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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】家具システム
(51)【国際特許分類】
   A47B 7/00 20060101AFI20241106BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A47B7/00 A
A47B87/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020192806
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081333
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 茂行
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-005223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0277671(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 7/00
A47B 87/00
A47B 13/00
F16B 5/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具同士を磁気吸着式の連結装置により連結し得るようにした家具システムであって、
前記連結装置が、前記家具に設けられた静止要素と、磁石を有し前記静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素とを備えたものであり、
前記両家具に設けられた前記可動要素がそれぞれ磁気吸着面を備えたものであり、
前記可動要素が前記連結位置まで突出して前記磁気吸着面同士が磁力により吸着し合うことにより前記家具同士が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で前記可動要素が自重で前記退避位置に自己復帰するように構成されている家具システム。
【請求項2】
天板同士を当接させた状態で脚体間にスペースが形成される少なくとも2台の家具を備え、前記脚体に前記連結装置を設けている請求項1記載の家具システム。
【請求項3】
前記連結装置は、前記脚体の下端部に設けられたものである請求項2記載の家具システム。
【請求項4】
家具同士を磁気吸着式の連結装置により連結し得るようにした家具システムであって、
前記連結装置が、前記家具に設けられた静止要素と、磁石を有し前記静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素とを備えたものであり、前記可動要素が前記連結位置まで突出した状態で前記家具が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で前記可動要素が自重で前記退避位置に自己復帰するように構成されており、
天板同士を当接させた状態で脚体間にスペースが形成される少なくとも2台の家具を備え、前記脚体の下端部に前記連結装置を設けてなるものであり、
前記連結装置の静止要素は、前記脚体の下端部に設けられ外方及び下方に開放された空洞を有する静止要素本体と、前記脚体の下端に設けられ前記空洞の下方への開放端を閉塞する底蓋とを備えたものであり、
前記静止要素本体に形成された空洞の天井面、及び前記底蓋に形成された空洞の底面は、外方に向かって漸次上昇するように傾斜させたものであり、
前記可動要素は、これら天井面、及び底面に案内されつつ突没動作を行うものである家具システム。
【請求項5】
前記連結装置の可動要素が、前記空洞の外方への開放端を塞ぐようにして前記天井面と前記底面との間に配されたカバーと、このカバーの内側に保持された磁石とを備えたものである請求項4記載の家具システム。
【請求項6】
前記カバーが、前記退避位置において前記脚体の外壁面と略面一となる磁気吸着面を形成する露出壁部と、この露出壁部の両側縁から前記空洞方向に延設された挿入壁部とを備えたもので、上端に前記空洞の天井面に摺接する上傾斜面を有するとともに、下端に前記空洞の底面に摺接する下傾斜面を有している請求項5記載の家具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官公庁のロビーやオフィス等で好適に使用される家具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の家具システムとして、複数台の天板付き家具を隣接させて配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる家具システムにおいては、家具が位置ずれを起こして乱雑になるのを防止するために、天板同士、あるいは天板を支持する脚体同士を機械的に連結したものが少なくない。
【0004】
しかしながら、家具同士をブラケット等を介して機械的に連結したものは、配置替えの際に連結部分の解体や再組立の作業が必要となり、迅速な対応が難しい。
【0005】
かかる不具合を解消するために、磁気吸着式の連結装置により家具同士を連結することも考えられるが、家具同士が直接当接する部位に磁石を設ける場合以外は、両家具の連結装置間にはスペースが形成されることになる。そのため、かかる状況で使用される連結装置は、家具の所定箇所に設けられた静止要素と、磁石を有し前記静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで突出動作可能な可動要素とを備えたものにする必要がある。
【0006】
ところで、このような連結装置では、家具を接近させる途上で前記可動部材が磁力により連結位置まで突出して家具同士の連結が完結するが、その連結が解除された状態では可動要素が連結位置に取り残されることになる。そのため、かかる連結装置には、連結解除後に可動要素を待機位置まで復帰させるためのばね等の付勢手段や操作手段等を設けることが必要となり、構造が複雑化して軽量化が難しくなる(課題1)。
【0007】
また、天板付きの家具に特化した場合、強力な磁力を有する連結装置を天板近くに配置すると、天板上の電子機器やメモリー等に悪影響を及ぼす虞もある(課題2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-075048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
請求項1記載の発明は、前述した課題1を解消することを目的としている。請求項2記載の発明は、前記課題1に加え、課題2をも解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明に係る家具システムは、家具同士を磁気吸着式の連結装置により連結し得るようにした家具システムであって、前記連結装置が、前記家具に設けられた静止要素と、磁石を有し前記静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素とを備えたものであり、前記両家具に設けられた前記可動要素がそれぞれ磁気吸着面を備えたものであり、前記可動要素が前記連結位置まで突出して前記磁気吸着面同士が磁力により吸着し合うことにより前記家具同士が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で前記可動要素が自重で前記退避位置に自己復帰するように構成されているものである。
【0011】
請求項2記載の発明に係る家具システムは、請求項1記載のものであって、天板同士を当接させた状態で脚体間にスペースが形成される少なくとも2台の家具を備え、前記脚体に前記連結装置を設けているものである。
【0012】
請求項3記載の発明に係る家具システムは、請求項2記載のものであって、前記連結装置は、前記脚体の下端部に設けられたものである。
【0013】
請求項4記載の発明に係る家具システムは、家具同士を磁気吸着式の連結装置により連結し得るようにした家具システムであって、前記連結装置が、前記家具に設けられた静止要素と、磁石を有し前記静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素とを備えたものであり、前記可動要素が前記連結位置まで突出した状態で前記家具が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で前記可動要素が自重で前記退避位置に自己復帰するように構成されており、天板同士を当接させた状態で脚体間にスペースが形成される少なくとも2台の家具を備え、前記脚体の下端部に前記連結装置を設けてなるものであり、前記連結装置の静止要素は、前記脚体の下端部に設けられ外方及び下方に開放された空洞を有する静止要素本体と、前記脚体の下端に設けられ前記空洞の下方への開放端を閉塞する底蓋とを備えたものであり、前記静止要素本体に形成された空洞の天井面、及び前記底蓋に形成された空洞の底面は、外方に向かって漸次上昇するように傾斜させたものであり、前記可動要素は、これら天井面、及び底面に案内されつつ突没動作を行うものである。
【0014】
請求項5記載の発明に係る家具システムは、請求項4記載のものであって、前記連結装置の可動要素が、前記空洞の外方への開放端を塞ぐようにして前記天井面と前記底面との間に配されたカバーと、このカバーの内側に保持された磁石とを備えたものである。
【0015】
請求項6記載の発明に係る家具システムは、請求項5記載のものであって、前記カバーが、前記退避位置において前記脚体の外壁面と略面一となる磁気吸着面を形成する露出壁部と、この露出壁部の両側縁から前記空洞方向に延設された挿入壁部とを備えたもので、上端に前記空洞の天井面に摺接する上傾斜面を有するとともに、下端に前記空洞の底面に摺接する下傾斜面を有しているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、家具の所定箇所に設けられた静止要素と磁石を有し静止要素に保持されて退避位置から連結位置まで突出動作可能な可動要素とを備えた磁気吸着式の連結装置により家具同士を連結させるようにするにあたって、構造が複雑化して軽量化が難しくなるという課題を解消することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、上述した課題に加え、強力な磁力を有する連結装置を天板近くに配置すると、天板上の電子機器やメモリー等に悪影響を及ぼす虞があるという課題も解消することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る天板付き家具を示す全体斜視図。
図2】同実施形態に係る天板付き家具を示す背面側からの全体斜視図。
図3】同実施形態に係る天板付き家具を示す底面側からの全体斜視図。
図4】同実施形態に係る天板付き家具を示す正面図。
図5】同実施形態に係る天板付き家具を示す左側面図。
図6】同実施形態に係る天板付き家具を示す背面図。
図7】同実施形態に係る天板付き家具を示す平面図。
図8】同実施形態に係る天板付き家具を示すキャスタを省略した底面図。
図9図4におけるA-A線に沿った断面図。
図10図9における要部拡大図。
図11】同実施形態に係る天板付き家具の他の使用態様を示す全体斜視図。
図12】同実施形態に係る天板付き家具の他の使用態様を示す全体斜視図。
図13】同実施形態に係る天板付き家具の他の使用態様を示す正面図。
図14】同実施形態に係る天板付き家具の他の使用態様を示す断面図。
図15図14における要部拡大図。
図16】同実施形態に係る天板付き家具の作動説明図。
図17】同実施形態に係る連結装置を示す横断面図。
図18】同実施形態に係る連結装置を示す縦断面図。
図19】同実施形態に係る連結装置を示す縦断面図。
図20】同実施形態に係る連結装置の天板付き家具への取付態様を示す分解斜視図。
図21】同実施形態に係る連結装置の可動要素を示す分解斜視図。
図22】同実施形態に係る連結装置の静止要素本体を示す図。
図23】同実施形態に係る連結装置の底蓋を示す図。
図24】同実施形態に係る連結装置の可動要素のカバーを示す図。
図25】同実施形態に係る連結装置の磁石押さえを示す図。
図26】同実施形態に係る家具システムの1つを示す図。
図27図26における連結装置の作動説明図。
図28図26における連結装置の作動説明図。
図29】同実施形態に係る家具システムの他の1つを示す図。
図30】同実施形態に係る家具システムの他の1つを示す図。
図31】同実施形態に係る家具システムの他の1つを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を、図1図31を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の天板付き家具Tは、図1図6図8及び図11図13に示すように、複数本の脚体1により天板2を支持してなり、隣り合う脚体1の上端近傍部間に補強を兼ねたオプション支持体3を架設しているものである。換言すれば、この天板付き家具Tは、複数本、具体的には4本の脚体1と、これら脚体1により支持される天板2と、隣り合う脚体1の上端近傍部間に架設されたオプション支持体3とを備え、このオプション支持体3にオプションであるパネル4の基端部を支持させるようにしているものである。そして、オプション支持体3によりこの天板付き家具Tの補強も行うようにしている。
【0021】
脚体1は、図1図6及び図11図13に示すように、下端にキャスタ12が設けられた状態で起立した脚支柱11と、この脚支柱11の上端に取り付けられ天板2を下方から支持する天板支持ブラケット13とを備えている。
【0022】
天板2は、四隅部が天板支持ブラケット13により下方から支持されている略矩形板状のもので、図1図2図7図8図11及び図12に示すように、本実施形態では使用端面2b及び反使用端面2cの一側端部に切欠部2aを有している。
【0023】
オプション支持体3は、図1図5図8図9及び図11図14に示すように、隣り合う脚体1の上端近傍部間、より具体的には隣り合う脚体1の天板支持ブラケット13間に架設され、隣り合う脚体1同士を強固に連結することにより天板付き家具Tを補強している。このオプション支持体3は、図10図15及び図16に示すように、金属製の異形断面形状をなすパイプ状の部材、より具体的には角パイプ状の部材である。オプション支持体3の両端は、図3図6図8及び図13に示すように、天板支持ブラケット13に設けられた凹陥部13aに嵌合させてあり、このオプション支持体3の端部を図示しないボルト等により天板支持ブラケット13とともに天板2に共締め固定してある。また、図3図4及び図13に示すように、天板2と天板2の使用端面2b及び反使用端面2cに沿って延びるオプション支持体3との間にはスペーサ31が配されており、オプション支持体3及びスペーサ31が図示しないボルトを介して天板2に共締め固定されている。そして、このオプション支持体3に、パネル4が回動自在に且つ所定回動位置で固定可能に支持されている。
【0024】
このパネル4は、図1図10及び図12図16に示すように、板状をなすパネル本体5と、このパネル本体5をオプション支持体3に取り付けるための取付具6とを備えており、天板2の縁近傍に起立する図9の実線に示すようなデスクトップ姿勢(D)と、前記天板下に垂下する同図の想像線に示すような幕板姿勢(M)とを選択的に採ることができるようになっている。
【0025】
パネル本体5は、略矩形状をなす例えば樹脂製の板状の部材であり、図3図10及び図12図16に示すように、その基端部が取付具6のパネル保持部7により保持されている。より具体的には、図4図6及び図16に示すように、基端部に図示しない第1のねじ挿通孔、及び第2のねじ挿通孔5bを2組設けており、基端部を取付具6のパネル保持部7を構成する保持部本体71と当て板72とにより挟持させた状態で、第1のねじ挿通孔及び第2のねじ挿通孔5bを通過させた第1、第2のボルトB1、B2を介してこのパネル本体5を取付具6に接続するようになっている。また、これら第1のねじ挿通孔と第2のねじ挿通孔5bとの中間には長孔5cが設けられている。
【0026】
取付具6は、パネル本体5を保持するパネル保持部7と、オプション支持体3に接続するクランプ部8とを備えている。
【0027】
パネル保持部7は、図5図8図10および図14図16に示すように、パネル本体5の一方の面に添接する保持部本体71と、パネル本体5の他方の面に添接する当て板72とを備え、これら保持部本体71と当て板72との間でパネル本体5を挟持する。このパネル保持部7の一方の端部には保持部本体71及び当て板72を貫通する図示しない第1のねじ挿通孔、他方の端部には同じく保持部本体71及び当て板72を貫通する第2のねじ挿通孔71b、72bが設けられているとともに、これら第1のねじ挿通孔と第2のねじ挿通孔71b、72bとの中間には長孔71c、72cが設けられている。これら第1のねじ挿通孔、第2のねじ挿通孔71b、72b及び長孔71c、72cは、パネル本体5の第1のねじ挿通孔、第2のねじ挿通孔5b及び長孔5cに対応する位置に設けられている。保持部本体71側の第1のねじ挿通孔には第1のナット部材73が着脱可能に装着されており、第1のナット部材73に第1のボルトB1を螺着するようになっている。保持部本体71側の第2のねじ挿通孔71bに対応する位置には六角柱状の第2のナット部材74が着脱可能に装着されており、第2のナット部材74に第2のボルトB2を螺着するようになっている。
【0028】
クランプ部8は、図3図8図10及び図14図16に示すように、パネル保持部7の保持部本体71と一体に構成されたクランプ本体81と、このクランプ本体81との間で接離可能なフック82と、これらクランプ本体81とフック82とを締着する緊締機構83とを備えている。
【0029】
クランプ本体81は、図10図15及び図16に示すように、オプション支持体3の一辺の両端部にそれぞれ当接する対をなす当接部811と、これら当接部811間に形成された円筒面状をなす凹部812と、一方の当接部811近傍からオプション支持体3に対向しつつ円弧状に延伸する第1のアーム813と、他方の当接部811近傍からオプション支持体3に対向しつつ円弧状に延伸する第2のアーム814とを備えている。これら第1及び第2のアーム813、814は、厚さ方向に離間した状態でそれぞれ対をなして設けられており、対をなす第1のアーム813間及び対をなす第2のアーム814間にフック82の一端部823及び他端部824がそれぞれ配されるようになっている。
【0030】
フック82は、図10図15及び図16に示すように、オプション支持体3の一辺の両端部にそれぞれ当接する対をなす当接部821と、これら当接部821間に形成された円筒面状をなす凹部822と、クランプ本体81の第1のアーム813間に配され当該第1のアーム813を貫通させた回転軸84に軸支される一端部823と、クランプ本体81の第2のアーム814間に配され当該第2のアーム814間を移動可能な他端部824とを備えている。ここで、フック82の他端部824には、クランプ本体81の第2のアーム814に設けた長孔814a内を移動可能な案内突起824aが設けられており、これら長孔814aと案内突起824aとによりフック82のクランプ本体81に対する可動範囲が規制されるようになっている。
【0031】
緊締機構83は、図16に示すように、フック82に設けられたナット831と、このナット831に螺着可能であるとともにパネル本体5及びパネル保持部7の長孔5c、71c、72cを通過するとともにグリップボルト832とを備えている。このグリップボルト832は、グリップ状をなす操作部である頭部833を備え、当該グリップボルト832をナット831に螺着した際にこの頭部833をパネル保持部7の当て板72に衝き当てることができるようになっている。そして、この緊締機構83によりクランプ本体81とフック82とを締着するとクランプ本体81及びフック82の当接部811、821がオプション支持体3の計4箇所に当接した状態でオプション支持体3を挟持する固定状態とすることができ、これらクランプ本体81とフック82との締着状態を解除しフック82を接続部本体81に対して回動させこれらフック82とクランプ本体81との間の空間を拡開させることにより、図16の(b)に示すように、取付具6及びパネル本体5をオプション支持体3の回りに回動可能な固定解除状態とすることができる。また、この緊締機構83を固定解除状態とすると、パネル4がオプション支持体3に沿って水平方向にもスライド可能となる。換言すれば、パネル4の基端部は、オプション支持体3に沿って水平方向にもスライドさせ得るように支持されている。
【0032】
ここで、パネル4の取付姿勢をデスクトップ姿勢(D)から幕板姿勢(M)に変更する際の操作及び各部の作用について述べる。
【0033】
パネル4がデスクトップ姿勢(D)に固定されている状態では、前述したように、また、図16の(a)に示すように、緊締機構83によりクランプ本体81とフック82とが締着されており、クランプ本体81及びフック82の当接部811、821がオプション支持体3の計4箇所に当接した状態でオプション支持体3を挟持している。この状態から操作部すなわちグリップボルト832の頭部833に回転操作を加えて締着を緩め、図16の(b)に示すように、フック82をクランプ本体81に対して回動させると、クランプ本体81及びフック82の当接部811、821がオプション支持体3から離間し、これらフック82とクランプ本体81との間の空間が拡開してパネル4をオプション支持体3のまわりに回動させることが可能となる。そして、図16の(c)に示すように、パネル4を略180°回転させ、パネル4を天板2下に垂下する幕板姿勢(M)としたところで緊締機構83により、すなわち操作部すなわちグリップボルト832の頭部833に回転操作を加えることによりクランプ本体81とフック82とを締着してこれらによりオプション支持体3を挟持すると、再びクランプ本体81及びフック82の当接部811、821がオプション支持体3の計4箇所に当接した状態となり、パネル4は幕板姿勢(M)に固定される。パネル4の取付姿勢を幕板姿勢(M)からデスクトップ姿勢(D)に変更する際には、この逆の操作を行えばよい。
【0034】
なお、パネル4の取付姿勢をデスクトップ姿勢(D)とした際には、天板2の反使用端面2c側の切欠部2aとパネル本体5との間の空間を利用して、電源コード等の配線を天板2の下方から天板2の上方に導くことができるようになっている。
【0035】
ここで、図1は、パネル4をデスクトップ姿勢(D)とした状態の本実施形態に係る天板付き家具Tを示す上方正面側から見た全体斜視図であり、図2は、同上方背面側から見た全体斜視図であり、図3は、同底面側から見た全体斜視図である。図4は、同正面図であり、図5は、同左側面図であり、図6は、同背面図である。図7は、同平面図であり、図8は、キャスタ12を省略した状態の同底面図である。図9は、図4におけるA-A線に沿った断面図であり、下端部を一部省略して示している。図10は、図9における要部拡大図である。図11は、パネル4を幕板姿勢(M)とした状態の同天板付き家具Tを示す上方正面側から見た全体斜視図であり、図12は、同上方背面側から見た全体斜視図である。図13は、同正面図であり、図14は、同天板付き家具Tの図9に対応した断面図であり、下端部を一部省略して示している。図15は、図14における要部拡大図である。図16は、同天板付き家具Tの作動説明図であり、同図の(a)はパネル4をデスクトップ姿勢(D)に固定した状態、同図の(b)はパネル4を回動させる途中の状態、同図の(c)は幕板姿勢(D)に固定した状態である。
【0036】
以上説明した家具である天板付き家具T(この天板付き家具Tを同一構造をなす他の天板付き家具T2、T3、T4と区別して示す必要がある場合には、この天板付き家具Tを「天板付き家具T1」と称する場合がある)は、脚体1の下端部に磁気吸着式の連結装置9がそれぞれ設けられており、図26図31に示すように、これらの連結装置9により複数台の天板付き家具Tを横方向(左右方向)あるいは対面方向(前後方向)に装脱可能に連結することができるようになっている。これらの天板付き家具Tを複数台組み合わせたものを、以下「家具システムS」と称する。
【0037】
家具システムSは、天板付き家具T同士を磁気吸着式の連結装置9により連結し得るようにしたものであって、連結装置9が、図17図19に示すように、天板付き家具Tに設けられた静止要素91と、磁石922を有し静止要素91に保持されて退避位置(P)から連結位置(Q)まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素92とを備えたものであり、可動要素92が連結位置(Q)まで突出した状態で両天板付き家具T1、T2が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で可動要素92が自重で退避位置(P)に自己復帰するように構成されている。
【0038】
異なった観点から概説すると、この家具システムSは、天板2を脚体1により支持してなる前述した天板付き家具T同士を脚体1に設けた磁気吸着式の連結装置9により連結し得るようにしたものであり、その連結装置9は、図17図20に示すように、脚体1に設けられた静止要素91と、天板2の直交する2つの端面(反使用端面2c、側端面2d)と平行な一対の磁気吸着面92a、92bを有し静止要素91に保持されて天板2の両端面を二等分する方向に突没動作を行う可動要素92とを備えたものである。連結装置9の可動要素92は、所定の退避位置(P)から、直交する一対の磁気吸着面92a、92bが平面視において天板2の直交する2つの端面に略合致する連結位置(Q)まで突出動作し得るように設定されている。そして、連結装置9の可動要素92は、一方の磁気吸着面92aがN極となり、他方の磁気吸着面92bがS極となるように設定されている。
【0039】
以下、天板付き家具Tの連結に関係する部分、及び連結装置9について詳述する。
【0040】
天板付き家具Tの脚体1は、図17図20に示すように、平面視において天板2の一方の端面よりも一定距離dだけ内側に控えた第1の外壁面1aと、天板2の他方の端面よりも一定距離dだけ内側に控えた第2の外壁面1bとを備えたものであり、連結装置9の可動要素92は、平面視において直交する一対の磁気吸着面92a、92bが脚体1の両外壁面1a、1bに略合致する退避位置(P)から天板2の両端面に略合致する連結位置(Q)まで突出動作し得るように構成されたものである。
【0041】
具体的には、天板付き家具Tの脚体1は、図17及び図21に示すように、直交する第1、第2の外壁面1a、1bを有する断面四角形状をなすものであり、連結装置9は、脚体1の下端部における両外壁面1a、1bが交わる外向き角部1eに設けられている。より具体的には、脚体1は、押出成形等により作られた四角柱状のもので、外方を向く一対の外壁面1a、1bを有した外向壁14と、下肢空間SPに臨む一対の内壁面1c、1dを有した内向壁15とを備えている。脚体1の内部には外向壁14と内向壁15とを接続する接続壁16やナットを形成するためのボス部17等が一体に設けられている。脚体1の下端部1xには、一対の外向壁14により形成される角部1eを一部切除することにより連結装置9を取り付けるための切欠部1kが形成されている。切欠部1kは、外方及び下方に開放されている。
【0042】
なお、この天板付き家具Tにおいては、天板2の反使用端面2c側を2本の脚体1により支持するとともに、天板の使用端面2b側を2本の脚体1により支持しており、これら4本の脚体1にそれぞれ連結装置9が1個ずつ設けられている。しかして、天板2の反使用端面2c側を支持する脚体1については、第1、第2の外壁面1a、1bが、天板2の反使用端面2c(一方の端面)及び側端面2d(他方の端面)から一定距離dだけ内側に控えたものとなり、天板の使用端面2b側を支持する脚体については、第1、第2の外壁面1a、1bが、天板2の使用端面2b(一方の端面)及び側端面2d(他方の端面)から一定距離dだけ内側に控えたものとなっている。
【0043】
連結装置9は、可動要素92が連結位置(Q)まで突出した状態で両天板付き家具Tが磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で可動要素92が自重で退避位置(P)に自己復帰するように構成されている。すなわち、連結装置9は、脚体1に設けられた静止要素91と、磁石922を有し静止要素91に保持されて図17の(a)及び図18に示す退避位置(P)から図17の(b)及び図19に示す連結位置(Q)まで上昇しつつ突出動作可能な可動要素92とを備えたものであり、両天板付き家具Tの脚体1に設けられた各連結装置9の可動要素92が連結位置(Q)まで突出した状態で両天板付き家具Tが磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態、すなわち、両天板付き家具Tが引き離されて各連結装置9の可動要素92に磁気吸着力が作用しなくなった状態でそれら両可動要素92が自重で退避位置91にそれぞれ自己復帰するようになっている。
【0044】
連結装置9の静止要素91は、図18図20に示すように、脚体1の下端部1xに設けられ外方及び下方に開放された空洞95を有する静止要素本体93と、脚体1の下端に設けられ前記空洞91sの下方への開放端を閉塞する底蓋94とを備えたものであり、図18図21及び図22に示すように、静止要素本体93に形成された空洞95の天井面95a、及び底蓋94に形成された空洞95の底面95bは、外方に向かって漸次上昇するように傾斜させたものである。そして、可動部材92は、これら天井面95a、及び底面95bに案内されつつ突没動作を行うものである。
【0045】
具体的には、静止要素本体93は、合成樹脂等の非磁性体により作られたもので、図18図20に示すように、上端に設けた屈曲突起931を脚体1の外向壁14の内側に係合させるとともに、脚体1の下端に底蓋94を装着することによって、脚体1の下端部1xに設けた切欠部1kに取り付けられている。しかして、この静止要素本体93の外面93aは、脚体1の外壁面1a、1bと面一に設定されており、退避位置(P)にある可動要素92の磁気吸着面92a、92bが静止要素本体93の外面93a及び脚体1の外壁面1a、1bと面一となるように構成されている。底蓋94には前述したキャスタ12が設けられている。
【0046】
連結装置9の可動要素92は、図18図19及び図21に示すように、空洞95の外方への開放端を塞ぐようにして当該空洞95の天井面95aと底面95bとの間に配されたカバー921と、このカバー921の内側に保持された磁石922と、磁石922の抜け止めを図るべくカバー921に取り付けられる磁石押さえ920とを備えたものであり、カバー921及び磁石押さえ920は合成樹脂等の非磁性体により作られている。カバー921は、図18図19図21及び図24に示すように、退避位置(P)において脚体1の外壁面1a、1bと略面一となる磁気吸着面92a、92bを形成する露出壁部923と、この露出壁部923の両側縁から空洞95方向に延設された挿入壁部924とを備えたもので、上端に空洞95の天井面95aに摺接する上傾斜面925を有するとともに、下端に空洞95の底面95bに摺接する下傾斜面926を有している。それら上傾斜面925及び下傾斜面926は、静止要素本体93の天井面95a、及び底面95bに常時摺接するように外方に向かって漸次上昇する方向に傾斜させてある。また、露出壁部923の内面からは上下1対のリブ923aを内方に向けて突設しており、これらのリブ923aの間に磁石922を保持させるようにしている。磁石押さえ920は、図18図19図21及び図25に示すように、カバー921の露出壁部923に対向する抜止壁部927と、この抜止壁部927の両側縁から延設されカバー921の挿入壁部924に添接する接続壁部928とを備えている。この接続壁部928の先端には弾性爪929aが突設されており、磁石922をカバー921に保持させた状態でこの弾性爪929aをカバー921の挿入壁部924の基端に設けた係合窓929bに係合させることにより、磁石押さえ920をカバー921に取り付けるようにしている。この可動要素92は、退避位置(P)において脚体1の外壁面1a、1bと略面一となる直交した一対の磁気吸着面92a、92bを備えたものであり、一方の磁気吸着面92aがN極となり他方の磁気吸着面92bがS極となるように磁石922が着磁されている。なお、図17では、使用端面2bに向かって右側の脚体1を示しており、使用端面2b(又は反使用端面2c)に平行な面をN極となる一方の磁気吸着面92a、側端面2dに平行な面をS極となる他方の磁気吸着面92bとしているが、使用端面2bに向かって左側の脚体1では、逆に、側端面2dに平行な面をN極となる一方の磁気吸着面92a、使用端面2b(又は反使用端面2c)に平行な面をS極となる他方の磁気吸着面92bとしている。また、可動要素92は、係止機構96により連結位置(Q)で係止され、それ以上外方に突出動作し得ないように規制されている。係止機構96は、静止要素91の空洞95における内側面95cに設けられた開口部96aと、可動要素92のカバー921における挿入壁部928の挿入端に設けられた係止爪96bとを備えたものであり、可動要素92が退避位置(P)から接続位置(Q)までの間で突没動作する際には係止爪96bが静止要素本体93の開口部96a内で自由に進退し得るが、可動要素92が連結位置(Q)に達した段階では係止爪96bが開口部の外方端縁に係合して当該可動要素92のカバー921が静止要素本体93から抜出するのが禁止されるようになっている。
【0047】
以上説明した天板付き家具Tを複数台用いて家具システムS1~S4を構成する場合について具体的に説明すれば、次の通りである。
【0048】
図26図28は、2台の天板付き家具T1、T2を横方向に連結した家具システム(以下、家具システムS1と称する)を示している。この場合、2台の天板付き家具T1、T2を左右方向に接近させて天板2の側端面2d同士を突き合わせると、両天板付き家具T1、T2の隣接端側(側端側)に位置する脚体1の連結装置9が作動して、両天板付き家具T1、T2が磁力により連結される。すなわち、隣接端側に位置する2本の脚体1の連結装置9における可動要素92がそれぞれ退避位置(P)から連結位置(Q)に磁力により突出動作を行い、連結位置(Q)において会合し磁気吸着状態となって天板付き家具T1、T2同士が連結される。隣接する脚体1の連結装置9同士の磁気吸着力の方向と、各連結装置9の可動要素92の突出動作方向とは45°異なっているが、各可動要素92は磁気吸着力の分力によりそれぞれ突出方向に付勢され、相互に吸着可能な連結位置(Q)に達するものである。
【0049】
なお、この実施形態の場合、各連結装置9の可動要素92は、静止要素91の天井面95a及び底面95bに案内されて退避位置(P)から漸次上昇しながら突出動作を行って連結位置(Q)に達するようになっている。そのため、連結状態から両天板付き家具T1、T2を磁気吸着力に抗して引き離すと、各可動要素92に対する外方への磁気付勢力が消勢し、各可動要素92は上傾斜面925に摺接する天井面95aと、下傾斜面926に摺接する底面95bとに案内されつつ自重により元の退避位置(P)に自己復帰することなる。退避位置(P)に復帰した連結装置9の可動要素92の磁気吸着面92a、92bは、静止要素本体93の外面93a及び脚体1の外壁面1a、1bと面一となるため、連結装置9の可動要素92が出っ張ることもなく、見栄えも良好なものになる。
【0050】
図29は、2台の天板付き家具T1、T3を前後方向に連結した家具システム(以下、家具システムS2と称する)を示している。この場合、2台の天板付き家具T1、T3を前後方向に対面させて天板2の反使用端面2c同士を突き合わせると、両天板付き家具T1、T3の隣接端側(反使用端面2c側)に位置する脚体1の連結装置9が作動して、両天板付き家具T1、T3が磁力により連結される。連結装置9の作動は横方向連結に準じたものであるため、説明を省略する。なお、この実施形態の天板付き家具T1、T3は、パネル4をデスクトップ姿勢(D)に位置させている状態では反使用端面2c同士を突き合わせることができないため、パネル4を取り外すか、又はパネル4を幕板姿勢(M)に移行させた状態で連結を行うことになる。
【0051】
図30は、第1の天板付き家具T1に対して、第2の天板付き家具T2を横方向に連結するとともに、第3の天板付き家具T3を前後方向に連結した家具システム(以下、家具システムS3と称する)を示している。この場合、第1の天板付き家具T1における単一の連結装置9の可動要素92が、第2の天板付き家具T2における連結装置9の可動要素92と、第3の天板付き家具T3における連結装置9の可動要素92の両方に磁気吸着して3台の天板付き家具T1~T3を連結した家具システムS3を構成することができる。
【0052】
また、以上説明した連結態様を順次各天板付き家具T間に適用すれば、4台以上の天板付き家具Tを前後、左右に連結した多様な家具システムを構築することもできる。図31は、横方向に連結した第1、第2の天板付き家具T1、T2に、同じく横方向に連結した第3、第4の天板付き家具T3、T4を前後方向に連結した家具システムS4である。
【0053】
ここで、図17の(a)は、可動要素92が退避位置(P)にある状態の連結装置9の要部横断面図であり、同図の(b)は、可動要素92が連結位置(Q)にある状態の連結装置9の要部横断面図である。図18は、可動要素92が退避位置(P)にある状態の連結装置9を示す図17におけるB-B線に沿った断面図であり、図19は、可動要素92が連結位置(Q)にある状態の連結装置9を示す図17におけるC-C線に沿った断面図である。図20は、連結装置9の脚体1への取付態様を示す分解斜視図である。図21は、可動要素92を示す分解斜視図である。図22の(a)~(d)は、それぞれ静止要素本体93の平面図、左側面図、正面図及び背面図である。図23の(a)~(c)は、それぞれ底蓋94の平面図、左側面図及び正面図である。図24の(a)~(d)は、それぞれカバー921の平面図、左側面図、正面図及び背面図である。同図の(e)は、同図の(c)におけるD-D線に沿った断面図である。図25の(a)~(c)は、それぞれ磁石押さえ920の平面図、左側面図及び正面図である。図26の(a)は家具システムS1を構成する2台の天板付き家具T1、T2を横方向に離間させて配置した状態の斜視図、同図の(b)は2台の天板付き家具T1、T2を横方向に連結した状態の斜視図である。図27は2台の天板付き家具T1、T2を横方向に離間させて配置した状態における連結装置9の横断面図であり、図28は2台の天板付き家具T1、T2を横方向に連結した状態における連結装置9の横断面図である。図29の(a)は家具システムS2を構成する2台の天板付き家具T1、T3を前後方向に離間させて配置した状態の斜視図、同図の(b)は2台の天板付き家具T1、T3を前後方向に連結した状態の斜視図である。図30は家具システムS3を構成する3台の天板付き家具T1~T3を連結した状態における連結装置9の横断面図である。図31は家具システムS4を構成する4台の天板付き家具T1~T4を連結した状態における連結装置9の横断面図である。なお、図27図28図30及び図31では、天板2の切欠部2aは省略し、天板2を平面視矩形状をなすものとして示している。
【0054】
このような構成であれば、天板付き家具T1~T4同士を連結装置9により連結することができるため、天板付き家具T1~T4が位置ずれを起こして乱雑になるのを有効に防止することができる。しかも、連結装置9は磁気吸着式のものであるため、配置替えを行う場合でも、連結部分の解体や再組立の作業が不要となり、迅速な対応が可能となる。しかも、連結装置9は、磁石922を有し退避位置(P)から連結位置(Q)まで突出動作を行う可動要素92を備えたものであるため、直接当接する部位以外の箇所にも当該連結装置9を好適に配置することができる。
【0055】
そして、この連結装置9は、可動要素92が連結位置(Q)まで突出した状態で天板付き家具T1~T4が磁力により連結されるとともに、その連結が解除された状態で可動要素92が自重で退避位置(P)に自己復帰するように構成されているので、連結を解除した際に可動部材92を元の退避位置(P)に戻すためのばね等の付勢機構や操作機構を設ける必要がなく、この点からも構成の簡略化、並びに軽量化を図ることができる。
【0056】
また、この実施形態では、連結装置9を脚体1に設けているため、天板2上の電子機器類やメモリー等に磁気の影響が及ぶのを抑制することができる。特に、図示例のように連結装置9を前記脚体1の下端部1xに設けておけば、その効果がより顕著なものとなる。
【0057】
そして、この実施形態では、各天板付き家具T1~T4の脚体1に横方向連結用の連結装置と前後方向連結用の連結装置を格別に設けることなく、横方向の連結にも前後方向の連結にも対応することができる。すなわち、各脚体1に設けられた連結装置9は、天板2の直交する2つの端面(使用端面2b及び側端面2d、並びに反使用端面2c及び側端面2d)と平行な一対の磁気吸着面92a、92bを有し静止要素91に保持されて天板2の両端面(使用端面2b及び側端面2d、並びに反使用端面2c及び側端面2d)を二等分する方向(図17の直線Lが伸びる方向)に突没動作を行う可動要素92を備えている。そのため、各連結装置9の可動要素92が、直交する2種類の方向から接近する他の天板付き家具T1~T4の連結装置9と磁気吸着し合う関係が成り立つことになる。したがって、最小個数の連結装置9を用いて、複数の天板付き家具T1~T4を多様に連結した家具システムS1~S4を構成することができる。
【0058】
その結果、各脚体1に多数の連結装置を設ける場合に比べて部品点数を大幅に削減することができ、製造や組立に要する工数を少なくすることができるとともに、家具全体の軽量化をも図ることができ、軽快且つ迅速に組み替えが可能な家具システムS1~S4を提供することが可能となる。
【0059】
また、この実施形態のように、連結装置9の可動要素92を、一方の磁気吸着面92aがN極となり、他方の磁気吸着面92bがS極となるように設定しておけば、横方向の連結や前後方向の連結だけでなく、図31に示すような、一か所に4台の天板付き家具T1~T4の脚体1が集合するような連結態様の家具システムS4の場合でも、各連結装置9の磁気吸着面92a、92b同士が適切に吸着し合う関係を容易に実現することができる。
【0060】
さらに、連結装置9の可動要素92が、平面視において直交する一対の磁気吸着面92a、92bを脚体1の両外壁面1a、1bに略合致する退避位置(P)から天板2の両端面(使用端面2b及び側端面2d、並びに反使用端面2c及び側端面2d)に略合致する連結位置(Q)まで突出動作させるようにしているので、脚体1が、平面視において天板2の一方の端面2b、2cよりも一定距離dだけ内側に控えた第1の外壁面1aと、天板2の他方の端面2dよりも一定距離dだけ内側に控えた第2の外壁面1bとを備えた天板付き家具Tに適用した場合、直交する磁気吸着面92a、92bが最適な連結位置に突出移動することになり、確実な連結動作を実現することができる。
【0061】
また、この実施形態においては、脚体1が、直交する第1、第2の外壁面1a、1bを有する断面四角形状をなすものであるため、連結装置9を、脚体1の前記両外壁面1a、1bが交わる外向き角部1eに設けることにより以上説明した構成を実現することが可能となる。
【0062】
なお、本発明は必ずしも前述した実施形態のものに限定されないのは勿論であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0063】
例えば、前述した実施形態では、家具の連結方向に対して45°の角度をなして可動要素が突没動作を行う場合について説明したが、他の角度でもよく、例えば、家具の連結方向と同じ方向に可動要素が突没動作を行うものであってもよい。
【0064】
また、連結装置を設ける部位は、必ずしも脚体の角部に限られるものではなく、家具の最外端面よりも若干内側に控えた箇所に当該連結装置を設ければ同様な作用効果を得ることができる。
【0065】
さらに、前記実施形態の連結装置における可動要素は一定の磁極を備えているが、例えば、磁石を自転可能に保持することによって、磁極が適宜変化するようなものにしてもよい。その他、可動要素の構成は、連結位置まで突出した状態で家具同士が磁力により連結されるとともに、家具同士の連結が解除された状態で自重により退避位置に自己復帰可能なものであれば、前述した実施形態のものに限らず、任意のものを採用してよい。
【0066】
加えて、静止要素の構成も、可動要素を退避位置から連結位置まで上昇しつつ突出動作可能な態様で保持できるものであれば、前述した実施形態のものに限らず、任意のものを採用してよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0068】
S1~S4…家具システム
T(T1~T4)…家具(天板付き家具)
1…脚体
1x…脚体の下端部
2…天板
9…連結装置
91…静止要素
92…可動要素
92a、92b…磁気吸着面
921…カバー
922…磁石
923…露出壁部
924…挿入壁部
925…上傾斜面
926…下傾斜面
93…静止要素本体
94…底蓋
95…空洞
95a…空洞の天井面
95b…空洞の底面
(P)…退避位置
(Q)…連結位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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