IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図1
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図2
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図3
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図4
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図5
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図6
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図7
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図8
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図9
  • 特許-フレームの接続構造、及び記録装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】フレームの接続構造、及び記録装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20241106BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241106BHJP
   B41J 29/02 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F16B5/02 K
B41J2/01 301
B41J29/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020216423
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101983
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】木下 政昭
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敦彦
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-035802(JP,A)
【文献】特開2002-185164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00-5/12
B41J 2/01
B41J 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在するメインフレームと、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記メ
インフレームに固定される一対のサイドフレームと、
前記第1方向に延び、一対の前記サイドフレームに支持される被支持部材と、を備え、
前記サイドフレームは、前記第2方向に延在する第1フレーム部と、前記第1フレーム
部から前記第1方向に延出し、前記メインフレームと面接触する第2フレーム部と、を有
し、
前記第2方向からの平面視にて、
前記第1フレーム部には、前記メインフレームに当接する当接部が設けられ、
前記第2フレーム部には、前記第1フレーム部と重なる位置で前記メインフレームに
固定される固定部が設けられ、
前記当接部と前記固定部とは、前記第1方向および前記第2方向と交差する高さ方向
に沿う直線上に位置すること、
を特徴とするフレームの接続構造。
【請求項2】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部から前記第1方向に沿う一方側に延出する
第1延出部と、前記第1延出部から前記第1方向に沿う他方側に延出する第2延出部とを
有すること、
を特徴とする請求項1に記載のフレームの接続構造。
【請求項3】
前記当接部は、前記第1フレーム部に複数設けられ、
前記第2フレーム部は、前記当接部の間から前記第1方向に延出すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレームの接続構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記第2フレーム部に複数設けられること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフレームの接続構造。
【請求項5】
前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部に複数設けられること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフレームの接続構造。
【請求項6】
複数の前記第2フレーム部のうちの少なくとも1つは、前記第1フレーム部から前記第
1方向に沿って延出する向きが、他の第2フレーム部と異なること、
を特徴とする請求項5に記載のフレームの接続構造。
【請求項7】
前記第1フレーム部には、前記固定部と対向する位置に切欠き部が設けられること、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のフレームの接続構造。
【請求項8】
前記第2フレーム部は、曲げ加工によって形成されること、
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のフレームの接続構造。
【請求項9】
第1方向に延在するメインフレームと、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記メ
インフレームに固定される一対のサイドフレームと、
前記第1方向に延び、一対の前記サイドフレームに支持されるガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って移動するキャリッジに搭載され、記録媒体に記録を行う記録ヘ
ッドと、を備え、
前記サイドフレームは、前記第2方向に延在する第1フレーム部と、前記第1フレーム
部から前記第1方向に延出し、前記メインフレームと面接触する第2フレーム部と、を有
し、
前記第2方向からの平面視にて、
前記第1フレーム部には、前記メインフレームに当接する当接部が設けられ、
前記第2フレーム部には、前記第1フレーム部と重なる位置で前記メインフレームに
固定される固定部が設けられ、
前記当接部と前記固定部とは、前記第1方向および前記第2方向と交差する高さ方向
に沿う直線上に位置すること、
を特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームの接続構造、及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体に文字や画像などを記録する記録装置が知られている。このような記録装置は、複数の板金が枠状に接続されたフレームに構成される。例えば、特許文献1の図5には、2枚の板金を直角に締結する場合、一方の板金の上面に、取付部を略L字状に屈曲した板金を、ネジを用いて固定するフレームの接続構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-326719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の図5に示された接続構造は、2枚の板金が直角に交わる位置と離間した位置で固定されているため、装置に落下などによる衝撃が加わった場合に、剛性不足によってフレームが変形する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
フレームの接続構造は、第1方向に延在するメインフレームと、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記メインフレームに固定される一対のサイドフレームと、前記第1方向に延び、一対の前記サイドフレームに支持される被支持部材と、を備え、前記サイドフレームは、前記第2方向に延在する第1フレーム部と、前記第1フレーム部から前記第1方向に延出し、前記メインフレームと面接触する第2フレーム部と、を有し、前記第2方向からの平面視にて、前記第1フレーム部には、前記メインフレームに当接する当接部が設けられ、前記第2フレーム部には、前記第1フレーム部と重なる位置で前記メインフレームに固定される固定部が設けられる。
【0006】
記録装置は、第1方向に延在するメインフレームと、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1方向に所定の間隔を隔てて前記メインフレームに固定される一対のサイドフレームと、前記第1方向に延び、一対の前記サイドフレームに支持されるガイド部材と、前記ガイド部材に沿って移動するキャリッジに搭載され、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、を備え、前記サイドフレームは、前記第2方向に延在する第1フレーム部と、前記第1フレーム部から前記第1方向に延出し、前記メインフレームと面接触する第2フレーム部と、を有し、前記第2方向からの平面視にて、前記第1フレーム部には、前記メインフレームに当接する当接部が設けられ、前記第2フレーム部には、前記第1フレーム部と重なる位置で前記メインフレームに固定される固定部が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る記録装置の構成を示す斜視図。
図2】記録装置のフレームの構成を示す斜視図。
図3】記録装置の内部構成を示す断面図。
図4図2におけるA部を拡大して示す拡大図。
図5】メインフレームとサイドフレームとの接続構造を示す斜視図。
図6】サイドフレームの構成を示す斜視図。
図7】サイドフレームの変形量と改善率とを示す図。
図8】実施形態2に係るサイドフレームの構成を示す斜視図。
図9】実施形態3に係るサイドフレームの構成を示す斜視図。
図10】従来技術によるサイドフレームの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
実施形態1に係わる記録装置の概略構成について図を参照して説明する。図面に付記する座標は、記録装置10が水平な設置面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は、第1方向に対応する記録装置10の左右方向と平行な仮想軸である。Y軸は、第2方向に対応する記録装置10の前後方向と平行な仮想軸である。Z軸は、記録装置10の高さ方向と平行な仮想軸である。X軸、Y軸及びZ軸を表す矢印の先端側を「+側」、基端側を「-側」とする。本実施形態で例示する記録装置10は、ロール状に巻かれた長尺の媒体を繰り出してインクジェット方式で記録を行う大判のプリンターである。大判プリンターとは、A3サイズの短辺幅に相当する297mm以上の幅を有する長尺の媒体に記録を行うことが可能なプリンターである。
【0009】
図1図2及び図3に示すように、記録装置10は、脚部11を介して設置面Sに設置される。記録装置10は、X方向に長い略直方体形状の筐体12を有している。筐体12は、前壁13、後壁14、第1側壁15、第2側壁16、及び上壁17を有している。記録装置10において、ベースフレーム65と上壁17とが対向する方向は、記録装置10の高さ方向である。第1側壁15と第2側壁16とが対向する方向は、記録装置10の左右方向である。前壁13と後壁14とが対向する方向は、記録装置10の前後方向である。筐体12は、脚部11によって支持されるフレーム60に連結される。
【0010】
フレーム60は、メインフレーム61、第1サイドフレーム62、第2サイドフレーム63、サブフレーム64、ベースフレーム65などにより構成される。
メインフレーム61は、X方向に延在し、X軸とZ軸とで形成されるX-Z平面を有する中空の略直方体形状の部材である。メインフレーム61は、フレーム60の上端部において上壁17に沿って配置される。本実施形態のメインフレーム61は、板厚1.2mmの冷間圧延鋼板で構成されている。
【0011】
第1サイドフレーム62及び第2サイドフレーム63は、Y方向に延在し、Y軸とZ軸とで形成されるY-Z平面を有する板状の部材である。第1サイドフレーム62及び第2サイドフレーム63は、X方向に所定の間隔を隔ててメインフレーム61に固定される一対のサイドフレームを構成する。第1サイドフレーム62は、第1側壁15に沿う位置に設けられている。第1サイドフレーム62及び第2サイドフレーム63の上端部には、メインフレーム61が接続される。本実施形態の第1、第2サイドフレーム62,63は、板厚1.2mmの電気亜鉛メッキ鋼板で構成されている。
【0012】
ベースフレーム65は、X方向に延在し、X軸とY軸とで形成されるX-Y平面を有する板状の部材である。ベースフレーム65の上面には、第1サイドフレーム62及び第2サイドフレーム63の下端部が接続されている。ベースフレーム65の下面には、複数の脚部11が接続されている。
サブフレーム64は、第2サイドフレーム63と平行に設けられる板状の部材である。サブフレーム64は、第2サイドフレーム63に対して、第1サイドフレーム62と反対側であって、第2側壁16に沿う位置に設けられている。サブフレーム64の下端部は、ベースフレーム65の上面に接続されている。サブフレーム64の上端部は、X-Y平面を有するフレームを介して第2サイドフレーム63の側面に接続されている。
【0013】
筐体12の内部には、記録媒体22に記録を行う記録ヘッド34を有する記録部30、記録媒体22が円筒状に巻かれたロール体25を収容する収容部20、記録媒体22を搬送する搬送部40、記録媒体22を切断する切断部50が設けられている。
【0014】
筐体12の前壁13には、複数の開口が形成されている。ロール体25を収容するためのロール体収容口27が前壁13下方のベースフレーム65側に形成されている。また、記録済みの記録媒体22を排紙するための排紙口53が、ロール体収容口27の上側に形成されている。
【0015】
収容部20は、一対をなす第1、第2サイドフレーム62,63の間に位置する。収容部20には、長尺の記録媒体22を芯部材23に巻き回して形成された円筒状のロール体25がロール体収容口27から着脱可能に収容される。本実施形態において、収容部20は、X方向に長い2つのロール体25を、Z方向に並べた状態で収容可能に構成されている。ロール体25の両端には、収容部20に対して回転可能に保持する一対の保持部材28が取り付けられている。ロール体25が回転駆動されることにより、ロール体25に巻き回された記録媒体22が筐体12内の後壁14側へと送出される。
【0016】
搬送部40は、ロール体25から送出された記録媒体22を搬送する。搬送部40は、搬送経路形成部41、中間ローラー42、及び搬送ローラー43を有している。
搬送経路形成部41は、2つのロール体25の各々に対応して設けられている。搬送経路形成部41は、収容部20に収容された2つのロール体25の各々に対して後壁14側に位置している。搬送経路形成部41は、ロール体25の回転駆動によってロール体25から送出された記録媒体22を筐体12の後壁14側へと案内する搬送経路44を形成する。
【0017】
中間ローラー42及び搬送ローラー43は、搬送経路44を通過した記録媒体22を記録部30へ搬送する。中間ローラー42及び搬送ローラー43は、X方向に沿う軸を回転軸として回転可能に、第1、第2サイドフレーム62,63に支持される。中間ローラー42及び搬送ローラー43は、駆動ローラーと従動ローラーとで構成され、駆動ローラーと従動ローラーとで記録媒体22を表裏両面から挟んで挟持する。中間ローラー42及び搬送ローラー43の駆動ローラーが回転駆動されることにより、記録媒体22が搬送経路44を通じて支持台31へ搬送されると共に、支持台31上を後壁14側から前壁13側へと搬送される。なお、図3では、2つのロール体25の双方から記録媒体22が送出されている状態を示しているが、実際の記録時は2つのロール体25のいずれか一方から記録媒体22が送出される。
【0018】
記録部30は、支持台31、ガイド部材32、キャリッジ33、及び記録ヘッド34を含んで構成される。
支持台31は、筐体12内でX方向に延びる板状の部材であり、第1、第2サイドフレーム62,63に支持されている。支持台31は、収容部20よりも上壁17側に位置し、搬送部40によって搬送された記録媒体22を支持する。
【0019】
ガイド部材32は、X方向に延びる棒状の部材である。ガイド部材32は、支持台31よりも上壁17側に位置し、キャリッジ33を摺動可能に支持している。ガイド部材32は、ベースフレーム65に沿って設けられている。ガイド部材32は、X方向に延び、一対の第1、第2サイドフレーム62,63に支持される被支持部材の一例である。
【0020】
記録ヘッド34は、ガイド部材32に沿って移動するキャリッジ33に搭載されている。記録ヘッド34は、キャリッジ33に対して支持台31側に位置している。記録ヘッド34は、キャリッジ33と共に、ガイド部材32に沿って往復移動可能に構成されている。記録ヘッド34は、インクを収容したカートリッジ35と図示しない可撓性を有するチューブにより接続されている。カートリッジ35は、第2サイドフレーム63とサブフレーム64との間の位置であって、収容部20よりも上壁17側の位置に収納されている。記録ヘッド34は、X方向に移動しながら支持台31に支持された記録媒体22に対してインクを吐出することにより記録媒体22に対して記録を行う。
【0021】
切断部50は、記録部30よりも前壁13側に位置している。切断部50は、固定刃と固定刃に対して可動する可動刃とを有し、固定刃と可動刃との間に位置する記録媒体22を切断する。切断された記録媒体22は、前壁13に形成された排紙口53へと記録媒体22を案内する排紙口部材51に支持されて、筐体12の外部に排出される。
【0022】
また、記録装置10は、入力部59を有している。入力部59は、筐体12の上壁17の上面に設けられている。入力部59は、上壁17に対して前壁13が接続される部分と上壁17に対して第2側壁16が接続される部分とがなす角部に位置している。入力部59は、例えばタッチパネルを備えた液晶表示装置などによって構成され、各種情報の入力をユーザーが行う際に使用される。
【0023】
次に、メインフレーム61と第2サイドフレーム63との接続構造について説明する。なお、メインフレーム61と第1サイドフレーム62との接続構造は、メインフレーム61と第2サイドフレーム63との接続構造と同じであるので、その説明は省略する。
【0024】
図4から図6に示すように、第2サイドフレーム63は、Y方向に延在する第1フレーム部70と、第1フレーム部70の+Y方向の端面からX方向に延出する第2フレーム部80とを有している。第1フレーム部70は、Y軸とZ軸とで形成されるY-Z平面を有する板状の部材である。第2フレーム部80は、第1フレーム部70を含むY-Z平面を有する板状の部材の一部を曲げ加工することで形成される。第2フレーム部80は、第1フレーム部70に複数設けられている。本実施形態では、第1フレーム部70に、2つの第2フレーム部80が設けられた構成を例示している。2つのうちの一方の第2フレーム部80は、第1フレーム部70の上端側に位置し、他方の第2フレーム部80は、一方の第2フレーム部80から下方に離間した位置に位置する。
【0025】
第2サイドフレーム63を+Y方向から平面視した場合、第1フレーム部70には、メインフレーム61と当接する当接部71が設けられている。当接部71は、メインフレーム61と当接可能な端面であり、第1フレーム部70の+Y側の端面に複数設けられる。第2フレーム部80は、第1フレーム部70の+Y側の端面に設けられた当接部71の間から第1方向に沿う一方側としての-X側に延出する第1延出部81と、第1延出部81の+X側の端面から第1方向に沿う他方側としての+X側に延出する第2延出部82とを有している。
【0026】
第1延出部81は、X軸とZ軸とで形成されるX-Z平面を有するZ方向に長い板状の部材であり、Z方向における長さは、略20mmである。
第2延出部82は、X軸とZ軸とで形成されるX-Z平面を有するZ方向に長い板状の部材であり、第2延出部82のZ方向における長さは、略10mmである。第2延出部82の-X側の端面は、第1延出部81のZ方向における中央部の+X側の端面と接続している。
【0027】
第2フレーム部80のうちの第1延出部81が第1フレーム部70と接続されている。第2フレーム部80における第2延出部82の上方及び下方に間隙を介して隣り合う第1延出部81の+X側の端面が、第1フレーム部70の+Y側の端面と略3mmの接続幅で接続している。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、第1延出部81と第2延出部82とが接続されているものとして説明したが、実際には、板状の部材を曲げ加工することで、一体形成される。
【0028】
本実施形態の第1フレーム部70には、1つの固定部83を備えた第2フレーム部80が2つ接続されている。
第2サイドフレーム63を+Y方向から平面視した場合、第2フレーム部80には、第1フレーム部70と重なる位置でメインフレーム61に固定される固定部83が設けられている。詳しくは、各々の第2フレーム部80には、X方向における第1延出部81と第2延出部82との境界であって、Z方向における第2延出部82の中点に、固定部83が形成される。固定部83は、+Y方向からの平面視にて、第1フレーム部70の板厚と重なり、当接部71と固定部83とがZ方向に沿う直線CL上に並ぶ位置に位置する。本実施形態の固定部83は、雌ねじである。雌ねじは、第2フレーム部80をY方向に貫く貫通孔の内周にねじが切られることで形成されている。
【0029】
図5に示すように、第1フレーム部70及び第2フレーム部80を含む第2サイドフレーム63の上端部は、メインフレーム61の下方から中空のメインフレーム61の内部に挿入される。これにより、第2フレーム部80のX-Z平面の+Y側の側面が、メインフレーム61のX-Z平面の-Y側の内側面と面接触する。メインフレーム61の+Y側の側面には、第2フレーム部80に形成された固定部83と連通する連通孔66が設けられている。メインフレーム61と第2サイドフレーム63とは、連通孔66を介して固定部83の一例としての雌ねじと螺合する雄ねじ84で固定される。図6に示すように、第1フレーム部70には、固定部83と螺合した雄ねじ84の先端が第1フレーム部70と干渉することを防止するために、固定部83と対向する位置に切欠き部72が設けられている。
【0030】
ここで、従来技術による第2サイドフレーム363の構成について説明する。
図10に示すように、第2サイドフレーム363は、Y方向に延在する第1フレーム部370と、第1フレーム部370の+Y方向の端部から-X方向に延出する第2フレーム部380とを有している。第1フレーム部370は、Y-Z平面を有する板状の部材である。第2フレーム部380は、第1フレーム部370を含むY-Z平面を有する板状の部材の一部を曲げ加工することで形成される。第2フレーム部380は、第1フレーム部370に複数設けられている。
【0031】
第2サイドフレーム363を+Y方向から平面視した場合、第1フレーム部370には、メインフレーム61と当接する当接部71が設けられている。当接部71は、メインフレーム61と当接可能な端面であり、第1フレーム部370の+Y側の端面に複数設けられる。
【0032】
第2フレーム部380は、X軸とZ軸とで形成されるX-Z平面を有するZ方向に長い板状の部材であり、第2フレーム部380のZ方向における長さは、略25mmである。
第2フレーム部380の上端部及び下端部における+X側の端面は、第1フレーム部370における当接部71の上方及び下方に間隙を介して隣り合う+Y側の端面と接続している。第2フレーム部380の上端部は、第1フレーム部370と略12mmの接続幅で接続している。第2フレーム部380の下端部は、第1フレーム部370と略3mmの接続幅で接続している。
【0033】
第2サイドフレーム363を+Y方向から平面視した場合、第2フレーム部380には、第1フレーム部370の当接部71と-X方向に離間した位置に固定部83が設けられている。X方向に沿う固定部83と当接部71との離間距離Lは略10mmである。メインフレーム61と第2サイドフレーム363とは、連通孔66を介して固定部83と螺合する雄ねじ84で固定される。
【0034】
メインフレーム61と第2サイドフレーム363とが固定された状態で、例えば、装置の落下などによる衝撃が加わった場合に、第2フレーム部380の剛性不足によってメインフレーム61を含むフレーム60全体が変形することがあった。これは、メインフレーム61と第2サイドフレーム363の第1フレーム部370とが直角に交わる当接部71と離間した位置で固定されているためと考えられる。そこで、発明者らは、上述した第2サイドフレーム63の形状を考案し、その剛性を評価した。
【0035】
図7は、実施形態1で説明した第2サイドフレーム63と従来技術として説明した第2サイドフレーム363とに力Fを加えた時の各々の変形量と、第2サイドフレーム363の変形量に対する第2サイドフレーム63の変形量の改善率とを示している。図7に示す変形量は、固定部83に+Y方向に沿った100Nの力Fを加えた時に生じる固定部83における変形量を、有限要素法によるシミュレーションで求めた結果を示している。
【0036】
シミュレーションの結果、従来技術として説明した第2サイドフレーム363の固定部83における変形量は、0.329mmであった。実施形態1で説明した第2サイドフレーム63の固定部83における変形量は、0.031mmであり、その改善率は90.6%に達した。これにより、実施形態1で説明した第2サイドフレーム63の構成は、従来技術として説明した第2サイドフレーム363の構成と比較して、その剛性を著しく向上できることを確認した。
【0037】
なお、本実施形態では、第1フレーム部70から2つの第2フレーム部80が延出する構成を例示したが、第2フレーム部80の数は、1つでも、3つ以上であってもよい。また、第1サイドフレーム62と第2サイドフレーム63とは、同じ形状であってもよいし、Z軸に関して線対称の形状であってもよい。また、メインフレーム61と第1、第2サイドフレーム62,63との固定方法は、雄ねじ84によるねじ留めの他、リベット留め、スポット溶接などにより固定してもよい。
【0038】
以上述べたように、実施形態1に係るフレームの接続構造、及び記録装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0039】
フレームの接続構造は、X方向に延在するメインフレーム61と、Y方向に延在しメインフレーム61に固定される一対のサイドフレームとを備えている。さらに、一対のサイドフレームを構成する第1、第2サイドフレーム62,63は、Y方向に延在する第1フレーム部70と、第1フレーム部70からX方向に延出してメインフレーム61と面接触する第2フレーム部80とを備えている。メインフレーム61は、Y方向からの平面視にて、第1、第2サイドフレーム62,63の第1フレーム部70に設けられた当接部71とT字状に当接し、第2フレーム部80に設けられた固定部83で固定される。固定部83は、Y方向からの平面視にて第1フレーム部70と重なっている。換言すると、当接部71と固定部83とは、Z方向に沿う直線CL上に並ぶ位置に位置している。これにより、第1、第2サイドフレーム62,63の剛性が向上し、衝撃により生じるフレーム60の変形を抑制することができる。
【0040】
第2フレーム部80は、X方向に沿う一方側に延出する第1延出部81と、他方に延出する第2延出部82とを有している。これにより、Y方向からの平面視にて第1フレーム部70と重なる位置に固定部83を容易に設けることができる。
【0041】
第2フレーム部80は、第1フレーム部70に複数設けられた当接部71の間に設けられている。これにより、衝撃によるフレーム60の変形を抑制する効果を向上することができる。
【0042】
第1フレーム部70には、第2フレーム部80が複数設けられている。これにより、衝撃によるフレーム60の変形を抑制する効果を向上することができる。
【0043】
第1フレーム部70には、固定部83と対向する位置に切欠き部72が設けられている。これにより、例えば、固定部83と螺合する雄ねじ84の先端が第1フレーム部70と干渉し、メインフレーム61と、第1、第2サイドフレーム62,63との固定が不完全となることを抑制することができる。
【0044】
第2フレーム部80は、曲げ加工によって形成されている。これにより、一枚の板金から第1フレーム部70と第2フレーム部80とを容易に構成することができる。
【0045】
記録装置10は、X方向に延在するメインフレーム61と、Y方向に延在しメインフレーム61に固定される一対のサイドフレームを構成する第1、第2サイドフレーム62,63と、第1、第2サイドフレーム62,63に支持されるガイド部材32と、ガイド部材32に沿ってキャリッジ33と共に移動し記録を行う記録ヘッド34とを備えている。さらに、第1、第2サイドフレーム62,63は、Y方向に延在する第1フレーム部70と、第1フレーム部70からX方向に延出してメインフレーム61と面接触する第2フレーム部80とを備えている。メインフレーム61は、Y方向からの平面視にて、第1、第2サイドフレーム62,63の第1フレーム部70に設けられた当接部71とT字状に当接し、第2フレーム部80に設けられた固定部83で固定される。固定部83は、Y方向からの平面視にて第1フレーム部70と重なっている。換言すると、当接部71と固定部83とは、Z方向に沿う直線CL上に並ぶ位置に位置している。これにより、第1、第2サイドフレーム62,63の剛性が向上し、衝撃により生じるフレーム60の変形を抑制した記録装置10を提供することができる。
【0046】
2.実施形態2
実施形態2に係わる第2サイドフレームの概略構成について説明する。本実施形態の第2サイドフレーム163は、複数の固定部83が設けられた第2フレーム部180を有する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、第2サイドフレーム163は、Y方向に延在する第1フレーム部170と、第1フレーム部170の+Y方向の端部からX方向に延出する第2フレーム部180とを有している。第1フレーム部170は、Y-Z平面を有する板状の部材である。第2フレーム部180は、第1フレーム部170を含むY-Z平面を有する板状の部材の一部を曲げ加工することで形成される。第1フレーム部170には、1つの第2フレーム部180が設けられる。
【0048】
第2サイドフレーム163を+Y方向から平面視した場合、第1フレーム部170には、メインフレーム61と当接する当接部71が設けられている。当接部71は、第1フレーム部170の+Y側の端面に複数設けられる。第2フレーム部180は、第1フレーム部170の+Y側の端面に設けられた当接部71の間から-X側に延出する第1延出部181と、第1延出部181の+X側の端部から+X側に延出する第2延出部82とを有している。第2延出部82は、第1延出部181に対して複数設けられている。本実施形態では、第1延出部181に、上下方向に離間した2つの第2延出部82が設けられた構成を例示している。
【0049】
第1延出部181は、X軸とZ軸とで形成されるX-Z平面を有するZ方向に長い板状の部材であり、Z方向における長さは、略62mmである。2つの第2延出部82のうちの一方は、第1延出部181の上端側に位置し、他方は第1延出部181の下端側に位置する。
【0050】
第2フレーム部180のうちの第1延出部181が第1フレーム部170と接続されている。第2フレーム部180における各々の第2延出部82の上方及び下方に間隙を介して隣り合う第1延出部181の+X側の端面が、第1フレーム部170の+Y側の端面と略3mmの接続幅で接続している。なお、本実施形態では、説明の便宜上、第1延出部181と第2延出部82とが接続されているものと説明したが、実際には、板状部材を曲げ加工することで、一体形成される。
【0051】
第1フレーム部170には、複数の固定部83を備えた第2フレーム部180が1つ接続されている。本実施形態の第2フレーム部180は、2つの固定部83を備える。
第2サイドフレーム163を+Y方向から平面視した場合、第2フレーム部180には、第1フレーム部170と重なる位置でメインフレーム61に固定される固定部83が設けられている。詳しくは、第2フレーム部180には、X方向における第1延出部181と第2延出部82との境界であって、Z方向における各々の第2延出部82の中点に、固定部83が形成されている。固定部83は、+Y方向からの平面視にて、第1フレーム部170の板厚と重なり、当接部71と固定部83とがZ方向に沿う直線CL上に並ぶ位置に位置する。
【0052】
実施形態1と同様に、第2サイドフレーム163の固定部83に、+Y方向に沿った100Nの力Fを加えた時に生じる固定部83における変形量を、シミュレーションで求めた。その結果、第2サイドフレーム163の固定部83における変形量は、0.024mmであり、その改善率は、92.7%に達した。これにより、実施形態2で説明した第2サイドフレーム163の構成は、実施形態1で説明した第2サイドフレーム63よりも、さらに高い剛性を有することを確認した。
【0053】
なお、本実施形態では、2つの固定部83を備えた第2サイドフレーム163の構成を例示したが、3つ以上の固定部83を備えた第2サイドフレームであってもよい。
【0054】
以上述べたように、実施形態2に係るフレームの接続構造によれば、以下の効果を得ることができる。
【0055】
第2フレーム部180には、複数の固定部83が設けられている。これにより、衝撃によるフレーム60の変形を抑制する効果を向上することができる。
【0056】
3.実施形態3
実施形態3に係わる第2サイドフレーム263の概略構成について説明する。本実施形態の第2サイドフレーム263は、延出する向きが異なる複数の第2フレーム部80,280を有する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0057】
図9に示すように、第2サイドフレーム263は、第1フレーム部70と、第1フレーム部70の+Y方向の端部からX方向に延出する第2フレーム部80,280とを有している。すなわち、第1フレーム部70には、複数の第2フレーム部80,280が設けられている。第2フレーム部80,280は、第1フレーム部70を含むY-Z平面を有する板状の部材の一部を曲げ加工することで形成される。第2フレーム部80は、第1フレーム部70の上端側に位置し、第2フレーム部280は、第2フレーム部80から下方に離間した位置に位置する。
【0058】
複数の第2フレーム部80,280のうちの少なくとも1つは、第1フレーム部70からX方向に沿って延出する向きが、他の第2フレーム部と異なっている。詳しくは、第2フレーム部280は、第1フレーム部70の+Y側の端面に設けられた当接部71の間から+X側に延出する第1延出部281と、第1延出部281の-X側の端面から-X側に延出する第2延出部282とを有している。すなわち、第2フレーム部280は、第1フレーム部70から延出する向きが、第2フレーム部80と異なっている。換言すると、第2フレーム部280は、第2フレーム部80とZ方向に沿う直線CLに関して線対称に構成されている。
【0059】
以上述べたように、実施形態3に係るフレームの接続構造によれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
第1フレーム部70には、複数の第2フレーム部80,280が設けられ、複数の第2フレーム部80,280のうちの少なくとも1つは、第1フレーム部70からX方向に沿って延出する向きが、他の第2フレーム部と異なっている。このように、第1フレーム部70から延出する第2フレーム部80と、第2フレーム部280との向きを異ならせることにより、フレーム60の変形を抑制する効果を向上することができる。
【符号の説明】
【0061】
10…記録装置、22…記録媒体、30…記録部、32…ガイド部材、33…キャリッジ、34…記録ヘッド、60…フレーム、61…メインフレーム、62…第1サイドフレーム、63,163,263,363…第2サイドフレーム、70,170,370…第1フレーム部、71…当接部、72…切欠き部、80,180,280,380…第2フレーム部、81,181,281…第1延出部、82,282…第2延出部、83…固定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10