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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20241106BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B41J2/17 201
B41J2/01 301
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020198233
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086300
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 大輔
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-011434(JP,A)
【文献】特開2007-090716(JP,A)
【文献】特開2019-111804(JP,A)
【文献】特開2017-124542(JP,A)
【文献】米国特許第05058838(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアに液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部から吐出される前記液体を廃液として受ける少なくとも1つの受容部と、
先端を含む部分である第1先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第1チューブと、
先端を含む部分である第2先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第2チューブと、
前記第1先端部分及び前記第2先端部分が挿入される開口部を有し、前記廃液を貯留する貯留部と、
前記第1チューブ及び前記第2チューブが取り付けられ、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を前記開口部に案内する案内部と、を備え、
前記案内部は、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を包囲する包囲部を有し、
前記包囲部は、
互いに対向し、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を挟む第1部材及び第2部材と、
前記第1部材から前記第2部材に接近するように延びる第1押さえ部材と、
前記第2部材から前記第1部材に接近するように延びる第2押さえ部材と、を有し、
前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材とは、互い違いにずれて配置されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記包囲部は、前記第1部材と前記第2部材とに接続される第3部材を有し、
前記第3部材は、前記包囲部において内方を向く内方面を有し、
前記第1押さえ部材及び前記第2押さえ部材は、前記内方面に対して傾斜し、前記内方面から離れるように延びることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1チューブは、基端を含む部分である第1基端部分を有し、
前記第2チューブは、基端を含む部分である第2基端部分を有し、
前記案内部は、
前記第1チューブにおいて前記包囲部が包囲する部分よりも基端寄りの部分を包囲することによって前記第1チューブを保持する第1クランプと、
前記第2チューブにおいて前記包囲部が包囲する部分よりも基端寄りの部分を包囲することによって前記第2チューブを保持する第2クランプと、
を有し、
前記第1クランプは、前記第1チューブが通過する第1通過開口を有し、
前記第2クランプは、前記第2チューブが通過する第2通過開口を有し、
前記第1クランプ及び前記第2クランプは、
前記第1通過開口を通じて前記第1部材又は前記第1押さえ部材が露出され、前記第2通過開口を通じて前記第2部材又は前記第2押さえ部材が露出されるように、前記包囲部に対して位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1部材は、
前記第2部材との距離が第1距離である第1部分と、
前記第2部材との距離が前記第1距離よりも小さい第2距離である第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とに接続され、前記第1部分及び前記第2部分に対して傾斜する第3部分と、を含み、
前記第2部分は、前記第1チューブ及び前記第2チューブにおいて前記第1部分が対向する部分よりも先端寄りの部分に対向することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1部材と前記第2部材とが対向する第1方向における、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材との間隔は、前記第1チューブの径及び前記第2チューブの径よりも小さく、
前記第1方向と交差する第2方向における、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材との間隔は、前記第1チューブの径及び前記第2チューブの径よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出する吐出部と、吐出部が吐出する液体を廃液として受ける受容部の一例であるメンテナンス装置と、メンテナンス装置が受けた廃液が流れるチューブと、チューブの先端が挿入される開口を有する貯留部の一例である収容体とを備える液体吐出装置が記載されている。この液体吐出装置は、チューブが取り付けられる案内部の一例であるチューブガイドを備える。チューブガイドは、チューブが取り付けられることによって、そのチューブを収容体の開口部に案内する。
【0003】
チューブガイドは、チューブを包囲する包囲部を有する。チューブは、例えば、包囲部に挿入されることによって、包囲部に包囲される。これにより、チューブは、案内部に取り付けられ、開口部に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-11434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体吐出装置では、複数のチューブを備え、それぞれのチューブを流れる廃液を1つの貯留部に貯留させる場合がある。この場合、複数のチューブを1つの案内部に取り付けることによって、複数のチューブを貯留部の開口部に案内する。複数のチューブを案内部に取り付ける際、チューブ同士が擦れることがある。例えば、1つ目のチューブが取り付けられた案内部に、2つ目のチューブを1つ目のチューブに沿って包囲部に挿入すると、チューブ同士が擦れながら取り付けられることになる。これにより、チューブが損傷するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、メディアに液体を吐出する吐出部と、前記吐出部から吐出される前記液体を廃液として受ける少なくとも1つの受容部と、先端を含む部分である第1先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第1チューブと、先端を含む部分である第2先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第2チューブと、前記第1先端部分及び前記第2先端部分が挿入される開口部を有し、前記廃液を貯留する貯留部と、前記第1チューブ及び前記第2チューブが取り付けられ、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を前記開口部に案内する案内部と、を備え、前記案内部は、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を包囲する包囲部を有し、前記包囲部は、互いに対向し、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を挟む第1部材及び第2部材と、前記第1部材から前記第2部材に接近するように延びる第1押さえ部材と、前記第2部材から前記第1部材に接近するように延びる第2押さえ部材と、を有し、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材とは、互い違いにずれて配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体吐出装置の一実施形態を示す正面図。
図2】保持部の側面図。
図3】保持部の平面図。
図4】案内部の斜視図。
図5】案内部の正面図。
図6】案内部の平面図。
図7図6とは反対から見た案内部の底面図。
図8】案内部の側面図。
図9図8とは反対から見た案内部の側面図。
図10図5とは反対から見た案内部の背面図。
図11】包囲部の斜視図。
図12】包囲部の平面図。
図13】包囲部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体吐出装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、メディアの一例である用紙に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真等の画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
図1に示すように、液体吐出装置11は、例えば、筐体12と、脚部13とを備える。筐体12は、脚部13に支持される。筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。脚部13は、筐体12から延びるように設けられる。
【0010】
液体吐出装置11は、例えば、支持台14を備える。支持台14は、例えば、筐体12の内外にわたって設けられる。支持台14は、例えば、搬送されるメディア99を支持する。
【0011】
液体吐出装置11は、吐出部15を備える。吐出部15は、例えば、筐体12内に設けられる。吐出部15は、1又は複数のノズル16を有する。また、吐出部15は、1又は複数のノズル16が設けられる図示しないノズル面を有する。吐出部15は、ノズル16からメディア99に液体を吐出する。吐出部15は、いわゆるヘッドである。これにより、メディア99に画像が記録される。吐出部15は、例えば、支持台14に支持されるメディア99に液体を吐出する。
【0012】
液体吐出装置11は、例えば、キャリッジ17を備える。キャリッジ17は、吐出部15を搭載する。キャリッジ17は、メディア99に対して走査する。このように、液体吐出装置11は、シリアルタイプのプリンターであるが、メディア99の幅にわたって一斉に液体を吐出するラインタイプのプリンターでもよい。
【0013】
液体吐出装置11は、例えば、ガイド部材18を備える。ガイド部材18は、例えば、筐体12内に設けられる。ガイド部材18は、筐体12の幅にわたって延びる長尺の部材である。ガイド部材18は、板金でもよいし、ロッドでもよい。ガイド部材18は、筐体12に固定される。ガイド部材18は、キャリッジ17をガイドするとともに、キャリッジ17を支持する。キャリッジ17は、ガイド部材18に沿って移動することによって、メディア99に対して走査する。
【0014】
液体吐出装置11は、例えば、装着部21を備える。装着部21は、例えば、筐体12内に設けられる。装着部21は、液体を収容する1又は複数の収容体22を装着可能に構成される。収容体22は、吐出部15に供給される液体を収容する。したがって、収容体22に収容される液体は、吐出部15に供給される。収容体22は、例えば、インクカートリッジである。収容体22は、キャリッジ17に搭載されてもよい。
【0015】
液体吐出装置11は、メンテナンス機構23と、メンテナンス機構23が受けた廃液を貯留する貯留部24とを備える。メンテナンス機構23は、吐出部15をメンテナンスするための機構である。メンテナンス機構23は、吐出部15が吐出する液体を廃液として受ける1又は複数の受容部を有する。メンテナンス機構23は、受容部として、例えば、第1受容部25と、第2受容部26とを有する。
【0016】
第1受容部25は、例えば、フラッシングボックスである。液体吐出装置11では、ノズル16の目詰まりを抑制するために、吐出部15が液体を吐出するいわゆるフラッシングが適宜実行される。第1受容部25は、フラッシングによって吐出部15から吐出される液体を廃液として受ける。フラッシングが実行される場合、吐出部15は、第1受容部25と対向する位置に向けて、ガイド部材18に沿って移動する。
【0017】
第2受容部26は、例えば、キャップである。キャップは、縁を有する凹部が設けられたリップ部を有する。この場合、第2受容部26は、リップ部が吐出部15のノズル面に接触することによってノズル面と凹部とにより空間を形成するいわゆるキャッピングを実行できる。液体吐出装置11では、吐出部15内で増粘又は固化した液体、気泡などをノズル16から強制的に排出するクリーニングが適宜実行されてもよい。第2受容部26は、例えばキャッピングする状態で、クリーニングによって吐出部15から吐出される液体を廃液として受けてもよい。クリーニングは、例えば、吐出部15内を加圧することによって液体を排出させる加圧クリーニング、吐出部15を吸引することによって液体を排出させる吸引クリーニングなどである。クリーニングが実行される場合、吐出部15は、第2受容部26と対向する位置に向けて、ガイド部材18に沿って移動する。なお、液体吐出装置11では、例えばキャッピングする状態で、吐出部15内で増粘又は固化した液体、気泡などをノズル16から強制的に排出するクリーニングが実行されなくてもよい。
【0018】
メンテナンス機構23は、複数のチューブを有する。複数のチューブは、受容部に接続される。複数のチューブは、例えば、筐体12の内側から筐体12の外側に向けて延びる。メンテナンス機構23は、例えば、複数のチューブとして、第1チューブ27と、第2チューブ28とを有する。
【0019】
第1チューブ27は、第1受容部25が受けた廃液が流れるチューブである。第1チューブ27は、例えば、第1受容部25に接続される。本例では、第1チューブ27は、例えば、第1受容部25と直接接続される。なお、第1チューブ27は、その他の構成を介して第1受容部25と接続されてもよい。
【0020】
第1チューブ27は、基端部分である第1基端部分31と、先端部分である第1先端部分32とを有する。第1基端部分31は、例えば、第1受容部25と接続される部分であり、第1チューブ27の基端を含む部分である。第1先端部分32は、第1基端部分31と反対の部分であり、第1チューブ27の先端を含む部分である。第1先端部分32は、貯留部24に挿入される。第1チューブ27を流れる廃液は、第1基端部分31から第1先端部分32に向かって流れる。
【0021】
第2チューブ28は、第2受容部26が受けた廃液が流れるチューブである。第2チューブ28は、例えば、第2受容部26に接続される。第2チューブ28は、例えば、第2受容部26と直接接続されているが、その他の構成を介して第2受容部26と接続されてもよい。
【0022】
第2チューブ28は、基端部分である第2基端部分33と、先端部分である第2先端部分34とを有する。第2基端部分33は、例えば、第2受容部26と接続される部分であり、第2チューブ28の基端を含む部分である。第2先端部分34は、第2基端部分33と反対の部分であり、第2チューブ28の先端を含む部分である。第2先端部分34は、貯留部24に挿入される。第2チューブ28を流れる廃液は、第2基端部分33から第2先端部分34に向かって流れる。
【0023】
第1チューブ27と第2チューブ28とは、それぞれ別々の受容部と接続されているが、同一の受容部と接続されてもよい。すなわち、1つの受容部に対して、複数のチューブが接続されてもよい。第1チューブ27と第2チューブ28とは、例えば、可撓性を有する。
【0024】
メンテナンス機構23は、ポンプ35を有していてもよい。ポンプ35は、例えば、第2チューブ28に設けられる。ポンプ35は、第2受容部26が受けた廃液を吸引する。第2受容部26が吐出部15をキャッピングする状態でポンプ35が駆動すると、吐出部15から液体を強制的に排出される吸引クリーニングが実行される。
【0025】
メンテナンス機構23は、払拭部36を有していてもよい。払拭部36は、例えば、布、ゴムブレードなどのワイパーである。吐出部15では、液体を吐出することによって、その液体が吐出部15自身に付着することがある。そのため、払拭部36は、吐出部15に接触することによって、吐出部15に付着する液体のミストを払拭する。
【0026】
貯留部24は、筐体12外に位置する。本例では、1又は複数の貯留部24が設けられる。貯留部24は、例えば、廃液タンクである。貯留部24は、チューブが挿入される開口部38を有する。一の貯留部24が有する開口部38には、第1チューブ27と第2チューブ28とが挿入される。詳述すると、開口部38には、第1先端部分32と第2先端部分34とが挿入される。第1チューブ27を流れる廃液及び第2チューブ28を流れる廃液は、第1チューブ27の先端及び第2チューブ28の先端から流出し、開口部38を通じて貯留部24内に導入される。複数の貯留部24が設けられる場合、図1に図示される貯留部24とは別の貯留部には、第1チューブ27及び第2チューブ28とは別のチューブが挿入される。
【0027】
図2及び図3に示すように、液体吐出装置11は、保持部41を備える。保持部41は、筐体12外に設けられ、例えば、脚部13に取り付けられる。保持部41は、貯留部24を保持するように構成される。保持部41は、例えば、本体部分42と、トレイ43とを有する。
【0028】
本体部分42は、例えば、脚部13に取り付けられる。本体部分42は、例えば、板金で構成される。
トレイ43は、本体部分42に取り付けられる。トレイ43は、本体部分42に対してスライドするように構成される。トレイ43は、例えば、キャリッジ17が走査する方向に移動可能である。これにより、トレイ43は、本体部分42から引き出し可能である。トレイ43は、本体部分42から引き出されることによって、本体部分42から飛び出す。図2及び図3では、トレイ43は、本体部分42に押し込まれた状態、すなわち本体部分42から引き出されていない状態である。
【0029】
トレイ43には、貯留部24が載せられる。トレイ43が本体部分42から引き出されることによって、貯留部24を保持部41から取り出しやすくなる。そのため、トレイ43は、例えば、貯留部24を交換する場合に、本体部分42から引き出される。トレイ43が本体部分42に押し込まれた状態で、保持部41は、貯留部24を保持する。トレイ43は、例えば、貯留部24の数と同等数設けられる。
【0030】
液体吐出装置11は、案内部45を備える。案内部45には、第1チューブ27及び第2チューブ28が取り付けられる。案内部45は、保持部41に保持される貯留部24に第1チューブ27及び第2チューブ28を案内するように構成される。詳述すると、案内部45は、トレイ43が本体部分42に押し込まれた状態の開口部38に、第1先端部分32と第2先端部分34とを案内する。そのため、トレイ43が本体部分42に押し込まれた状態の貯留部24が有する開口部38と対応する位置に、案内部45が設けられる。案内部45は、例えば、取付部46と包囲部47とを有する。
【0031】
取付部46は、保持部41に取り付けられる。取付部46は、例えば、板金で構成される。取付部46は、例えば、トレイ43が本体部分42に押し込まれた状態において、開口部38の直上に位置する。
【0032】
取付部46は、回転軸48を有する。取付部46は、回転軸48を介して本体部分42に取り付けられる。取付部46は、回転軸48を中心に回転可能である。そのため、案内部45は、本体部分42に対して回転可能である。
【0033】
トレイ43が本体部分42から引き出される場合に、貯留部24が移動することに伴い、開口部38に挿入された第1チューブ27及び第2チューブ28が移動する。このとき、第1チューブ27及び第2チューブ28が移動することに伴い、案内部45が回転軸48を中心に回転する。トレイ43が本体部分42から引き出されることによって、図2において反時計回りとなる方向に案内部45が回転する。これにより、開口部38に挿入された第1チューブ27及び第2チューブ28が抵抗になることなく、トレイ43がスムーズに移動できる。
【0034】
図4図5図6図7図8図9及び図10に示すように、取付部46は、第1クランプ51と、第2クランプ52とを有する。第1クランプ51は、第1チューブ27を保持するクランプである。第1クランプ51は、案内部45を平面視した場合に、第1先端部分32の四方を囲う、すなわち第1先端部分32を包囲するように設けられる。第2クランプ52は、第2チューブ28を保持するクランプである。第2クランプ52は、案内部45を平面視した場合に、第2先端部分34の四方を囲う、すなわち第2先端部分34を包囲するように設けられる。
【0035】
第1クランプ51は、第1ホルダー53と第1レバー54とを有する。案内部45を重力方向すなわち液体吐出装置11の高さ方向から平面視すると、第1ホルダー53の形状は、例えばU字状である。すなわち、第1ホルダー53の一部に開口が設けられている。そのため、第1ホルダー53は、第1先端部分32の三方を囲うように設けられる。第1レバー54は、第1ホルダー53に取り付けられ、第1ホルダー53に対して開閉する。図4から図10に示す第1レバー54は、第1ホルダー53に対して閉じている。このとき、第1レバー54は、第1ホルダー53の開口を塞ぐように位置する。第1レバー54が第1ホルダー53に対して開くことによって、第1先端部分32を第1ホルダー53に取り付けることができる。第1ホルダー53に第1先端部分32が取り付けられた状態で第1レバー54が第1ホルダー53に対して閉じると、第1チューブ27は、第1クランプ51に保持される。
【0036】
第1クランプ51は、第1チューブ27が通過する第1通過開口55を有する。第1通過開口55は、第1ホルダー53と第1レバー54とによって構成される。第1レバー54が第1ホルダー53に対して閉じることによって、第1通過開口55が形成される。第1通過開口55の大きさは、第1チューブ27が通過可能な大きさである。本例では、第1チューブ27の径を、第1径R1として示す。
【0037】
第1チューブ27に、ストッパー56が設けられてもよい。ストッパー56は、例えば、結束バンドである。ストッパー56は、第1先端部分32において間隔をあけて2箇所に設けられる。第1先端部分32においてストッパー56が設けられた2箇所の間を、第1クランプ51が保持する。すなわち、第1先端部分32においてストッパー56が設けられた2箇所の間が、第1通過開口55を通過する。ストッパー56が第1クランプ51に接触することによって、第1クランプ51に対する第1チューブ27の位置ずれが抑制される。ストッパー56は、第1チューブ27が第1クランプ51に取り付けられる前に設けられてもよいし、第1チューブ27が第1クランプ51に取り付けられた後に設けられてもよい。
【0038】
第2クランプ52は、第1クランプ51と同様に、第2ホルダー57と第2レバー58とを有する。第2ホルダー57は、第1ホルダー53と同様の構成である。第2レバー58は、第1レバー54と同様の構成である。第2クランプ52は、第2チューブ28が通過する第2通過開口59を有する。第2チューブ28に、第1チューブ27と同様のストッパー56が設けられてもよい。第2通過開口59の大きさは、第2チューブ28が通過可能な大きさである。本例では、第2チューブ28の径を、第2径R2として示す。本例では、第2径R2は、第1径R1と同じであるが、異なっていてもよい。
【0039】
包囲部47は、取付部46に取り付けられる。包囲部47は、例えば、板金で構成される。包囲部47は、第1先端部分32及び第2先端部分34を包囲する。詳述すると、包囲部47は、第1先端部分32及び第2先端部分34に対し、第1クランプ51及び第2クランプ52によって包囲される部分よりも、廃液が流れる流動方向において下流の部分を包囲する。すなわち、包囲部47は、第1先端部分32において第1クランプ51が包囲する部分よりも先端寄りの部分を包囲する。包囲部47は、第2先端部分34において第2クランプ52が包囲する部分よりも先端寄りの部分を包囲する。別の表現をすれば、第1クランプ51は、第1先端部分32において包囲部47が包囲する部分よりも基端寄りの部分を包囲する。第2クランプ52は、第2先端部分34において包囲部47に包囲される部分よりも基端寄りの部分を包囲する。
【0040】
包囲部47は、第1先端部分32及び第2先端部分34を包囲することによって、第1先端部分32及び第2先端部分34を束ねる。包囲部47の一部分は、開口部38に挿入される。包囲部47が第1先端部分32及び第2先端部分34を束ねた状態で開口部38に挿入されることによって、第1先端部分32及び第2先端部分34は、開口部38に挿入される。
【0041】
包囲部47は、第1部材61と、第2部材62とを有する。包囲部47は、第3部材63を有してもよい。包囲部47は、第1押さえ部材64と、第2押さえ部材65とを有する。
【0042】
第1部材61及び第2部材62は、互いに対向する部材である。第1部材61及び第2部材62は、第1先端部分32及び第2先端部分34を挟む。別の表現をすれば、第1先端部分32及び第2先端部分34は、第1部材61及び第2部材62の間に位置する。
【0043】
第1部材61は、例えば、取付部46に取り付けられ、取付部46から延びる部材である。第1部材61は、例えば、第1取付部分66と、第1包囲部分67とを有する。
第1取付部分66は、取付部46に取り付けられる部分である。第1取付部分66は、例えば、ねじ68によって、取付部46に取り付けられる。
【0044】
第1包囲部分67は、第1先端部分32及び第2先端部分34の包囲に寄与する部分である。第1包囲部分67は、例えば、第1部分71と、第2部分72と、第3部分73とを有する。
【0045】
図11図12及び図13に示すように、第1部分71は、第1取付部分66及び第3部分73と接続される部分である。第1部分71は、第1取付部分66から屈曲するように延びる。第1部分71は、第2部材62と対向する第1面74を有する。第1面74は、包囲部47において内方を向く面である。換言すれば、第1面74は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。なお、「包囲部47に包囲された」とは、第1チューブ27及び第2チューブ28が案内部45に取り付けられた状態を指す。
【0046】
第1部分71と第2部材62との距離は、第1距離A1である。第1距離A1は、第1面74に垂直な軸線における距離を示す。本例では、例えば、第1面74に垂直な軸線に沿う方向であって、第1部材61から第2部材62に向かう方向を第1方向D1という。そのため、第1距離A1は、第1方向D1における第1部分71と第2部材62との距離である。第1面74に垂直な軸線に沿う方向であって、第2部材62から第1部材61に向かう方向を第1方向D1としてもよい。第1方向D1は、第1部材61と第2部材62とが対向する方向であるともいえる。
【0047】
本例では、第1方向D1と異なる2方向をそれぞれ、第2方向D2、第3方向D3という。第2方向D2及び第3方向D3は、第1面74の広がりをあらわす方向である。すなわち、第1面74は、第2方向D2及び第3方向D3に広がりを有する面である。
【0048】
第2部分72は、第3部分73と接続される部分である。第2部分72は、第3部分73から屈曲するように延びる。第2部分72は、例えば、第1部分71と平行に延びる。第2部分72は、第2部材62と対向する第2面75を有する。第2面75は、包囲部47において内方を向く面である。換言すれば、第2面75は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。第2面75は、例えば、第1面74と平行である。第2面75は、第1面74と同様に、第2方向D2及び第3方向D3に広がりを有する面である。
【0049】
第2部分72と第2部材62との距離は、第2距離A2である。第2距離A2は、第1方向D1における第2部分72と第2部材62との距離である。第2距離A2は、第1距離A1よりも小さい。すなわち、第2部分72は、第2部材62に対して、第1部分71よりも接近した位置に位置する。第2距離A2は、第1径R1及び第2径R2よりも大きい。
【0050】
第2部分72は、第1先端部分32及び第2先端部分34と対向する。詳述すると、第2部分72は、第1部分71と対向する第1先端部分32及び第2先端部分34の部分よりも、廃液の流動方向において下流の部分と対向する。すなわち、第2部分72は、第1先端部分32及び第2先端部分34において第1部分71が対向する部分よりも先端寄りの部分と対向する。
【0051】
第3部分73は、第1部分71及び第2部分72と接続される部分である。本例では、第1部分71、第2部分72及び第3部分73は、板金を折り曲げることにより形成される。第3部分73は、第1部分71及び第2部分72に対して傾斜する。すなわち、第1部材61は、第3部分73によって第1部材61と第2部材62との距離が第1距離A1から第2距離A2と変化するように延びる。第3部分73は、第1部分71及び第2部分72に対して傾斜する第3面76を有する。第3面76は、包囲部47において内方を向く面である。換言すれば、第3面76は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。第3面76は、第1面74及び第2面75に連なる面である。
【0052】
図4図5図6図7図8図9及び図10に示すように、第2部材62は、例えば、取付部46に取り付けられ、取付部46から延びる部材である。第2部材62は、例えば、第2取付部分77と、第2包囲部分78とを有する。
【0053】
第2取付部分77は、取付部46に取り付けられる部分である。第2取付部分77は、例えば、ねじ68によって、取付部46に取り付けられる。
第2包囲部分78は、第1チューブ27及び第2チューブ28の包囲に寄与する部分である。第2包囲部分78は、例えば、第1部分71及び第2部分72と平行に延びる。第2包囲部分78は、対向面79を有する。対向面79は、包囲部47において内方を向く面である。換言すれば、対向面79は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。対向面79は、例えば、第1面74及び第2面75に平行な面であり、第1面74及び第2面75と対向する面である。そのため、対向面79は、第2方向D2及び第3方向D3に広がりを有する面である。第1面74に垂直な軸線は、対向面79に垂直な軸線でもある。
【0054】
第3部材63は、第1部材61及び第2部材62と接続される。詳述すると、第3部材63は、第1部材61のうち第2部分72と、第2部材62とに接続される。第3部材63は、内方面81を有する。内方面81は、包囲部47において内方を向く面である。換言すれば、内方面81は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。内方面81は、第3方向D3を向く面である。第3方向D3は、内方面81に垂直な軸線に沿う方向であって、例えば内方面81から包囲部47の内方に向かう方向である。内方面81は、第1方向D1及び第2方向D2に広がりを有する。内方面81は、例えば、第1面74、第2面75、第3面76及び対向面79に垂直な面である。内方面81は、例えば、第2面75と対向面79とに連なる。
【0055】
第1押さえ部材64は、案内部45に第1チューブ27及び第2チューブ28が取り付けられた状態において、第1チューブ27と第2チューブ28との少なくとも一方を内方面81とで押さえる部材である。第1押さえ部材64は、第1チューブ27と第2チューブ28との少なくとも一方に接触することによって、第1チューブ27及び第2チューブ28が包囲部47から脱落することを抑制する部材である。
【0056】
図11図12及び図13に示すように、第1押さえ部材64は、第1部材61から延びる。詳述すると、第1押さえ部材64は、第1部材61の第2部分72から延びる。第1押さえ部材64は、第1部材61から屈曲するように延びる。第1押さえ部材64は、第1部材61から第2部材62に接近するように延びる。例えば、第1押さえ部材64において、第1部材61と繋がる端部を基端とし、その反対を先端とする。第1方向D1における第1押さえ部材64の基端と第2部材62との距離よりも、第1方向D1における第1押さえ部材64の先端と第2部材62との距離が小さくなるように、第1押さえ部材64は延びる。第1方向D1における第1押さえ部材64の基端と第2部材62との距離は、例えば、第2距離A2と一致する。
【0057】
第1押さえ部材64は、第1押さえ面82を有する。第1押さえ面82は、包囲部47の内方を向く面である。換言すれば、第1押さえ面82は、包囲部47に包囲された第1先端部分32と第2先端部分34との少なくとも一方と対向する面である。第1押さえ面82は、第2面75と連なる。第2面75と第1押さえ面82との間の角度は、例えば、角度σ1である。
【0058】
第1押さえ部材64は、例えば、第3部材63から離れるように延びる。そのため、第3方向D3における第1押さえ部材64の基端と内方面81との間の距離を第1基端距離B11、第3方向D3における第1押さえ部材64の先端と内方面81との間の距離を第1先端距離B12とした場合、第1基端距離B11よりも第1先端距離B12が長い。換言すれば、第1押さえ面82と内方面81との距離は、第1方向D1において連続的又は段階的に増加する。この場合、角度σ1は、90°より大きく、180°未満である。このように、第1押さえ部材64は、内方面81に対して傾斜し、内方面81から離れるように延びる。第1押さえ部材64は、第3部材63と平行に延びてもよい。この場合、角度σ1は、90°である。
【0059】
第2押さえ部材65は、案内部45に第1チューブ27及び第2チューブ28が取り付けられた状態において、第1チューブ27と第2チューブ28との少なくとも一方を内方面81とで押さえる部材である。第2押さえ部材65は、第1押さえ部材64と同様に、第1チューブ27と第2チューブ28との少なくとも一方に接触することによって、第1チューブ27及び第2チューブ28が包囲部47から脱落することを抑制する部材である。
【0060】
第2押さえ部材65は、第2部材62から延びる。詳述すると、第2押さえ部材65は、第2部材62のうち第2包囲部分78から延びる。第2押さえ部材65は、第2部材62から屈曲するように延びる。第2押さえ部材65は、第2部材62から第1部材61に接近するように延びる。例えば、第2押さえ部材65において、第2部材62と繋がる端部を基端とし、その反対を先端とする。第1方向D1における第2押さえ部材65の基端と第1部材61との距離よりも、第1方向D1における第2押さえ部材65の先端と第1部材61との距離が小さくなるように、第2押さえ部材65は延びる。第1方向D1における第2押さえ部材65の基端と第1部材61との距離は、例えば、第2距離A2と一致する。
【0061】
第2押さえ部材65は、第1押さえ部材64に接近するように延びるともいえる。例えば、第1方向D1における第1押さえ部材64の基端と第2押さえ部材65の基端との距離よりも、第1方向D1における第1押さえ部材64の先端と第2押さえ部材65の先端との距離が小さくなるように、第2押さえ部材65は延びる。すなわち、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65は、包囲部47を例えば第2方向D2から平面視した場合に、一方の先端が他方の先端に接近するように延びるともいえる。
【0062】
第2押さえ部材65は、第2押さえ面83を有する。第2押さえ面83は、包囲部47において内方を向く面である。第2押さえ面83は、対向面79と連なる。対向面79と第2押さえ面83との間の角度は、角度σ2である。本例では、角度σ2は、角度σ1よりも大きいが、小さくてもよいし、一致してもよい。
【0063】
第2押さえ部材65は、例えば、第3部材63から離れるように延びる。そのため、第3方向D3における第2押さえ部材65の基端と内方面81との間の距離を第2基端距離B21、第3方向D3における第2押さえ部材65の先端と内方面81との間の距離を第2先端距離B22とした場合、第2基端距離B21よりも第2先端距離B22が長い。換言すれば、第2押さえ面83と内方面81との距離は、第1方向D1と反対の反対方向において連続的又は段階的に増加する。この場合、角度σ2は、90°より大きく、180°未満である。このように、第2押さえ部材65は、内方面81に対して傾斜し、内方面81から離れるように延びる。第2押さえ部材65は、第3部材63と平行に延びてもよい。この場合、角度σ2は、90°である。
【0064】
第2押さえ部材65は、例えば、包囲部47を第2方向D2から平面視した場合に、第1押さえ部材64の延長線と交わるように延びてもよい。第2押さえ部材65は、例えば、包囲部47を第2方向D2から平面視した場合に、第2押さえ部材65の延長線が第1押さえ部材64と交わるように延びてもよい。第2押さえ部材65は、例えば、包囲部47を第2方向D2から平面視した場合に、第2押さえ部材65の延長線が第1押さえ部材64の延長線と交わるように延びてもよい。このような場合に、第2押さえ部材65は、内方面81から離れるように延びる。
【0065】
第2押さえ部材65は、第2方向D2において、第1押さえ部材64に対してずれている。第2方向D2は、第1方向D1及び第3方向D3と異なる方向である。第2方向D2は、包囲部47に包囲された第1チューブ27及び第2チューブ28が延びる方向である。第2方向D2は、例えば、案内部45を平面視するときの方向であり、包囲部47を平面視するときの方向である。第2方向D2は、第1方向D1と交差する方向ともいえるし、第3方向D3と交差する方向ともいえる。
【0066】
第2押さえ部材65は、例えば、第2方向D2において、取付部46と第1押さえ部材64との間に位置する。そのため、第2押さえ部材65は、第1先端部分32及び第2先端部分34に対して、第1押さえ部材64が押さえる部分よりも基端寄りの部分を押さえる。このように、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65は、互い違いにずれて配置される。第2押さえ部材65は、第1先端部分32及び第2先端部分34に対して、第1押さえ部材64が押さえる部分よりも先端寄りの部分を押さえてもよい。
【0067】
第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65が互い違いにずれているため、第1チューブ27及び第2チューブ28は、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65を避けるように屈曲されることによって、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65の間を通過できる。すなわち、第1チューブ27及び第2チューブ28を、包囲部47に対して第3方向D3と反対方向から取り付けることができる。その結果、第1チューブ27及び第2チューブ28は、包囲部47に包囲される。
【0068】
第1チューブ27及び第2チューブ28は、包囲部47に取り付けられた後、弾性によって、屈曲する姿勢から第1部材61及び第2部材62に沿う姿勢に戻る。その結果、包囲部47に包囲された第1チューブ27と第2チューブ28との少なくとも一方は、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65によって押さえられる。これにより、第1チューブ27及び第2チューブ28の脱落が抑制される。
【0069】
包囲部47は、第1先端部分32及び第2先端部分34が通過する包囲領域85を有する。包囲領域85は、例えば、包囲部47を平面視した場合に、第1部材61、第2部材62、第3部材63、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65によって包囲された領域である。包囲領域85は、図12においてドットハッチングで示す領域である。包囲部47は、包囲領域85を通過する第1先端部分32及び第2先端部分34を包囲する。
【0070】
第1方向D1における第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との間隔は、第1間隔C1である。第1間隔C1は、例えば、第1径R1及び第2径R2よりも小さい。そのため、第2方向D2に延びる第1チューブ27及び第2チューブ28は、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過できない。包囲部47に取り付けられた、すなわち包囲領域85を通過する第1チューブ27及び第2チューブ28は、第2方向D2に延びる姿勢となるため、包囲部47から脱落しない。
【0071】
第2方向D2における第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との間隔は、第2間隔C2である。第2間隔C2は、例えば、第1径R1及び第2径R2よりも大きい。そのため、第1チューブ27及び第2チューブ28は、第1方向D1に延びるように屈曲されることによって、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過できる。すなわち、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65とを避けるように第1チューブ27及び第2チューブ28を屈曲させることによって、第1チューブ27及び第2チューブ28を包囲部47に取り付けることができる。これにより、第1チューブ27及び第2チューブ28を、包囲領域85に第2方向D2に沿って挿入することなく、包囲部47に取り付けることができる。
【0072】
第1間隔C1が第1径R1及び第2径R2よりも小さく、第2間隔C2が第1径R1及び第2径R2よりも大きいことは、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65が第1チューブ27及び第2チューブ28を押さえることを可能としつつ、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通じて第1チューブ27及び第2チューブ28を包囲部47に取り付けることを可能とする条件の一例である。実際には、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との3次元的な距離によって、その条件が決まる。
【0073】
図6に示すように、案内部45を平面視すると、包囲部47の一部分は、第1通過開口55及び第2通過開口59を通じて露出する。詳述すると、例えば、第1通過開口55を平面視すると、第1通過開口55を通じて、第1部材61又は第1押さえ部材64が露出する。本例では、第1通過開口55を通じて、第1部材61と第3部材63とが露出する。例えば、第2通過開口59を通じて、第2部材62又は第2押さえ部材65が露出する。本例では、第2通過開口59を通じて、第2部材62と第2押さえ部材65とが露出する。このように、包囲部47は、第1通過開口55及び第2通過開口59を通じてその一部分が露出するように、第1クランプ51及び第2クランプ52に対して位置する。別の表現をすれば、第1クランプ51及び第2クランプ52は、第1通過開口55を通じて第1部材61又は第1押さえ部材64が露出し、第2通過開口59を通じて第2部材62又は第2押さえ部材65が露出するように、包囲部47に対して位置する。
【0074】
上述した位置関係によって、第1先端部分32及び第2先端部分34において、第1クランプ51に包囲される部分及び第2クランプ52に包囲される部分の間隔よりも、包囲部47に包囲される部分同士の間隔が小さくなる。詳述すると、第1先端部分32において包囲部47に包囲される部分と、第2先端部分34において包囲部47に包囲される部分とは、互いに接触することがある。これに対し、第1先端部分32において第1クランプ51に包囲される部分と、第2先端部分34において第2クランプ52に包囲される部分とは、互いに接触しない。したがって、第1先端部分32及び第2先端部分34は、上流から下流に向かって互いの間隔が小さくなるように束ねられる。第1先端部分32及び第2先端部分34は、開口部38に向かって集約される。
【0075】
次に、包囲部47に対する第1チューブ27及び第2チューブ28の取付手順の一例について説明する。
まず、第1チューブ27を包囲部47に取り付ける。このとき、第1チューブ27は、第1先端部分32が包囲領域85に挿入されることによって包囲部47に取り付けられてもよいし、第1先端部分32が第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過することによって包囲部47に取り付けられてもよい。すなわち、第1チューブ27を第2方向D2に沿って移動させて第1チューブ27が包囲部47に取り付けられてもよいし、第1チューブ27を第3方向D3と反対方向に沿って移動させて第1チューブ27が包囲部47に取り付けられてもよい。第1チューブ27を第2方向D2に沿って移動させながら第1先端部分32を包囲領域85に挿入する場合、その先端が、第3面76に接触する場合がある。この場合、第1先端部分32は、第3面76に沿って第2部分72に向けて案内される。これにより、第1先端部分32をスムーズに挿入できる。
【0076】
次に、第2チューブ28を包囲部47に取り付ける。このとき、第2チューブ28は、第2先端部分34が第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過することによって包囲部47に取り付けられる。すなわち、第2チューブ28を第3方向D3と反対方向に沿って移動させて第1チューブ27が包囲部47に取り付けられる。第2チューブ28は、第2先端部分34が第2方向D2に沿って移動しながら包囲領域85に挿入されることによって包囲部47に取り付けられると、先に取り付けられた第1チューブ27と擦れ合うことになる。この場合、第1チューブ27又は第2チューブ28が損傷するおそれがある。そのため、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通じて第2先端部分34を包囲部47に取り付ける。こうすると、第1チューブ27と第2チューブ28との擦れを抑えることができる。すなわち、第1チューブ27を第2方向D2或いは第3方向D3と反対方向に沿って包囲領域85へ挿入する一方、第2チューブ28を第3方向D3と反対方向に沿って包囲領域85へ挿入する構造とすることができる。これにより、第2チューブ28が、先に案内部45に取り付けられた第1チューブ27の長手方向に沿って挿入される場合と比べて、第2チューブ28が第1チューブ27と擦れる度合いを低減できる。
【0077】
第1クランプ51に対する第1チューブ27の取り付け、及び、第2クランプ52に対する第2チューブ28の取り付けは、包囲部47に取り付けられる前でもよいし後でもよい。
【0078】
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)第1押さえ部材64と第2押さえ部材65とは、互い違いにずれて配置される。
上記構成によれば、第1チューブ27及び第2チューブ28は、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65とを避けるように屈曲されることによって、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過できる。その結果、第1チューブ27及び第2チューブ28は、包囲部47に包囲され、案内部45に取り付けられる。このようにして第1チューブ27及び第2チューブ28を案内部45に取り付ける場合、第1チューブ27及び第2チューブ28を包囲部47に挿入することによって案内部45に取り付ける場合と比べて、第1チューブ27及び第2チューブ28の摩擦が低減される。したがって、第1チューブ27及び第2チューブ28の損傷を抑制できる。
【0079】
(2)第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65は、内方面81に対して傾斜し、内方面81から離れるように延びる。
上記構成によれば、例えば、内方面81に対して傾斜する第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65が内方面81に接近するように延びる場合と比べて、包囲部47が第1チューブ27及び第2チューブ28を包囲する空間が広くなる。例えば、包囲領域85が大きくなる。これにより、第1チューブ27及び第2チューブ28を案内部45に取り付けやすくなる。
【0080】
(3)第1クランプ51及び第2クランプ52は、第1通過開口55を通じて第1部材61又は第1押さえ部材64が露出され、第2通過開口59を通じて第2部材62又は第2押さえ部材65が露出されるように、包囲部47に対して位置する。
【0081】
上記構成によれば、第1チューブ27及び第2チューブ28において、第1クランプ51及び第2クランプ52によって保持された部分同士の間隔よりも、包囲部47によって包囲された部分同士の間隔が小さくなる。すなわち、第1クランプ51及び第2クランプ52から包囲部47に向かって、第1チューブ27及び第2チューブ28が集約される。これにより、第1チューブ27及び第2チューブ28を開口部38に挿入しやすくなる。
【0082】
(4)第1部材61は、第2部材62との距離が第1距離A1である第1部分71と、第2部材62との距離が第1距離A1よりも小さい第2距離A2である第2部分72と、第1部分71と第2部分72とに繋がり、第1部分71及び第2部分72に対して傾斜する第3部分73と、を含む。第2部分72は、第1チューブ27及び第2チューブ28において第1部分71が対向する部分よりも先端寄りの部分に対向する。
【0083】
チューブを1本ずつ取り付ける場合、1本目のチューブは、包囲部47に挿入されることによって案内部45に取り付けることがある。この場合、1本目のチューブの先端が、傾斜する第3部分73に接触することによって、スムーズに包囲部47に挿入できる。したがって、上記構成によれば、1本目のチューブを取り付けやすくなる。
【0084】
(5)第1間隔C1は、第1径R1及び第2径R2よりも小さく、第2間隔C2は、第1径R1及び第2径R2よりも大きい。
上記構成によれば、第1チューブ27及び第2チューブ28は、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65を避けるように屈曲されることによって、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65との隙間を通過できる。包囲部47に包囲された第1チューブ27及び第2チューブ28は、第2方向D2に延びる姿勢となることによって、第1押さえ部材64及び第2押さえ部材65に押さえられる。このように、第1チューブ27及び第2チューブ28が包囲部47から脱落するおそれを低減できる。
【0085】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1押さえ部材64は、第3部材63に接近するように延びてもよい。この場合、第1基端距離B11が第1先端距離B12よりも長くなる。角度σ1は、90°未満となる。
【0086】
・第2押さえ部材65は、第3部材63に接近するように延びてもよい。この場合、第2基端距離B21が第2先端距離B22よりも長くなる。角度σ2は、90°未満となる。
【0087】
・第1部材61と第2部材62とは、第3部材63によって接続されていなくともよい。すなわち、包囲部47は、第3部材63を有していなくともよい。例えば、第3部材63に代えて、第1チューブ27及び第2チューブ28が通過できない程度の隙間を有する部材が設けられてもよい。第3部材63に代えて、第1押さえ部材64と第2押さえ部材65とをさらに設けてもよい。
【0088】
・吐出部15が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、吐出部15が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0089】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体吐出装置は、メディアに液体を吐出する吐出部と、前記吐出部から吐出される前記液体を廃液として受ける少なくとも1つの受容部と、先端を含む部分である第1先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第1チューブと、先端を含む部分である第2先端部分を有し、前記受容部が受けた前記廃液が流れる第2チューブと、前記第1先端部分及び前記第2先端部分が挿入される開口部を有し、前記廃液を貯留する貯留部と、前記第1チューブ及び前記第2チューブが取り付けられ、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を前記開口部に案内する案内部と、を備え、前記案内部は、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を包囲する包囲部を有し、前記包囲部は、互いに対向し、前記第1先端部分及び前記第2先端部分を挟む第1部材及び第2部材と、前記第1部材から前記第2部材に接近するように延びる第1押さえ部材と、前記第2部材から前記第1部材に接近するように延びる第2押さえ部材と、を有し、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材とは、互い違いにずれて配置される。
【0090】
上記構成によれば、第1チューブ及び第2チューブは、第1押さえ部材と第2押さえ部材とを避けるように屈曲されることによって、第1押さえ部材と第2押さえ部材との隙間を通過できる。その結果、第1チューブ及び第2チューブは、包囲部に包囲され、案内部に取り付けられる。このようにして第1チューブ及び第2チューブを案内部に取り付ける場合、第1チューブ及び第2チューブを包囲部に挿入することによって案内部に取り付ける場合と比べて、第1チューブ及び第2チューブの摩擦が低減される。したがって、第1チューブ及び第2チューブの損傷を抑制できる。
【0091】
(B)上記液体吐出装置において、前記第1部材と前記第2部材とに接続される第3部材を有し、前記第3部材は、前記包囲部において内方を向く内方面を有し、前記第1押さえ部材及び前記第2押さえ部材は、前記内方面に対して傾斜し、前記内方面から離れるように延びてもよい。
【0092】
上記構成によれば、例えば、内方面に対して傾斜する第1押さえ部材及び第2押さえ部材が内方面に接近するように延びる場合と比べて、包囲部が第1チューブ及び第2チューブを包囲する空間が広くなる。これにより、第1チューブ及び第2チューブを案内部に取り付けやすくなる。
【0093】
(C)上記液体吐出装置において、前記第1チューブは、基端を含む部分である第1基端部分を有し、前記第2チューブは、基端を含む部分である第2基端部分を有し、前記案内部は、前記第1チューブにおいて前記包囲部が包囲する部分よりも基端寄りの部分を包囲することによって前記第1チューブを保持する第1クランプと、前記第2チューブにおいて前記包囲部が包囲する部分よりも基端寄りの部分を包囲することによって前記第2チューブを保持する第2クランプと、を有し、前記第1クランプは、前記第1チューブが通過する第1通過開口を有し、前記第2クランプは、前記第2チューブが通過する第2通過開口を有し、前記第1クランプ及び前記第2クランプは、前記第1通過開口を通じて前記第1部材又は前記第1押さえ部材が露出され、前記第2通過開口を通じて前記第2部材又は前記第2押さえ部材が露出されるように、前記包囲部に対して位置してもよい。
【0094】
上記構成によれば、第1チューブ及び第2チューブにおいて、第1クランプ及び第2クランプによって保持された部分同士の間隔よりも、包囲部によって包囲された部分同士の間隔が小さくなる。すなわち、第1クランプ及び第2クランプから包囲部に向かって、第1チューブ及び第2チューブが集約される。これにより、第1チューブ及び第2チューブを開口部に挿入しやすくなる。
【0095】
(D)上記液体吐出装置において、前記第1部材は、前記第2部材との距離が第1距離である第1部分と、前記第2部材との距離が前記第1距離よりも小さい第2距離である第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とに接続され、前記第1部分及び前記第2部分に対して傾斜する第3部分と、を含み、前記第2部分は、前記第1チューブ及び前記第2チューブにおいて前記第1部分が対向する部分よりも先端寄りの部分に対向してもよい。
【0096】
チューブを1本ずつ取り付ける場合、1本目のチューブは、包囲部に挿入されることによって案内部に取り付けることがある。この場合、1本目のチューブの先端が、傾斜する第3部分に接触することによって、スムーズに包囲部に挿入できる。したがって、上記構成によれば、1本目のチューブを取り付けやすくなる。
【0097】
(E)上記液体吐出装置において、前記第1部材と前記第2部材とが対向する第1方向における、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材との間隔は、前記第1チューブの径及び前記第2チューブの径よりも小さく、前記第1方向と交差する第2方向における、前記第1押さえ部材と前記第2押さえ部材との間隔は、前記第1チューブの径及び前記第2チューブの径よりも大きくてもよい。
【0098】
上記構成によれば、第1チューブ及び第2チューブは、第1押さえ部材及び第2押さえ部材を避けるように屈曲されることによって、第1押さえ部材と第2押さえ部材との隙間を通過できる。包囲部に包囲された第1チューブ及び第2チューブは、第2方向に延びる姿勢となることによって、第1押さえ部材及び第2押さえ部材に押さえられる。このように、第1チューブ及び第2チューブが包囲部から脱落するおそれを低減できる。
【符号の説明】
【0099】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…脚部、14…支持台、15…吐出部、16…ノズル、17…キャリッジ、18…ガイド部材、21…装着部、22…収容体、23…メンテナンス機構、24…貯留部、25…第1受容部、26…第2受容部、27…第1チューブ、28…第2チューブ、31…第1基端部分、32…第1先端部分、33…第2基端部分、34…第2先端部分、35…ポンプ、36…払拭部、38…開口部、41…保持部、42…本体部分、43…トレイ、45…案内部、46…取付部、47…包囲部、48…回転軸、51…第1クランプ、52…第2クランプ、53…第1ホルダー、54…第1レバー、55…第1通過開口、56…ストッパー、57…第2ホルダー、58…第2レバー、59…第2通過開口、61…第1部材、62…第2部材、63…第3部材、64…第1押さえ部材、65…第2押さえ部材、66…第1取付部分、67…第1包囲部分、68…ねじ、71…第1部分、72…第2部分、73…第3部分、74…第1面、75…第2面、76…第3面、77…第2取付部分、78…第2包囲部分、79…対向面、81…内方面、82…第1押さえ面、83…第2押さえ面、85…包囲領域、99…メディア、σ1…角度、σ2…角度、A1…第1距離、A2…第2距離、B11…第1基端距離、B12…第1先端距離、B21…第2基端距離、B22…第2先端距離、C1…第1間隔、C2…第2間隔、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、R1…第1径、R2…第2径。
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