(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】圧電アクチュエーター、超音波素子、超音波探触子、超音波装置、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H04R17/00 332A
(21)【出願番号】P 2020195034
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大橋 幸司
(72)【発明者】
【氏名】小島 力
(72)【発明者】
【氏名】古畑 誠
(72)【発明者】
【氏名】小野木 智英
(72)【発明者】
【氏名】狭山 朋裕
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-097733(JP,A)
【文献】特開2015-188208(JP,A)
【文献】特開2018-142830(JP,A)
【文献】特開2020-156015(JP,A)
【文献】特開2019-169920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された基板と、
第1面が前記開口部を閉塞するように前記基板に設けられた振動板と、
前記振動板の前記第1面とは反対側の第2面において、前記開口部に対応して設けられた
複数の圧電素子と、
前記振動板の前記第2面に対向して配置される封止板と、
前記振動板の前記第2面に設けられ、前記振動板の振動を抑制する抑制部と、
前記第1面から前記開口部へ延出する第1立壁と、
前記第1面において、前記第1立壁と異なる位置から前記開口部へ延出する第2立壁と、を備え、
前記複数の圧電素子は、第1軸と、前記第1軸と直交する第2軸と、に沿ってマトリックス状に配置され、
前記圧電素子は、前記第2面側から第1電極、圧電体層、第2電極の順に積層され、前記第1電極と、前記圧電体層と、前記第2電極と、が重なる部分を能動部としたとき、積層方向からの平面視において、前記第1立壁と前記第2立壁とは、
前記第2軸に沿った方向から前記能動部を挟むように設けられ、
前記抑制部は、上面が前記振動板の前記第2面に接合され、下面が前記封止板に接合され、前記第1軸に沿った方向から前記能動部を挟むように設けられ、
前記第2立壁は、幅、高さ、長さ、物性の少なくとも一つが前記第1立壁と異なる、
圧電アクチュエーター。
【請求項2】
請求項
1に記載の圧電アクチュエーターと、
前記圧電アクチュエーターが超音波を送信するための送信回路と、
前記圧電アクチュエーターが超音波を受信するための受信回路と、を備える、
超音波素子。
【請求項3】
請求項
2記載の超音波素子と、
前記超音波素子を収納する筐体と、を備える、
超音波探触子。
【請求項4】
請求項
2記載の超音波素子と、
前記超音波素子を制御する制御部と、を備える、
超音波装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の圧電アクチュエーターを備える、
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエーター、超音波素子、超音波探触子、超音波装置、及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、開口部が形成された基板と、開口部を塞ぐように基板に設けられた振動板と、振動板の開口部とは反対側に積層された第1電極と圧電体層と第2電極とを含む複数の圧電素子と、を備え、第1電極と圧電体層と第2電極とが積層される方向において第1電極と圧電体層と第2電極とが完全に重なる部分を能動部としたとき、隣り合う能動部間に、振動板の振動を抑制する抑制部と、開口部を取り囲む隔壁と、が設けられている超音波センサーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、開口部を取り囲む隔壁は、同一の形状及び物性を有している。このため、振動板の振動が隔壁に伝わった際に隔壁が共振し易く、この隔壁の共振に起因する不要な周波数の振動が出現してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
圧電アクチュエーターは、開口部が形成された基板と、第1面が前記開口部を閉塞するように前記基板に設けられた振動板と、前記振動板の前記第1面とは反対側の第2面において、前記開口部に対応して設けられた圧電素子と、前記振動板の振動を抑制する抑制部と、前記第1面から前記開口部へ延出する第1立壁と、前記第1面において、前記第1立壁と異なる位置から前記開口部へ延出する第2立壁と、を備え、前記圧電素子は、前記第2面側から第1電極、圧電体層、第2電極の順に積層され、前記第1電極と、前記圧電体層と、前記第2電極と、が重なる部分を能動部としたとき、積層方向からの平面視において、前記第1立壁と前記第2立壁とは、前記能動部を挟むように設けられ、前記第2立壁は、幅、高さ、長さ、物性の少なくとも一つが前記第1立壁と異なる。
【0006】
超音波素子は、上記に記載の圧電アクチュエーターと、前記圧電アクチュエーターが超音波を送信するための送信回路と、前記圧電アクチュエーターが超音波を受信するための受信回路と、を備える。
【0007】
超音波探触子は、上記に記載の超音波素子と、前記超音波素子を収納する筐体と、を備える。
【0008】
超音波装置は、上記に記載の超音波素子と、前記超音波素子を制御する制御部と、を備える。
【0009】
電子デバイスは、上記に記載の圧電アクチュエーターを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る超音波測定装置の概略構成を示す斜視図。
【
図2】実施形態1に係る超音波測定装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態1に係る圧電アクチュエーターの概略構成を示す斜視図。
【
図4】実施形態1に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図5】実施形態1に係る圧電アクチュエーターを封止板側から見た平面図。
【
図8】比較例に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図10】比較例に係る圧電アクチュエーターの周波数スペクトルを示す図。
【
図11】実施形態1に係る圧電アクチュエーターの周波数スペクトルを示す図。
【
図12】実施形態2に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図14】実施形態3に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図15】実施形態4に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図16】実施形態5に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図17】実施形態6に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図19】実施形態7に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図20】実施形態7に係る圧電アクチュエーターを封止板側から見た平面図。
【
図22】実施形態8に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図24】実施形態9に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【
図25】実施形態10に係る圧電アクチュエーターを基部側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態1
実施形態1に係る超音波測定装置1について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の超音波装置及び電子デバイスとしての超音波測定装置1は、超音波探触子2と、超音波探触子2にケーブル3を介して電気的に接続される制御部10と、を有する。
【0012】
超音波測定装置1は、超音波探触子2を人体等の生体の表面に当接し、超音波探触子2から超音波を送出し、生体内にて反射された超音波を超音波探触子2にて受信し、その受信信号に基づいて、生体内の内部断層画像を取得することや、血流等の生体内の器官の状態を測定することができる。
【0013】
超音波探触子2は、超音波素子24と、超音波素子24を収納する筐体21と、を有する。
【0014】
超音波素子24は、圧電アクチュエーター22と、圧電アクチュエーター22を制御する回路基板23と、を有する。
【0015】
回路基板23は、圧電アクチュエーター22から超音波を送信するための送信回路232と、圧電アクチュエーター22が超音波を受信して受信信号を出力するための受信回路233と、選択回路231と、を有する。
【0016】
選択回路231は、制御部10の制御により、圧電アクチュエーター22と送信回路232とを接続する送信接続、及び圧電アクチュエーター22と受信回路233とを接続する受信接続を切り替える。
【0017】
送信回路232は、送信接続に切り替えられた際に、選択回路231を介して圧電アクチュエーター22に超音波を発信させるための送信信号を出力する。
【0018】
受信回路233は、受信接続に切り替えられた際に、選択回路231を介して圧電アクチュエーター22から入力された受信信号を制御部10に出力する。受信回路233は、受信信号のデジタル信号への変換、ノイズ成分の除去、所望信号レベルへの増幅等の各信号処理を実施した後、処理後の受信信号を制御部10に出力する。
【0019】
筐体21は、例えば矩形状の箱状に形成される。筐体21の一面がセンサー面21Aとなり、センサー面21Aにはセンサー窓21Bが設けられる。センサー窓21Bからは、圧電アクチュエーター22の一部が露出している。また、筐体21の一部には、ケーブル3の通過孔21Cが設けられ、ケーブル3は、通過孔21Cから回路基板23に接続されている。
【0020】
制御部10は、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、演算部14と、を有する。制御部10は、超音波素子24を制御する。制御部10は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピューター等の汎用端末装置や、超音波探触子2を操作するための専用端末装置を用いることができる。
【0021】
操作部11は、超音波測定装置1を操作するためのユーザーインターフェイスであり、例えば表示部12上に設けられたタッチパネルや、操作ボタン等を用いることができる。表示部12は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され、画像を表示させる。記憶部13は、超音波測定装置1を制御するための各種プログラムや各種データを記憶する。演算部14は、例えばCPU等の演算回路や、メモリー等の記憶回路により構成されている。演算部14は、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、送信回路232に対して送信信号の生成及び出力処理の制御を行い、受信回路233に対して受信信号の周波数設定やゲイン設定などの制御を行う。
【0022】
実施形態1に係る圧電アクチュエーター22について、
図3~
図7、及び
図11を参照して説明する。圧電アクチュエーター22は、後述するように、第1立壁418の幅W1と、第2立壁419の幅W2と、が異なる。なお、
図5は、圧電アクチュエーター22の内部の構成を説明する便宜上、封止板42を取り外した状態を図示している。また、図中、説明する便宜上、各構成要素の寸法比率は実際とは異なる。
【0023】
図面に付記する座標においては、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、及びZ軸として説明する。X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向がプラス方向である。また、Z方向からの平面視において、Z方向プラス側の面を上面、これと反対側となるZ方向マイナス側の面を下面として説明する。
【0024】
図3に示すように、圧電アクチュエーター22は、基部41と、封止板42と、抑制部43と、を備える。
【0025】
図3、
図4、及び
図6に示すように、基部41は、開口部411Aが形成された基板411と、開口部411Aを閉塞する振動板412と、振動板412に設けられた複数の圧電素子413と、振動板412に設けられた第1立壁418と、振動板412に設けられた第2立壁419と、を有する。なお、基板411の開口部411Aには、音響整合層や音響レンズ等が設けられていても構わない。
【0026】
基板411は、シリコン等の半導体基板である。本実施形態では、基板411は、シリコンにより形成される。基板411は、Z方向からの平面視で、基板411の中央部に開口部411Aを有する。
【0027】
振動板412は、例えば酸化シリコンや、酸化シリコン及び酸化ジルコニウムの積層体等による薄膜である。振動板412は、第1面412hと、第1面412hとは反対側の第2面412rと、を有する。第1面412hは振動板412の上面であり、第2面412rは振動板412の下面である。振動板412は、基板411の下面に設けられ、振動板412の第1面412hが、基板411の開口部411Aを基板411の下面側から閉塞する。
【0028】
図3、
図4、及び
図6に示すように、第1立壁418は、振動板412の第1面412hに設けられ、第1面412hから開口部411Aに延出している。本実施形態では、第1立壁418は、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸している。また、第1立壁418のX方向プラス側及びX方向マイナス側の端部は、それぞれ開口部411AのX方向プラス側及びX方向マイナス側の周縁に接続している。
【0029】
第2立壁419は、振動板412の第1面412hに設けられ、第1面412hにおいて第1立壁418と異なる位置から開口部411Aに延出している。本実施形態では、第2立壁419は、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸しており、第1立壁418と、第2立壁419と、は、Y方向に並んで隣り合う位置に配置される。また、第2立壁419のX方向プラス側及びX方向マイナス側の端部は、それぞれ開口部411AのX方向プラス側及びX方向マイナス側の周縁に接続している。
【0030】
本実施形態では、第1立壁418と、第2立壁419と、は、Z方向からの平面視で、Y方向に交互に並んで配置され、開口部411Aを区画する隔壁として機能する。
【0031】
なお、本実施形態では、第1立壁418及び第2立壁419は、基板411をフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングすることにより形成される。これにより、第1立壁418と、第2立壁419と、は基板411と同じ材質で形成することができる。例えば、基板411としてシリコン基板を用いることにより、第1立壁418及び第2立壁419をシリコンにより形成することができる。このように、第1立壁418の材質と、第2立壁419の材質と、をそれぞれ同じ材質とすることにより、第1立壁418の物性と、第2立壁419の物性と、を略等しくすることができる。
【0032】
ここで、Z方向からの平面視で、第1立壁418のY方向プラス側の縁からY方向マイナス側の縁までの距離が、第1立壁418の幅W1であり、第1立壁418のX方向プラス側の端部からX方向マイナス側の端部までの距離が、第1立壁418の長さL1である。また、X方向からの平面視で、第1立壁418の下面に相当する振動板412の第1面412hから第1立壁418の上面までの距離が、第1立壁418の高さH1である。
【0033】
同様に、Z方向からの平面視で、第2立壁419のY方向プラス側の縁からY方向マイナス側の縁までの距離が、第2立壁419の幅W2であり、第2立壁419のX方向プラス側の端部からX方向マイナス側の端部までの距離が、第2立壁419の長さL2である。また、X方向からの平面視で、第2立壁419の下面に相当する振動板412の第1面412hから第2立壁419の上面までの距離が、第2立壁419の高さH2である。
【0034】
本実施形態では、第1立壁418の幅W1と、第2立壁419の幅W2と、は異なる。具体的には、第1立壁418の幅W1は、第2立壁419の幅W2よりも広い。第1立壁418の長さL1と、第2立壁419の長さL2と、は略等しい。第1立壁418の高さH1と、第2立壁419の高さH2と、は略等しい。なお、「略」とは、製造誤差や寸法公差などを含むという意味である。
【0035】
このように、第2立壁419は、幅W2が、第1立壁418の幅W1と異なるので、第1立壁418と、第2立壁419と、は、それぞれ異なる振動特性を有する。具体的には、第1立壁418と、第2立壁419と、はそれぞれ異なる共振周波数となるので、第1立壁418と、第2立壁419と、の振動は結合し難くなり、振動板412の振動が第1立壁418及び第2立壁419に伝わった際に、第1立壁418と、第2立壁419と、による共振の強度はそれぞれ小さくなる。
【0036】
図4、
図6、及び
図7に示すように、圧電素子413は、振動板412の第1面412hとは反対側の第2面412rにおいて、基板411の開口部411Aに対応して設けられる。具体的には、圧電素子413は、Z方向からの平面視で、開口部411Aに重なるように配置される。また、圧電素子413は、開口部411Aを区画する隔壁として機能する第1立壁418と、第2立壁419と、に挟まれるように配置される。
【0037】
図5~
図7に示すように、圧電素子413は、第1電極414と、圧電体層415と、第2電極416と、が積層された積層体である。第1電極414と、圧電体層415と、第2電極416と、は、振動板412の第2面412r側から、第1電極414、圧電体層415、第2電極416の順に積層されている。第1電極414と、圧電体層415と、第2電極416と、が積層されている積層方向であるZ方向からの平面視で、第1電極414と、圧電体層415と、第2電極416と、が重なる部分が、能動部413Aとして機能する。
【0038】
第1電極414は、X方向に延びて複数の能動部413Aにわたって連続して設けられる。Y方向に並ぶ複数の第1電極414のX方向プラス側及びX方向マイナス側の端部は、基板411のY方向プラス側及びY方向マイナス側の外周縁に設けられる第1電極端子414Pと電気的に接続される。
【0039】
圧電体層415は、Z方向からの平面視で、第1電極414と第2電極416との交差位置に対応してマトリックス状に配置される。圧電体層415は、代表的には、チタン酸ジルコン酸鉛系のペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることができる。これによれば、圧電素子413の変位量を確保しやすくなる。また、圧電体層415は、鉛を含まないペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることもできる。これによれば、環境への負荷が少ない非鉛系材料を用いて圧電アクチュエーター22を実現できる。
【0040】
第2電極416は、Y方向に延びて複数の能動部413Aにわたって連続して設けられる。X方向に並ぶ複数の第2電極416のY方向プラス側及びY方向マイナス側の端部は、基板411のX方向プラス側及びX方向マイナス側の外周縁まで引き出される。基板411の外周縁まで引き出された第2電極416の端部は結線され、基板411のX方向プラス側及びX方向マイナス側の外周縁に設けられる第2電極端子416Pと電気的に接続される。
【0041】
第1電極414や第2電極416は、導電性を有するものであれば、その材料は制限されない。第1電極414や第2電極416の材料としては、例えば、イリジウム、白金やチタン等の導電層を用いることができる。なお、導電層は単層であっても、複層であっても構わない。
【0042】
複数の圧電素子413は、能動部413Aにおいて第1電極414と圧電体層415と第2電極416とが積層されている積層方向であるZ方向と直交する第1軸であるX軸に沿ったX方向と、第1軸であるX軸に直交する第2軸であるY軸に沿ったY方向と、に沿ってマトリックス状に配置される。本実施形態では、X方向に1列に並んで配置された複数個の圧電素子413により1つの送受信列が形成され、Y方向に並んで配置された複数の送受信列により、複数の圧電素子413によるマトリックスが形成されている。
【0043】
図4、
図5、及び
図7に示すように、抑制部43は、振動板412の第2面412rに設けられる。抑制部43の上面は、振動板412の第2面412rに接合しており、抑制部43の下面は、封止板42に接合している。このようにして、抑制部43は、振動板412を固定し、振動板412の振動を抑制することができる。
【0044】
抑制部43は、能動部413Aに対応して設けられる。具体的には、
図4及び
図5に示すように、抑制部43は、Z方向からの平面視で、Y方向に平行に延伸しており、複数の抑制部43は、X方向に並んで配置されている。そして、複数の抑制部43の間には、Y方向に並んで配置された複数個の圧電素子413が配置される。言い換えると、抑制部43は、能動部413Aにおいて第1電極414と圧電体層415と第2電極416とが積層されている積層方向であるZ方向からの平面視で、X方向から能動部413Aを挟むように設けられる。
【0045】
また、
図4及び
図6に示すように、第1立壁418と、第2立壁419と、は、能動部413Aにおいて第1電極414と圧電体層415と第2電極416とが積層されている積層方向であるZ方向からの平面視で、Y方向から能動部413Aを挟むように設けられる。
【0046】
すなわち、能動部413AのX方向プラス側及びX方向マイナス側において、振動板412には抑制部43が配置され、能動部413AのY方向プラス側及びY方向マイナス側において、振動板412には第1立壁418及び第2立壁419が配置される。このようにして、抑制部43と、第1立壁418と、第2立壁419と、により振動板412のX方向及びY方向の振動範囲を制限することができる。
【0047】
抑制部43は、例えば、樹脂材料により構成され、感光性の樹脂材料をスピンコートやスパッタリング等により振動板412に塗布した後にフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングして形成することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、上述したように、抑制部43は振動板412の第2面412rに設けられるが、抑制部43を振動板412の第1面412hに設けても構わない。ただし、抑制部43を振動板412の第2面412rに設ける方が、振動板412の振動を容易に抑制することができる。
【0049】
図3、
図6、及び
図7に示すように、封止板42は、Z方向からの平面視で、基板411と略同じ形状に形成される。封止板42は、振動板412の第2面412rに対向して配置される。封止板42の上面と、基板411の下面と、が、振動板412を介して接合する。封止板42は、Z方向からの平面視で、上面の中央部が下方に窪んだ凹部42Aを有する。振動板412の第2面412rに設けられた圧電素子413は、凹部42Aにより形成される空間Sに封止される。
【0050】
図3及び
図5に示すように、封止板42は、第1電極端子414P及び第2電極端子416Pに対応する位置に、貫通孔42Bを有する。貫通孔42Bには、例えば、FPC(Flexible printed circuits)等の図示しない配線部材が挿通される。この図示しない配線部材を介して、第1電極端子414P及び第2電極端子416Pと、回路基板23と、は電気的に接続される。
【0051】
超音波の送信時には、回路基板23から、図示しない配線部材を介して、第1電極端子414Pに対して駆動信号が入力され、第2電極端子416Pに対して共通バイアス信号が入力される。第1電極端子414Pに入力する駆動信号の信号強度や信号入力タイミングを制御することで、能動部413Aの第1電極414と第2電極416との間に電位差が生じ、圧電体層415が振動し、これに伴って振動板412が振動して超音波が発生する。
【0052】
超音波の受信時には、回路基板23から第2電極端子416Pに対して共通バイアス信号が入力される。そして、対象物からの超音波が圧電アクチュエーター22に入力され、振動板412が振動すると、圧電素子413がたわみ、圧電素子413のたわみに応じて第1電極414及び第2電極416の間に電位差が生じる。これにより、第1電極端子414Pから回路基板23に、対象物からの超音波に応じた検出信号が出力される。
【0053】
ここで、第1立壁418の幅W1と、第2立壁419の幅W2と、が圧電アクチュエーター22に及ぼす影響について、本実施形態と、比較例と、を対比して説明する。
【0054】
先ず、比較例の圧電アクチュエーター22aについて、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8及び
図9に示すように、比較例の圧電アクチュエーター22aは、第1立壁418aの幅W1と、第2立壁419aの幅W2と、が略等しい。
【0055】
次に、比較例の圧電アクチュエーター22aと、本実施形態の圧電アクチュエーター22と、のそれぞれの周波数スペクトルについて、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、周波数スペクトルとは、測定対象とする振動において、どのような周波数の振動がどのような強度で含まれているかを示すものである。
【0056】
図10に示すように、比較例の圧電アクチュエーター22aの周波数スペクトルは、所望の周波数である8~9MHzの強度は高いが、帯域は狭い。また、所望の周波数以外の不要な周波数の振動、例えば、3~4MHzの強度も高い。これは、圧電アクチュエーター22aは、第1立壁418aの幅W1と、第2立壁419aの幅W2と、が略等しく、これにより、第1立壁418と、第2立壁419と、は略等しい共振周波数となるため、振動板412の振動が第1立壁418及び第2立壁419に伝わった際に、第1立壁418と、第2立壁419と、の振動が結合し易くなり、共振の強度が大きくなるためである。
【0057】
なお、このような第1立壁418aと第2立壁419aとの共振による不要な周波数の振動は、開口部411A、すなわち、第1立壁418aと第2立壁419aとの間、に水や、ヤング率が数~数10MPaの物質、例えば、シリコーン樹脂等が存在するときに発生し易い。
【0058】
これに対して、
図11に示すように、本実施形態の圧電アクチュエーター22の周波数スペクトルは、所望の周波数である3~7MHzの強度は高く、帯域は広い。また、所望の周波数以外の不要な周波数の振動の強度は低くなる。
【0059】
上述したように、本実施形態では、第1立壁418の幅W1と、第2立壁419の幅W2と、は異なり、これにより、第1立壁418と、第2立壁419と、は、それぞれ異なる共振周波数を有するので、振動板412の振動が第1立壁418及び第2立壁419に伝わった際に、第1立壁418と、第2立壁419と、の振動は結合し難くなり、第1立壁418と、第2立壁419と、による共振の強度はそれぞれ小さくなる。その結果、第1立壁418及び第2立壁419の共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0060】
以上述べた通り、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0061】
圧電アクチュエーター22は、開口部411Aが形成された基板411と、開口部411Aを閉塞する第1面412hと複数の圧電素子413が設けられた第2面412rとを有する振動板412と、振動板412の振動を抑制する抑制部43と、第1面412hから開口部411Aに延出する第1立壁418と、第1面412hにおいて第1立壁418と異なる位置から開口部411Aへ延出する第2立壁419と、を備える。そして、第1電極414と圧電体層415と第2電極416とが重なる部分を圧電素子413の能動部413Aとしたとき、第1電極414と圧電体層415と第2電極416との積層方向であるZ方向からの平面視において、第1立壁418と第2立壁419とは、能動部413Aを挟むように設けられる。第2立壁419は、幅W2が、第1立壁418の幅W1と異なるので、第1立壁418と、第2立壁419と、は、それぞれ異なる共振周波数を有し、不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。これにより、高精度な圧電アクチュエーター22を得ることができる。
【0062】
また、第1立壁418と第2立壁419との間に水やシリコーン樹脂等を介在させた場合でも、第1立壁418及び第2立壁419の共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0063】
また、振動板412の振動が第1立壁418及び第2立壁419に伝わり、第1立壁418及び第2立壁419が振動しても、抑制部43と、第1立壁418と、第2立壁419と、に囲まれた圧電素子413を孤立振動子として扱うことができるので、周波数特性が均一な圧電アクチュエーター22を得ることができる。
【0064】
また、第1立壁418及び第2立壁419を介して振動板412の振動エネルギーの漏れを抑えることができるので、圧電素子413のQ値を高めることができ、振動の安定性に優れた圧電アクチュエーター22を得ることができる。
【0065】
2.実施形態2
次に、実施形態2に係る圧電アクチュエーター22bを、
図12及び
図13を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22bは、
図13に示すように、第1立壁418bの高さH1と、第2立壁419bの高さH2と、が異なる。具体的には、第1立壁418bの高さH1は、第2立壁419bの高さH2よりも高い。
【0067】
図12及び
図13に示すように、圧電アクチュエーター22bは、第1立壁418bの幅W1と、第2立壁419bの幅W2と、が略等しい。また、第1立壁418bの長さL1と、第2立壁419bの長さL2と、は略等しい。また、第1立壁418bの物性と、第2立壁419bの物性と、は略等しい。
【0068】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419bは、高さH2が、第1立壁418bの高さH1と異なるので、第1立壁418bと、第2立壁419bと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418b及び第2立壁419bに伝わった際に、第1立壁418bと、第2立壁419bと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418b及び第2立壁419bの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0069】
3.実施形態3
次に、実施形態3に係る圧電アクチュエーター22cを、
図14を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0070】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22cは、
図14に示すように、第1立壁418cの長さL1と、第2立壁419c,420cの長さL2a,L2bと、が異なる。具体的には、第1立壁418cの長さL1は、第2立壁419c,420cの長さL2a,L2bよりも長い。
【0071】
図14に示すように、第2立壁419cと、第2立壁420cと、は、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸しており、X方向に並んで配置される。
【0072】
第2立壁419cは、開口部411AのX方向マイナス側の周縁からX方向プラス側に向かって所定数の抑制部43を跨るように形成される。第2立壁419cのX方向マイナス側の端部は、開口部411AのX方向マイナス側の周縁に接続しており、第2立壁419cのX方向プラス側の端部は、第2立壁420cのX方向マイナス側の端部と空隙を介して対向するように配置される。
【0073】
第2立壁420cは、開口部411AのX方向プラス側の周縁からX方向マイナス側に向かって所定数の抑制部43を跨るように形成される。第2立壁420cのX方向プラス側の端部は、開口部411AのX方向プラス側の周縁に接続しており、第2立壁420cのX方向マイナス側の端部は、第2立壁419cのX方向プラス側の端部と空隙を介して対向するように配置される。
【0074】
第2立壁419c,420cのそれぞれのX方向プラス側の端部からX方向マイナス側の端部までの距離が、それぞれ第2立壁419c,420cの長さL2a,L2bである。本実施形態では、第2立壁419cの長さL2aと、第2立壁420cの長さL2bと、は略等しいが、長さL2aと、長さL2bと、は異なっていても構わない。
【0075】
第2立壁419cの幅と、第2立壁420cの幅は略等しく、幅W2である。また、図示しないが、第2立壁419cの高さと、第2立壁420cの高さは略等しく、高さH2である。
【0076】
第1立壁418cの幅W1と、第2立壁419c,420cの幅W2と、は略等しい。また、第1立壁418cの高さH1と、第2立壁419c,420cの高さH2と、は略等しい。また、第1立壁418cの物性と、第2立壁419c,420cの物性と、は略等しい。
【0077】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419c,420cは、長さL2a,L2bが、第1立壁418cの長さL1と異なるので、第1立壁418cと、第2立壁419c,420cと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418c及び第2立壁419c,420cに伝わった際に、第1立壁418cと、第2立壁419c,420cと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418c及び第2立壁419c,420cの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0078】
4.実施形態4
次に、実施形態4に係る圧電アクチュエーター22dを、
図15を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0079】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22dは、第1立壁418dの物性と、第2立壁419dの物性と、が異なる。本実施形態では、第1立壁418dを形成する材質と、第2立壁419dを形成する材質と、をそれぞれ異なる材質とすることにより、第1立壁418dの物性と、第2立壁419dの物性と、が異なるようにしている。例えば、第1立壁418dをシリコンにより形成し、第2立壁419dをアクリル樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂材料により形成することにより、第1立壁418dのヤング率と、第2立壁419dのヤング率と、が異なるようにすることができる。
【0080】
図15に示すように、第1立壁418dの幅W1と、第2立壁419dの幅W2と、は略等しい。第1立壁418dの長さL1と、第2立壁419dの長さL2と、は略等しい。また、図示しないが、第1立壁418dの高さH1と、第2立壁419dの高さH2と、は略等しい。
【0081】
本実施形態では、第1立壁418dは、基板411をフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングすることにより形成することができる。第2立壁419dは、感光性の樹脂材料をスピンコートやスパッタリング等により振動板412に塗布した後にフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングして形成することができる。
【0082】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419dは、ヤング率が、第1立壁418dのヤング率と異なるので、第1立壁418dと、第2立壁419dと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418d及び第2立壁419dに伝わった際に、第1立壁418dと、第2立壁419dと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418d及び第2立壁419dの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、第1立壁418d及び第2立壁419dの物性の一例として、弾性率であるヤング率を例示しているが、ヤング率以外の物性、例えば、剛性率や、内部損失等でも構わない。
【0084】
上述したように、実施形態1は、第1立壁418及び第2立壁419のそれぞれの幅W1,W2が異なり、実施形態2は、第1立壁418b及び第2立壁419bのそれぞれの高さH1,H2が異なり、実施形態3は、第1立壁418cの長さL1と、第2立壁419c,420cの長さL2a,L2bが異なり、実施形態4は、第1立壁418c及び第2立壁419cのそれぞれの物性が異なる。このように、実施形態1~実施形態4では、第2立壁は、幅、高さ、長さ、及び物性のうち1つが第1立壁と異なるが、幅、高さ、長さ、及び物性のうち2つ以上が第1立壁と異なるようにしても構わない。言い換えると、第2立壁は、幅、高さ、長さ、物性の少なくとも1つが第1立壁と異ならせることにより、実施形態1と同様な効果を得ることができる。
【0085】
5.実施形態5
次に、実施形態5に係る圧電アクチュエーター22eを、
図16を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22eは、第1立壁と、第2立壁と、の幅、高さ、長さ、及び物性のうち2つ以上が異なる実施形態の一例であり、第1立壁418eと、第2立壁419eと、は、それぞれの幅W1,W2と、物性と、が異なる。
【0087】
図16に示すように、圧電アクチュエーター22eは、第1立壁418eの幅W1と、第2立壁419eの幅W2と、が異なる。
【0088】
さらに、本実施形態では、第1立壁418eはシリコンで形成され、第2立壁419eは樹脂材料で形成されており、これにより、第1立壁418eのヤング率と、第2立壁419eのヤング率と、が異なる。
【0089】
第1立壁418eの長さL1と、第2立壁419eの長さL2と、は略等しい。また、図示しないが、第1立壁418eの高さH1と、第2立壁419eの高さH2と、は略等しい。
【0090】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419eは、幅W2及びヤング率が、第1立壁418eの幅W1及びヤング率と異なるので、第1立壁418eと、第2立壁419eと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418e及び第2立壁419eに伝わった際に、第1立壁418eと、第2立壁419eと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418e及び第2立壁419eの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0091】
6.実施形態6
次に、実施形態6に係る圧電アクチュエーター22fを、
図17及び
図18を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0092】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22fは、第1立壁と、第2立壁と、の幅、高さ、長さ、及び物性のうち2つ以上が異なる実施形態の一例であり、第1立壁418fと、第2立壁419f,420fと、は、それぞれの高さと、長さと、物性と、が異なる。
【0093】
図17に示すように、第2立壁419fと、第2立壁420fと、は、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸しており、X方向に並んで配置される。第2立壁419fのX方向マイナス側の端部は、開口部411AのX方向マイナス側の周縁に接続しており、第2立壁420fのX方向プラス側の端部は、開口部411AのX方向プラス側の周縁に接続しており、第2立壁419fのX方向プラス側の端部と、第2立壁420fのX方向マイナス側の端部と、は、空隙を介して対向するように配置される。
【0094】
第2立壁419fの幅と、第2立壁420fの幅と、は略等しく、幅W2である。第2立壁419f,420fの幅W2と、第1立壁418fの幅W1と、は略等しい。
【0095】
図示しないが、第2立壁419fの高さと、第2立壁420fの高さと、は略等しく、高さH2である。
【0096】
図18に示すように、第1立壁418fの高さH1と、第2立壁419f,420fの高さH2と、は異なる。具体的には、第1立壁418fの高さH1は、第2立壁419f,420fの高さH2よりも高い。
【0097】
図17に示すように、第2立壁419f,420fのそれぞれのX方向プラス側の端部からX方向マイナス側の端部までの距離が、それぞれ第2立壁419f,420fの長さL2a,L2bである。
【0098】
第1立壁418fの長さL1と、第2立壁419f,420fの長さL2a,L2bと、は異なる。具体的には、第1立壁418fの長さL1は、第2立壁419f,420fの長さL2a,L2bよりも、長い。
【0099】
さらに、本実施形態では、第1立壁418fはシリコンで形成され、第2立壁419f,420fは樹脂材料で形成され、第1立壁418fのヤング率と、第2立壁419f,420fのヤング率と、が異なる。
【0100】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419f,420fは、高さH2と、長さL2a,L2bと、物性の一例であるヤング率が、第1立壁418fの高さH1と、長さL1と、ヤング率と異なるので、第1立壁418fと、第2立壁419f,420fと、は異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418f、第2立壁419f,420fに伝わった際に、第1立壁418fと、第2立壁419f,420fと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418fと、第2立壁419f,420fと、の共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0101】
7.実施形態7
次に、実施形態7に係る圧電アクチュエーター22gを、
図19~
図21を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0102】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22gは、実施形態1の圧電アクチュエーター22に比べ、Z方向からの平面視で、Y方向に平行に延伸している複数の抑制部43Aと、X方向に平行に延伸している複数の抑制部43Bと、を有する点で異なる。
【0103】
図19及び
図20に示すように、抑制部43A,43Bは、能動部413Aに対応して設けられる。
【0104】
抑制部43Aは、Z方向からの平面視で、Y方向に平行に延伸している。複数の抑制部43Aは、X方向に並んで配置される。複数の抑制部43Aの間には、Y方向に並んで配置された複数個の圧電素子413が配置される。言い換えると、抑制部43Aは、Z方向からの平面視で、X方向から能動部413Aを挟むように設けられる。
【0105】
抑制部43Bは、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸している。複数の抑制部43Bは、Y方向に並んで配置される。複数の抑制部43Bの間には、X方向に並んで配置された複数個の圧電素子413が配置される。言い換えると、抑制部43Bは、Z方向からの平面視で、Y方向から能動部413Aを挟むように設けられる。
【0106】
すなわち、能動部413AのX方向プラス側及びX方向マイナス側において、振動板412には抑制部43Aが配置され、能動部413AのY方向プラス側及びY方向マイナス側において、振動板412には抑制部43Bが配置される。このようにして、抑制部43Aと、抑制部43Bと、により振動板412のX方向及びY方向の振動範囲を制限することができる。
【0107】
図19に示すように、第1立壁418gの長さL1と、第2立壁419gの長さL2と、は略等しく、
図21に示すように、第1立壁418gの高さH1と、第2立壁419gの高さH2と、は略等しい。
図19及び
図21に示すように第1立壁418gの幅W1と、第2立壁419gの幅W2と、は異なる。具体的には、第1立壁418gの幅W1は、第2立壁419gの幅W2よりも広い。
【0108】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419gは、幅W2が、第1立壁418gの幅W1と異なるので、第1立壁418gと、第2立壁419gと、はそれぞれ異なる共振周波数となる。その結果、振動板412の振動が第1立壁418g及び第2立壁419gに伝わった際に、第1立壁418gと、第2立壁419gと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418gと、第2立壁419gと、の共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0109】
8.実施形態8
次に、実施形態8に係る圧電アクチュエーター22hを、
図22及び
図23を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態7との相違点を中心に説明し、実施形態7と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0110】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22hは、
図23に示すように、第1立壁418hの高さH1と、第2立壁419hの高さH2と、が異なる。具体的には、第1立壁418hの高さH1は、第2立壁419hの高さH2よりも高い。
【0111】
図22に示すように、本実施形態では、第1立壁418hの幅W1と、第2立壁419hの幅W2と、は略等しく、第1立壁418hの長さL1と、第2立壁419hの長さL2と、は、略等しい。
【0112】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419hは、高さH2が、第1立壁418hの高さH1とは異なるので、第1立壁418hと、第2立壁419hと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418h及び第2立壁419hに伝わった際に、第1立壁418hと、第2立壁419hと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418h及び第2立壁419hの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0113】
9.実施形態9
次に、実施形態9に係る圧電アクチュエーター22kを、
図24を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態7との相違点を中心に説明し、実施形態7と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0114】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22kは、
図24に示すように、第1立壁418kの長さL1と、第2立壁419k,420kの長さL2a,L2bと、が異なる。具体的には、第1立壁418kの長さL1は、第2立壁419k,420kの長さL2a,L2bよりも長い。
【0115】
図24に示すように、第2立壁419kと、第2立壁420kと、は、Z方向からの平面視で、X方向に平行に延伸しており、X方向に並んで配置される。第2立壁419kのX方向マイナス側の端部は、開口部411AのX方向マイナス側の周縁に接続しており、第2立壁420kのX方向プラス側の端部は、開口部411AのX方向プラス側の周縁に接続しており、第2立壁419kのX方向プラス側の端部と、第2立壁420kのX方向マイナス側の端部と、は、空隙を介して対向するように配置される。
【0116】
第2立壁419k,420kのそれぞれのX方向プラス側の端部からX方向マイナス側の端部までの距離が、それぞれ第2立壁419k,420kの長さL2a,L2bである。
【0117】
第2立壁419kの幅と、第2立壁420kの幅は略等しく、幅W2である。第2立壁419k,420kの幅W2と、第1立壁418kの幅W1と、は略等しい。また、図示しないが、第2立壁419kの高さと、第2立壁420kの高さは略等しく、高さH2である。第2立壁419k,420kの高さH2と、第1立壁418kの高さH1と、は略等しい。
【0118】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419k,420kは、長さL2a,L2bが、第1立壁418kの長さL1と異なるので、第1立壁418kと、第2立壁419k,420kと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418k及び第2立壁419k,420kに伝わった際に、第1立壁418kと、第2立壁419k,420kと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418k及び第2立壁419k,420kの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【0119】
10.実施形態10
次に、実施形態10に係る圧電アクチュエーター22mを、
図25を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態7との相違点を中心に説明し、実施形態7と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0120】
本実施形態に係る圧電アクチュエーター22mは、第1立壁418mの物性と、第2立壁419mの物性と、が異なる。本実施形態では、第1立壁418mはシリコンで形成され、第2立壁419mは樹脂材料で形成されており、これにより、第1立壁418mのヤング率と、第2立壁419mのヤング率と、が異なる。
【0121】
図25に示すように、第1立壁418mの幅W1と、第2立壁419mの幅W2と、は略等しい。第1立壁418mの長さL1と、第2立壁419mの長さL2と、は略等しい。また、図示しないが、第1立壁418mの高さH1と、第2立壁419mの高さH2と、は略等しい。
【0122】
本実施形態によれば、実施形態1と同様な効果を得ることができる。第2立壁419mは、ヤング率が、第1立壁418mのヤング率と異なるので、第1立壁418mと、第2立壁419mと、は、それぞれ異なる共振周波数を有する。その結果、振動板412の振動が第1立壁418m及び第2立壁419mに伝わった際に、第1立壁418mと、第2立壁419mと、による共振の強度はそれぞれ小さくなり、第1立壁418m及び第2立壁419mの共振による不要な周波数の振動の出現を抑制することができる。
【符号の説明】
【0123】
1…超音波装置及び電子デバイスとしての超音波測定装置、2…超音波探触子、3…ケーブル、10…制御部、11…操作部、12…表示部、13…記憶部、14…演算部、21…筐体、22,22a~22h,22k,22m…圧電アクチュエーター、23…回路基板、24…超音波素子、41…基部、42…封止板、43,43A,43B…抑制部、231…選択回路、232…送信回路、233…受信回路、411…基板、411A…開口部、412…振動板、412h…第1面、412r…第2面、413…圧電素子、413A…能動部、414…第1電極、414P…第1電極端子、415…圧電体層、416…第2電極、416P…第2電極端子、418,418a~418h,418k,418m…第1立壁、419,419a~419h,419k,419m,420c,420f,420k…第2立壁、H1,H2…高さ、L1,L2,L2a,L2b…長さ、W1,W2…幅。