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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20241106BHJP
   F16C 35/067 20060101ALI20241106BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20241106BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20241106BHJP
【FI】
H02K5/22
F16C35/067
F16C19/06
H02K11/215
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020218343
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103606
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
(72)【発明者】
【氏名】梶田 国博
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/208076(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/030480(WO,A1)
【文献】特開2020-167920(JP,A)
【文献】特開2012-114997(JP,A)
【文献】国際公開第2016/166796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C19/00-19/56
33/30-33/66
35/00-39/06
43/00-43/08
H02K5/00-5/26
11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転するロータおよび前記ロータと径方向に対向するステータを有するモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に位置し前記ステータの引出線が接続される制御基板と、
軸方向において前記モータ部と前記制御基板との間に位置し前記ロータの回転角を検出するセンサ基板と、
前記センサ基板を保持する基板保持部および前記ステータと前記制御基板との間で前記引出線を保持するコイルサポート部を有する、センサ基板保持具と、を備え、
前記センサ基板保持具は、軸方向他方側に突出する突起部を有し、
前記突起部は、前記ステータと前記コイルサポート部との間で前記中心軸線と直交する面に沿って延びる前記引出線をガイドする、モータ。
【請求項2】
前記引出線と前記制御基板とは、直接接続される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記コイルサポート部は、前記基板保持部に対して径方向外側に配置される、
請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータは、軸方向一方側の端部にセンサマグネットを有し、
前記センサマグネットは、前記センサ基板の回転センサに対向して設けられ、
前記基板保持部は、前記回転センサが内側に配置されるセンサ収容部を有する、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記センサ収容部は、前記回転センサと前記センサマグネットとの間において、軸方向に貫通する開口である、
請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記センサ基板保持具は、軸方向に貫通するコイル窓部を有し、
前記コイル窓部は、軸方向から見て前記ステータと前記コイルサポート部との間で前記中心軸線と直交する面に沿って延びる前記引出線と重なる、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記コイルサポート部は、軸方向に貫通する開口部を有し、
前記開口部には、前記引出線が挿入される、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記開口部の軸方向他方側の開口端は、軸方向他方側に向かうに従い内径を大きくするテーパ状である、
請求項に記載のモータ。
【請求項9】
前記センサ基板保持具は、前記センサ基板と前記制御基板とを接続する端子を支持する端子支持部を有する、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記ロータを回転可能に支持するベアリングと、
前記ベアリングを保持するベアリングホルダと、を備え、
前記センサ基板保持具は、前記ベアリングホルダに支持される、
請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ部に制御部が一体化されている機電一体型のモータの採用が進んでいる。特許文献1には、複数の回路基板がモータ部の軸方向一方側に配置された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-75872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板を複数枚搭載するモータでは、基板同士の接続部など部品点数の増大の虞があった。
【0005】
本発明の一実施態様によれば、部品点数の低減を図るモータが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸線を中心として回転するロータおよびロータと径方向に対向するステータを有するモータ部と、モータ部の軸方向一方側に位置しステータの引出線が接続される制御基板と、軸方向においてモータ部と制御基板との間に位置しロータの回転角を検出するセンサ基板と、センサ基板を保持する基板保持部およびステータと制御基板との間で引出線を保持するコイルサポート部を有する、センサ基板保持具と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、部品点数の低減を図るモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のポンプ装置の断面図である。
図2図2は、一実施形態のセンサ基板保持具の斜視図である。
図3図3は、一実施形態のポンプ装置の部分分解上面図である。
図4図4は、一実施形態のセンサ基板保持具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータ10について説明する。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、後段に説明する中心軸線Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0010】
以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」又は「軸方向一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下側」又は「軸方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる方向であって、モータ10およびポンプ装置1の使用時の姿勢を限定するものではない。また、特に断りのない限り、中心軸線Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸線Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0011】
<ポンプ装置>
図1は、ポンプ装置1の断面図である。本実施形態のポンプ装置1は、水、オイルなどの流体を吸入して、吐出する。ポンプ装置1は、例えば、流体を流路に循環させる機能を有する。ポンプ装置1は、例えば車両の駆動装置に搭載される。
【0012】
図1に示すように、ポンプ装置1は、モータ10と、モータ10に接続されモータ10によって駆動されるポンプ機構90と、を備える。
【0013】
<モータ>
モータ10は、ハウジング11と、モータ部20と、制御基板40と、センサ基板15と、センサ基板保持具60と、ベアリングホルダ85と、コネクタ80と、を備える。
【0014】
<ハウジング>
ハウジング11は、ハウジング本体12と、カバー13と、を有する。すなわち、モータ10は、ハウジング本体12と、カバー13と、を備える。ハウジング本体12は、モータ部20を収容する。カバー13は、ハウジング本体12の上側の端部に締結される。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。ハウジング11は、モータ部20、制御基板40、センサ基板15、センサ基板保持具60、およびベアリングホルダ85を収容する。
【0015】
ハウジング本体12は、収容筒部12aと、底壁部12eと、を有する。収容筒部12aは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態の収容筒部12aは、中心軸線Jを中心とする円筒状である。収容筒部12aの内部には、モータ部20を収容するモータ部収容空間Cと、センサ基板15および制御基板40を収容する制御部収容空間Dと、が設けられる。すなわち、筒状のハウジング本体12に、モータ部20を収容するモータ部収容空間Cが設けられている。収容筒部12aは、上側に開口する。収容筒部12aの上側の開口は、カバー13に覆われる。底壁部12eは、収容筒部12aの下端部に位置する。底壁部12eは、モータ部収容空間Cを下側から覆う。底壁部12eには、ベアリング保持部12dが設けられる。ベアリング保持部12dは、モータ部20の第2ベアリング37を保持する。
【0016】
カバー13は、主に、中心軸線Jと直交する方向に沿って延びる板状である。カバー13は、ハウジング本体12の上側の開口を塞ぐ。また、カバー13は、制御基板40を上側から覆う。カバー13には、上下方向に貫通する開口部13aが設けられる。開口部13aには、コネクタ80が配置される。
【0017】
<モータ部>
モータ部20は、中心軸線Jを中心として回転するロータ21と、ロータ21に径方向に対向するステータ26と、第1ベアリング36と、第2ベアリング37と、を有する。すなわち、モータ10は、第1ベアリング36を備える。モータ部20は、例えば三相交流モータである。
【0018】
ロータ21は、シャフト22と、ロータコア23と、マグネット24とを有する。すなわち、モータ部20は、中心軸線Jを中心として回転するシャフト22を有する。ロータ21は、シャフト22の下端部において、ポンプ機構90に接続され、ポンプ機構90に動力を伝える。
【0019】
シャフト22は、中心軸線Jを中心として上下方向に延びる。シャフト22は、第1ベアリング36および第2ベアリング37によって回転可能に支持される。第1ベアリング36は、ロータコア23の上側に位置し、第2ベアリング37は、ロータコア23の下側に位置する。すなわち、第1ベアリング36はシャフト22の軸方向一方側の端部を支持し、第2ベアリング37はシャフト22の軸方向他方側の端部を支持する。
【0020】
シャフト22の下端部には、シール軸部22dと連結軸部22eとが設けられる。シール軸部22dは、第2ベアリング37の下側に位置する。シール軸部22dの外周面には、シール部材32が配置される。シール部材32は、ポンプ機構90側とモータ部収容空間Cとの間を封止する。連結軸部22eは、シール軸部22dの下側に位置する。連結軸部22eは、ポンプ機構90の駆動部90aに連結される。
【0021】
シャフト22の上端部には、固定部材22hを介してセンサマグネット21mが取り付けられる。すなわち、シャフト22は、軸方向一方側の端部にセンサマグネット21mを有する。センサマグネット21mは、円環状である。センサマグネット21mは、周方向に交互に着磁された永久磁石である。センサマグネット21mは、ロータ21とともに中心軸線J周りを回転する。
【0022】
ロータコア23は、シャフト22の外周面に固定される。ロータコア23は、中心軸線Jを中心として周方向に延びる環状である。マグネット24は、ロータコア23に固定される。マグネット24は、複数設けられる。複数のマグネット24は、中心軸線J周りに等間隔に並ぶ。
【0023】
ステータ26は、ロータ21の径方向外側に配置される。ステータ26は、ステータコア27と、複数のインシュレータ28と、複数のコイル29と、を有する。
【0024】
ステータコア27は、中心軸線Jを中心とする円環状のコアバック部27aと、コアバック部27aの内周端から径方向内側へ延びる複数のティース部27bとを有する。複数のティース部27bは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。ティース部27bの径方向内側面は、マグネット24の径方向外側面に、径方向外側から隙間をあけて対向する。
【0025】
コイル29は、多層に巻き回されたコイル線からなる。複数のコイル29は、それぞれインシュレータ28を介してティース部27bに装着される。コイル線の端部は、引出線29aとして、ステータ26の上側に引き出される。引出線29aは、制御基板40に接続される。コイル29には、制御基板40から交流電流が供給される。
【0026】
<ベアリングホルダ>
ベアリングホルダ85は、モータ部20の上側に位置する。ベアリングホルダ85は、モータ部収容空間Cを上側から覆う。図1に示すように、ベアリングホルダ85は、ハウジング11の内部において、モータ部収容空間Cと制御部収容空間Dとの境界部に配置される。ベアリングホルダ85は、第1ベアリング36を保持する。本実施形態では、ベアリングホルダ85は、金属製の部材であり、好ましくは板金加工により製造される。
【0027】
ベアリングホルダ85は、筒状部86と、フランジ部87と、複数の脚部88と、を有する。筒状部86は、第1ベアリング36を保持する。筒状部86は、中心軸線Jを中心として配置される。複数の脚部88は、筒状部86から径方向外側に延びる。フランジ部87は、複数の脚部88同士の間に設けられる。フランジ部87は、筒状部86から径方向外側に延びる。
【0028】
ベアリングホルダ85には、上下方向に貫通する中央孔85hが設けられる。中央孔85hは、中心軸線Jを中心とする円形である。中央孔85hには、シャフト22の上端部が通される。
【0029】
脚部88は、センサ保持部88aと、折曲部88bと、固定部88cと、を有する。すなわち、ベアリングホルダ85は、センサ保持部88aを有する。センサ保持部88aと、折曲部88bと、固定部88cと、は、径方向内側から外側に向かってこの順で並ぶ。
【0030】
図1に示すように、センサ保持部88aは、センサ基板15を保持する。より詳細には、センサ基板15を保持するセンサ基板保持具60が、センサ保持部88a上に載置される。本実施形態においては、センサ保持部88aにはそれぞれ1つの貫通孔88iが設けられる。一方で、センサ基板15を保持するセンサ基板保持具60には、下側に延びる固定ピン60aが設けられる。固定ピン60aは、貫通孔88iに挿入されて先端を熱カシメされる。センサ基板保持具60は、ベアリングホルダ85に固定されている。これにより、センサ基板15は、センサ保持部88aの上方に固定される。また、センサ基板15の下面に実装された回転センサ15bは、テーパ筒部86dの径方向内側において、センサマグネット21mと対向して配置される。
【0031】
脚部88は、折曲部88bにおいて段差状に折り曲げて成形される。折曲部88bは、周方向に沿って延びる。このため、センサ保持部88aと固定部88cとは、配置される高さが互いに異なる。固定部88cは、センサ保持部88aより上側に配置される。
【0032】
固定部88cは、脚部88の先端に設けられる。すなわち、ベアリングホルダ85は、固定部88cを有する。脚部88は、固定部88cにおいてハウジング本体12にネジ固定される。固定部88cには、固定ネジ89を通過させる貫通孔が設けられる。固定部88cは、軸方向から見てハウジング本体12の収容筒部12aと重なる。
【0033】
<制御基板>
制御基板40は、モータ部20、ベアリングホルダ85、およびセンサ基板15の上側に配置される。すなわち、モータ10は、モータ10の軸方向一方側に制御基板を備える。制御基板40は、固定ネジ89によってハウジング本体12に固定される。
【0034】
制御基板40には、ステータ26のコイル29から延び出る引出線29aが接続される。これにより、制御基板40は、モータ部20に電気的に接続される。制御基板40は、外部電源から供給される電力を、モータ部20のステータ26に供給する。制御基板40は、センサ基板15から受信したロータ21の回転角の情報を基に、モータ部20に供給する電流を制御する。
【0035】
制御基板40は、基板本体41と、基板本体41に実装される複数の素子と、を有する。基板本体41は、平面視で多角形状である。基板本体41は、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。複数の素子は、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)、プリドライバおよび低損失型リニアレギュレータ(Low Drop-Out regulator,LDO)、コンデンサなどである。
【0036】
<センサ基板>
センサ基板15は、ベアリングホルダ85の上側に位置する。本実施形態においては、センサ基板15は、後述のセンサ基板保持具60を介してベアリングホルダ85に、固定される。センサ基板15は、センサ基板本体15aと、回転センサ15bと、被固定部15c(図3参照)と、を有する。
【0037】
センサ基板本体15aは、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。回転センサ15bは、センサ基板本体15aの下面に実装される。回転センサ15bは、中心軸線J上に配置される。すなわち、回転センサ15bは、センサマグネット21mの直上に対向するように配置される。回転センサ15bは、ロータ21の回転角を検出する。すなわち、回転センサ15bは、モータ10の回転を検出する。センサ基板15は、後述する端子66aを介して、制御基板40に接続される。
【0038】
図3に示すように、センサ基板本体15aは、被固定部15cを有する。センサ基板本体15aは、被固定部15cを介してセンサ基板保持具60に固定される。本実施形態では、被固定部15cは、切欠部および貫通孔である。
【0039】
<センサ基板保持具>
図1に示すように、センサ基板保持具60は、軸方向においてベアリングホルダ85とセンサ基板15との間に位置する。センサ基板保持具60は、制御部収容空間Dに配置される。センサ基板保持具60は、基板保持部61と、コイルサポート部62と、を有する。センサ基板保持具60は、センサ基板15を保持する。センサ基板保持具60は、ベアリングホルダ85に固定されている。センサ基板保持具60は、例えば樹脂からなる部材である。
【0040】
本実施形態によれば、センサ基板保持具60は、センサ基板15を保持する基板保持部61およびステータ26と制御基板40との間で引出線29aを保持するコイルサポート部62を有する。この構成においては、センサ基板保持具60に2つの機能をもたせることで、配置を簡素化しつつ部品点数を少なくすることができる。また、引出線29aを接続対象に対して垂直に固定することができ、引出線29aと接続対象との固定を容易にする。
【0041】
センサ基板保持具60は、固定ピン60aを有する。本実施形態では、センサ基板保持具60は、基板保持部61に固定ピン60aを有する。また、本実施形態においては、固定ピン60aは、基板保持部61の下面から下側に延びる。固定ピン60aは、ベアリングホルダ85の貫通孔88iに挿入されて先端を熱カシメされる。センサ基板保持具60は、ベアリングホルダ85の上側に載置され、固定されている。本実施形態によれば、センサ基板保持具60がベアリングホルダ85に支持される構成により、ハウジング本体12に直接支持される場合よりも径方向に小型化できる。
【0042】
センサ基板保持具60には、外縁から径方向外側に延びる切欠部60bが設けられる。また、ベアリングホルダ85のフランジ部87には、切欠部60bと周方向の同じ位置に、同じ形状の切欠部87aが、軸方向に見て重なるように設けられている。切欠部60bおよび87aは、組み立て工程において治具などを挿入することで、周方向の位置決めを容易にすることができる。
【0043】
図3に示すように、基板保持部61は、センサ基板15を保持する。基板保持部61は、基板固定ピン61aを有する。センサ基板本体15aは、被固定部15cを有する。本実施形態では、被固定部15cは、基板固定ピン61aを収容する切欠部および貫通孔を含む。基板固定ピン61aは、基板保持部61の上面から上側に延びる。基板固定ピン61aと被固定部15cとは、軸方向から見て同位置にかつ複数配置される。基板固定ピン61aは、被固定部15cに挿入されて先端を熱カシメされる。センサ基板15は、センサ基板保持具60の上側に載置され、固定されている。センサ基板15とセンサ基板保持具60とを固定できるならば、一部の基板固定ピン61aは先端を熱カシメされなくてもよい。
【0044】
図2に示すように、基板保持部61は、回転センサ15bが内側に配置されるセンサ収容部61bを有する。センサ収容部61bは、センサ基板本体15aの下側に設けられた回転センサ15bとセンサ基板保持具60との接触を、軸方向下側に回避する凹部または径方向外側に回避する開口である。これにより、センサマグネット21mと対向して配置される回転センサ15bを、よりセンサマグネット21mに近づけることができる。本実施形態では、センサ収容部61bは、基板保持部61に設けられた開口である。また、センサ収容部61bは、回転センサ15bの外形に沿う必要はなく、より大きな凹部または開口であってもよい。センサ収容部61bが開口である場合、回転センサ15bを、よりセンサマグネット21mに近づけることができる。さらに、回転センサ15bとセンサマグネット21mとの間に介在物が無い構成とすることができるため、回転センサ15bは、より精度よくロータ21の回転角の検出を行うことができる。
【0045】
コイルサポート部62は、ステータ26と制御基板40との間で引出線29aを保持する。コイルサポート部62は、基板保持部61に対して径方向外側に配置される。この構成により、制御基板40における引出線29aとの接続部分が制御基板40の外縁部にある場合にも、コイルサポート部62を制御基板40の接続部分の直下に配置することができる。コイルサポート部62は、軸方向に貫通する開口部62aを有する。本実施形態では、開口部62aは、貫通孔である。開口部62aは、本実施形態のように連結された複数の円筒部材62bによって外周を囲まれた貫通孔であってもよいが、引出線29aを保持することができるならば、その形状は貫通孔に限定されず、例えば外周が周方向に一部切り取られた形状であってもよい。さらに、引出線29aを保持することができる範囲で、開口部62aを囲む部材の形状は限定されない。
【0046】
ここで、引出線29aは、ステータ26の上側に引き出されたコイル29の端部である。図3に示すように、引出線29aは、中心軸線Jと直交する面に沿って、ステータ26よりも径方向外側に延びる。図4に示すように、径方向外側に延びた引出線29aは、開口部62aのステータ26側の開口端62cから、開口部62aに挿入される。続いて、引出線29aは、開口部62aの制御基板40側の開口端62dから引き出され、基板本体41に対して電気的に接続される。ここではステータ26側から制御基板40側へと引出線29aを配線するように記載したが、引出線29aおよびコイル29の配線順を限定するものではない。
【0047】
本実施形態では、開口部62aの制御基板40側の開口端62dから引き出された引出線29aは、基板本体41に対して直接接続される。バスバーを有しない構成とすることによって、配置を簡素化しつつより部品点数を少なくすることができる。しかしながら、本実施形態に限定されず、引出線29aは、基板本体41に対してバスバーを介して間接的に接続されていてもよい。
【0048】
開口部62aは、開口部62aの開口端のうち少なくとも制御基板40側の開口端62dにおいて、制御基板40の基板本体41に対して垂直となるように設けられる。本実施形態では、開口部62aは、基板本体41に対して垂直となるように設けられる。すなわち、開口部62aの軸方向は、中心軸線Jと同一方向である。これにより、制御基板に対して垂直に引出線を固定することができる。特に、本実施形態のようなバスバーを有しない構成とする場合に、より効果的である。
【0049】
また、本実施形態では、開口部62aのステータ26側の開口端62cは、開口側に向かうに従い内径を大きくするテーパ状である。すなわち、開口部62aの軸方向他方側の開口端62cは、軸方向他方側に向かうに従い内径を大きくするテーパ状である。開口端62cの径を大きくしテーパ状にすることによって、開口部62aの引出線29a保持能力を維持しつつ、より容易に引出線29aを挿入することができる。
【0050】
また、本実施形態では、開口部62aの制御基板40側の開口端62dは、開口部62aの最小径よりも径が大きい。開口部62aの最小径とは、引出線29aを保持するために適切な径である。この構成により、制御基板40側の開口端62dにおける引出線29aに対する摩擦を低減することができる。したがって、開口部62aの引出線29a保持能力を維持しつつ、より容易に引出線29aを挿入することができる。
【0051】
また、センサ基板保持具60は、軸方向に貫通するコイル窓部63を有する。本実施形態では、コイルサポート部62は、基板保持部61と開口部62aとの間に、連結部64を有する。また、本実施形態では、コイル窓部63は、連結部64に設けられる。連結部64は、複数の梁部64aを有する。コイル窓部63は、少なくとも三方を囲まれている。図2に示すように、本実施形態では、センサ基板保持具60は、第1コイル窓部63aと、第2コイル窓部63bと、第3コイル窓部63cと、を有する。第1コイル窓部63aは、基板保持部61と、連結された複数の円筒部材62bと、梁部64aと、によって三方を囲まれている。さらに、本実施形態では、一部のコイル窓部63は、四方を囲まれている。これにより、連結部64の剛性を大きくできる。第2コイル窓部63bおよび第3コイル窓部63cは、基板保持部61と、連結された複数の円筒部材62bと、2つの梁部64aと、によって四方を囲まれている。コイル窓部63は、軸方向から見てステータ26とコイルサポート部62との間で中心軸線Jと直交する面に沿って延びる引出線29aと重なる。これにより、組み立て時にコイル窓部63を通して引出線29aの状態を視認できる。
【0052】
また、センサ基板保持具60は、軸方向他方側に突出する突起部65を有する。本実施形態では、突起部65は、連結部64に複数設けられる。図3に示すように、突起部65は、ステータ26とコイルサポート部62との間で中心軸線Jと直交する面に沿って延びる引出線29aをガイドする。図4に示すように、本実施形態では、突起部65は、引出線29aを主に周方向に支える柱部65aと、引出線29aを主に軸方向に支える台部65bと、を有する。柱部65aは、円錐台状の部材であり、台部65bは、板状の部材である。引出線29aの少なくとも一部は、柱部65a同士の間に配置される。また、引出線29aの少なくとも一部は、台部65bの下側に配置される。引出線29aは、柱部65aによって互いの干渉を低減されつつ、ステータ26から開口部62aまでガイドされる。また、引出線29aは、台部65bによってコイルサポート部の下方に配線される。これにより、引出線29aを、開口端62cの近傍で大きく曲げることなく配線することができる。突起部65は、引出線29a同士の干渉を低減でき、さらに、引出線29aをセンサ基板15やベアリングホルダ85と干渉しないよう配線することができる。これにより、バスバーによる電気的接続方法を採用せずに、コイル29と制御基板40とを電気的に接続することができる。すなわち、より部品点数を少なくすることができる。また、突起部65の形態はこれに限られない。柱部65aが引出線29aを軸方向に支える機能を有していてもよく、同様に、台部65bが引出線29aを周方向に支える機能を有していてもよい。突起部65は、例えば、壁と底を有するL字部材であってもよく、柱部65aおよび台部65bを有する本実施形態と同様の効果を得られる。また、本実施形態では、突起部65は連結部64に複数設けられるが、これに限られない。突起部65は、例えば、基板保持部61に設けられていてもよい。
【0053】
また、センサ基板保持具60は、端子66aを支持する端子支持部66を有する。端子66aは、センサ基板15と制御基板40とを接続する。本実施形態では、端子支持部66は、端子66aが埋め込まれた状態で成型されている。これにより、センサ基板15と制御基板40との配線を端子66aに置き換えることができ、配置を簡素化しつつ部品点数を少なくすることができる。なお、端子支持部66は、センサ基板保持具60の他の部分の一部として設けられていてもよく、例えば、基板保持部61や連結部64が、端子を保持する機能を有していてもよい。
【0054】
<コネクタ>
コネクタ80は、制御基板40の上側に配置され、制御基板40に接続される。軸方向から見て、コネクタ80の少なくとも一部は、制御基板40と重なる。コネクタ80は、カバー13の開口部13aを介してハウジング11の内外に配置される。すなわち、コネクタ80の一部は、ハウジング11の外部に露出する。コネクタ80には、外部装置から延びる複数の電源線および複数の信号線が接続される。
【0055】
<ポンプ機構>
ポンプ機構90は、駆動部90aと、ポンプカバー95と、を備える。駆動部90aは、モータ部20の下側に配置される。駆動部90aは、シャフト22の連結軸部22eに連結される。駆動部90aは、モータ部20の動力により駆動され、流体を吸引および吐出する。駆動部90aの構造としては、トロコイドポンプ構造、ベーンポンプ構造等が例示される。ポンプカバー95は、ハウジング本体12の下側に固定される。ポンプカバー95は、駆動部90aを下側から覆う。
【0056】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、本実施形態では、モータ10がポンプ機構90に接続されたポンプ装置1が記載されているが、本発明の形態はポンプ装置に限られない。
【符号の説明】
【0057】
10…モータ、15…センサ基板、15b…回転センサ、20…モータ部、21…ロータ、21m…センサマグネット、26…ステータ、29a…引出線、36…第1ベアリング、40…制御基板、60…センサ基板保持具、61…基板保持部、61b…センサ収容部、62…コイルサポート部、62a…開口部、62c…開口端、63…コイル窓部、65…突起部、66…端子支持部、66a…端子、85…ベアリングホルダ、J…中心軸線
図1
図2
図3
図4