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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ゴム手袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20241106BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20241106BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20241106BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20241106BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20241106BHJP
   B32B 25/08 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
A41D19/00 P
A41D19/04 B
A41D19/00 Z
C08L33/04
C08L71/02
C08L101/00
B32B25/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020204657
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092092
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】高井 淳
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209563514(CN,U)
【文献】特開平11-172042(JP,A)
【文献】特開2020-012216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00
A41D 19/04
C08L 33/04
C08L 71/02
C08L 101/00
B32B 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分としてゴム成分(A)を含む外層と、
主成分としてラテックス化が可能なゴム成分またはラテックス化が可能な樹脂成分を含む高分子成分(B)とポリエチレンオキサイドとを含む内層と、を備えるゴム手袋。
【請求項2】
前記ポリエチレンオキサイドを0.5質量%濃度の水溶液にした際の25℃における粘度が、20mPa・s以上500mPa・s以下である、請求項1に記載のゴム手袋。
【請求項3】
前記ポリエチレンオキサイドの含有量が、前記高分子成分(B)100質量部に対して0.5質量部以上1.0質量部以下である、請求項1または2に記載のゴム手袋。
【請求項4】
前記高分子成分(B)が、ラテックス化が可能な(メタ)アクリル樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム手袋。
【請求項5】
前記内層が、最内層であって、かつパイルが植毛されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム手袋。
【請求項6】
ゴム手袋の立体形状に対応する手型の表面を、凝固剤で処理する工程と、
前記処理した手型を、ラテックス(C)を含有する外層形成用の浸漬液に浸漬する工程と、
前記浸漬した手型を、ゴム成分または樹脂成分を含むラテックス(D)とポリエチレンオキサイドとを含有する内層形成用の浸漬液に浸漬する工程と、
を包含するゴム手袋の製造方法。
【請求項7】
前記ポリエチレンオキサイドを0.5質量%濃度の水溶液にした際の25℃における粘度が、20mPa・s以上500mPa・s以下である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
記内層形成用の浸漬液中の前記ポリエチレンオキサイドの含有量が、前記ゴム成分または樹脂成分100質量部に対して0.5質量部以上1.0質量部以下である、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ラテックス(D)が、(メタ)アクリルラテックスである、請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記内層形成用の浸漬液に浸漬する工程の後に、パイルを植毛する工程をさらに含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム手袋に関する。本発明はまた、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムフィルムで形成されたゴム手袋は、使い易さ、低価格等の側面から、一般家庭や、工業生産、研究、医療等の様々な分野において、非常に数多くの用途で使用されている。近年は、環境保護の観点から原料に水系材料を用いることが望まれており、ラテックス製ゴム手袋が広く普及している。
【0003】
ラテックス製ゴム手袋に要求される性能や品質は、用途によって様々であるが、着け心地の良さは、いかなる用途でも要求される重要な品質である。着け心地の良さを向上させる設計面からの方法の一つとして、手袋の内面に植毛処理を施すことが知られている。植毛処理は、具体的には、手袋の内面にコットン、レーヨン等のパイル(短繊維)を静電作用等により植え付ける処理であり、パイルが密に植え付けられているほど、植毛風合いが良く、着け心地も良くなる。
【0004】
ここで、パイルを密に植え付けるために、アクリル系樹脂を添加して接着性を高めた層を手袋の内側に設けることが知られている。例えば、特許文献1には、ニトリルゴムからなる最外層と、植毛された最内層とを備えるゴム手袋において、最内層にガラス転移温度が-35℃以上0℃以下のアクリル系樹脂を配合することが開示されている。
【0005】
また、ゴム手袋の膜厚の均一性が着け心地に影響を与え、ゴム手袋に局所的に膜厚が大きい領域があると、着け心地が悪くなる。ここで、ラテックス製ゴム手袋の製造には、塩凝固剤浸漬法が広く工業的に用いられている。例えば、特許文献1には、手袋の立体形状に対応する手型を用意し、当該手型の表面を、硝酸カルシウム水溶液等の凝固剤で処理し、次いで、処理した手型を、ラテックスを含む最外層用の浸漬液に浸漬したのち引き上げて、当該浸漬液を手型の表面に付着させ、次いで、付着させた浸漬液を半乾燥させた状態で、当該手型を、アクリル系ラテックスを含む最内層用の浸漬液に浸漬したのち引き上げて、浸漬液が乾燥する前に、静電植毛法等によって植毛したのち、加熱して最内層を形成することにより、ゴム手袋を製造することが記載されている。
【0006】
このような方法において、ラテックスの固まり方が遅いと、手型上でフローバックおよびフィンガーチップと呼ばれる液だれ現象が起こり、ゴム層の厚みが周囲に比べて厚くなることがある。フローバックは主に指や指股部分に発生し、フィンガーチップは指先に発生する。フローバックおよびフィンガーチップの発生は、着け心地に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-12216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、上記従来技術のゴム手袋においては、パイルの植毛風合いにおいて、改善の余地があることを見出した。さらに、上記従来技術のゴム手袋においては、フローバックおよびフィンガーチップの発生において、改善の余地があることを見出した。よって、上記従来技術のゴム手袋においては、着け心地に改善の余地があることを見出した。
【0009】
かかる事情に鑑み、本発明は、フローバックおよびフィンガーチップの発生が抑制されており、パイルの植毛風合いに優れ、着け心地に優れるゴム手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、主成分としてゴム成分(A)を含む外層と、主成分として高分子成分(B)を含む内層と、を備えるゴム手袋であって、前記内層が、ポリエチレンオキサイドを含有する、ゴム手袋である。
【0011】
別の側面から、本発明は、ゴム手袋の立体形状に対応する手型の表面を、凝固剤で処理する工程と、前記処理した手型を、ラテックス(C)を含有する外層形成用の浸漬液に浸漬する工程と、前記浸漬した手型を、ラテックス(D)を含有する内層形成用の浸漬液に浸漬する工程と、を包含するゴム手袋の製造方法であって、前記内層形成用の浸漬液が、ポリエチレンオキサイドを含有する、ゴム手袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フローバックおよびフィンガーチップの発生が抑制されており、パイルの植毛風合いに優れ、着け心地に優れるゴム手袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゴム手袋は、主成分としてゴム成分(A)を含む外層と、主成分として高分子成分(B)を含む内層と、を備える。ここで、内層が、ポリエチレンオキサイドを含有する。なお、本明細書において「内層」は、「外層」に対して、ゴム手袋の使用者の手が位置する側にある層を意味する。
【0014】
〔外層〕
外層は、主成分としてゴム成分(A)を含有する。よって、外層はゴム層である。本発明のゴム手袋において、外層は、最外層であってよい。このとき外層は表面ゴム層となる。また、外層の上に(すなわち、外層の、ゴム手袋の外表面側に)さらに別の層が積層されていてもよい。本発明のゴム手袋において、外層は、好ましくは最外層である。
【0015】
本明細書において、「外層は主成分としてゴム成分(A)を含有する」とは、外層中のゴム成分(A)の含有量が50質量%以上であることをいう。当該ゴム成分(A)の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0016】
ゴム成分(A)は、公知のゴム手袋に用いられるゴム成分であってよく、好適には、未加硫時にラテックス化が可能なゴム成分が用いられる。当該ゴム成分の例としては、天然ゴム(NR)、脱タンパク天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。ゴム成分(A)は、1種のゴム成分のみから構成されていてもよく、2種以上のゴム成分から構成されていてもよい。なお、外層に含まれるゴム成分(A)は、通常、加硫(架橋)されたゴム成分である。
【0017】
外層は、ゴム成分(A)以外の成分を含有していてもよい。当該成分の例としては、熱安定剤、老化防止剤、充填剤、アニオン系分散安定剤、ノニオン系分散安定剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類および含有量は、公知のゴム手袋のゴム層に用いられるものと同様であってよい。また、外層は、加硫剤の残渣、加硫促進剤の残渣、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)の残渣、架橋助剤の残渣等を含有していてもよい。
【0018】
〔内層〕
内層は、主成分として高分子成分(B)を含有し、かつポリエチレンオキサイドをさらに含有する。本発明のゴム手袋において、内層は、最内層であってよく、内層の上に(すなわち、内層の、ゴム手袋の内表面側に)さらに別の層が積層されていてもよい。本発明のゴム手袋において、内層は、好ましくは最内層である。
【0019】
本明細書において、「内層は主成分として高分子成分(B)を含有する」とは、内層中の高分子成分(B)の含有量が50質量%以上であることをいう。当該高分子成分(B)の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0020】
高分子成分(B)としては、ラテックス化が可能なものが好適に用いられる。すなわち、水中に微粒子として分散可能なものが好適に用いられる。高分子成分(B)として、上記のゴム成分(A)として使用可能なゴム成分(例、天然ゴム(NR)、脱タンパク天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等)を用いることができる。また、高分子成分(B)として、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂(特に、熱可塑性樹脂)を用いることができる。高分子成分(B)は、ゴム成分(A)と同じであっても異なっていてもよい。
【0021】
高分子成分(B)は、(メタ)アクリル樹脂(すなわち、ラテックス化が可能な(メタ)アクリル樹脂)であることが好ましい。このとき、内層に植毛処理を行った際に、パイルと内層との接着強度が特に高くなるため、パイルの脱落を防止でき、植毛風合いに特に優れる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」とを包含する用語である。
【0022】
(メタ)アクリル樹脂は、モノマー単位として(メタ)アクリル酸エステル単位のみを含む単独重合体であってもよいし、本発明の効果を顕著に阻害しない範囲内で、(メタ)アクリル酸エステル単位に加えて他のモノマー単位を含む共重合体であってもよい。他のモノマー単位の好適な例としては、スチレン単位、アクリロニトリル単位、(メタ)アクリル酸単位、マレイン酸単位等が挙げられる。他のモノマー単位の含有量は、特に限定されないが、全モノマー単位中、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
【0023】
内層は、ポリエチレンオキサイド(PEO)を含有する。凝固剤浸漬法によるゴム手袋の製造においては、指先を下にした向きで手型を浸漬液に浸漬し、数秒から数十秒後に手型を引き上げる。その際、完全に凝固しなかった浸漬液が手型の指先に集まる。これを放置した場合には、加熱乾燥によって塊になるため、浸漬液から引き上げた直後の手型は、指先が上になるように向きを変えられる。このとき、完全に凝固しなかった浸漬液は液だれして指や指股に局所的に集まり、フローバック現象が生じる。また、液だれが指先に残るとフィンガーチップ現象が生じる。本発明においては、内層が、ポリエチレンオキサイドを含有することにより、このフローバックおよびフィンガーチップの発生を抑制することができる。この理由は、ポリエチレンオキサイドは、その主鎖に大きな双極子モーメントを有するエーテル酸素を多数有しており、この多数のエーテル酸素の作用(特に、エーテル酸素が凝固剤のカチオンに配位することによって、ラテックスを含有する浸漬液に擬塩凝固性を発現させるという作用)によって、浸漬液の流動性が低下するためと考えられる。
【0024】
使用されるポリエチレンオキサイドは、特に限定されない。ポリエチレンオキサイドは、モノマー単位としてエチレンオキサイド単位(オキシエチレン単位)のみを含む単独重合体であってもよいし、本発明の効果を顕著に阻害しない範囲内で、他のモノマー単位を含む共重合体であってもよい。他のモノマー単位の含有量は、全モノマー単位中、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
【0025】
使用されるポリエチレンオキサイドは、25℃での5質量%濃度の水溶液の粘度が50mPa・s以上7,000mPa・s以下となるポリエチレンオキサイド、25℃での0.5質量%濃度の水溶液の粘度が20mPa・s以上1,000mPa・s以下となるポリエチレンオキサイド等であってよい。
【0026】
フローバックの発生をより抑制して着け心地をより向上させる観点から、25℃での0.5質量%濃度の水溶液の粘度が20mPa・s以上500mPa・s以下であるポリエチレンオキサイドを用いることが好ましい。言い換えると、ポリエチレンオキサイドを0.5質量%濃度の水溶液にした際の25℃における粘度が、20mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。当該粘度が20mPa・s以上のポリエチレンオキサイドを用いることで内層用の浸漬液の流動性をより効果的に抑えることができる。当該粘度が500mPa・s以下であることにより、ポリエチレンオキサイド特有の糸曳性による影響を効果的に低減することができる。
【0027】
なお、25℃でのポリエチレンオキサイドの水溶液の粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。測定条件として、回転速度は、例えば12rpmである。
【0028】
ポリエチレンオキサイドの粘度平均分子量(Mv)については、特に制限はなく、例えば、150,000以上10,000,000以下である。ポリエチレンオキサイドのMvが小さ過ぎると、フローバック発生の抑制効果が小さくなる傾向がある。したがって、ポリエチレンオキサイドのMvは、好ましくは1,200,000以上であり、より好ましくは1,500,000以上である。一方、ポリエチレンオキサイドのMvが大き過ぎると、フローバック発生の抑制効果および着け心地改善効果が小さくなる傾向がある。したがって、ポリエチレンオキサイドのMvは、好ましくは5,800,000以下であり、より好ましくは5,000,000以下である。
【0029】
なお、ポリエチレンオキサイドの粘度平均分子量は、オストワルド粘度計を用いた測定により極限粘度を求め、下記式に基づいて算出することができる。粘度測定は、例えば、溶媒に純水を用い、測定温度は35℃として行うことができる。
[η]=K×Mα
([η]=極限粘度、M=粘度平均分子量、K(定数)=6.4×10-5、α(定数)=0.82)
【0030】
ポリエチレンオキサイドは公知方法に従い、合成して入手することができる。また、市販品としても入手可能である。ポリエチレンオキサイドの市販品の例は、住友精化(株)製のPEO-1(5%水溶液粘度=50~200mPa・s;Mv=150,000~400,000)、PEO-3(5%水溶液粘度=2,500~5,500mPa・s;Mv=600,000~1,100,000)、PEO-8(0.5%水溶液粘度=20~70mPa・s;Mv=1,700,000~2,200,000)、PEO-15(0.5%水溶液粘度=130~250mPa・s;Mv=3,300,000~3,800,000)、PEO-18(0.5%水溶液粘度=250~430mPa・s;Mv=4,300,000~4,800,000)、PEO-27(0.5%水溶液粘度=600~800mPa・s;Mv=6,000,000~8,000,000)、PEO-29(0.5%水溶液粘度=800~1,000mPa・s;Mv=8,000,000~10,000,000);明成化学工業(株)製アルコックスE-45(2%水溶液粘度=150~600mPa・s;Mv=600,000~1,000,000)、E-60(2%水溶液粘度=1,000~4,000mPa・s;Mv=1,000,000~1,500,000)、E-100(0.5%水溶液粘度=80~120mPa・s;Mv=約3,000,000)、E-240(0.5%水溶液粘度=180~280mPa・s;Mv=約5,000,000)などが挙げられる。
【0031】
内層中のポリエチレンオキサイドの含有量は、特に限定されない。ポリエチレンオキサイドの含有量が小さいと、フローバックおよびフィンガーチップの発生抑制効果と風合い向上効果が小さくなる傾向にある。そのため、内層中のポリエチレンオキサイドの含有量は、高分子成分(B)100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.3質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。一方、ポリエチレンオキサイドの含有量が一定量を超えると、その効果が飽和する。そのため、コスト面等の観点から外層中のポリエチレンオキサイドの含有量は、高分子成分(B)100質量部に対し、好ましくは3.0質量部以下であり、より好ましくは1.5質量部以下であり、さらに好ましくは1.0質量部以下である。
【0032】
内層は、高分子成分(B)およびポリエチレンオキサイド以外の成分を含有していてもよい。当該成分の例としては、熱安定剤、老化防止剤、充填剤、アニオン系分散安定剤、ノニオン系分散安定剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類および含有量は、公知のゴム手袋のゴム層に用いられるものと同様であってよい。また、内層は、加硫剤の残渣、加硫促進剤の残渣、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)の残渣、架橋助剤の残渣等を含有していてもよい。
【0033】
〔植毛〕
本発明のゴム手袋の好ましい一態様においては、内層が、最内層であって、かつパイル(短繊維)が植毛されている。当該パイルは、典型的には、静電植毛法によって植毛されている。
【0034】
植毛されるパイルは、特に限定されず、公知のゴム手袋に用いられるパイルと同様のものを使用することができる。風合い、コスト等の観点から、コットン、ナイロン、またはレーヨンのパイルが好適に用いられる。
【0035】
パイルの長さは、特に限定されないが、例えば0.3mm以上0.7mm以下である。パイルの直径は、特に限定されないが、例えば10μm以上20μm以下である。
【0036】
〔ゴム手袋〕
【0037】
本発明のゴム手袋の寸法(例、外形の寸法、内層の厚み、外層の厚みなど)は、特に限定されず、公知のゴム手袋の寸法と同様であってよい。
【0038】
本発明のゴム手袋は、内層と外層以外の層を含有していてもよい。例えば、本発明のゴム手袋の内層は、接着性に優れるため、内層を接着中間層として使用し、植毛に代えて他の層を内層の上に(すなわち、内層の、ゴム手袋の内表面側に)に設けてもよい。この他の層は、着け心地を改善するような層であってよいし、他の機能を付与する層であってよい。本発明のゴム手袋において、外層の上に(すなわち、外層の、ゴム手袋の外表面側に)さらに別の層が積層されていてもよい。本発明のゴム手袋の一例は、内層および外層のみから構成されており、当該内層にパイルが植毛されていてもよい。
【0039】
本発明のゴム手袋においては、フローバックおよびフィンガーチップの発生が抑制されている。また、本発明のゴム手袋に植毛を施す場合には、植毛風合いに優れる。そのため、本発明のゴム手袋は、着け心地に優れる。本発明のゴム手袋は、一般家庭や、工業生産、研究、医療等の様々な分野において、非常に数多くの用途に使用することができる。
【0040】
〔製造方法〕
本発明のゴム手袋の製造方法は、特に限定されない。本発明のゴム手袋の好適な製造方法は、ゴム手袋の立体形状に対応する手型の表面を、凝固剤で処理する工程(以下、「凝固剤処理工程」ともいう)と、当該処理した手型を、ラテックス(C)を含有する外層形成用の浸漬液に浸漬する工程(以下、「第1浸漬工程」ともいう)と、当該浸漬した手型を、ラテックス(D)を含有する内層形成用の浸漬液に浸漬する工程(以下、「第2浸漬工程」ともいう)と、を包含する。ここで、当該内層形成用の浸漬液が、ポリエチレンオキサイドを含有する。
【0041】
まず、凝固剤処理工程について説明する。当該凝固剤処理工程は、公知方法と同様にして行うことができる。具体的には、当該凝固剤処理工程では、ゴム手袋の立体形状に対応した手型を用意する。当該手型には、陶器製等の手型など、ゴム手袋の製造に用いられる公知の手型を用いることができる。
【0042】
凝固剤としては、ゴム手袋の製造に用いられる公知の凝固剤を用いることができ、その例としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。凝固剤は、通常、凝固液として、溶液(例、水溶液、メタノール溶液など)の形態で使用する。
【0043】
凝固剤による処理は、例えば、手型を凝固液(好ましくは凝固剤の水溶液)に浸漬し、引き上げた後、乾燥することによって行うことができる。このようにして、表面に凝固剤が付着した手型を得ることができる。
【0044】
次に第1浸漬工程について説明する。第1浸漬工程においては、外層形成用の浸漬液が用いられる。
【0045】
外層形成用の浸漬液は、ラテックス(C)(第1のラテックス)を含有する。ラテックス(C)としては、特に限定されないが、天然ゴム(NR)、脱タンパク天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等のラテックスを用いることができる。天然ゴムのラテックスの例としては、HAラテックス、LAラテックス等が挙げられる。これらのラテックスは1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。なお、ラテックス(C)に含まれるゴム成分は、上述のゴム成分(A)に対応する。
【0046】
外層形成用の浸漬液は、通常、加硫剤を含有する。加硫剤としては、硫黄、硫黄含有有機化合物等が挙げられ、硫黄が好ましい。外層形成用の浸漬液は、加硫促進剤、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)、架橋助剤等を含有していてもよい。加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)、および架橋助剤の含有量は、公知のゴム手袋のゴム層の形成に用いられる浸漬液における含有量と同様であってよい。例えば、加硫剤の含有量は、ラテックス(C)に含まれるゴム成分100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下である。
【0047】
外層形成用の浸漬液は、熱安定剤、老化防止剤、充填剤、アニオン系分散安定剤、ノニオン系分散安定剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。これら添加剤の含有量は、公知のゴム手袋のゴム層の形成に用いられる浸漬液における含有量と同様であってよい。
【0048】
外層形成用の浸漬液は、ラテックス(C)と、上記の成分とを公知方法に従い混合することによって、調製することができる。
【0049】
第1浸漬工程は、上記凝固剤で処理した手型を、外層形成用の浸漬液に浸漬することによって行うことができる。浸漬後は、手型は、外層形成用の浸漬液から引き上げられる。浸漬後は、加熱等によって乾燥を行うことが好ましい。この乾燥によって未架橋の外層を形成することが好ましい。
【0050】
次に第2浸漬工程について説明する。第2浸漬工程においては、内層形成用の浸漬液が用いられる。
【0051】
内層形成用の浸漬液は、ラテックス(D)(第2のラテックス)を含有する。ラテックス(D)としては、ゴムラテックス、または樹脂ラテックスを用いることができる。
【0052】
ラテックス(D)として使用されるゴムラテックスは、ラテックス(C)に用いられるラテックスと同様である。ラテックス(D)のゴム成分と、ラテックス(C)のゴム成分は、同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
樹脂ラテックスとしては、(メタ)アクリルラテックス、塩化ビニルラテックス、ウレタンラテックス等を用いることができる。
【0054】
ラテックス(D)としては、(メタ)アクリルラテックスが好ましい。(メタ)アクリルラテックスを内層の形成に用いた場合には、内層に植毛処理を行った際に、パイルと内層との接着強度が特に高くなるため、パイルの脱落を防止でき、植毛風合いに特に優れる。
【0055】
(メタ)アクリルラテックスとして、市販のものを用いてもよい。市販品の例としては、(株)新ニッセン製ニッセンゾールTG-76、TG-106;アイカ工業(株)製ウルトラゾール等が挙げられる。
【0056】
ラテックス(D)がゴムラテックスである場合には、内層形成用の浸漬液は、通常、加硫剤を含有し、加硫促進剤、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)、架橋助剤等を含有していてもよい。ラテックス(D)が樹脂ラテックスである場合は、内層形成用の浸漬液は、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(例、酸化亜鉛)、および架橋助剤を含有していてもよい。加硫剤、加硫促進剤、および架橋助剤の含有量は、公知のゴム手袋のゴム層の形成に用いられる浸漬液における含有量と同様であってよい。例えば、加硫剤の含有量は、ラテックス(D)に含まれるゴム成分または樹脂成分100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下である。
【0057】
内層形成用の浸漬液は、ポリエチレンオキサイドを含有する。ポリエチレンオキサイドの具体的な内容については、上述の通りである。
【0058】
内層形成用の浸漬液中のポリエチレンオキサイドの含有量は、特に限定されない。ラテックス(D)に含まれるゴム成分または樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.3質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。一方、ポリエチレンオキサイドの含有量は、ラテックス(D)に含まれるゴム成分または樹脂成分100質量部に対し、好ましくは3.0質量部以下であり、より好ましくは1.5質量部以下であり、さらに好ましくは1.0質量部以下である。なお、ラテックス(D)に含まれるゴム成分または樹脂成分は、上述の高分子成分(B)に対応する。
【0059】
内層形成用の浸漬液は、熱安定剤、老化防止剤、充填剤、アニオン系分散安定剤、ノニオン系分散安定剤、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。これら添加剤の含有量は、公知のゴム手袋のゴム層の形成に用いられる浸漬液における含有量と同様であってよい。
【0060】
内層形成用の浸漬液は、ラテックス(D)と、ポリエチレンオキサイドと、上記の成分とを公知方法に従い混合することによって、調製することができる。
【0061】
第2浸漬工程は、外層形成用の浸漬液に浸漬した手型を、内層形成用の浸漬液に浸漬することによって行うことができる。浸漬後は、手型は、内層形成用の浸漬液から引き上げられる。
【0062】
内面に植毛されたゴム手袋を得る場合には、第2浸漬工程の後に、パイルを植毛する工程(以下、「植毛工程」ともいう)をさらに実施する。当該植毛工程は、典型的には、内層形成用の浸漬液が完全に乾燥する前に行われる。
【0063】
使用されるパイルは、上述の通りである。パイルの植毛は、公知方法(特に、静電植毛法)によって、行うことができる。なお、第2浸漬工程を行う際に、浸漬前に手型を加熱してもよい。この場合、手型に内層形成用の浸漬液が部分的に乾燥した塗膜を形成することができ、植毛工程において、パイルの垂直投錨がし易くなる。
【0064】
その後、典型的には、手型を加熱する工程を行う。この加熱によって、乾燥および加硫を行う。手型から加硫物を反転脱型することにより、本発明のゴム手袋を得ることができる。
【実施例
【0065】
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の記載において「部」は「質量部」を示す。
【0066】
実施例1
〔外層形成用浸漬液の調製〕
市販のHAラテックスのゴム成分100部に対し、カゼイン0.5部、水酸化カリウム0.5部、オレイン酸カリウム0.5部、硫黄1部、酸化亜鉛1部、老化防止剤1部、加硫促進剤1部、および消泡剤0.03部を含有する混合液を調製した。この混合液を2日間熟成させることにより、外層形成用の浸漬液Aを調製した。
【0067】
〔内層形成用浸漬液の調製〕
市販のHAラテックスのゴム成分100部に対し、カゼイン0.5部、水酸化カリウム0.5部、オレイン酸カリウム0.5部、硫黄1部、酸化亜鉛1部、老化防止剤1部、加硫促進剤1部、消泡剤0.03部、および住友精化(株)製PEO-8 0.5部を含有する混合液を調製した。この混合液を2日間熟成させることにより、内層形成用浸漬液B1を調製した。
【0068】
〔手袋の作製〕
手袋の立体形状に対応した陶器製の手型を用意した。この型を60℃で20分間加温した後、25%硝酸カルシウム水溶液に浸漬し、引き上げた後60℃で1分間加熱して乾燥させた。この型を、外層形成用浸漬液Aに10秒間浸漬した後、引き上げた。これを乾燥機に入れ、100℃で1分間乾燥した。引き続き、これを内層形成用浸漬液B1に浸漬した後、引き上げた。次いで静電植毛装置を用いてレーヨン製パイルを植毛処理行い、これを連続式乾燥機に入れて100℃で60分間加熱した。これを手型から反転脱型してゴム手袋を得た。
【0069】
比較例1
内層形成用浸漬液B1に住友精化(株)製PEO-8 0.5部を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0070】
比較例2
内層形成用浸漬液B1に住友精化(株)製PEO-8を0.5部配合するかわりに、ポリアクリレートを0.5部配合した以外は、実施例1と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0071】
実施例2
市販のNBRラテックスのゴム成分100部に対し、水酸化カリウム0.5部、オレイン酸カリウム0.5部、硫黄1部、酸化亜鉛2.5部、加硫促進剤1部、消泡剤0.03部、および住友精化(株)製PEO-8 0.5部を含有する混合液を調製した。この混合液を2日間熟成させることにより、内層形成用浸漬液B2を調製した。この内層形成用浸漬液B2を用いた以外は、実施例1と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0072】
比較例3
内層形成用浸漬液B2に住友精化(株)製PEO-8を0.5部配合するかわりに、ポリアクリレートを0.5部配合した以外は、実施例2と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0073】
実施例3
市販のアクリルラテックスの(メタ)アクリル樹脂成分100部に対し住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合し、内層形成用浸漬液B3を調製した。この内層形成用浸漬液B3を用いた以外は、実施例1と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0074】
実施例4
内層形成用浸漬液B3の住友精化(株)製PEO-1の配合量を0.5部から1部に変更した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0075】
実施例5
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-3を0.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0076】
実施例6
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-8を0.1部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0077】
実施例7
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-8を0.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0078】
実施例8
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-8を1部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0079】
実施例9
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-18を0.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0080】
実施例10
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-27を0.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0081】
実施例11
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1を0.5部配合するかわりに、PEO-29を0.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0082】
比較例4
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1 0.5部を含有させなかった以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0083】
比較例5
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1 0.5部配合するかわりにポリアクリレートを1.5部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0084】
比較例6
内層形成用浸漬液B3に住友精化(株)製PEO-1 0.5部配合するかわりにポリアクリレートを3部配合した以外は、実施例3と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0085】
〔内層形成用浸漬液の粘度評価〕
各実施例および各比較例で調製した内層形成用浸漬液を適量採取し、B型粘度計を用い、ローター回転速度60回転/分で測定して数値を読み取った。この値を内層形成用浸漬液の粘度(mPa・s)とした。結果を表1~3に示す。
【0086】
〔植毛風合いの評価〕
各実施例および各比較例で作製したゴム手袋の内面に対して触感にて官能試験を行い、以下の基準にて評価した。結果を表1~3に示す。
A:風合いが極めて優れる=パイル脱落によるゴム露出が全く感じられない
B:風合いが良い=パイル脱落によるゴム露出がわずかに感じられる
C:風合いが良くない=パイル脱落によるゴム露出が多くの部分で感じられる
【0087】
〔フローバックの評価〕
各実施例および各比較例で作製したゴム手袋の内面を目視および触感にて検査し、以下の基準にて評価した。結果を表1~3に示す。
A:フローバックは全くなく、凸部は全く感じられない
B:フローバックがわずかに認められ、凸部がわずかに感じられる
C:フローバックが著しく、凸部が明確に感じられる
【0088】
〔フィンガーチップの評価〕
各実施例および各比較例で作製したゴム手袋の内面を目視および触感にて検査し、以下の基準にて評価した。結果を表1~3に示す。
A:フィンガーチップは全くなく、凸部は全く感じられない
B:フィンガーチップがわずかに認められ、凸部がわずかに感じられる
C:フィンガーチップが著しく、凸部が明確に感じられる
【0089】
〔着け心地の評価〕
ゴム手袋を10人の被験者が装着し、着け心地を以下の基準により評価した。結果を表1~3に示す。
A:着け心地が非常によい
B:着け心地がよい
C:着け心地がよくない
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
なお、上記表1~3において、ラテックスの配合量(部)は、ラテックスに含まれるゴム成分または樹脂成分の配合量(部)である。
【0094】
実施例1と比較例1および2との比較、実施例2と比較例3との比較、ならびに実施例3~11と比較例4~6との比較により、内層にポリエチレンオキサイドを配合することにより、植毛風合い、フローバックおよびフィンガーチップの少なさ、ならびに着け心地が改善していることがわかる。したがって、本発明によれば、フローバックおよびフィンガーチップの発生が抑制されており、植毛風合いに優れ、着け心地に優れるゴム手袋を提供できることがわかる。