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特許7581802端末装置のためのコンピュータプログラム、及び、通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】端末装置のためのコンピュータプログラム、及び、通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241106BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20241106BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20241106BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241106BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20241106BHJP
【FI】
H04W76/10
H04M1/00 U
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/02 110
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020198115
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086216
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘和
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-108064(JP,A)
【文献】特開2020-53934(JP,A)
【文献】特開2020-113955(JP,A)
【文献】特開2020-113851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 76/10
H04M 1/00
H04W 84/10
H04W 84/12
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置は、
通信装置との通信を実行するための通信インターフェイスと、
表示部と、
を備え、
前記通信装置の設定は、ネットワークを介した通信を実行するための通信設定が完了している第1の設定と、前記通信設定が完了していない第2の設定と、を含む複数の設定のうちのいずれかであり、
前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを以下の各部、即ち、
前記通信インターフェイスを介して、第1の通信装置から、第1の設定状態信号を受信する第1の受信部であって、前記第1の設定状態信号は、前記第1の通信装置の現在の設定が前記第1の設定であることを示す、前記第1の受信部と、
前記通信インターフェイスを介して、第2の通信装置から、第2の設定状態信号を受信する第2の受信部であって、前記第2の設定状態信号は、前記第2の通信装置の現在の設定が前記第2の設定であることを示す、前記第2の受信部と、
前記第1の設定状態信号と前記第2の設定状態信号とを受信した後に、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とのうちの少なくとも前記第2の通信装置を選択可能な選択画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される場合に、前記通信インターフェイスを介して、前記第2の通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更するための情報であるネットワーク設定情報を前記第2の通信装置に送信する第1の送信部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記選択画面は、前記第1の通信装置を示す第1の画像と、前記第2の通信装置を示す第2の画像と、を含み、
前記第2の画像は、前記第1の画像よりも上方に配置されている、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記選択画面は、前記第1の通信装置を示す第1のボタンと、前記第2の通信装置を示す第2のボタンと、を含み、
前記第1のボタンは、選択不可能な態様を有し、前記第2のボタンは、選択可能な態様を有し、
前記第2のボタンが選択される場合に、前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記通信設定が完了していることは、前記通信装置が前記ネットワークに接続するための接続情報を記憶していることを含み、
前記通信設定が完了していないことは、前記接続情報を記憶していないことを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記通信設定が完了していることは、前記通信装置が前記ネットワークに現在接続していることを含み、
前記通信設定が完了していないことは、前記通信装置が前記ネットワークに現在接続していないことを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記ネットワーク設定情報は、前記端末装置とは異なるアクセスポイントが形成する特定のネットワークを識別するSSIDと、パスワードと、を含み、
前記第2の通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更することは、前記SSIDと前記パスワードとを利用して、前記第2の通信装置を前記特定のネットワークに接続することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記通信インターフェイスは、前記通信装置との無線通信を実行するためのインターフェイスである、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記無線通信は、Bluetooth方式のバージョン4.0以降の規格に従った通信である、請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記第1の設定状態信号及び前記第2の設定状態信号は、前記規格に従ったAdvertise信号である、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記通信装置は、複数種類のAdvertise信号を順次に繰り返し送信可能であり、
前記第1の受信部は、前記第1の通信装置が前記複数種類のAdvertise信号のうちの特定の種類のAdvertise信号を送信する場合に、前記特定の種類のAdvertise信号である前記第1の設定状態信号を受信し、
前記第2の受信部は、前記第2の通信装置が前記複数種類のAdvertise信号のうちの前記特定の種類のAdvertise信号を送信する場合に、前記特定の種類のAdvertise信号である前記第2の設定状態信号を受信する、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、さらに、
前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される場合に、前記通信インターフェイスを介して、前記第2の通信装置との無線接続を確立する確立部として機能させ、
前記第1の送信部は、前記無線接続を利用して、前記ネットワーク設定情報を前記第2の通信装置に送信する、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、さらに、
前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される場合に、前記通信インターフェイスを介して、前記端末装置を示す画像を前記第2の通信装置に表示させるための表示情報を前記第2の通信装置に送信する第2の送信部として機能させる、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、さらに、
前記ネットワーク設定情報の送信に応じて、前記第2の通信装置の設定が前記第2の設定から前記第1の設定に変更された後に、前記ネットワークを利用して、前記第2の通信装置との通信を実行する通信実行部として機能させる、請求項1から12のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを、さらに、
前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される場合に、前記通信インターフェイスを介して、前前記第2の通信装置から、前記ネットワーク設定情報を暗号化するための暗号化情報を受信する情報受信部として機能させ、
前記第1の送信部は、前記通信インターフェイスを介して、前記暗号化情報を利用して暗号化された前記ネットワーク設定情報を前記第2の通信装置に送信する、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
通信装置であって、
端末装置との通信を実行するための第1の通信インターフェイスと、
前記第1の通信インターフェイスを介して、設定状態信号を前記端末装置に送信する送信部であって、前記設定状態信号は、前記通信装置の現在の設定が、ネットワークを介した通信を実行するための通信設定が完了している第1の設定である場合に、前記第1の設定を示し、前記設定状態信号は、前記通信装置の現在の設定が、前記通信設定が完了していない第2の設定である場合に、前記第2の設定を示す、前記送信部と、
前記第2の設定を示す前記設定状態信号が送信された後に、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記端末装置から前記通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更するための情報であるネットワーク設定情報を受信する第1の受信部と、
前記端末装置から前記ネットワーク設定情報が受信される場合に、前記通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更する設定変更部と、
を備える、通信装置。
【請求項16】
前記通信設定が完了していることは、前記通信装置が前記ネットワークに接続するための接続情報を記憶していることを含み、
前記通信設定が完了していないことは、前記接続情報を記憶していないことを含む、請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記通信設定が完了していることは、前記通信装置が前記ネットワークに現在接続していることを含み、
前記通信設定が完了していないことは、前記通信装置が前記ネットワークに現在接続していないことを含む、請求項15又は16に記載の通信装置。
【請求項18】
前記通信装置は、さらに、
前記第1の通信インターフェイスとは異なる第2の通信インターフェイスであって、前記ネットワークを介した通信を実行するための前記第2の通信インターフェイスを備え、
前記設定変更部は、前記第2の通信インターフェイスを前記端末装置とは異なるアクセスポイントによって形成されている特定のネットワークに接続することによって、前記通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更する、請求項15から17のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項19】
前記第1の通信インターフェイスは、前記端末装置との無線通信を実行するためのインターフェイスである、請求項15から18のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項20】
前記無線通信は、Bluetooth方式のバージョン4.0以降の規格に従った通信である、請求項19に記載の通信装置。
【請求項21】
前記設定状態信号は、前記規格に従ったAdvertise信号である、請求項20に記載の通信装置。
【請求項22】
前記通信装置は、複数種類のAdvertise信号を順次に繰り返し送信可能であり、
前記設定状態信号は、前記複数種類のAdvertise信号のうちの特定の種類のAdvertise信号である、請求項21に記載の通信装置。
【請求項23】
前記通信装置、さらに、
前記第2の設定を示す前記設定状態信号が送信された後に、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記端末装置との無線接続を確立する確立部を備え、
前記第1の受信部は、前記無線接続を利用して、前記端末装置から前記ネットワーク設定情報を受信する、請求項15から22のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項24】
前記通信装置は、さらに、
表示部と、
前記第2の設定を示す前記設定状態信号が送信された後に、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記端末装置から、前記端末装置を示す画像を前記通信装置に表示させるための表示情報を受信する第2の受信部と、
前記表示情報に従った前記画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、請求項15から23のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項25】
前記通信装置は、さらに、
前記ネットワーク設定情報の受信に応じて、前記通信装置の設定が前記第2の設定から前記第1の設定に変更された後に、前記ネットワークを利用して、前記端末装置との通信を実行する通信実行部として機能させる、請求項15から24のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項26】
前記通信装置は、さらに、
前記第2の設定を示す前記設定状態信号が送信された後に、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記ネットワーク設定情報を暗号化するための暗号化情報を前記端末装置に送信する情報送信部を備え、
前記第1の受信部は、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記端末装置から前記暗号化情報を利用して暗号化された前記ネットワーク設定情報を受信する、請求項15から25のいずれか一項に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、通信装置の設定を変更するための技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報処理装置と通信装置(例えばプリンタ)とを備える通信システムが開示されている。情報処理装置は、近距離無線通信部を介して、インフラストラクチャー接続モードに設定するためのコマンドを通信装置に送信する。近距離無線通信部の通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-184169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、複数個の通信装置が存在する状況を何ら考慮していない。複数個の通信装置が存在する状況では、ユーザは、複数個の通信装置のうち、どの通信装置をインフラストラクチャー接続モードに設定するべきか迷う場合がある。
【0005】
本明細書では、複数個の通信装置が存在する状況において、ユーザの利便性が向上し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、端末装置のためのコンピュータプログラムを開示する。前記端末装置は、通信装置との通信を実行するための通信インターフェイスと、表示部と、を備え、前記通信装置の設定は、ネットワークを介した通信を実行するための通信設定が完了している第1の設定と、前記通信設定が完了していない第2の設定と、を含む複数の設定のうちのいずれかであり、前記コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータを以下の各部、即ち、前記通信インターフェイスを介して、第1の通信装置から、第1の設定状態信号を受信する第1の受信部であって、前記第1の設定状態信号は、前記第1の通信装置の現在の設定が前記第1の設定であることを示す、前記第1の受信部と、前記通信インターフェイスを介して、第2の通信装置から、第2の設定状態信号を受信する第2の受信部であって、前記第2の設定状態信号は、前記第2の通信装置の現在の設定が前記第2の設定であることを示す、前記第2の受信部と、前記第1の設定状態信号と前記第2の設定状態信号とを受信した後に、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置とのうちの少なくとも前記第2の通信装置を選択可能な選択画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記選択画面において前記第2の通信装置が選択される場合に、前記通信インターフェイスを介して、前記第2の通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更するためのネットワーク設定情報を前記第2の通信装置に送信する第1の送信部と、として機能させる。
【0007】
このような構成によれば、端末装置は、第1の通信装置からの第1の設定状態信号と、第2の通信装置からの第2の設定状態信号と、を利用して、第1の通信装置及び第2の通信装置の現在の設定を把握することができる。端末装置は、第1の通信装置及び第2の通信装置の現在の設定を把握して、選択画面を表示することができる。例えば、端末装置は、現在の設定が第2の設定である第2の通信装置が選択され得る態様で選択画面を表示することができる。以上より、複数個の通信装置が存在する状況において、ユーザの利便性が向上し得る。
【0008】
本明細書で開示する通信装置は、端末装置との通信を実行するための第1の通信インターフェイスと、前記第1の通信インターフェイスを介して、設定状態信号を前記端末装置に送信する送信部であって、前記設定状態信号は、前記通信装置の現在の設定が、ネットワークを介した通信を実行するための通信設定が完了している第1の設定である場合に、前記第1の設定を示し、前記設定状態信号は、前記通信装置の現在の設定が、前記通信設定が完了していない第2の設定である場合に、前記第2の設定を示す、前記送信部と、前記第2の設定を示す前記設定状態信号が送信された後に、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記端末装置から前記通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更するためのネットワーク設定情報を受信する第1の受信部と、前記端末装置から前記ネットワーク設定情報が受信される場合に、前記通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更する設定変更部と、を備える。
【0009】
このような構成によれば、通信装置は、設定状態信号を端末装置に送信して、通信装置の現在の設定を端末装置に知らせることができる。例えば、複数個の通信装置が存在する状況において、端末装置は、複数個の通信装置のうち、現在の設定が第2の設定である通信装置が選択され得る画面を表示し得る。以上より、複数個の通信装置が存在する状況において、ユーザの利便性が向上し得る。
【0010】
上記の端末装置自身、上記の端末装置を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。上記の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】通信システムの構成を示す。
図2】第1実施例の通信システムによって実現される処理のシーケンス図を示す。
図3図2の続きを示す。
図4】第2実施例の通信システムによって実現される処理のシーケンス図を示す。
図5】デバイス選択画面の各変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;図1
図1に示されるように、通信システム2は、端末装置10、2個のプリンタ100、200、及び、2個のアクセスポイント500、600(以下では、アクセスポイントを「AP」と記載)を備える。端末装置10は、タブレットPC、スマートフォン等の携帯端末である。なお、変形例では、端末装置10は、デスクトップPC、ノートPC等の端末装置であってもよい。端末装置10及びプリンタ100は、LAN(Local Area Networkの略)4に現在接続されている。なお、変形例では、端末装置10及びプリンタ100は、LAN4に現在接続されていなくてもよい。
【0013】
LAN4は、AP500によって形成されている無線LANである。AP500は、LAN4を識別するSSID(Service Set Identifierの略)「ap01」と、LAN4で利用されるパスワード「xxxx」と、を記憶する。
【0014】
AP600は、図示省略の無線LANを形成している。AP600は、当該無線LANを識別するSSID「ap02」と、当該無線LANで利用されるパスワード「yyyy」と、を記憶する。
【0015】
例えば、ユーザは、プリンタ200を新しく購入する。本実施例では、プリンタ200をLAN4に新たに接続する状況を想定する。
【0016】
(プリンタ100の構成)
プリンタ100は、表示部112、操作部114、無線LANインターフェイス120、Bluetooth(登録商標)インターフェイス122、及び、制御部130を備える。各部112~130は、バス線(符号省略)に接続されている。なお、以下では、インターフェイスのことを「I/F」と記載する。また、Bluetoothのことを「BT」と記載する。
【0017】
表示部112は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部114は、複数個のキーを備える。ユーザは、操作部114を操作することによって、様々な指示をプリンタ100に入力することができる。なお、表示部112は、ユーザから指示を受け付けるタッチパネル(即ち操作部)として機能してもよい。
【0018】
無線LANI/F120は、LAN4を介した無線通信を実行するためのI/Fである。LAN4を介した無線通信は、例えば、Wi-Fi方式に従った通信(以下では「Wi-Fi通信」と記載)である。Wi-Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n,11ac等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
【0019】
BTI/F122は、BT方式に従った無線通信(以下では、「BT通信」と記載)を実行するためのI/Fである。BT方式は、例えば、IEEE802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格に基づく無線通信方式である。より具体的に言うと、BTI/F122は、BLE(Bluetooth Low Energyの略)をサポートしている。BLEは、BT方式のバージョン4.0以降のバージョンで実現されている規格である。BTI/F122は、BLEに従った無線通信(以下では「BLE通信」と記載)を実行可能である。
【0020】
Wi-Fi方式とBT方式との相違点を記述しておく。Wi-Fi通信の通信速度(例えば最大の通信速度が600Mbps)は、BT通信の通信速度(例えば最大の通信速度が24Mbps)よりも速い。Wi-Fi通信における搬送波の周波数は、2.4GHz帯又は5.0GHz帯である。BT通信における搬送波の周波数は、2.4GHz帯である。即ち、Wi-Fi通信における搬送波の周波数として5.0GHz帯が採用される場合には、Wi-Fi通信における搬送波の周波数とBT通信における搬送波の周波数とは異なる。また、Wi-Fi通信を実行可能な最大の距離(例えば約100m)は、BT通信を実行可能な最大の距離(例えば約数十m)よりも大きい。
【0021】
制御部130は、CPU132と、メモリ134と、を備える。CPU132は、メモリ134に記憶されているプログラム140に従って、様々な処理を実行する。メモリ134は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0022】
メモリ134は、さらに、LAN4に接続するためのAP情報AI1を記憶する。AP情報AI1は、AP500に関する情報であり、SSID「ap01」及びパスワード「xxxx」を含む。
【0023】
プリンタ100には、プリンタ100を識別するプリンタ名「printer1」が割り当てられている。また、プリンタ200には、プリンタ200を識別するプリンタ名「printer2」が割り当てられている。プリンタ200は、プリンタ100と同様の構成を有する。
【0024】
(端末装置10の構成)
端末装置10は、表示部12、操作部14、無線LANI/F20、BTI/F22、制御部30と、を備える。各部12~30は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0025】
表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイであり、操作部14は、例えば、タッチパネルである。操作部14は、様々な指示を受け付け可能である。
【0026】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40、42に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。OS(Operating Systemの略)プログラム40は、端末装置10の基本的な処理を実行するためのプログラムである。アプリケーションプログラム42(以下では、「アプリ42」と記載)は、プリンタを無線LAN(例えばLAN4)に接続するためのプログラムである。
【0027】
メモリ34は、さらに、2個のAP情報AI1、AI2を記憶する。AP情報AI2は、AP600に関する情報であり、SSID「ap02」及びパスワード「yyyy」を含む。端末装置10は、AP情報AI1を利用して、AP500によって形成されているLAN4に接続可能である。さらに、端末装置10は、AP情報AI2を利用して、AP600によって形成されている無線LAN(図示省略)に接続可能である。
【0028】
(通信システム2によって実現される処理;図2図3
図2図3を参照して、通信システム2によって実現される処理について説明する。本ケースの初期段階では、端末装置10は、LAN4に現在接続されている。なお、変形例では、端末装置10は、LAN4に現在接続されていなくてもよい。また、以下では、各デバイスの各CPU(例えば端末装置10のCPU32等)が実行する処理について、理解の容易さの観点から、各CPUを主体として記載せずに、各デバイス(例えば端末装置10等)を主体として記載する。
【0029】
プリンタ100は、複数種類のAdvertise信号を順次に繰り返し送信可能に構成されている。Advertise信号は、BLE方式に従った信号である。Advertise信号は、いわゆるビーコン信号であり、送信先が指定されていない信号である。複数種類のAdvertise信号は、第1種のAdvertise信号と、第2種のAdvertise信号と、を含む。プリンタ100は、T10において、BTI/F122を介して、第1種のAdvertise信号を送信し、T12において、BTI/F122を介して、第2種のAdvertise信号を送信する。プリンタ100は、T10及びT12の処理を繰り返し実行する。プリンタ100は、電源ONをトリガとして、Advertise信号の送信を開始する。プリンタ200も、プリンタ100と同様に、複数種類のAdvertise信号を順次に繰り返し送信可能に構成されている。
【0030】
第1種のAdvertise信号は、AP(例えば500)を介さずに、プリンタ100と端末装置10との間にWi-Fi方式に従った無線接続(例えば、WFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式に従った無線接続)を確立するための第1種の処理を端末装置10に実行させるための信号である。第1種の処理によって確立された無線接続は、例えば、印刷データの通信に利用される。第1種の処理は、例えば、AirPrint(登録商標)である。
【0031】
第2種のAdvertise信号は、AP(例えば500)を介して、プリンタ100と端末装置10との間に無線接続を確立するための第2種の処理を端末装置10に実行させるための信号である。第2種の処理は、本実施例のアプリ42によって実現される処理である。
【0032】
複数種類のAdvertise信号を順次に繰り返し送信することにより、Advertise信号を第1種の処理だけでなく、本実施例の第2種の処理にも利用することができる。即ち、Advertise信号を、APを介さない無線接続を確立する用途だけでなく、APを介した無線接続を確立する用途にも利用することができる。
【0033】
T10に示すように、第1種のAdvertise信号は、プリンタ名「printer1」を含み、設定状態情報を含まない。一方、T12に示すように、第2種のAdvertise信号は、プリンタ名「printer1」と、設定状態情報と、を含む。
【0034】
設定状態情報は、無線LANを介した通信を実行するための通信設定が完了していることを示す「ON」と、当該通信設定が完了していないことを示す「OFF」と、のうちのいずれかの値を示す。通信設定が完了していることは、プリンタ100のメモリ134内にAP(例えば500)のAP情報が記憶されている状態を示す。通信設定が完了していないことは、プリンタ100のメモリ134内にいずれのAPのAP情報も記憶されていない状態を示す。別言すれば、通信設定が完了していることは、プリンタ100がいずれかの無線LAN(例えばLAN4)に接続可能な状態を示し、通信設定が完了していないことは、プリンタ100がいずれの無線LANとも接続不可能な状態を示す。なお、変形例では、通信設定が完了していることは、プリンタ100がいずれかの無線LAN(例えば4)に現在接続されている状態を示し、通信設定が完了していないことは、プリンタ100がいずれの無線LANにも現在接続されていない状態を示してもよい。
【0035】
本ケースでは、プリンタ100のメモリ134にAP情報AI1が記憶されている。T22では、プリンタ100は、BTI/F122を介して、設定状態情報「ON」を含む第2種のAdvertise信号を外部に送信する。
【0036】
また、本ケースでは、ユーザは、プリンタ200の梱包を開封し、プリンタ200の電源をONする操作を実行する。これにより、プリンタ200は、複数種類のAdvertise信号の送信を開始する。プリンタ200のメモリ(図示省略)には、いずれのAPのAP情報も記憶されていない。T24では、プリンタ200は、プリンタ200のBTI/F(図示省略)を介して、設定状態情報「OFF」を含む第2種のAdvertise信号を外部に送信する。
【0037】
端末装置10は、T22において、BTI/F22を介して、プリンタ100から設定状態情報「ON」を含む第2種のAdvertise信号を受信し、T24において、BTI/F22を介して、プリンタ200から設定状態情報「OFF」を含む第2種のAdvertise信号を受信する。
【0038】
続くT30では、端末装置10は、第2種のAdvertise信号を送信した複数個のプリンタの中から特定のプリンタを選択可能なデバイス選択画面を表示部12に表示させる。本ケースでは、デバイス選択画面は、T22の第2種のAdvertise信号に含まれるプリンタ名「printer1」を示す選択ボタンBU1と、T24の第2種のAdvertise信号に含まれるプリンタ名「printer2」を示す選択ボタンBU2と、を含む。さらに、選択ボタンBU1は、T22の第2種のAdvertise信号に含まれる設定状態情報「ON」を示すメッセージ(例えば「Setuped」)を含み、選択ボタンBU2は、T24の第2種のAdvertise信号に含まれる設定状態情報「OFF」を示すメッセージ(例えば「No Setup」)を含む。このような構成によれば、ユーザは、プリンタ100、200の通信設定の現在の状態を確認することができる。なお、変形例では、各選択ボタンは、設定状態情報を示すメッセージを含まなくてもよい。
【0039】
図2に示すように、プリンタ200を示す選択ボタンBU2は、プリンタ100を示す選択ボタンBU1よりも上方に配置されている。選択ボタンBU2が選択ボタンBU1よりも上方に配置されていることにより、選択ボタンBU2の選択を促すことができる。本ケースでは、プリンタ100の通信設定は完了しているが、プリンタ200の通信設定は完了していない。選択ボタンBU2の選択を促すことで、通信設定が完了していないプリンタ200の通信設定の完了を促すことができる。
【0040】
T32では、ユーザは、プリンタ200を示す選択ボタンBU2を選択する。端末装置10は、T32において、選択ボタンBU2の選択を受け付けると、T34において、BTI/F22を介して、端末装置10とプリンタ200との間でBT方式に従った所定の通信(Scan Request、Scan Response等)を実行する。これにより、端末装置10は、プリンタ200とのBT接続を確立する。BT接続は、BLE方式に従った無線接続であり、いわゆるL2CAP(Logical Link Control and Application Protocolの略)に従った無線接続である。
【0041】
本ケースでは、上記の所定の通信は、PINコード等を利用した認証通信を含む。認証通信により、端末装置10とプリンタ200との間で暗号化のための鍵情報が共有される。BT接続を利用した通信では、通信対象の情報が鍵情報によって暗号化される。
【0042】
続くT36では、端末装置10は、BTI/F22を介して、BT接続を利用して、端末装置10を示す画像をプリンタ200に表示させるための表示情報をプリンタ200に送信する。表示情報は、端末装置10の端末名「terminal1」を含む。
【0043】
プリンタ200は、T36において、BT接続を利用して、端末装置10から表示情報を受信すると、T40において、接続確認画面をプリンタ200の表示部(図示省略)に表示させる。接続確認画面は、端末装置10とのBT接続が現在確立されていること、及び、通信設定の変更を開始するか否か、を確認するためのメッセージを含む。当該メッセージは、表示情報内の端末名「terminal1」を含む。このような構成によれば、プリンタ200のユーザは、端末装置10を利用して通信設定の変更を実行することを確認することができる。
【0044】
接続確認画面は、さらに、「OK」ボタンと、「Cancel」ボタンと、を含む。T42では、ユーザは、プリンタ200を操作して、接続確認画面内の「OK」ボタンを選択する。プリンタ200は、T42において、「OK」ボタンの選択を受け付けると、T44において、BT接続を利用して、「OK」ボタンが選択されたことを示すOK通知を端末装置10に送信する。一方、接続確認画面内の「Cancel」ボタンが選択される場合には、プリンタ200は、T42以降の処理をスキップして、図2の処理を終了する。このような構成によれば、接続確認画面内の「OK」ボタンが選択されなければ、T44以降の処理が実行されず、通信設定が変更されない。プリンタ200のユーザの知らない間にプリンタ200の通信設定が変更されることを抑制することができる。なお、変形例では、接続確認画面は、「OK」ボタンと、「Cancel」ボタンと、を含まなくてもよい。
【0045】
端末装置10は、T44において、BTI/F22を介して、BT接続を利用して、プリンタ200からOK通知を受信すると、図3のT50において、メモリ34に記憶されている複数個のAP情報の中から特定のAP情報を選択可能な情報選択画面を表示部12に表示させる。本ケースでは、メモリ34は、AP500のAP情報AI1と、AP600のAP情報AI2と、を記憶する。情報選択画面は、AP情報AI1のSSID「ap01」を示す選択ボタンと、AP情報AI2のSSID「ap02」を示す選択ボタンと、を含む。
【0046】
T52では、ユーザは、SSID「ap01」を示す選択ボタンを選択する。端末装置10は、T52において、SSID「ap01」を示す選択ボタンの選択を受け付けると、T60において、BTI/F22を介して、BT接続を利用して、メモリ34内のAP情報AI1をプリンタ200に送信する。AP情報AI1は、AP500によって形成されているLAN4に接続するための情報、即ち、ネットワークへの接続を設定するためのネットワーク設定情報である。上記のように、AP情報AI1は、LAN4を識別するSSID「ap01」とパスワード「xxxx」とを含む。ここで、AP情報AI1は、図2のT32で共有された鍵情報によって暗号化される。このような構成によれば、AP情報AI1の平文が、第三者によって取得されることを抑制することができる。
【0047】
T70では、プリンタ200は、AP500との4way-handshakeの通信を実行する。4way-handshakeの通信の少なくとも一部の過程において、プリンタ200及びAP500は、T60で取得したAP情報AI1に含まれるパスワード「xxxx」によって暗号化された暗号情報を通信する。そして、暗号情報の復号が成功する場合に、プリンタ200及びAP500との間にWi-Fi方式に従った無線接続が確立される。これにより、プリンタ200は、AP500によって形成されるLAN4に接続される。なお、変形例では、4way-handshakeの通信に代えて、SAE(Simultaneous Authentication of Equalsの略、通称「Dragonfly」)の通信が利用されてもよい。
【0048】
端末装置10がLAN4に現在接続されている状況を想定する。この状況で、端末装置10は、T80において、操作部14で印刷指示を受け付けると、T82において、無線LANI/F20を介して、LAN4及びAP500を経由して、印刷対象の画像に対応する印刷データをプリンタ200に送信する。
【0049】
プリンタ200は、T82において、LAN4及びAP500を経由して、端末装置10から印刷データを受信すると、T84において、印刷データに対応する画像の印刷を実行する。
【0050】
なお、ユーザは、図2のT30のデバイス選択画面において、プリンタ100を示す選択ボタンBU1を選択可能である。選択ボタンBU1が選択される場合には、端末装置10は、プリンタ100との間でT34以降の通信を実行する。
【0051】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、端末装置10は、プリンタ100からの第2種のAdvertise信号と、プリンタ200からの第2種のAdvertise信号と、を利用して、プリンタ100、200の現在の設定を把握することができる(図2のT22、T24)。端末装置10は、プリンタ100、200の現在の設定を把握して、デバイス選択画面を表示することができる(図2のT30)。本実施例では、デバイス選択画面において、通信設定が完了していないプリンタ200を示す選択ボタンBU2が、プリンタ100を示す選択ボタンBU1よりも上方に配置され、選択ボタンBU2の選択が促される。複数個のプリンタが存在する状況では、ユーザは、複数個のプリンタのうち、どのプリンタの通信設定を変更すべきか迷う場合がある。デバイス選択画面において選択ボタンBU2の選択が促されることにより、複数個のプリンタが存在する状況において、どのプリンタを選択すべきか迷うことを抑制することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0052】
(対応関係)
端末装置10、BTI/F22、表示部12が、それぞれ、「端末装置」、「通信インターフェイス」、「端末装置」の「表示部」の一例である。プリンタ100、200が、「通信装置」の一例である。BTI/F122、無線LANI/F120、表示部112が、それぞれ、「第1の通信インターフェイス」、「第2の通信インターフェイス」、「通信装置」の「表示部」の一例である。プリンタ100、200が、それぞれ、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」の一例である。プリンタ100のメモリ134にAP情報が記憶されていることが、「第1の設定」の一例である。メモリ134にいずれのAPのAP情報も記憶されていないことが、「第2の設定」の一例である。図3のT60においてプリンタ200に送信されるAP情報AI1が、「ネットワーク設定情報」の一例である。プリンタ100内のAP情報AI1が、「接続情報」の一例である。AP500、LAN4が、それぞれ、「アクセスポイント」、「特定のネットワーク」の一例である。図2のT10、T12によって示される第1種及び第2種のAdvertise信号が、「複数種類のAdvertise信号」の一例である。T22の第2種のAdvertise信号、T24の第2種のAdvertise信号が、それぞれ、「第1の設定状態信号」、「第2の設定状態信号」の一例である。T30のデバイス選択画面、選択ボタンBU1、選択ボタンBU2が、それぞれ、「選択画面」、「第1の画像」、「第2の画像」の一例である。T34のBT接続が、「無線接続」の一例である。T36の表示情報が、「表示情報」の一例である。
【0053】
「端末装置」において、図2のT22、T24、T30、図3のT60が、それぞれ、「第1の受信部」、「第2の受信部」、「表示制御部」、「第1の送信部」によって実現される処理の一例である。
【0054】
「通信装置」において、図2のT22、T24が、「送信部」によって実現される処理の一例である。図3のT60、T70が、それぞれ、「第1の受信部」、「設定変更部」によって実現される処理の一例である。
【0055】
(第2実施例)
第2実施例は、BT方式に従った認証通信が実行されず、別の方法を利用してAP情報が暗号化される点を除いて、第1実施例と同様である。
【0056】
(通信システム2によって実現される処理;図4
図4を参照して、第2実施例の通信システム2によって実現される処理について説明する。T122~T132は、図2のT22~T32と同様である。T134は、PINコード等による認証通信が実行されない点を除いて、図2のT34と同様である。T136は、表示情報が鍵情報によって暗号化されない点を除いて、図2のT36と同様である。T140、T142は、図2のT40、T42と同様である。T144は、OK通知が鍵情報によって暗号化されない点、及び、OK通知がパスワード「zzzz」を含む点を除いて、図2のT44と同様である。パスワード「zzzz」は、プリンタ200のメモリ(図示省略)に予め記憶されているパスワードである。
【0057】
T150、T152は、図3のT50、T52と同様である。T154では、端末装置10は、T144で受信したパスワード「zzzz」を利用して、AP情報AI1を暗号化する。T160は、パスワード「zzzz」を利用して暗号化されたAP情報AI1(以下では、「暗号化済みのAP情報」と記載)が送信される点を除いて、図3のT60と同様である。
【0058】
プリンタ200は、T160において、端末装置10から暗号化済みのAP情報を受信すると、T162において、プリンタ200のメモリ内のパスワード「zzzz」を利用して、暗号化済みのAP情報を復号して、AP情報AI1を取得する。T170~T184は、図3のT70~T84と同様である。このような構成でも、AP情報AI1の平文が、第三者によって取得されることを抑制することができる。本実施例では、パスワード「zzzz」が「暗号化情報」の一例である。
【0059】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0060】
(変形例1-4) デバイス選択画面の表示態様は、上記の各実施例に示す表示態様に限らない。図5は、デバイス選択画面の変形例1~4を示す。変形例1のデバイス選択画面は、選択ボタンBU3と、選択ボタンBU4と、を含む。選択ボタンBU3は、プリンタ名「printer1」を含み、設定状態情報「ON」を示すメッセージを含まない。選択ボタンBU4は、プリンタ名「printer2」を含み、設定状態情報「OFF」を示すメッセージを含まない。選択ボタンBU4は、選択ボタンBU3より上方に配置されている。そして、選択ボタンBU3は、選択不可能な態様(例えばグレーアウト)を有し、選択ボタンBU4は、選択可能な態様を有する。本変形例では、選択ボタンBU3が選択されても、端末装置10は、プリンタ100との間で図2のT34以降の通信を実行しない。選択ボタンBU3が選択不可能な態様を有することにより、選択ボタンBU4の選択を促すことができる。選択ボタンBU4の選択を促すことで、通信設定が完了していないプリンタ200の通信設定の完了を促すことができる。本変形例では、選択ボタンBU3、BU4が、それぞれ、「第1のボタン」、「第2のボタン」の一例である。
【0061】
変形例2は、選択ボタンBU3が選択ボタンBU4より上方に配置されている点を除いて、変形例1と同様である。選択ボタンBU3が選択ボタンBU4より上方に配置されているものの、選択ボタンBU3が選択不可能な態様を有することにより、選択ボタンBU4の選択を促すことができる。
【0062】
変形例3は、通信設定が完了しているプリンタ100の選択ボタンBU3が含まれない点を除いて、変形例1と同様である。選択ボタンBU3が含まれないことにより、ユーザに選択ボタンBU4の選択を促すことができる。
【0063】
変形例4は、選択ボタンBU1が選択ボタンBU2より上方に配置されている点を除いて、各実施例と同様である。選択ボタンBU1が選択ボタンBU2より上方に配置されているものの、選択ボタンBU1が設定状態情報「ON」を示すメッセージを含み、選択ボタンBU2が設定状態情報「OFF」を示すメッセージを含むことにより、選択ボタンBU2の選択を促すことができる。
【0064】
また、プリンタ選択画面において、選択ボタンは、プリンタ名を含まなくてもよい。例えば、プリンタ選択画面において、プリンタ名「printer1」を含む画像に隣接して、プリンタ100を選択するボタンが配置され、プリンタ名「printer2」を含む画像に隣接して、プリンタ200を選択するボタンが配置されてもよい。そして、プリンタ名「printer2」を含む画像が、プリンタ名「printer1」を含む画像より上方に配置されていてもよい。本変形例では、プリンタ名「printer1」を含む画像、プリンタ名「printer2」を含む画像が、それぞれ、「第1の画像」、「第2の画像」の一例である。
【0065】
(変形例5)「第1の通信装置」及び「第2の通信装置」のうちの少なくとも一方、及び、「通信装置」は、例えば、スキャナ、FAX装置、多機能機、PC等の端末装置であってもよい。
【0066】
(変形例6)「通信インターフェイス」は、BTI/F22に限らず、例えば、有線通信を実行するためのI/Fであってもよい。有線通信は、例えば、有線LAN、USB(Universal Serial Busの略)等である。
【0067】
(変形例7)各装置10、100、200は、Bluetooth方式のバージョン4.0(即ちBLE方式)をサポートしていなくてもよい。各装置10、100、200は、Bluetooth方式のバージョン4.0より前のバージョンをサポートしていてもよい。
【0068】
(変形例8)「第1の設定状態信号及び第2の設定状態信号」は、BLE方式のAdvertise信号に限らず、BT方式の他の信号(例えば、Scan Response等)であってもよい。
【0069】
(変形例9)プリンタ100は、第1種及び第2種のAdvertise信号に加えて、プリンタの通信設定以外の状態(例えばインク残量等)を示す第3種のAdvertise信号を送信してもよい。本変形例では、第1種、第2種及び第3種のAdvertise信号が、「複数種類のAdvertise信号」の一例である。一般的に言えば、「複数種類のAdvertise信号」は、複数の用途に対応する複数種類のAdvertise信号である。
【0070】
(変形例10)図2のT10の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「複数種類のAdvertise信号」を省略可能である。
【0071】
(変形例11)図2のT34の処理は実行されなくてもよい。この場合、例えば、端末装置10は、BT方式に従った通信のうち、BT接続を確立することなく利用可能な通信(例えば、Scan Request等)を利用して、表示情報及びAP情報AI1のうちの少なくとも一方をプリンタ200に送信してもよい。
【0072】
(変形例12)図2のT36の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「端末装置」の「第2の送信部」及び「通信装置」の「第2の受信部」を省略可能である。
【0073】
(変形例13)図3のT70の処理は実行されなくてもよい。この場合、プリンタ200は、端末装置10から受信したAP情報AI1をメモリに記憶し、AP500との無線接続を確立しなくてもよい。AP情報AI1をメモリに記憶することが、「前記第2の通信装置の設定を前記第2の設定から前記第1の設定に変更する」及び「設定変更部」によって実現される処理の一例である。
【0074】
(変形例14)図3のT80は実行されなくてもよい。本変形例では、「通信実行部」を省略可能である。
【0075】
(変形例15)「接続情報」は、AP情報に限らず、例えば、APとは異なる他の装置(例えば、WFD方式のCroup Ownerとして動作する装置、SoftAPの親局として動作する装置)によって形成されるネットワークに接続するための情報(例えばSSID)であってもよい。
【0076】
(変形例16)第2実施例において、パスワード「zzzz」は、図3のT144のOK通知に含まれなくてもよい。例えば、パスワード「zzzz」は、T124のAdvertise信号に含まれていてもよい。また、パスワード「zzzz」は、T134で実行されるBT方式に従った所定の通信内で、端末装置10に送信されてもよい。一般的に言えば、「暗号化情報」は、「ネットワーク設定情報」の通信の前に通信されればよい。
【0077】
(変形例17)上記の各実施例では、図2図4の各処理がソフトウェア(例えば各プログラム40、42、140等)によって実現されるが、これらの各処理のうちの少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0078】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0079】
2:通信システム、4:LAN、10:端末装置、12:表示部、14:操作部、22:BTI/F、30:制御部、32:CPU、34:メモリ、40:OSプログラム、42:アプリ、100:プリンタ、112:表示部、114:操作部、120:無線LANインターフェイス、122:BTI/F、130:制御部、132:CPU、134:メモリ、140:プログラム、200:プリンタ、500:アクセスポイント、600:アクセスポイント、AI1、AI2:AP情報、BU1~BU4:選択ボタン
図1
図2
図3
図4
図5