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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
F25D23/00 301L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020208450
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095245
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
(72)【発明者】
【氏名】添田 舞子
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133296(JP,A)
【文献】特開2006-300351(JP,A)
【文献】特開2001-355958(JP,A)
【文献】特開2006-300810(JP,A)
【文献】特開2017-089913(JP,A)
【文献】特開2017-003203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 17/00 ~ 17/08
F25D 23/00
F25D 27/00 ~ 31/00
G01N 21/00 ~ 21/01
G01N 21/17 ~ 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が冷蔵温度帯に調節される貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内に前記貯蔵室内の他の領域と区画部材により区画して設けられ、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品が収納される区画収納部と、
前記区画収納部内の食品に前記特定波長の光を照射する光照射手段と、
前記区画収納部内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記区画収納部内の食品の品質を判定する判定部と、を備え
前記光検出手段は、前記蛍光の波長の光を感知して画像として出力するカメラであり、
前記判定部は、前記カメラから出力された画像における、前記蛍光の波長の光の明度又は強度が一定以上である面積に基づいて、前記区画収納部内の食品の品質を判定する冷蔵庫。
【請求項2】
内部が冷蔵温度帯に調節される貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室内に前記貯蔵室内の他の領域と区画部材により区画して設けられ、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品が収納される区画収納部と、
前記区画収納部内の食品に前記特定波長の光を照射する光照射手段と、
前記区画収納部内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段により検出された蛍光の変化量が予め設定された基準値以上である場合に、報知制御信号を出力する報知制御部と、を備え
前記光検出手段は、前記蛍光の波長の光を感知して画像として出力するカメラであり、
前記報知制御部は、前記カメラから出力された画像における、前記蛍光の波長の光の明度又は強度が一定以上である面積の変化量が前記基準値以上である場合に、報知制御信号を出力する冷蔵庫。
【請求項3】
前記光照射手段は、前記特定波長の光として、315nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する光を照射する請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記光照射手段は、前記特定波長の光として、350nm以上400nm以下の範囲にピーク波長を有する光を照射する請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記光照射手段は、前記特定波長の光を、4W/m^2以上500W/m^2以下の光量で照射する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記光照射手段は、前記特定波長の光を、10W/m^2以上100W/m^2以下の光量で照射する請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記区画部材の少なくとも一部は、可視光及び前記特定波長の光を透過する性質を有する素材からなる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記区画収納部は、上面に開口が形成され、
前記区画部材は、前記区画収納部の前記開口を開閉する蓋部材を備えた請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記貯蔵室は、前面又は上面に開口が形成され、
前記光照射手段は、前記区画収納部内の食品の後面及び下面の一方又は両方に前記特定波長の光を照射し、
前記光検出手段は、前記区画収納部内の食品の後面及び下面の一方又は両方から発せられた光を検出する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫においては、庫内を撮像するための撮像手段と、撮像手段で撮像した庫内の画像情報を外部の装置に送信するための通信手段と、を備え、貯蔵室内の食品の状態を外部から確認できるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/142119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような冷蔵庫においては、貯蔵室内の食品の状態が、画像で目視できる外観からしか判別できない。特に近年では、調理時間短縮のために野菜等の食材を予めカットして下ごしらえを済ませ、野菜室、冷蔵室等に保存しておくことも増えてきている。また、カット済みの野菜、果物等を購入して保存する場合もある。このようなカット済みで切断面を有する食品の劣化は、外観の可視画像からでは判別が困難な場合がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、特に切断面を有する野菜、果物等の食品について、外観の目視だけでは判別が困難な食品の状態及び品質について判定できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る冷蔵庫は、内部が冷蔵温度帯に調節される貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内に前記貯蔵室内の他の領域と区画部材により区画して設けられ、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品が収納される区画収納部と、前記区画収納部内の食品に前記特定波長の光を照射する光照射手段と、前記区画収納部内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段と、前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記区画収納部内の食品の品質を判定する判定部と、を備え、前記光検出手段は、前記蛍光の波長の光を感知して画像として出力するカメラであり、前記判定部は、前記カメラから出力された画像における、前記蛍光の波長の光の明度又は強度が一定以上である面積に基づいて、前記区画収納部内の食品の品質を判定する。
【0007】
あるいは、本開示に係る冷蔵庫は、内部が冷蔵温度帯に調節される貯蔵室が形成された冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内に前記貯蔵室内の他の領域と区画部材により区画して設けられ、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品が収納される区画収納部と、前記区画収納部内の食品に前記特定波長の光を照射する光照射手段と、前記区画収納部内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段と、前記光検出手段により検出された蛍光の変化量が予め設定された基準値以上である場合に、報知制御信号を出力する報知制御部と、を備え、前記光検出手段は、前記蛍光の波長の光を感知して画像として出力するカメラであり、前記報知制御部は、前記カメラから出力された画像における、前記蛍光の波長の光の明度又は強度が一定以上である面積の変化量が前記基準値以上である場合に、報知制御信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る冷蔵庫によれば、特に切断面を有する野菜、果物等の食品について、外観の目視だけでは判別が困難な食品の状態及び品質について判定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷蔵庫の構成を示す側断面図である。
図2】実施の形態1に係る冷蔵庫の野菜室の構成を示す上面図である。
図3】実施の形態1に係る冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る冷蔵庫が備える制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図5】傷を有する野菜(プチトマト)の可視光下と紫外光下のそれぞれにおける蛍光の変化を撮影した例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る冷蔵庫の動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る冷蔵庫を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から図6を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は冷蔵庫の構成を示す側断面図である。図2は冷蔵庫の野菜室の構成を示す上面図である。図3は冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。図4は冷蔵庫が備える制御装置の機能的構成を示すブロック図である。図5は傷を有する野菜(プチトマト)の可視光下と紫外光下のそれぞれにおける蛍光の変化を撮影した例を示す図である。図6は冷蔵庫の動作の一例を示すフロー図である。
【0012】
本開示では、原則として、冷蔵庫本体1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向を定義する。また、図1に示すのは本開示に係る冷蔵庫本体1の構成の一例である。すなわち、図1によって示される冷蔵庫本体1を構成する各部材の寸法、位置関係及び形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。また、冷蔵庫本体1の構成は、図1によって示されるものに限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、この実施の形態に係る家庭用の冷蔵庫本体1は、複数の異なる温度帯の貯蔵室を備えている。これらの複数の貯蔵室は、発泡ウレタン等の断熱部材からなる断熱筐体内において仕切られて設けられている。これらの貯蔵室は、具体的にここでは、冷蔵室7、チルド室8、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12である。貯蔵室は、冷蔵庫本体1において上下方向に4段構成となって配置されている。
【0014】
冷蔵室7及びチルド室8は、冷蔵庫本体1の最上段に配置されている。冷蔵室7の前面部には扉が開閉自在に設けられている。冷蔵室7の内部の最下段は仕切られており、チルド室8が設けられている。チルド室8には、引出し式の容器が備えられている。チルド室8は、冷蔵室7の内部に設けられているが、冷蔵室7より低い温度を保つことができる貯蔵室である。
【0015】
冷蔵室7の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の上から2段目には、切替室9及び製氷室10が配置されている。これらの切替室9及び製氷室10は、冷蔵庫本体1の上から2段目において左右に並べて配置されている。このため、図1においては、これらの切替室9及び製氷室10が図面に向かって奥行き方向に重なっている。切替室9は、使用者が操作パネル5を操作することにより、予め定められた複数の設定温度のうちから所望の温度を選択し、室内の温度を切り替えることができる。
【0016】
切替室9及び製氷室10の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の上から3段目には、冷凍室11が配置されている。冷凍室11は、主に貯蔵対象を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いるためのものである。冷凍室11の1つ下段、すなわち、冷蔵庫本体1の最下段には、野菜室12が配置されている。野菜室12は、主に果菜類、葉菜類、根菜類等の野菜、果物等を収納するためのものである。
【0017】
冷蔵室7の正面部には、当該冷蔵室7を開閉するための冷蔵室扉7aが設けられている。冷蔵室扉7aは、例えば、両開き式の回転式の扉である。両開き式の冷蔵室扉7aは、右扉及び左扉により構成されている。冷蔵室扉7aの外側表面には、操作パネル5が設けられている。
【0018】
切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12は、例えば、それぞれ、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに沿って冷蔵庫本体1の奥行方向にスライドできるようになっている。冷蔵庫の使用者は、引出し式の扉をスライドさせることで、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12を開閉する。
【0019】
野菜室12について具体的に述べると、野菜室12は、野菜室扉12aによって開閉される。冷蔵庫本体1は、扉開閉検知センサ13を備えている。扉開閉検知センサ13は、野菜室扉12aの開閉状態を検知するためのものである。扉開閉検知センサ13は、野菜室12の前面開口の縁部における野菜室扉12aと対向する位置に設けられている。扉開閉検知センサ13は、例えば、一般的なマグネット方式のスイッチである。つまり、この例の扉開閉検知センサ13は、野菜室扉12aに埋め込まれた磁石の近接を、冷蔵庫本体1本体側の断熱箱体90に設置されたリードスイッチによって検出する。
【0020】
野菜室12内に食品等を収納できる野菜室収納ケースが設けられてもよい。野菜室収納ケースは、例えば、野菜室12内に引き出し自在に格納される。この場合、野菜室収納ケースは、野菜室扉12aに設けられたフレームによって支持される。野菜室収納ケースは、野菜室扉12aに連動して引き出される。
【0021】
なお、冷蔵庫本体1に備えられた貯蔵室の数、貯蔵室の配置、貯蔵室を開閉するための扉の構成等は、以上で説明した例に限定されるものではない。例えば、冷蔵室7を開閉するための扉は、スライド式であってもよい。また、切替室9、製氷室10、冷凍室11及び野菜室12を開閉するための扉は、回転式であってもよい。
【0022】
冷蔵庫本体1は、各貯蔵室へ供給する空気を冷却するための冷凍機構として、圧縮機2、冷却器3、送風機4及び風路18等を備える。圧縮機2及び冷却器3は、図示を省略している凝縮器及び絞り装置等とにより、冷凍サイクルを構成している。圧縮機2は、冷凍サイクル内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図1に示すように、冷蔵庫本体1の背面側の下部に配置される。
【0023】
風路18は、冷凍サイクルによって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するためのものである。風路18は、例えば、冷蔵庫本体1の背面側に配置されている。冷凍サイクルを構成している冷却器3は、この風路18内に設置される。また、風路18内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風機4も設置されている。
【0024】
送風機4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路18を通って、冷凍室11、切替室9、製氷室10及び冷蔵室7へ送られる。これにより、冷凍室11、切替室9、製氷室10及び冷蔵室7の各貯蔵室内が冷却される。また、野菜室12には、冷蔵室7から戻った冷気が図示しない戻り風路を介して導入される。これにより、野菜室12内が冷却される。野菜室12を通過した空気は、冷却器3が設置されている風路18内へと戻される。風路18内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却され、冷蔵庫本体1内を循環する。
【0025】
また、風路18からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられている。このダンパは、図1では図示を省略している。各ダンパの開閉状態が変化することで、各貯蔵室へと供給される冷気の風量が調節される。貯蔵室へと供給される冷気の風量は、送風機4の運転が制御されることによっても調節される。また、各貯蔵室へと供給される空気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
【0026】
各貯蔵室には、内部の温度を検出するサーミスタが設置される。前述したダンパ、送風機4及び圧縮機2は、サーミスタの検出結果に基いて制御される。ダンパ、送風機4及び圧縮機2は、各貯蔵室内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。この実施の形態において、以上のように設けられた圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風機4、風路18及びダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却手段の一例である。
【0027】
この実施の形態に係る冷蔵庫本体1においては、野菜室12内に野菜室下ケース16及び野菜室上ケース17が設けられている。野菜室下ケース16は、野菜室扉12aのフレーム(図示せず)によって支持されている。野菜室下ケース16の上側には、野菜室上ケース17が載置されている。野菜室扉12aを前方へと引き出すと、野菜室下ケース16及び野菜室上ケース17が野菜室扉12aと一体となって前方へと引き出される。野菜室扉12aを引き出した状態で、野菜室上ケース17だけを後方へスライドすると、野菜室下ケース16だけが引き出された状態となる。野菜室下ケース16だけが引き出された状態では、野菜室下ケース16に食品を出し入れすることができる。野菜室下ケース16は、例えば、キャベツ、白菜、大根等の大物野菜の収納に適している。
【0028】
次に、図2を参照しながら、野菜室上ケース17の構成例について説明する。野菜室上ケース17には、高鮮度保存区画17aと小物野菜保存区画17cとが設けられている。高鮮度保存区画17aは、上面に開口が形成されている。高鮮度保存区画17aの上面には、蓋17bが設けられている。蓋17bは前後に移動可能である。蓋17bを前後に移動させることで、高鮮度保存区画17aの開口を開閉することができる。高鮮度保存区画17aは、蓋17bを閉じることで密閉され、収納された食材からの水分蒸散を抑制できる。高鮮度保存区画17aは、使いかけの野菜、カット野菜20等の切断面から水分が蒸散しやすい食材の保存に適している。小物野菜保存区画17cは、ピーマン、ナス等の小さめの果菜類の収納に適している。
【0029】
野菜室12内は、例えば3℃から7℃程度の冷蔵温度帯に調整される。野菜室12は、内部が冷蔵温度帯に調節される貯蔵室の一例である。そして、高鮮度保存区画17aは、貯蔵室である野菜室12内に区画して設けられた区画収納部の一例である。区画収納部である高鮮度保存区画17aは、貯蔵室である野菜室12内の他の領域と区画部材により区画して設けられている。ここで説明する構成例では、区画部材は、野菜室上ケース17の壁部の一部、小物野菜保存区画17cとの間の仕切り及び蓋17bである。したがって、区画収納部である高鮮度保存区画17aは上面に開口が形成されており、区画部材は区画収納部の開口を開閉する蓋部材である蓋17bを備えている。
【0030】
この実施の形態に係る冷蔵庫本体1は、発光装置15を備えている。図1及び図2に示すように、発光装置15は、野菜室12内部の背面部に取り付けられている。発光装置15は、貯蔵室である野菜室12内の特に高鮮度保存区画17aの内部に光を照射可能である。
【0031】
この実施の形態に係る冷蔵庫本体1は、カメラ14を備えている。カメラ14は、野菜室12内部の背面部に取り付けられている。カメラ14は、貯蔵室である野菜室12内の特に高鮮度保存区画17a内の画像を撮影可能である。
【0032】
冷蔵庫本体1は、制御装置6を備えている。制御装置6は、例えば、図1に示すように、冷蔵庫本体1の背面側の上部に設けられる。制御装置6には、冷蔵庫本体1の動作を制御するための制御回路等が備えられている。制御装置6の各機能は、この制御回路によって実現される。
【0033】
図3は、この実施の形態に係る冷蔵庫本体1の制御系統の要部構成を機能的に示すブロック図である。制御装置6の制御回路には、例えば、プロセッサ6a及びメモリ6bが備えられている。制御装置6は、メモリ6bに記憶されたプログラムをプロセッサ6aが実行することによって予め設定された処理を実行し、冷蔵庫本体1を制御する。
【0034】
プロセッサ6aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ6bには、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0035】
なお、制御装置6の制御回路は、例えば、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置6の制御回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、かつ、当該制御回路にプロセッサ6a及びメモリ6bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される制御回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたもの等が該当する。
【0036】
また、制御装置6は、通信部6cを備えている。通信部6cは、冷蔵庫本体1の制御装置6が外部機器との通信を行うための回路である。冷蔵庫本体1と通信する外部機器としては、例えば、スマートフォン等の携帯端末を挙げることができる。例えば、使用者が携帯端末を操作して冷蔵庫本体1の設定温度の変更を指示したり、庫内状況を確認したりすることができるようにすることが考えられる。
【0037】
操作パネル5は、入力部5a及び報知部5bを備えている。入力部5aは、各貯蔵室の保冷温度等を設定するための操作スイッチ等である。報知部5bは、各貯蔵室の温度等の各種情報を表示する液晶表示部、表示ランプ、スピーカ等である。操作パネル5は、入力部5aと報知部5bの液晶表示部を兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。入力部5aは、使用者による当該入力部5aの操作に応じた信号を制御装置6へ出力する。そして、制御装置6には、操作パネル5の入力部5aからの信号が入力される。また、制御装置6は、操作パネル5の報知部5bに報知制御信号を出力し、報知部5bの動作を制御する。
【0038】
図3では図示を省略しているが、制御装置6には、各貯蔵室の内部の温度を検出するサーミスタから信号が入力される。また、制御装置6には、扉開閉検知センサ13からの信号も入力される。制御装置6は、入力された信号に基づいて、各貯蔵室内が設定された温度に維持されるように、圧縮機2、冷却器3及び送風機4の動作並びに各ダンパの開度等を制御する処理を実行する。なお、図3では、各ダンパの図示を省略している。
【0039】
前述したように、野菜室12には、野菜、果物等が収納される。野菜、果物等に特定波長の光を照射すると、これらの食品に含まれるクロロフィル、ポリフェノール類等が光を吸収して蛍光を発する。野菜、果物等は特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品の例である。そして、前述した区画収納部である高鮮度保存区画17aには、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品が収納される。
【0040】
発光装置15は、高鮮度保存区画17a内の蛍光を発する食品に、前述した特定波長の光を照射する光照射手段である。ここで説明する構成例では、図3に示すように、発光装置15は、複数の光源部として白色LED15a及びUV-LED15bの2種の発光ダイオード(LED)を備えている。複数の光源部であるこれらの発光ダイオードは、互いに異なる波長の光を照射する。また、複数の光源部であるこれらの発光ダイオードは、個別に発光を制御可能である。
【0041】
白色LED15aは、白色光を照射し、カメラ14で野菜室12内に収納された食品の状況を撮影する際に点灯される。UV-LED15bは、一般的にUVA(紫外線A波)と称される波長範囲の光を照射する。UV-LED15bは、315nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する光を照射する。UV-LED15bが照射する光のピーク波長は、望ましくは350nm以上400nm以下である。
【0042】
この実施の形態においては、光照射手段である発光装置15は、光源部としてUV-LED15bを備えることで、前述した特定波長の光として315nm以上410nm以下の範囲にピーク波長を有する光を照射可能である。また、望ましくは、光照射手段である発光装置15は、前述した特定波長の光として350nm以上400nm以下の範囲にピーク波長を有する光を照射する。
【0043】
UV-LED15bが照射する光の光量は、0.1[W/m^2]以上10000[W/m^2]以下である。また、UV-LED15bが照射する光の光量は、望ましくは4[W/m^2]以上500[W/m^2]以下であり、さらに望ましくは10[W/m^2]以上100[W/m^2]以下である。
【0044】
野菜、果物類の食品に前述した特定波長の紫外光を照射すると、野菜等に含まれる成分がこの光を吸収して蛍光を発する。野菜等には、紫外光を受けて蛍光を発する成分が、多種にわたって含まれている。このため、前述した特定波長の紫外光が照射された野菜等から発せられる蛍光は淡く色づくこともあるが、総じて白色光である。カメラ14は、この蛍光の波長の光を含む可視光を感知して画像として出力する。すなわち、この実施の形態におけるカメラ14は、前述した区画収納部である高鮮度保存区画17a内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段である。
【0045】
図4に示すように、制御装置6は、照射制御部61、カメラ制御部62、食品投入判定部63、食品品質判定部64及び報知制御部65を備えている。照射制御部61は、発光装置15の発光動作を制御する。前述したように、照射制御部61は、発光装置15が有する複数の光源部である白色LED15a及びUV-LED15bの発光動作を個別に制御可能である。カメラ制御部62は、カメラ14の撮影動作を制御する。
【0046】
扉開閉検知センサ13により野菜室扉12aが閉じられたことが検知されると、照射制御部61は、白色LED15aを点灯させる。そして、カメラ制御部62は、白色LED15aが点灯されている間にカメラ14により撮影を行わせる。カメラ14による撮影が終了したら、照射制御部61は白色LED15aを消灯させる。
【0047】
食品投入判定部63は、カメラ14により撮影された画像から、高鮮度保存区画17a内に食品が投入されたか否かを判定する。この判定は、例えば、カメラ14が前回に撮影した画像との差分をとることで行われる。また、食品投入判定部63は、高鮮度保存区画17a内に収納された食品が、カット野菜20等の切断面を有する食品であるか否かを判定してもよい。食品における切断面の有無は、例えば、まず当該食品の外形を検出し、外形における平面部分の有無又は平面部分の面積の大小を検出することにより判定できる。
【0048】
食品が高鮮度保存区画17a内に投入されたことが食品投入判定部63により判定されると、照射制御部61は、UV-LED15bを点灯させる。そして、カメラ制御部62は、UV-LED15bが点灯されている間にカメラ14により撮影を行わせる。カメラ14による撮影が終了したら、照射制御部61はUV-LED15bを消灯させる。このようにして、UV-LED15bからの紫外光を受けて発する蛍光が撮影される。
【0049】
食品品質判定部64は、光検出手段であるカメラ14の検出結果に基づいて、区画収納部である高鮮度保存区画17a内の食品の品質を判定する判定部である。ここでいう食品の品質には、食品の鮮度、熟度、劣化、及び、擦過、圧迫等による傷みの有無等が含まれる。
【0050】
食品品質判定部64は、カメラ14により撮影された蛍光に基づいて、食品の品質を判定する。食品が野菜室12内に投入された後、予め設定された一定周期毎にUV-LED15bが点灯され、食品が発する蛍光がカメラ14により撮影される。食品品質判定部64は、例えばこうして一定周期毎に撮影された蛍光の時間変化に基づいて、食品の品質を判定する。
【0051】
例えば、それぞれの食品について最初に撮影された蛍光の状態を初期状態とし、初期状態からの蛍光の変化量が予め設定された基準値以上である場合に、食品品質判定部64は当該食品について劣化しており、「利用限界」であると判定する。野菜等の食品にUV-LED15bから前述した特定波長の紫外光を照射すると、食品に含まれる成分が主に白色の蛍光を発する。そこで、野菜等の食品における蛍光の変化は、光の強度の明度又は強度を定量化した指標を用いて評価できる。具体的に例えば、カメラ14により撮影された画像における、L*a*b*(CIELAB)表色系のL*値の変化量を用いることで蛍光の変化を定量化して評価できる。そして、蛍光の初期状態からの変化量により、擦過傷、切断面等における食品の劣化を判定することができる。
【0052】
野菜を切断したり傷つけたりした場合、直後は切断面等から蛍光がほとんど発せられない。しかし、ある程度時間が経過すると切断面から白っぽく蛍光が発せられるようになる。そして、さらに時間が経過して切断面が乾燥するにつれて蛍光が強くなる。乾燥した切断面は食感も悪く、抗酸化成分が酸化して有用成分としての機能も低減する。このため、野菜の切断面の乾燥が大きく進んでいない段階、すなわち、切断面の蛍光強度が一定以上に強くなる前の段階で使用者に喫食を促すことが望ましい。
【0053】
図5は、プチトマトに傷をつけ、可視光下と紫外光下のそれぞれにおける蛍光の変化を撮影した例である。照射した紫外光は、前述した特定波長の光、すなわちUVA(紫外線A波)である。傷をつけた初日(0日目)には可視光下と紫外光下とで大きな差異は認められない。しかし、保存1日目で可視光下ではほとんど変化が認められない一方、紫外光下では初日には見えなかった白色蛍光が少し見えるようになってくる。そして、保存5日目でも可視光下では色変化がないのに対し、紫外光下では白色蛍光がさらに強くなったことが顕著に確認できる。このようにして、前述した特定波長の光を照射して励起された蛍光により、食品の特に切断面、傷部等の状態を評価できる。
【0054】
報知制御部65は、操作パネル5の報知部5bの動作を制御して、食品品質判定部64による判定結果を報知させる。すなわち、食品品質判定部64により食品の「利用限界」であると判定された場合、報知制御部65は、食品が「利用限界」であり当該食品の利用を促す旨を液晶表示部に表示等して報知させる。ここで、前述したように、食品品質判定部64は、初期状態からの蛍光の変化量が予め設定された基準値以上である場合に食品は「利用限界」であると判定する。したがって、報知制御部65は、光検出手段であるカメラ14により検出された蛍光の変化量が予め設定された基準値以上である場合に報知制御信号を出力する。
【0055】
以上のように構成された冷蔵庫によれば、特定波長の光を吸収して蛍光を発する食品に対して、当該特定波長の光を照射して励起された蛍光を検出し、この検出結果に基づいて、食品の特に切断面、傷部等の状態について評価して、区画収納部内の食品の品質を判定できる。このため、特に切断面を有する野菜、果物等の食品について、外観の目視だけでは判別が困難な食品の状態及び品質について判定でき、ひいては、収納した野菜等の食品の適切な使用を促進し、無駄な廃棄の抑制を図ることができる。
【0056】
次に、以上のように構成された冷蔵庫における食品の品質判定処理の一例について、図6のフロー図を参照しながら説明する。まず、ステップS1で、野菜室扉12aが開き、野菜室12内に食品(例えば野菜)が投入される。続くステップS2で、野菜室扉12aが閉まったことを扉開閉検知センサ13が検知すると、制御装置6は次にステップS3の処理を行う。
【0057】
ステップS3においては、まず、照射制御部61は、発光装置15の白色LED15aを点灯させる。次に、カメラ制御部62は、カメラ14に高鮮度保存区画17a内の画像を撮影させる。そして、カメラ14による撮影が終了すれば、照射制御部61は、発光装置15の白色LED15aを消灯させる。ステップS3の後、制御装置6は、ステップS4の処理を行う。
【0058】
ステップS4においては、食品投入判定部63は、ステップS3でカメラ14が撮影した画像を用いて、高鮮度保存区画17a内に野菜等の食品が新たに投入されたか否かを判定する。特に、食品投入判定部63は、高鮮度保存区画17a内にカット野菜20等の切断面のある食品が投入された否かを判定してもよい。高鮮度保存区画17a内に野菜等の食品が投入されていないと判定された場合、制御装置6は、ステップS10の処理を行う。すなわち、食品の品質判定処理を終了する。一方、高鮮度保存区画17a内に野菜等の食品が投入されたと判定された場合、制御装置6は、次にステップS5の処理を行う。
【0059】
ステップS5においては、ステップS1で食品が投入された直後の初期蛍光fluo-UV_iniを取得し、例えば制御装置6のメモリ6bに記憶する。そのために、まず、照射制御部61は、発光装置15のUV-LED15bを点灯させる。次に、カメラ制御部62は、カメラ14に高鮮度保存区画17a内の画像を撮影させる。カメラ14による撮影が終了すれば、照射制御部61は、発光装置15のUV-LED15bを消灯させる。そして、食品品質判定部64は、カメラ14により撮影された食品画像のL*a*b*表色系におけるL*値を初期蛍光fluo-UV_iniとして取得する。ステップS5の後、制御装置6はステップS6の処理を行う。
【0060】
ステップS6においては、食品品質判定部64は、前回に初期蛍光fluo-UV_ini又は中間蛍光fluo-UV_nを取得してからの経過時間Δtが、予め設定された一定時間Δt_setとなるまで待機する。そして、経過時間ΔtがΔt_setとなれば、制御装置6はステップS7の処理を行う。
【0061】
ステップS7においては、ステップS1で投入された食品の中間蛍光fluo-UV_nを取得する。そのために、ステップS5と同様に、まず、照射制御部61は、発光装置15のUV-LED15bを点灯させる。次に、カメラ制御部62は、カメラ14に高鮮度保存区画17a内の画像を撮影させる。カメラ14による撮影が終了すれば、照射制御部61は、発光装置15のUV-LED15bを消灯させる。そして、食品品質判定部64は、カメラ14により撮影された食品画像のL*a*b*表色系におけるL*値を中間蛍光fluo-UV_nとして取得する。ステップS7の後、制御装置6はステップS8の処理を行う。
【0062】
ステップS8においては、食品品質判定部64は、ステップS9で取得した中間蛍光fluo-UV_nを、基準値と比較する。この処理例では、基準値は、ステップS5で取得した初期蛍光fluo-UV_iniに係数βを乗じた値に、さらに定数αを加えた値に設定される。係数βは、0<β<1を満たす値に予め設定されている。また、定数αは、α>0を満たす値に予め設定されている。そして、中間蛍光fluo-UV_nが、基準値(α+β×fluo-UV_ini)以上でなければ、制御装置6はステップS6に戻って処理を行う。一方、中間蛍光fluo-UV_nが、基準値(α+β×fluo-UV_ini)以上であれば、制御装置6はステップS9の処理を行う。
【0063】
ステップS9においては、食品品質判定部64は、当該食品の品質が「利用限界」であると判定する。そして、報知制御部65は、当該食品が「利用限界」を迎えており、当該食品の利用を促す旨の報知を、操作パネル5の報知部5bに行わせる。ステップS9の処理が完了すると、一連の処理は終了となる。
【0064】
なお、以上においては、区画収納部である高鮮度保存区画17aを野菜室12内に設けた構成例について説明したが、区画収納部を設ける貯蔵室は野菜室12に限られない。冷蔵温度帯に調節される貯蔵室であれば、他に例えば、冷蔵室7内、チルド室8内、切替室9内等に区画収納部を設けてもよい。
【0065】
以上で説明した構成例において、野菜室12、冷蔵室7、チルド室8及び切替室9は、前面又は上面に開口が形成された貯蔵室である。このような貯蔵室内に区画収納部を設けた場合、冷蔵庫の使用者は、区画収納部内の食品の特に後面側及び下面側の状態を視認しにくい。そこで、光照射手段である発光装置15は、区画収納部内の食品の後面及び下面の一方又は両方に特定波長の光を照射するようにするとよい。そして、光検出手段であるカメラ14は、区画収納部内の食品の後面及び下面の一方又は両方から発せられた光を検出するようにするとよい。図1に示す構成例では、図中に破線で示すように、カメラ14は、区画収納部である高鮮度保存区画17aが設けられた野菜室上ケース17の下側から撮影している。
【0066】
また、区画収納部内の食品の後面側及び下面側に発光装置15及びカメラ14を設けた場合、発光装置15は区画収納部内の食品に前述した区画部材越しに光を照射し、カメラ14は区画収納部内の食品を前述した区画部材越しに撮影することになる。そこで、前述した区画部材の少なくとも一部は、可視光及び前述した特定波長の光を透過する性質を有する素材からなるようにするとよい。例えば、野菜室上ケース17における発光装置15及びカメラ14に対向する部分に窓部が設けられる。窓部は、例えば、透明なプラスチック、強化ガラス等の可視光及び前述した特定波長の光を透過する性質を有する素材からなる。発光装置15は、窓部を通して高鮮度保存区画17aの内部に光を照射できる。カメラ14は、窓部を通して高鮮度保存区画17aの内部を撮影できる。高鮮度保存区画17aを区画する区画部材の一部のみでなく全体を可視光及び前述した特定波長の光を透過する性質を有する素材としてもよい。発光装置15及びカメラ14を野菜室12内の複数箇所に設置してもよい。
【0067】
なお、以上において、食品品質判定部64による判定は、カメラ14により撮影された画像の明るさを調整した上で行うとよい。この際、画像の明るさ調整は、カメラ14の露光時間及び絞り値の両方を調整してもよいし、どちらか一方のみを調整してもよい。例えば、撮影時間を短くしたい場合は絞り値のみを小さくするとよい。また、焦点の合う範囲を大きしたい場合は露光時間のみを長くするとよい。
【0068】
また、以上においては、野菜室12内の食品が発する蛍光の波長の光を検出する光検出手段として、カメラ14を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。他に例えば、光検出手段として光センサを用いて、蛍光光量の変化を検出しても同様の効果が得られる。また、他にも、例えば光検出手段として使用者が所持するカメラ付き携帯端末を利用してもよい。カメラ付携帯端末としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末等を挙げることができる。この場合、使用者が所持するカメラ付き携帯端末で野菜室12内を撮影し、通信部6cを介して撮影画像を冷蔵庫に送信する。そして、制御装置6の食品品質判定部64は、通信部6cを介して送信された撮影画像から蛍光光量の変化を検出して食品の品質を判定する。
【0069】
さらに、制御装置6が備えるカメラ制御部62、食品投入判定部63、食品品質判定部64及び報知制御部65の各部の一部又は全部を、冷蔵庫本体1の外部に設けてもよい。このような各部の機能を設ける冷蔵庫本体1の外部として、例えば、スマートフォン等の携帯端末、インターネット上のクラウドサーバ等を挙げることができる。この場合、通信部6c及びインターネット等の電気通信回線を介して、冷蔵庫本体1の制御装置6とこれらの外部との間で必要な信号をやり取りする。また、スマートフォン等の携帯端末を使用する場合、携帯端末に専用のアプリケーションをダウンロード及びインストールして、
カメラ制御部62、食品投入判定部63、食品品質判定部64及び報知制御部65のうちの必要な機能を当該携帯端末で実現できるようにするとよい。
【0070】
また、以上においては、食品品質判定部64は、L*a*b*表色系のL*値を用いて蛍光の強さを評価し、食品の品質を判定した例を示したが、これに限られず他の色空間表色系を用いてもよい。また、例えばL*値の大きさではなく、L*値が一定以上である面積を用いて蛍光の強さを評価してもよい。
【0071】
また、報知制御部65は、食品品質判定部64による判定結果を、いわゆるプッシュ通知により報知させるようにしてもよいし、使用者が野菜室12内の状況を確認する操作を行った際等に受動的に報知させるようにしてもよい。プッシュ通知の条件の例としては、食品品質判定部64による食品品質判定結果が「利用限界」であった場合とすることが挙げられる。さらに、報知制御部65は、通信部6cを介して報知制御信号を外部機器に送信することで、外部機器(例えば、スマートフォン等の携帯端末)から食品品質判定部64による判定結果を報知させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 冷蔵庫本体
2 圧縮機
3 冷却器
4 送風機
5 操作パネル
5a 入力部
5b 報知部
6 制御装置
6a プロセッサ
6b メモリ
6c 通信部
7 冷蔵室
7a 冷蔵室扉
8 チルド室
9 切替室
10 製氷室
11 冷凍室
12 野菜室
12a 野菜室扉
13 扉開閉検知センサ
14 カメラ
15 発光装置
15a 白色LED
15b UV-LED
16 野菜室下ケース
17 野菜室上ケース
17a 高鮮度保存区画
17b 蓋
17c 小物野菜保存区画
18 風路
20 カット野菜
61 照射制御部
62 カメラ制御部
63 食品投入判定部
64 食品品質判定部
65 報知制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6