(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】表示体
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2021009976
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】早坂 哲
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-276051(JP,A)
【文献】特開2020-168773(JP,A)
【文献】特開2020-082385(JP,A)
【文献】特開2001-301306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00- 3/18
7/00- 9/04
B42D 15/02
25/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面とその裏面である第2主面とを有している光透過性基材と、
前記第1主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含み、前記第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させ、前記第1非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記第1着色部及び前記第1非着色部の配列方向において隣り合った前記第1非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第1着色層と、
前記第1着色部及び前記第1非着色部に対応して前記第2主面上で交互に配列した第2着色部及び第2非着色部を含み、前記第2着色部は白色光で照明した場合に前記第1着色光とは色が異なる第2着色光を透過させ、前記第2非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記配列方向において隣り合った前記第2非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第2着色層と
を備え
、
前記光透過性基材は、前記第1主面を前記第1着色部が形成された面として有し、前記第2主面を前記第2着色部が形成された面として有している表示体。
【請求項2】
前記配列方向において隣り合った前記第1着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にあり、前記配列方向において隣り合った前記第2着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にある請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記第2着色部及び前記第2非着色部はそれぞれ前記第1非着色部及び前記第1着色部と向き合った請求項1又は2に記載の表示体。
【請求項4】
第1主面とその裏面である第2主面とを有している光透過性基材と、
前記第1主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含み、前記第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させ、前記第1非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記第1着色部及び前記第1非着色部の配列方向において隣り合った前記第1非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第1着色層と、
前記第1着色部及び前記第1非着色部に対応して前記第2主面上で交互に配列した第2着色部及び第2非着色部を含み、前記第2着色部は白色光で照明した場合に前記第1着色光とは色が異なる第2着色光を透過させ、前記第2非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記配列方向において隣り合った前記第2非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第2着色層と
を備え、
前記第2着色部及び前記第2非着色部はそれぞれ前記第1非着色部及び前記第1着色部と向き合い、
前記第1非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1着色部間の距離は、その第1非着色部と向き合った前記第2着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2非着色部間の距離と比較してより小さく、前記第2非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2着色部間の距離は、その第2非着色部と向き合った前記第1着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1非着色部間の距離と比較してより小さ
い表示体。
【請求項5】
前記第1着色部及び前記第1非着色部は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は、線形状を各々が有し、前記幅方向へ交互に配列した請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【請求項6】
前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は直線形状を有している請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は、曲線形状を有している部分を含んだ請求項5に記載の表示体。
【請求項8】
前記第1着色部は、入れ子状の配列パターンを形成し、前記第2着色部は、前記第1着色部に対応して、入れ子状の配列パターンを形成した請求項5に記載の表示体。
【請求項9】
前記第1着色部及び前記第1非着色部は市松模様状に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は市松模様状に配列した請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のカラー複写機の性能向上に伴って、株券及び債券等の有価証券類や各種証明書の偽造が容易になってきている。このため、これら物品には、複写物との判別を可能とした複写防止媒体が使用されることがある。
【0003】
複写防止媒体は、カラー複写機などによる偽造を防止又は牽制するための偽造防止技術が適用された記録媒体である。複写防止媒体としては、例えば、カラー複写機を用いて得られる複写物に、原本には見られない特定の文字や絵柄などのパターンを表示させるものがある。
【0004】
偽造防止技術の1つとして、用紙に繊維密度や厚さの分布を生じさせ、透過光を観察した場合に先の分布に対応したパターンを視認させる、所謂「透かし技術」が存在する。この透かし技術は、一定量以上の光量さえあれば、あらゆる環境下において真偽判別することが可能な技術である。加えて、知名度も抜群に高いことから、古くから存在している技術であるにも関わらず、今なお世界中の銀行券等に用いられている。
【0005】
しかしながら、この透かし技術について上述した構造は、用紙の製造段階において形成する必要がある。それ故、上記の透かし技術は、用紙製造メーカでなければ容易には利用できない。また、上記の透かし技術を採用した用紙は、製造コストが高い。
【0006】
これら問題に鑑み、上記の透かし技術によって得られる視覚効果を擬似的に再現可能とする技術を利用することがある。
【0007】
例えば、浸透型の透明化インキを用紙へ印刷して、透明化インキを印刷した領域の透過率を、透明化インキを印刷していない領域の透過率と比較してより高くし、これにより、透過光を肉眼で観察した場合に、透明化インキを印刷した領域に対応したパターンを視認可能とする偽造防止技術が存在する(特許文献1参照)。
【0008】
また、上記の透かし技術によって得られる視覚効果を擬似的に再現可能とする他の技術として、用紙上に、この用紙と同色の遮光インキを印刷して、遮光インキを印刷した領域の透過率を、遮光インキを印刷していない領域の透過率と比較してより低くし、これにより、透過光を肉眼で観察した場合に、遮光インキを印刷した領域に対応したパターンを視認可能とする偽造防止技術が存在する(特許文献2参照)。
【0009】
以上の偽造防止技術は、透明化インキ又は遮光インキを印刷した領域に対応したパターンを、反射光を肉眼で観察した場合には視認不可能又は困難とし、透過光を肉眼で観察した場合には視認可能又は容易とするものである。これとは異なり、用紙とは色が異なる印刷パターンを、第1及び第2領域を含み、第1領域が、第2領域と同じ色相を有し、第2領域と比較して高い明度及び低い透過率を有するように形成して、反射光を肉眼で観察した場合には第1及び第2領域を互いから区別可能又は容易とし、透過光を肉眼で観察した場合には第1及び第2領域を互いから区別不可能又は困難とする偽造防止技術も存在する(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平6-228900号公報
【文献】特開2001-26177号公報
【文献】特開2015-96308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、原本と複写物とを肉眼で又は低倍率で拡大した観察により区別可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によると、第1主面とその裏面である第2主面とを有している光透過性基材と、前記第1主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含み、前記第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させ、前記第1非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記第1着色部及び前記第1非着色部の配列方向において隣り合った前記第1非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第1着色層と、前記第1着色部及び前記第1非着色部に対応して前記第2主面上で交互に配列した第2着色部及び第2非着色部を含み、前記第2着色部は白色光で照明した場合に前記第1着色光とは色が異なる第2着色光を透過させ、前記第2非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記配列方向において隣り合った前記第2非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第2着色層と
を備えた表示体が提供される。
【0013】
カラー複写機による複写では、先ず、そのスキャナ部が、原本が表示する画像を読み取る。スキャナ部による画像の読み取りは、具体的には、原本の背面に拡散反射板を設置し、原本の前面を白色光で照明して反射光を受光することにより行う。スキャナ部は、読み取った画像のデータに相当するスキャンデータを処理部へ出力する。処理部は、このスキャンデータからプリントデータを生成し、これをプリンタ部へ出力する。プリンタ部は、プリントデータに基づいて、基材への印刷を行う。
【0014】
上記の表示体では、第2着色部及び第2非着色部は、第1着色部及び第1非着色部に対応して交互に配列している。即ち、第2着色部及び第2非着色部の配列方向は、第1着色部及び第1非着色部の配列方向と等しい。そして、第2着色部及び第2非着色部は、例えば、第1非着色部及び第1着色部とそれぞれ向き合うように配置されている。また、第1非着色部間の距離及び第2非着色部間の距離は短い。
【0015】
それ故、上記の透過画像において、隣り合っているように見える第1及び第2着色部間の距離が十分に短い場合、スキャナ部は、それら第1及び第2着色部の組み合わせを、第1着色光の色と第2着色光の色との減法混色によって生じる色を有する単一の着色部として読み取る可能性がある。この場合、スキャナ部が出力するスキャンデータから再現される画像は、原本が表示する透過画像とは一致しない。それ故、このスキャンデータから生成されるプリントデータに基づいて印刷を行うことにより得られる複写物が表示する透過画像も、原本が表示する透過画像とは一致しない。
【0016】
また、多くのカラー複写機では、プリンタ部は、互いからの距離が十分に短い第1及び第2着色部を別々のものとして再現できるほどの印刷解像度を有していない。それ故、スキャナ部が、高い光学解像度又は読み取り解像度を有し、第1着色部と第2着色部とを別々のものとして読み取ることができたとしても、処理部は、スキャンデータよりも解像度が低いプリントデータを生成し、このプリントデータに基づいて印刷を行うことにより得られる複写物が表示する透過画像は、原本が表示する透過画像とは一致しない。
【0017】
そして、上記の表示体が表示する画像をデジタルカメラや顕微鏡で撮像し、これによって得られた撮像データを利用して印刷を行っても、上記と同様の理由により、複写物が表示する透過画像は、原本が表示する透過画像とは一致しない。
【0018】
以上の通り、上記の表示体が表示する透過画像は、その複写物が表示する透過画像とは一致しない。これら画像の相違は、それらの肉眼での観察か又は低倍率で拡大した観察により確認可能である。即ち、上記の表示体を原本とすると、この原本とその複写物とは肉眼で又は低倍率で拡大した観察により区別可能である。
【0019】
なお、ここで、「低倍率で拡大した観察」は、5~30倍の倍率で拡大した観察を意味している。即ち、原本と複写物とを低倍率で拡大した観察により区別可能であることは、ルーペなどの簡易な拡大鏡による観察によって、それらを区別可能であることを意味する。
【0020】
前記第1非着色部間の距離は5μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。また、前記第2非着色部間の距離は5μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
第1非着色部間の距離と第2非着色部間の距離とは、等しくてもよく、異なっていてもよい。第1非着色部は、規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。同様に、第2非着色部は、規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
【0022】
本発明の他の側面によると、前記配列方向において隣り合った前記第1着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にあり、前記配列方向において隣り合った前記第2着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にある上記側面に係る表示体が提供される。
【0023】
前記第1着色部間の距離は5μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。また、前記第2着色部間の距離は5μm以上20μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0024】
この構成を採用した表示体が表示する透過画像は、その複写物が表示する透過画像と相違していることを、肉眼での観察によって容易に確認可能である。
【0025】
本発明の更に他の側面によると、前記第2着色部及び前記第2非着色部はそれぞれ前記第1非着色部及び前記第1着色部と向き合った上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0026】
この構成を採用した場合、表示体の第1主面側の面、即ち前面を垂直な方向から撮像した場合に得られる透過画像では、第1非着色部の位置で第2着色部の少なくとも一部が見える。また、表示体の第2主面側の面、即ち背面を垂直な方向から撮像した場合に得られる透過画像では、第2非着色部の位置で第1着色部の少なくとも一部が見える。それ故、表示体の前面又は背面を垂直な方向から撮像した場合に、上述した効果がより確実に得られる。
【0027】
本発明の更に他の側面によると、前記第1非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1着色部間の距離は、その第1非着色部と向き合った前記第2着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2非着色部間の距離と比較してより小さく、前記第2非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2着色部間の距離は、その第2非着色部と向き合った前記第1着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1非着色部間の距離と比較してより小さい上記側面に係る表示体が提供される。
【0028】
この構成を採用した場合、表示体の前面又は背面を垂直な方向から撮像した場合に、上述した効果が更に確実に得られる。また、この構成を採用した場合、表示体の前面又は背面を斜め方向から撮像した場合でも、上述した効果が得られ易い。
【0029】
本発明の更に他の側面によると、前記第1着色部及び前記第1非着色部は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は、線形状を各々が有し、前記幅方向へ交互に配列した上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0030】
この表示体においては、前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は直線形状を有していてもよい。或いは、前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は、曲線形状を有している部分を含んでいてもよい。或いは、前記第1着色部は、入れ子状の配列パターンを形成し、前記第2着色部は、前記第1着色部に対応して、入れ子状の配列パターンを形成していてもよい。
【0031】
これらの場合、第1及び第2着色部の各々の線幅、即ち、隣り合った第1非着色部間の距離及び隣り合った第2非着色部間の距離の各々は、線の長さ方向に沿って一定であってもよく、変化していてもよい。また、隣り合った第1着色部は、線幅が等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0032】
第1着色部間の距離、即ち、第1非着色部の幅は、線の長さ方向に沿って一定であってもよく、変化していてもよい。第1着色部間の距離は、第1及び第2着色部の配列方向において等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0033】
同様に、第2着色部間の距離、即ち、第2非着色部の幅は、線の長さ方向に沿って一定であってもよく、変化していてもよい。第2着色部間の距離は、第1及び第2着色部の配列方向において等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0034】
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1着色部及び前記第1非着色部は市松模様状に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は市松模様状に配列した上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
【0035】
光透過性基材は、可視光透過性を有している。光透過性基材は、好ましくは、無色透明又は無色半透明な薄層である。例えば、光透過性基材は、白色光で照明した場合に、入射光を着色させることなしに透過させる。
【0036】
光透過性基材は、ポリマーフィルム若しくはポリマーシート、紙又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0037】
ポリマーフィルム又はポリマーシートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、及びトリアセチルセルロース(TAC)などの光透過性が高い樹脂からなるフィルム又はシートが好適である。光透過性基材には、表示体の用途に応じて適当なものを選択する。
【0038】
光透過性基材がポリマーフィルムである場合、全光線透過率は、87%以上93%以下であることが好ましい。全光線透過率に上限値はないが、ポリマーフィルムの屈折率を考慮すると、93%より高い全光線透過率のポリマーフィルムを得るのは製造的に困難である。ここで、「全光線透過率」は、JIS K7375:2008「プラスチック-全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に規定される方法によって得られる値である。
【0039】
光透過性基材がポリマーフィルムである場合、ヘーズは、4%以下であることが好ましい。ヘーズに下限値はないが、通常は0.1%以上である。ここで、「ヘーズ」は、JIS K7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に規定される方法によって得られる値である。
【0040】
紙は、透かし用紙であることが好ましい。但し、日本国内においては、民間企業が製造する透かし用紙は、白透かし法と呼ばれる、2階調の透過画像を表示するもののみに制限されている。日本国内においては、3階調以上の透過画像を表示する黒透かし法を用いた透かし用紙は、紙幣だけに用いられている。民間企業が製造する透かし用紙を光透過性基材として用いる場合、この紙は薄いものであることが望ましい。光透過性基材に薄い紙を使用する場合、この紙は、強度が不十分となるか又は凹凸に起因して印刷適正が不十分とならないように選定することが好ましい。或いは、光透過性基材として、紙とポリマーフィルム又はポリマーシートとの複合材を使用してもよい。
【0041】
光透過性基材が紙を含んでいる場合、光透過性基材の不透明度は60%以下が好ましい。ここで、「不透明度」は、JIS P8149:2000「紙及び板紙-不透明度試験方法(紙の裏当て)-拡散照明法」に規定される方法によって得られる値である。
【0042】
第1着色層は、光透過性基材の第1主面上に設けられている。上記の通り、第1着色層は、第1主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含んでいる。第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させる。第1非着色部は、白色光で照明した場合に、この白色光を着色させずに透過させる。一例によれば、第1非着色部は、第1着色部間に挟まれた空間である。他の例によれば、第1非着色部は、第1着色部間の隙間を埋め込んだ、無色の透明材料からなる。
【0043】
第2着色層は、光透過性基材の第2主面上に設けられている。上記の通り、第2着色層は、第2主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含んでいる。第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させる。第1非着色部は、白色光で照明した場合に、この白色光を着色させずに透過させる。一例によれば、第1非着色部は、第1着色部間に挟まれた空間である。他の例によれば、第1非着色部は、第1着色部間の隙間を埋め込んだ、無色の透明材料からなる。
【0044】
第1及び第2着色部の厚さは、0.3μm以上であることが好ましい。第1及び第2着色部を薄くすると、それらの光透過性基材に対する密着力が不十分となる可能性がある。
【0045】
第1及び第2着色部は、印刷によって形成することができる。例えば、先ず、光透過性基材の一方の主面上に第1及び第2着色部の一方を印刷によって形成する。次に、位置合わせを適宜行い、光透過性基材の他方の主面上に第1及び第2着色部の他方を印刷によって形成する。印刷法は、スクリーン印刷、スクリーンオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、及び反転印刷などの公知の印刷法から、形成すべき第1及び第2着色部の寸法や間隙に応じて適宜選定する。
【0046】
第1及び第2着色部の各々は、着色顔料とポリマーとを含むことができる。
着色顔料としては、当該分野で知られている有機顔料、無機顔料又はそれらの組み合わせを使用することができる。
【0047】
無機顔料としては、金属;二酸化チタン、亜鉛華、及び鉄黒に代表される酸化物;水酸化物;硫化物;セレン化物;フェロシアン化物;クロム酸塩;硫酸塩;炭酸塩;ケイ酸塩;燐酸塩;及び炭素等がある。有機顔料としては、炭素化合物、ニトロソ系化合物;ニトロ系化合物;アゾ系化合物;レーキ系顔料、フタロシアニン系化合物、及び縮合多環材料等がある。
【0048】
ポリマーは、無色透明の樹脂又は着色した樹脂からなる。樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることが可能である。
【0049】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、メタクリル酸・スチレン共重合体(MS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリイミド(PI)を用いることが可能である。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、及びアルキド等の当該分野でよく知られている熱硬化性樹脂を用いることが可能である。
【0050】
これら以外にも、樹脂として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチル(POM)、ポリアミド(PA)、及びポリフェニルサルフィド(PPS)等のエンジニアプラスチックやスーパーエンジニアプラスチックを用いることも可能である。この他にも、電離放射線によって硬化する樹脂、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポシキ樹脂、ポリエステル樹脂、及びチオール樹脂を用いることが可能である。
【0051】
第1及び第2着色部の各々は、光散乱粒子を更に含むことができる。光散乱粒子としては、真球形状粒子又は不定型形状粒子を用いる。光散乱粒子の材料は、有機物及び無機物の何れであってもよい。
【0052】
光散乱粒子に使用可能な有機物は、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン・アクリル共重合体若しくはその架橋体、メラミン-ホルマリン縮合物、ウレタン樹脂、ポリエステル、シリコン樹脂、フッ素粒子、エポキシ樹脂、及びこれらの共重合体である。光散乱粒子に使用可能な無機物は、例えば、スメクタイト、カオリナイト、及びタルク等の粘土化合物;シリカ、チタニア、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、及び酸化ストロンチウム等の無機酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸ストロンチウム等の無機炭酸塩;塩化バリウム及び塩化ストロンチウム等の無機塩化物;硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウム等の無機硫酸塩;硝酸バリウム及び硝酸ストロンチウム等の無機硝酸塩;水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化ストロンチウム等の無機水酸化物;並びにガラスである。
【0053】
第1及び第2着色部を形成するのに使用するインクは、上記の成分に加えて、溶剤を更に含むことができる。溶剤は、例えば、ドデカン又はテトラデカンである。溶剤として、他の化合物又は組成物を使用してもよい。例えば、速乾性インキでは、メチルエチルケトン(MEK)、エタノール及びアセトンのように、沸点が低く、常温で揮発するものを溶剤として使用することができる。水性インキでは、水(精製水)を溶剤として使用することができる。オイル系インキでは、脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、及び高級アルコールのように常温で揮発し難いオイルを溶剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図。
【
図2】
図1に示す表示体の一部を拡大して示す断面図。
【
図3】
図1に示す表示体の前面の一部を拡大して示す平面図。
【
図4】
図3に示す前面の一部を拡大して示す平面図。
【
図5】
図1に示す表示体の裏面の一部を拡大して示す平面図。
【
図6】
図5に示す裏面の一部を拡大して示す平面図。
【
図7】
図1に示す表示体が表示する画像を撮像する様子を概略的に示す図。
【
図8】
図1に示す表示体が
図7の条件下で表示する画像を示す図。
【
図10】
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の一例を概略的に示す図。
【
図12】
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の他の例を概略的に示す図。
【
図14】
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の更に他の例を概略的に示す図。
【
図15】
図1に示す表示体が表示する透過画像を観察している様子の一例を概略的に示す図。
【
図17】第1変形例に係る表示体の第1着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
【
図18】第1変形例に係る表示体の第2着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
【
図19】第2変形例に係る表示体の第1着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
【
図20】第2変形例に係る表示体の第2着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1に示す表示体の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、
図1に示す表示体の前面の一部を拡大して示す平面図である。
図4は、
図3に示す前面の一部を拡大して示す平面図である。
図5は、
図1に示す表示体の背面の一部を拡大して示す平面図である。
図6は、
図5に示す背面の一部を拡大して示す平面図である。なお、各図において、X方向及びY方向は、表示体1の表示面に平行であり且つ互いに直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向、即ち、表示体1の厚さ方向である。
【0057】
図1乃至
図5に示す表示体1は、商品券である。表示体1は、商品券以外の有価証券であってもよい。或いは、表示体1は、身分証明書などの証明書又は識別カードであってもよい。
【0058】
表示体1は、
図2に示す光透過性基材11、第1着色層12及び第2着色層13と、
図1に示す印刷層14とを含んでいる。
【0059】
光透過性基材11は、可視光透過性を有している無色透明又は無色半透明な薄層である。ここでは、一例として、光透過性基材11は、無色透明なポリマーフィルムであるとする。
【0060】
光透過性基材11は、長辺がX方向に平行な長方形状を有している。光透過性基材11は、他の形状を有していてもよい。
【0061】
光透過性基材11は、第1主面とその裏面である第2主面とを有している。第1主面及び第2主面は、それぞれ、
図2における光透過性基材11の上面及び下面である。以下、表示体1の第1主面側の面及び第2主面側の面を、それぞれ、前面及び背面という。
【0062】
印刷層14は、光透過性基材11の第1主面上に設けられている。印刷層14は、例えば、文字、模様、図形、写真、又はそれらの組み合わせを表示する。
【0063】
印刷層14は、光透過性基材11の第2主面上に更に設けることができる。或いは、印刷層14は、光透過性基材11の第1主面上に設ける代わりに、第2主面上に設けることもできる。或いは、印刷層14は、省略することもできる。
【0064】
印刷層14は、
図1に示すように、開口部である窓Wを有している。表示体1の窓Wに対応した部分は、表示体1の真偽判定に利用する真偽判定部である。
【0065】
第1主面は、窓Wの位置に、
図2及び
図3に示す第1印刷領域R1A及び第1非印刷領域R1Bを有している。他方、第2主面は、窓Wの位置に、
図2及び
図5に示す第2印刷領域R2A及び第2非印刷領域R2Bを有している。
【0066】
ここでは、第1印刷領域R1Aは、文字列「COPY」に対応したパターンであり、第1非印刷領域R1Bはその反転パターンである。また、ここでは、第2印刷領域R2Aは、文字列「COPY」の鏡像に対応したパターンであり、第2非印刷領域R2Bはその反転パターンである。
【0067】
第1着色層12は、光透過性基材11の第1主面上であって、窓Wの位置に設けられている。第1着色層12は、
図2及び
図3に示す第1非印刷領域R1B上には設けられておらず、第1印刷領域R1A上に設けられている。
【0068】
第1着色層12は、
図2及び
図4に示すように、第1主面上で交互に配列した第1着色部121及び第1非着色部122を含んでいる。第1着色部121及び第1非着色部122は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列している。ここでは、第1着色部121及び第1非着色部122は、X方向へ伸びた形状を各々が有しており、Y方向へ交互に配列している。
【0069】
第1着色部121は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させる。第1着色部121は、着色顔料とポリマーとを含んだインクからなる。
【0070】
第1着色部121及び第1非着色部122の配列方向における第1着色部121の寸法、即ち、第1着色部121の幅W1aは、第1着色部121の長さ方向に沿って一定である。また、隣り合った第1着色部121は、幅W1aが互いに等しい。
【0071】
幅W1aは、第1着色部121及び第1非着色部122の配列方向において隣り合った第1非着色部122間の距離に相当する。幅W1aは、5μm以上20μm以下の範囲内にある。
【0072】
第1非着色部122は、白色光で照明した場合に、この白色光を着色させずに透過させる。ここでは、第1非着色部122は、隣り合った第1着色部121間の空間である。
【0073】
第1着色部121及び第1非着色部122の配列方向における第1非着色部122の寸法、即ち、第1非着色部122の幅W1bは、第1非着色部122の長さ方向に沿って一定である。また、隣り合った第1非着色部122は、幅W1bが互いに等しい。
【0074】
幅W1bは、第1着色部121及び第1非着色部122の配列方向において隣り合った第1着色部121間の距離に相当する。幅W1bは、5μm以上50μm以下の範囲内にある。ここでは、幅W1bは、幅W1aと比較してより小さい。なお、幅W1aと幅W1bとの和は、第1着色部121又は第1非着色部122の配列のピッチP1である。
【0075】
第2着色層13は、光透過性基材11の第2主面上であって、窓Wの位置に設けられている。第2着色層13は、
図2及び
図5に示す第2非印刷領域R2B上には設けられておらず、第2印刷領域R2A上に設けられている。
【0076】
第2着色層13は、
図2及び
図6に示すように、第2主面上で交互に配列した第2着色部131及び第2非着色部132を含んでいる。第2着色部131及び第2非着色部132は、第1着色部及び第1非着色部に対応して第2主面上で交互に配列している。第2着色部131及び第2非着色部132は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列している。ここでは、第2着色部131及び第2非着色部132は、X方向へ伸びた形状を各々が有しており、Y方向へ交互に配列している。
【0077】
第2着色部131は、白色光で照明した場合に、第1着色光とは色が異なる第2着色光を透過させる。第2着色部131は、着色顔料とポリマーとを含んだインクからなる。
【0078】
第2着色部131及び第2非着色部132の配列方向における第2着色部131の寸法、即ち、第2着色部131の幅W2aは、第2着色部131の長さ方向に沿って一定である。また、隣り合った第2着色部131は、幅W2aが互いに等しい。
【0079】
幅W2aは、第2着色部131及び第2非着色部132の配列方向において隣り合った第2非着色部132間の距離に相当する。幅W2aは、5μm以上20μm以下の範囲内にある。ここでは、幅W2aは、幅W1aと等しい。
【0080】
第2非着色部132は、白色光で照明した場合に、この白色光を着色させずに透過させる。ここでは、第2非着色部132は、隣り合った第2着色部131間の空間である。
【0081】
第2着色部131及び第2非着色部132の配列方向における第2非着色部132の寸法、即ち、第2非着色部132の幅W2bは、第2非着色部132の長さ方向に沿って一定である。また、隣り合った第2非着色部132は、幅W2bが互いに等しい。
【0082】
幅W2bは、第2着色部131及び第2非着色部132の配列方向において隣り合った第2着色部131間の距離に相当する。幅W2bは、5μm以上50μm以下の範囲内にある。ここでは、幅W2bは、幅W2aと比較してより小さい。また、ここでは、幅W2bは、幅W1bと等しい。なお、幅W2aと幅W2bとの和は、第2着色部131又は第2非着色部132の配列のピッチP2である。
【0083】
図2に示すように、第2着色部131は、第1非着色部122と向き合っている。また、第1着色部121は、第2非着色部132と向き合っている。第1主面に対して平行な平面への正射影において、第2着色部131の各々の中心線は、その第2着色部131と向き合った第1非着色部122の中心線と一致している。また、この正射影において、第1着色部121の各々の中心線は、その第1着色部121と向き合った第2非着色部132の中心線と一致している。
【0084】
この表示体1は、低倍率で拡大した観察により、その複写物から区別可能である。これについて、以下に説明する。
【0085】
図7は、
図1に示す表示体が表示する画像を撮像する様子を概略的に示す図である。
図8は、
図1に示す表示体が
図7の条件下で表示する画像を示す図である。
図9は、複写物の一部を拡大して示す平面図である。
【0086】
図7では、表示体1を、その背面が拡散反射板REFと向き合うように設置し、その前面を照明光ILで斜め方向から照明するように光源LSを設置し、表示体1が垂直方向へ射出する反射光RLを撮像するように撮像装置CMを設置している。なお、照明光ILは白色光である。
【0087】
この条件下では、第1着色層12及び第2着色層13の双方が表示に寄与する。また、第1着色部121の幅W1a、第1非着色部122の幅W1b、第2着色部131の幅W2a、及び第2非着色部132の幅W2bは狭い。それ故、撮像装置CMの解像度が低い場合、撮像装置CMは、
図8に示すように、文字列「COPY」に対応し、第1着色光の色と第2着色光の色との減法混色によって生じる色を全体が有しているパターンを含んだ画像I1を読み取る。
【0088】
他方、撮像装置CMの解像度が高い場合、撮像装置CMは、第1着色部と第2非着色部とが重なり合った第1線状部と、第1着色部と第2着色部とが重なり合った第2線状部と、第1非着色部と第2着色部とが重なり合った第3線状部と、第1着色部と第2着色部とが重なり合った第4線状部とが、この順序で幅方向に繰り返し配列した画像を読み取る。
【0089】
このようにして読み取った画像のデータからプリントデータを生成し、このプリントデータに基づいて印刷を行うと、
図9に示す複写物2が得られる。この複写物2は、光透過性基材21と、その上に形成された着色層22及び23を含んでいる。着色層22及び23の各々は、文字列「COPY」に対応したパターンを形成している。着色層22及び23は、それぞれ、色が互いに異なるドット状部221及び231からなる。
【0090】
撮像装置CMの解像度が低い場合、プリントデータの解像度も低い。それ故、プリンタは、光透過性基材21の一方の主面上の文字列「COPY」に対応した領域内に、ドット状部221を均一に配置するとともに、ドット状部231を均一に配置する。
【0091】
撮像装置CMの解像度が高い場合であっても、第1乃至第4線状部の幅は一般的なプリンタの解像度以下であるので、プリンタは、撮像装置CMが出力する撮像データよりも解像度が低いプリントデータに基づいて、光透過性基材21の一方の主面上の文字列「COPY」に対応した領域内に、ドット状部221を均一に配置するとともに、ドット状部231を均一に配置する。
【0092】
それ故、この複写物2を、ルーペなどの拡大鏡を用いて低倍率で拡大して観察すると、上記の領域では、
図9に示すように、ドット状部221及び231が均一に配置された構造を確認することができる。
【0093】
表示体1を、ルーペなどの拡大鏡を用いて低倍率で拡大して観察すると、第1着色層12及び第2着色層13が設けられた領域では、第1着色部121及び第2着色部131の配列に対応したストライプ状のパターンを視認できる。これに対し、ドット状部221の配列はストライプ状のパターンを形成しておらず、ドット状部231の配列もストライプ状のパターンを形成していない。それ故、これらの相違により、複写物2は、原本としての表示体1とは異なるものであることを確認できる。
【0094】
この表示体1は、肉眼による観察でも、その複写物から区別可能である。これについて、以下に説明する。
【0095】
図10は、
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の一例を概略的に示す図である。
図11は、
図1に示す表示体が
図10の条件下で表示する画像を示す図である。
【0096】
図10では、表示体1の前面を光源LSからの照明光ILが斜め方向から照明し、表示体1が射出する反射光RLを観察者OBが観察するように、光源LS及び表示体1を配置している。なお、照明光ILは白色光である。また、表示体1の背面側には、反射層を設置していない。
【0097】
この条件下では、第2着色層13の表示への寄与は、第1着色層12の表示への寄与と比較して小さい。即ち、第1着色光の表示への寄与は、第2着色光の表示への寄与と比較して大きい。従って、この条件下で観察者OBが視認する画像I2における文字列「COPY」に対応した領域の色は、第2着色光の色よりも、第1着色光の色に近い。
【0098】
これに対し、複写物2は、
図10の条件下で肉眼により観察すると、上記の領域で、ドット状部221の色とドット状部231の色との減法混色によって生じる色を表示する。この表示色へのドット状部221の寄与とドット状部231の寄与とはほぼ等しい。従って、複写物2が
図10の条件下で表示する画像は、表示体1が
図10の条件下で表示する画像I2とは、文字列「COPY」に対応した領域の色が異なる。
【0099】
従って、このような色の相違を確認することにより、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0100】
図12は、
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の他の例を概略的に示す図である。
図13は、
図1に示す表示体が
図12の条件下で表示する画像を示す図である。
【0101】
図12では、表示体1の背面を光源LSからの照明光ILが斜め方向から照明し、表示体1が射出する反射光RLを観察者OBが観察するように、光源LS及び表示体1を配置している。なお、照明光ILは白色光である。また、表示体1の前面側には、反射層を設置していない。
【0102】
この条件下では、第1着色層12の表示への寄与は、第2着色層13の表示への寄与と比較して小さい。即ち、第2着色光の表示への寄与は、第1着色光の表示への寄与と比較して大きい。従って、この条件下で観察者OBが視認する画像I3における文字列「COPY」の鏡像に対応した領域の色は、第1着色光の色よりも、第2着色光の色に近い。
【0103】
これに対し、複写物2は、
図12の条件下で肉眼により観察すると、上記の領域で、ドット状部221の色とドット状部231の色との減法混色によって生じる色を表示する。この表示色へのドット状部221の寄与とドット状部231の寄与とはほぼ等しい。従って、複写物2が
図12の条件下で表示する画像は、表示体1が
図10の条件下で表示する画像I2とは、文字列「COPY」の鏡像に対応した領域の色が異なる。
【0104】
従って、このような色の相違を確認することにより、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0105】
また、表示体1が
図10の条件下で文字列「COPY」に対応した領域において表示する色は、表示体1が
図12の条件下で文字列「COPY」の鏡像に対応した領域において表示する色とは異なる。このような観察条件の変化に伴う表示色の変化は、複写物2では再現できない。従って、この観察条件の変化に伴う表示色の変化の有無を確認することでも、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0106】
図14は、
図1に示す表示体が表示する反射画像を観察している様子の更に他の例を概略的に示す図である。
【0107】
図14では、表示体1の前面を光源LSからの照明光ILが斜め方向から照明し、表示体1が射出する反射光RLを観察者OBが観察するように、光源LS及び表示体1を配置している。なお、照明光ILは白色光である。また、表示体1の背面側には、拡散反射板REFを設置している。
【0108】
この観察条件で、照明方向や観察方向を変化させると、第1着色層12の表示への寄与の大きさと第2着色層13の表示への寄与の大きさとのバランスが変化する。その結果、表示体1が文字列「COPY」に対応した領域において表示する色の変化を生じる。複写物2は、そのような色変化を生じない。従って、照明方向や観察方向の変化に伴う表示色の変化の有無を確認することでも、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0109】
図15は、
図1に示す表示体が表示する透過画像を観察している様子の一例を概略的に示す図である。
図16は、
図1に示す表示体が
図15の条件下で表示する画像を示す図である。
【0110】
図15では、表示体1の背面を光源LSからの照明光ILが照明し、表示体1が射出する透過光TLを観察者OBが観察するように、光源LS及び表示体1を配置している。なお、照明光ILは白色光である。
【0111】
この観察条件下で表示体1が表示する画像I4において、文字列「COPY」に対応した領域の色は、第1着色部121の色と第2着色部131の色との減法混色によって生じる色である。なお、この観察条件下では、第1着色層12の表示への寄与の大きさと第2着色層13の表示への寄与の大きさとはほぼ等しい。
【0112】
この観察条件下で複写物2が表示する画像において、文字列「COPY」に対応した領域の色は、ドット状部221の色とドット状部231の色との減法混色によって生じる色である。また、この観察条件下では、着色層22の表示への寄与の大きさと着色層23の表示への寄与の大きさとはほぼ等しい。
【0113】
但し、
図14を参照しながら行った説明から明らかなように、
図7の条件下で撮像装置CMが読み取る画像において、文字列「COPY」に対応した領域の色は、照明方向の影響を受ける。撮像装置CMが読み取る画像において、文字列「COPY」に対応した領域の色が、
図15の条件下で表示体1が表示する画像I4における文字列「COPY」に対応した領域の色と一致しているとは限らない。
【0114】
従って、透過画像における文字列「COPY」に対応した領域の色を確認することでも、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0115】
また、
図15の条件下で表示体1が表示する画像における文字列「COPY」に対応した領域は、表示体1をX方向に平行な軸の周りで傾けると、明るさが変化し得る。これに対し、
図15の条件下で複写物2が表示する画像における文字列「COPY」に対応した領域は、表示体1をX方向に平行な軸の周りで傾けても、表示体1ほど明るさは変化しない。従って、この明るさの変化を確認することでも、表示体1と複写物2とを互いから区別可能である。
【0116】
表示体1には、様々な変形が可能である。
例えば、上記の表示体1では、第1着色部121、第1非着色部122、第2着色部131及び第2非着色部132の各々は直線形状を有しているが、それらは曲線形状を有している部分を含んでいてもよい。例えば、第1着色部121、第1非着色部122、第2着色部131及び第2非着色部132の各々は、正弦波形状などの波形を有していてもよい。或いは、第1着色部121、第1非着色部122、第2着色部131及び第2非着色部132は、以下の形状を有していてもよい。
【0117】
図17は、第1変形例に係る表示体の第1着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。
図18は、第1変形例に係る表示体の第2着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。
【0118】
図17において、第1着色部121は、入れ子状の配列パターンを形成している。具体的には、第1着色部121は、同心円状のパターンを形成している。
【0119】
図18において、第2着色部131は、第1着色部121に対応して、入れ子状の配列パターンを形成している。具体的には、第2着色部131は、第2着色部131及び第2非着色部132がそれぞれ第1非着色部122及び第1着色部121と向き合うように、同心円状のパターンを形成している。
【0120】
このような構成を採用したこと以外は上記の表示体1と同様の表示体も、上述した効果を奏する。
【0121】
上記の表示体1では、第1着色部121及び第1非着色部122は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列し、第2着色部131及び第2非着色部132は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列している。第1着色部121、第1非着色部122、第2着色部131及び第2非着色部132は、線形状を有していなくてもよい。
【0122】
図19は、第2変形例に係る表示体の第1着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。
図20は、第2変形例に係る表示体の第2着色層に採用可能な構造の一例を概略的に示す平面図である。
【0123】
図19において、第1着色部121及び第1非着色部122は市松模様状に配列している。
図20において、第2着色部131及び第2非着色部132は市松模様状に配列している。第2着色部131及び第2非着色部132は、それぞれ、第1非着色部122及び第1着色部121と向き合っている。
【0124】
このような構成を採用したこと以外は上記の表示体1と同様の表示体も、上述した効果を奏する。
【実施例】
【0125】
以下に、本発明の具体例を記載する。
【0126】
<表示体の製造>
(例1)
図1乃至
図6を参照しながら説明した表示体1を、以下の方法により製造した。なお、印刷層14は省略した。
【0127】
先ず、光透過性基材11として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
次に、光透過性基材11の一方の主面に、シアン色のプロセスインキを用いたグラビアオフセット印刷により、第1着色層12を形成した。このグラビアオフセット印刷において、シアン色のプロセスインキとしては市販されているものを使用し、ドクターブレードとしては金属製のものを使用し、ブランケットとしてはシリコンゴムを主体とするものを使用した。凹版としては、銅層の表面にクロムめっきを施したものを使用した。第1着色部121の幅W1a及び第1非着色部122の幅W1bの各々は10μmとした。
【0128】
その後、光透過性基材11の他方の主面に、マゼンタ色のプロセスインキを用いたグラビアオフセット印刷により、第2着色層13を形成した。このグラビアオフセット印刷において、マゼンタ色のプロセスインキとしては市販されているものを使用し、ドクターブレードとしては金属製のものを使用し、ブランケットとしてはシリコンゴムを主体とするものを使用した。凹版としては、銅層の表面にクロムめっきを施したものを使用した。第2着色部131の幅W2a及び第2非着色部132の幅W2bの各々は10μmとした。第2着色層13は、上記主面に平行な平面への正射影において、第2着色部131の中心線及び第2非着色部132の中心線が、それぞれ、第1非着色部122の中心線及び第1着色部121の中心線と一致するように形成した。
【0129】
(例2)
以下の事項を除き、例1と同様の方法により表示体1を製造した。即ち、本例では、第1着色部121の幅W1a及び第1非着色部122の幅W1bを、それぞれ、10μm及び50μmとした。そして、第2着色部131の幅W2a及び第2非着色部132の幅W2bを、それぞれ、10μm及び50μmとした。
【0130】
(比較例1)
以下の事項を除き、例1と同様の方法により表示体1を製造した。即ち、本例では、第1着色部121の幅W1a及び第1非着色部122の幅W1bを、それぞれ、100μm及び10μmとした。そして、第2着色部131の幅W2a及び第2非着色部132の幅W2bを、それぞれ、100μm及び10μmとした。
【0131】
(比較例2)
以下の事項を除き、例1と同様の方法により表示体1を製造した。即ち、本例では、第1着色部121の幅W1a及び第1非着色部122の幅W1bの各々を100μmとした。そして、第2着色部131の幅W2a及び第2非着色部132の幅W2bの各々を100μmとした。
【0132】
例1及び2並びに比較例1及び2に係る表示体1において採用した各寸法を、以下の表に示す。
【0133】
【0134】
<複写物の製造>
例1及び2並びに比較例1及び2に係る表示体1の各々を白色光で照明し、それが表示する画像を、顕微鏡を用いて撮像した。このようにして読み取った画像のデータを利用して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上への印刷を行うことにより、複写物を製造した。この印刷には、インクジェット式カラープリンタを使用した。
【0135】
<評価1>
例1及び2並びに比較例1及び2に係る表示体1とそれらの複写物との各々について、白色光で照明した場合に表示する透過画像を、拡大鏡を用いて観察した。拡大鏡の拡大倍率は10倍とした。結果を、上記表に示す。
【0136】
なお、ここでは、原本が表示する透過画像と複写物が表示する透過画像とを拡大鏡で観察した場合に、それらを互いから区別することができたときの評価を「A」とした。また、ここでは、原本が表示する透過画像と複写物が表示する透過画像とを拡大鏡で観察した場合に、それらを互いから区別することができなかったときの評価を「B」とした。
【0137】
例1及び2並びに比較例1及び2に係る表示体1ついては、それらの透過画像において、第1着色部121及び第2着色部131の配列に由来するストライプ状の配列を確認することができた。
【0138】
これに対し、例1に係る表示体1の複写物は、
図9を参照しながら説明したドット状部221及び231が均一に配置された構造を有していたため、その透過画像において、ストライプ状の配列は確認できなかった。これらの相違から、例1に係る表示体1とその複写物とは、互いから区別することができた。
【0139】
例2に係る表示体1の複写物では、
図9を参照しながら説明したドット状部221及び231がストライプ状の配列を形成していたが、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部が存在していた。この複写物の透過画像においても、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部を確認することができた。これにより、例2に係る表示体1とその複写物とは、互いから区別することができた。
【0140】
比較例1に係る表示体1の複写物では、
図9を参照しながら説明したドット状部221及び231がストライプ状の配列を形成しており、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部は存在していなかった。それ故、複写物の透過画像において、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部の存在の有無を確認することにより、比較例1に係る表示体1とその複写物とを、互いから区別することはできなかった。それらを区別するためには、透過画像において、ストライプを構成している線状部の線幅や線間隔を詳細に分析する必要があった。
【0141】
比較例2に係る表示体1の複写物でも、
図9を参照しながら説明したドット状部221及び231がストライプ状の配列を形成しており、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部は存在していなかった。それ故、複写物の透過画像において、ストライプを構成している線状部からはみ出たドット状部の存在の有無を確認することにより、比較例2に係る表示体1とその複写物とを、互いから区別することはできなかった。それらを区別するためには、透過画像において、ストライプを構成している線状部の線幅や線間隔を詳細に分析する必要があった。
【0142】
<評価2>
例1及び2並びに比較例1及び2に係る表示体1とそれらの複写物との各々について、白色光で照明した場合に表示する透過画像を肉眼で観察した。結果を、上記表に示す。
【0143】
なお、原本が表示する透過画像と複写物が表示する透過画像とを肉眼で観察した場合に、それらを互いから区別することができたときの評価を「A」とした。また、ここでは、原本が表示する透過画像と複写物が表示する透過画像とを肉眼で観察した場合に、それらを互いから区別することができなかったときの評価を「B」とした。
【0144】
例1に係る表示体1が表示する透過画像と、その複写物が表示する透過画像とは、色が相違していた。この色の相違から、例1に係る表示体1とその複写物とは、互いから区別することができた。
【0145】
また、例2に係る表示体1が表示する透過画像と、その複写物が表示する透過画像とは、色が相違していた。この色の相違から、例2に係る表示体1とその複写物とは、互いから区別することができた。
【0146】
これに対し、比較例1に係る表示体1が表示する透過画像と、その複写物が表示する透過画像とからも、色の相違を知覚できなかった。それ故、色の相違を利用して、比較例1に係る表示体1とその複写物とを、互いから区別することはできなかった。
【0147】
そして、比較例2に係る表示体1が表示する透過画像と、その複写物が表示する透過画像とからも、色の相違を知覚できなかった。それ故、色の相違を利用して、比較例2に係る表示体1とその複写物とを、互いから区別することはできなかった。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
第1主面とその裏面である第2主面とを有している光透過性基材と、
前記第1主面上で交互に配列した第1着色部及び第1非着色部を含み、前記第1着色部は、白色光で照明した場合に第1着色光を透過させ、前記第1非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記第1着色部及び前記第1非着色部の配列方向において隣り合った前記第1非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第1着色層と、
前記第1着色部及び前記第1非着色部に対応して前記第2主面上で交互に配列した第2着色部及び第2非着色部を含み、前記第2着色部は白色光で照明した場合に前記第1着色光とは色が異なる第2着色光を透過させ、前記第2非着色部は白色光で照明した場合にこの白色光を着色させずに透過させ、前記配列方向において隣り合った前記第2非着色部間の距離が5μm以上20μm以下の範囲内にある第2着色層と
を備えた表示体。
[2]
前記配列方向において隣り合った前記第1着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にあり、前記配列方向において隣り合った前記第2着色部間の距離が5μm以上50μm以下の範囲内にある項1に記載の表示体。
[3]
前記第2着色部及び前記第2非着色部はそれぞれ前記第1非着色部及び前記第1着色部と向き合った項1又は2に記載の表示体。
[4]
前記第1非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1着色部間の距離は、その第1非着色部と向き合った前記第2着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2非着色部間の距離と比較してより小さく、前記第2非着色部の1つを間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第2着色部間の距離は、その第2非着色部と向き合った前記第1着色部を間に挟んで前記配列方向に隣り合った一対の前記第1非着色部間の距離と比較してより小さい項3に記載の表示体。
[5]
前記第1着色部及び前記第1非着色部は、線形状を各々が有し、幅方向へ交互に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は、線形状を各々が有し、前記幅方向へ交互に配列した項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
[6]
前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は直線形状を有している項5に記載の表示体。
[7]
前記第1着色部、前記第1非着色部、前記第2着色部及び前記第2非着色部の各々は、曲線形状を有している部分を含んだ項5に記載の表示体。
[8]
前記第1着色部は、入れ子状の配列パターンを形成し、前記第2着色部は、前記第1着色部に対応して、入れ子状の配列パターンを形成した項5に記載の表示体。
[9]
前記第1着色部及び前記第1非着色部は市松模様状に配列し、前記第2着色部及び前記第2非着色部は市松模様状に配列した項1乃至4の何れか1項に記載の表示体。
【符号の説明】
【0148】
1…表示体、2…複写物、11…光透過性基材、12…第1着色層、13…第2着色層、14…印刷層、21…光透過性基材、22…着色層、23…着色層、121…第1着色部、122…第1非着色部、131…第2着色部、132…第2非着色部、221…ドット状部、231…ドット状部、CM…撮像装置、I1…画像、I2…画像、I3…画像、I4…画像、IL…照明光、LS…光源、OB…観察者、P1…ピッチ、P2…ピッチ、R1A…第1印刷領域、R1B…第1非印刷領域、R2A…第2印刷領域、R2B…第2非印刷領域、REF…拡散反射板、RL…反射光、TL…透過光、W…窓、W1a…幅、W1b…幅、W2a…幅、W2b…幅。