(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20241106BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241106BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241106BHJP
【FI】
G02B7/08 Z
G02B7/08 C
G03B17/02
H04N23/60
(21)【出願番号】P 2020207543
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀弘
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴広
(72)【発明者】
【氏名】金澤 譲
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-228500(JP,A)
【文献】国際公開第2013/069158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 17/02
H04N 5/222-5/257
23/00
23/40-23/76
23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の初期位置を基準として移動可能な光学素子と、
装置本体に加えられた衝撃を検出し、前記衝撃のベクトルを出力する加速度検出手段と、
前記衝撃を検出するごとに前記衝撃のベクトルにおける前記光学素子の光軸方向成分を積算し、積算した結果である累積衝撃が所定のしきい値を超えた場合、前記光学素子が脱調していると判断し前記光学素子を前記初期位置に復帰させる制御手段と、を備え、
前記光学素子は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含み、
前記所定のしきい値は、前記ズームレンズの光軸方向の位置により異なり、
前記制御手段は、前記フォーカスレンズの位置を移動させることによって前記光学素子を前記初期位置に復帰させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ズームレンズの光軸方向の位置を変更した場合、または前記光学素子を前記初期位置に復帰させた場合に、前記累積衝撃をゼロに戻すことを特徴とする請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ズームレンズの光軸方向の位置は、前記衝撃のベクトルと前記ズームレンズの予測位置とを対応付けた関係テーブルに基づいて予測した位置であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
装置本体に加えられた衝撃を検出し、前記衝撃を検出するごとに前記衝撃のベクトルを前記装置が備える光学素子の光軸方向で積算し、積算した結果である累積衝撃が所定のしきい値を超えた場合、前記光学素子が脱調していると判断し前記光学素子を所定の初期位置に復帰させる撮像方法であって、
前記光学素子は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含み、
前記所定のしきい値は、前記ズームレンズの光軸方向の位置により異なり、
前記フォーカスレンズの位置を移動させることによって前記光学素子を前記初期位置に復帰させることを特徴とする撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズ等を用いた撮像装置では、スクリュウネジ軸とラックを噛み合わせ、軸を回転させることにより、レンズの位置を変化させている。
【0003】
このような撮像装置では、装置本体に加えられた衝撃等の振動によりスクリュウネジ軸とラックとの噛み合いが外れる等して、ズームレンズやフォーカスレンズの位置がカム軌跡上から外れてしまうことがある。すると、装置本体では合焦する位置にフォーカスレンズを移動していたのにも関わらず、実際にはぼやけた映像になってしまう。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1には、装置本体に加えられた衝撃等の振動を加速度センサで検出し、この振動が所定レベルを超えたときに、光学素子を初期位置に復帰させる撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によれば、加速度センサで検出された衝撃と脱調を近似することによって脱調の有無を判断している。すなわち、脱調そのものではなく、加速度センサの検出値からレンズ位置の初期位置への復帰(リセット動作)が必要か判断している。
【0007】
しかしながら、特許文献1の判断では、この近似の精度が悪いという問題がある。
【0008】
例えばしきい値が小さい場合、脱調していない場合においてもレンズ位置のリセット動作が入る誤動作が頻繁に発生する問題がある。また、しきい値が大きい場合、脱調している場合においてもレンズ位置のリセット動作が入らず撮影に悪影響を及ぼしてしまうという問題がある。本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い近似精度でレンズの脱調を判断した上でレンズ位置を初期位置に復帰させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態の撮像装置は、所定の初期位置を基準として移動可能な光学素子と、装置本体に加えられた衝撃を検出し、前記衝撃のベクトルを出力する加速度検出手段と、前記衝撃を検出するごとに前記衝撃のベクトルにおける前記光学素子の光軸方向成分を積算し、積算した結果である累積衝撃が所定のしきい値を超えた場合、前記光学素子が脱調していると判断し前記光学素子を前記初期位置に復帰させる制御手段と、を備え、前記光学素子は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含み、前記所定のしきい値は、前記ズームレンズの光軸方向の位置により異なり、前記制御手段は、前記フォーカスレンズの位置を移動させることによって前記光学素子を前記初期位置に復帰させるようにした。
【0010】
一実施形態の撮像方法は、装置本体に加えられた衝撃を検出し、前記衝撃を検出するごとに前記衝撃のベクトルを前記装置が備える光学素子の光軸方向で積算し、積算した結果である累積衝撃が所定のしきい値を超えた場合、前記光学素子が脱調していると判断し前記光学素子を所定の初期位置に復帰させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明の撮像装置及び撮像方法によれば、高い近似精度でレンズの脱調を判断した上でレンズ位置を初期位置に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる撮像装置の概略構成を示す図である。
【
図2】衝撃と脱調量との関係を示すグラフの一例である。
【
図3】衝撃と脱調量との関係を示すグラフの一例である。
【
図4】衝撃と脱調量との関係を示すグラフの一例である。
【
図5】衝撃と脱調量との関係を示すグラフの一例である。
【
図6】衝撃の累積による判断の一例を示すグラフである。
【
図7】衝撃の累積による判断の一例を示すグラフである。
【
図8】衝撃の累積による判断の一例を示すグラフである。
【
図9】フォーカスレンズ及びズームレンズの位置に対して、被写体へ合焦させる制御範囲とメカの可動範囲を示すグラフである。
【
図10】ズームレンズの位置とフォーカス制御量の関係を示すグラフである。
【
図11】しきい値βとズームレンズの位置との関係を示すグラフである。
【
図12】しきい値βと累積衝撃との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる撮像装置の概略構成を示す図である。
図1において、撮像装置1は、ズームレンズ9と、フォーカスレンズ11と、撮像素子18と、信号処理部20と、フォーカスドライブ22と、ズームドライブ23と、レンズ位置検出部25と、制御部26と、加速度センサ28と、ローパスフィルタ29と、A/D変換器30と、操作部32と、電源管理部33と、記憶部34を備える。
【0014】
また、撮像部19は、ズームレンズ9、フォーカスレンズ11及び撮像素子18を含む構成である。そして、撮像部19は、被写体を映像情報として取り込む。
【0015】
コントラスト算出部21は信号処理部20と制御部26を含む構成である。信号処理部20では映像信号処理及び、画像圧縮処理が行われ、記憶部34への記録も同時に行われる。
【0016】
コントラスト算出部21は、撮像部19からの映像信号よりコントラストの値を算出する。
【0017】
レンズ駆動部24は、フォーカスドライブ22とズームドライブ23を含む構成である。フォーカスドライブ22は、フォーカスレンズ11の駆動を行う。また、ズームドライブ23は,ズームレンズ9の駆動を行う。そして制御部26からの制御により、ズームレンズ9及びフォーカスレンズ11の駆動を行う。
【0018】
レンズ位置制御部27はレンズ位置検出部25と制御部26を含む構成である。レンズ位置制御部27は、たとえばフォトトランジスタなどを使用して初期化時に原点検出を行い、レンズ位置の制御を行う。
【0019】
衝撃検出部31は、加速度センサ28、ローパスフィルタ29、A/D変換器30及び制御部26を含む構成である。制御部26は、更に電源管理部33を含む。そして、衝撃検出部31は、撮像装置1本体に加えられた衝撃による加速度情報を出力する。なお、衝撃検出部31は、スタンバイ状態時においても通電し衝撃の検出を行うようにすることが好適である。衝撃を加速度として検出することから、衝撃検出部31を加速度検出手段とも呼ぶことができる。
【0020】
加速度センサ28は3軸タイプの加速度センサである。加速度センサ28は撮像装置1本体に加えられた衝撃を検出してアナログの加速度信号を出力する。そして、加速度信号はローパスフィルタ29にて高周波成分が除去され、さらにA/D変換器30にてデジタル化され加速度情報として出力される。これらの処理後、加速度情報は、制御部26に通知される。加速度情報は加速度の大きさだけでなく向きの情報を含む。したがって、加速度情報はベクトル情報であることが好適である。
【0021】
記憶部34は撮像装置1が撮像した映像及び制御部26の動作に必要なプログラムやデータなどの各種情報を記憶する内部メモリである。
【0022】
操作部32は、ユーザからの入力を受け付けるインターフェースである。操作部32は、たとえば電源スイッチや記録開始スイッチ、メニュースイッチ、タッチパネルなどから構成されており、ユーザインターフェースを構成している。
【0023】
電源管理部33は制御部26の一部分である。そして電源管理部33は、節電の為スタンバイ状態時には電源管理部33、及び衝撃検出部31以外の電力供給を停止する。
【0024】
また、電源管理部33は、操作部32の電源スイッチの押下及び解放を監視し、電源スイッチが操作された場合に、撮像装置1全体の電源オン及びオフを行う。
【0025】
そして、制御部26は、コントラスト算出部21における信号処理部20の制御、レンズ位置制御部27におけるフォーカスレンズ11のレンズ位置の制御、衝撃検出部31における加速度情報の取得、操作部32の制御等を行う。また、制御部26は、加速度情報に基づいてフォーカスレンズ11のレンズ位置の初期化が必要か否か判断する。フォーカスレンズ11のレンズ位置の初期化が必要と判断した場合、制御部26は、レンズ位置制御部27においてレンズ駆動部24を制御しフォーカスレンズ11のレンズ位置のリセット動作を行う。制御部26の機能は、例えば記憶部34に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで実行することで実現される。
【0026】
制御部26における判断の一例を以下に示す。
【0027】
まず、衝撃検出部31が検出した加速度情報の光軸方向成分の大きさが予め設定された第一のしきい値αを越えた場合、制御部26は、フォーカスレンズ11のレンズ位置の初期化が必要と判断し、レンズ位置のリセット動作を行う。以降、特に断りがない限りレンズ位置とはフォーカスレンズ11の位置を意味し、レンズ位置のリセット動作を単にリセット動作と表記して説明する。
【0028】
また、制御部26は、加速度情報の光軸方向成分の大きさが第一のしきい値α以下の時の衝撃履歴に関する値を記憶部34に保存する。そして、制御部26は、光軸方向の符号付き衝撃履歴のベクトル合計[G]を算出する。具体的には、制御部26は、加速度情報において加速度センサの実装位置に対して光軸方向成分の大きさが第一のしきい値α以下である光軸方向成分を積算することにより、光軸方向の符号付き衝撃履歴のベクトル合計[G]を算出する。以降、説明を分かりやすくするため加速度情報における光軸方向成分の大きさを単に衝撃の大きさと表記して説明する。
【0029】
そして、ベクトル合計[G]が第二のしきい値βを超えた場合、制御部26は、リセット動作が必要と判断し、リセット動作を行う。なお、ズーム位置により第二のしきい値βを変化させるようにしてもよい。
【0030】
上述の判断動作について図面を用いて詳細を説明する。
図2-
図6は、衝撃と脱調量との関係を示すグラフの一例である。
図2-
図6において、横軸は衝撃の大きさ[G]を示す。また縦軸は脱調量[Pulse]を示す。
【0031】
まず、メカのバラツキや、同一メカでも衝撃の機会により、衝撃(A)や(B)や(C)の大きさで脱調する場合がある。一般に、確実に検出させるためには、第一のしきい値αは衝撃(A)、(B)及び(C)の全てより小さく設定すると良い。
図2は第一のしきい値αを衝撃(A)、(B)及び(C)の全てより小さく設定した例(しきい値α=小)である。
【0032】
しかし、撮像装置は
図3の太線で示すように衝撃(C)以上で脱調し、衝撃(A)(B)では脱調していない場合がある。したがって、しきい値α=小とすると、脱調していないにも関わらず頻繁にリセット動作が発生してしまい煩わしい。
【0033】
第一のしきい値αを衝撃(A)、(B)より大に、且つ衝撃(C)より小さくすると、衝撃(C)でのみ検出可能にする。
図4は、第一のしきい値αを衝撃(A)、(B)より大に、且つ衝撃(C)より小さく設定した例である。
【0034】
しかし、
図5の太線で示すように衝撃(A)や(B)で脱調する場合があり、その際に検出できない。1回目の衝撃が(A)で、2回目の衝撃が(B)だったとする。どちらも、第一のしきい値αを超えていないので、リセット動作は行われない。
【0035】
しかし、脱調量が必ずしもゼロとは言えなく、少なからず脱調している場合が考えられる。例えば、スクリュウネジ軸のネジ山一周分の脱調では、リセット動作が不要な場合がある。ところがこのような小さな脱調の蓄積により最終的にリセット動作が必要となる場合がありうる。
【0036】
したがって、
図5に示すように、衝撃(A)、(B)の個々の判断でリセット動作が必要な脱調とは判断されないにも関わらず、脱調してしまっている。この結果、フォーカスレンズ11の位置は初期化が必要にも関わらず、初期化が行われないことになる。
【0037】
実施の形態1の撮像装置は、第一のしきい値αより小さい衝撃が複数回存在した場合に、これを脱調したと判断してリセット動作に導くものである。
【0038】
図6-
図8は、衝撃の累積による判断の一例を示すグラフである。
図6-
図8において、横軸は累積衝撃[G](衝撃履歴のベクトル合計[G])を示す。また縦軸は時間の経過を示す。
【0039】
図6は、まず衝撃(A)を受け、次に衝撃(B)を受けた例である。制御部26は、2回の衝撃を光軸方向のベクトルで加算する。
図6は、衝撃(A)と衝撃(B)が光軸方向で同じ方向の衝撃の例である。したがって、2回の衝撃の加算である累積衝撃[G] ((A)+(B))が、第二のしきい値βを超えたかどうかを判断する。累積衝撃[G]が、第二のしきい値βを超えていた場合、リセット動作を行う。
【0040】
図7は、衝撃(A)と衝撃(B)が光軸方向で逆方向の衝撃の例である。
図7では、衝撃(B)が衝撃(A)に対して逆方向だった場合、衝撃(A)から衝撃(B)が減算される。この減算結果である累積衝撃[G]は第二のしきい値βを超えない。すなわち、逆方向の衝撃により、脱調量が減ることを考慮している。
【0041】
なお、衝撃量の積算は3回以上であってもよい。
図8は、多数の衝撃を積算した場合の例である。前回のリセット動作から衝撃(A1)、衝撃(A2)、衝撃(A3)…と衝撃量が積算される。そして、
図8の例では6回目の衝撃(A6)の時点で累積衝撃[G]が第二のしきい値βを超えたためリセット動作が行われる。このように、リセット動作が行われるまで積算し続ける。
【0042】
制御部26は、リセット動作が行われた後に累積衝撃[G]をゼロに戻す。その後、同様に衝撃(A7)、衝撃(A8)…と衝撃量を積算する。また、制御部26は、撮像装置1本体の電源オンまたはオフ、及びズームレンズ9のレンズ位置が変化した際にも累積衝撃[G]をゼロに戻し、再び積算を開始できるようにする。
【0043】
次に第二のしきい値βの設定について説明する。
図9は、フォーカスレンズ11及びズームレンズ9の位置に対して、被写体へ合焦させる制御範囲とレンズ駆動部24によるそれぞれのレンズの可動範囲を示すグラフである。
図9において、横軸はズームレンズ9の位置を示し、縦軸はフォーカスレンズ11の位置を示す。また、フォーカスメカ範囲とはフォーカスドライブ22がフォーカスレンズ11を駆動可能な範囲を示し、ズームメカ範囲とはズームドライブ23がズームレンズ9を駆動可能な範囲を示す。以降の説明において、フォーカスドライブ22及びズームドライブ23を総称してメカと呼ぶことがある。
【0044】
フォーカスレンズ11とズームレンズ9の位置と、被写体へ合焦させる制御範囲と、フォーカスレンズ11及びズームレンズ9に対するメカの可動範囲との関係は、
図9の様な曲線と範囲になる。
【0045】
ここで、あるズームレンズ9の位置における、フォーカスレンズ11の位置方向での被写体へ合焦させる制御範囲をフォーカス制御量と定義した場合、ズームレンズ9の位置とフォーカス制御量の関係は
図10で示される。
図10は、ズームレンズ9の位置とフォーカス制御量の関係を示すグラフである。
図10において、横軸はズームレンズ9の位置を示す。また、縦軸はフォーカス制御量を示す。メカ範囲とはフォーカスドライブ22及びズームドライブ23によるそれぞれのレンズの可動範囲を示す。
【0046】
図10に示すように、Tele側よりもWide側のフォーカス制御範囲が小さい。言い換えるならば、同じフォーカス制御量でもWide側は合焦への影響が大きいことになる。したがって、前述の第二のしきい値βを、ズームレンズ9の位置(ズーム位置)により変化させても良い。
【0047】
また、前述のフォーカス制御量からしきい値βを求めるかわりに、しきい値βの曲線を、直線近似させても良い。すなわち、ズーム位置によりしきい値βを変化させても良い。
図11は、しきい値βとズームレンズ9の位置との関係を示すグラフである。
図11において、横軸はズームレンズ9の位置を示す。また、縦軸はしきい値βを示す。
図11の例では、直線近似を用いてズーム位置によりしきい値βを設定している。
【0048】
また、Tele端のズーム位置を基準にして、Tele端のしきい値βに対する各ズーム位置のしきい値βの割合に応じて衝撃の値を換算の値に変換しても良い。
図12は、Tele端のズーム位置を基準点とし、しきい値βと累積衝撃との関係を示すグラフである。また、脱調したとして、予め設定しておいた衝撃値と各ズーム位置予測の関係テーブルを参照するなどして、前記処理を行っても良い。
【0049】
このように、実施の形態1の撮像装置によれば、装置本体に加えられた衝撃が第一のしきい値αより小さい場合であっても、装置本体に加えられた衝撃のベクトルを力の方向を考慮して積算して第二のしきい値βと比較することにより、高い近似精度で脱調を判断できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0051】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0052】
1 撮像装置
9 ズームレンズ
11 フォーカスレンズ
18 撮像素子
19 撮像部
20 信号処理部
21 コントラスト算出部
22 フォーカスドライブ
23 ズームドライブ
24 レンズ駆動部
25 レンズ位置検出部
26 制御部
27 レンズ位置制御部
28 加速度センサ
29 ローパスフィルタ
30 A/D変換器
31 衝撃検出部
32 操作部
33 電源管理部
34 記憶部