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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】停電検出システムおよび停電検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J13/00 301J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020196534
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085054
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】吉延 泰之
(72)【発明者】
【氏名】山口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】大塚 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 良雄
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115182(JP,A)
【文献】特開2014-150647(JP,A)
【文献】特開2019-088147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統を監視し停電が発生すると、開閉器を制御して停電区間以外への配電を行う配電自動化システムと、
各需要家宅に設置され消費電力を計量するとともに、停電を検知する機能を備えた電力量計と、
前記配電自動化システムおよび前記電力量計と通信可能に接続された停電管理手段と、
を備え、前記停電管理手段は、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で連続する2バンク以上の前記電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に、前記配電自動化システムの表示部に警報を表示させる、
ことを特徴とする停電検出システム。
【請求項2】
前記停電管理手段は、前記警報を表示させる際に、前記停電を検知した旨の情報を受信したことを時系列に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の停電検出システム。
【請求項3】
前記停電管理手段は、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクの前記電力量計から前記停電を検知した旨の情報を受信した場合には、個別故障を受け付けるための故障票を発行する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の停電検出システム。
【請求項4】
配電系統を監視し停電が発生すると、開閉器を制御して停電区間以外への配電を行う配電自動化システムと、
各需要家宅に設置され消費電力を計量するとともに、停電を検知する機能を備えた電力量計と、
を備え、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で連続する2バンク以上の前記電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に、前記配電自動化システムの表示部に警報を表示する、
ことを特徴とする停電検出方法。
【請求項5】
前記警報を表示する際に、前記停電を検知した旨の情報を受信したことを時系列に表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の停電検出方法。
【請求項6】
前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクの前記電力量計から前記停電を検知した旨の情報を受信した場合には、個別故障を受け付けるための故障票を発行する、
ことを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の停電検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電を検出・検知するシステムおよび方法に関し、特に、配電自動化システムでは検出できない停電を検出する停電検出システムおよび停電検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配電系統の監視や開閉器の制御などを行い、停電が発生すると配電系統上の停電エリアを特定したり、監視、制御の結果に基づいて、停電の発生や給電の復旧などの停電情報を生成したりする配電自動化システムが設置、運用されている。すなわち、フィーダ遮断器(FCB)の遮断や柱上開閉器(DM)の自動遮断を伴う配電線事故は、配電自動化システムの事故検出によって能動的に事故復旧として対応することができる。しかしながら、配電自動化システムでは、FCB遮断やDM自動遮断を伴わない高圧配電線路の断線や欠相などの配電線事故を検出することができない。このため、需要家からの停電・故障情報などを受けて受動的に対応していた。
【0003】
また、各戸に設置された電力メーターから停電情報を受信して停電の原因・要因を判断する、というシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、電力メーターから停電情報を受信すると、該当する引込柱の停電件数をカウントアップし、その値が閾値に達した引込柱のエリア内で停電情報を送信していない電力メーターに対して、停電情報の要求を行うことで、停電の原因がこの引込柱であるか否かを判断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-42609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高圧配電線路の断線や欠相などの配電線事故を配電自動化システムでは検出できないため、従来、需要家からの停電・故障情報などをもとに現地確認をした上で対応していた。すなわち、需要家からの停電・故障情報などを受けてから通常1名で初動対応し、その後、現地確認して原因が高圧配電線路の断線や欠相によるものと判明した時点で、複数の復旧要員を確保して復旧対応していた。このため、停電復旧までに時間と労力とを要するおそれがあった。
【0006】
また、特許文献1のシステムでは、停電の原因箇所が引込柱であるか否かを判断することはできるものの、原因が高圧配電線路の断線や欠相であるか否かを検出することはできない。このため、従来と同様に、停電復旧までに時間と労力とを要するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、高圧配電線路の断線や欠相などによる停電であっても、迅速な停電復旧を可能にする停電検出システムおよび停電検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、配電系統を監視し停電が発生すると、開閉器を制御して停電区間以外への配電を行う配電自動化システムと、各需要家宅に設置され消費電力を計量するとともに、停電を検知する機能を備えた電力量計と、前記配電自動化システムおよび前記電力量計と通信可能に接続された停電管理手段と、を備え、前記停電管理手段は、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で連続する2バンク以上の前記電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に、前記配電自動化システムの表示部に警報を表示させる、ことを特徴とする停電検出システムである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の停電検出システムにおいて、前記停電管理手段は、前記警報を表示させる際に、前記停電を検知した旨の情報を受信したことを時系列に表示させる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の停電検出システムにおいて、前記停電管理手段は、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクの前記電力量計から前記停電を検知した旨の情報を受信した場合には、個別故障を受け付けるための故障票を発行する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、配電系統を監視し停電が発生すると、開閉器を制御して停電区間以外への配電を行う配電自動化システムと、各需要家宅に設置され消費電力を計量するとともに、停電を検知する機能を備えた電力量計と、を備え、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で連続する2バンク以上の前記電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に、前記配電自動化システムの表示部に警報を表示する、ことを特徴とする停電検出方法である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の停電検出方法において、前記警報を表示する際に、前記停電を検知した旨の情報を受信したことを時系列に表示する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の停電検出方法において、前記配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクの前記電力量計から前記停電を検知した旨の情報を受信した場合には、個別故障を受け付けるための故障票を発行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および請求項4に記載の発明によれば、配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で連続する2バンク以上の電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合、つまり、同一配電線で連続する2バンク以上の需要家宅で停電が発生した場合、配電自動化システムの表示部に警報が表示される。このため、配電自動化システムでは検出できない高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生しても、迅速に停電復旧することが可能となる。すなわち、高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生すると、同一配電線で連続する2バンク以上の需要家宅で停電が発生し得る。このため、同一配電線で連続する2バンク以上の電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に警報を表示することで、高圧配電線路の断線や欠相などによる停電に対して迅速に対応して、迅速に停電復旧することが可能となる。
【0015】
請求項2および請求項5に記載の発明によれば、停電を検知した旨の情報を受信したこと、つまり、需要家宅で停電が発生したことが、配電自動化システムの表示部に時系列に表示される。このため、どのバンク・需要家宅でいつ停電が発生したかなどを適正かつ容易に把握することができ、配電自動化システムでは検出できない高圧配電線路の断線や欠相などによる停電に対しても、迅速に停電復旧することが可能となる。
【0016】
請求項3および請求項6に記載の発明によれば、配電自動化システムで検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクの電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合、つまり、同一配電線で非連続のバンクの需要家宅で停電が発生した場合、個別故障を受け付けるための故障票が発行される。このため、配電自動化システムでは検出できない引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電が発生しても、迅速に停電復旧することが可能となる。すなわち、引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電が発生すると、同一配電線で非連続のバンク(単一バンクまたは離れた複数のバンク)の需要家宅で停電が発生し得る。このため、同一配電線で非連続のバンクの電力量計から停電を検知した旨の情報を受信した場合に故障票を発行することで、引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電に対して迅速に対応して、迅速に停電復旧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る停電検出システムを示す概略構成図である。
図2図1の停電検出システムの配電自動化システムを示す概略構成図である。
図3図1の停電検出システムのスマートメーター管理運用システムが判断する第1の事例を示す図である。
図4図1の停電検出システムのスマートメーター管理運用システムが判断する第2の事例を示す図である。
図5図1の停電検出システムのスマートメーター管理運用システムが判断する第3の事例を示す図である。
図6図1の停電検出システムのスマートメーター管理運用システムが判断する第4の事例を示す図である。
図7図2の配電自動化システムのディスプレイに表示される第1の警報例を示す図(a)と、第2の警報例を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態に係る停電検出システム1を示す概略構成図である。この停電検出システム1は、停電を検出、通知するシステムであり、特に、配電自動化システム2では検出できない停電も検出可能で、主として、配電自動化システム2と、各需要家宅Hに設置されたスマートメーター(電力量計)3と、スマートメーター管理運用システム(停電管理手段)4と、を備える。配電自動化システム2とスマートメーター管理運用システム4は、通信網NWを介して通信可能に接続され、各スマートメーター3とスマートメーター管理運用システム4は、通信網NWを介して通信可能に接続されている。ここで、通信網NWは、1つの通信網であってもよいし異なる複数の通信網であってもよい。
【0020】
また、電柱101を介して配電線Lが架設され、電柱101に設置された柱上変圧器102から引き出された引込線31がスマートメーター3に接続され、スマートメーター3を介して需要家宅Hに電力が供給されている。
【0021】
配電自動化システム2は、配電系統を監視し停電が発生すると、開閉器やフィーダ遮断器等を制御して停電区間以外への配電を行うシステムであり、電力会社などに広く導入されている配電自動化システムと同等の構成となっている。すなわち、図2に示すように、配電自動化サーバ、配電遠制装置(遠方監視制御装置)および、監視制御卓21、系統計画卓(ワークステーション)などを備え、それぞれがLAN(LocaL Area Network)で接続されている。また、電柱101に取り付けられた柱上開閉器(DM)103と、配電遠制装置とが伝送線路(専用回線)22によって接続され、さらに、総合制御所23を介して配電用変電所24と配電遠制装置とが伝送線路22によって接続されている。
【0022】
そして、配電線Lの運用状態を常時監視し、例えば、配電線事故による停電が発生すると、柱上開閉器103などを開閉制御しながら停電区間を特定し、停電区間以外の配電線Lへの配電(自動逆送)を行う。このようにして、柱上開閉器103などの開閉制御によって停電区間が画定され、柱上開閉器103などを境にして停電区間と非停電区間とが分かれることになる。また、変電所事故(特高事故、瞬時電圧低下など)による停電が発生すると、停電が発生した地域に対して周辺の配電線Lからの配電(自動逆送)を行ったりするものである。このような配電自動化システム2では、地絡事故や短絡事故による事故停電などは検出できるが、高圧配電線路(配電線L)の断線や欠相などによる停電や、引込線31の不良(断線等)や柱上変圧器102の不良(ヒューズ切れ等)などによる個別の停電を検出することはできない。
【0023】
スマートメーター3は、設置された需要家宅Hにおける消費電力を計量するとともに、通信機能と停電、復電を検知する機能を備えた電力量計である。すなわち、引込線31や配電線Lによる電力線通信(PLC)などを利用して、他のスマートメーター3やスマートメーター管理運用システム4などと通信可能となっている。また、電源側つまり引込線31側の電圧を常時監視して、電圧が所定値未満に低下したことを検知することで停電を検知し、停電を検知した旨の情報(以下、適宜「停電情報」という)をスマートメーター管理運用システム4に送信する。この際、停電情報に、スマートメーター3の識別情報であるメーター番号と停電日時を含む。また、電源側の電圧が所定値以上に回復したことを検知することで停電復旧を検知し、停電復旧を検知した旨の情報(以下、適宜「復旧情報」という)をマートメーター管理運用システム4に送信する。この際、復旧情報に、スマートメーター3のメーター番号と復旧日時を含む。
【0024】
スマートメーター管理運用システム4は、配電自動化システム2および各スマートメーター3と通信可能に接続され、各スマートメーター3を管理運用するとともに、配電自動化システム2では検出されない停電を検知、通知する停電管理手段としての機能を備える。この実施の形態では、各スマートメーター3の管理運用に関する説明を省略するが、各スマートメーター3のメーター番号ごとに、該スマートメーター3が属するバンクの識別情報(電柱101の識別情報・電柱番号)や需要家の氏名・名称、需要家の連絡先情報(メールアドレスや電話番号など)、設置位置、状態(運用中、運休中、停電中等)などを記憶するデータベースを備える。
【0025】
次に、停電管理手段(停電検出方法)として、まず、配電自動化システム2で検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線Lで連続する2バンク以上のスマートメーター3から停電情報を受信した場合に、配電自動化システム2の監視制御卓21のディスプレイ(表示部)211に警報を表示させる。すなわち、配電自動化システム2で停電が検出されていないエリア(配電線エリア)において、同一配電線Lで連続する複数のバンクのスマートメーター3から停電情報を受信した場合には、当該エリア・バンクで高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生したと判断して、配電自動化システム2のディスプレイ211に警報を表示させる。ここで、バンクとは、バンク柱である電柱101の柱上変圧器102から分岐して、引込線31で接続された単一または複数の需要家宅H単位で形成されるものである。つまり、配電系統に設置されたバンク柱に対応し、バンク柱に接続された単一または複数の需要家宅Hで形成されるグループである。
【0026】
具体的には、例えば、図3図6に示すように、電源側であるフィーダ遮断器FCBからの配電線Lに、バンク柱である電柱101が順に設置され、電源側から順に各電柱101に第1の柱上開閉器DM1、第2の柱上開閉器DM2、第3の柱上開閉器DM3・・・が設置され、各電柱101の柱上変圧器102に需要家宅Hが接続されているとする。ここで、電源側から順に第1の電柱1011、第2の電柱1012、第3の電柱1013・・・が設置され、電源側から順に第1のバンクB1、第2のバンクB2、第3のバンクB3・・・が形成されているとする。
【0027】
そして、図3に示すように、いずれのエリア・区間でも配電自動化システム2で停電が検出されず、フィーダ遮断器FCBおよび各柱上開閉器DM1、DM2、DM3・・・が「入」の状態とする。この状態で、例えば、同一配電線Lで連続する複数のバンクである、第1のバンクB1のスマートメーター3と第2のバンクB2のスマートメーター3から停電情報を受信した場合、フィーダ遮断器FCBから第2のバンクB2(第2の電柱1012)までのエリアで高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生したと判断する。そして、後述するようにして、配電自動化システム2のディスプレイ211に警報を表示させる。
【0028】
また、図4に示すように、配電自動化システム2によって第3の柱上開閉器DM3から反電源側(反FCB側)で停電が検出され、第3の柱上開閉器DM3が「切」に制御され(自動遮断され)、第3のバンクB3から反電源側が停電区間として特定されたとする。この状態で、第3のバンクB3を含む停電区間のスマートメーター3から停電情報を受信しても、既に配電自動化システム2で停電を認識可能なため、警報の表示などを行わない。一方、停電区間以外のエリアにおいて同一配電線Lで連続する複数のバンク、例えば、第1のバンクB1と第2のバンクB2のスマートメーター3から停電情報を受信した場合には、配電自動化システム2のディスプレイ211に警報を表示させる。
【0029】
さらに、図5に示すように、配電自動化システム2でフィーダ遮断器FCBが遮断されているとする。この場合、フィーダ遮断器FCBが遮断されて配電線Lから電力供給がされていないことを配電自動化システム2で認識可能なため、たとえ、連続する複数のバンク、例えば、第1のバンクB1と第2のバンクB2のスマートメーター3から停電情報を受信しても、警報の表示などを行わない。
【0030】
また、図6に示すように、配電自動化システム2によって第1の柱上開閉器DM1と第2の柱上開閉器DM2が自動遮断されたとする。この場合、電源側の柱上開閉器DM1、DM2が遮断され、同一配電線Lからはそれ以降には電力が供給されないことを配電自動化システム2で認識可能なため、たとえ、同一配電線Lのいずれかの連続する複数のバンクのスマートメーター3から停電情報を受信しても、警報の表示などを行わない。
【0031】
ここで、配電自動化システム2のディスプレイ211に警報を表示させるには、スマートメーター管理運用システム4から配電自動化システム2に警報表示指令を送信することで行い、この指令を受けて配電自動化システム2がディスプレイ211に警報を表示する。この警報表示指令には表示させる警報内容・表示方法を含み、この実施の形態では、警報を表示させる際に、停電情報を受信したことを時系列に表示させる。すなわち、どのバンク・需要家宅Hでいつ停電が発生したかなどを容易に把握できるように、例えば、図7の警報情報Wに示すように、停電情報に含まれる停電日時の順に(あるいは停電情報の受信順に)、停電情報に含まれるメーター番号に対応する電柱番号などの停電履歴を表示させる。
【0032】
このような警報情報Wは、どのような画面のどの位置にどのように表示してもよく、例えば、図7(a)に示すように、配電自動化システム2による監視、制御情報を時系列に表示する画面にポップアップ画面で表示したり、図7(b)に示すように、配電自動化システム2による操作情報を時系列に表示する画面にポップアップ画面で表示したりする。この際、図7(b)に示すように、各画面に「SM停電情報」タブTなどを表示し、このタブTがクリックされると警報情報Wを表示したり閉じたりしてもよい。また、警報情報Wのなかに「閉じる」タブを表示して、このタブがクリックされると警報情報Wを閉じるようにしてもよい。さらに、警報情報Wを点滅表示して注意喚起するようにしてもよい。
【0033】
また、停電管理手段としてスマートメーター管理運用システム4は、配電自動化システム2で検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線Lで非連続のバンクのスマートメーター3から停電情報を受信した場合には、個別故障を受け付けるための故障票を発行する。すなわち、配電自動化システム2で停電が検出されていないエリアにおいて、同一配電線Lにおいて非連続のバンク(1つのバンクまたは離れた複数のバンク)のスマートメーター3から停電情報を受信した場合には、当該バンクで引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電が発生したと判断して、故障票を発行する。
【0034】
例えば、上記の図3のように、配電線Lでいずれのエリア・区間でも配電自動化システム2で停電が検出されない状態で、例えば、同一配電線Lで第2のバンクB2のスマートメーター3のみから停電情報を受信したとする。この場合、第2のバンクB2で個別の停電が発生したと判断して、故障票を発行する。同様に、図3の状態で、同一配電線Lで非連続の第1のバンクB1と第3のバンクB3のスマートメーター3から停電情報を受信した場合、各バンクB1、B3で個別の停電が発生したと判断して、それぞれの故障票を発行する。さらに、上記の図4のように、配電自動化システム2によって配電線Lで第3のバンクB3から反電源側が停電区間として特定された状態で、同一配電線Lで停電区間以外の第2のバンクB2のスマートメーター3のみから停電情報を受信したとする。この場合、第2のバンクB2で個別の停電が発生したと判断して、故障票を発行する。
【0035】
ここで、故障票とは、カスタマーセンターや営業所などで需要家の個別の故障・問い合わせなどを受け付けるための受付票であり、所定の書式に、個別停電と判断されたバンク・電柱101の識別情報、このバンクに属する需要家の氏名・名称、停電発生日時などを記入して作成される。そして、このような故障票がカスタマーセンターや営業所などのサーバ・コンピュータに送信・発行され、該当するバンク・電柱101や需要家に対する個別対応が行われる
【0036】
以上のように、この停電検出システム1および停電検出システム1による停電検出方法によれば、配電自動化システム2で検出された停電区間以外のエリア(配電自動化システム2では停電検出されていない配電線エリア)において、同一配電線Lで連続する2バンク以上のスマートメーター3から停電情報を受信した場合、つまり、同一配電線Lで連続する2バンク以上の需要家宅Hで停電が発生した場合、配電自動化システム2のディスプレイ211に警報が表示される。このため、配電自動化システム2では検出できない高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生しても、迅速に停電対応・停電復旧することが可能となる。すなわち、高圧配電線路の断線や欠相などによる停電が発生すると、同一配電線Lで連続する2バンク以上の需要家宅Hで停電が発生し得る。このため、同一配電線Lで連続する2バンク以上のスマートメーター3から停電情報を受信した場合に警報を表示することで、高圧配電線路の断線や欠相などによる停電に対して迅速に対応して、迅速に停電復旧することが可能となる。
【0037】
しかも、停電情報を受信したこと、つまり、需要家宅Hで停電が発生したことが、配電自動化システム2のディスプレイ211に時系列に表示される。このため、どのバンク・需要家宅Hでいつ停電が発生したかなどの発生状況を適正かつ容易に把握することができ、配電自動化システム2では検出できない高圧配電線路の断線や欠相などによる停電に対しても、迅速に停電対応・停電復旧することが可能となる。
【0038】
一方、配電自動化システム2で検出された停電区間以外のエリアにおいて、同一配電線で非連続のバンクのスマートメーター3から停電情報を受信した場合、つまり、同一配電線で非連続のバンクの需要家宅Hで停電が発生した場合、個別故障を受け付けるための故障票が発行される。このため、配電自動化システム2では検出できない引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電が発生しても、迅速に停電復旧することが可能となる。すなわち、引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電が発生すると、同一配電線で非連続のバンク(単一バンクまたは離れた複数のバンク)の需要家宅Hで停電が発生し得る。このため、同一配電線で非連続のバンクのスマートメーター3から停電情報を受信した場合に故障票を発行することで、引込線不良や変圧器不良などによる個別の停電に対して迅速に対応して、迅速に停電復旧することが可能となる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、スマートメーター管理運用システム4に停電管理手段を設けているが、停電管理手段を別のシステムなどに組み込んだり、独立のサーバ・コンピュータで構成したりしてもよい。また、上記の実施の形態では、スマートメーター3から停電情報を受信したときにのみ配電自動化システム2に警報情報Wを表示しているが、スマートメーター3から復旧情報を受信したときに復旧したことを表示したり、該当する電柱番号など(停電履歴)を警報情報Wから削除したりしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 停電検出システム
2 配電自動化システム
21 監視制御卓
211 ディスプレイ(表示部)
3 スマートメーター(電力量計)
4 スマートメーター管理運用システム(停電管理手段)
101 電柱
102 柱上変圧器
103、DM 柱上開閉器
FCB フィーダ遮断器
H 需要家宅
L 配電線
NW 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7