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特許7581889クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器
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  • 特許-クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器 図1
  • 特許-クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器 図2
  • 特許-クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器 図3
  • 特許-クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器 図4
  • 特許-クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】クッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/04 20060101AFI20241106BHJP
   B65D 3/22 20060101ALI20241106BHJP
   B65D 81/03 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B65D65/04 A
B65D3/22 B
B65D81/03 100Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021003582
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108537
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】國廣 一郎
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/155751(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/044812(WO,A1)
【文献】特開2006-248538(JP,A)
【文献】特開平06-298237(JP,A)
【文献】特表2010-531284(JP,A)
【文献】米国特許第03940811(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0028865(KR,A)
【文献】中国実用新案第2656132(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/04
B65D 3/22
B65D 81/00-81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主体とするシートから成るクッション性部材であって、複数の凸状パネル部と、該凸状パネル部の突出方向と反対方向に突出する複数の反転突起とを有し、該反転突起のシート平面に対する傾斜角度φが、4~60度であり、該傾斜角度φが前記凸状パネル部を構成する側面のシート平面に対する傾斜角度Θよりも大きく、前記凸状パネル部及び反転突起によるクッション性を有することを特徴とするクッション性部材。
【請求項2】
前記凸状パネル部の圧縮仕事量が0.30gf・cm/cm以上である請求項1記載のクッション性部材。
【請求項3】
前記凸状パネル部を取り囲むように前記反転突起が形成されている請求項1又は2記載のクッション性部材。
【請求項4】
前記凸状パネル部の周縁が前記反転突起の周縁と連続する請求項1~3の何れかに記載のクッション性部材。
【請求項5】
前記凸状パネル部及び前記反転突起が錐台形状である請求項1~4の何れかに記載のクッション性部材。
【請求項6】
記傾斜角度Θが、3~19度である請求項5記載のクッション性部材。
【請求項7】
前記凸状パネル部の周縁形状が、一辺の長さが8~60mmの範囲の略四角形であり、シート平面に対して0.3~1.2mmの高さを有する請求項5又は6記載のクッション性部材。
【請求項8】
前記反転突起が、ドット状又はライン状である請求項1~7の何れかに記載のクッション性部材。
【請求項9】
前記シートが、坪量が100~200g/mの伸張可能なシートである請求項1~の何れかに記載のクッション性部材。
【請求項10】
請求項1~の何れかに記載のクッション性部材を、前記凸状パネル部の突出方向が外側となるように包装容器外面に被覆して成ることを特徴とする二重構造容器。
【請求項11】
前記包装容器が紙コップである請求項10記載の二重構造容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を主体とするシートから成るクッション性部材に関するものであり、より詳細には、柔らかい触感を有すると共に、優れた断熱性を有するクッション性部材及びこのクッション性部材を被覆して成る二重構造容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフード店やコーヒーチェーン等で提供される暖かい飲み物等に使用される容器は、内容物の保温性と共に、利用者が安全に把持できるように、断熱性を有することが要求されている。
容器に断熱性を付与するためには、下記特許文献1に記載されたように容器自体を断熱性に優れた発泡層等を備えた積層体から形成する以外に、容器外側面に紙を主体とするシートから成るスリーブを被覆することが広く使用されている。
このようなスリーブとしては、発泡層を備えた積層体や段ボールなどの厚紙から成形する以外に、紙製シートにエンボス加工による凹凸を形成したスリーブが種々提案されている(特許文献2等)。
【0003】
その一方、上記のような温かい飲み物に使用されるカップやスリーブにおいては、断熱効果のみならず、持った時に癒し効果を奏するような柔らかな触感を有することも望まれており、例えば上記特許文献2に記載されているような細かい凸部が複数形成された素材ではこのような柔らかな触感は得ることができない。
このような要求に対応するために、下記特許文献3には、熱可塑性樹脂から成る発泡樹脂層、紙基材層及び熱可塑性樹脂層を備えて成る胴部材を有する発泡断熱紙製容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-113203号公報
【文献】特開2016-623号公報
【文献】特開2020-79461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献3に記載された発泡断熱紙製容器は、把持による圧によって適度に凹む発泡樹脂層を有することから、優れた断熱性だけでなく適度な柔らかさをも有している。
しかしながら、上記特許文献3に記載された発泡断熱紙製容器は、紙製基材に熱可塑性樹脂から成る発泡層及び熱可塑性樹脂層を備える積層体から成形されるため、生産性や経済性や環境負荷の観点から、紙を主体とするシートを用い、エンボス加工による凹凸で優れた断熱性能とクッション性を備えることが望まれている。
【0006】
従って本発明の目的は、エンボス加工による凹凸で優れた断熱性能及び柔らかい触感を発現可能なクッション性を長期にわたって維持可能なクッション性部材及びこのクッション性部材を外側に被覆して成る二重構造容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、紙を主体とするシートから成るクッション性部材であって、複数の凸状パネル部と、該凸状パネル部の突出方向と反対方向に突出する複数の反転突起とを有し、該反転突起のシート平面に対する傾斜角度φが、4~60度であり、該傾斜角度φが前記凸状パネル部を構成する側面のシート平面に対する傾斜角度Θよりも大きく、前記凸状パネル部及び反転突起によるクッション性を有することを特徴とするクッション性部材が提供される。
【0008】
本発明のクッション性部材においては、
1.前記凸状パネル部の圧縮仕事量が0.30gf・cm/cm以上であること、
2.前記凸状パネル部を取り囲むように前記反転突起が形成されていること、
3.前記凸状パネル部の周縁が前記反転突起の周縁と連続すること、
4.前記凸状パネル部及び前記反転突起が錐台形状であること、
5.前記傾斜角度Θが、3~19度であること、
6.前記凸状パネル部の周縁形状が、一辺の長さが8~60mmの範囲の略四角形であり、シート平面に対して0.3~1.2mmの高さを有すること、
7.前記反転突起が、ドット状又はライン状であること、
.前記シートが、坪量が100~200g/mの伸張可能なシートであること、
が好適である。
【0009】
本発明によればまた、上記クッション性部材を、前記凸状パネル部の突出方向が外側となるように包装容器外面に被覆して成ることを特徴とする二重構造容器が提供される。
本発明の二重構造容器においては、前記包装容器が紙コップであることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクッション性部材においては、複数の凸状パネル部が形成されていることにより、把持したときに柔らかな触感を付与できる。また凸状パネル部と反対方向に突出する複数の反転突起を有することにより、凸状パネル部の突出量と反転突起の深さにより、優れた断熱性能が確保されると共に、凸状パネル部の撓みを制御することが可能となり、長期にわたってクッション性及び断熱性能を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のクッション性部材の一例を示す平面図である。
図2図1(A)のX-X線における部分断面図である。
図3】本発明のクッション性部材の凸状パネル及び反転突起の配列パターンの例を示す平面図である。
図4】本発明のクッション性部材の他の一例を示す平面図である。
図5】本発明のクッション性部材の圧縮仕事量の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のクッション性部材は、紙を主体とするシートから成り、複数の凸状パネル部と、この凸状パネル部の突出方向と反対方向に突出する複数の反転突起とを有し、前記凸状パネル部及び反転突起によるシートの撓みを利用したクッション性を有することが重要な特徴である。
図1は本発明のクッション性部材の一例を示す平面図であり、紙を主体とするシート1の平面に対して、紙面手前側に突出する凸状パネル部2,2,2・・・が、隣接する凸状パネル部との間に間隔Lを置いて複数形成されている。図1に示す具体例においては、図1(A)及び(B)に示す2つの態様共に、凸状パネル部2は、下底が一辺の長さWの正方形の四角錘台の形状を有しており、図1(A)は上底の一辺が小さく、図1(B)は上底の一辺が大きく形成されている。
【0013】
図1(A)に示す態様においては、横方向に隣接する凸状パネル部2,2,2・・・の間に、紙面の奥側に突出する(凹んだ)縦方向に延びるライン状の反転突起3a,3a,3a・・・が形成され、縦方向に隣接する凸状パネル部2,2,2・・・の間には、紙面の奥側に突出する(凹んだ)横方向に延びるライン状の反転突起3b,3b,3b・・・が形成されている。この反転突起3は、凸状パネル部2の下底の一辺Wとほぼ同じ長さを有している。また、凸状パネル部2の下底の各角の近傍には、シート1の平坦部4,4,4・・・が形成されている。
図1(B)に示す態様においては、隣接する凸状パネル部2,2,2・・・の間に形成されるシート1の平坦部4に、紙面の奥側に突出する(凹んだ)半球状の突起から成る反転突起5,5,5・・・が、各凸状パネル部2,2,2・・・の下底の各角の近傍及び各辺の中央に均等に位置するように形成されている。
【0014】
図2は、図1(A)のX-X線における部分断面図を示す図である。図2から明らかなように、凸状パネル部2と反転突起3はその周縁で連続した形状を有しており、凸状パネル部2の側面はシート1の平面に対して傾斜角度Θをなし、シート1の平面から高さHを有している。一方、反転突起3の側面はシート1の平面に対して傾斜角度φをなし、シート1の平面から深さhで突出している。
【0015】
上述した本発明のクッション性部材において、把持したときに柔らかな触感を付与可能な優れたクッション性を有するためには、凸状パネル部の圧縮仕事量(WC)が0.30gf・cm/cm以上が好ましく、0.32gf・cm/cm以上がより好ましく、0.35gf・cm/cm以上がさらに好ましい。また、凸状パネル部の圧縮仕事量は1.60gf・cm/cm以下が好ましく、1.00gf・cm/cm以下がより好ましく、0.80gf・cm/cm以下がさらに好ましい。圧縮仕事量が上記範囲よりも小さい場合には、上記範囲にある場合に比してクッション性に劣るようになり所望の触感を得ることができない。その一方、圧縮仕事量が上記範囲よりも大きい場合には、二重構造容器として用いる際に、上記範囲にある場合に比して凸状パネル部がへこんで持ち難くなると共に、把持する際に指との密着度が高くなり、断熱性能が劣るようになる。
この圧縮仕事量は、凸状パネル部に印加した荷重(gf)と、この荷重によって凸状パネル部に発生した凹みの深さ(変位:mm)との積分値であり、圧縮エネルギーと同義である。具体的な測定方法は実施例で詳述するが、本発明においては、押圧面積2cmでロードセルの移動速度1mm/minの定速条件で加圧し、荷重が100gfになるまで圧縮して押圧単位面積当たりの圧縮仕事量を測定した。
【0016】
圧縮仕事量(WC)が上記範囲にあり、把持したときに柔らかな触感を発現可能な優れたクッション性を有するためには、上述した傾斜角度Θと凸状パネル部の周縁形状(図1に示す四角錘台では下底の一辺)における辺長Wの大きさが重要であり、傾斜角度Θが小さく、辺長Wが長いことにより優れたクッション性を発現する。
凸状パネル部の傾斜角度Θは、3~19度、特に5~15度の範囲にあることが好適である。
また図1に示したような周縁形状が略四角形の場合には、辺長Wが8~60mm、特に8~30mmの範囲にあり、凸状パネル部の頂部からシート平面までの高さHが0.3~1.2mm、特に0.5~0.7mmの範囲にあり、隣接する凸状パネル部の間隔Lが1~10mm、特に2~5mmの範囲にあることが好適である。
また反転突起における傾斜角度φは、4~60度、特に15~40度の範囲にあり、凸状パネル部の傾斜角度Θよりもその角度が大きいことが好適である。これにより把持したときに熱を感じやすい部位(反転突起の頂部)に触れることが有効に抑制されると共に、凸状パネル部の復元性を担保することができ、有効な断熱効果が確保される。
また反転突起の深さhは、シートの坪量や材質、反転突起の形状によって適宜調整することができるが、0.1~0.4mmの範囲にあることが好ましい。
【0017】
凸状パネル部及び反転突起の形状や配置は、図1に示した態様に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、図3(A)に示すように、ドット状の反転突起3,3・・・が凸状パネル部2の各角に一つずつ形成されている態様、図3(B)に示すように、ドット状の反転突起3,3・・・が凸状パネル部2の各角及び各辺の中央に均等に形成されている態様や、或いは図3(C)に示すように、凸状パネルの一辺の半分以下の長さのライン状の反転突起3,3・・・が凸状パネル部2の各角付近に均等に形成されている態様、図3(D)に示すように凸状パネル部の一辺とほぼ同じ長さのライン状の反転突起3,3・・・が凸状パネル部の各辺に対応する位置に形成されている態様などを挙げることができる。
【0018】
本発明のクッション性部材においては、凸状パネル部及び反転突起の形状及び配置により種々のパターンを形成できる。凸状パネル部の形状は、図に示したような四角錘台形状に限定されず、円錐台や、下底が多角形の錘台の形状であってもよい。また上底の角部をR形状に丸めた錐台形状であってもよい。また、上底を構成する面が緩やかなカーブを描いているドーム状の形状であってもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で凸状パネル部には他の凸状部分や凹状部分が形成されていてもよい。これらの中でも、本発明の凸状パネルとしては角錐台、上底の角部をR形状に丸めた角錐台である錐台形状が特に好適である。
また反転突起の形状は、頂部が平坦又は丸められたライン状やドット状の他、角錐や円錐などであってもよい。さらに、凸状パネル部及び反転突起の稜線は丸みを帯びたR形状であってもよい。
凸状パネル部及び反転突起は、シート全体に規則的な配列で地模様のように施される他、特定の領域にのみ形成することも可能であり、凸状パネル部及び反転突起の形状及び配置により種々のパターンを形成できる。
また凸状パネル部及び反転突起は、必ずしも同じ形状や大きさで形成されていなくてもよい。例えば、紙コップ等に使用する場合には、一般的な紙コップは下方に行くに従って径が減少する形状を有し、その側壁部における展開図は、2つの同心円の円弧と半径で区画される略四角形状となることから、図4に示すように、凸状パネル部2の下底の形状を上記略四角形の形状とし、下方に位置するに従い、凸状パネル部の円弧の長さが徐々に短くなるような大きさにすることにより、紙コップの側壁部に均一に配置することが可能となる。
凸状パネル部及び反転突起は組み合わせで使用され、凸状パネル部の周縁と反転突起の周縁が連続した形状になっていることが特に好適であるが、用いるシートの坪量や材質によっては、何れか一方のみが形成された態様であってもよい。
【0019】
本発明のクッション性部材は、紙を主体とするシートにエンボス加工を施すことにより、凸状パネル部及び/又は反転突起を形成することができる。
クッション性部材を構成するシートは、紙を主体とするシートであり、具体的には50質量%以上がセルロースパルプから成る限り、種々のシートを使用することができる。特に坪量が100~200g/m、特に150~185g/mの範囲にある伸張性のあるシートであることが好適であり、これにより、シートは適度な撓みを得ることができ、エンボス加工により柔らかい触感を長期にわたって発現可能な凸状パネル部及び反転突起を形成することが可能になる。
本発明に用いるシートは、紙を主体とする限り、他の層を有する積層体であってもよく、例えば、表面を保護するニス、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ乳酸やポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のバリア性樹脂、或いは接着性樹脂等から成る層を有することもできる。
本発明のクッション性部材に特に適した伸張性を有する紙を主体とするシートとしては、BillerudKorsnas社より販売されているファイバーフォーム(FiberForm登録商標)を例示することができる。
【0020】
本発明のクッション性部材は、それ単独で、温かい飲料、汁物、総菜、米飯等を内容物として収納する包装容器の胴部等に装着して使用するスリーブや断熱材として使用することができる。
また包装容器の外面に凸状パネル部側が外面となるように被覆して二重構造容器として使用することもできる。このような包装容器としては、紙製又は樹脂製の従来公知のカップ、トレイ、ボトル等の他、金属缶やガラス容器等であってもよい。
本発明においては特に、本発明のクッション性部材と紙コップとを組み合わせた二重構造容器であることが好適であり、かかる二重構造容器を把持したときの柔らかい触感と温かい飲み物の相乗効果により、癒し効果を得ることができる。
【実施例
【0021】
(実施例1~4)
紙製シートとして、坪量150g/mのファイバーフォーム(BillerudKorsnas社製登録商標)を使用して、図1に示すパターンの凸状パネル部及び反転突起を、凸状パネル部の傾斜角度(Θ)及び辺長(W)、隣接する凸状パネル部の距離(L)、反転突起の傾斜角度(φ)、凸状パネル部の頂部からシート平面までの高さ(H)、反転突起の深さ(h)が下記表1に示す値となるようにエンボス加工することにより、クッション性シートを形成した。
【0022】
(圧縮仕事量:WC)
実施例1~4で得られたクッション性シートを、オリエンテック社製テンシロンを使用して、押圧面積2cm、移動速度1mm/minの条件で、凸状パネル部の中央部が中心となるようにして、荷重が100gfになるまで圧縮して、圧縮仕事量(WC)を測定した。結果を表1に合わせて示す。
【0023】
(触感評価)
実施例1~4で得られたクッション性シートの凸状パネル部を、10人のパネラーに指で押圧してもらい、クッション性の有無で触感を評価した。結果を表1に合わせて示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1から分かるように、凸状パネル部の傾斜角度(Θ)が小さくなるに従って圧縮仕事量(WC)は大きくなり、0.30gf・cm/cm以上で柔らかな触感を得ることが出来る。
【0026】
(断熱評価)
実施例1及び2で得られたクッション性シートを、市販の紙コップに巻き付けたカップA及びBと、前述した特許文献2のような紙製シートにエンボス加工による凹凸を形成した圧縮仕事量(WC)が0.16gf・cm/cmのスリーブを巻き付けた市販の二重紙コップについて、90℃のお湯を入れて、10人のパネラーにそれぞれ両手で持ってもらい、どちらが熱いかを判定した。左右のカップを入れ替えて再判定し、同じ結果のみを有意差ありとして、一対比較法により順位付けした。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2から分かるように、カップA、Bは共に市販の紙コップより優れた断熱性を示している。また、カップBよりもクッション性に優れたカップAのほうが断熱性に劣る評価となっており、クッション性が高くなると把持する際に指との密着度が高くなり、断熱性能が低下する。
【0029】
(実施例5)
実施例1~4と同様に、図1に示すパターンの凸状パネル部及び反転突起を、隣接する凸状パネル部の距離(L)を2mm、反転突起の傾斜角度(φ)を20度、凸状パネル部の頂部からパネル平面までの高さ(H)を0.55~0.60mm、反転突起の深さ(h)を0.25mmに固定し、凸状パネル部の辺長(W)を8~18mm、傾斜角度(Θ)を5~19度の間にそれぞれ段階的に変えながら、エンボス加工することにより、クッション性シートを形成し、圧縮仕事量(WC)を測定した。結果を図5に示す。
【0030】
図5には、各々の凸状パネル部の辺長(W)において傾斜角度(Θ)を変えたときの圧縮仕事量(WC)の最大値と最小値をプロットしている。図5から分かるように、辺長が大きくなるに従って圧縮仕事量は大きくなり、優れたクッション性を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 シート、2 凸状パネル部、3 反転突起、4 シート平坦部、5 反転突起。
図1
図2
図3
図4
図5