取り付けられ、前記横フレーム部に対して前記エンジン制御装置を固定する第1ブラケットとを有し、
少なくとも前記モア装置の駆動を制御する車体制御装置
をさらに備え、
前記車体フレームは、前記横フレーム部に取り付けられ、前記横フレーム部に対して前記車体制御装置を固定する第2ブラケットを有し、前記横フレーム部には前記車体制御装置に接続されるハーネスが配索される
ことを特徴とする乗用芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車体と、走行車体に連結される芝刈り用のモア装置とを備え、走行車体の前部に配置される運転席と、走行車体の後部にエンジンを収容するエンジンルームとを備え、エンジンルームの左右いずれかの側方にラジエータを備える乗用芝刈機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、乗用芝刈機には、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる有害物質を低減するために電子制御エンジンを搭載しているものがある。このため、乗用芝刈機において、電子制御エンジンの搭載に伴い、エンジンを制御するためのエンジン制御装置を走行車体のいずれかに設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-47757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の乗用芝刈機において精密機器であるエンジン制御装置を設ける場合、エンジンの熱でエンジン制御装置の温度が上昇し過ぎることがあり、エンジン制御装置の温度が上昇し過ぎると、エンジン制御装置が故障するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エンジン制御装置の故障を抑えることができる乗用芝刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る乗用芝刈機(1)は、走行輪(22,23)を有する走行車体(2)と、前記走行車体(2)に連結される芝刈り用のモア装置(3)と、前記走行車体(2)の前部に配置される運転席(241)と、前記走行車体(2)の後部に配置されるエンジン(51)と、前記エンジン(51)の前方に配置されるエンジンファン(52)とを備え、前記エンジンファン(52)の前方に配置され、前記エンジン(51)を制御するエンジン制御装置(71)をさらに備え、前記エンジン制御装置(71)は、外形が扁平形状であり、面積の広い面を前後方向に向けて立設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態に係る乗用芝刈機によれば、エンジン制御装置の故障を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る乗用芝刈機の全体構成を示す側面図である。
図2図2は、実施形態に係る乗用芝刈機の伝動構成を示す伝動線図である。
図3図3は、実施形態に係る乗用芝刈機の制御系を示すブロック図である。
図4図4は、エンジン制御装置の取り付け状態を示す斜視図である。
図5図5は、第1ブラケットの取り付け状態を示す斜視図である。
図6図6は、横フレーム部に対するハーネスの配索状態を示す斜視図である。
図7A図7Aは、車体制御装置を示す斜視図(その1)である。
図7B図7Bは、車体制御装置を示す斜視図(その2)である。
図8図8は、排気ガス浄化装置の配置を示す斜視図である。
図9図9は、排気ガス浄化装置ブラケットを示す斜視図である。
図10A図10Aは、排気ガス浄化装置ブラケットの保持部を示す斜視図である。
図10B図10Bは、排気ガス浄化装置ブラケットの取付部を示す斜視図である。
図11A図11Aは、排気ガス浄化装置ブラケットの説明図(その1)である。
図11B図11Bは、排気ガス浄化装置ブラケットによる排気ガス浄化装置の保持状態の説明図(その1)である。
図12A図12Aは、排気ガス浄化装置ブラケットの説明図(その2)である。
図12B図12Bは、排気ガス浄化装置ブラケットによる排気ガス浄化装置の保持状態の説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用芝刈機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<乗用芝刈機1の全体構成>
まず、図1を参照して実施形態に係る乗用芝刈機1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る乗用芝刈機1の全体構成を示す側面図である。なお、図1においては、エンジンルーム50を透視で示している。
【0012】
なお、各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定している。このため、以下では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0013】
乗用芝刈機1は、車体フレーム21を備える走行車体2の前部に設けられた運転席241に着席した操縦者(作業者ともいう)によって操縦される。なお、以下では、乗用芝刈機1を指して機体という場合がある。
【0014】
図1に示すように、乗用芝刈機1は、走行車体2の走行輪として、走行車体2の前部に左右一対の前輪22を備えるとともに、走行車体2の後部に左右一対の後輪23を備える。
【0015】
乗用芝刈機1は、運転席241の下部において縦軸(図1において、上下方向に沿った軸)まわりに回転する刈刃32と、刈刃32を駆動するモータ33(いずれも、図3参照)とを有するモア装置3を備える。モア装置3は、前輪22の前方に、モア昇降装置34を介して昇降自在に取り付けられる。なお、乗用芝刈機1は、モア装置3が走行車体2の下方、前輪22と後輪23との前後方向の間に配置されるタイプでもよい。
【0016】
乗用芝刈機1は、走行車体2の前部に操縦部24を備える。操縦部24は、運転席241と、フロアステップ242と、ステアリングコラム243と、ステアリングホイール244とを備える。
【0017】
フロアステップ242は、運転席241の前方に設けられる。ステアリングコラム243は、フロアステップ242の前部に立設される。ステアリングホイール244は、ステアリングコラム243の上部に設けられる。ステアリングコラム243の上部には、ステアリングホイール244の他、操作パネルや、各種の操作レバー、各種操作スイッチなどが設けられる。操縦部24の後部には、機体の正面視でアーチ型の安全バー25が前後方向に傾倒可能に設けられる。
【0018】
走行車体2の上部における運転席241の後方には、集草容器であるコレクタ4が設けられる。すなわち、乗用芝刈機1には、エンジンルーム50を覆うボンネットの上方に、モア装置3によって刈り取った芝草など(以下、芝草という)を収容するコレクタ4が、昇降アーム(図示せず)を介して上下方向に昇降可能に搭載される。なお、昇降アームは、昇降シリンダ(図示せず)などと共にコレクタ昇降装置41(図3参照)を構成する。
【0019】
また、乗用芝刈機1は、運転席241の後方において、コレクタ4の下方にエンジンルーム50を備える、エンジンルーム50の内部には、エンジン51(図4参照)が搭載される。乗用芝刈機1は、エンジンルーム50の上部に、エンジン51を覆うボンネットを備える。ボンネットには、エンジンファン52(図4参照)が設けられる。エンジン51の左右いずれかの側方(たとえば、右方)には、ラジエータ53(図8参照)が配置される。
【0020】
また、エンジンルーム50の内部には、エンジン51と、エンジン51から排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置60とが並んでいる。排気ガス浄化装置60は、エンジン51からの排気ガスを機体外部に導くための排気管55の途中に設けられる。なお、エンジン51は、たとえば、過給機(ターボチャージャ)を備えるディーゼルエンジンであるが、たとえば、過給機を備えなくてもよい。
【0021】
排気ガス浄化装置60は、エンジン51から排出される排気ガスを浄化する装置であり、たとえば、DPF(Diesel Particulate Filter)と呼ばれるフィルタを収納し、DPFに排気ガスを通過させることで、粒子を捕集する。また、排気ガス浄化装置60は、捕集した粒子が堆積してDPFが目詰まりするのを抑えるために、たとえば、堆積した粒子を燃焼によって焼失させる再生機能を有する。
【0022】
また、乗用芝刈機1は、エンジン51に清浄な空気を供給するためのエアクリーナ56を備える。エアクリーナ56は、運転席241の近傍に配置されたプレクリーナ57に接続される。エアクリーナ56は、たとえば、機体外部における機体の近傍に設けられることで、機体内部に設けられるよりも配索の自由度が高まる。
【0023】
また、図示しないが、乗用芝刈機1は、エンジン51からの動力が伝達されるミッションケース58(図2参照)を備える。ミッションケース58は、たとえば、エンジン51の運転席241寄りの下部に配置される。
【0024】
また、図示しないが、乗用芝刈機1は、ブロワが内装されたブロワケースを備える。ブロワケースとコレクタ4との間は、ダクトによって接続される。また、ブロワとモア装置3との間には、シュータが設けられる。
【0025】
このように、乗用芝刈機1では、モア装置3で刈り取った芝草を、モアデッキ31からシュータを経由してブロワへ送り、さらに、ダクトを経由してコレクタ4へ空気搬送する。
【0026】
また、ダクトの終端部には、芝草排出口が形成される。芝草排出口は、コレクタ4との接続部となる。すなわち、コレクタ4が下降した通常位置にあるとき、コレクタ4の芝草送入口と芝草排出口とが重なりあって、ダクトとコレクタ4とが接続される。モア装置3で刈り取った芝草は、ブロワによって、シュータおよびダクトを介してコレクタ4の内部へと送られる。
【0027】
<乗用芝刈機1の伝動構成>
次に、図2を参照して乗用芝刈機1の伝動構成について説明する。図2は、実施形態に係る乗用芝刈機1の伝動構成を示す伝動線図である。
【0028】
図2に示すように、乗用芝刈機1では、エンジン51から出力された動力(回転動力)は、エンジン51の出力軸51aに接続された分配伝動軸11に伝達され、第1のPTO(Power Take-off)軸(ブロワPTO軸ともいう)12Aに伝達される。ブロワPTO軸12Aから出力された回転動力は、たとえば、ブロワ伝動装置(ギヤ伝動装置など)を経由して、上記したブロワに伝達される。なお、図中の符号16A,16Bは、PTOクラッチを示している。
【0029】
また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、走行伝動装置を経由して駆動輪に伝達される。すなわち、ミッションケース58に収納された油圧式の無段変速装置(HST(Hydro Static Transmission)ともいう)13の油圧ポンプ13aを介して、トラニオン軸が傾動して油圧モータ13bを変速する。
【0030】
ところで、乗用芝刈機1は、二輪駆動(2WD)と四輪駆動(4WD)とを切り替え可能に構成されている。このため、駆動輪は、乗用芝刈機1が2WDの場合には、左右の前輪22および左右の後輪23のいずれか(たとえば、左右の前輪22)となり、乗用芝刈機1が4WDの場合は左右の前輪22および左右の後輪23となる。
【0031】
4WDの場合、分配伝動軸11から出力された回転動力は、HST13の油圧ポンプ13aおよび油圧モータ13bを経由して、デフケース14内のギヤ伝動装置14aおよびデフ機構14bを経由して前輪22に伝達される。また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、HST13の油圧ポンプ13aおよび油圧モータ13bを経由して、デフケース15内のギヤ伝動装置15aおよびデフ機構15bを経由して後輪23に伝達される。
【0032】
また、分配伝動軸11から出力された回転動力は、第2のPTO軸(モアPTO軸ともいう)12Bに伝達される。モアPTO軸12Bから出力された回転動力は、モア入力軸(図示せず)とモアデッキ31(図1参照)内のモア伝動装置(図示せず)を経由して、上記した刈刃32(図3参照)に伝達される。
【0033】
<乗用芝刈機1の制御系>
次に、図3を参照して制御部70を中心とする乗用芝刈機1の制御系について説明する。図3は、実施形態に係る乗用芝刈機1の制御系を示すブロック図である。
【0034】
図3に示すように、制御部70は、電子制御によって、乗用芝刈機1が備える各種アクチュエータ500をはじめ、各部を制御することが可能であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部を備える。
【0035】
また、制御部70は、エンジンファン52を駆動する第1ファンモータ52aやラジエータファン54を駆動する第2ファンモータ54aの駆動制御を行うプログラムや各種アクチュエータ500などを駆動するために必要なデータ類が記憶される記憶部74を備える。記憶部74は、たとえば、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0036】
また、制御部70は、エンジン51を制御するエンジン制御装置であるエンジンECU(Electronic Control Unit)71と、走行車体2の走行を制御する車体制御装置である走行系ECU72と、モア装置3の駆動を制御する車体制御装置である作業機系ECU73とを備える。
【0037】
エンジンECU71は、エンジン51の出力などを制御する。走行系ECU72は、無段変速装置(HST)13などを制御して、機体の走行を制御する。作業機系ECU73は、モア装置3の駆動を制御する。作業機系ECU73は、PTOクラッチ16A,16B(図2参照)を入り切りするソレノイドバルブなどを制御する他、モア昇降装置34を制御してモア装置3の昇降制御を行う。
【0038】
また、制御部70には、燃焼系センサ701、車速センサ702、PTOセンサ703、差圧センサ704、エアフローセンサ705、DPFセンサ706をはじめ、その他の各種センサ700が接続される。
【0039】
燃焼系センサ701は、エンジン51の燃焼状態を検知する。車速センサ702は、機体の走行速度(車速)を算出するセンサであり、前輪22および後輪23(いずれも、図2参照)の回転数から車速の実測値を導出する。PTOセンサ703は、ブロワPTO軸12AやモアPTO軸12B(いずれも、図2参照)の回転を検出する。
【0040】
差圧センサ704は、排気管55(図1参照)の途中に接続された排気ガス浄化装置60の前後の排気圧を検出するセンサである。エアフローセンサ705は、エンジン51に供給する空気量を検出するセンサであり、エアクリーナ56(図1参照)に設けられる。DPFセンサ706は、排気ガス浄化装置60に収容されたDPFの目詰まり度合を検出するセンサである。
【0041】
制御部70は、各部におけるさまざまなデータを取得し、取得したデータおよびデータから演算された結果などに基づいて、機体の各部の動作を制御する。
【0042】
ここで、エンジンルーム50(図1参照)内にエンジンECU71を設ける場合、エンジン51の熱でエンジンECU71の温度が上昇し過ぎることがある。エンジンECU71の温度が上昇し過ぎると、エンジンECU71が故障するおそれがあるため、本実施形態では、エンジンECU71の温度上昇を抑えるように構成している。
【0043】
<エンジンECU71の配置>
次に、図4および図5を参照してエンジンECU71の配置について説明する。図4は、エンジン制御装置(エンジンECU)71の取り付け状態を示す斜視図である。図5は、第1ブラケット213の取り付け状態を示す斜視図である。
【0044】
図4に示すように、エンジンECU71は、その外形(エンジンECU71の筐体)が扁平な形状に形成される。エンジンECU71は、エンジンルーム50内において、エンジン51に向けて冷却風を送るエンジンファン52の前方に配置される。この場合、エンジンECU71は、エンジンECU71の筐体における面積の広い(大きい)方の面を前後方向に向けて立設される。
【0045】
すなわち、エンジンECU71は、エンジンファン52の前方において、縦置きに配置され、面積の大きい面が前後方向に沿って並び、面積の小さい面(側面)が左右方向に沿って並んで配置される。このように、エンジンECU71が縦置きされることで、エンジンルーム50内のスペースを有効活用することができる。また、エンジンECU71がエンジンファン52の前方にあることで、エンジンファン52がエンジン51に向けて送風する際に発生する空気Aの流れを冷却に利用することができるとともに、ラジエータ53の前方のような塵埃の多い場所を避けることもできる。
【0046】
走行車体2の車体フレーム21は、エンジン51を囲うように設けられる。なお、車体フレーム21は、エンジンルーム50のフレームも構成している。車体フレーム21は、左右のフレーム部(左フレーム部211Lおよび右フレーム部211R)と、横フレーム部212と、第1ブラケット213と、第2ブラケット215とを備える。
【0047】
左フレーム部211Lおよび右フレーム部211Rは、走行車体2の左右の側部に立設される。横フレーム部212は、左フレーム部211Lと右フレーム部211Rとの間に架設され、左フレーム部211Lと右フレーム部211Rとを連結する。横フレーム部212は、エンジン51の前方において、左フレーム部211Lと右フレーム部211Rとを連結している。
【0048】
第1ブラケット213は、横フレーム部212に取り付けられる。第1ブラケット213には、エンジンECU71が取り付けられる。第1ブラケット213は、横フレーム部212に対してエンジンECU71を固定する。なお、以下では、第1ブラケット213をエンジンECUブラケットという。
【0049】
図5に示すように、エンジンECUブラケット213は、緩衝材としてのゴムマウント214を有する。ゴムマウント214は、エンジンECUブラケット213の取付板213a上において、互いに所定間隔をあけて3箇所に配置される。3つのゴムマウント214は、たとえば、機体の背面視で正三角形または二等辺三角形の頂点となる位置に配置される。また、3つのゴムマウント214は、支持部材214aを介して、取付板213aの板面から所定距離あけて配置される。
【0050】
エンジンECUブラケット213は、このような3つのゴムマウント314を介してエンジンECU71を固定する。エンジンECUブラケット213が3つのゴムマウント314を介してエンジンECU71を固定することで、エンジンECU71に振動が伝わるのを抑制することができる。
【0051】
また、エンジンECU71の近傍(たとえば、エンジンECU71の左隣)には、モア装置3(図1参照)の駆動を制御する作業機系ECU73が配置される。第2ブラケット215は、横フレーム部212に対して作業機系ECU73を固定する。なお、以下では、第2ブラケット215を作業機系ECUブラケットという。すなわち、作業機系ECUブラケット215は、横フレーム部212に取り付けられ、作業機系ECUブラケット215には、作業機系ECU73が取り付けられる。
【0052】
図6は、横フレーム部212に対するハーネス216の配索状態を示す斜視図である。図6に示すように、横フレーム部212には、作業機系ECUブラケット215に接続されるハーネス216が配索される。また、横フレーム部212には、ハーネス216の一部を固定するためのハーネス固定部217が取り付けられる。
【0053】
このように、作業機系ECUブラケット215に接続されるハーネス216が横フレーム部212を利用して配索されることで、ハーネス216の配索状態の強度が高まり、品質の安定化を図ることができる。また、作業機系ECU73が、エンジンECU71と同様、横フレーム部212に固定されるため、作業機系ECU73とエンジンECU71とを近接させて配置することができ、組立性が向上するとともに、省スペース化を図ることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、エンジンECU71の近傍には、作業機系ECUブラケット215を介して作業機系ECU73が配置されるが、作業機系ECU73に代えて、走行車体2の走行を制御する走行系ECU72が配置されてもよい。この場合も、走行系ECU72が取り付けられるブラケットを横フレーム部212に取り付け、横フレーム部212に対して走行系ECU72を固定する。
【0055】
図7Aおよび図7Bは、車体制御装置(作業機系ECU)73を示す斜視図である。なお、図7Aには、斜め上方から見た作業機系ECU73を示し、図7Bには、斜め下方から見た作業機系ECU73を示している。作業機系ECU73は、リレーやコントローラなどの全ての機器がその筐体内に収容されている。
【0056】
図7Aに示すように、作業機系ECU73の前部(前面)には、ハーネス216などの配線を取り出すための配線取出口218Fが形成されている。また、作業機系ECU73の後部(後面)にも、ハーネス216などの配線を取り出すための配線取出口218Rが形成されている。このように、作業機系ECU73の一方向だけでなく、作業機系ECU73の前後に配線取出口218F,218Rが形成されることで、作業機系ECU73の前後で配線を分けることができ、組立性が向上する。
【0057】
図7Bに示すように、作業機系ECU73は、その下面(底面)に開口部219を有し、底面が開放されている。作業機系ECU73は、開口部219を閉塞する底蓋220を有する。このように、作業機系ECU73が開放されていることで、作業機系ECU73を組み立てる場合、筐体内に配線などを入れやすくなり、組立性が向上する。
【0058】
上記したように、実施形態に係る乗用芝刈機1によれば、エンジンECU71がエンジンファン52の前方に配置され、面積の広い面を前後方向に向けて立設されることで、エンジンECU71がエンジンファン52の冷却風を面積の広い面で受けることができる。これにより、エンジンECU71の温度上昇を抑制することができ、エンジンECU71の故障を抑えることができる。
【0059】
また、エンジンECUブラケット213により横フレーム部212に対してエンジンECU71を固定することで、エンジン51の前方においてエンジンファン52の冷却風があたる位置にエンジンECU71を配置することができる。これにより、エンジンECU71の温度上昇を抑制することができる。
【0060】
また、エンジンECU71が3つのゴムマウント214を介して3点で固定されるため、エンジンECU71への振動を抑制するとともにこの振動をバランスよく抑制することができ、エンジンECU71を安定して固定することができる。
【0061】
また、作業機系ECU73を横フレーム部212に固定することで、エンジンECU71および作業機系ECU73の両方が横フレーム部212に固定される。このように、2つのECU(エンジンECU71および作業機系ECU73)を共に横フレーム部212に固定することで、2つのECU71,73の間を接続するハーネス216が短くて済むようになり、横フレーム部212に対して、たとえば、ハーネス216が絡まることもなく、きれいに(見栄えよく)配索することができる。
【0062】
また、ここで、エンジンルーム50(図1参照)内に排気ガス浄化装置60を設ける場合、排気ガス浄化装置60が大きく振動するおそれがあるため、本実施形態では、排気ガス浄化装置60が振動するのを抑えるように構成している。
【0063】
<排気ガス浄化装置60の配置>
次に、図8を参照して排気ガス浄化装置60の配置について説明する。図8は、排気ガス浄化装置60の配置を示す斜視図である。
【0064】
図8に示すように、走行車体2の後部(エンジンルーム50内の後部)にはエンジン51が配置される。エンジン51は、クランクシャフトに取り付けられるフライホイール511を有する。フライホイール511は、円盤状であり、エンジン51の動力を平均化して安定させる部材である。フライホイール511は、エンジン51の振動系の中でも重い部材であるため、エンジン51の構造上、本体(エンジン51の本体)の後端部に配置される。
【0065】
排気ガス浄化装置60は、走行車体2の後部(エンジンルーム50内の後部)に配置される。また、排気ガス浄化装置60は、フライホイール511の略直上に配置された後述する排気ガス浄化装置ブラケット(以下、DPFブラケットという)80を介して、フライホイール511の近傍に配置される。また、排気ガス浄化装置60は、DPFブラケット80を介して、フライホイール511の略直上に配置される。
【0066】
このように、排気ガス浄化装置60がフライホイール511の略直上、すなわち、エンジン51の重心に近い位置に配置されることで、排気ガス浄化装置60の振動を抑制することができる。また、排気ガス浄化装置60を固定するDPFブラケット61の長さ(排気ガス浄化装置60を支持するステーの長さ)を短くすることができるため、剛性が向上し、さらに、排気ガス浄化装置60をエンジン51の駆動部に近接させるため、排気ガス浄化装置60の周辺の高温の空気を撹拌させることができ、エンジンルーム50内に熱がこもるのを抑制することができる。
【0067】
また、排気ガス浄化装置60は、DPFブラケット80を介して、エンジンプレート512に固定される。これにより、排気ガス浄化装置60の振動系がエンジン51の振動系と同じになるため、排気ガス浄化装置60とエンジン51とを配管接続する場合、配管に対して振動を吸収する構造とする必要がなく、簡素な配管構造となるとともに、組立性が向上する。
【0068】
また、排気ガス浄化装置60は、DPFブラケット80の上部に取り付けられるとともに、コレクタ4(図1参照)の下方に配置される。すなわち、排気ガス浄化装置60は、コレクタ4とフライホイール511との上下方向の間に配置される。
【0069】
また、排気ガス浄化装置60は、円筒形状の本体の一端には排気管55の上流側排気管551が接続される一方、他端には排気管55の下流側排気管552が接続される。なお、排気管55(下流側排気管552)の先端の排気口にはディフューザが設けられることが好ましい。これにより、高温の排気ガスによって、たとえば、捨て草に引火するおそれがない。
【0070】
<排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80>
次に、図9図12Bを参照して排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80について説明する。図9は、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80を示す斜視図である。図10Aは、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80の保持部81を示す斜視図である。図10Bは、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80の取付部82を示す斜視図である。
【0071】
図9に示すように、DPFブラケット80は、保持部81と、取付部82とを備える。保持部81は、排気ガス浄化装置60を保持する部位である。保持部81は、ステー部材811と、ホルダ部材812とを備える。ステー部材811およびホルダ部材812は、それぞれ左右一対で構成される。ステー部材811は、ステー部材811上の後方寄りにホルダ部材812が配置される。
【0072】
ホルダ部材812は、リング状に形成された部材であり、排気ガス浄化装置60を保持する。ホルダ部材812は、分割可能に形成され、分割された半円弧の2つの部材で排気ガス浄化装置60を挟み込むことで、排気ガス浄化装置60を保持する。このように、ホルダ部材812が半円弧の2つの部材で排気ガス浄化装置60を挟み込むことで、排気ガス浄化装置60を締め付けて保持するため、振動による破損の抑制効果があり、外側(後方側)の半円弧の部材を取り外すだけで排気ガス浄化装置60を取り出すことができるため、メンテナンス性が向上する。
【0073】
また、ホルダ部材812の分割線は、エンジン51の慣性主軸の向き、(本実施形態では、図1に矢線Dで示す、機体後方における斜め下向き)に対して平行に近く、排気ガス浄化装置60の側面視における中心を通る直線であることが好ましい。エンジン51の動作によって発生する振動はエンジン51の慣性主軸に対して垂直な方向に大きいため、排気ガス浄化装置60を振動を抑える向きに締め付けることで、破損などを抑制することができる。
【0074】
また、ホルダ部材812は、排気ガス浄化装置60の外周面に対して外方へ折り曲げて形成された凸部812aを有する。ホルダ部材812に凸部812aが形成されることで、排気ガス浄化装置60をボルト・ナットなどの固定具813を介して締め付ける際、凸部812aが延びながら締め付けるため、排気ガス浄化装置60の外周面全体を包み込むように、排気ガス浄化装置60を保持することができ、振動に対して強固に保持することができる。
【0075】
また、ステー部材811がホルダ部材812の分割線付近まで延伸し、この部分で溶接によって接合される。このため、排気ガス浄化装置60の下方における強度を高めることができ、ホルダ部材812の凸部812aに応力が集中して凸部812aを変形させることができるため、負荷が大きくなるステー部材811とホルダ部材812の接合部に対しては排気ガス浄化装置60の締め付け時の応力が発生しなくなり、破損などを抑えることができる。
【0076】
取付部82は、被取付部となるエンジンプレート512(図8参照)に取り付けられる部位である。取付部82は、板材を平面視でコ字状となるように屈曲して形成された部材であり、また、対向する側板821と側板821との間に架設された載置板822をさらに備える。載置板822は、DPFブラケット80による排気ガス浄化装置60の保持状態において、排気ガス浄化装置60が載置される。
【0077】
取付部82は、エンジンプレート512から後方に突出しており、全体的に排気ガス浄化装置60の下方に延在している。取付部82は、排気ガス浄化装置60を下方から支持する。このように、取付部82が排気ガス浄化装置60を下方から支持することで、エンジン51(図8参照)の振動で発生する排気ガス浄化装置60の上下の動きを下方から抑えることができ、排気ガス浄化装置60の破損などを抑制することができる。
【0078】
保持部81は、ステー部材811がボルト・ナットなどの取付具823によって側板821に取り付けられることで、取付部82に固定される。
【0079】
ステー部材811に形成される取付孔811aは、図10Aに示すように、水平方向(前後方向)に長い長孔である。このように、ステー部材811の取付孔811aを長孔とすることで、ステー部材811を取付部82に取り付ける際に発生する歪応力を抑制することができる。また、取付孔811aである長孔の長手方向を水平方向とすることで、ステー部材811を取付部82に取り付ける際に重力によって排気ガス浄化装置60が下方へ沈み込むのを防ぐことができる。
【0080】
また、図10Aおよび図10Bに示すように、DPFブラケット80が、排気ガス浄化装置60を直接保持する保持部81と、保持部81が取り付けられ、さらに、自身がエンジンプレート512に取り付けられる取付部82との複数(2つ)の部材で構成されるため、保持部81や取付部82の交換が容易になるなど、メンテナンス性が向上する。また、組み付け時のガタにより発生する歪を抑えることが可能となる。
【0081】
図11A図12Bを用いてDPFブラケット80をさらに詳細に説明する。図11Aおよび図12Aは、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80の説明図である。なお、図11Aには、下方から見た排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80を示し、図12Aには、機体の背面から見た排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80を示している。
【0082】
図11Bおよび図12Bは、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80による排気ガス浄化装置60の保持状態の説明図である。なお、図11Bには、下方から見た、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80によって保持された排気ガス浄化装置60を示し、図12Aには、機体の背面から見た、排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)80によって保持された排気ガス浄化装置60を示している。
【0083】
図11Aおよび図11Bに示すように、DPFブラケット80は、取付部82によって、上下に並んだ排気ガス浄化装置60とフライホイール511との間が開放されるような開放空間となる開口部824が形成される。このように、排気ガス浄化装置60とフライホイール511との間に開放空間(開口部824)が形成されることで、排気ガス浄化装置60の周辺の高温の空気が撹拌され、エンジンルーム50内に熱がこもるのを抑制することができる。
【0084】
また、図11Bに示すように、DPFブラケット80が排気ガス浄化装置60を開口部824を挟んで左右の2カ所で保持するため、排気ガス浄化装置60とフライホイール511との間に開放空間(開口部824)を塞ぐことなく、排気ガス浄化装置60の周辺の高温の空気が撹拌され、エンジンルーム50内に熱がこもるのを抑制することができる。また、組み付け時のガタにより発生する歪を抑えることが可能となる。
【0085】
図12Aおよび図12Bに示すように、取付部82は、側板821の下縁に切欠き825が形成される。切欠き825は、フライホイール511の外形の一部に対応する円弧形状である。すなわち、DPFブラケット80の下部におけるフライホイール511と向かい合う部位には、フライホイール511の外形の一部に応じた形状の切欠き825が形成される。
【0086】
このように、DPFブラケット80の下部に切欠き825が形成されることで、フライホイール511と干渉する限界まで排気ガス浄化装置60を下げて配置することができ、排気ガス浄化装置60とエンジン51の重心の位置とを近接させて振動を抑制することができる。また、排気ガス浄化装置60とフライホイール511との距離が近くなるため、エンジンルーム50内に熱がこもるのを抑制する効果が向上する。
【0087】
図8に戻り、乗用芝刈機1は、エンジンルーム50内に、図示のように、エンジン51からの排気ガスの一部をエンジン51の吸気側に戻すEGR(Exhaust Gas Recirculation)パイプ513を備える。EGRパイプ513は、エンジン51の後面に沿うように左右にわたって設けられる。EGRパイプ513は、EGRクーラ514およびEGRバルブ515を経由してEGR装置(図示せず)に接続される。
【0088】
図8に示すように、排気ガス浄化装置60は、走行車体2の前進方向となる前後方向に対して軸を左右方向に寝かせた姿勢で、EGRパイプ513の後方、かつ、EGRパイプ513の近傍に配置される。
【0089】
上記したように、実施形態に係る乗用芝刈機1によれば、フライホイール511はその性質上、エンジン51の振動系の中でも重い部品であるため、エンジン51の重心がフライホイール511側に寄ってしまうが、排気ガス浄化装置60がフライホイール511の近傍に固定されることで、排気ガス浄化装置60をエンジン51の重心に近づけることができる。このように、エンジン51において比較的振幅の小さい部分に排気ガス浄化装置60が配置されるため、エンジン51の振動による影響を抑えることができ、排気ガス浄化装置60を安定して設置することができる。
【0090】
また、DPFブラケット80に切欠き825が形成されることで、フライホイール511に対して切欠き825の分だけ排気ガス浄化装置60を近づけることができる。このため、エンジン51の重心に排気ガス浄化装置60をより近づけることができ、エンジン51の振動による影響を抑えることができる。また、排気ガス浄化装置60がコレクタ4の下方に配置され、排気ガス浄化装置60の設置位置が低いことから、コレクタ4が配置される位置も低くすることができる。これにより、機体全体の重心が低くなり、走行安定性を高めることができる。
【0091】
また、排気ガス浄化装置60およびフライホイール511の間が開放されていることで、排気ガス浄化装置60から発生する熱がフライホイール511の回転によって撹拌され、エンジン51の後部において熱がこもるのを抑えることができる。
【0092】
また、排気ガス浄化装置60がEGRパイプ513の後方、かつ、EGRパイプ513の近傍に配置されることで、エンジン51との間でEGRパイプ513を挟むように保護することができる。
【0093】
上述してきた実施形態により、以下の乗用芝刈機1が実現される。
【0094】
(1)走行輪22,23を有する走行車体と、走行車体2に連結される芝刈り用のモア装置3と、走行車体2の前部に配置される運転席241と、走行車体2の後部に配置されるエンジン51と、エンジン51の前方に配置されるエンジンファン52とを備え、エンジンファン52の前方に配置され、エンジン51を制御するエンジン制御装置71をさらに備え、エンジン制御装置71は、外形が扁平形状であり、面積の広い面を前後方向に向けて立設される乗用芝刈機1。
【0095】
このような乗用芝刈機1によれば、エンジン制御装置71は、エンジンファン52の冷却風を面積の広い面で受けることができる。これにより、エンジン制御装置71の温度上昇を抑制することができ、エンジン制御装置71の故障を抑えることができる。
【0096】
(2)上記(1)において、走行車体2は、エンジン51を囲うように設けられた車体フレーム21を有し、車体フレーム21は、走行車体2の左右の側部に立設された左右のフレーム部211L,211Rと、左右のフレーム部211L,211Rの間をエンジン51の前方で連結する横フレーム部212と、横フレーム部212に取り付けられ、横フレーム部212に対してエンジン制御装置71を固定する第1ブラケット213とを有する乗用芝刈機1。
【0097】
このような乗用芝刈機1によれば、エンジン51の前方においてエンジンファン52の冷却風があたる位置にエンジン制御装置71を配置することができる。これにより、エンジン制御装置71の温度上昇を抑制することができる。
【0098】
(3)上記(2)において、第1ブラケット213は、所定間隔をあけて3箇所に配置された3つの緩衝材214を有し、3つの緩衝材214を介してエンジン制御装置71を固定する乗用芝刈機1。
【0099】
このような乗用芝刈機1によれば、エンジン制御装置71が3つの緩衝材214を介して3点で固定されるため、エンジン制御装置71への振動を抑制するとともにこの振動をバランスよく抑制することができ、エンジン制御装置71を安定して固定することができる。
【0100】
(4)上記(2)または(3)において、少なくともモア装置3の駆動を制御する車体制御装置73をさらに備え、車体フレーム21は、横フレーム部212に取り付けられ、横フレーム部212に対して車体制御装置73を固定する第2ブラケット215を有し、横フレーム部212には車体制御装置73に接続されるハーネス216が配索される乗用芝刈機1。
【0101】
このような乗用芝刈機1によれば、車体制御装置73を横フレーム部212に固定することで、エンジン制御装置71および車体制御装置73の両方が横フレーム部212に固定される。このように、2つの制御装置(エンジン制御装置71および車体制御装置73)を共に横フレーム部212に固定することで、2つの制御装置71,73の間を接続するハーネス216が短くて済むようになり、横フレーム部212に対して、たとえば、ハーネス216が絡まることもなく、きれいに(見栄えよく)配索することができる。
【0102】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 乗用芝刈機
2 走行車体
3 モア装置
4 集草容器(コレクタ)
11 分配伝動軸
12A 第1のPTO軸(ブロワPTO軸)
12B 第2のPTO軸(モアPTO軸)
13 無段変速装置(HST)
13a 油圧ポンプ
13b 油圧モータ
14 デフケース
14a ギヤ伝動装置
14b デフ機構
15 デフケース
15a ギヤ伝動装置
15b デフ機構
16A PTOクラッチ
16B PTOクラッチ
21 車体フレーム
22 前輪
23 後輪
24 操縦部
25 安全バー
31 モアデッキ
32 刈刃
33 モータ
34 モア昇降装置
41 コレクタ昇降装置
50 エンジンルーム
51 エンジン
51a 出力軸
52 エンジンファン
52a 第1ファンモータ
53 ラジエータ
54 ラジエータファン
54a 第2ファンモータ
55 排気管
56 エアクリーナ
57 プレクリーナ
58 ミッションケース
60 排気ガス浄化装置
70 制御部
71 エンジン制御装置(エンジンECU)
72 車体制御装置(走行系ECU)
73 車体制御装置(作業機系ECU)
74 記憶部
80 排気ガス浄化装置ブラケット(DPFブラケット)
81 保持部
82 取付部
211L 左フレーム部
211R 右フレーム部
212 横フレーム部
213 第1ブラケット(エンジンECUブラケット)
214 緩衝材(ゴムマウント)
214a 支持部材
215 第2ブラケット(作業機系ECUブラケット)
216 ハーネス
217 ハーネス固定部
218F 配線取出口
218R 配線取出口
219 開口部
220 底蓋
500 各種アクチュエータ
511 フライホイール
512 エンジンプレート
513 EGRパイプ
514 EGRクーラ
515 EGRバルブ
551 上流側排気管
552 下流側排気管
700 各種センサ
701 燃焼系センサ
702 車速センサ
703 PTOセンサ
704 差圧センサ
705 エアフローセンサ
706 DPFセンサ
811 ステー部材
811a 取付孔
812 ホルダ部材
812a 凸部
813 固定具
821 側板
822 載置板
823 取付具
824 開口部
825 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B