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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】電流検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
G01R15/00 500
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020204444
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091550
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健了
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章人
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201131(JP,A)
【文献】特表2000-500231(JP,A)
【文献】特表2018-536166(JP,A)
【文献】特開2009-098079(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー(20)に抵抗体(30)が配置されたシャント抵抗体(10)を備える電流検出装置であって、
一面(201a、202a)を有する平板状とされた第1部材(201)および第2部材(202)を有する前記バスバーと、一面(30a)を有する平板状とされ、前記バスバーよりも抵抗温度係数が小さい材料で構成された前記抵抗体と、を有し、電流の流れ方向が前記第1部材、前記第2部材、および前記抵抗体の一面に沿った方向となるように、前記抵抗体が前記第1部材と前記第2部材との間に配置された前記シャント抵抗体と、
前記第1部材の一面に配置された第1端子部(41)、および前記第2部材の一面に配置された第2端子部(42)と、
前記シャント抵抗体上に配置され、第1温度検出部(71)および第2温度検出部(72)が配置された配線基板(50)と、
所定の処理を行う制御部(80)と、を備え、
前記第1温度検出部および前記第2温度検出部は、前記配線基板のうちの温度差が発生する部分にそれぞれ配置され、
前記制御部は、前記第1温度検出部で測定された第1温度(T1)と前記第2温度検出部で測定された第2温度(T2)との差に基づいて前記シャント抵抗体の温度(Ts)を推定し、推定した前記シャント抵抗体の温度を用いて前記シャント抵抗体に流れる電流を検出し、
前記第1温度検出部は、前記配線基板のうちの前記第2温度検出部が配置される部分より高温となる部分に配置され、
前記制御部は、前記第1温度に対し、前記第1温度と前記第2温度との差に所定の補正係数を乗算した値を加算して前記シャント抵抗体の温度を推定し、
前記配線基板は、前記シャント抵抗体の熱を伝える伝熱部(51)が形成され、
前記第1温度検出部は、前記シャント抵抗体と前記配線基板との積層方向において、前記伝熱部と重なる状態で配置され、
前記第2温度検出部は、前記積層方向において、前記伝熱部と離れた部分に配置されている電流検出装置。
【請求項2】
前記第2温度検出部は、前記積層方向において、前記抵抗体と重なる状態で配置されている請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記第1温度検出部は、前記配線基板のうちの前記シャント抵抗体と対向する部分に配置され、
前記第2温度検出部は、前記配線基板のうちの前記シャント抵抗体と対向する部分と異なる部分に配置されている請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項4】
バスバー(20)に抵抗体(30)が配置されたシャント抵抗体(10)を備える電流検出装置であって、
一面(201a、202a)を有する平板状とされた第1部材(201)および第2部材(202)を有する前記バスバーと、一面(30a)を有する平板状とされ、前記バスバーよりも抵抗温度係数が小さい材料で構成された前記抵抗体と、を有し、電流の流れ方向が前記第1部材、前記第2部材、および前記抵抗体の一面に沿った方向となるように、前記抵抗体が前記第1部材と前記第2部材との間に配置された前記シャント抵抗体と、
前記第1部材の一面に配置された第1端子部(41)、および前記第2部材の一面に配置された第2端子部(42)と、
前記シャント抵抗体上に配置され、第1温度検出部(71)および第2温度検出部(72)が配置された配線基板(50)と、
所定の処理を行う制御部(80)と、を備え、
前記第1温度検出部および前記第2温度検出部は、前記配線基板のうちの温度差が発生する部分にそれぞれ配置され、
前記制御部は、前記第1温度検出部で測定された第1温度(T1)と前記第2温度検出部で測定された第2温度(T2)との差に基づいて前記シャント抵抗体の温度(Ts)を推定し、推定した前記シャント抵抗体の温度を用いて前記シャント抵抗体に流れる電流を検出し、
前記第1温度検出部は、前記配線基板のうちの前記第2温度検出部が配置される部分より高温となる部分に配置され、
前記制御部は、前記第1温度に対し、前記第1温度と前記第2温度との差に所定の補正係数を乗算した値を加算して前記シャント抵抗体の温度を推定し、
前記第1温度検出部は、前記配線基板のうちの前記シャント抵抗体と対向する部分に配置され、
前記第2温度検出部は、前記配線基板のうちの前記シャント抵抗体と対向する部分と異なる部分に配置されている電流検出装置。
【請求項5】
前記第1温度検出部および前記第2温度検出部は、前記シャント抵抗体に電流が流れた際、前記シャント抵抗体の温度と前記第1温度との差が、前記第1温度と前記第2温度との差より小さくなる状態で配置されている請求項ないしのいずれか1つに記載の電流検出装置。
【請求項6】
バスバー(20)に抵抗体(30)が配置されたシャント抵抗体(10)を備える電流検出装置であって、
一面(201a、202a)を有する平板状とされた第1部材(201)および第2部材(202)を有する前記バスバーと、一面(30a)を有する平板状とされ、前記バスバーよりも抵抗温度係数が小さい材料で構成された前記抵抗体と、を有し、電流の流れ方向が前記第1部材、前記第2部材、および前記抵抗体の一面に沿った方向となるように、前記抵抗体が前記第1部材と前記第2部材との間に配置された前記シャント抵抗体と、
前記第1部材の一面に配置された第1端子部(41)、および前記第2部材の一面に配置された第2端子部(42)と、
前記シャント抵抗体上に配置され、第1温度検出部(71)および第2温度検出部(72)が配置された配線基板(50)と、
所定の処理を行う制御部(80)と、を備え、
前記第1温度検出部および前記第2温度検出部は、前記配線基板のうちの温度差が発生する部分にそれぞれ配置され、
前記制御部は、前記第1温度検出部で測定された第1温度(T1)と前記第2温度検出部で測定された第2温度(T2)との差に基づいて前記シャント抵抗体の温度(Ts)を推定し、推定した前記シャント抵抗体の温度を用いて前記シャント抵抗体に流れる電流を検出し、
前記第1温度検出部は、前記配線基板のうちの前記第2温度検出部が配置される部分より高温となる部分に配置され、
前記制御部は、前記第1温度に対し、前記第1温度と前記第2温度との差に所定の補正係数を乗算した値を加算して前記シャント抵抗体の温度を推定し、
前記第1温度検出部および前記第2温度検出部は、前記シャント抵抗体に電流が流れた際、前記シャント抵抗体の温度と前記第1温度との差が、前記第1温度と前記第2温度との差より小さくなる状態で配置されている電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーに当該バスバーよりも抵抗温度係数が小さい抵抗体が配置されたシャント抵抗体を有する電流検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バスバーに当該バスバーよりも抵抗温度係数が小さい抵抗体が配置されたシャント抵抗体を有する電流検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この電流検出装置では、平板状の第1部材および第2部材を有するバスバーを有し、抵抗体を挟むように第1部材および第2部材が配置されてシャント抵抗体が構成されている。また、第1部材には、第1端子部が配置され、第2部材には、第2端子部が配置されている。つまり、第1端子部および第2端子部は、抵抗体を挟むように配置されている。なお、第1部材および第2部材は、抵抗体よりも抵抗温度係数が大きい銅板等で構成される。
【0003】
このような電流検出装置では、第1端子部と第2端子部との間の電圧を測定することにより、シャント抵抗体に流れる電流が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102017003111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電流検出装置では、第1部材に第1端子部が配置されていると共に第2部材に第2端子部が配置されているため、第1端子部と第2端子部との間に第1部材および第2部材(すなわち、バスバー)の一部が配置されることになる。この場合、第1部材および第2部材が抵抗体より抵抗温度係数の高い材料で構成されるため、第1端子部と第2端子部との間の電圧は、温度に依存して変化し易くなる。したがって、上記電流検出装置において第1端子部と第2端子部との間に電圧に基づいて電流を検出する場合、検出精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、検出精度が低下することを抑制できる電流検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1、4、6では、バスバー(20)に抵抗体(30)が配置されたシャント抵抗体(10)を備える電流検出装置であって、一面(201a、202a)を有する平板状とされた第1部材(201)および第2部材(202)を有するバスバーと、一面(30a)を有する平板状とされ、バスバーよりも抵抗温度係数が小さい材料で構成された抵抗体と、を有し、電流の流れ方向が第1部材、第2部材、および抵抗体の一面に沿った方向となるように、抵抗体が第1部材と第2部材との間に配置されたシャント抵抗体と、第1部材の一面に配置された第1端子部(41)、および第2部材の一面に配置された第2端子部(42)と、シャント抵抗体上に配置され、第1温度検出部(71)および第2温度検出部(72)が配置された配線基板(50)と、所定の処理を行う制御部(80)と、を備えている。そして、第1温度検出部および第2温度検出部は、配線基板のうちの温度差が発生する部分にそれぞれ配置され、制御部は、第1温度検出部で測定された第1温度(T1)と第2温度検出部で測定された第2温度(T2)との差に基づいてシャント抵抗体の温度(Ts)を推定し、推定したシャント抵抗体の温度を用いてシャント抵抗体に流れる電流を検出し、第1温度検出部は、配線基板のうちの第2温度検出部が配置される部分より高温となる部分に配置され、制御部は、第1温度に対し、第1温度と第2温度との差に所定の補正係数を乗算した値を加算してシャント抵抗体の温度を推定する。
そして、請求項1は、配線基板は、シャント抵抗体の熱を伝える伝熱部(51)が形成され、第1温度検出部は、シャント抵抗体と配線基板との積層方向において、伝熱部と重なる状態で配置され、第2温度検出部は、積層方向において、伝熱部と離れた部分に配置されている。
請求項4は、第1温度検出部は、配線基板のうちの第2温度検出部が配置される部分より高温となる部分に配置され、制御部は、第1温度に対し、第1温度と第2温度との差に所定の補正係数を乗算した値を加算してシャント抵抗体の温度を推定し、第1温度検出部は、配線基板のうちのシャント抵抗体と対向する部分に配置され、第2温度検出部は、配線基板のうちのシャント抵抗体と対向する部分と異なる部分に配置されている。
請求項6は、第1温度検出部および第2温度検出部は、シャント抵抗体に電流が流れた際、シャント抵抗体の温度と第1温度との差が、第1温度と第2温度との差より小さくなる状態で配置されている。
【0008】
これによれば、制御部は、第1サーミスタの第1温度と第2サーミスタの第2温度との温度差に基づいてシャント抵抗体の温度を推定し、推定したシャント抵抗体の温度を用いてシャント抵抗体に流れる電流を検出する。このため、検出精度の向上を図ることができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図2図1中のII-II線に沿った断面図である。
図3】温度と抵抗値変化率との関係を示す図である。
図4】実際の時間と温度との関係を示す図である。
図5】温度補正を行った際の時間と温度との関係を示す図である。
図6】第1実施形態の変形例における電流検出装置の平面模式図である。
図7】第2実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図8】第3実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図9】第4実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図10図9中のX-X線に沿った断面図である。
図11】温度と抵抗値との関係を示す図である。
図12】抵抗値比率と温度との関係を示す図である。
図13】制御部の作動を示すフローチャートである。
図14】第5実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図15】第6実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図16】第7実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図17】第8実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図18】第8実施形態の変形例における電流検出装置の平面模式図である。
図19】第8実施形態の変形例における電流検出装置の平面模式図である。
図20】第8実施形態の変形例における電流検出装置の平面模式図である。
図21】第9実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図22】第10実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図23】第11実施形態における電流検出装置の断面図である。
図24】第12実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図25】第12実施形態の変形例における電流検出装置の平面模式図である。
図26】第13実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図27】第14実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図28図27中のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
図29】第15実施形態における電流検出装置の平面模式図である。
図30図29中のXXX-XXX線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の電流検出装置は、電気自動車等を駆動するモータ電流等を検出するのに利用されると好適である。
【0019】
本実施形態の電流検出装置は、図1および図2に示されるように、シャント抵抗体10、第1端子部41、第2端子部42、配線基板50、および制御部80等を有する構成とされている。
【0020】
シャント抵抗体10は、バスバー20および抵抗体30を有している。バスバー20は、一面201aおよび一面201aと反対側の他面201bを有する平板状とされた第1部材201と、一面202aおよび一面202aと反対側の他面202bを有する平板状とされた第2部材202とを有している。そして、第1部材201および第2部材202には、被取付部材に取り付けられるための取付穴201c、202cが形成されている。
【0021】
なお、第1部材201および第2部材202は、例えば、銅等で構成されており、厚さが等しくされている。また、取付穴201cは、第1部材201のうちの第1端子部41が取り付けられる部分を挟んで抵抗体30と反対側に形成されている。取付穴202cは、第2部材202のうちの第2端子部42が取り付けられる部分を挟んで抵抗体30と反対側に形成されている。
【0022】
抵抗体30は、一面30aおよび一面30aと反対側の他面30bを有する平板状とされ、バスバー20よりも抵抗温度係数が小さいマンガニン(登録商標)等で構成されている。なお、本実施形態の抵抗体30は、厚さが第1部材201および第2部材202の厚さよりも薄くされている。
【0023】
そして、抵抗体30は、第1部材201と第2部材202との間に配置され、溶接等によって第1部材201および第2部材202と一体化されている。本実施形態では、抵抗体30、第1部材201、および第2部材202は、それぞれの他面30b、201b、202bが同一平面上に位置するように一体化されている。これにより、第1部材201、抵抗体30、および第2部材202の一面201a、30a、202aに沿った方向に電流が流れるシャント抵抗体10が構成されている。
【0024】
なお、本実施形態では、それぞれの他面30b、201b、202bが同一平面上に位置するように、第1部材201、抵抗体30、および第2部材202が一体化されている。このため、抵抗体30の一面30aは、第1部材201の一面201aおよび第2部材202の一面202aよりも凹んだ状態となっている。また、本実施形態では、抵抗体30は、第1部材201、抵抗体30、第2部材202の配列方向において、抵抗体30の中心が第1部材201、抵抗体30、第2部材202の中心と一致するように配置されている。そして、第1部材201および第2部材202は、配列方向に沿った長さが等しくされている。
【0025】
第1端子部41は、本実施形態では、銅等で構成された第1棒状部材41aで構成されている。第2端子部42は、本実施形態では、銅等で構成された第2棒状部材42aで構成されている。そして、第1端子部41および第2端子部42は、抵抗体30を挟むように、第1部材201の一面201aおよび第2部材202の一面202aにそれぞれ備えられている。なお、第1端子部41および第2端子部42は、溶接、リベット、はんだづけ等によって第1部材201および第2部材202に備えられている。
【0026】
配線基板50は、一面50aおよび他面50bを有するプリント基板等で構成されており、特に図示しないが、配線パターンや増幅回路等の信号処理回路が適宜形成されている。また、本実施形態の配線基板50は、略中央部に、一面50a側と他面50b側との温度差を低減するための伝熱部51が形成されている。言い換えると、配線基板50には、略中央部に、他面50b側の熱を一面50a側へ伝熱するための伝熱部51が形成されている。
【0027】
伝熱部51は、本実施形態では、配線基板50の厚さ方向に積層された複数の銅板51aと、各銅板51aと熱的に接続されると共に配線基板50の厚さ方向に沿って形成されたサーマルビア51bとを有する構成とされている。なお、図2では、銅板51aを省略して示してある。
【0028】
また、配線基板50は、第1端子部41および第2端子部42と対応する位置に貫通ビア52が形成され、第1端子部41および第2端子部42が貫通ビア52を貫通すると共に、伝熱部51がシャント抵抗体10上に位置するように配置されている。そして、配線基板50と第1端子部41および第2端子部42とは、貫通ビア52に配置されたはんだ等の導電部材60によって電気的、機械的に接続されている。なお、本実施形態の配線基板50は、他面50bがシャント抵抗体10と対向するように配置されている。また、貫通ビア52は、貫通孔に、配線基板50の配線パターン等と電気的に接続されるスルーホール電極等が形成されて構成されている。
【0029】
配線基板50の一面50a上には、第1温度検出部としての第1サーミスタ71および第2温度検出部としての第2サーミスタ72が配置されている。具体的には、第1サーミスタ71および第2サーミスタ72は、配線基板50の一面50aのうちの温度差が発生する部分に配置されている。本実施形態では、第1サーミスタ71が配線基板50の一面50aのうちの高温となる部分に配置され、第2サーミスタ72が配線基板50の一面50aのちの第1サーミスタ71が配置される部分より低温となる部分に配置されている。
【0030】
詳しくは、本実施形態の配線基板50は、上記のように伝熱部51が形成されているため、一面50aのうちの伝熱部51と対向する部分が伝熱部51と対向しない部分よりも高温となり易い。このため、本実施形態では、シャント抵抗体10と配線基板50との積層方向(以下では、単に積層方向ともいう)において、第1サーミスタ71が伝熱部51と重なる状態で配置され、第2サーミスタ72が伝熱部51と離れた部分に配置されている。つまり、第2サーミスタ72は、積層方向において、伝熱部51と重ならないように配置されている。なお、積層方向においてとは、言い換えると、配線基板50の一面50aに対する法線方向から視たときということもできる。
【0031】
制御部80は、配線基板50と接続されており、図示しないCPUや、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等の非遷移的実体的記憶媒体で構成される記憶部等を備えたマイクロコンピュータ等で構成される。CPUは、Central Processing Unitの略であり、ROMは、Read Only Memoryの略であり、RAMは、Random Access Memoryの略であり、HDDはHard Disk Driveの略である。なお、制御部80は、配線基板50に搭載されていてもよい。
【0032】
そして、制御部80は、CPUがROM等の記憶部からプログラム(すなわち、後述の各ルーチン)を読み出して実行することで各種の制御作動を実現する。具体的には、制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。なお、ROM等の記憶部には、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータ(例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ等)が予め格納されており、本実施形態では、後述の補正係数、および後述の図3に関する抵抗値変化率データが記憶されている。
【0033】
以下、制御部80の具体的な作動について説明する。まず、上記のような電流検出装置では、第1部材201に第1端子部41が配置され、第2部材202に第2端子部42が配置されている。このため、第1端子部41と第2端子部42との間には、抵抗体30より抵抗温度係数の高いバスバー20(すなわち、第1部材201および第2部材202)の一部が配置された状態となる。したがって、上記のような電流検出装置では、図3に示されるように、第1端子部41と第2端子部42との間の抵抗値が温度によって変化する。この場合、第1端子部41と第2端子部42との間の抵抗値の変化率は、第1端子部41と第2端子部42との間隔が長くなるほど第1端子部41と第2端子部42との間に含まれるバスバー20が多くなるため、大きくなる。
【0034】
したがって、上記のような電流検出装置では、シャント抵抗体10の温度に基づいて第1端子部41と第2端子部42との間の抵抗値変化率を導出し、抵抗値変化率を用いて第1端子部41と第2端子部42との間の実際の抵抗値を算出することにより、電流の検出精度を向上できる。このため、例えば、配線基板50上にサーミスタ等の温度検出部を1つ配置し、サーミスタで検出された温度をシャント抵抗体10の温度とすることが考えらえる。しかしながら、配線基板50上にサーミスタを配置し、サーミスタで検出された温度をシャント抵抗体10の温度とした場合、サーミスタとシャント抵抗体との間には空気等の熱抵抗体が存在しているため、サーミスタと抵抗体との間に温度差が発生する可能性がある。
【0035】
このため、本実施形態では、上記のように、配線基板50に第1サーミスタ71および第2サーミスタ72を配置すると共に、第1サーミスタ71が配置される部分と第2サーミスタ72が配置される部分との間に温度差が発生するようにしている。この場合、図4に示されるように、シャント抵抗体10の温度と、第1サーミスタ71の第1測定結果としての第1温度、および第2サーミスタ72の第2測定結果としての第2温度との間には温度差が発生する。
【0036】
そして、第1サーミスタ71の第1測定結果の温度を第1温度T1とし、第2サーミスタ72の第2測定結果の温度を第2温度T2とし、シャント抵抗体10の温度を温度Tsとする。この場合、抵抗体30と第1サーミスタ71との間の熱抵抗をR1[K/W]とし、第1サーミスタ71と第2サーミスタ72との間の熱抵抗をR2[K/W]とし、シャント抵抗体10から大気へ放出される熱量をQ[W]とすると、下記数式1および数式2が成立する。
【0037】
(数1)Ts-T1=QR1
(数2)T1-T2=QR2
そして、下記数式1および数式2より、下記数式3が導かれる。
【0038】
(数3)Ts=(R1/R2)×(T1-T2)+T1
したがって、実験等により、補正係数としてのR1/R2を予め算出しておくことにより、第1サーミスタ71の第1温度T1および第2サーミスタ72の第2温度T2を用いてシャント抵抗体10の温度Tsを高精度に推定できる。例えば、図4に示される例では、図5に示されるように、補正係数としてのR1/R2を0.5とすることにより、シャント抵抗体10の温度を高精度に推定できる。したがって、本実施形態では、記憶部には、予め算出された補正係数(例えば、0.5)が記憶されている。そして、制御部80は、補正係数に基づいてシャント抵抗体10の温度を推定する。
【0039】
なお、上記数式3を用いてシャント抵抗体10の温度を推定する場合、上記数式3より、第1温度T1が温度Tsに近いほど誤差を小さくできる。このため、第1サーミスタ71および第2サーミスタ72は、温度Tsと第1温度T1との温度差が、第1温度T1と第2温度T2との温度差より小さくなるように配置されることが好ましい。
【0040】
そして、制御部80は、シャント抵抗体10の温度を推定した後、第1端子部41と第2端子部42との間の温度に応じた実際の抵抗値を推定する。具体的には、制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間隔が既知であるため、推定したシャント抵抗体10の温度から図3に関する抵抗値変化率データを参照し、第1端子部41と第2端子部42との間の温度に応じた実際の抵抗値を推定する。その後、制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧と、推定した抵抗値に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を算出する。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、第1サーミスタ71および第2サーミスタ72は、温度差が発生する部分に配置されている。そして、制御部80は、第1サーミスタ71の第1温度T1と第2サーミスタ72の第2温度T2との温度差に基づいてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出している。このため、検出精度の向上を図ることができる。
【0042】
(1)本実施形態では、制御部80は、第1温度T1と第2温度T2との差に所定の補正係数を乗算した値を第1温度T1に加算してシャント抵抗体10の温度を推定する。このため、シャント抵抗体10の温度の推定精度を向上できる。
【0043】
(2)本実施形態では、配線基板50に伝熱部51が備えられている。そして、積層方向において、第1サーミスタ71が伝熱部51と重なるように配置され、第2サーミスタ72が伝熱部51と重ならないように配置されている。このため、第1サーミスタ71と第2サーミスタ72とを容易に温度差が配置する部分に配置できる。
【0044】
(3)本実施形態では、シャント抵抗体10の温度Tsと第1温度T1との差が第1温度T1と第2温度T2との差より小さくなるように、第1サーミスタ71および第2サーミスタ72が配置されている。このため、シャント抵抗体10の温度の推定精度を向上できる。
【0045】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態において、第2サーミスタ72は、図6に示されるように、第1部材201と対向するように配置されていてもよい。また、特に図示しないが、第2サーミスタ72は、第2部材202と対向するように配置されていてもよい。このような電流検出装置としても、法線方向において、第1サーミスタ71が伝熱部51と重なるように配置されているため、第1サーミスタ71の方が第2サーミスタ72よりも高温となる部分に配置される。したがって、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第2サーミスタ72を配置する場所を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
本実施形態の電流検出装置では、図7に示されるように、配線基板50は、シャント抵抗体10と配線基板50との積層方向において、シャント抵抗体10より突出する部分を有する構成とされている。つまり、配線基板50は、シャント抵抗体10と対向しない部分を有する構成とされている。なお、シャント抵抗体10と配線基板50との積層方向においてとは、配線基板50の一面50aに対する法線方向から視たときということもできる。
【0048】
そして、第2サーミスタ72は、積層方向において、配線基板50のうちのシャント抵抗体10から突出する部分に配置されている。つまり、第2サーミスタ72は、シャント抵抗体10と対向する部分と異なる部分に配置されている。
【0049】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1温度T1と第2温度T2とを用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定した温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(1)本実施形態では、第2サーミスタ72は、配線基板50のうちのシャント抵抗体10から突出する部分に配置されている。言い換えると、第2サーミスタ72は、熱源となるシャント抵抗体10から離れて配置されている。このため、第2サーミスタ72を配線基板50のうちのシャント抵抗体10と対向する部分に配置する場合と比較して、第2サーミスタ72が配置される部分の温度を低くし易くなる。したがって、第1サーミスタ71が配置される部分と第2サーミスタ72が配置される部分に容易に温度差を発生させることができる。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、第1サーミスタ71を配置する場所を変更したものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
本実施形態の電流検出装置では、図8に示されるように、配線基板50に伝熱部51が形成されていない。そして、第1サーミスタ71は、第1部材201と対向するように形成されている。また、第2サーミスタ72は、積層方向において、配線基板50のうちのシャント抵抗体10から突出する部分に配置されている。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1温度T1と第2温度T2とを用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定した温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(1)本実施形態のように、第1サーミスタ71と第2サーミスタ72の配置場所を変更するのみにより、第1サーミスタ71が配置される部分と第2サーミスタ72が配置される部分との間に温度差が発生するようにしてもよい。これによれば、配線基板50に伝熱部51を備えなくてもよいため、配線基板50の構成を簡略化できる。
【0055】
なお、特に図示しないが、第1サーミスタ71は、抵抗体30と対向するように配置されていてもよいし、第2部材202と対向するように配置されていてもよい。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、制御部80の作動を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0057】
本実施形態の電流検出装置は、図9および図10に示されるように、シャント抵抗体10と制御部80とを有する構成とされている。本実施形態のシャント抵抗体10は、バスバー20、抵抗体30、第1~第4端子部41~44を有する構成とされている。なお、本実施形態では、上記第1実施形態における配線基板50は配置されていない。
【0058】
第1端子部41および第2端子部42は、上記第1実施形態と同様に、第1部材201および第2部材202に配置されている。第3端子部43および第4端子部44は、第1端子部41および第2端子部42と同様に、銅等の第3棒状部材43aおよび第4棒状部材44aで構成されている。
【0059】
そして、第3端子部43は、第1部材201の一面201aのうちの第1端子部41を挟んで抵抗体30と反対側に配置されている。第4端子部44は、第2部材202の一面202aのうちの第2端子部42を挟んでシャント抵抗体10と反対側に配置されている。より詳しくは、本実施形態の第1~第4端子部41~44は、第3端子部43、第1端子部41、第2端子部42、第4端子部44の順に直線状に配置されている。このため、第1~第4端子部41~44は、抵抗体30を含んで異なる2つの間隔が構成されるように配置された状態となっている。本実施形態では、第1~第4端子部41~44は、第1端子部41と第2端子部42との間隔と、第3端子部43と第4端子部44との間隔が異なるように配置されている。そして、本実施形態ではこのように第1~第4端子部41~44が配置されることにより、第1端子部41と第3端子部43との間の抵抗値と、第2端子部42と第4端子部44との間の抵抗値とが異なっている。
【0060】
なお、本実施形態では、第1端子部41と第3端子部43との間の抵抗値、および第2端子部42と第4端子部44との間の抵抗値が実効抵抗値に相当している。また、第3端子部43および第4端子部44は、第1端子部41および第2端子部42と同様に、溶接、リベット、はんだづけ等によって第1部材201および第2部材202に備えられている。
【0061】
制御部80は、上記第1実施形態と同様の構成とされており、第1~第4端子部44と接続されている。そして、本実施形態の制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の第1電圧V1、および第3端子部43と第4端子部44との間の第2電圧V2に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。なお、本実施形態では、後述の図11に関する抵抗値推定データおよび後述の図12に関する温度推定データが記憶されている。
【0062】
以下、本実施形態における制御部80のシャント抵抗体10に流れる電流の検出方法について説明する。まず、上記のように第1~第4端子部41~44が配置されており、第1端子部41と第2端子部42との間隔と、第3端子部43と第4端子部44との間隔が異なっている。つまり、第1端子部41と第2端子部42との間に含まれるバスバー20の長さと、第3端子部43と第4端子部44との間に含まれるバスバー20の長さとが異なっている。そして、バスバー20は、抵抗温度係数が高い銅等で構成されている。このため、図11に示されるように、第1端子部41と第2端子部42との間に構成される抵抗体を第1抵抗体とし、第3端子部43と第4端子部44との間に構成される抵抗体を第2抵抗体とすると、第1抵抗体と第2抵抗体とは、温度依存性が異なる。具体的には、第2抵抗体は、第1抵抗体よりバスバー20の長さが長くなるために抵抗温度係数が大きくなり、抵抗値が温度に応じて変化し易くなる。
【0063】
そして、第1抵抗体の抵抗値を第1抵抗値R1とし、第2抵抗体の抵抗値を第2抵抗値R2とすると、第1抵抗値R1に対する第2抵抗値R2の抵抗値比率(すなわち、R2/R1)は、図12に示されるように、温度に対して正の傾きを有する直線となる。このため、シャント抵抗体10の温度が均一であるとした場合、オームの法則より、第1電圧V1に対する第2電圧V2の比率であるV2/V1は、抵抗値比率であるR/R1となる。つまり、V2/V1=R2/R1となる。したがって、制御部80は、図13に示す作動を行ってシャント抵抗体10の電流を検出する。
【0064】
すなわち、制御部80は、ステップS100にて、第1端子部41と第2端子部42との間の第1電圧V1を取得すると共に、第3端子部43と第4端子部44との間の第2電圧V2を取得する。
【0065】
次に、制御部80は、ステップS101にて、V2/V1を算出する。その後、制御部80は、ステップS102にて、V2/V1=R2/R1であるため、図12に関する温度推定データを参照し、抵抗値比率からシャント抵抗体10の温度を推定する。
【0066】
そして、制御部80は、ステップS103にて、推定した温度を用い、図11に関する抵抗値推定データを参照して第1抵抗値R1および第2抵抗値R2を推定する。
【0067】
その後、制御部80は、ステップS104にて、オームの法則を用い、V1、V2、R1、R2に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を算出する。この場合、制御部80は、V1とR1とを用いてシャント抵抗体10に流れる電流を算出するようにしてもよいし、V2とR2とを用いてシャント抵抗体10に流れる電流を算出するようにしてもよい。また、制御部80は、V1とR1とを用いて算出した電流と、V2とR2とを用いて算出した電流との平均をシャント抵抗体10に流れる電流としてもよい。
【0068】
なお、制御部80は、V1とR1とを用いてシャント抵抗体10に流れる電流を算出する場合、ステップS103では、第2抵抗値R2を推定しないようにしてもよい。同様に、制御部80は、V2とR2とを用いてシャント抵抗体10に流れる電流を算出する場合、ステップS103では、第1抵抗値R1を推定しないようにしてもよい。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出している。このため、検出精度の向上を図ることができる。
【0070】
(1)本実施形態では、V2/V1=R2/R1を用いてシャント抵抗体10の温度を推定している。このため、シャント抵抗体10の温度を容易に推定できる。また、本実施形態の構成によれば、サーミスタ等の温度検出部を備える必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0071】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、第4端子部44を備えないものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
本実施形態の電流検出装置は、図14に示されるように、シャント抵抗体10に第1~第3端子部43が備えられており、第4端子部44が備えられていない。なお、本実施形態では、第1端子部41と第2端子部42との間隔と、第2端子部42と第3端子部43との間隔が異なる間隔となる。
【0073】
制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧を第1電圧V1とし、第2端子部42と第3端子部43との間の電圧を第2電圧V2として取得する。そして、制御部80は、取得した第1電圧V1および第2電圧V2を用い、上記第4実施形態と同様の作動を行ってシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(1)本実施形態では、上記第4実施形態と比較すると、第4端子部44を備えない構成とされる。このため、上記第4実施形態と比較すると、部品点数の削減を図ることができる。
【0076】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対し、第3端子部43を配置する場所を変更したものである。その他に関しては、第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0077】
本実施形態の電流検出装置は、図15に示されるように、第1部材201、抵抗体30、第2部材202の配列方向において、抵抗体30が中心から当該配列方向にずれて配置されている。本実施形態では、抵抗体30は、第2部材202側にずれて配置されている。そして、第1部材201は、第2部材202よりも配列方向に沿った長さが長くされている。
【0078】
第3端子部43は、上記第5実施形態と同様に、第1部材201に配置されている。但し、第3端子部43は、上記第5実施形態より第1端子部41と第3端子部43との間隔が長くなるように配置されている。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(1)本実施形態では、上記第5実施形態より第1端子部41と第3端子部43との間隔が長くされている。このため、第3端子部43と第2端子部42との間に位置するバスバー20が増加し、第3端子部43と第2端子部42との間の第2抵抗値R2における温度依存性を大きくできる。したがって、第1抵抗値R1と第2抵抗値R2との差を大きくでき、検出精度の向上を図ることができる。
【0081】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対し、バスバー20にスリットを形成したものである。その他に関しては、第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
本実施形態の電流検出装置は、図16に示されるように、バスバー20のうちの第1部材201の一面201aにスリット201dが形成されている。具体的には、第1部材201の一面201aには、第1端子部41が配置される部分と第3端子部43が配置される部分との間にスリット201dが形成されている。
【0083】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(1)本実施形態では、第1部材201のうちの第1端子部41が配置される部分と第3端子部43が配置される部分との間にスリット201dが形成されている。このため、シャント抵抗体10のうちのスリット201dが形成されている部分では、スリット201dを迂回して電流が流れる。したがって、第1端子部41と第3端子部43との間の電流経路を長くできる。これにより、上記第6実施形態と同様に、第3端子部43と第2端子部42との間の第2抵抗値R2における温度依存性を大きくできる。したがって、第1抵抗値R1と第2抵抗値R2との差を大きくでき、検出精度の向上を図ることができる。
【0085】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、配線基板50を備えたものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
本実施形態の電流検出装置は、図17に示されるように、配線基板50を有する構成とされている。配線基板50は、上記第1実施形態と同様の構成とされたプリント基板で構成されており、第1端子部41および第2端子部42と対応する位置に貫通ビア52が形成されている。そして、配線基板50は、第1端子部41および第2端子部42が貫通ビア52を貫通するように配置されている。配線基板50と第1端子部41および第2端子部42とは、貫通ビア52に配置されたはんだ等の導電部材60によって電気的、機械的に接続されている。
【0087】
また、配線基板50は、第1部材201と第3端子部43としての第3ボンディングワイヤ43bを介して電気的に接続されており、第2部材202と第4端子部44としての第4ボンディングワイヤ44bを介して電気的に接続されている。具体的には、第3端子部43としての第3ボンディングワイヤ43bは、第1部材201の一面201aのうちの第1端子部41を挟んで抵抗体30と反対側と接続されている。第4端子部44としての第4ボンディングワイヤ44bは、第2部材202の一面202aのうちの第2端子部42を挟んでシャント抵抗体10と反対側と接続されている。
【0088】
制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧を第1電圧V1として取得する。また、制御部80は、第3端子部43と第4端子部44との間の電圧を第2電圧V2として取得する。そして、制御部80は、第1電圧V1と第2電圧V2とを用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(第8実施形態の変形例)
上記第8実施形態の変形例について説明する。上記第8実施形態において、図18に示されるように、シャント抵抗体10と配線基板50とは、第1~第4端子部41~44として、はんだ等で構成される第1~第4接続部材41c~44cを介して電気的、機械的に接続されるようにしてもよい。なお、第1、第3接続部材41c、43cは、第1部材201の一面201a上に配置されると共に、第1接続部材41cが抵抗体30側に配置される。第2、第4接続部材42c、44cは、第2部材202の一面202a上に配置されると共に、第2接続部材42cが抵抗体30側に配置される。そして、制御部80は、第1接続部材41cと第2接続部材42cとの間の電圧を第1電圧V1とし、第3接続部材43cと第4接続部材44cとの間の電圧を第2電圧V2としてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。
【0091】
同様に、図19に示されるように、第1端子部41としての第1棒状部材41aが配置されると共に第2端子部42としての第2棒状部材42aが配置され、第3端子部43としての第3接続部材43cが配置されると共に第4端子部44としての第4接続部材44cが配置されるようにしてもよい。
【0092】
また、図20に示されるように、第1端子部41としての第1接続部材41cが配置されると共に第2端子部42としての第2接続部材42cが配置され、第3端子部43としての第3ボンディングワイヤ43bが配置されると共に第4端子部44としての第4ボンディングワイヤ44bが配置されるようにしてもよい。つまり、上記第8実施形態と図18を組み合わせるようにしてもよい。すなわち、第1~第4端子部41~44の構成は、適宜変更可能である。
【0093】
(第9実施形態)
第9実施形態について説明する。本実施形態は、第4実施形態に対し、シャント抵抗体10の形状を変更すると共に、第1~第4端子部41~44の配置の仕方を変更したものである。その他に関しては、第4実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
本実施形態の電流検出装置では、図21に示されるように、シャント抵抗体10は、第1部材201の一面201a、抵抗体30の一面30a、第2部材202の一面202aと、第1部材201の他面201b、抵抗体30の他面30b、第2部材202の他面30bとを繋ぐ一対の側面10c、10dを有している。なお、ここでの側面10c、10dとは、シャント抵抗体10の側面のうちの第1部材201、抵抗体30、第2部材202の配列方向に沿った面であるともいえる。
【0095】
そして、シャント抵抗体10は、側面10cのうちの抵抗体30を含む部分に、抵抗体30の面方向に沿って凹んだ凹部11が形成されている。また、シャント抵抗体10は、側面10dのうちの抵抗体30を含む部分に、抵抗体30の面方向と平行な方向に突出する凸部12が形成されている。なお、凸部12は、第1部材201、抵抗体30、第2部材202に渡って形成されている。
【0096】
第1端子部41および第2端子部42は、シャント抵抗体10のうちの側面10c側に配置されている。第3端子部43および第4端子部44は、シャント抵抗体10のうちの凸部12に配置されている。そして、本実施形態では、第1端子部41と第2端子部42との間隔と、第3端子部43と第4端子部44との間隔とが等しくされている。
【0097】
以下、本実施形態における制御部80のシャント抵抗体10に流れる電流の検出方法について説明する。まず、上記のような電流検出装置では、シャント抵抗体10に電流を流した場合、シャント抵抗体10に凹部11および凸部12が形成されているため、部分毎に電流密度が変化する。具体的には、凹部11側では、電流が集中するために電流密度が高くなり易く、凸部12側では、凸部12に電流が回り込むことによって電流密度が低くなり易い。このため、第1端子部41と第2端子部42との間の第1抵抗体における見かけ上の抵抗値と、第3端子部43と第4端子部44との間の第2抵抗体における見かけ上の抵抗値とが異なり、図11のような関係となる。なお、本実施形態では、第1端子部41と第2端子部42との間の第1抵抗体における見かけ上の抵抗値、および第3端子部43と第4端子部44との間の第2抵抗体における見かけ上の抵抗値が実効抵抗値に相当する。
【0098】
そして、制御部80は、第1接続部材41cと第2接続部材42cとの間の電圧を第1電圧V1とすると共に、第3接続部材43cと第4接続部材44cとの間の電圧を第2電圧V2とし、上記図13の処理を行ってシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。
【0099】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、第1電圧V1および第2電圧V2を用いてシャント抵抗体10の温度を推定し、推定したシャント抵抗体10の温度を用いてシャント抵抗体10に流れる電流を検出する。このため、本実施形態の電流検出装置は、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(1)本実施形態では、抵抗体30の形状を変更することにより、第1端子部41と第2端子部42との間隔と、第3端子部43と第4端子部44との間隔を等しくできる。したがって、第1~第4端子部41~44を配置する際に詳細な位置管理が不要となり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0101】
(第9実施形態の変形例)
上記第9実施形態の変形例について説明する。上記第9実施形態において、シャント抵抗体10には、凹部11または凸部12の一方のみが形成されるようにしてもよい。また、第3端子部43および第4端子部44は、凸部12ではなく、凸部12側となる部分に配置されていてもよい。つまり、シャント抵抗体10の形状、および第1~第4端子部41~44は、第1端子部41と第2端子部42との間と、第3端子部43と第4端子部44との間を流れる電流の密度が異なるのであれば、適宜変更可能である。
【0102】
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対し、シャント抵抗体10に流れる電流の検出方法を変更したものである。その他に関しては、第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0103】
本実施形態の電流検出装置は、図22に示されるように、制御部80とシャント抵抗体10との間に差動増幅部100が配置されている。差動増幅部100は、本実施形態では、上記第1実施形態のような配線基板50に形成されているが、図22中では配線基板50を簡略化して示している。そして、配線基板50は、特に図示しないが、第1~第3端子部41~43が貫通ビア52に挿入されると共に、導電部材60を介して第1~第3端子部41~43と電気的、機械的に接続されている。なお、差動増幅部100は、配線基板50とは別の回路基板等に形成されていてもよい。
【0104】
差動増幅部100は、第1オペアンプ101と、第1オペアンプ101の出力端子101aと非反転入力端子101bとの間に備えられた第1帰還抵抗体111とを有している。また、差動増幅部100は、第2オペアンプ102と第2オペアンプ102の出力端子102aと非反転入力端子102bとの間に備えられた第2帰還抵抗体112とを有している。さらに、差動増幅部100は、第1オペアンプ101の非反転入力端子101bと接続される第1調整抵抗体121を有している。差動増幅部100は、第2オペアンプ102の非反転入力端子102bと接続される第2調整抵抗体122を有している。
【0105】
そして、差動増幅部100は、第2端子部42が、第1オペアンプ101の反転入力端子101cと接続されていると共に第2オペアンプ102の反転入力端子102cと接続されている。差動増幅部100は、第1端子部41が第1調整抵抗体121を介して第1オペアンプ101の非反転入力端子101bと接続されている。差動増幅部100は、第3端子部43が第2調整抵抗体122を介して第2オペアンプ102の非反転入力端子102bと接続されている。そして、差動増幅部100は、第1オペアンプ101の出力端子101aおよび第2オペアンプ102の出力端子102aが制御部80に接続されている。
【0106】
なお、本実施形態では、第1オペアンプ101の非反転入力端子101bが第1オペアンプの第1入力端子に相当し、第1オペアンプ101の反転入力端子101cが第1オペアンプの第2入力端子に相当している。同様に、第2オペアンプ102の非反転入力端子102bが第2オペアンプの第1入力端子に相当し、第2オペアンプ102の反転入力端子102cが第2オペアンプの第2入力端子に相当している。
【0107】
第1オペアンプ101および第2オペアンプ102は、同じ構成のものが用いられることで同じ温度依存性を有する構成とされ、同じ配線基板50に配置されている。第1帰還抵抗体111および第1調整抵抗体121は、抵抗温度係数が同じ極性となるように構成され、同じ配線基板50に配置されている。同様に、第2帰還抵抗体112および第2調整抵抗体122とは、抵抗温度係数が同じ極性とされ、同じ配線基板50に配置されている。例えば、これらの各抵抗体111、112、121、122は、ネットワーク抵抗器によって構成されて配線基板50に配置されている。
【0108】
ここで、抵抗体30の抵抗値をR0とし、抵抗体30と第2端子部42との間隔をL1とし、抵抗体30と第1端子部41との間隔をL2とし、第3端子部43と第1端子部41との間隔をL3とする。また、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧を第1電圧V1とし、第3端子部43と第2端子部42との間の電圧を第2電圧V2とする。この場合、シャント抵抗体10に流れる電流は、シャント抵抗体10に流れる電流をIとすると、下記数式4で示される。
【0109】
【数4】
なお、抵抗体30は、上記のように抵抗温度係数の低い材料で構成されており、ここではR0の温度依存性を無視している。
【0110】
また、第1オペアンプ101から出力される第1出力電圧Vaは、第1調整抵抗体121の抵抗値をR1a、第1帰還抵抗体111の抵抗値をR2aとすると、Va=(R2a/R1a)×V1となる。同様に、第2オペアンプ102から出力される第2出力電圧Vbは、第2調整抵抗体122の抵抗値をR1b、第2帰還抵抗体112の抵抗値をR2bとすると、Vb=(R2b/R1b)×V2となる。
【0111】
そして、本実施形態では、第1調整抵抗体121の抵抗値R1aおよび第1帰還抵抗体111の抵抗値R2aは、(R2a/R1a)={(L1+L2+L3)/L3}を満たすように形成されている。つまり、第1調整抵抗体121の抵抗値R1aおよび第1帰還抵抗体111の抵抗値R2aは、シャント抵抗体10に流れる電流Iを抵抗体30の抵抗値R0に基づいて示した数式4において、第1電圧V1に乗算される第1係数を満たすように形成されている。なお、ここでの第1係数は、{(L1+L2+L3)/L3}である。
【0112】
同様に、第2調整抵抗体122の抵抗値R1bおよび第2帰還抵抗体112の抵抗値R2bは、(R2b/R1b)={(L1+L2)/L3}を満たすように形成されている。つまり、第2調整抵抗体122の抵抗値R1bおよび第2帰還抵抗体112の抵抗値R2bは、シャント抵抗体10に流れる電流Iを抵抗体30の抵抗値R0に基づいて示した数式4において、第2電圧V2に乗算される第2係数を満たすように形成されている。なお、ここでの第2係数は、{(L1+L2)/L3}である。
【0113】
そして、第1出力電圧Vaと第2出力電圧Vbとの差分は、下記数式5で示される。
【0114】
【数5】
したがって、制御部80は、第1オペアンプ101から出力される第1出力電圧Vaと第2オペアンプ102から出力される第2出力電圧Vbとを用い、下記数式6を算出することにより、シャント抵抗体10に流れる電流Iを検出できる。
【0115】
(数6)I=(1/R0)×(Va-Vb)
この際、抵抗体30の抵抗値であるR0の温度依存性を無視でき、第1電圧V1および第2電圧V2がシャント抵抗体10の温度に応じた値となるため、数式6より、シャント抵抗体10の温度に応じた電流を検出できる。なお、本実施形態では、抵抗体30を温度依存性の低い材料で構成しているが、上記第1~9実施形態のようにシャント抵抗体10の温度を推定して抵抗体30の抵抗値R0を補正することにより、さらに検出精度の向上を図ることができる。
【0116】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、上記数式6を算出することでシャント抵抗体10に流れる電流を検出している。したがって、シャント抵抗体10の温度に応じた電流を検出でき、電流の検出精度を向上できる。また、本実施形態では、第1出力電圧Vaと第2出力電圧Vbとの差を演算することにより、シャント抵抗体10の温度に応じた電流を算出している。したがって、本実施形態の構成によれば、サーミスタ等の温度検出部を備える必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【0117】
(1)本実施形態では、第1オペアンプ101と第2オペアンプ102とは、同じ温度特性を有しており、同じ配線基板50に配置されている。このため、上記数式6のように、第1出力電圧Vaと第2出力電圧Vbとの差を算出することにより、第1オペアンプ101および第2オペアンプ102の温度に関する影響を低減できる。
【0118】
(2)本実施形態では、第1帰還抵抗体111および第1調整抵抗体121は、抵抗温度係数が同じ極性となるように構成され、同じ配線基板50に配置されている。同様に、第2帰還抵抗体112および第2調整抵抗体122とは、抵抗温度係数が同じ極性とされ、同じ配線基板50に配置されている。このため、各抵抗体111、112、121、122が適宜除算されることにより、温度に関する影響を低減できる。
【0119】
(第10実施形態の変形例)
上記第10実施形態の変形例について説明する。上記第10実施形態において、第2部材202のうちの第2端子部42を挟んで抵抗体30側と反対側に第4端子部44を備え、第3端子部43と第4端子部44の間の電圧を第2電圧V2とするようにしてもよい。なお、このような構成とした場合、第1係数および第2係数が変化するため、各抵抗体111、112、121、122の抵抗値R1a、R2a、R1b、R2bは、第1係数または第2係数に応じて適宜変更される。
【0120】
(第11実施形態)
第11実施形態について説明する。本実施形態は、上記第10実施形態に対し、配線基板50とシャント抵抗体10との間に保護部材を配置したものである。その他に関しては、第10実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0121】
本実施形態では、図23に示されるように、配線基板50とシャント抵抗体10との間に保護部材130が配置されている。保護部材130は、絶縁材料で構成され、絶縁性接着剤、絶縁ワッシャー、ゴムシート等で構成される。なお、図23は、第1端子部41および第3端子部43の近傍の断面図である。
【0122】
以上説明した本実施形態によれば、制御部80は、上記数式6を算出することでシャント抵抗体10に流れる電流を検出しているため、検出精度の向上を図ることができる。
【0123】
(1)本実施形態では、配線基板50とシャント抵抗体10との間に保護部材130が配置されている。このため、第1~第3端子部41~43と配線基板50とを接続する導電部材60がシャント抵抗体10に垂れて付着することを抑制できる。すなわち、上記第10実施形態のような電流検出装置では、間隔L1~L3に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を算出するため、導電部材60がシャント抵抗体10に付着すると、間隔L1~L3にずれが発生し、検出精度が低下する。このため、本実施形態のように保護部材130を配置することにより、導電部材60がシャント抵抗体10に付着することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0124】
(第12実施形態)
第12実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第1端子部41および第2端子部42を配置する場所を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0125】
本実施形態の電流検出装置は、図24に示されるように、第1端子部41および第2端子部42が抵抗体30に配置されている。この場合、抵抗体30が温度抵抗係数の低い材料で構成されているため、第1端子部41と第2端子部42との間に構成される抵抗体の温度依存性を低い状態とできる。したがって、本実施形態の制御部80は、第1端子部41と第2端子部42との間の電圧に基づき、そのままシャント抵抗体10に流れる電流を検出できる。
【0126】
また、第1端子部41および第2端子部42は、第1部材201、抵抗体30、第2部材202の配列方向と交差する方向であって、抵抗体30の面方向と平行な交差方向(以下では、単に交差方向ともいう)において、オフセットされて配置されている。なお、第1部材201、抵抗体30、第2部材202の配列方向とは、電流の流れ方向ということもできる。また、図24中では、配列方向が図24中の紙面左右方向となり、交差方向が図24中の紙面上下方向となる。
【0127】
以上説明した本実施形態によれば、第1端子部41と第2端子部42とが抵抗体30に配置されており、抵抗体30は抵抗温度係数の低い材料で構成されている。このため、第1端子部41と第2端子部42との間に構成される抵抗体の温度依存性が低くなっている。したがって、第1端子部41と第2端子部42との電圧に基づき、シャント抵抗体10に流れる電流をそのまま検出できる。
【0128】
(1)本実施形態によれば、第1端子部41および第2端子部42が交差方向にオフセットされて配置されている。このため、第1端子部41および第2端子部42が交差方向において同じ場所に配置されている場合と比較して、第1端子部41および第2端子部42の周囲に空間を確保し易くなり、製造を容易にできる。
【0129】
(第12実施形態の変形例)
上記第12実施形態の変形例について説明する。上記第12実施形態において、電流検出装置は、図25に示されるように、上記第1実施形態のような配線基板50を備えていてもよい。
【0130】
(第13実施形態)
第13実施形態について説明する。本実施形態は、第12実施形態に対し、第1端子部41としての第1ボンディングワイヤおよび第2端子部42としての第2ボンディングワイヤを備えたものである。その他に関しては、第12実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0131】
本実施形態の電流検出装置は、図26に示されるように、シャント抵抗体10上に配線基板50が備えられている。なお、シャント抵抗体10と配線基板50とは、図示しない接着剤等を介して接合されている。
【0132】
配線基板50は、抵抗体30と対向する部分を含む部分に貫通孔53が形成されている。そして、配線基板50は、第1端子部41としての第1ボンディングワイヤ41bを介して抵抗体30と接続され、第2端子部42としての第2ボンディングワイヤ42bを介して抵抗体30と接続されている。なお、第1ボンディングワイヤ41bおよび第2ボンディングワイヤ42bのうちの抵抗体30と接続される部分は、交差方向においてオフセットされて配置されている。
【0133】
以上説明した本実施形態によれば、第1端子部41と第2端子部42とが抵抗体30に配置されているため、上記第12実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0134】
(第14実施形態)
第14実施形態について説明する。本実施形態は、第12実施形態に対し、第1端子部41および第2端子部42の構成を変更したものである。その他に関しては、第12実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0135】
本実施形態の電流検出装置は、図27および図28に示されるように、第1端子部41および第2端子部42の構成が変更されている。具体的には、本実施形態では、抵抗体30、第1部材201、および第2部材202は、それぞれの一面201a、30a、202aが同一面上に位置するように一体化されている。
【0136】
そして、第1部材201から抵抗体30のうちの第1部材201側の部分に渡って第1絶縁膜141が配置されている。第1絶縁膜141上には、抵抗体30と接続されるように第1端子部41としての第1導電膜41dが配置されている。同様に、第2部材202から抵抗体30のうちの第2部材202側の部分に渡って第2絶縁膜142が配置されている。第2絶縁膜142上には、抵抗体30と接続されるように第2端子部42としての第2導電膜42dが配置されている。
【0137】
なお、第1導電膜41dと第2導電膜42dとは、交差方向にオフセットされて配置されている。また、上記の第1絶縁膜141、第2絶縁膜142、第1導電膜41d、および第2導電膜42dは、例えば、それぞれCVD(chemical vapor depositionの略)法等で形成された後、図示しないマスクを用いてパターニングされることにより、上記形状とされる。
【0138】
以上説明した本実施形態によれば、第1端子部41と第2端子部42とが抵抗体30に配置されているため、上記第11実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0139】
(1)本実施形態では、第1絶縁膜141、第2絶縁膜142、第1導電膜41d、および第2導電膜42dは、パターニングされることで構成される。このため、微細加工が行い易く、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0140】
(第15実施形態)
第15実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第1端子部41および第2端子部42を配置する場所を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0141】
本実施形態の電流検出装置は、図29および図30に示されるように、抵抗体30、第1部材201、および第2部材202は、それぞれの一面201a、30a、202aが同一面上に位置するように一体化されている。そして、抵抗体30と第1部材201との間に第1溶接部211が構成され、抵抗体30と第2部材202との間に第2溶接部212が構成されている。
【0142】
第1端子部41は、第1溶接部211の少なくとも一部と接続されるように配置され、第2端子部42は、第2溶接部212の少なくとも一部と接続されるように配置されている。本実施形態では、第1端子部41の全体が第1溶接部211と接続されるように配置され、第2端子部42の全体が第2溶接部212と接続されるように配置されている。
【0143】
以上説明した本実施形態によれば、第1端子部41が第1溶接部211に配置されていると共に、第2端子部42が第2溶接部212に配置されている。このため、上記第12実施形態と同様に、第1端子部41と第2端子部42との間に構成される抵抗体の温度依存性を低くでき、第1端子部41と第2端子部42との電圧に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流をそのまま検出できる。
【0144】
(1)本実施形態では、第1端子部41が第1溶接部211に配置されていると共に、第2端子部42が第2溶接部212に配置されている。このため、第1端子部41および第2端子部42を抵抗体30に配置する場合と比較して、第1端子部41と第2端子部42との間隔を広くし易くなる。したがって、第1端子部41と第2端子部42とを交差方向にオフセットしなくても、第1端子部41と第2端子部42との配置をし易くできる。さらに、第1端子部41および第2端子部42を抵抗体30に配置する場合と比較して、配置する際の機械的な応力等によって抵抗体30の抵抗値が変動することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0145】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0146】
例えば、上記各実施形態において、抵抗体30は、第1部材201および第2部材202と同じ厚さとされていてもよい。また、上記第1~第12実施形態において、抵抗体30、第1部材201、および第2部材202は、それぞれの一面201a、30a、202aが同一面上に位置するように一体化されていてもよい。
【0147】
さらに、上記各実施形態において、配線基板50を備える場合には、制御部80が適宜配線基板50に備えられていてもよい。
【0148】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせるようにしてもよい。例えば、上記第1~第3実施形態を各実施形態に適宜組み合わせ、第1サーミスタ71の第1温度T1および第2サーミスタ72の第2温度T2に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を検出するようにしてもよい。第4~第9実施形態を各実施形態に組み合わせ、第1電圧V1と第2電圧V2とに基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を検出するようにしてもよい。上記第10、第11実施形態を各実施形態に組み合わせ、第1出力電圧Vaと第2出力電圧Vbとの差に基づいてシャント抵抗体10に流れる電流を検出するようにしてもよい。
【0149】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0150】
10 シャント抵抗体
20 バスバー
30 抵抗体
30a 一面
50 配線基板
71 第1温度検出部
72 第2温度検出部
80 制御部
201 第1部材
201a 一面
202 第2部材
202a 一面
T1 第1温度
T2 第2温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図26
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図28
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図30